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備津府を守るは死に神たちのようです
1
:
◆vvt8MHIS22
:2015/07/29(水) 20:32:17 ID:8SHZ1W7A0
長さ
一丈(いちじょう)=約3m
一尺(いっしゃく)=約30cm
距離
一間(いっけん)=約1.8m
時間
明け六つ半=7時頃
亥の刻=22時頃
色
紅鬱金、秋桜
http://imgur.com/taDCK2O.jpg
.
244
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:03:17 ID:mkY/Z4pM0
(‐_L‐)
吹く、木枯らしが。
.
245
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:03:57 ID:mkY/Z4pM0
('A )
飛ぶ、虫が。
.
246
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:04:44 ID:mkY/Z4pM0
( `ω´)
落ちる、葉が。
.
247
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:05:34 ID:mkY/Z4pM0
( ゚ω ) !
――――凍てついた。
.
248
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:06:24 ID:mkY/Z4pM0
地を揺らし轟音をあげながら、氷は生え出(い)で閻魔を包む。その周りを更に氷が包み、口は捩りながら塞がった。
.
249
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:07:19 ID:mkY/Z4pM0
―――― 沈黙 ――――
.
250
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:08:06 ID:mkY/Z4pM0
瞬間、氷の蕾に縦の斬り込みが入り、続けて輪切りにされた。切り身を蹴り飛ばし、閻魔が現れる。
干瓢は既に、放っていた。
目前に迫る雷弾をも斬り裂き、走る。
饅頭は極限まで透過させた氷を張り巡らせ、干瓢は閻魔とそれらを狙い撃つ。
透明過ぎる氷が見えない閻魔は、時々態と逸れる弾を不審に思ったが、それが策ならばと見過ごしていた。
迫り来る閻魔を止める為、饅頭は足元に氷の刃を放つ。
意図を汲み、閻魔は大きく後退。切り崩された蕾の前で夜叉切丸を構えた。
狙いを定め、再び指先から雷弾を放出。
閻魔は構えを解いた。
弾は全て、後方の蕾を粉砕していく。
_,
(;# ゚_L ) ゼヒィー…ゼヒィー…
ヒソッ
(;^ω^)「怒ってるお……」
ボソボソ
('A`)「全部閻魔狙いじゃねェし、当然だ」
斜め上方へ指先を向けた。
.
251
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:08:58 ID:mkY/Z4pM0
上空に雷弾を放つ。
それが自ら付近に落ちる事を予想し、閻魔は退こうとした。が、体が動かない。
それどころか立つのも儘ならなくなり、膝を着き崩れる始末。
_,
(;#‐_L-)(クソ……)
冷たい。空気も、身体も、凍っているかのよう。
見上げた。雷弾の狙いが自分では無く蕾の残骸だということに気付き、せめて衝撃を軽減しようと構えた。
――――着弾。
腕は動かなかった。
衝撃で飛ばされた体が地を滑る。その感触に違和感を覚え、地表に目を凝らせば、そこには小さな氷の蓮華が無数に咲いていた。
.
252
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:12:55 ID:mkY/Z4pM0
(;; _L ) コヒュー…コヒュー…
苦しい。冷気が体内で氷るような錯覚。
だが、手は、足は、凍り付いている。そこからは地表と同じく、小さな氷の蓮華が数多に生えていた。
錯覚では無いのかもしれない。
(;; _L )(夜叉切丸……)
(;; ゚_L )「ヴッ……!」
地面から突き出た夜叉切丸が、閻魔を貫いた。
(;^ω^) !!?
(;゚A`)「なっ……!!?」
.
253
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:13:41 ID:mkY/Z4pM0
手足を覆っていた氷は砕け落ち、嗚咽と共に口からは氷が吐き出される。
(; -_L- )「ゲホッ、ゲ、ッゥエ……」
( _L )「手ェ、止めてんじゃ、ねぇよ……こォんの……」
(#°_L )「クソ共がアアアアアアアアアアアアアアア」
ビクリと肩を震わせ身を強ばらせる饅頭の横で、干瓢は悪態を吐きながら弾を連射した。それを全て斬り捨てながら、閻魔は駆けてくる。
(;'A`)「クソッ! クソッ! 何で走れんだ!? おい、ブーン! 次の!」
(;^ω^)「……お!」
(;`ω´)「おおっ!」
大きく腕を振るうと、地表の蓮華は茎を伸ばして閻魔の行く手を塞ぐ。
が、一太刀。
花は地に落ち、閻魔は止まらず、焦って腕を振るえば茎が雷弾を弾き飛ばした。
(;'A`)「おいッ!」
(^ω^;≡;^ω^)「すまんお! えーっと、えーっと……」
.
254
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:14:24 ID:mkY/Z4pM0
目前に迫る閻魔に焦りが募る。
(;#'A`)「うぉおっ!!!」
殴りかかる干瓢の腕を掴み肩へ乗せ、背負うようにしてその身を前方地面へ叩きつければ一本。干瓢は受け身が取れずに蹲る。
その様にあわてふためく饅頭の頬がブニィと潰された。
と(‘_L’)「ふざけてんのか? 饅頭氏」
(;)^3^( 「しょんなへっしょほほしゃいしゃへん」
┓(-_L-)「はぁ〜あ、やれやれ。どちらもいい奇術ですが、経験が足りませんねぇ」
(;'A`)「クソぉ……」
(;^ω^)「ごめんだお、ドクオ」
('A`)「いや、気にすんな。オレも焦ったし、お互い様だろ」
(`∠´)「ご苦労だったな、お前たち」
(*'A`)「いえそんな! とんでもございやせん!」
(*^ω^)「いい勉強になりましたお! 鴨志田さん、ありがとうございましたお!」
( ‘_L)「ケッ」
('A`)「また筋肉痛にはならんでくだせぇよ?」
(#‘_L’)「ぁあ?」
.
255
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:15:24 ID:mkY/Z4pM0
(メ._O )「いや然し、内藤の奇術も中々に厄介だな」
(‘_L’)「肺にまで花ァ咲いてんのかと思ったらおぞましかったぜ」
(;^ω^)「氷華は内臓でも血中でも咲きますお。けど、夜叉切丸の一突きで全部枯れちゃうとは思いませんでしたお」
(‘_L’)「言ったろォ? 奇術も例外じゃねぇって」
(;´ω`)「おーん……」
(;'A`)「奇術の能力も桁違いッスけど、体術も凄ぇッスわ……やっぱ伝説は伊達じゃねぇや……」
(*´∀`)「みんなお疲れさまモナ。お茶を持ってきたモナ〜」
(`∠´)「芋も蒸かして来たぞ」
モグモグ
(*)‘_L’)"「掘った甲斐があるってェもんだ」
(`∠´;)「お前は……いつの間に……」
.
256
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:16:32 ID:mkY/Z4pM0
(`∠´)「三月。茶を飲んでからで構わんが、手合わせをしてくれないか?」
(メ._O )「うむ、承知した」
('A`)「ブーン、しかと見て学ぶぞ」
( `ω´)「おっ!」
( )‘_L’)"「おーやれやれー」
(`∠´)「その後はフィレンクト、乙鳥の相手をしてやってくれ」
(‘_L’)「腕痛ェ」
(`∠´;)「無理して宇津田を投げるからだろう」
(‐_L’)「やぁっぱ鈍ってんのかねェ……」
(`∠´)「いつまた狩りに呼ばれるとも知れん。今のうちに鍛え直せ」
(‘_L’)「気が向いたらな」
(`∠´;)「全く……」
(メ._O )「ベル殿、我はいつでも構わぬぞ」
(`∠´)「そうか」
( ´∀`)「準備が出来たら結界を張るモナー」
(メ._O )「うむ」
(`∠´)「お願いします」
( ´∀`)「モナモナ」
稽古に励む死に神たちを照らしながら、日はゆっくりと傾いていった。
.
257
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:17:27 ID:mkY/Z4pM0
宿りし力は君のため
咲き誇りしは氷の蓮華
全ての生を贄にして
守る命はただ一つ
呪いを孕みし、氷の種子よ
生を蝕み、咲く華よ
.
258
:
名も無きAAのようです
:2020/12/05(土) 12:49:47 ID:NP1fQK3M0
おつおつ 三人とも格好よかった!
259
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:52:03 ID:Rsy2eP9Y0
長さ
一丈=約3m
一尺=約30cm
距離
一間=約1.8m
金銭
銭一文=約25円
金一両=約16万円
切り餅=金二十五両を包んだモノ
時間
暁七つ=4時頃
明け六つ半=7時頃
昼八つ(八つ時)=14時頃
暮れ七つ=16時頃
暮れ七つ半=17時頃
暮れ六つ=18時頃
亥の刻=22時頃
四半刻=約30分
半刻=約1時間
一刻=約2時間
その他
.
260
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:53:12 ID:Rsy2eP9Y0
心も身をも
焦がしたりけり
――― 伍 ―――
その恋、燃えつき
.
261
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:54:24 ID:Rsy2eP9Y0
―――コンコンコン、コンコンコン
w,,ぅД~w「ぅ、んん……誰だ、こんな時刻に……」
(#゚;;-゚)「私が見て参ります」
w,,~Д~w「ん……すまんな」
(#*゚;;-゚)「ふふ……いいえ」
.
262
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:55:26 ID:Rsy2eP9Y0
―――コンコンコン
(#゚;;-゚)「はい……どなたでしょうか?」
「あぁ、でぃさん。夜分に申し訳ない。杉浦ロマネスクだ」
―――ガラガラガラ
(#゚;;-゚)「あらあら、杉……!?」
(メ #)ωФ)「クサギコは寝ておるか?」
(#;゚;;-゚)「いえ、起きておりますよ。どうぞ、中へ」
(メ #)ωФ)「邪魔をする」
w;,,゚Д゚w「よぉ、ロマ。何だその顔は」
(メ #)ωФ)「訳は聞くな」
w,,゚Д゚w「そうか。まぁ、なんだ。なにもこんな夜更けに来ずともよいではないか。夢見も良かったと言うに」
(メ #)ωФ)「申し訳ない。見舞いに来ようともどうにも手が空かず、迷惑と知りながら訪ねさせてもらった」
w,,^Д^w「ギコハハハ! その心遣いは嬉しいねぇ……!」
(メ #)ωФ)「粗末な物ではあるが手土産も持ってきた故、受け取って頂きたい」
w,,゚Д゚w「いや、悪いねぇ……」
(メ #)ωФ)「なに、気にすることはない。こんなもの……」
(メ #)ω )「冥土の土産にもならぬ」
.
263
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:56:10 ID:Rsy2eP9Y0
―――カァーーンカァーーンカァーーンカァーーン
日も昇らぬ暁七つに、忙しなく鐘が鳴り響く。
(#‐_L‐)「んぁ………………るせぇなァ………………」
(メ._O )「火事のようだな」
(#ぅ_L‐)「火元は?」
(メ._O )「此処からは離れている」
( ‐_L)「そぉか、んじゃ、寝っか……」
(メ._O )「……む? 主」
( ‐_L)「ああ?」
(メ._O )「ベル殿が……」
―――ガラガターーーン
(`∠´;;)「フィレンクト!!!」
(#‐_L)「あーあーうるせぇうるせぇ」
(`∠´;)「無事か……」
(#‘_L’)「ったりめぇだろ、火元たァ離れてんだ」
(`∠´;)「それはそうだが……」
(メ._O )「……む?」
(#‘_L’)「あ? 今度は誰だ」
(メ._― )「……否、これは……」
.
264
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:57:23 ID:Rsy2eP9Y0
鐘が鳴る少し前。
異変を察した死に神たちは、避難指示や消火の手助けを始めていた。
(; >ω< )「ゲホッ、ゲホッ……」
(;'A`)「大丈夫か、ブーン」
(;^ω^)「平気だお。それより、逃げ遅れた人たちを探すお!」
('A`)「おう。俺ァ向こうを見てくる」
(;^ω^)「気を付けるお」
('A`)「お前もな」
宇津田と分かれ、燃え盛る家屋に目を配らせながら、小走りで進んでいく。
(;^ω^)「誰か居ませんかお!? 助けに来ましたお! 誰か……」
(;^ω^) !
炎揺らめく風下の先で、何かを担ぎ歩く人の姿を見つけ、走り追った。
(;^ω^)「大丈夫ですかお!? お荷物なら僕が……」
( )「不要だ、内藤」
(;^ω^)「お……?」
(Ф )「我輩にはこれが」
(メ #)ωФ)「必要である」
.
265
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:58:13 ID:Rsy2eP9Y0
―――カァーーンカァーーンカァーーンカァーーン
焼け焦げただれ、赤と黒の混じるその担ぎ物を直視した内藤は、ウッと呻き、嘔吐した。
(メ #)ωФ)「死に神がこの程度のもので吐瀉するとは……情けない」
( ;ω;)「ぅ、ウェッ……ひ、必要って……どう言うことですお……」
(メ #)ωФ)「なに、どうせならフィレンクトが良かったのだが、クサギコは足を悪くしていたからな。焼くのは容易であった」
( ω )「……どう言うことだお……」
(メ #)ωФ)「どうもなにも、我輩が担いでいるのはクサギコの丸焼きということである」
( ω )「……坐草さんかお。お前が、担いでいるご遺体は、……坐草さんかお」
(メ #)ωФ)「そう言うておろう」
( ω )「……鴨志田さんも、焼くつもりなのかお」
(メ #)ωФ)「それが何だと言うのだ」
(#゜ω゜) !!!
刹那、内藤は無数の氷の棘を飛ばす。が、杉浦の纏う炎で瞬時に気化してしまった。
(#゜ω゜)「お前がっ!!! 杉浦ロマネスク! お前が火を付けたのかお!!! 杉浦!!! 火付けは極刑と知ってのことかお!!!!!」
(メ #)ωФ)「極刑なぞ、お前以外に知られなければならぬものよ」
(#゜ω゜)「逃がさないお! 絶対に!!!」
(メ #)ωФ)「フンッ……貴様のような青二才から逃れるのは容易い、が……」
(メ #)ω )「燃やした方が早く済みそうである」
.
266
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:59:02 ID:Rsy2eP9Y0
燃え盛る炎が杉浦に呼応するように内藤を囲む。
(メ #)ω )「どうせ燃やすのならば、貴様も手土産に……」
(メ #)ωФ)!
荷を捨て大きく飛び退いた。刹那、風が辺り一面の火を消し飛ばす。
(*;ω;)「お、おお……!」
(メ #)ωФ)「流石は“風鳴りの暗殺者”……風が吹くまで気付かなんだわ」
(*;ω;)「ベルさん……!」
( ∠ ゚ )
夜陰のせいか、殺気のせいか。顔はどす黒く染まり、眼光は鋭い矢の如く、杉浦を射殺さんばかりに睨み付けていた。
(メ #)ωФ)「丁度良い。老い耄れや新造より、お前の方が価値がある」
( ∠ )「……価値……?」
(メ #)ωФ)「そうである。備津府以外にも価値のある死に神は幾人か居るが、最も価値があるのはやはり、えん」
(;メ #)ωФ) !
飛び退いた。見れば、先まで居た場所には複数の穴が空いている。
気配を察して抜刀、受けるために横に構えれば、叩き割らんばかりの勢いで刀が振り下ろされた。
.
267
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:01:52 ID:Rsy2eP9Y0
(;メ #)ωФ)「ぐっ……」
( ∠ )「貴様が死に神として生きることを止めてから数年。閻魔に次ぐ備津府の二番手として名を連ねている今、」
( ∠ ゚ )「負けはせん」
刹那、左腕が吹き飛び、ベルの刀は右肩から左脇腹にかけてその体を切り裂いた。
(;メ #)ω )「ぐあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
崩れ、膝をつく杉浦。それを気にも止めずに刀を振り上げ―――――。
(;‘_L’)「ベル!!!」
(`∠´) !
(;‘_L’)「何をしているんですか! 罪人を殺そうなど……」
(メ._O )「清水殿から生かして連れてくるよう言伝を賜った」
(`∠´)「あ、あぁ……そうか……」
左肩を押さえ、項垂れたように座る杉浦を蹴飛ばし、腹の傷を踏みにじる。
(;メ #)ω―)「っ……!」
( ∠ )「親父さんに感謝するんだな」
そう言い残し、去って行った。
.
268
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:03:28 ID:Rsy2eP9Y0
(;‘_L’)「ど、どうしちまったんだ……」
(メ._― )
(メ._O )「む?」
(;'A`)「よぉ……ベルさん、どうしたんだ……? 凄ぇ怖い顔してたけどよ……」
( ω )
(;'A`)「お、ブーン! 無事だったか! 少し前に叫び声が聞こえて……え、杉浦さん!!? ど、どうしたんスか!!?」
( ω )
ふらふら、ふらふらと、今にも倒れてしまいそうなほどに覚束ない足取りで、内藤は歩き出した。
(;'A`)「あ、おい、ブーン! どこ行くんだよ!?」
.
269
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:09:29 ID:Rsy2eP9Y0
そうして坐草の側まで来ると、倒れるように膝から崩れ落ちた。
( ω )
(‘_L’)「よォ、饅頭氏」
( ;ω;)「鴨志田さん……鴨志田さん……」
涙も鼻水も涎か汗かも分からない液体を流しに流しながら、フィレンクトにすがり付く。
(;‘_L’)「ぎえ」
( ;ω;)「お、おお……坐草さん……坐草さんが………………」
(‘_L’)
(‘_L’)「……クサじぃ、なのか……」
( ;ω;)「う、ううぅ……」
(‐_L‐)
(‘_L’)「饅頭氏、クサじぃの家ェ分かるか?」
( ;ω;)「お……はい、ですお……」
(‐_L‐)「でぃ婆ちゃんも居るばすだ……干瓢と一緒に、元締めんとこォ運んでやってくれ」
( うω;)「お……」
(‘_L’)「頼んだぜ」
( ;ω;)「は、はい……はいですお!」
.
270
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:10:19 ID:Rsy2eP9Y0
日も昇り、人々が焼けた残骸を片付け始めた頃。
|゚ノ#^∀^)「許せません! 許せませんわ!」
(;´・_ゝ・`)「まあまあレモナさん、落ち着いて……」
|゚ノ#^∀^)「どうして落ち着けますの!? この同胞殺し兼火付け人を前にして……!!!」
(;メ #)ω―)「ぐぅ……」
(;´・_ゝ・`)「絞まってる! 絞まってるから!」
牢の中に入れられている杉浦に巻きついている蔦が、その体をきつく絞めあげる。
(`∠´)「失礼します」
(;´・_ゝ・`)「あ、ベル。丁度良かった……レモナさんを落ち着かせてほしいんだ。今、殺すわけにはいかないだろう?」
(`∠´)「それはレモナさんも承知していることでしょう。それより、親父さんから日没とともに処刑するとの言伝を……」
(;´・_ゝ・`)「今日の内にするのかい?」
|゚ノ#^∀^)「私は日没まで待てませんわ!」
(メ #)ωФ)「……デミタス」
(´・_ゝ・`)「ん? なんだい?」
(メ #)ωФ)「フィレンクトを呼ん」
(;メ #)ω―)「うぅ、ぐ……」
|゚ノ# ∀ ゚)「何ですって?」
( ∠ ゚#)「殺すぞ」
.
271
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:11:23 ID:Rsy2eP9Y0
(;´・_ゝ・`)「まあまあ、この状態じゃ奇術も使えないだろうし……」
|゚ノ#^∀^)「駄目! 絶対に駄目ですわ!」
( ∠ ゚#)「千両は渡しただろう」
(メ #)ωФ)「殺すわけでは無い。我輩は、……文を書きたいのである」
(´・_ゝ・`)「文? フィレンクトに文を書くのかい?」
(メ #)ωФ)「いや」
(´・_ゝ・`)「うーん……じゃあ、文を届けてもらうのかい?」
(メ #)ωФ)「……まぁ」
( ∠ ゚#)「そんなこと、何故フィレンクトでなければならないのか!!?」
|゚ノ#^∀^)「そうですわ!」
(;´^_ゝ^`)「まあまあ……」
( ゚¥゚)「文を届けるくらいなら、フィレンクトに危害も及ばんだろう」
(`∠´;)「お、親父さん!!?」
( ゚¥゚)「遺言くらい届けてやらねばな。それより、ロマネスクから遠ざかるなら、むしろ良いんじゃないのか?」
|゚ノ;^∀^)「そう言われれば、そうですわね……」
(´・_ゝ・`)「うんうん」
(`∠´;)「しかし……」
( ゚¥゚)「レモナ、紙と筆を頼む。デミタスは机だ」
|゚ノ*^∀^)「かしこまりましたわ」
(´・_ゝ・`)「取ってくるよ」
( ゚¥゚)「ロミス」
£°ゞ°)「はい」
( ゚¥゚)「フィレンクトとウサギを呼んできてくれ」
£- ゞ- )「御意」
.
272
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:12:07 ID:Rsy2eP9Y0
(‘_L’)「それで、私に何用です?」
(メ #)ωФ)「文を届けてもらいたい」
(‘_L’)「文ですか。貴方にそんなもの届けたい人が居るのですねぇ……。それで、届け先は?」
(メ #)ωФ)「……フィレンクトと二人にしてくれまいか?」
( ∠ ゚#)「何だと!?」
(メ #)ω―)「あぁ、そこの為らざるモノと三人だ」
( ゚¥゚)「それなら構わん」
(`∠´#;)「親父さん!」
|゚ノ;^∀^)「甘やかしすぎですわ」
( ゚¥゚)「日没まで刻がない。出るぞ」
(´・_ゝ・`)「分かりました」
.
273
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:13:04 ID:Rsy2eP9Y0
(メ #)ωФ)「……そう言えば、こうして話をするのは久方ぶりだな」
(‘_L’)「ここに運ぶ間は気を失っていましたからねぇ。ところで、文の届け先は? 刻がないのでしょう?」
(メ #)ωФ)「そうだったな。届け先は……奥野の、シュールに……」
(‘_L’)「奥野とはまた、遠いですねぇ……返事の文が間に合うか否か……」
(メ #)ωФ)「届けさえすれば構わん」
(メ._O )「ん? 奥野のシュールとは、もしや……」
(メ #)ωФ)「お前に心当たりがあるなら、場所の仔細は要らぬな」
(メ._O )「あぁ、しかし……」
(‘_L’)「ところで、文は書いてあるんですか?」
(メ #)ωФ)「いや、これからである」
(‘_L’)「乾かす必要がありますので、お早めに。それと、書いたものを確かめるよう言われておりますので、悪しからず」
(メ #)ωФ)「分かっておる」
.
274
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:13:51 ID:Rsy2eP9Y0
(‘_L’)「ウサギはシュールと言う方をご存知で?」
(メ._O )「我も会ったことはないが、遊びを好み、相手をするのは骨が折れるとの話しを聞いた」
(‘_L’)「へぇ……」
(メ._O )「そのシュールに気に入られるとは、よっぽどなのだろうな」
(メ #)ωФ)「書けたぞ」
(‘_L’)「おや。それでは拝借します」
(‘_L’)
_,
(‘_L’)「……恋文ですか?」
(メ #)ωФ)「ああ」
_,
(‘_L’)「何故これを私が?」
(メ #)ωФ)「為らざるモノと親しい死に神はお前しかおらぬ故」
_,
(‘_L’)「はぁ……まぁ……」
(‘_L’)「因みに、この文にはどういう意味が込められているのです?」
(メ #)ωФ)
(メ #)ω―)「それは……」
.
275
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:15:44 ID:Rsy2eP9Y0
(`∠´;)「親父さん! フィレンクトは!?」
( ゚¥゚)「奥野へ発ったぞ」
(`∠´;)「奥野!? あそこには一帯を統べる蛇鬼(じゃき)が居るはずでは……」
( ゚¥゚)「とうの昔にロマが狩ってくれている。……まぁ、それ以来、奴は死に神を止めてしまったがな」
(`∠´;)「そうですか……。しかし、奥野には死に神の巣窟もありませんし、山奥故に民家も無いはずです。なのに、何故そんなところへ文を……」
( ゚¥゚)「確か、金で人を雇っていると言っていたな。そこに誰か残してきたのやもしれん」
(`∠´;)「では、坐草さんのご遺体が必要だとか、死に神に価値があるなどとほざいていたことについては……?」
( ゚¥゚)「分からないことを考えていても仕方がない。フィレンクトが戻ってきたら聞けばよかろう」
(‐∠‐;)「……はい」
( ゚¥゚)「よし。さあ、処刑の準備だ」
(`∠´;)「承知しました」
.
276
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:16:53 ID:Rsy2eP9Y0
(;‘_L’)「急げ、ウサギ!」
夜叉切丸の細い峰に苦もなく立つフィレンクトと、
(メ._⊿,;)「早すぎるぞ!」
為らざるモノの姿に戻り、跳ぶように走るウサギ。
(;‘_L’)「主に盾突いてんじゃあねェ!」
(メ._⊿,;)「然し、杉浦は返事が間に合わなくともよいと言うていたではないか」
(;‘_L’)「あんなもん、建前に決まってんだろォ! 昔っから女にゃ好かれるクセに全く興味を持たなかったあのジジィが、周りが見えなくなるほど夢中になってんだぞ!」
(メ._⊿,;)「ほう……?」
(;#‘_L’)「分かんねぇならいい! 頭より足ィ動かしやがれ! 夜叉切丸ももっとだ! もっと!」
(メ._⊿,;)「……例え要らぬと言うのが建前だとしても、何故主が必死になるのだ。好かれたいが為に同胞まで殺めたのだぞ」
(‘_L’)「だとしても、だ。俺にゃァあのジジィに恩がある」
(メ._⊿,)「恩? そんなに大きな恩なのか?」
(‘_L’)「あぁ……まだ兄ィと二人でさ迷っていた頃だ。雨の中、俺ァ風邪を拗らせちまってな。廃屋で雨宿りしてたのよ。そォしたらたまたまあのジジィが通りかかって、巣窟に連れてって医者を呼んでくれて……あのままだったら俺ァ死んでたって言われたそうだ」
(メ._⊿,)「そのような経緯があったのだな……」
(‘_L’)「まァ、大袈裟に言やぁジジィは命の恩人だって事よ」
.
277
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:17:43 ID:Rsy2eP9Y0
(#‘_L’)「分ぁったらもっと早く走れ!!!」
(メ._⊿,;)「無茶を言うな! 我にも限度があるのだぞ!」
(#‘_L’)「あぁん???」
(メ._⊿,;)「だが、思うたより早う奥野に着きそうだ」
(#‘_L’)「何言ってんでェ! 昼なんかとっくに過ぎちまってんだ! 今は日も短くなってきてんだぞ! さっさとシュールを探し」
(‘_L’) !
(メ._⊿,) !
飛び退いた。直後、焼けるような音と共に近くの木が溶け、倒れた。
―――クスクスクス……クスクスクス……
(#‘_L’)「誰でェ! 人が急いでる時に……ぶち殺すぞッ!」
―――クスクスクス……クスクスクス……
「と〜りゃんせ、とぉりゃんせ〜」
(#‘_L’)「通っていいんなら邪魔すんじゃあねェ!」
一歩足を踏み出せば、その数歩先に落ちた液が地を溶かす。
(# ゚_L )「通さねぇなら殺す」
(メ._⊿,)「主」
(#‘_L’)「ぁあ?」
.
278
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:18:32 ID:Rsy2eP9Y0
(メ._⊿,)「この歌は続きがあるのか?」
(#‘_L’)「んなもん関係ねぇだろ!」
(メ._⊿,)「言うたであろう。遊びを好むと」
(‘_L’)「……あ? じゃあ、アイツが……」
(#*‘_L’)「おいテメェ、俺に歌えってのか!?」
(メ._⊿,)「無論。我は知らぬ故」
(#*‘_L’)「クソがッ!」
―――クスクスクス……クスクスクス……
「と〜りゃんせ、とぉりゃんせ〜」
(;#*∩_L‐)「……こーこはどーこの細道じゃー」
「クスクス……毒蛇鬼シュールの細道じゃ〜」
(‘_L’)「……どーぞ通してくだしゃんせー」
「ご用の無いもの通しゃせん〜」
(‘_L’)「杉浦ロマネスクから」
―――!
(‘_L’)「文を預かってきた」
懐から出した文を声のした方へ投げれば、蛇の尾のようなものがそれを掴み、再び姿を隠す。
.
279
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:19:23 ID:Rsy2eP9Y0
(‘_L’)
(メ._⊿,)
「……これはどういう意味でありんすの……」
(‘_L’)「……人間だけではなく、死に神を食べてみたいと言うその想いに答えるため、昔からの友をも手に掛けたなら、その罪でこの身が、貴女を想ってこの心が、焦げてしまいそうだ。とのことです」
:(;‘_L’): ヒィ…
ガサガサと枝葉を揺らし、現れたのは、上半身が女性で、下半身が青葉色の鱗を持つ蛇の姿をした為らざるモノだった。
lw;´‐ _‐ノv「ロマネスク様は!? ロマネスク様はご無事でありんすか!?」
(‘_L’)「日があるうちは心配無ェ」
lw;´‐ _‐ノv「あぁ! ロマネスク様! ロマネスク様!」
(‘_L’)「待て」
lw;´‐ _‐ノv「止めないでおくんなまし! なんと言われようと、わっちはロマネスク様に会いに行きんす」
(‘_L’)「だぁらよ、そんじゃあ日ィ落っちまうだろって」
lw;´‐ _‐ノv「それでも、わっちは……」
(‘_L’)「ウサギ」
(メ._⊿,)「御意」
ウサギはシュールを抱え、その尾を自らに巻きつかせた。
.
280
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:20:32 ID:Rsy2eP9Y0
lw´‐ _‐ノv「あら? ぬしは月山の兎でありんすの?」
(メ._⊿,)「そうだ」
lw´‐ _‐ノv「それでは、あちらが閻魔?」
(メ._⊿,)「如何にも」
lw´‐ _‐ノv「ぬしほどのモノが死に神に下ったとの噂は真でありんしたの」
(メ._⊿,)「そう言うお前も、死に神と恋仲になっているではないか」
lw´‐ _‐ノv「わっちはロマネスク様と対等でありんす」
(メ._⊿,)「我とて、主より『下につく供であり、横に立つ友だ』と言われておる」
lw*´‐ _‐ノv「あらあら、わっちらよう似ていんすなぁ」
(メ._⊿,)「それは同感だ」
_,
(#*‘_L’)「じゃかしいさっさと走れ狩るぞ手前ェら!!!」
そう言い夜叉切丸の峰に飛び乗った途端、弾丸のように山を下る。
lw*´‐ _‐ノv「クスクス……お子は照れると愛らしくありんす」
(メ._⊿,)「我らも行くぞ。しかと掴まっておれ」
lw´‐ _‐ノv「よろしゅうお願いしんす」
.
281
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:23:00 ID:Rsy2eP9Y0
日が半分ほど山に隠れた頃。
磔(はりつけ)にされた杉浦の足元を囲うように、藁が山積みになっていた。
(メ #)ω┿)(シュール……)
(`∠´)「火矢は私が飛ばす。自らの行いを省み、地獄で悔いろ」
(メ #)ωФ)「……ベル」
(`∠´)「何だ」
(メ #)ωФ)「アイシスに想いは告げたのか?」
(`∠´*#)「なっ……! 貴様……!」
(メ #)ω┿)「我々が思うているより、死に神は短命だ。為らざるモノは強く、狩りに出向けば死に直面する。それに、アイシスは身体が弱い。……共に命があるうちに、幸せになれよ」
(`∠´#)「黙れ! 貴様如きに杞憂される事ではない!」
(メ #)ωФ)
(メ #)ω┿)「そうであるか……すまん」
(`∠´#;)
.
282
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:23:47 ID:Rsy2eP9Y0
£°ゞ°)「ベルさん。父様がそろそろと……」
(`∠´)「分かった」
(‐∠‐)
(`∠´)「乙鳥」
£°ゞ°)「はい」
(`∠´)「フィレンクトはまだ戻らんか」
£°ゞ°)「戻ったとの報せは聞いていません。ですが、近付いて来てはいます」
(`∠´)「そうか、ありがとう」
£*°ゞ°)「いえいえ〜」
.
283
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:25:52 ID:Rsy2eP9Y0
ゆっくり、ゆっくりと日は顔を隠し、辺りは徐々に暗くなっていく。
( ゚¥゚)「ロマネスク」
(メ #)ωФ)「何であるか」
( -¥-)「そろそろだ……すまんが、成仏してくれ……」
(メ #)ωФ)「よい。我輩のしたことが我輩に返ってくるだけである」
( ゚¥゚)「ロマネスク……」
(メ #)ω┿)「長い間、世話になったな。それと、長い間すまなかった……」
( -¥-)「そんなこと、今さら気にするな」
( ゚¥゚)「ベル、頼むぞ」
(`∠´)「はい」
( -¥-)
( ゚¥゚)「それでは、これより、杉浦ロ」「間に合ったみてェだ!!!」
( ゚¥゚) !
.
284
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:27:19 ID:Rsy2eP9Y0
(;‘_L’)「どぅわっ!?」
急に止まった夜叉切丸から放り出されたフィレンクトは顔から地面に落ち、シュールを降ろしたウサギは尻もちを着くように座り込む。
(;‐_L‐)「ヒィ……ヒィ……おぇっ……」
(メ._―,;)「ハァ……ハァ……最早、立つことも、ままならぬ……」
lw*´‐ _‐ノv「ロマネスク様!」
(`∠´;)「なっ……!?」
( ゚¥゚)
(メ #)ωФ)「……シュール?」
lw*´‐ _‐ノv「ロマネスク様!」
(メ #)ωФ)「何故、此処へ……」
lw*´‐ _‐ノv「閻魔と月山のが連れてきてくれんした」
(メ #)ω┿)「……そうか」
.
285
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:28:17 ID:Rsy2eP9Y0
(メ #)ω┿)「最期に見(まみ)えて良かった、シュール。もう帰れ」
lw´‐ _‐ノv「……え?」
(メ #)ω┿)「帰るのである」
lw;´‐ _‐ノv「何故そないなこと仰いますの!? わっちは……わっちは……」
(メ #)ω┿)「文を読んだのであろう?」
lw´‐ _‐ノv「でありんすから、こうして来んした」
(メ #)ω┿)「……我輩の焼け爛れる様を、お前に見られたくないのだ」
lw´‐ _‐ノv「そんなもの見いしんせん。わっちは永遠に、ロマネスク様と共にありんす」
(メ #)ωФ)「……シュール……」
lw*´‐ _‐ノv「わっちはロマネスク様から離れんせん」
(`∠´;)「……如何致しましょう」
( ゚¥゚)「フィレンクト」
(‘_L’)「何をお迷いで? このために彼女は下りると言ったのでしょうから、気持ちを汲んでください」
(`∠´;)「ん……そうか……」
lw*´‐ _‐ノv「感謝しんす」
.
286
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:30:21 ID:Rsy2eP9Y0
( ゚¥゚)「では改めて、杉浦ロマネスクの処刑を行う。……火矢を」
(`∠´)「はい」
矢の先に巻かれた、油の染み込んだ布。それを火へ潜らせ燃やし、弦を引き絞る。
(メ #)ωФ)「……シュール」
lw*´‐ _‐ノv「はい」
(メ #)ω┿)「もっと、側に……」
lw*´‐ _‐ノv「はい」
尾を杉浦の体へ巻きつけ、磔台ごと抱き締める。
(メ #)ω┿)「シュール……」
lw*´ _ _ ノv「ロマネスク様……」
(`∠´;;)
.
287
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:34:59 ID:Rsy2eP9Y0
ギチギチと弓が軋み、腕が疲れで震え始めても尚、ベルは火矢を放てずにいた。
(‐∠‐;;)
(`∠´;;)
(メ #)ωФ)
(`∠´;) !
(メ #)ωФ)
(メ #)ω┿)"
(`∠´;;)
(‐∠‐;;)
.
288
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:37:16 ID:Rsy2eP9Y0
二人を包む炎は燃え盛り、夜の闇を照らす。
( ∠ )
(‘_L’)「兄ィ」
(`∠´)「ん? 何だ」
(‘_L’)「……辛ェのか?」
(‐∠‐)「……分からん」
(‘_L’)「そォ」
(‐∠‐)
(‘_L’)
(`∠´)「フィレンクト」
(‘_L’)「んぁ?」
(`∠´)「文には、何と?」
(‘_L’)「……あのジジィが恋文を書いた。それしか言えねぇ」
(`∠´)「そうか。あのロマさんが……」
(‘_L’)
(`∠´)
.
289
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:38:11 ID:Rsy2eP9Y0
抱き締め合い一つになっていた影が、炎の中で少しずつ、少しずつ、崩れていった。
.
290
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:39:04 ID:Rsy2eP9Y0
君想い
故郷の友を 焼きむれば
心も身をも
焦がしたりけり
.
291
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:56:55 ID:Rsy2eP9Y0
明けましておめでとうございます。
292
:
名も無きAAのようです
:2021/01/05(火) 20:34:27 ID:6e7oNUts0
今更再開気づいてむせた
ファイナル板移動とかはせずに行くのか
293
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/08(金) 23:44:07 ID:/PG9/1Yo0
コメントありがとうございます。
今のところ移動させる予定はありません。こっちでのんびり書いていきます。
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