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企画されたキャラを小説化してみませんか?vol.3.5
31
:
akiyakan
:2012/03/10(土) 12:03:03
「シスイ、食うか?」
机に突っ伏していた友人に、ハヤトは購買で買ってきたパンを差し出した。
「……サンキュ」
「一応、怪しまれねぇように根回ししといてやったぜ」
「そんな事してくれなくてもよかったのに……」
「いやいや、おかしーでしょ? 朝自分で作った弁当が、お昼蓋を開けたら中身変わってたとかさ! どんな魔法だっつーの」
「…………」
「……大丈夫か、お前?」
「……ああ、大丈夫だ」
言って、シスイはパンの包みを開き、それを齧る。それはまるで食い千切るかのような、彼らしくない荒っぽい姿だった。
「……自分の能天気さ加減に反吐が出る」
「しかたねぇだろ、お前知らなかったんだから」
「だけどっ――俺の身近でこんな事が起きていたなんて、それに気付きもしなかったなんて……ッ!」
心底悔やむように、シスイは言う。
「あーもう……だから言いたくなかったんだよ、お前には……」
先程のシスイの姿を思い出し、ハヤトは嘆息をする。
みくの弁当の中身を入れ替えた犯人、それはシスイだ。
偶然一年生のクラス前を通りがかった時、彼はそれを見てしまった。クラスメイトの弁当箱を――楽しげに床に落とす、数人の女子生徒の姿を。
『お前ら、何やってんだ!?』
気が付くと、そんな声を上げていた。自分でも驚いてしまう位な声であり、女子生徒達は一斉にシスイの方を向くと、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
捕まえて説教を――よりも先に、シスイの身体は教室内へと飛び込んでいた。
「――――」
言葉が、見つからなかった。
床の上にひっくり返された弁当箱。持ち主に食べられる事を待ち望んでいた筈のそれは、無残なものへと変わり果てていた。
「…………」
無言のままシスイはしゃがみ込むと、彼は床に散らばったおかずやご飯を両手で掻き集め――一つ一つ口に運んだ。
そこで、だった。ハヤトに見つかったのは。
(あの後こいつ、何をするかと思えば弁当箱洗って、その後自分の弁当の中身を詰め替えるんだからな……)
危行じみているが、しかしシスイなりに考えた行動だったのだろう。実際張間みく本人は、自分がクラスメイトにそんな事をされたなどと気付いている様子ではなかった。
「……なぁ、ハヤト」
「ん?」
「虐めってさ、どうして無くならないんだろうな……」
「それは――」
――人間が、弱い生き物だから、だよ。
その言葉が、何故かハヤトは口から出せなかった。
特殊能力者の隔離政策。自分達が加担しているそれも、ある意味で「虐め」の延長線上にある事に気付いてしまったからだ。
「〝弱い者程徒党を組み、身代わりの羊を探す〟、か」
以前カラオケで聞いた曲の歌詞が、自然と口から零れた。
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