[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
( ^ω^)アロマキャンドル屋さんのようです
1
:
名も無きAAのようです
:2015/08/15(土) 03:47:55 ID:0kBuvM6M0
2015年 百物語参加作品
.,、
(i,)
|_|
80
:
名も無きAAのようです
:2015/08/16(日) 04:03:07 ID:VLOeWGnA0
ミセ*゚ー゚)リ「ねー、疲れたから自分の部屋帰って元気回復して来て良い?」
( ^ω^)「おっおっ、いいお」
(´・_ゝ・`)「自室にもどって何をするんだい?」
ミセ*^ー^)リ「ミントの香りがする目覚まし時計を抱き締めながら、かけがえのない時間を過ごして来るだけですよ」
(´・_ゝ・`)「ミントの香りがする目覚まし時計…それって、もしかして」
( ^ω^)「デミタスさん、お茶菓子食べましょうお?」
(´・_ゝ・`)「それもいいんですが…」
( ^ω^)「…食べ終わったら、次のお話をしますお」
(´・_ゝ・`)「じゃあ、いただきます」
何故だろうか、店主の顔色が暗くなった。声のトーンもワントーン下がったような気もする。
…次の話は、どんな話なのだろうか?
81
:
名も無きAAのようです
:2015/08/16(日) 04:04:56 ID:VLOeWGnA0
二本目、ミントのアロマキャンドル
『目覚まし時計』
おわり。
3本目は今晩に。
82
:
名も無きAAのようです
:2015/08/16(日) 04:06:36 ID:CoSP0MjA0
乙
ミセリよく生きてたな…
83
:
名も無きAAのようです
:2015/08/16(日) 04:12:53 ID:8jrzMSms0
乙乙
買った人もキャンドルもどっかズレてる感じがぞくぞくする
84
:
名も無きAAのようです
:2015/08/16(日) 09:22:37 ID:UgVRiPls0
乙です!ミセリが生きてたことにも何か秘密がありそう
貞子がラベンダーでミルナがミントかぁ
次は何だろうな
3本目も楽しみにしてる!
85
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:02:27 ID:Dxf9tFKY0
( ^ω^)「二つも長いお話をしましたし、ちょっと頭をスッキリさせますかお」
(´・_ゝ・`)「ミントの香りを沢山嗅いだから充分スッキリしてるつもりなんだけどね」
( ^ω^)「ミントとは違ったスッキリ感ですお。それに、この香りはミントに良く合うんですお」
そういって店主は薄ピンク色のアロマキャンドルに火を灯した。
(´・_ゝ・`)「ふむ…」
確かに、このアロマキャンドルの香りは私の頭をスッキリさせてくれた。それと部屋に残っているミントの香りにもマッチしている。
( ^ω^)「どうですかお?」
(´・_ゝ・`)「君の言うとおりだね、小説を書く時のお供にしたら頭がスッキリして筆が進みそうな香りだ」
( ^ω^)「…では、このアロマキャンドルの香りを嗅ぎながら次のお話を聞いてくださいお」
86
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:03:07 ID:Dxf9tFKY0
.,、
(i,)
|_|
『変わらぬ愛』
87
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:03:53 ID:Dxf9tFKY0
(;'A`)「ぐほぉっ!マズイ、マズイよ、このコーヒー!ミセリちゃん!」
ミセ;*゚ー゚)リ「あーあ、また失敗しちゃったか…」
( ゚д゚ )「本当にミセリはミントティー以外は苦手なんだな」
ミセ;*゚ー゚)リ「そうなんだよね、はぁ…」
( ^ω^)「誰にだって失敗はあるお、ミセリちゃん。そして失敗を重ねて成功に近付いて行くんだお」
ミセ*゚ー゚)リ「ブーンさんみたいな失敗したことなさそうな人に言われてもなぁ」
( ゚д゚ )「マスターは多才ですからね」
( ^ω^)「そんなことないお。僕だって失敗したことあるお。取り返しのつかない失敗を…」
ミセ*゚ー゚)リ「ブーンさん?」
('A`)「…」
88
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:04:47 ID:Dxf9tFKY0
チリンチリーン…
ミセ*゚ー゚)リ「あ、お客様来たみたいですね」
('A`)「ん?この匂いは…」
( <●><●>)「勝手に上がらせて貰いますよ」
( ^ω^)「ワカッテマス刑事じゃないですかお、いらっしゃませですお!」
ミセ*゚ー゚)リ「いらっしゃいませー」
( ゚д゚ )「と言うことは、このベルガモットの香りはやっぱり…」
( <●><●>)「えぇ、この通りカバンの中に居ますよ」
(゚、゚トソン「カバンの中から失礼します。お久しぶりです、マスター、ドクオ、ミルナ」モソッ…
89
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:05:59 ID:Dxf9tFKY0
ミセ*゚ー゚)リ「わー!可愛い子!」
( <●><●>)「当たり前じゃないですか、私の恋人なんですから」
( ^ω^)「相変わらず火のような恋をしてるみたいで何よりですお」
(゚、゚トソン「それよりも、マスター。バイトを雇い始めたのですか」
( ^ω^)「まぁ、そんな感じだお」
(゚、゚トソン「初めまして。私はBOON生首アロマキャンドルNo.10、トソンです」
ミセ*゚ー゚)リ「ミセリって言います、宜しくね!」
90
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:06:39 ID:Dxf9tFKY0
('A`)「んで、変人刑事さん今日は一体何のようなんだ?」
(; ゚д゚ )「まさかマスターを捕まえに…!?」
( <●><●>)「違いますよ。それにブーンさんを刑務所に入れたらトソンが悲しみますから例えブーンさんが捕まりそうになっても裏工作で阻止しますよ」
('A`)「堂々と職権乱用発言を…」
ミセ*゚ー゚)リ「強い味方が居て良かったですね、ブーンさん!」
( ^ω^)「まぁ、うん…。冗談はさておき、今日は何で来たんですかお?」
91
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:07:24 ID:Dxf9tFKY0
(゚、゚トソン「それが…」
( <●><●>)「実は最近、色んな高層ビルから生首が落ちてくるという事件が多発しているんですよ」
ミセ;*゚ー゚)リ「えー!?そんなのニュースで見てないけどなぁ」
(; ゚д゚ )「そんな事件が多発ってことは、沢山生首が切られてるんだし、大量殺人とか?」
( <●><●>)「…それが証拠の生首が無いんですよ」
ミセ;*゚ー゚)リ「え?」
(゚、゚トソン「落ちてくる生首を見たと言う証言は沢山来ているのですが、証拠の生首は一つも見つかっていないのです」
ミセ;*゚ー゚)リ「落ちた衝撃でグチャグチャになっちゃって見つからないとか…?」
('A`)「それだと血痕とかの証拠が残るだろう」
92
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:08:10 ID:Dxf9tFKY0
( <●><●>)「ただのイタズラ証言にしては証言者の年齢層がバラバラなので、念のため生首を見たと言う証言のあった現場を私とトソンで周ってみたんです」
ミセ*゚ー゚)リ「何か証拠は見つかったんですか?」
( <●><●>)「証拠、というか全ての現場にはある香りがわずかに残っていました」
(゚、゚;トソン「その香りと言うのが、その…」
( ^ω^)「…ローズマリーの香り」ボソッ
( <●><●>)「えぇ、その通りです」
(゚、゚トソン「…私が香りを嗅いだので、おそらく『彼女』で間違いないと思います」
( ^ω^)「だろうおね。いくら頑丈に作ってあるとはいえ、そんな高層ビルから何十回も落として壊れないようには作ってないお。
…ある作品を除いては」
ミセ;*゚ー゚)リ「え、この事件の生首ってブーンさんの作品なんですか?」
( ^ω^)「まず間違いなくそうだお」
93
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:08:51 ID:Dxf9tFKY0
( <●><●>)「だと思いました。おそらく持ち主が飽きたのか、それか人々を驚かせるためにアロマキャンドルを落としているのでしょうね」
ミセ#*゚ー゚)リ「なんて酷い人…!ブーンさん、その人に会いに行って返品して貰いましょ!」
( <●><●>)「警察としても困るので、制裁を下したいところですね」
( ^ω^)「…僕がなんとかやめさせますので、この事件はただの怪談話にしてもらえませんかお?」
( <●><●>)「そう言うと思ってましたよ。まぁ、適当に上司には誤魔化しておきますので後始末しといてくださいね」
( ^ω^)「ありがとうございますお」
94
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:09:40 ID:Dxf9tFKY0
ミセ#*゚ー゚)リ「それにしても、とんでもない人が居たものですね!許せません!」
('A`)「まぁ、今回の場合はアロマキャンドルの性格にも問題があると思うけど」
ミセ*゚ー゚)リ「え?」
(; ゚д゚ )「ローズマリーの香りだもんなぁ…うーん」
('A`)「返品してもらわないで頂きたいな」
ミセ;*゚ー゚)リ「なんでそんなこと言うのよ、二人とも」
('A`)「アイツのこと好きな奴なんて居ないと思うけど?」
( ^ω^)「そう言うこと言うんじゃないお」
95
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:10:22 ID:Dxf9tFKY0
('A`)「ブーン、お前行く必要ねぇよ。どうせあの女は嫌味しか言わねぇんだから」
( ^ω^)「わかってるけど、人様に迷惑かけてるんだから辞めさせないと」
('A`)「だったら俺が代わりに行ってやるよ」
( ^ω^)「馬鹿、町中を転がっていくつもりかお」
('A`)「ミセリちゃんに連れてってもらうさ。な、ミセリちゃん!」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、うん。私は全然構いませんよ」
( ^ω^)「…分かったお。ミセリちゃんには悪いけど、行って来てくれお」
ミセ*゚ー゚)リ「はーい、行って来ます!」
('A`)「ミセリちゃん借りてくぜー」
( ゚д゚ )「あぁ、気を付けてな」
( ^ω^)「……」
96
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:11:37 ID:Dxf9tFKY0
('A`)「そこを左に曲がってくれ」
ミセ*゚ー゚)リ「あんまり顔出さないでね、ドクオ君」
('A`)「大丈夫大丈夫」
ミセ*゚ー゚)リ「…ねぇ、ローズマリーの香りの子って、マスターであるブーンさんに対してそんなに酷いこと言うような子なの?」
('A`)「……アイツはブーンが悲しむような事を言うから嫌いだ」
ミセ*゚ー゚)リ「ブーンさんが悲しむ?」
('A`)「ま、どうでもいいじゃん?ほら、早く用事済まして帰ろうぜ」
ピタッ
ミセ;*゚ー゚)リ「…」
('A`)「急に立ち止まってどうしたの?」
ミセ;*゚ー゚)リ「なんか、落ちてくる…」
('A`)「え?」
ミセ;*゚ー゚)リ「あれは…!」
97
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:12:17 ID:Dxf9tFKY0
ドゴッ!!!!
ミセ;*゚ー゚)リ「ひぃっ!が、顔面から落ちた…」
「…」
ミセ;*゚ー゚)リ「あのー、もしかして、貴女がローズマリーの香りの…」
「この鼻が曲がるような酷い匂いは…」
('A`)「よう。地面に這いつくばってる姿がお似合いだな、ツン」
ξ゚⊿゚)ξ「…相変わらず醜い顔と香りね、ドクオ」クルリ
ミセ;*゚ー゚)リ「…!!」
98
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:13:28 ID:Dxf9tFKY0
ξ゚⊿゚)ξ「で、この女の子はだれ?」
('A`)「この子はだな…」
ミセ;*゚ー゚)リ「び、美人ー!!!綺麗
何この子、欲しいいい!」ギュウウウ!
ξ゚⊿゚)ξ「……ドクオを背負ったまま抱きしめるのはやめて欲しいんだけど。臭くてたまらないわ」
('A`)「こっちのセリフだ」
ミセ*゚ー゚)リ「私はブーンさんのお店でバイトしているミセリ!貴女を酷い持ち主さんから救い出すためにやって来たの!」
ξ゚⊿゚)ξ「酷い持ち主…?救い出す?」
ミセ#*゚ー゚)リ「貴女みたいな美人で綺麗な子を高層ビルから落とすなんて酷すぎるわ!説教してやる!」
ξ゚⊿゚)ξ「ミセリ、貴女は大きな誤解をしているわ」
ミセ*゚ー゚)リ「誤解って?」
ξ゚⊿゚)ξ「私の主人は酷い人ではないわ」
ミセ#*゚ー゚)リ「こんなことする人は酷い人よ!」
ξ゚⊿゚)ξ「いいえ、私の主人はいい人よ、だって…」
99
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:14:20 ID:Dxf9tFKY0
「後ろから失敬、返してもらうよ」
ヒョイ
ミセ;*゚ー゚)リ「え」
(-@∀@)「…うーん、残念。今回もどうやら傷一つついていないようだねぇ」
ξ゚⊿゚)ξ「私の願いを叶えてくれようとしてるのだから」
100
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:16:01 ID:Dxf9tFKY0
ミセ;*゚ー゚)リ「あなたがツンちゃんの持ち主ですか?」
(-@∀@)「そうだけど、何か?あ、もしかして白衣着たいのー?」
ミセ;*゚ー゚)リ「違います。えっと、なんでツンちゃんを高層ビルから落とすんですか?」
(-@∀@)「そんなの決まってるじゃないか、壊すためにだよ」
ミセ;*゚ー゚)リ「な…!」
('A`)「壊すのは勝手だが、他の方法にしてくれないか?かなり人様に迷惑かけてるから」
(-@∀@)「あらら、そっかぁ。ま、どうせこの方法じゃ壊せないみたいだし、やめるよ。他の方法で壊してみる」
ミセ#*゚ー゚)リ「あなたみたいにアロマキャンドルを壊そうとするような人は持ち主の資格ありません!ツンちゃんを返品してください!」
ξ゚⊿゚)ξ「あのねぇ…アサピーは私の願いを叶えようとしてくれてるだけで悪い人じゃ無いのよ?」
ミセ;*゚ー゚)リ「…それって、ツンちゃんは壊れたいってこと?」
ξ゚⊿゚)ξ「えぇ、そうよ」
ミセ;*゚ー゚)リ「そんな…なんで?」
101
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:16:58 ID:Dxf9tFKY0
ξ゚⊿゚)ξ「それはあなた達の後ろにずっとついて来てる男にでも聞いてみたら?」
ミセ*゚ー゚)リ「え」
( ;^ω^)「おー…ばれてたのかお」
ξ゚⊿゚)ξ「バレバレよ」
('A`)「…ブーン、お前なんで来たんだよ」
( ^ω^)「…ツンは僕の大切な作品だから」
(-@∀@)「ブーンさん、お久しぶりですぅ」
( ^ω^)「お久しぶりですお、アサピーさん」
(-@∀@)「いやはや、ツンは中々壊れないですよ。まぁ、壊して見せますけど」
( ^ω^)「…是非ともお願いしますお」
102
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:17:54 ID:Dxf9tFKY0
ミセ;*゚ー゚)リ「お願いって…、ブーンさん!?一体どう言うことなんですか?」
( ^ω^)「いいから帰るお、ミセリちゃん」
ミセ*゚ー゚)リ「でも!」
( ^ω^)「お店に帰ったら話すお」
ミセ*゚ー゚)リ「はい…」
( ^ω^)「ツン」
ξ゚⊿゚)ξ「…何よ」
( ^ω^)「あんまりアサピーさんにワガママ言わないようにだお」
ξ゚⊿゚)ξ「程々にしておくわ」
(-@∀@)「別に僕は構わないですけどね」
( ^ω^)「おっおっおっ、アサピーさんが良いならいいんですけどね。じゃあ、僕たちこれで失礼しますお」
ミセ*゚ー゚)リ「失礼します」
('A`)「じゃあな、ツンとマッドサイエンティスト」
(-@∀@)「マッドサイエンティストなんて照れるなぁ。じゃあねー」
ξ゚⊿゚)ξ「…」
103
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:20:05 ID:Dxf9tFKY0
チリンチリーン…
( ゚д゚ )「おかえりなさい」
('A`)「ただいまー」
ミセ#*゚ー゚)リ「ブーンさん、一体どういうことなんですか!?自分の作品を壊そうとしている人を止めるどころか、壊すお願いをするなんて!」
(; ゚д゚ )「荒れてるなぁ…」
('A`)「ツンの馬鹿のせいだ」
( ^ω^)「…ミセリちゃんは、僕が作ったアロマキャンドルが普通の火では溶けないことはしってるかお?」
ミセ*゚ー゚)リ「え、まぁ、そりゃ知ってますよ。特別なアロマキャンドルだから溶けないんですよね」
( ^ω^)「そうだお。でも、それはあくまでも普通の火に対しての話」
ミセ*゚ー゚)リ「どう言うことですか?」
( ^ω^)「ある火によって、ちゃんと燃えて溶けるんだお。僕の作品達も」
104
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:21:22 ID:Dxf9tFKY0
ミセ;*゚ー゚)リ「その火って一体…!?」
( ^ω^)「僕の作品達を灯し、そして溶かす唯一の火…それは作品の持ち主の“命の火”そのものだお」
ミセ*゚ー゚)リ「命の、火…?」
( ^ω^)「例えばミセリちゃんの命の火が消えたとしたら、ミルナもそれと同時に燃え尽きて溶けるんだお。つまり、ミセリちゃんが死ぬ時ミルナも死ぬお」
ミセ;*゚ー゚)リ「そんな…!」
( ゚д゚ )「ミセリ、勘違いしないでくれ。アロマキャンドルとして生まれたのなら、持ち主のために香り、燃えて溶けて消えて、持ち主と一緒に命を終わらせるのがこの上ない幸せなんだ」
ミセ*゚ー゚)リ「そうなんだ…。でも、だとしたらますますツンちゃんを壊させちゃダメなのでは?ツンちゃんだってそういう最後を迎えさせてあげた方が…」
( ^ω^)「無理だお」
ミセ*゚ー゚)リ「え?」
( ^ω^)「ツンにその最後は訪れないお」
('A`)「…」
ミセ;*゚ー゚)リ「えっと、何でですか?」
( ^ω^)「…僕は全ての作品を愛しているけど、その中でも彼女は並々ならぬ思いを込めて作ったお。それがそもそもの失敗だったんだお…」
105
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:22:14 ID:Dxf9tFKY0
( ^ω^)『どんなアロマキャンドルより美しく、素晴らしい香りのする作品を…』
( ^ω^)『香りは僕の一番好きなローズマリー』
( *^ω^)『…おっおっ、完成だお!世界で一番美しく、素晴らしい香りがするアロマキャンドル!その名もツンだお!』
ξ゚⊿゚)ξ
106
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:22:57 ID:Dxf9tFKY0
( ^ω^)『ふぃー、今日もお仕事疲れたお』
ξ゚⊿゚)ξ『お疲れ様、ブーン』
( ^ω^)『疲れてもツンの香りで癒されるお』
ξ゚⊿゚)ξ『それなら良かった』
( *^ω^)『おっおっ』
ξ゚⊿゚)ξ『…でもブーン、私もアロマキャンドルとして生まれたのなら持ち主のために燃え尽きて一生を終えたいわ』
( ;^ω^)『…それは』
ξ゚⊿゚)ξ『わかってるわ、あなたにはそれが出来ないことは重々承知よ。だから私をお客さんに売って欲しいの』
107
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:24:03 ID:Dxf9tFKY0
( ^ω^)『…それがツンの願いなら、寂しいけど叶えるお』
ξ゚⊿゚)ξ『ありがとう』
( ^ω^)『おっおっ』
ξ゚⊿゚)ξ『…ねぇ、ブーン』
( ^ω^)『なんだお?』
ξ゚⊿゚)ξ『私が燃え尽きてこの世を去ったとしても、たまにで良いから私を思ってね』
( ^ω^)『…当たり前だお、なんたって君は』
『僕の初めての作品なんだから』
.
108
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:25:15 ID:Dxf9tFKY0
( ^ω^)「そうして、僕はツンを手放したお」
ミセ*゚ー゚)リ「ツンちゃんがBOON生首アロマキャンドルNo.1だったんですね」
( ^ω^)「そうだお。ツンは僕の最初で最後の最高傑作だお、でも…」
ミセ*゚ー゚)リ「でも?」
( ^ω^)「それと同時に、最悪の失敗作でもあるんだお」
ミセ;*゚ー゚)リ「…え?」
109
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:26:11 ID:Dxf9tFKY0
( ^ω^)「ある日ツンの持ち主が死んだと聞いて、僕はその家に向かったお。ツンの最後がどうなったのか気になったし」
( ^ω^)「ちょうどお葬式をやって居たお、予定ならツンのローズマリーの香りがそこら中に充満している筈だったお」
( ^ω^)「…でも、そんなことはなかったんだお」
( ^ω^)「代わりに僕を待ってたのはツンの持ち主の遺族から突き返された、僕が手放した時となに一つ変わらないツンそのものだったんだお」
( ^ω^)「持ち主が死んだというのに、ツンは溶けていなかったんだお」
110
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:26:56 ID:Dxf9tFKY0
ミセ;*゚ー゚)リ「…た、たまたまじゃないですか?」
( ^ω^)「僕もそう思ったお」
ミセ;*゚ー゚)リ「きっとそうですよ」
( ^ω^)「でも、違ったんだお。何度売っても売っても売ってもツンは持ち主が死ぬ度僕の元に返品されて来たんだお」
111
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:28:14 ID:Dxf9tFKY0
ξ゚⊿゚)ξ『…どうしてなの?』
( ;^ω^)『…』
ξ゚⊿゚)ξ『何人もの主人の死を見送ったわ、主人の命の火が消えるのを』
ξ゚⊿゚)ξ『それなのに、なんで私はまだこの世に留まっているの?』
( ;^ω^)『それは…』
ξ゚⊿゚)ξ『私はキャンドルとして生まれたというのに、燃え尽きることすらできないなんて。とんだ失敗作ね』
( ;^ω^)『そんなことないお!ツンは僕の最高傑作だお!』
ξ゚⊿゚)ξ『主人が死んでも生き残ってしまうのに、失敗作以外のなんて言うの?』
( ;^ω^)『それは…』
112
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:29:15 ID:Dxf9tFKY0
ξ゚⊿゚)ξ『実はね、私。この原因わかってるのよ』
( ;^ω^)『それは一体なんなんだお?!なんとかして手直しするお』
ξ゚⊿゚)ξ『…じゃあ、ブーン。私のことを特別だと思わないで』
( ;^ω^)『え?』
ξ゚⊿゚)ξ『もっと言えば私のことを思わないで、なんの感情も持たないで』
( ;^ω^)『そんなの無理に決まってるお、それにこの話と僕がツンを大切に思うのになんの関わりが…』
ξ゚⊿゚)ξ『あなたが私を思い続ける限り、私は燃え尽きることができない』
( ;^ω^)『そんな馬鹿な』
113
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:29:57 ID:Dxf9tFKY0
ξ゚⊿゚)ξ『…ブーン、あなたには言ってなかったことがあるの』
( ;^ω^)『なんだお?』
ξ゚⊿゚)ξ『私、主人が死ぬ時、ちゃんと燃えるのよ』
( ;^ω^)『…お?』
ξ゚⊿゚)ξ『…でもね、溶けた筈のロウがしばらくすると元の形に戻って、また固まってしまう。その時いつもあなたの声がするの』
( ;^ω^)『そんな馬鹿な、嘘だお…』
ξ゚⊿゚)ξ『ねぇ、ブーン…』
( ;^ω^)『やめてくれお!』
ξ゚⊿゚)ξ『あなたが私を蘇らせているのよ?』
.
114
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:30:58 ID:Dxf9tFKY0
( ^ω^)「僕のツンを思う気持ちが、ツンを苦しめて居たんだお」
ミセ;*゚ー゚)リ「…」
( ^ω^)「僕は今でもツンが好きだお。だからアサピーさんがツンに何をしたって壊れないお」
ミセ;*゚ー゚)リ「…燃やしてあげることは出来ないんですか?」
( ^ω^)「少なくとも僕には出来ないお。今までのツンの持ち主にもそれは出来なかったお」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあツンちゃんはずっと…」
( ^ω^)「…」
115
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:32:08 ID:Dxf9tFKY0
(-@∀@)「次は一体どうやって壊そうか…うーん、悩むね」
ξ゚⊿゚)ξ「…ねぇ、アサピー」
(-@∀@)「なんだい?」
ξ゚⊿゚)ξ「いつもありがとうね」
(-@∀@)「礼を言われる筋合いは無いなぁ、僕は君が壊れるところを見たいだけなんだから」
ξ゚⊿゚)ξ「そう。私はあなたが死ぬところは見たく無いわ、それよりも先に壊れたい」
116
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:33:28 ID:Dxf9tFKY0
(-@∀@)「…本当は燃えて溶けたいんじゃ無いの?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね、でもそれは叶わぬ夢よ」
(-@∀@)「そういえばさ、ブーンさんの君を想う気持ちが強すぎて君は蘇ってしまうんだよね?」
ξ゚⊿゚)ξ「えぇ、そうよ」
(-@∀@)「だったら僕がブーンさんより君を愛せば良いわけだ。それで道連れにしてあげよう。なぁんだ、簡単なことだね」
117
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:34:39 ID:Dxf9tFKY0
ξ゚⊿゚)ξ「あら、私のことは実験対象にしか見えてないのかと思っていたんだけど?」
(-@∀@)「馬鹿だなぁ、科学者が何かを実験をする時に、何の執着心も抱かずに研究なんて出来ないさ」
ξ゚⊿゚)ξ「その執着心が貴方の場合、愛だとでも?」
(-@∀@)「その通り」
ξ゚⊿゚)ξ「…ふふっ、アサピー。あなたが私を残して死んだとしても、あなたのことは絶対に忘れないわ」
(-@∀@)「そりゃあどうも。でも僕は実験は絶対に成功させる誠実な男なんでね、その心配はいらないよ」
ξ*゚-゚)ξ「…そうね、あなたの命の火で燃えられるのを楽しみにしているわ、アサピー」
118
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:35:26 ID:Dxf9tFKY0
(
)
i フッ
|_|
( ^ω^)「…こう言うわけでローズマリーのアロマキャンドルは、僕にとって最も愛おしく、そして戒めのような香りですお」
(´・_ゝ・`)「結局、ツンという生首はどうなるんだい?」
( ^ω^)「分かりませんお、この前アサピーさんに会った時は元気にしてるとだけ聞きましたけど」
(´・_ゝ・`)「オチがわからないエンドっていうのはスッキリしないなぁ、この香りとは正反対だ」
( ^ω^)「おっおっ、確かにですお。で、如何でしたかお?僕のお話は」
(´・_ゝ・`)「まぁ、ネタにはなりそうかな」
( ^ω^)「それなら良かったですお」
119
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:37:47 ID:Dxf9tFKY0
(´・_ゝ・`)「…ところで、奥の部屋からずっとするこの香りは何なんだい?3本のアロマキャンドルを焚いている間にも匂っていたけど」
( ^ω^)「……それは、どんな香りですかお?」
(´・_ゝ・`)「え?そうだなぁ。まるで乙女の香り、とでも言えばいいのかな?花の中の花のような…ともかく、いい香りだね」
( ^ω^)「おっおっおっ、デミタスさん。良かったら変わったアロマキャンドルとかいかがですかお?」
(´・_ゝ・`)「あはは、面白いな。さっきまでの話を聞かせて商品を買わせるって魂胆かい?いいよ、買おうじゃないか」
( ^ω^)「えぇ、では連れて来ますお」
(´・_ゝ・`)「うん、待ってるよ」
120
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:38:33 ID:Dxf9tFKY0
全くもって面白い店主だ、足を運んで良かった。沢山ネタになりそうな話も聞けたし生首を使った話とか書いてみるかな…
(´・_ゝ・`)「…それにしてもあのレジの隣に置いてある生首、よく出来てるなぁ」
121
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:41:01 ID:Dxf9tFKY0
三本目、ローズマリーのアロマキャンドル
『変わらぬ愛』
おわり。
122
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:45:50 ID:Dxf9tFKY0
以上で( ^ω^)アロマキャンドル屋さんのようですは閉店です。ご来店、ありがとうございました。
(
)
i フッ
|_|
123
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 02:46:30 ID:Dxf9tFKY0
おまけ。
ラベンダーの花言葉
献身的な愛、沈黙
ミントの花言葉
思いやりの気持ち、元気回復、かけがえのない時間、もう一度仲良くしましょう
ベルガモットの花言葉
火のような恋
ローズマリーの花言葉
変わらぬ愛、私を思って、あなたは私を蘇らせる、誠実
124
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 06:46:08 ID:O85Atftc0
乙乙! 面白かった
いい設定だなあ。もっと続きが読みたくなってしまう
125
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 08:02:35 ID:qMyiCXXY0
おつ
126
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 10:33:58 ID:dGUNWJUEO
ワカッテマスとトソンの組み合わせが珍しくて良かった
127
:
名も無きAAのようです
:2015/08/17(月) 15:37:30 ID:VhAeKw5c0
乙!面白かった。ドクオはどんな匂いなのか気になるな
128
:
名も無きAAのようです
:2015/08/18(火) 23:48:25 ID:kdwtcvmk0
くっそおもしろかった!おつ!
129
:
名も無きAAのようです
:2015/08/19(水) 12:18:31 ID:TcmJxvLU0
三話とも面白かった!
ブーンがツンの事好きすぎて実質の持ち主はブーンって事になっちゃうのか…
ツンも何人も持ち主の死を見送ったり、周りのアロマキャンドルがいなくなっていったりするとやっぱり辛いんだろうな…読んでると、何かブーンって不老不死かそれに近い感じがするし
ドクオの香りとデミタスが買うかもしれないキャンドルが誰なのかが気になる
乙でした!
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板