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仮投下スレ

5セロ・フィナーレ ◆28219SKBSE:2011/11/16(水) 18:14:53 ID:EDfaFrAs

 今この猫……喋ったかしら?
 巴マミが首を傾げると、黒猫はやっべやっちまった、という顔(忘れ物をしたときの鹿目さんはこんな顔をする)をして、
 次にそっぽを向くと苦しまぎれな感じに、にゃあにゃあと”猫らしい暴れ方”をした。
 ……怪しい。
 怪しさをびんびん感じる。
 が、それを問い詰める暇がなくなってしまったこともまた、巴マミの肌は感じていた。
 冷たい夜風の、風向きが、変わっていた。

「黒猫さん」

 神妙な面持ちで、問いかけながら黒猫を放す。
 
「……なんじゃ」

 黒猫はすたっと降りると、見返り猫のポーズでやはり人語を喋った。

「”分かってる”?」――巴マミは確認する。
「ああ、”分かっとる”」――黒猫は応える。どうやら、確かだった。

 今、巴マミと黒猫がいる橋の中央、そこに向かって……”ナニカ”が歩いてきていた。


◆◆◆◆◆

  
 ピクルは橋を歩いていた。
 二メートル以上ある筋肉質な、野性的な巨体を隠すことなく、生まれたままの姿で歩いていた。
 前方に少女が見えた。
 ひらひらとした布を身にまとって、どこかで見た筒のような武器を構え、静かにこちらを見つめている。
 傍らには黒猫。ずいぶん小さい存在だ、と、ピクルは思った。

 突然、音が鳴った。
 少女の構えていた筒から硬い何かが発射された音だ、
 と確認した後、その硬い何かが自分の数メートル横を通りぬけて行ったのをピクルは見る。

「――裸の大男さん、まずは止まってくれないかしら。今のは威嚇射撃。次は当てるわよ?」

 ぽい、と少女が一本目の筒を捨てて。
 次いで二本目の筒をどこかから取り出して、構えた。
 自分より小さく、弱いはずの、しかも少女が。ピクルに対して攻撃を加えようとしてくるというのは、
 ピクルにとって初めての経験だった。

 ジュラ紀を生き抜いた原人ピクルには、”自らに襲いかかってくる強者しか喰わない”という決まりがある。
 トリケラトプス、プテラノドン……そして恐竜界最強と謳われたティラノサウルスまで。
 かの時代にあった弱肉強食の掟にピクルは反抗したのか、
 このルールを作ってそれらと闘い、強い者の肉だけを喰らう生き方をしてたのだ。

 目の前の少女は……どうだろうか?
 ピクルはじっと観察する。だがしかし、見えてこなかった。


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