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備津府を守るは死に神たちのようです
93
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:15:12 ID:tYafdmO20
(メ._O )「では、ベル殿に頼んで参ろう」
(L_‐ )「んー」
Σz*゚ー )リ「スニフィも行きます!」
(メ._O )「御前は早よう月山(つきやま)に帰れ」
Σz´゚ー )リ「お兄さまぁ……」
(メ._O )「今宵には、また会えよう」
Σz´>ー )リ「……はーい……」
(‘_L’)「もう行くのかァ?」
(メ._O )「否。支度をする」
Σz*^ー )リ「じゃあじゃあ、スニフィ、お兄さまと一緒にお家を出ます!」
(メ._O )「そうか。ならば、茶でも飲んで待っておれ」
Σz*゚ー )リ「よーかんはー?」
(メ._O )「出してある分は皆、食って良いぞ」
ヽΣz*>ー )ノ「わーい!」
_,
(‘_L’)「俺んだっつってんだろ」
Σz*`ー )リ「スニフィは、お兄さまの言うことしか聞きません!」
(‐_L‐)「へーへー、さいですか」
(メ._O )「主よ、竹筒を拝借致したいのだが、何処(いずこ)か?」
(‘_L’)「あ? お勝手にあんじゃあねェのか?」
(メ._O )「ふむ、探ってみよう」
Σz*)´〜 )リ" モヒュモヒュ
.
94
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:16:53 ID:tYafdmO20
町中を歩く男が一人。
彼は、誰しもが二度、その姿を確かめてしまう程の長躯だった。
その大きさと言えば、頭が天井を突き破ってしまいそうなもので。
(メ._O )
月白に輝く髪は長くも短くも無く、天辺は耳でもあるかのように跳ね。まぁるく大きな深紅の左目に、傷走り十文字を描いた右目。夜闇のような伯林青色の着流しに、黄支子色の帯が巻かれ、そこに竹筒が三本ぶら下がっていた。
向かう先には、男が一人。
('A`)
腕はだらしなく下げたまま、ジッとウサギを見ている。
(メ._O )「……我に何用か?」
('A`)「そりゃあこっちの台詞さね。オメェみてぇな“半端モン”が、死に神の巣窟に何用でさァ」
(メ._O )「我は、ベル殿に用があって参った」
('A`)「ベルさんに?」
('A`)
(メ._O )「む、これは失礼致した。我が名は『三月 ウサギ』。鴨志田フィレンクトを主に持つモノだ」
(;'A`)「鴨志田……!!?」
(メ._O )「うむ」
.
95
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:18:26 ID:tYafdmO20
(;'A`)(あの人なら、こんな半端モン下に付けててもおかしかねぇけど……)
^ω^)「ドクオー?」
('A`;)「ばっ! 出てくんなっつったろォ!」
(メ._O ) !
(メ._O )「御前……」
( ^ω^)「お?」
(;'A`) ?
(メ._O )「饅頭氏だな?」
('A`)
( ^ω^)
(;^ω^)「お!?」
('A`)「あぁ……こん方ァ、鴨志田さんとこのだってよォ……」
(;^ω^)「お!!?」
(メ._O )「我は鴨志田フィレンクトの下(もと)で居候をしておる。名を、三月ウサギと申す」
(*^ω^)「お! 初めましてですお。僕は内藤ホライゾンと申しますお!」
(メ._O )「内藤か。覚えておこう」
.
96
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:19:22 ID:tYafdmO20
(メ._O )「して、ベル殿は居られるか?」
('A`)「ベルさんは来てませんわ」
(メ._O )「そうか。……ならば、清水殿は?」
( ^ω^)「お? アイシスさんならいらっしゃいますお!」
(メ._O;)「否。偽モナー殿だ」
(;'A`)「考えなくても分かっだろ」
(;´ω`)「おーん……」
(;'A`)「おやっさんは、ちと出掛けてまさァ」
、_
(メ._O;)「そうか……」
( ^ω^)「何か、困りごとですかお?」
(メ._O;)「あぁ、出来るならばベル殿に相談致したかったのだが……致し方ない」
(*^ω^)「お! じゃあ、ベルさん家に行くといいですお!」
(メ._O )「場所を知らぬ」
('A`)「案内しやしょうか?」
(メ._O )「……良いのか?」
('A`)「へぇ。暇なんで」
(メ._O )「そうか。ならば、宜しく頼む」
(*^ω^)「おっおっ!」
(*'A`)「ついでと言っちゃあ何ですが、ちと、聞きてぇことがありやして……」
(メ._O )「む? 何だ?」
(*'A`)「鴨志田さん、俺のこと何か言ってやせんでした? あ、俺、干瓢呼ばわりされてたんスけど……」
、_
(メ._O )「……かんぴょー……?」
('A`)「あ、……何でもねぇッス……」
.
97
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:20:21 ID:tYafdmO20
――――鈴鳴家
―――コンコンコン
(*^ω^)「ベルさーん!」
(*^ω^)
('A`)
(メ._O )
( ´ω`)「おーん……居ないみたいですお……」
('A`)「んじゃ、勝手にお邪魔させてもらうか」
(*^ω^)「おっおっ!」
(メ._O;)「良いのか?」
(*^ω^)「いつもそうしていますお!」
('A`)「とりあえず、居間で待ってらぁいいか」
(メ._O )「ならば、茶でも淹れよう」
('A`)「居間に火鉢あんぞ?」
(メ._O )「承知した」
.
98
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:21:26 ID:tYafdmO20
――――居間
シュンシュンと薬缶(やかん)が鳴き始めた。そっと火鉢から下ろし、茶っ葉を入れた急須に注ぐ。
( ^ω^)「慣れていらっしゃいますおね」
(メ._O )「主が隻腕であるが故、身の回りの世話は我がさせて貰うておる」
(*^ω^)「お! 成る程ですお!」
(;'A`)「考えなくったって分かんだろーが!」
(;´ω`)「おぉーん……さっきも聞いたお、その台詞……」
(メ._O )「茶を」
O旦と
( 'A`)「あ、どーも」
.つ旦O
(*^ω^)「有り難う御座いますお! 頂きますお」
つ旦O
(メ._O )「うむ」
( ‐ω‐) ズズズ…
つ旦O
(*´ω`)「おぉ……美味しいお……」
つ旦O
(メ._O )「良い茶葉であるが故」
('A`)「良い茶っ葉だろうが、淹れ方が悪きゃあ味も悪くなるってェもんさ」
(メ._O )「そういうものか?」
(-A-)"「そういうもんさ」
(メ._O )「ほう……覚えておこう」
.
99
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:22:25 ID:tYafdmO20
―――ガラガラガラ
(*^ω^)「おっ!」
「……誰か来ているのか?」
(*^ω^)「おっおっ! お帰りなさいですおー!」
(*'A`)「お帰りなさいまし」
(`∠´)「ただいま……ん? 三月?」
(メ._O )「ベル殿に用が有り、内藤らの案内で邪魔をさせてもろうておる」
(`∠´)「そうか。して、その用とは?」
(メ._O )「今宵、私用が出来た故、我は主の元を離れなければならぬ。然しながら主は今、一人で立つのも儘(まま)ならぬ体につき、留守を預かって頂きたく参った次第」
(`∠´;)「そんなに悪いのか……」
(;^ω^)「お……?」
(;'A`)「鴨志田さん、如何なすったんで?」
(メ._O )「主は昨晩の狩りにより、体の節々を痛めて伏せっておる」
( ^ω^)
('A`)
( TωT)「昨晩はとても輝いてましたお……」
(TAT)「伝説の男が筋肉痛かよ畜生……」
.
100
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:23:27 ID:tYafdmO20
(`∠´;)「閻魔と呼ばれようが伝説だと謂われようが、奴も我々と同じ人の子だ。体も悪くする」
('A`)「それは分かってるつもりでやすが……ずぅっと夢に見ていたあの“閻魔”が、こうも格好悪ィと……残念で仕方ねぇ……」
(メ._O)「何を言うか。主はとても格好の良い男だぞ」
(;'A`)「どこがでェ……」
(メ._O )「主は信念を曲げない。主は自らを偽らない。主は何事も諦めない。主は誰にも屈しない」
(*^ω^)「おお……」
(*'A`)「おお……」
(`∠´*)「うむ。そうだな」
(メ._O )「主の事を知りもせずに、“閻魔だから”“閻魔なのに”と言う固定観念で良し悪しを決めないで頂きたい」
(;´ω`)「お……」
(;'A`)「あいすいません」
(;´ω`)「ごめんなさいですお……」
(メ._O )「分かれば良い」
.
101
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:24:08 ID:tYafdmO20
(`∠´)「さて、そろそろ昼餉だが、お前たち飯は食って来たか?」
(メ._O )「否」
('A`)「俺たちもまだでさァ」
( ´ω`)「お……どうりでお腹が空く訳ですお……」
(`∠´)「そうか。ならば、食って行くといい」
(*^ω^)「おっ! いいんですかお!?」
(`∠´)「折角来てくれたんだ。とは言え、碌なモノは無いからな」
(*^ω^)「おっおっ!」
(*'A`)「じゃあ、お言葉に甘えて……」
(`∠´)「あい分かった。三月は?」
(メ._O )「帰って主の飯を作らねばならぬ」
(`∠´)「そう急かさずとも、彼奴は三日放っておいても死なん」
(メ._O )「……ならば、我も馳走になろう」
(`∠´)「では、私はお勝手に居る故、何かあったら来るといい」
( ^ω^)「はいですお!」
('A`)「へい」
(メ._O )「うむ」
.
102
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:25:10 ID:tYafdmO20
('A`)「……三月さ、聞きてぇことがあんだが……」
(メ._O )「何だ?」
('A`)「オメェのその姿は何だ? 生まれ変わりか?」
( ^ω^) ?
(メ._O )「あぁ、これは『変化』と呼ばれる術だ」
('A`)「そりゃあ、どんなモンだ? 奴等はみんな出来んのか?」
(メ._O )「否」
('A`)「んじゃあ……出来る奴と出来ねぇ奴の違いは?」
(メ._O )「人の姿より程遠く、且(か)つ、永く生きているモノが変化を出来る場合が多い」
('A`)「ほォ……」
(;^ω^) ???
.
103
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:26:03 ID:tYafdmO20
ヒソヒソ
(;^ω^)「ドクオ、ドクオ」
('A`)「あ? どーした?」
ヒソヒソ
(;^ω^)「何の話ししてるんだお??? 三月さんの姿が生まれ変わりかどうか何て、普通聞かないお?」
('A`)「普通じゃあねぇからなァ」
(;^ω^)「お???」
(メ._O )「我は、人の姿をした“為らざるモノ”だ」
(;;;;^ω^)「お!!? き、聞こえ……為らざ……えっ? ……えっ!!?」
(;'A`)「落ち着け」
(メ._O )「主の言うた通り、内藤は“気配”に疎いのだな」
(;´ω`)「お……お……? 為らざるモノ……?」
('A`)「昔っからでさァ」
(メ._O )「死に神としては、致命的な欠点であろう」
(;´ω`)「為らざるモノが、死に神の居候……???」
(*'A`)「昨晩も鴨志田さんに助けてもらったみてぇで……羨ましいなァ!」
(;´ω`) ???
.
104
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:26:52 ID:tYafdmO20
(メ._O )「内藤、落ち着いたか?」
(;´ω`)「お……全くですお……」
('A`)「なぁに混乱してんだよ」
(;´ω`)「逆に何でドクオはそんなに冷静なんだお??? 死に神の居候が為らざるモノなのに……」
('A`)「あー……言われりゃあ確かに、不思議だなァ……」
(メ._O )「我は主に“憧れ”を持った。只、其れだけだ」
(*'A`)「流石、閻魔!」
('A`)「っついてーけど、あの性格じゃあなァ……」
(メ._O )「解らんで結構」
(;^ω^)「鴨志田さんは、それを許したんですかお?」
(メ._O )「無論」
(;´ω`)「ほぇー……。じゃあ、耳が良いのは何でですかお?」
(メ._O )「聴覚が特別に発達した個体故だ。もしも、御前達に危険が迫ったり、人手が必要となった場合、大声を出せ。その声を辿って、助けに行こう」
(*^ω^) !
(*'A`)「い、いいんで?」
(メ._O )「主は内藤を大変気に入っている様子。故に、御前達は助けてしんぜよう」
(*^ω^)「おっおっ! 嬉しいですお! 有り難う御座いますお!」
(*'A`)「頼もしいぜ……!」
(メ._O )「喜んで頂ければ何よりだ」
.
105
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:27:40 ID:tYafdmO20
( ´ω`)「でも、三月さんが為らざるモノなんて……半信半疑ですお……」
(メ._O )「今は人の姿であるが故だろう」
('A`)「俺ァ、気配で分かっぜ?」
(;´ω`)「おぉん……」
(`∠´)「談話中に悪いが、昼餉の用意が出来たぞ。膳を運ぶ故、場所を空けてくれ」
('A`)「へい」
(*^ω^)「お手伝い致しますお」
(`∠´)「有り難い」
('A`)「あー……なぁんで俺ァ、気に入って貰えないんだろォなぁ……」
(メ._O )「知らん」
(;'A`)「即答かよ……」
('A`)「あぁ、そう言やァ……」
(メ._O )「む?」
('A`)「何でェ、鴨志田さんのお世話をベルさんに頼むんで?」
(メ._O )「主の兄上に頼んで、何か可笑しいか?」
(;'A`)「……へ? 兄上ェ? ……兄貴分の間違ぇじゃァ……」
(メ._O )「何だ、知らんのか。ベル殿は主の“実の兄”ぞ」
(;'A`)「ヴェッ!!?」
.
106
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:28:44 ID:tYafdmO20
( ^ω^)「お? 誰のお兄さんの話しかお?」
(メ._O )「主の兄だ」
(`∠´;)「ん? 何だ?」
(;'A`)「ほ、本当に、ベルさんが鴨志田さんの兄(あん)ちゃん何スか!!?」
(;^ω^) !!?
(`∠´)「そうだ」
(;'A`)「し、信じらんねェ……」
(`∠´;)「どういう意味だ」
( ^ω^)「お? でも、ベルさんと鴨志田さんの姓は違いますおね?」
(`∠´;)「まぁ、……色々とな……」
(メ._O*)「おぉ! 出汁巻き!!! 食おう!!! 早よ食おう!!!」
(*^ω^)「おっおっ! 僕も早く食べたいですお!」
(`∠´)「では、食べようか。頂きます」
('A`)「頂きます」
(*^ω^)「頂きますお」
(メ._O*)「頂きます」
゙(メ._O(*) モグモグ
(*)´ω`)”「ベルさんの出汁巻きは、いつ食べても絶品ですお……」
(`∠´*)「そうかそうか。お代わりもたんと有るからな。遠慮せずに食べるといい」
(*'∀`)「へい!」
(メ._O*)「出汁巻きお代わり!」
(`∠´;)「早っ!!?」
.
107
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:29:35 ID:tYafdmO20
"(メ._O(*) モグモグ ←ベルの分を貰った。
(`∠´)「それはそうと、三月」
"(メ._O( )「む?」
(`∠´)「竹筒を三本もぶら下げて、一体、何処へ行くんだ?」
(メ._O )「仲間と月見をする為、山へ行く」
('A`)「そう言やァ、今宵は十三夜だったなァ」
(*^ω^)「ドクオ! 僕たちも山に月見に行こうお!」
(*'A`)「おう! ベルさんも如何でさァ!?」
(`∠´;)「すまんな。私はフィレンクトの元へ行く」
(;*'A`)「あ……そォですよね……」
(*^ω^)「三月さんは、何処の山に行くんですかお?」
(メ._O )「月山だ」
(;^ω^)「つ、月山ですかお……?」
(メ._O )「あぁ。我の故郷であり、仲間もまた、其処で暮らしておる為だ」
(;^ω^)「でも、月山は遠方にありますお。もう行かねば、間に合わないかと思われますお」
(メ._O )「心配無用。本来の姿で行けば、四半刻で着く」
(;*'A`)「四半刻!!? そりゃあ、すげぇなァ……」
(*^ω^)「三月さんの為らざるモノの姿、是非とも拝見致したいですお」
(メ._O )「機会があればな」
(*^ω^)「はいですお!」
.
108
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:30:28 ID:tYafdmO20
('A`)「んで、オレたちゃあ何処で見んだ?」
( ^ω^)「“備津府峠”が無難だと思うお!」
('A`)「そーだな。んじゃァ……」
(`∠´)「なぁ、三月」
(メ._O )「む?」
(`∠´)「フィレンクトは医者に掛かったか?」
(メ._O )「否」
(`∠´;)「そうか……彼奴め……」
(メ._O )「馳走になった」
(`∠´)「御粗末様」
(メ._O )「膳は、御勝手へ持って行けば良いのか?」
(`∠´)「置いておけ。私が皆、片(かた)す」
(メ._O )「承知した。では」
(`∠´)「もう行くのか?」
(メ._O )「うむ」
( ^ω^)「お? 三月さん、お帰りですかお?」
(メ._O )「否。団子を購った後、月山へと行く」
('A`)「四半刻で着くのに、もう行くんですかい?」
(メ._O )「時が許す限り、我はこの足で歩んで行く所存」
(*'A`)「へぇ……そいつァ良い心掛けでさァ」
(`∠´)「そうだな。為らざるモノの時とはまた、景色も違って見えよう」
(メ._O*)「うむ」
.
109
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:31:25 ID:tYafdmO20
(*^ω^)「三月さん、お団子を買いに行くんですかお?」
(メ._O )「あぁ」
(*^ω^)「でしたら、共に参りましょうお! 美味しい団子を作る茶屋があるんですお」
(メ._O )「ほう。興味が有るな」
(*^ω^)「ドクオも行くかお?」
('A`)「オレァまだ飯食ってらァ。二人で行って来いよ」
(*^ω^)「分かったお」
(`∠´)「序でに、三人分持って来てくれないか? 金は後に渡す故」
(*^ω^)「お勘定は結構ですお! それでは、行って参りますお」
(`∠´)「行ってらっしゃい」
('A`)「てらー」
(メ._O )「ベル殿、馳走になったな。また何(いず)れ、邪魔をさせて頂こう」
(`∠´)「あぁ。何時でも来るといい」
(メ._O )「感謝する。では」
(`∠´)「行ってらっしゃい」
('A`)「行ってらっしゃいまし」
(メ._O*)「……行って来ます」
.
110
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:32:17 ID:tYafdmO20
――――町中
(メ._O )「して、その茶屋は何処にあるのだ?」
(*^ω^)「大通りから道を一本入った所にありますお」
(メ._O )「その様な場所に、客が来るのか?」
(*^ω^)「おっおっ! 来なくてもいいんですお」
(メ._O )「来ずとも良いのか? 茶屋であろうに」
(*^ω^)「着いたらお話し致しますお。ささ、此方ですお」
米屋と呉服屋の間の道を行き、見えて来たのは棟割(むねわ)り長屋。そこから視線を右へ右へと移し、ようやっと、一軒茶屋が視界に入る。
(メ._O )「随分と人通り寂しい所だな。これでは、長屋の者しか訪れんだろうに」
(*^ω^)「はいですお! 皆さん、御贔屓にしてくださいますお」
(メ._O ) ?
先に這わせた視線の上を歩いて行けば、寸の間の内に茶屋へと着いた。
.
111
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:33:23 ID:tYafdmO20
(メ._O )「……【内藤茶屋】」
(*^ω^)「ツーン! 只今帰ったおー!」
(メ._O )「内藤、御前の店か」
(*^ω^)「切り盛りしているのは……」
ξ*゚⊿゚)ξ「お帰りなさいまし、ブーン。……あら?」
と(*^ω^)「紹介致しますお。此方、僕の妻であり、内藤茶屋を切り盛りする『ツン』ですお」
ξ*゚⊿゚)ξ「お初にお目にかかります。ホライゾンの妻のツンに御座います」
ξ*-⊿-)ξ" ペコ
(メ._O )「我は三月ウサギ。今日(こんにち)は、内藤に連れられ団子を購いに参った次第」
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーンったら……」
(*^ω^)「おっおっ! 三月さん、どうぞ腰掛けて下さいお」
(メ._O )「うむ」
店先の床几(しょうぎ)にウサギが腰掛けると、内藤も隣へ腰掛けた。
(*^ω^)「とりあえず、団子が食べたいお! みたらし団子を二人前だお!」
ξ*゚⊿゚)ξ「はいはい。少々お待ちくださいまし。今、お茶をお持ち致しますね」
(メ._O )「うむ」
(メ._O )「結構な娘御だな。何故、内藤を夫に選んだのかが不思議な程だ」
(;^ω^)「よく言われますお」
(メ._O )「して、客が来ずとも良い理由とは、何か?」
( ^ω^)「僕が死に神として稼いでいるので、茶屋が儲からずとも生計が成り立つんですお」
(メ._O )「成る程な」
.
112
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:34:29 ID:tYafdmO20
ξ*゚⊿゚)ξ「お待たせ致しました」
(メ._O )「忝(かたじけ)ない」
受け取ったお茶を口元へ運び、ふぅ、ふぅ、と息を吹き掛け、それから一口。
(メ._― ) ズズッ…
. O旦と
(メ._― )
ε‐(メ._― )
(メ._O )「して、内藤よ」
( ^ω^)「はいですお」
(メ._O )「茶屋をせずとも生計が立つのならば、店を開く必要は無かったのではないか?」
(*^ω^)「いいえですお。どうしても、開きたかったんですお」
(メ._O )「何故?」
(*^ω^)「茶屋で働くことが、ツンの夢だったからですお」
(メ._O )「ほう。それでか」
(*^ω^)「はいですお。お陰様で、ツンを含め、三人の夢が叶いましたお」
(メ._O )「後の二人は?」
.
113
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:35:27 ID:tYafdmO20
ξ*゚⊿゚)ξ「お待たせ致しました。みたらし団子に御座います」
(メ._O ) !!!
二本の串に三つずつ刺された、その団子。
餅のような生地を蒸し、表面が軽く乾く程度に炙ったその白を、鼈甲(べっこう)色をした半透明の蜜がたあんと覆っていた。甘い醤油の香りがふんわりと鼻腔を擽(くすぐ)れば、その芳(かんば)しさに思わず喉が鳴る。
(メ._O*;)「い、頂く!」
(*^ω^)「どうぞですお」
聞くが先か、否かの早さ。垂れる蜜をそのままに、団子一つを頬張った。
噛めば、焼き上がったばかりの餅のような柔い食感に、蜜のあまじょっぱさがとろりとろうり溶け混じっていく。
それを充分に堪能した後は、団子をゴクリと飲み下し、唇の蜜を舐めとった。
(*^ω^)「お味の程は、如何ですかお?」
(メ._O*)「申し分ない。全く以(もっ)て美味いぞ」
言うや、残りの団子にかぶりつく。
その様を嬉しそうに見ながら、内藤も食べ始めた。
.
114
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:36:10 ID:tYafdmO20
二本目もペロリと平らげたウサギは、満足げに茶を啜っていた。
ε‐(メ._―*)
(*^ω^)「おっおっ! お粗末様でしたお」
(メ._O*)「否。真(まこと)に美味かったぞ」
(*^ω^)「有り難う御座いますお! お二人に聞かせたら、さぞかし喜びましょうお」
(メ._O )「二人とは、先の話しと同じ者か?」
(*^ω^)「はいですお! お二人とも、菓子職人になるのが夢だったんですお」
(メ._O )「然し、だからとてこの様な客足も疎らな茶屋に奉公せずとも、良かったのではないか?」
(;^ω^)「疎らだからですお。お二人とも、人の多い場所には奉公出来ないんですお」
(メ._O )「ほう。ならば、此処が丁度良いな」
( ^ω^)「はいですお!」
(メ._O )「して、付かぬ事を聞くが……」
( ^ω^)「お?」
(メ._O )「もう一人前、食しても構わぬか?」
(*^ω^)「勿論ですお! 一人前でも二人前でも、構わず食べてくださいお!」
(メ._O*)「うむ」
(^ω^*)「ツーン! みたらし団子と餡団子、一人前ずつだおー!」
/
はーい!
\
.
115
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:38:00 ID:tYafdmO20
(*^ω^)「三月さん、三月さん」
(メ._O )「む?」
(*^ω^)「三月さんは、鴨志田さんと戦った事は有りますかお?」
(メ._O )「あぁ、一度だけな」
(*^ω^)「おっ! どちらが勝ったんですかお?」
(メ._O )「主だ。然しながら主自身は『引き分け』だと仰(おっしゃ)られる」
( ^ω^)「お? 何故ですかお?」
(メ._O )「為らざるモノを狩れなかった故であろう」
(;^ω^)「……どうして、鴨志田さんは、……その……」
(メ._O )「『何故、我に止(とど)めを刺さなかったか』、か?」
(;´ω`)「お……す、すみませんお……」
(メ._O )「気にするな。……あの時は、我は右目を裂かれ悶絶し、主もまた、左腕を飛ばされ、どちらも止めどころではなかったのだ」
(;^ω^)「お……」
( ^ω^)「お? それでも、三月さんの負けなんですかお?」
(メ._O )「あぁ。我の右目と主の左腕、失ったのはほぼ同時。然しながら主は、一時ばかりその痛みを堪え、我に蹴りを見舞ったのだ」
(*^ω^)「おお! 凄いですお!」
(メ._O*)「真にな。その時ばかりは我も痛みを忘れ、只々、感心してしまったものよ」
(*^ω^)「それで、鴨志田さんの下に?」
(メ._O*)「そうだ。我も、主の様に強くなりたくてな」
(*^ω^)「おっおっ!」
.
116
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:39:01 ID:tYafdmO20
ξ*゚⊿゚)ξ「失礼致します。お茶のお代わりは如何で御座いましょうか?」
(メ._O )「頂こう」
(*^ω^)「僕にも頂戴お!」
ξ*^⊿^)ξ「かしこまりました」
(メ._O )「そう言えば、内藤の妻よ」
ξ*゚⊿゚)ξ「ツンに御座います」
(メ._O )「他人様の女房を呼び捨てにするのは気が引ける。して、其方(そなた)は菓子を作らぬのか?」
ξ;*゚⊿゚)ξ「わ、私は菓子の作り方を存じませんので、作ることが出来ません」
(メ._O )「作れぬのに、茶屋で働くことが夢であったのか?」
ξ*゚⊿゚)ξ「はい」
(*^ω^)「ツンは、所謂『お嬢様』ですお。なので、奉公すること自体が、ツンにとっての夢だったんですお」
(メ._O )「ほう。内藤の家柄は?」
(;^ω^)「所得の高くない武家ですお」
(メ._O )「そうか。よう結納が出来たな」
(*^ω^)「幼馴染みで好き同士だったからですお!」
ξ;*>⊿<)ξ「べ、別に好きじゃないわよ! バカ!!!」
(*^ω^)「おっおっおっ!」
(メ._O*)「仲睦まじくて何よりだな」
(*^ω^)>"「おっおっ。照れますお」
.
117
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:39:46 ID:tYafdmO20
/
ツンさーん!
\
ξ;*゚⊿゚)ξ「あ。はーい!」
ξ*゚⊿゚)ξ「お団子が出来たようなので、今、お持ち致しますね」
(メ._O*)「うむ」
(*^ω^)「おっおっおっ!」
(メ._O )「内藤」
( ^ω^)「お?」
(メ._O )「下心は有ったろうが、此処へ連れて来られた事、感謝しておるぞ」
(;*^ω^)>"「お、お恥ずかしい限りですお……」
(メ._O )「これだけ美味い団子ならば、主もきっと喜ぶであろう」
( ^ω^)「お?」
(メ._O )「次は、主と共に来る」
(*^ω^)「おっ!」
.
118
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:41:48 ID:tYafdmO20
ξ*゚⊿゚)ξ「お待たせ致しました。此方、餡団子に御座います」
(*^ω^)「ありがとうお!」
ξ*゚⊿゚)ξ「三月様は此方、みたらし団子と、餡団子と胡桃団子に御座います」
(メ._O )「む?」
(*^ω^)「試食だと思って食べてみてくださいお! 美味しいですお」
、_
(メ._O )「……胡桃は好まぬのだが……」
、_
(メ._O )
、_
(メ._O ) パクッ
、_
゙(メ._O( ) モグモグ…
(メ._O(*) !
゙(メ._O(*)「美味し美味し」
(*^ω^)「勿論ですお!」
ξ*^⊿^)ξ
.
119
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:42:47 ID:tYafdmO20
――――暮れ七つ半
(メ._O )
羅雲地(らうんじ)峠の天辺の、一番高い杉の上。
足場も不安定な其処に草履で悠々と立つウサギは、髪を着流しを靡かせながら、暮れ泥(なず)む備津府の町を見下ろしていた。
その手には、三つの包み。腰ではカラカラと竹筒が遊んでいる。
.
120
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:43:42 ID:tYafdmO20
夕日が舞台を終え、黒い幕が下りてきた。どうやら次の演目は、夜空を舞台にした星々の舞いらしい。
満月を背にしたウサギの、その影。
( ⊿ )
為らざるモノへと姿を変えただろう彼は、人の面影を残してはいなかった。
羅雲地峠の天辺の、一番高い杉の木は、満月を背景に、ザワリザワリと揺れている。
立つ鳥は跡を濁さぬが、立つ兎はどうやら、杉の木を揺らして行ったようだ。
.
121
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:44:30 ID:tYafdmO20
三つある月山は、西が壱ノ山、南が弐ノ山、北が参ノ山と呼ばれている。
その内の、弐ノ山にて。
Σz ´ー )リ「むぅぅ……」
爪'ー`)「そう拗ねなくても、時期に来るよ」
Σz ´ー )リ「むぅぅん……」
地べたに寝転がるスニフィの隣には、天色の着流しを纏った男。風に靡く髪は空色で、蒲公英色(たんぽぽいろ)の目は満月に向けられている。
爪'ー`)「スニフィ、観てごらん? お月様が真ん丸だよ」
Σz ´ー )リ「ん〜〜〜……」
爪'ー`)「ほら、……来たよ」
Σz*゚ー )リ !
スニフィは飛び起き、振り返った。
背後の森は闇。その中に浮かぶ、
( ⊿ )
漆黒の影と、深紅の瞳。
.
122
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:45:29 ID:tYafdmO20
Σz*゚ー )リ「お兄さま!」
爪'ー`)「遅かったね。まあまあ待ったよ」
( ⊿ )「そうか」
( ― )
( O )
(メ._O )「済まなんだな」
爪'ー`)" スンスン
爪*'ー`)「良い匂いだね」
Σz*゚ー )リ「よーかんですか?」
(メ._O )「団子だ。羊羹に負けず劣らずの甘(うま)さだぞ」
Σz*゚ー )リ「だんご!」
スニフィの隣に腰を下ろし、包みを一つずつ開いていく。月明かりに照らされて、みたらしが、餡が、胡桃が、輝いた。
Σz*゚ー )リ「だんご!!! だんごがいっぱいですよ、お兄さま!」
(メ._O )「十ずつ購って来た故、好きなだけ食え」
Σz*^ー )リ「だんごー!」
.
123
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:46:17 ID:tYafdmO20
Σz*´〜, )リ" モッチャモッチャ
爪*'ー`)「うーん、美味いねぇ。僕はみたらしが好きだよ」
(メ._O )「伝えておこう。……スニフィは如何か?」
Σz*゚〜, )リ"「ひはらひー!」
(メ._O;)「口に蜜が付いておるぞ?」
Σz ゚ー, )リ !
Σz*>Q )リ ペロッ
Σz*´〜 )リ"「んまんま!」
爪'ー`)「ウサギは食べないの?」
(メ._O )「我は何時でも食える故、お前等で食うてしまえ」
爪'ー`)「折角の月見なんだから、共に食らえばいいのに」
(メ._O )「お前等の為に購って参ったのだぞ」
Σz*゚ー )っ「お兄さま、コレは?」
(メ._O )「餡団子だ」
Σz*^ー )リ「あんだんご! あんだんごも好きです!」
(メ._O*)「そうか」
爪'ー`)「美味しいモノ食べられて、良かったね」
Σz*^ー )リ「はい!」
.
124
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:47:15 ID:tYafdmO20
Σz ゚ー )リ「お兄さまは、食べないのですか?」
(メ._O )「我はたんと食うて参った故、要らぬ」
Σz´>〜 )リ「むー……」
(メ._O )「如何した?」
Σz´゚ー )リ「お兄さまと一緒に食べたかったです……」
(メ._O )「そうか。ならば、腹が空いたら食おう」
Σz*゚ー )リ !
(メ._O )「茶も飲めよ」
Σz*^ー )リ「はい!」
爪'ー`)「本当に、スニフィの機嫌はウサギ次第だねぇ」
(メ._O )「その様な事は無いだろう」
Σz*`ー )リ「お兄さまが言うから、ありません!」
爪'ー`)「はいはい。それより、吹かしたいんだけど良いかな?」
(メ._O )「我は構わぬぞ」
Σz*`ー )リ「スニフィもかぬまうです!」
爪'ー`)「かまわぬ、ね」
y-
Σz*>ー )リ「かわまぬ!」
ボッ
爪'ー`)y-从「惜しいなぁ……」
. σ(( ))
Σz*>ー )リ「かまわぬ!」
爪*'ー`)y-・~「おっ! 言えた言えた!」
Σz*`ー )リ「かまわぬ! かまわぬ!」
.
125
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:48:09 ID:tYafdmO20
大きな満月に、小さな星々。遮る雲一つ無い、一等綺麗な夜空。
爪´ー`)y-・~ フーッ…
Σz*´〜 )リ" モッチャモッチャ
(メ._O )
爪'ー`)y-・~
Σz*´ー )リ" ゴクゴク
っ目o
(メ._O )
爪- -)y-・~ スーッ…
Σz*´〜 )リ" モッチャモッチャ
.
126
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:49:00 ID:tYafdmO20
(メ._O )「スニフィ、ゆっくり食えよ」
Σz*´〜 )リ"「ふぁ〜い」
爪´ー`)y-・~ フーッ…
爪'ー`)y-・~「……ウサギ」
(メ._O )「む?」
爪'ー`)y-・~「人には成れそうかい?」
(メ._O )「未だ三年ぽっち故、正直分からぬ」
爪'ー`)y-・~「そっか。……彼は何か言ってたかい?」
(メ._O )「否。主は是とも非とも仰らん」
爪'ー`)y-・~「そう……」
爪- -)y-・~ スーッ…
Σz ゚ー )リ「お兄さま」
(メ._O )「む?」
Σz ゚ー )リ「為らざるモノは、本当に人になれるのですか?」
(メ._O )「知らん。然し、『為らざるモノ』と言うのは、元々『人に成れなかったモノ』と言う意味が『人とは別な生き物』に転じた呼び方だと聞いた。つまり、我々は『人の成り損ない』。故に、成れるやもしれん」
Σz*>ー )リ「人の成り損ないだから、人の姿に変化出来るんですね!」
(メ._O ) !
(メ._O )「……そうやもしれん」
.
127
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:49:51 ID:tYafdmO20
爪´ー`)y-・~ フーッ…
(メ._O )「……フォックス」
爪'ー`)y-・~「ん?」
(メ._O )「……主は、我が人に成ろうとしてる事、何と思われているだろうか?」
爪'ー`)y-・~「珍しいね。不安なのかい?」
(メ._O )「……多少」
爪'ー`)y-・~「僕はね、応援してくれていると思うよ」
(メ._O )「何故、そう思う」
爪'ー`)y-・~「彼が君を『トモ』にするって言ったからさ」
、_
(メ._O )「……解らん」
爪'ー`)y-・~「まぁ、彼のあの性格じゃあ面と向かっては言わないと思うけどね。僕は応援していると思うよ」
(メ._O )「……そうか。……御前自身は何と思う」
爪'ー`)y-・~「何とも思っていないさ。ただ、君の願いが叶えば、それで良い」
Σz*`ー )リ「スニフィも応援してます!」
(メ._O )
(メ._―*)「有り難う」
.
128
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/18(金) 19:50:33 ID:tYafdmO20
伏せた瞼と顔を上げ、
我らを照らす月を見る
三つの月山を束ねし兎
閻魔の強ささ憧れて、
人と成る為、友となる
.
129
:
名も無きAAのようです
:2015/09/18(金) 19:59:16 ID:gronKtVQ0
日常パートもいいなー乙
130
:
名も無きAAのようです
:2015/09/19(土) 01:36:59 ID:lh8gNZqoO
乙乙
こう言う雰囲気好きだわ
131
:
名も無きAAのようです
:2015/09/19(土) 09:23:14 ID:iDJTfaIg0
おつ
132
:
名も無きAAのようです
:2015/09/24(木) 00:13:36 ID:zABlTajA0
スニフィかわいいよスニフィ
http://i.imgur.com/hDBApzB.jpg
133
:
◆vvt8MHIS22
:2015/09/27(日) 16:52:39 ID:N/VDi9Gs0
コメント並びに支援絵、ありがとうございます。
数日経てば、支援絵へのお礼の言葉がより良くなるかと思いましたが、碌な言葉が浮かびません。素っ気ない言葉になってしまいますが、とても嬉しく思っています。ありがとうございました。
コメントも、乙と言う一言があるだけでとても嬉しいです。ありがとうございました。
訂正
>>87
、_
(L_‐ )「興味無ぇって言ってんだろォ。早よ帰りィ」
↓
、_
(L_‐ )「興味無ぇって言ってんだろォ。早よォ岡っ引きの仕事さ戻りィ」
134
:
◆vvt8MHIS22
:2015/12/08(火) 22:10:39 ID:gmXAHeGI0
生きてます。
参話は3分の1ほどしか書けていませんので、今年中の投下は厳しいです。
(`∠´)
http://imgur.com/HB6xhQR.jpg
(‘_L’)
http://imgur.com/5qUaOYV.jpg
※上記作者絵に就きまとめ不要。
135
:
名も無きAAのようです
:2015/12/08(火) 22:22:24 ID:VMoTPnFM0
待ってると書き込もうとしたら生存報告来てた待ってる
136
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 00:19:55 ID:9NmCX4Gc0
おー! 生きてた!
よかった〜気長に待ってるぜー
キャラの立ってるイラストでいいな
137
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:43:50 ID:fpP45/Ik0
訂正
>>9
(#・3・)「ふざけてんのはお前だYO!」
↓
(#・3・)「ふざけてんのはお前だヨ!」
>>10
(#・3・)「親父さんに謝れYO!」
↓
(#・3・)「親父さんに謝れヨ!」
138
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:44:43 ID:fpP45/Ik0
長さ
一丈(いちじょう)=約3m
一尺(いっしゃく)=約30cm
距離
一間(いっけん)=約1.8m
金銭
一文=約25円
一両=約16万円
切り餅=二十五両
時間
明け六つ半=7時頃
暮れ七つ=16時頃
暮れ七つ半=17時頃
暮れ六つ=18時頃
亥の刻=22時頃
四半刻(しはんとき)=約30分
半刻=約1時間
一刻=約2時間
その他
お茶は茶色いものが主流とお思いください。
匕首(あいくち)=鍔の無い短刀
色
京緋、紺、紅桔梗、若竹、碧瑠璃
http://imgur.com/T4eKsOW.jpg
.
139
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:45:29 ID:fpP45/Ik0
チィリンチリチリ鈴鳴けば
チィリンチリィンと鈴鳴けば
――― 参 ―――
その鈴、証につき
.
140
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:46:15 ID:fpP45/Ik0
暗い森。照らす月光、柔らかく。
―――ガッ
―――ガィイイイイイン
火花散り散り寸の光(こう)。付いて離れる影、二つ。
一つは長い鋭爪光らせて、命ば絶たんと振り回す。
一つは長い布端靡かせて、交わし跳んでは枝に立つ。
追うは為らざるモノなりて、死に神食わんと牙を剥く。
剥かれた牙に苦無(くない)をば、撃ち込みゃせんと振り放つ。防ぐ鱗は弥(いや)硬く、鉄なぞ効かぬと言いたれば、その牙死に神貫いた。
.
141
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:47:00 ID:fpP45/Ik0
バシャリと散る散る飛沫が光る。
その身に月をば透かしたり。
「ゴブォオァボァッッッ!!!!!???!!!???」
顔を覆いし水の塊(かい)。溺るるモノは空より落ちて、もがきもがいて地を泳ぐ。
.
142
:
名も無きAAのようです
:2016/01/17(日) 19:47:21 ID:qpgfEx6c0
支援
143
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:47:47 ID:fpP45/Ik0
)「あーあーつまりませんつまりません」
幹に寄り掛かる影は、活きの良い魚を見下していた。
)「呼吸を妨げれば、皆々あっという間に絶えてしまいます。けれど、僕は満ち足りていません。……如何致せば宜しいとお思いですか?」
投げた言葉の先には、幹に寄り掛かり座する男。月が照らすその姿は、よく知った者だった。
(∠‐ )「鱗でも剥げば良かろう」
* )「いいですねぇ〜! では、鱗を剥いだその皮に、苦無でも打ち込んでみましょうかぁ。楽しそうです〜〜〜」
木陰から出て行けば、月明かりが姿を照らし出す。
闇夜に映える、京緋色の着物と紺の袴。鼻から肩に纏うは紅桔梗色の布。白い髪は癖っ毛が多く、左の横髪は緩くうねり、右は三日月の様に跳ね、飾りが付いていた。
これから始める佚楽(いつらく)に、左は若竹、右は碧瑠璃(へきるり)の眼がぎらぎらと光っている。
.
144
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:48:37 ID:fpP45/Ik0
(∠‐ )「私は暫し眠る故、気が済み次第起こしてくれ」
£*- ゞ- )「承知致しました」
必死に呼吸を行う為らざるモノは、ぷかりと地に浮かんでいる。然し、その眼だけは生気に溢れ、自らを見下す死に神を射殺さんばかりに睨んでいた。
顎を蹴るように押し上げ強制閉口。牙が肉を裂いたか、端から血が垂れる。
£ ゞ°)「畜生風情が」
ヴゥッ……、と漏れた呻き声。見れば、関節と言う関節に水の苦無が刺さっていた。それなのに血が多く出ないのは、その苦無の中を、まるで管を通るかの様にして巡っているからだろうか。
新たに取り出した苦無が、瞼に深い一文字を描く。
「ヴゥゥゥウウウウウ!!!!!」
£ ゞ )「其の様に癪な目玉は……」
伸ばされた手が瞼を摘まみ、引きちぎった。
喉の奥で震える叫び。それすら許さないのか、片手で首を締める。
£ ゞ^ )「ぽい、しましょうね?」
再び伸ばされた手が、血に濡れた眼を――――捕まえた。
.
145
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:49:17 ID:fpP45/Ik0
――――翌朝。
明け六つ半と早い刻にも拘わらず、鴨志田家は騒がしかった。
その原因は、押し入れに頭を突っ込んだフィレンクトである。『無ぇな無ぇな』『此処にも有りゃしねェ』と時々呟いては、中の物を引きずり出してひっくり返し、家の隅から隅まで散らかしていた。
(メ._O;)「主、またか?」
(#‘_L’)「オメェにゃ関係無ぇんだすっ込んでろ!!!」
、_
(メ._O;)
此の押し入れもまた空になり、代わりに部屋は、足場も無い程に物が散乱している。
そんなことに構いもせず、フィレンクトは奥へ駆けた。
、_
(メ._O;)
∞
.
146
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:50:01 ID:fpP45/Ik0
――――死に神の巣窟、奥座敷
(`∠´)「それで、私の所に来たと」
(メ._O;)「うむ。ああも突発的に家を荒らされれば、頻度は多くなけれど、片付けに苦労致す故」
(`∠´)「……思い出した様に血眼になって探すモノ、か……」
(メ._O )「して、心当たりは?」
(`∠´)「あぁ……無くもないが、確信が持てん」
(メ._O )「かまわ……ん?」
(`∠´)「どうした?」
(._O )「外が騒がしくなった……随分と剣呑な様子だ」
(`∠´)「席を外す。暫し待っていてくれ」
(メ._― )「承知した」
ベルは立ち上がり、襖を開けた。
.
147
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:50:58 ID:fpP45/Ik0
「お前はまた金か!!! いい加減に死に神として働け!!!」
「我が輩にその様な刻(とき)は無い! つべこべ言わずに金を出せ!!!」
雪崩れ込む様に響いてくる怒鳴り声。
途端、駆け出した。
突き当たりの障子をぶつかる勢いで掴み、開け放つ。
と(`∠´;)「親父さん!」
その声と音に驚いたのか、壁際に居る若造共の肩が大きく跳ねた。
同時に、歪み合っていた二人も彼を見やる。
(# ゚¥゚)「ベルか」
(`∠´;)「……やっと戻られましたか、」
(#ФωФ)
(`∠´;)「杉浦さん」
.
148
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:51:47 ID:fpP45/Ik0
(#ФωФ)「引っ込んでいろ、ベル。我が輩はお前なぞに用は無いのである」
(`∠´;)「……事情次第では、わた (# ゚¥゚)「ベル!」
(`∠´;)
( ФωФ)
( ФωФ)「人を雇う為の金である」
(`∠´)「人? 差し支え無ければ、私めをお使いくださいませ」
(# ゚¥゚)「何でお前がこんな奴に対して遜(へりくだ)るんだ!」
(‐∠‐)「私にとっては、師範であります故」
(;# ゚¥゚)
.
149
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:52:37 ID:fpP45/Ik0
( ФωФ)「……ベル」
(`∠´)「はい」
( ФωФ)「『千両』と『弟』。“失っても構わない方”を差し出すのである」
'( ∠ ) ピクッ
( ФωФ)「言うたであろう。『我が輩はお前なぞに用は無いのである』と」
( ∠ )
( ∠ ゚#) ギンッ
一瞬で杉浦との間合いを詰めたベルは柄に手を掛け抜刀、居合いを仕掛けた。
( ФωФ) !
―――ガキィィイイイイン
( ∠ ゚#)「貴様……!」
£;- ゞ°)
何時、何処から現れたのだろうか。匕首で受け止めているのは、昨夜の男だった。
.
150
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:53:21 ID:fpP45/Ik0
ギチギチ、ギチギチ。刃が軋む。
£;- ゞ°)「べ、ベルさ……」
( ∠ ゚#)「邪魔立てをするのならば貴様とて」
ドッ、とくぐもった音と同時に乙鳥の身体が弓形を描いて右に飛ぶ。釣られた刀に勢いを乗せ、一歩と同時に振るった。が、斬撃は、大きく後ろへ跳ばれた為、袴をかすっただけで終わる。
前のめりになった姿勢から足に力を込め疾走。迫った。
( ∠ ゚#)
( ФωФ)「……フンッ」
微動だにしない敵へと切っ先を振り―――払わなかった。
.
151
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:54:06 ID:fpP45/Ik0
見れば、その姿が僅かに白んでいる。
(# )「貴様も俺の邪魔をするのか……?」
( ゚# )「内藤!!!」
Σ(;^ω^)つ ビクッ
( ゚¥゚)「俺が命じたんだ」
( ゚∠ ゚#;)「お、親父さん!!! 何故です!!? だ、だって、此奴は……!!!」
( ゚¥゚)「落ち着け、ベル」
(`∠´#;)「……っ!」
(`∠´#;)
(‐∠‐;)「……はい」
.
152
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:54:49 ID:fpP45/Ik0
( ФωФ)「随分と気が立っておるな。何か、癪に障る事でも言うたか?」
(`∠´#)
(# ゚¥゚)「黙れ! 失っても構わない方、だと? ふざけるな!!! 俺の息子に傷の一つでも付けてみやがれ! 絶対にお前を許しはしない!!!」
( ФωФ)「“俺の息子”? フンッ、笑わすで無い。よぉそんな奴等を息子などと呼びおるわ」
(# ゚¥゚)「お前の意見なぞ聞いておらんっ!!!」
(`∠´#)「何故、弟なんだ!!!」
(#ФωФ)「人が必要だと言うておろう!!! 現時点で適任なのは奴しか居らんのである! 故に、人を雇う為の“金”か、雇われる為の“人”を持ち、今日(こんにち)暮れ六つ、両国橋傍の『小料理屋 都村』に来い! ……忘るるば弟を攫う故、肝に銘ずるのである」
凄むように言い放ち、そして、去って行った。
( ∠ #)
( ∠ #) ギリィ…
.
153
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:55:38 ID:fpP45/Ik0
(;・3・)「ロミス、大事ないかヨ?」
£;- ゞ- )「え、えぇ……」
ヽiリ,,;´ヮ`ノi「ロマさん、どうしちゃったんでしょうね……」
(; -¥-)「うぅむ……残念だが、俺には答えられん。ロマネスクが変わってしまった原因も、人を雇っている所以も、大量の金銭の使い道も、分からん故」
(; ´`)、
( ∠ )
(;^ω^)「お、あの……ベルさん?」
Σ(`∠´;)
声に反応しただろうベルは、崩れるように伏した。
(‐∠‐;)「お頼み申し上げる!」
(; ゚ω゚ )そ !!?
(; ゚¥゚)「ベル……?」
(‐∠‐;)「我が弟の為、どうか私めに幾ばくかの金銭をお貸し頂きたく、願えば」
(; ゚¥゚)「分かった。よう分かったからに、頭を上げないか」
.
154
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:56:20 ID:fpP45/Ik0
(‐∠‐;)「……申し訳、御座いません……」
( ゚¥゚)「聞こえなんだか? 俺は『頭を上げろ』と言ったんだ」
(‐∠‐;)
(`∠´;)
( ゚¥゚)「幾ら必要か?」
(`∠´;)「……っ」
(`∠´;)
(‐∠‐;)
( ゚¥゚)「ベル」
(`∠´;)
(`∠´;)「さ、……」
(‐∠‐;)「その……二百、程……」
( ゚¥゚)「分かった。半刻前迄には用意致す故、行く前に取りに来なさい」
(‐∠‐;)「……御迷惑お掛け致します……」
( ゚¥゚)「構わん。それより、ウサギを待たせているんじゃあないのか?」
(`∠´;)「あ……」
( ゚¥゚)「早よう行きなさい」
(‐∠‐;)「はい。失礼致します」
.
155
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:57:06 ID:fpP45/Ik0
仕切り代わりの障子を閉めて、廊下を奥へと進む。
―――スッ
(`∠´;)「遅くなってすまんな……」
(メ._― )「否」
襖を閉め、先と似た場所に座した。
(`∠´;)「……聞こえていたか?」
(メ._O )「あぁ」
(‐∠‐;)「そうか……」
(‐∠‐;)
(`∠´;)「済まんが、フィレンクトには言わないでくれ」
(メ._O )「承知した。然し、ベル殿は主の身を案じ過ぎだ。彼の者が奇襲を仕掛けたとて、そう易々と負ける様な御方では無い」
(‐∠‐;)「分かってはいるつもりだ。それでもやはり、案じてしまう」
(メ._― )「……左様か」
.
156
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:57:55 ID:fpP45/Ik0
(`∠´)「して、フィレンクトが探している物の心当たりだが……」
(メ._O )「うむ」
(`∠´)「“鈴”かもしれん」
(メ._O )「それは、何か特別な物なのか?」
(`∠´)「幼少の頃、フィレンクトが一つになって間もない頃に、父が我々にと購ってくださった物。それ以外は、何の変哲も無い只の鈴だ」
(メ._O )「“父”とは、清水殿のことか?」
(`∠´)「否。親父さんは、育ての父。私が言っているのは、我々の“実の父”だ」
(メ._O )「ほう……。故に、主は鈴を?」
(`∠´)「父が購ってくださったからでは無い。そこは、……私からは言えん」
(メ._O )「……兎に角大切な物故に探しておる、と?」
(`∠´)「あぁ、そうだ」
(メ._O )「そうか。……然し、鈴と言えど多種多様に存在する故、探るのは困難だろうな」
(`∠´)「とりあえず、フィレンクトに言伝を頼む」
(メ._O )「何と?」
(`∠´)「『探し物は、意外と近くに在るものだ』、と」
(メ._O;)「……ベル殿、それは……」
(`∠´)「私は在処を知っている。だが、彼奴は意地っ張り故、余程の事で無ければ自分で見付けたかろう」
(メ._O )「承知した。では、失礼する」
(`∠´)「あぁ」
.
157
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:58:40 ID:fpP45/Ik0
(`∠´)
懐から小さな巾着袋を出し、口を開けて中身を手に取った。
―――チリィン
(`∠´)(まだこんな物を探しているのか……)
( ∠ )(……フィレンクト……)
.
158
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 19:59:24 ID:fpP45/Ik0
そろそろ帰ろうかと思い座敷を出れば、ふと、奥の階段に目が行ってしまう。
心は迷えど、足は勝手に歩んでく。
(‐∠‐*;)(やれやれ……)
身体は正直とは実によく言ったものだ、などと思っていれば、既に登り切っていた。
(`∠´)「アイシス、起きているか?」
「あ、……はい」
(`∠´)「失礼する」
襖を引く。と、
リハ*^ー^リ「こんにちは、ベル様」
アイシスは身を起こしていた。
(`∠´;)「あ、アイシス!? 起きているのならば何か羽織らねばならんだろう!」
掛け布団に乗っていた半纏を、肩に掛けてやる。
リハ;*- -リ、「ご、ごめんなさい……」
(`∠´)「謝る事は無い。只、アイシスは体が弱い故、風邪を引いたら皆も心配致す。それに、一番辛いのは引いたアイシス自身故、気を付けなさい」
リハ;*´ー`リ「はい……」
悄気(しょげ)る彼女の頭に手を置き、あやす様にぽんぽんと撫でた。
(`∠´*)「分かれば良い」
リハ;*////リ、
.
159
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:00:10 ID:fpP45/Ik0
――――気配。
「し、失礼します……」
リハ*゚ー゚リ「はい」
スッと引かれた襖の向こう。其処には、艶やかな黒色の髪で顔を覆い隠す少女が座していた。
川д川「アイシ……」
川;Д川 !!!
口をあんぐりと開けたまま、彼女は固まってしまった。
動かぬ視線の先には、ほんのり頬を染めたアイシスと、その頭に手を置いたままのベル。
リハ*゚ー゚リ ?
(`∠´)「如何した? 貞子」
川;Д川そ
川;*д川「そ、その、……お邪魔して、しまった、よ、ようで……、その……す、すみませんっ……!」
リハ*゚ー゚リ ???
(`∠´;)「はて? 言葉の意図が察せぬが……何の事か?」
川;*д川「え……? ……あ、」
川;д川「い、いえ、……私の勘違いでございました。申し訳ございません……」
(`∠´)「そうか。ならば良い」
.
160
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:01:05 ID:fpP45/Ik0
リハ*゚ー゚リ「さだちゃん? どうしたの?」
川;д川「あ!」
川*д川「アイシス様、お風呂が沸きましたよ」
リハ*^ー^リ「ありがとう」
(`∠´)「貞子、着替えを用意して来てくれ。アイシスは私が連れて行こう」
川д川「はい」
(`∠´)「アイシス、半纏を」
リハ;*゚ー゚リ「は、はい」
掛け布団を捲り、半纏に袖を通したのを確認して、ベルはアイシスを持ち上げた。
リハ;*////リ「ぁ、ぅ……」
oo
(`∠´)「ん? どうし……」
(`∠´*;) !
リハ;*////リ !
oo
先より間近になったアイシスと目が合うと、その顔を隠す様に縮こまられる。
(`∠´*)
(‐∠‐*)「落ちぬよう、しかと掴まっていろよ」
おずおずと伸びた手が着流しを掴む。それを目し、そぉっと階段を降り始めた。
.
161
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:01:51 ID:fpP45/Ik0
裏口を出て、風呂場へ向かう途中。
(`∠´)「……ん?」
リハ*////リ「い、如何なさいました?」
(`∠´)「いや、……彼奴ら……」
リハ*゚ー゚リ ?
渡り廊下をそそくさと歩くのは、大きな風呂敷を一つずつ抱える三人組。と、
(;・3・)「あ……!」
目が合った。
(`∠´)「如何した? そんな大荷物で」
ヽiリ,,;゚ヮ゚ノi「これは、その……」
(; ^^)「か、借り物を、……そう! 借り物を返しに行くんです! な???」
(;^3^)「そ、そうですヨ! 借り物を返しに行くんですヨ!」
ヽiリ,,;^ヮ^ノi「コレぜーんぶ借り物です!」
(`∠´;)「溜め込み過ぎだぞ。借りたら早よう返さねば、相手方にも迷惑が掛かる故、気を付けなさい」
(; ^^)「はい」
ヽiリ,,;゚ヮ゚ノi「気をつけます!」
(`∠´)「うむ。ではな」
リハ*^ー^リ「行ってらっしゃい」
(*・3・)「行ってきまス」
(* ^^)「行って来ます」
ヽiリ,,*^ヮ^ノi「行って来まーす!」
.
162
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:02:42 ID:fpP45/Ik0
(;-3-)「あ、あぶネー……冷や冷やしたゼ……」
( ^^)「俺に感謝しろよ」
ヽiリ,,*゚ヮ゚ノi「それより見た!!? 横抱きにしてたよ!!!」
( ・3・)「見えないワケ無いだロ」
(; ^^)「アレで夫婦は疎(おろ)か、恋仲ですら無いなんて……」
ヽiリ,,;´ヮ`ノi「世の中、複雑ですなぁ〜……」
.
163
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:03:35 ID:fpP45/Ik0
――――脱衣場
(∠´ )「追い付いて来るかと思ったが……遅いな」
リハ*- -リ「スパムちゃん達と行き逢ったのだと思います……」
(`∠´)「そうかもしれんな」
腰掛けに座り、アイシスを抱え直す。
リハ;*////リ「あの、ベル様……座れますのに……」
(`∠´)「身体を冷やすといけないだろう」
リハ*////リ「……あ、ありがとう、ございます……」
今一度着流しを握り直し、その身を僅かに寄せた。
(`∠´*)
(‐∠‐*;)
(`∠´*;)「……アイシス」
リハ*゚ー゚リ「は」
リハ;*////リ !
リハ*- -リ「……はい」
(`∠´*;)「……私は、な……幼い頃より、……お前の事……」
リハ*゚ー゚リ ?
.
164
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:04:19 ID:fpP45/Ik0
(‐∠‐*;)「お前の、事が……す」
――――ガラガラガラ
Σ(`∠´;;)「っ!!?」
川;д川「お、遅くなりまして、申し訳ございません……!!!」
リハ*^ー^リ「いいのよ、さだちゃん」
(`∠´;;)「で、では、私はこれで失礼する」
川;д川「あ、え……」
リハ;*゚ー゚リ「あの、ベル様……」
(`∠´;;)「又に致す! 御免!」
アイシスを腰掛けに座らせ、逃げる様に出て行った。
川;д川「……鈴鳴様、ずいぶんと慌てていらしたけれど……わ、私、またお邪魔してしまいましたのでしょうか……?」
リハ*^ー^リ「さだちゃんったら、気にしすぎよ。ベル様はお忙しい方だから、ご用でも思い出されたんじゃないかしら」
川;д川「それなら、良いのですが……」
.
165
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:04:59 ID:fpP45/Ik0
裏庭をふらふらとさ迷い、ガクリ、膝を着いて項垂れる。
(‐∠‐;)(……また、駄目だった……)
自らの不甲斐なさに、溜め息しか出なかった。
.
166
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:05:40 ID:fpP45/Ik0
いい加減帰ろうと飯台へ出る。と、偽モナーと乙鳥が向かい合っていた。
乙鳥は右目を隠す様に、布端を巻き付けている。
( ゚¥゚)「ベル、丁度良かった。お前に話しがある」
(`∠´)「はい。何でしょう?」
( ゚¥゚)「“死に神狩り”の事だ」
(`∠´)「何か、めぼしい報せでも入りましたか?」
£*//ゞ^ )「ベルさん! 僕の予見が的中致しましたよ!」
(`∠´;)「なっ……!!? では、本当に……」
( ゚¥゚)「あぁ」
(`∠´;)「……乙鳥……」
£*//ゞ- )「ベルさん、僕は堪らなく嬉しいのです。また皆と会えるなんて……夢のようです……」
(‐∠‐;)「お、お前……」
ヒソッ
( ゚¥゚)「何かあれば、助けてやってくれ」
ヒソッ
゙(`∠´;)「はい」
.
167
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:06:21 ID:fpP45/Ik0
(`∠´;)「それでは、私は御暇(おいとま)させて頂きます」
( ゚¥゚)「ベル」
(`∠´)「はい」
( ゚¥゚)「金を用意しておく故、忘れずに寄って行きなさい」
(‐∠‐;)「はい。……誠に、申し訳御座いません……」
( ゚¥゚)「何を謝る。俺とて奴にフィレンクトを渡す気なぞ無いのだ。金は用意して然るべきだろう」
(‐∠‐*;)「……有り難く存じます」
( ゚¥゚)「うむ」
(`∠´)「それでは、失礼致します」
( ゚¥゚)「気を付けてな」
£;//ゞ°)「あぁ! 待ってくださいよぉ〜」
.
168
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:07:46 ID:fpP45/Ik0
(‐∠‐)
(`∠´)「乙鳥」
£*//ゞ^ )「はぁ〜い」
(`∠´)「本当に、会ってしまって良いのか? 我々が代わりに始末する事も出来るんだぞ?」
£//ゞ^ )「いいえ〜。これは僕等の問題ですので、全てを押っつける訳にはいきませんよぉ〜」
(`∠´)「そうか……」
£*//ゞ^ )「はい〜」
(`∠´)「分かった。然し、私も手出しはさせてもらう」
£*//ゞ°)「本当ですかぁ〜?」
(`∠´)「あぁ」
£*//ゞ^ )「有り難う御座います〜! いやぁ〜、一人では危ういかもしれないなぁ〜って、思ってたんですよ〜」
(`∠´)「私としても、お前を失うのはかなりの痛手故。とりあえず、詳しい事については後日聞こう」
£*//ゞ^ )「はぁ〜い」
.
169
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:08:26 ID:fpP45/Ik0
――――鈴鳴家
持参金の足しにと、貯めた金を入れた箱を探し始めて半刻程。家中を荒れに荒らしているが、然し、見付からない。
£;//ゞ°)「何処に仕舞ったんです!?」
(`∠´;)「おかしいなぁ……」
£;//ゞ°)「ですから、押し入れに物を詰め込むだけが“片付け”ではないと、あれほど申したではありませんか〜!」
(‐∠‐;)「す、すまん……」
£;//ゞ°)「ほらぁ〜! 思い出してくださいよぉ〜!」
(`∠´;)「それが出来ればこんな苦労はしていない」
£;//ゞ- )「もぉ〜〜〜。自室も居間も客間も台所も納戸も探しましたよぉ〜? 後は、……隠し部屋等は、無いのですかぁ?」
(`∠´;)「何に使うんだそんな……」
(`∠´)「あ」
£*//ゞ°)「思い出しました!!?」
(`∠´)「随分と前の事だが、床下に穴を掘ったんだ。其処にならば有るやもしれん」
£;//ゞ°)「えぇ〜!? 先に隠し部屋の用途に疑問を持ったではありませんか〜。何故、地下部屋などお造りに?」
(`∠´)「部屋などと言う立派なモノではない。只、手持ち無沙汰だったのだ」
£;//ゞ°)「それで穴掘りなんて……」
£*//ゞ^ )「ベルさんともなると、やる事が一味も二味も違いますねぇ! 尊敬致します〜〜〜」
(`∠´;)「えぇ……複雑……」
.
170
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:09:10 ID:fpP45/Ik0
自室に戻り、畳と床板を外した。見える地面を軽く掃けば、板が顔を出す。今度はそれを取り外すと、穴が現れた。
£*//ゞ°)「随分と深く掘りましたねぇ〜」
(`∠´)「それだけ暇だったのだろう」
£*//ゞ^ )「入ってもいいですかぁ〜?」
(`∠´;)「構わんが、何も無いやもしれんぞ」
£*//ゞ°)「その時はその時ですよぉ〜〜〜」
よっと、と言う声を置き去りに、寸の内に姿が見えなくなる。
(`∠´;)(そんなに深く掘ったかなぁ……?)
はてな? と首を傾げている間に、乙鳥は跳び上がる様にして地上へ戻って来た。
£*//ゞ^ )「中々深いですねぇ〜。流石は、ベルさんがお掘りになられた穴です」
(`∠´;)「そんなに深く掘ったのか……如何にして上がったかな……?」
£*//ゞ°)「そんな事より、ありましたよぉ〜! はいっ!」
(`∠´*)「そうか! 良かった……有り難う」
£*//ゞ^ )「お安い御用です〜」
£//ゞ°)「で、どの様にして開けるのですか? この絡繰り箱」
(`∠´;)「それは、だな……」
(`∠´;)
(‐∠‐;)「思い出せん……」
£;//ゞ°)「呆けるには未だお若すぎますよぉ〜〜〜」
.
171
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:09:55 ID:fpP45/Ik0
(`∠´;)「如何な……関心の無い事は直ぐ様忘れてしまう」
£;//ゞ°)「覚えておくべき事は忘れないでくださぁ〜い」
(`∠´;)「然し、困ったな。これから盛岡さんの所へ行きたかったのだが……」
£*//ゞ^ )「でしたら、絡繰り箱の事は僕にお任せください!」
(`∠´;)「良いのか? その中に金を入れたかすら覚えていないのだぞ?」
£*//ゞ^ )「中身は何かしら入っていますよぉ〜。そんな事より、僕はこの絡繰りを解きたいのです! 楽しそうです〜〜〜」
(`∠´)「そうか。ならば、今から出掛ける故、後は頼んだぞ」
£*//ゞ°)「はぁ〜い! 行ってらっしゃいませ〜」
.
172
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:10:36 ID:fpP45/Ik0
――――盛岡家
―――コンコンコン
(`∠´)「御免下さい」
暫し待ってみるが、何の変化も無く。もしや聞こえなかったのかもしれないと思い、少し強めに叩く。
すると、奥から駆けてくるような足音が聞こえてきた。
「はぁい」
(`∠´)「鈴鳴に御座います」
「あら! 只今、お開け致しますね」
―――ガラガラガラ
(`∠´)「盛岡さんはいらっしゃいますか?」
('、 `*川「旦那様でしたら、道場に居りますよ」
(`∠´;)「そうですか。ならば、」
('ー`*川「お呼び致しますね!」
(`∠´;)「あ、いや……」
ベルの言葉も待たずに、女性は奥へと戻って行ってしまう。
(`∠´;)
(‐∠‐;)「お邪魔します」
草履を脱ぎ、一人で客間へ向かった。
.
173
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:11:17 ID:fpP45/Ik0
待つ間にする事も無く、何と説明しようか考えて暫く。遠くから声が聞こえてきた。
「君は客の案内も出来ないのかい?」
「だって……早く旦那様をお呼びに行かねばと思いましたら、ついうっかり……」
「客間に御通しして、茶の一つでも出してからにしなさいと、毎度毎度同じ事を何度も何度も言っているはずだけどね」
「気のせいですので、鈴鳴さんをお呼びして参ります」
「ベルは君みたいにすっからかんじゃないよ」
「でも、鈴鳴さんって意外に抜けている御方ですから、もしかしたら未だ戸口にいらっしゃるかもしれません」
「君よりしっかりしているけど、そこまで言うなら行けばいい。居なかったら、早急に茶の用意を」
「はーい」
遠ざかる足音が消えた後、もう一つの足音が近付いて来る。それが一瞬途絶えれば、襖が引かれた。
(´・_ゝ・`)「やれやれ。馬鹿の相手も疲れるよ」
(`∠´;)「相変わらずで御座いますね」
(´・_ゝ・`)「あの間抜けさが無ければなぁ……」
(`∠´)「真面目なペニサスさん、ですか?」
(´・_ゝ・`)
(´・_ゝ・`)「別の生き物だな」
(`∠´;)「せめて想像し難いと仰ってください……」
.
174
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:11:57 ID:fpP45/Ik0
(´・_ゝ・`)「それにしても、態々訪ねて来るなんて珍しいね。どうしたんだい?」
(‐∠‐;)「……厚かましい事とは存じ上げておりますが、お頼み申し上げたい事があり、伺わさせて頂きまして御座います」
(´^_ゝ^`)「うん、何だい?」
(‐∠‐;)「その……、……金を、お貸し頂きたくて……」
(´・_ゝ・`)「いいよ」
(‐∠‐;)「実は……」
(`∠´;)「えっ?」
(´^_ゝ^`)「はははっ。素っ頓狂な顔もまた、珍しい」
(`∠´;)「わ、私は真剣に」
(´・_ゝ・`)「僕だって、冗談のつもりは無いさ」
(`∠´;)「然しながら、私は未だ理由を申しておりません」
(´・_ゝ・`)「うん。聞くつもりも無いし。それで、……」
「失礼します」
(´・_ゝ・`)「遅い」
('、 `*川「旦那様が用意するより早いです」
.
175
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:12:44 ID:fpP45/Ik0
('ー`*川「鈴鳴さん、お茶をお持ち致しました。お熱くなっておりますので、お気をつけください」
o旦と
(`∠´)「忝ない」
('、 `*川「旦那様も、どうぞ」
o旦と
(´・_ゝ・`)「うん」
つ旦
(´‐_ゝ‐`) ズズッ…
つ旦
ブッ!!?
(;´ ゚_ゝ゚ ) 、・;゚,"
つ旦
Σ(`∠´;)
('ー`*川「旦那様のは特別に、お醤油のお湯割りに致しました」
(;´‐_ゝ・`)「汚いモノを見せてしまって、悪いね」
(`∠´;)「い、いえ……」
('、 `*川「やだー! 旦那様ばっちぃ!」
(´・_ゝ・`)「君のせいだろう」
('ー`*川 ニヤリ
(´・_ゝ・`)「うっっっわ何その顔腹立つ」
('、 `*川「反省してる顔でーす」
(´・_ゝ・`)「……この話しは後でしよう。とりあえず、雑巾と千両箱を持って来てくれ」
('、 `*川「はーい」
.
176
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:13:24 ID:fpP45/Ik0
(´・_ゝ・`)「それで、幾ら必要なんだい?」
(`∠´;)「それは、その……」
(‐∠‐;)「……ひゃ、百両、程……」
(´^_ゝ^`)「うん、分かった」
(‐∠‐;)「申し訳御座いません……」
(´・_ゝ・`)「その謙遜さ、フィレンクトに分けてあげたらいいのに」
(`∠´;)「え……? ……ど、どの様にして……」
(´^_ゝ^`)「ハハハ、例えだよ」
(´・_ゝ・`)「ベル、君はもう少し他人に甘えなさい。一人でどうにか収めようとし過ぎだ。昔から言っているだろう?」
(‐∠‐;)「……はい」
(´・_ゝ・`)「って言っても、君ももう二十八だ。その性(さが)が直るとも、甘える事に対する恥じらいが和らぐとも思っていないけどね」
(`∠´;)「……思わないのならば、何故その様に仰られるのでしょうか?」
(´^_ゝ^`)
(`∠´;) ???
.
177
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:14:08 ID:fpP45/Ik0
('、 `*川「雑巾お待たせしましたー」
(´・_ゝ・`)「本当に待ったよ。ほら、もう染みになりかけてる」
('、 `;川「あらあら」
側に置かれた千両箱を引き寄せ、中から切り餅を取り出した。数は六つ。
(´・_ゝ・`)「はい」
(`∠´;)「盛岡さん、これでは……」
(´・_ゝ・`)「『何百両も借りるのは図々しいだろうから、足りないけど百両借りとこう』」
(`∠´;) !!?
(´^_ゝ^`)「そう言う顔してたよ」
(‐∠‐;)「お見通しでしたか……」
(´・_ゝ・`)「只ぼんやりと、面倒を見てきたわけじゃないからね」
(‐∠‐;)「……はい」
(´・_ゝ・`)「さぁて、いい加減道場に戻らないといけないな」
(‐∠‐;)「私も、そろそろお暇させて頂きます」
(´・_ゝ・`)「ベル」
(`∠´;)「はい」
(´・_ゝ・`)「今日のような用事でも、僕の所には何時でも来て良いからね」
(‐∠‐;)「滅相も御座いません。次からは皆、自分で……」
(`∠´;) !
(`∠´;)「……その、……頼りに、させて頂きます……」
(´^_ゝ^`)「うんうん。待っているからね」
(‐∠‐)「はい。失礼致します」
178
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:14:51 ID:fpP45/Ik0
――――尾前家
|゚ノ#^∀^)「まぁ! 何て事ですの!」
(`∠´;)「落ち着いてください」
|゚ノ#^∀^)「落ち着いてなどいられませんわ! やっと顔を見せに来たと思ったら、金を貸せ、ですか!!? 死に神としての誇りも何も無くしたと言うんですの!!?」
(`∠´;)「レモナさん」
|゚ノ#^∀^)「金を用意出来なければフィレンクトちゃんを差し出せなんて、許せません!!! 今から探し出してひっぱたいて差し上げませんと!」
(`∠´;)「それは私が致します! ですから、落ち着いてください!」
|゚ノ#^∀^)「頼みましたわよ!」
(`∠´;)「はい……!」
|゚ノ ^∀^)「それで、私は幾ら貸して差し上げられれば宜しいですの?」
(‐∠‐;)「厚かましいながら、百両程……」
|゚ノ ^∀^)「偽モナー様は、幾ら御出しすると仰っておられまして?」
(`∠´;)「二百両と御願い申してきました」
|゚ノ ^∀^)「デミタスさんは、幾ら御出しして?」
(`∠´;)「百五十両です」
|゚ノ ^∀^)「それで私が百両出して、四百五十両ですわ。ベルさんは、残り五百五十両の御用意は出来ますの?」
(`∠´;)「……それは……」
.
179
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:15:33 ID:fpP45/Ik0
|゚ノ ^∀^)「聞き方を変えましょう。ベルさんは幾ら御出し出来て?」
(‐∠‐;)「……二百両程かと……」
|゚ノ ^∀^)「後の三百五十両は如何するお積りですの?」
(‐∠‐;)「そ、それは……」
|゚ノ ^∀^)「人への迷惑を最小限で済ませたいと言うベルさんの心掛けは、とても素晴らしい事です。けれど、今はそのせいで、守りたいものが守れていませんわ」
(‐∠‐;)「はい……」
|゚ノ ^∀^)
|゚ノ ^∀^)「……ベルさん、貴方なら、しかと千両用意出来ますわ」
(`∠´;)「え……? それは、一体どういう……」
|゚ノ*^∀^)「うふふ。御待ちになっていて。今、持って来ますわ」
(`∠´;)「……はい……?」
.
180
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:16:14 ID:fpP45/Ik0
――――鈴鳴家
£//ゞ°)「締めて三百五十両ですか」
(`∠´;)「貸して頂けただけでもめっけもんだ。して、箱の中身は?」
£//ゞ- )「百三十両程入っておりました」
(`∠´;)「……四百八十両、か……」
£//ゞ°)「いいえ、」
おもむろに懐へ手を入れ、ベルの前に差し出した。物は、二つの切り餅と小判三枚。
£//ゞ°)「五百三十三両です」
(`∠´;)「なっ……!!? だ、駄目だ! 此れはお前の金だろう!」
£//ゞ°)「はい、僕のお金です。ですから、コレの使い道は僕が決めても何ら問題は御座いませんでしょう?」
(`∠´;)「駄目だ! お前は未々若い。これから特に必要になる物だ。受け取れん」
£#//ゞ°)「そんな意地をお張りになっている場合ではありません!!!」
(`∠´;)「……然し、」
£//ゞ^ )「狩りは儲かりますからねぇ〜。皆さんから借りる八百七十両分、明日からより一層励めば宜しいかと存じます」
(`∠´;)
(`∠´)「それもそうか」
£*//ゞ^ )「はい〜〜〜」
.
181
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:16:59 ID:fpP45/Ik0
(`∠´)「それより、乙鳥。お前、やけに土汚れが付いているが、如何した?」
£*//ゞ^ )「これですかぁ〜? 横穴を掘っていたんです〜。楽しかったですよぉ〜〜〜」
(`∠´;)「崩れると危うい故、縦だけにしなさい」
£*//ゞ°)「はぁ〜い」
£*//ゞ°) クキュゥー…
£;*//ゞO )そ「ぁぐっ!!?」
(`∠´)「何だ。昼餉は食っていないのか?」
ヾ£;*//ゞ< )ノシ「ちやっ、違いますぅ〜! さ、先までは空いていなかったんですよぉ〜〜〜!」
(`∠´*)「ハッハッハッ。そう見栄を張らんでもいい」
(`∠´)「夕餉には随分と早いが、親父さんに飯でも作ってもらうか」
£*//ゞ^ )「はぁ〜い!」
(`∠´)「その前に、お前は風呂へ入れ」
£;//ゞ°)そ「えぇ〜〜〜!!? お腹空きましたよぉ〜〜〜!」
(`∠´;)「そのまま食ったら土が入るだろう。我慢しろ」
、_
£//ゞ°) ムスーッ
(∠´ )「拗ねている奴は置いて行くぞ」
£;//ゞ°)「あ! ま、待ってくださいよぉ〜!」
.
182
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:17:41 ID:fpP45/Ik0
――――死に神の巣窟
£*//ゞ°)「父様ぁ〜! お風呂入っていいですかぁ〜?」
( ゚¥゚)「あぁ。焚き口の番は貞子にでも頼むといい」
£*//ゞ^ )「はぁ〜い!」
£*//ゞ°)「あ! 上がったら、ご飯が食べたいです!」
( ゚¥゚)「夕餉前故、軽くでいいな」
£*//ゞ^ )「はい! お願いしまぁ〜す」
( ^¥^)「はいよ。ゆっくり入って来なさい」
£*//ゞ°)「はぁ〜い!」
( ゚¥゚)「お前もあのくらい甘えて構わないんだぞ?」
(‐∠‐;)「わ、私はもう、その様な歳では……」
( ゚¥゚)「今直ぐにとは言わん」
(‐∠‐;)「……善処致します」
( ^¥^)「そう堅くならずとも良い」
.
183
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:18:24 ID:fpP45/Ik0
( ゚¥゚)「それより、ベルは入らんのか?」
(‐∠‐;)「……ゆったり浸かれるような気分にはなれません……」
( -¥-)「そうか……」
(‐∠‐;) グゥゥ…
(`∠´*;) !
( ゚¥゚)「干し柿なら直ぐに出せるぞ」
(‐∠‐*;)「……頂きます」
( ^¥^)「はいよ」
(‐∠‐*;)
(‐∠‐;)(残り四百六十七両……親父さんから二百両貸して頂けたとしても、二百六十七両足りん。……如何にしたものか……)
(‐∠‐;)
( ゚¥゚)「……ベル?」
Σ(`∠´;)
(`∠´;)「はい」
( ゚¥゚)「干し柿だ。茶は熱い故、気を付けろよ」
(`∠´*;)「有り難く存じます。頂きます」
( ^¥^)「はいよ」
.
184
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:19:07 ID:fpP45/Ik0
゙(`∠´(*) モグモグ
(;・3・)「只今、帰りましたヨ」
( ゚¥゚)「おぉ、帰ったか」
(`∠´)「お帰り」
(; ^^)「ベルさん、お食事中に失礼します!」
゙(`∠´( )「ん?」
(;・3・)「その……」
ヽiリ,,;>ヮ<ノi「お、お金は足りましたか!!?」
,( ゚∠ ゚;( )「ぐふっ!!?」
(;゚3゚)「チョッ! おまっ!!?」
(; °°)「単刀直入過ぎるだろ!!?」
ヽiリ,,;゚ヮ゚ノi「だってぇ……」
( ゚¥゚)「スパムを責めるな。俺も聞こうと思っていた案件だ。……で、どうなんだ?」
(‐∠‐;)「……足りておりません」
( ゚¥゚)「俺が二百両貸したら、足りるか?」
(‐∠‐;)「いえ。それでも、……二百六十七両足りません」
(; ^^)「二百、六十七……」
(; -¥-)「そうか……」
ヽiリ,,;゚ヮ゚ノi「ぼる」
(;・3・)「お、おう……」
.
185
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:19:50 ID:fpP45/Ik0
(;・3・)「ベ、ベルさん!」
(`∠´)「何だ?」
(;>3<)「これ、貰ってくだサイ!」
差し出されたのは、金一両。
(`∠´;)「お、お前たち、これは……」
(; ^^)「皆で部屋中探して、かき集めました」
ヽiリ,,;>ヮ<ノi「それでも足りなかったから、いっぱい売って来ました!」
(;゚3゚)「うをおおおい!!!」
(`∠´;)「売った……? ならば、あの荷物は、売りに出す為の物だったのか?」
(; ^^)「本当の事を言ったら、ベルさん止めるだろうと思って……ごめんなさい」
(;-3-)「ごめんなサイ」
ヽiリ,,;-ヮ-ノi「ごめんなさい」
(`∠´;)「謝る事はない。私の方こそ、気を遣わせてすまな 「ドクオー! 早くするおー!」
「ちょ、待てって……」
(`∠´) !
(;^ω^)「こんにちあっ! ベルさんいらっしゃるお!」
(;'A`)「未だ七つを回ったとこだって言ってんだろォ」
(;^ω^)「間に合ったなら何でもいいお!」
(`∠´;) ?
.
186
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:20:36 ID:fpP45/Ik0
(;^ω^)「ベルさん! これ、千両の足しにしてくださいお!」
(;'A`)「俺んのも、お願ぇしやす」
内藤が広げた風呂敷からは、切り餅四つが顔を出し。宇津田が逆さにした巾着からは、じゃらじゃらと小判が落ちてきた。
(`∠´;)「……宇津田のは、幾らあるんだ?」
(;'A`)「へい。五十四両です」
(;^ω^)「足りますかお?」
(`∠´;)(残り、三百十二両か……)
( ゚¥゚)「足りるぞ」
(`∠´;)「お、親父さん!!?」
( ゚¥゚)「実は、お前が居ない間にウサギから五十両預かっていてな。故に、俺が残りの二百六十二両を出せば、きっかし千両だ」
ヽiリ,,*>ヮ<ノi「足りた足りたー!」
(*・3・)「やったネ!」
(*^ω^)「おっおっおっ!」
(`∠´;)「ですが……」
( ゚¥゚)「言っただろう」
(`∠´*;)「……はい。有り難う御座います!」
( ^¥^)
(`∠´*)「皆も有り難う。恩に着る」
(*'A`)>"「へへっ」
(* ^^)「お役に立てて何よりです!」
.
187
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:21:17 ID:fpP45/Ik0
暮れ六つ前。
両国橋を渡ったベルは、小料理屋都村へ来た。その手に提げるは、風呂敷包みの千両箱。
(`∠´)「御免」
(゚、゚*トソン「いらっしゃいまし」
(`∠´)「杉浦は来ているだろうか?」
(^、^*トソン「はい。ご案内致します」
前を行く女性の後に付き、二階へ上がった。そして、奥の一室の前で立ち止まる。
(゚、゚*トソン「杉浦様。鈴鳴様がお見えになりました」
「ん」
女性は襖を開けて、脇へ避けた。
(`∠´)「若女将」
(゚、゚*トソン「はい」
(`∠´)「済まないが、私は飯を食わずに帰る故」
(-、-*トソン「かしこまりました」
それからもう一度頭を下げ、襖を閉めた若女将は下りて行った。
.
188
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:22:05 ID:fpP45/Ik0
( ФωФ)「何だ、飯は食わぬのか」
(`∠´)「はい」
( ФωФ)「そうか……。まぁ、良い。其処に座れ」
(`∠´)「はい」
ベルは杉浦の目の前に行くと同時に、風呂敷包みを提げたその左手を振り抜いた。
ガハッ
(;#)ω )、゚:*,
突然の事に対処も出来ず、二本の歯と共に畳へ転がる。
手荷物を放り、直ぐ様その上に跨がって胸ぐらを掴んだ。
( ∠ ゚ )「約束通り千両を持参した。次に同じ用件で巣窟を訪れたらば、如何なる邪魔が入ろうとも、必ず貴様を殺す」
(;#)ω┿)「……あんな所、最早、用も無いわ……」
( ∠ ゚#) !!!
今度は拳を振り上げ、二発、三発と殴っていく。
対して杉浦は抵抗をせず、ただただ、痛みに耐えていた。
.
189
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:22:46 ID:fpP45/Ik0
店から出てきたベルは、両国橋の袂で歩みを止める。
(`∠´)「何用か」
独り言ちたのかと思えば、いつの間にか後ろで控えている彼に投げ掛けた言葉のようで。
£//ゞ- )「お客様が御待ちになられております」
(`∠´)「分かった」
乙鳥は頭を下げ、消えた。
特に急ぐ素振りも見せず、ベルは両国橋を渡った。
.
190
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:23:34 ID:fpP45/Ik0
――――鈴鳴家
月に照らされぼんやりと浮かぶ影は、戸口の前で蹲っていた。
(`∠´)「フィレンクト」
目の前にしゃがみ、頭を撫でてやる。
(`∠´)「どうした?」
( )「……兄ィ」
(`∠´)「ん?」
_,
(‐_L‐)「見っかんねぇ……」
撫でる手を払い除け、顔を膝に埋め直す。
(`∠´)「やはり、鈴を探していたか」
( )「何処にも有りゃしねェ……」
(‐∠‐)
ベルは懐を探り、小さな巾着袋を取り出した。そして、中身を手にあける。
―――チリン
(;‘_L’) !
.
191
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:24:15 ID:fpP45/Ik0
鈴に付いた緑色の紐を摘まみ上げ、そっと揺すった。
―――チリチリィン
途端、胸ぐらを掴まれる。
(#‘_L’)「テメェの鈴なんざどォだっていいんだよ!!!」
(`∠´)「それは私の台詞だ」
_,
(#‘_L’)「あ?」
(`∠´)「前から言っているだろう、フィレンクト。父上から貰った鈴が無くとも、お前は私の実の弟だと」
(#‘_L’)「んなもん、テメェが決める事じゃねぇ!!!」
(‐∠‐;)「……何をそう頑なになる」
(#‘_L’)
(`∠´;)「そんなに、私と兄弟だと言う事が気に食わないのか?」
(;#‘_L’)「はァ? んなこと言ってねぇだろ!」
(‐∠‐*;)「そうか……」
_,
(‘_L’)「それでも、俺ァ……」
(`∠´)「フィレンクト」
、_
(L_‐;)彡 フイッ
.
192
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:25:02 ID:fpP45/Ik0
(`∠´)「確かに、お前が物心ついた頃には私しか居なかっただろう。それでも、母上とは一月、父上とは二年。共に過ごした事実は変わらんのだ」
(#‘_L’)「だぁら!!! んなもん、お前以外に誰が証明してくれんだよ!!!」
(`∠´;)「それは……」
(#‘_L’)「あの“鈴”だろ!!!」
(`∠´;)「フィレンクト……」
(#‘_L’)「何の為に探してっと思ってんだ!!? 俺の為だよ!!!」
(‐∠‐;)「……そんなに、私の言う事が信用出来んのか……」
(;#‘_L’)「そ、そんなんじゃ……」
(`∠´;)「第一、鈴を捨てたのも、私と違う姓が欲しいと言ったのも、フィレンクトだろう。お前は、言動があべこべだ」
(;‘_L’)「だ、だって、あん時はまだ、死に神じゃなかったし……」
(`∠´#)「関係無いだろう!!!」
(; >_L< )そ
(`∠´)「確かに、お前は何も覚えていなくて不安かもしれん。然し、それでも、……血は繋がっているのだ。信じてくれ」
(;‐_L‐)「……別に、疑っているわけじゃァねぇんだ……」
(‐∠‐)「そうか」
(‐∠‐)
(`∠´)「……腹が減ったな」
(;‐_L‐)
_,
(;‘_L’)「は?」
.
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