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備津府を守るは死に神たちのようです
193
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:25:44 ID:fpP45/Ik0
(`∠´)「何か食いたい物はあるか? 久々に、飯でも食いに行こう」
(‘_L’)「食いたい物?」
(*‘_L’) !
(;*‘_L’)「……その……」
(`∠´)「ん?」
(;*‘_L’)
、_
(L_‐*;)彡 フイッ
(`∠´)「どうした?」
、_
(L_‐*;)「……兄ィの、飯が、……食いたい……」
(`∠´*) !
(`∠´*)「直ぐに支度しよう。寒い故、早よう中に入りなさい」
_,
(;*‐_L‐)「へーへー」
目を合わせぬように、フィレンクトはそそくさと入って行く。
その後ろ姿を嬉しそうに見ながら、自らも土間へ足を踏み入れた。
.
194
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:26:29 ID:fpP45/Ik0
チィリンチリチリ鈴鳴けば
幼子きゃいきゃい手を叩く
チィリンチリィンと鈴鳴けば
幼子よちよち歩み寄る
遠き日々は掠れれど
君の誕生、忘れ得ぬ
.
195
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 20:29:31 ID:fpP45/Ik0
£°ゞ°)
http://imgur.com/8g7HPd8.jpg
196
:
名も無きAAのようです
:2016/01/17(日) 21:32:58 ID:qpgfEx6c0
>>177
見て
>>138
見直して気づいたけど切り餅高価すぎワロタ
微妙にペニサスがテンプレと違う(
http://imgur.com/Vleq5Jk.png)
ので一応報告
197
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/17(日) 21:49:17 ID:fpP45/Ik0
>>196
気付きませんでした……。有り難うございます。
198
:
名も無きAAのようです
:2016/01/17(日) 22:30:39 ID:uj11baBQ0
乙乙
戻ってきてたんだね!おかえりなさい.
199
:
名も無きAAのようです
:2016/01/18(月) 03:00:33 ID:v0w0Bjmc0
続き来てたのか!
乙
200
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/18(月) 15:25:53 ID:mE/ZsG6Q0
何とはなしに検索をかけたところ、切り餅と言うのは一分銀を包んだモノの事で、金二十五両を包んだモノは包み金と言うらしいですね……知りませんでした……。
今更直すのも面倒なので、この作品では切り餅で通させて頂きます。
201
:
名も無きAAのようです
:2016/01/19(火) 03:31:34 ID:XGPwEc9w0
そもそも切り餅にそんな意味があること自体知らなかった俺氏
202
:
◆vvt8MHIS22
:2016/01/19(火) 19:42:47 ID:AzHbrZjQ0
修正他
>>138
金銭
銭一文=約25円
金一両=約16万円
切り餅=金二十五両を包んだモノ
>>172
-
>>177
('、 `*川 → ('、`*川
('ー`*川 → ('ー`*川
>>195
作者絵に就きまとめ不要
203
:
名も無きAAのようです
:2016/01/20(水) 22:41:37 ID:xFuYlc2g0
乙
こっからどうストーリーが進んでいくのかと思うとワクワクするでよ
204
:
◆vvt8MHIS22
:2016/04/24(日) 12:55:21 ID:5ASF/JNs0
生きてます。
7月頃まで忙しくなりそうなので、投下はそれ以降になるかと思います。
205
:
名も無きAAのようです
:2016/04/29(金) 21:25:05 ID:8mNbFTvU0
気長に待ってるよー
206
:
名も無きAAのようです
:2016/06/09(木) 05:23:24 ID:vkIY36wYO
おk
またーり待っとく
207
:
◆vvt8MHIS22
:2016/10/18(火) 11:12:56 ID:n8a/3bVM0
生きてます。
まだ半分も書けていませんが、今年中には投下出来るようにします。
208
:
名も無きAAのようです
:2016/10/18(火) 13:15:38 ID:Tvhrehxs0
おっしゃ、待ってるぜ
209
:
◆vvt8MHIS22
:2016/11/28(月) 15:04:58 ID:xY78LIRc0
12月の予定見た限り難しそうなので、頭の10レス程の区切りいいとこまで投下します。
あと、こないだの総合の内容で少し気になりましたので一応補足しますが、この話しでは都村(つむら)でお願い致します。
210
:
◆vvt8MHIS22
:2016/11/28(月) 15:06:31 ID:xY78LIRc0
長さ
一丈=約3m
一尺=約30cm
距離
一間=約1.8m
金銭
銭一文=約25円
金一両=約16万円
切り餅=金二十五両を包んだモノ
時間
明け六つ半=7時頃
昼八つ(八つ時)=14時頃
暮れ七つ=16時頃
暮れ七つ半=17時頃
暮れ六つ=18時頃
亥の刻=22時頃
四半刻=約30分
半刻=約1時間
一刻=約2時間
その他
甘藷=サツマイモ
.
211
:
◆vvt8MHIS22
:2016/11/28(月) 15:07:12 ID:xY78LIRc0
呪いを孕みし、氷の種子よ
生を蝕み、咲く華よ
――― 肆 ―――
その華、氷りつき
.
212
:
◆vvt8MHIS22
:2016/11/28(月) 15:08:11 ID:xY78LIRc0
両手に提げる、数多の包み。足取り軽く、歩むは饅頭。
(*^ω^)「おっおっおー! おっおっおー!」
間抜けな歌を間抜けな声で、何が嬉しか歌って進む。
町抜け橋越え川沿い進めば、着きし備津府の巣窟なりて。
(*^ω^)「お早う御座いますお!」
(* ^^)「お早うございます!」
(*・3・)「お早うございまス!」
ヽiリ,,*゚ヮ゚ノi「お早うございまーす!」
('A`)「おはよーさん」
|゚ノ*^∀^)「お早う御座いますわ、ホライゾンさん。今日はお早いのね」
(*^ω^)「おっおっ! 頑張って起きて来ましたお」
|゚ノ ^∀^)「あら? 何か御予定が有りますの?」
(*'A`)「へへへ、内緒でさァ」
|゚ノ*^∀^)「あらあら、それは残念ですわ。うふふ」
ヽiリ,,*゚ヮ゚ノi「ブーンさん、これお団子?」
(*^ω^)「そうだお。食べていいお!」
(* ^^)「あ! 俺も!」
(*・3・)「頂きまス!」
(*^ω^)「おっおっおっ」
.
213
:
◆vvt8MHIS22
:2016/11/28(月) 15:08:58 ID:xY78LIRc0
(*'A`) !
(*'A`)「ブーン、来たぜ」
( ^ω^)「お?」
(`∠´)「お早う」
(メ._O )「早朝より邪魔を致す」
(*'A`)「お早う御座ぇます!」
(*^ω^)「お! お早う御座いますお!」
(*・3・)「お早うございまス!」
(*)^^)" モゴモゴ
ヽiリ,,*)゚〜゚ノi" ムグムグ
|゚ノ*^∀^)「お早う御座いますわ」
('A`)「あれ? 鴨志田さんは?」
(メ._O )「主ならば、ほれ」
(川_L川)
:(((; ゚ω゚ ))):そ「ぴぎぇゃああああああああああ幽霊ええええええええええ!!!」
∩#‘_L川)「誰が幽霊だ殺すぞ小豆饅頭!!!!!」
(`∠´;)「だから結って来いと言っただろう」
∩#‘_L川)「濡れたまま結ったら乾きゃしねェってんだろ!!!!!」
ヒソヒソ
('A`;)「今日は余計に機嫌悪ィな……」
(メ._O )「出会い頭に幽霊なぞと言われれば、機嫌も損ねよう」
('A`)「あぁ……」
214
:
◆vvt8MHIS22
:2016/11/28(月) 15:09:49 ID:xY78LIRc0
|゚ノ;^∀^)「あら? お髪が濡れていますの? しっかり乾かさないと、お風邪を引きますわよ?」
_,
∩‘_L川)「引きませんよ」
|゚ノ*^∀^)「そうですわ! 私が拭いて差し上げます! 手拭いを取って参りますわね」
∩;‘_L川)「結構で……あ〜……」
(;川_L川)「今の内に行きましょう」
(`∠´)「まぁ待て。親父さんの用件を聞かねばならん。お前たち、親父さんが何処に居るか知らないか?」
モグモグ
ヽiリ,,゚〜゚ノi"「おやひしゃんなら、ほきゅにいまひゅよ!」
(`∠´;)「食いながら喋るな、はしたないぞ」
ヽiリ,,´゚〜゚ノi" シュン…
( ・3・)「親父さんなら奥に居ますヨ! でも、ベルさん達が来たら、ここで待ってるように言ってましたヨ!」
(`∠´)「そうか。有り難う」
(川_L川)「用件など聞かずとも、どうせ |゚ノ*^∀^)「はいはい、拭きますわよ〜」
゙(;川_L川)"「ぶわっ!!?」
(*^ω^)「おっおっ! 何処の風呂に行って来たんですかお?」
(メ._O )「ベル殿の家で入ったのだ」
('A`)「鴨志田さん家は風呂が無いんですかい?」
(メ._O )「うむ」
( ^ω^)「お? そう言えば、鴨志田さん家って何処にあるんですかお?」
(;从_L∬)「何処でもいいでしょう、全く……」
.
215
:
◆vvt8MHIS22
:2016/11/28(月) 15:10:35 ID:xY78LIRc0
|゚ノ*^∀^)つE 「はいはい、フィレンクトちゃん。お髪を梳かしますから、ジッとしていてくださいね」
(;う_L∬)「いつもしていないので結構です……」
|゚ノ*^∀^)つE" 「あらあら。遠慮なさらなくて良いですわ! さあさ、梳かしましょうね〜」
彡;‘_L∬)「いや、あの……」
(*^ω^)「おっおっ! 鴨志田さん、お人形みたいですお!」
彡# ゚_L∬)「あ"あ"?」
:(;^ω^): ビクッ
彡# ゚_L∬)「饅頭氏テメェ、そんなに土饅頭になりてぇのか? あ???」
(;^ω^)「そ、そそそそんなつもりじゃ……」
(`∠´;)「止めろ、フィレンクト」
|゚ノ;^∀^)つE" 「そうですわよ。せっかくの色男が台無しですわ」
(#川_L’ミ 「はんッ!」
(メ._O )「宇津田、お人形とは何だ?」
(;'A`)「何だっつわれてもなぁ……まぁ、木で作られた、女の幼子の形をしたモンだ」
(メ._O )「何故それが、主に似ておるのだ?」
('A`)「人形はな、それを世話して遊ぶんだ。着てるモン替えたり、髪ィ梳かしたり……似てっだろ?」
(メ._O )「あぁ……」
.
216
:
◆vvt8MHIS22
:2016/11/28(月) 15:11:22 ID:xY78LIRc0
( ^ω^)「お? ドクオ」
('A`)「んぁ?」
( ^ω^)「今日の事、聞かないのかお?」
(;'A`)「機を窺ってんだよ。焦んな焦んな」
|゚ノ*^∀^)「さぁ、結えましたわよ!」
(‘_L’)「有難う御座います」
スッと障子が引かれ、現れた盛岡の腕には溢れんばかりの文(ふみ)が抱えられている。
(´^_ゝ^`)「やあ、もう来てたのか。道理で賑やかな訳だよ」
(`∠´;)「これは盛岡さん……お早う御座います」
(メ._O )「お早う御座います」
(‘_L’)「おや。これはこれは師範代、お久し振りで御座います」
(;^ω^)(し、師範代……!!?)
(´^_ゝ^`)「うんうん。この間会ったけどね、久し振り」
(;・3・)「その文は何ですかヨ?」
(´・_ゝ・`)「あー、此れね。全部ベルの分だよ」
(`∠´;)「ま、まさか……この為に、寄るよう仰られたのですか!!?」
(´・_ゝ・`)「そうだね」
_,
(*‘_L’)「何時までも独り身だからこうなるんです! 様ァ見ろwwwwwwww」
(`∠´#;)「お前に言われたくは無い!」
ヽiリ,,゚ヮ゚ノi「文? 独り身?」
('A`)「あー……縁談ッスか?」
(´^_ゝ^`)「御名答」
.
217
:
◆vvt8MHIS22
:2016/11/28(月) 15:12:03 ID:xY78LIRc0
(* ^^)「誰から文が届くんですか?」
|゚ノ*^∀^)「良家に武家に国家老、重役……様々なお家柄の方からですわ」
(´・_ゝ・`)「まぁ、権力の為の政略結婚みたいなモノだけどね」
(メ._O )「死に神にその様な権力がお有りだとは、存じませなんだ」
(´^_ゝ^`)「言い方が悪かったかな? 済まないね。詰まる所、脅しの為の武力だよ」
(メ._O )「脅し?」
(‘_L’)「『言う事が聞けないのならば、私の義子が黙っていませんよ?』と言う感じですね」
(メ._O;)「あぁ、成る程……威厳も何も有ったものでは無いな」
(´^_ゝ^`)「それでも、虎の威を借りたいんだよ。狐……いや、狸爺共はね」
(´・_ゝ・`)「で、どう? 決まった?」
(`∠´)「はい。芋を焼く際に使おうと思います」
(;´・_ゝ・`)「現実を見て!」
(*^ω^)「おっおっ! 焼き芋ですお!」
(メ._O )「そうだ、内藤」
( ^ω^)「お?」
(メ._O )「近々、甘藷(かんしょ)を購う故、良ければ金団にして貰いたい」
(*^ω^)「構いませんお!」
(‘_L’)「高崎屋で購えばいいでしょう。それより、ベルに文が届くのならば、アイシスにも届いているのではありませんか?」
(`∠´;) !
「届いているぞ」
.
218
:
◆vvt8MHIS22
:2016/11/28(月) 15:12:51 ID:xY78LIRc0
(;;‘_L’)そ「うぉっ!!?」
「まぁ、全てに断りの返事を書いているがな」
(‐∠‐*;)「そ、そうですか……」
ヽiリ,,;゚ヮ゚ノi「お、親父さんが文に埋もれてる!!!」
(;・3・)「流石は『閻魔に次ぐ者』だヨ……まだあんなに文があるなんテ……」
(;'A`)「いや、ありゃァ……鴨志田さんのじゃねェか?」
(∩L_‐;)「見えません有りません知りません」
(; ゚¥゚)「無いことにするなっぁあおっと……! 済まんが、台から落ちないように押さえてくれ」
(;・3・)「合点!」
(; ^^)「承知の!」
ヽiリ,,;゚ヮ゚ノi「助三郎!」
(‘_L’)「では早速、暖を取るため燃やしましょうか」
(`∠´)「それは良い」
|゚ノ;^∀^)「良くありませんわ」
(; ^^)「でも何で、ベルさんのより多いんですか?」
(´^_ゝ^`)「だって閻魔だし」
( ・3・)「アァ、閻魔ですかヨ」
( ^^)「ふーん、閻魔かぁ……」
ヽiリ,,´ヮ`ノi「閻魔なら納得ですね〜」
.
219
:
◆vvt8MHIS22
:2016/11/28(月) 15:13:40 ID:xY78LIRc0
( ・3・)
( ^^)
ヽiリ,,´ヮ`ノi
(;゚8゚;)「ナッ……!!!!!???」
(; ゜゜;)「なん……!!!!!???」
iリ;,゚Д゚,;ノi「だと……!!!!!???」
(#‘_L’)「こっち見んな!!!」
(;´・_ゝ・`)「あ、あれ? 内緒にしてた?」
(#‘_L’)「してたに決まってんだろ!!! 燃やすぞ!!!!!」
.
220
:
◆vvt8MHIS22
:2016/11/28(月) 15:14:24 ID:xY78LIRc0
(;´・_ゝ・`)「あちゃー……」
(; ゚¥゚)「済まん、伝え忘れていた」
|゚ノ*^∀^)「まぁまぁ、宜しいじゃありませんの。何時かは分かる事でしたし」
_,
(‘_L’)「今日で無くとも良かったんですがね」
(`∠´;)「フィレンクト」
、_
(L_’ )彡 フイッ
( ゚¥゚)つ[]「フィレンクト、これなんかどうだ?」
_,
(‘_L’)「はい?」
( ゚¥゚)つ[]「弐茶根(にさね)城城主の三女からだ」
(;‘_L’)「見合いは結構です!!!」
( ゚¥゚)「とりあえず、目を通してみろ。……ベルもな」
(‐∠‐;)「は、はぁ……」
(メ._O )「む? 主」
O[]
(‘_L’)「何です?」
[]と(メ._O )「呉服高岡屋長女とあるぞ」
(;‐_L‐)「はぁ……。懲りませんねぇ……」
(;* ^^)「凄いなぁ……」
(*・3・)「名の有る死に神になったら、選び放題かヨ!」
ヽiリ,,*´ヮ`ノi「え〜! 迷っちゃぁ〜う!」
( ゚¥゚)「十年早いぞ」
.
221
:
◆vvt8MHIS22
:2016/11/28(月) 15:15:10 ID:xY78LIRc0
(`∠´;)
.O[] []と
(;*'∀`)「そ、そう言やァ、ベルさん。今日はこれから稽古だそうで」
(`∠´)「ん? あぁ、そうだが……話したっけか?」
(*^ω^)「ロミ (;'A`)b「バッカお前シーッ!」
( ´ω`)
(`∠´;)「乙鳥か……。それで、何か用か? 時期に出る故、夕方にならねば帰らんと思うが……」
(*'∀`)「へい! オレ達も連れてってくだせぇ!」
(*^ω^)「お願いしますお!」
(`∠´)「私は構わんぞ。フィレンクトはどうだ?」
( ^_L^ )「死んでもいいなら構いませんよ?」
(;^ω^)「お!?」
(;'A`)「な、何で死ぬんですかい?」
(`∠´)「稽古とは言え、奇術を使うからな。怪我の一つは覚悟しておけよ」
(*'∀`)「へぃっ!」
(‐_L’)「そう言えば、あれ以来饅頭氏と組む事は疎か、狩りにすら呼ばれていませんからねぇ……。今の内に『変幻氷華』、見せてもらいましょうか」
(;^ω^)「内藤ですお。何をしても、鴨志田さんに勝てる気がしませんお……」
(‘_L’)「当たり前でしょう。まぁ、勝ち負けの決まった稽古ほど詰まらないモノはありませんからねぇ。饅頭氏と干瓢、一遍に相手をしてあげますよ」
(;*^ω^)「お!!?」
(;*'∀`)「ほ、本当ですかい!?」
_,
(‘_L’)「嘘を吐いて何になるんです? 自分の顔に泥を塗るだけでしょう」
(;*'A`)「そ、それもそうでさァ……」
.
222
:
◆vvt8MHIS22
:2016/11/28(月) 15:16:03 ID:xY78LIRc0
(`∠´)「では、そろそろ行くか」
(‘_L’)「えぇ」
(メ._O )「うむ」
(*^ω^)「はいですお!」
(*'∀`)「へい!」
( ゚¥゚)「昼餉は後に持たせる故、しかと稽古に、っと……それより、この文も持って」
(;‘_L’)「げっ!!?」
(`∠´;)「い、行って来ます!」
(;‘_L’)「ばっ!!? 置いてくなよ!!!」
(; ゚¥゚)「……逃げ足だけは早いな」
( ゚¥゚)「後は頼んだぞ、ウサギ」
(メ._― )「承知致しました」
(*^ω^)「行って来ますお!」
(*'∀`)「行って来まさァ!」
( ^¥^)「行ってらっしゃい」
.
223
:
名も無きAAのようです
:2016/11/30(水) 07:52:49 ID:HGCRAQzc0
おつ
224
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 20:11:55 ID:Vw4vy.jM0
('A`)「……あの、ベルさん」
(`∠´)「何だ?」
('A`)「オレたちゃ何処へ向かってんです?」
(`∠´)「『恵晩寺(けいばんじ)』だ」
('A`)「けいばんじ?」
(‘_L’)「廃寺ですよ」
(`∠´;)「廃れてはおらんだろう」
(;'A`)「寺で奇術を使うんですかい?」
(`∠´)「住職が『陰陽師』でな、境内に結界を張ってくださる故、被害はそうそう出ん。案ずるな」
(メ._O )「そうそう、と言う事は、偶には出るのか?」
(`∠´;)「大方、フィレンクトが原因だがな」
_,
(‘_L’)「私ではありません。あのモナ野郎が悪いんです」
(*'A`)「陰陽師ですか……。実物は初めてでさァ」
(`∠´)「まぁ、住職の格好をしている故、陰陽師には見えんが……」
(‘_L’)「あの人、一度で良いので私と手合わせしてくれませんかね?」
(`∠´;)「今の今まで断られた事しか無い故、無理だろう」
_,
(‘_L’)「詰まりませんねぇ……」
.
225
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 20:12:44 ID:Vw4vy.jM0
(;^ω^)
(メ._O )「静かだな、内藤。如何した?」
(;´ω`)「お、三月さん……僕、何だかとても緊張してきましたお……」
(メ._O )「緊張? 何故だ?」
(;´ω`)「鴨志田さんと稽古するんですお……ドクオと二人でも、勝てる気がしませんお……」
(メ._O )「主に勝てる死に神など、老練なる方々の内でもほんの一握りに過ぎぬだろう。ならば、全力で挑んで清々しく敗北するより他はない」
(;^ω^)「ほんの一握り……」
(;`ω´)
( `ω´)「お! 鴨志田さんに失礼の無いよう、全力でお相手させて頂きますお!」
(メ._O*)「うむ。その意気だ」
('A`)「因みに、必勝法とかはあんのか?」
(メ._O;)「敗れた我に聞くことでは無かろう」
(;'A`)「あ、そォだったな……悪ィ」
(メ._O )「然し、方法が無い訳でも無い」
(*'A`)「え!? それは……?」
(メ._O )「奇術を使えなくする事だ」
(;'A`)「……へ?」
(;^ω^)「何と言うか……普通ですお……」
(メ._O )「そうか。内藤は委細を知らぬのか」
(;^ω^)「お?」
(メ._O )「あの奇術、真に厄介だぞ」
.
226
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 20:13:35 ID:Vw4vy.jM0
――――恵晩寺
(`∠´)「着いたぞ」
(;;;;´ω`)「へひっ……ひぃ、ふぅ……」
(;;'A`)「凄まじい階段ッスね……疲れまさァ……」
(メ._O )「同感だ」
(;'A`)「んな涼しい顔で言うんじゃねェよ……」
(`∠´;)「ほら、着いたぞ、フィレンクト。降りろ」
(;;‐_L-)「ひぃ……ひぃ……。も、少し……」
(`∠´;)「全く、随分と重たくなったなぁ……。昔はこんなんでは無かったんだが、三月が来てから怠惰にしているんだろう」
(メ._O )「そうだな。高崎屋へ行く用が無い限り、外には出ようとせん故」
(`∠´;)「ようやっと外へ出て、菓子を食うていたら意味も無しに……」
(;;‐_L’)「いい、だろォ……俺の、勝手さァ……」
.
227
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 20:14:24 ID:Vw4vy.jM0
(`∠´;)「内藤、宇津田も、歩けるか? 住職に挨拶をしに行きたい」
(;'A`)「へぇ、なんとか……」
(;´ω`)「僕も、ですお……」
(`∠´;)「済まんな、もう暫しの辛抱だ。……フィレンクト、降りろ」
(;;‐_L-)「しょォがねぇなァ……よっ、と……」
(`∠´)「さあ、行くぞ」
(メ._O )「否、ベル殿」
(`∠´)「ん?」
(メ._O )「此方へ向かって来ておるぞ」
(`∠´;)「そうか……」
(‐_L-)「では私は寝ますので、来たら起こしてください」
(`∠´;)「地面で横になるな」
(;´ω`)「お? もう少し、休んでて、良いんですかお?」
(`∠´)「あぁ、良いぞ」
(;'A`)「助かりまさァ……」
(メ._O )「我は声を掛けて来よう」
(`∠´)「頼む」
.
228
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 20:15:07 ID:Vw4vy.jM0
(‐_L‐)「あー……風が冷たいですねぇ……」
( ´ω`)「晩秋ですお〜……」
(-A-)「熱(ほて)った身体も冷やされまさァ……」
(`∠´)「風邪を引くなよ」
(‐_L’)「死に神は病に罹りませんよ」
(`∠´;)「あぁ、いや……そうだったな……」
('A`)「んでも、何でェ死に神んなると病に罹んなくなんですかねェ?」
( ^ω^)「おっ! 何でだろうお?」
(‐_L‐)「さぁ? 興味がありません」
(`∠´)「人の姿をしているとは言え、死に神は人では無いからな。寿命も延びる故、生きることに特化した質(たち)になるのやもしれん」
(*^ω^)「おぉ!」
(*'∀`)「さっすがベルさんでさァ! 何でも知っておいでなんスね!」
(`∠´;)「知っていたわけでは無い。ほぼほぼ推測故、余り信じるなよ」
(*'∀`)「へーい」
.
229
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 20:15:59 ID:Vw4vy.jM0
(メ._O )「戻ったぞ」
( ´∀`)「モナモナ。ベルもフィレも、お久し振りモナ〜」
(`∠´)「尾前さん! お久し振りで御座います」
(‐_L’)「お久し振りです」
(*´∀`)「モナ! 君達モナね、新米さんは」
(*^ω^)「お! そうですお。僕は内藤ホライゾンと申しますお」
('A`)「初めまして。手前、宇津田ドクオと申しやす」
(*´∀`)「モナモナ。私はこのお寺の住職をしている『尾前 モナー』モナ。今日は宜しくお願いしますモナ〜」
(*^ω^)「おっおっ! 此方こそ、宜しくお願い致しますお!」
(*´∀`)「モナモナ」
(*^ω^)「おっおっ!」
(‘_L’)「煩いですよ、モナオー共。早く私に甘味を馳走してください」
(`∠´;)「フィレンクト!」
(*´∀`)「いいモナいいモナ〜。さぁさ、こっちモナよ」
(*‘_L’)「やほーい! 行くぞ、饅頭氏!」
(*^ω^)「はいですお! 内藤ですお!」
(‐∠‐;)「全く……」
('A`)「なァ、三月さ。本当にあの人が陰陽師なのか?」
(メ._O )「うむ。今日で会うのは三度目故、間違いない」
(;'A`)「こう言っちゃ何だが、……何か、普通だな?」
(メ._O )「陰陽師の力は生まれ持っているモノらしい故、死に神とは根本的に異なるのだろう」
('A`)「それもそォか」
.
230
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 20:18:49 ID:Vw4vy.jM0
――――縁側
(* ) >_L< )"「うおー!!! ぅんめー!!! やぁっぱ一汗かいた後の甘味は違ェぜ! なァ? 饅頭氏!」
(*)^ω^)"「はいですお! 内藤ですお!」
(`∠´;)「一汗って、此処まで歩いて来ただけだろう……」
(* )‘_L’)"「充分だろ! なァ? 饅頭氏」
(*^ω^)「はいですお! 内藤ですお!」
(‐∠‐;)「調子のいい事ばかり言いおって……」
(*´∀`)「モナモナ。賑やかで嬉しいモナ」
(メ._O )「して、稽古は何時頃始めるのだ?」
(`∠´)「まあまあ、そう急かすな」
( )‐_L-)"「そォそ! んなもん後々」
(`∠´)「落ち葉掃きと芋掘りで宜しかったですよね?」
(*´∀`)「モナモナ。宜しくモナ〜」
(;‘_L’)「はぁ!!? 聞いてねェよ!!?」
(`∠´)「当たり前だろう。今言ったのだから」
(;‘_L’)「先に言えよ! 絶体ェ来なかったのに!!!」
(`∠´;)「だから言わなかったんだ!」
.
231
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 20:19:43 ID:Vw4vy.jM0
( ^ω^)「お? 芋って、土の中に出来るのかお?」
(;'A`)「お前さァ……。一応、茶屋の主なんだからよォ、自分とこで使う材料の事くれェ知っとけよ」
(;*^ω^)ゞ「おっおっ。ツン達に任せっきりなのが知れちゃうお」
('A`)「オレァ知ってっけどな」
( ´∀`)「モナ? 内藤くんの家は茶屋モナか?」
(*^ω^)「そうですお! 内藤茶屋と言いますお! 気が向いたら来てくださいお! ご馳走致しますおっおっ」
(*´∀`)「ありがとモナ。嬉しいモナ〜」
(*‘_L’)「モナ野郎! 俺も連れてけ!」
( ´∀`)「お行儀の悪い子は連れて行かないモナ」
(‘_L’)「モナさん、私も連れて行ってください」
(*´∀`)「良いモナよ」
(*‘_L’)「よっしゃ! 俺にも馳走しろ、饅頭氏!」
( ´∀`)「お行儀」
(‘_L’)「ご馳走してください饅頭氏」
(*^ω^)「内藤ですお。勿論ですお! ベルさんも三月さんも来てくださいお」
(メ._O*)「む! 是非とも」
(`∠´)「行かせてもらおう」
(*^ω^)「ドクオも来るお!」
('A`)「へいへい。ったって、毎日のように行ってっけどな」
(*^ω^)「おっおっ!」
.
232
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 20:20:34 ID:Vw4vy.jM0
(`∠´)「さて、そろそろ休憩は終わりだな」
(L_‐ )「それでは、私は寝ますので皆さん宜しくお願いします」
(`∠´;)「寝るな寝るな」
( ´∀`)「モナモナ。フィレ、私と一緒に芋掘りするモナ〜」
_,
(;‘_L’)「あんなだだっ広ェとこ、二人じゃ終わんねェって!」
( ´∀`)「じゃあ、内藤くんにも手伝ってもらうモナよ」
(*^ω^)「おっ! 良いんですかお?」
( ´∀`)「勿論モナ」
('A`)「芋がどォなってんのか、ちゃんと見とけよ?」
(*^ω^)「おっおっ!」
(`∠´)「では、我々も落ち葉掃きを始めようか」
('A`)「箒は何処ですかい?」
(`∠´)「物置小屋にある。案内しよう」
(メ._O )「ベル殿ならば、奇術で早よう集められてしまいそうだな」
(`∠´;)「掃除をする為に死に神になったのでは無い」
('A`)「集めた落ち葉は如何いたしやしょ?」
( ´∀`)「籠に入れて置いて欲しいモナ。宜しくお願いしますモナ〜」
(*'A`)「へぇ!」
(`∠´)「はい」
(メ._O )「うむ」
.
233
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 20:22:53 ID:Vw4vy.jM0
( ´∀`)「私は鋤(すき)を持ってくるモナ。フィレ、内藤くんを畑に案内して欲しいモナ〜」
(‘_L’)「へーい。行くぞ、饅頭氏」
(*^ω^)「内藤ですお! 楽しみですおっおっ!」
(‘_L’)「そう言やァ、ウサギから聞いたんだけどよォ。オメェさん、武家の出らしいなァ?」
( ^ω^)「そうですお」
(‘_L’)「剣術ァ得意か?」
( ^ω^)「ぼちぼちですお」
(‐_L’)「そォか……打ち合いでもしてくれりゃァと思ったんだが……」
( ^ω^)「おっ! 何ですかお? 此処。雑草だらけですお!」
(‘_L’)「んだ? 草むしりすっか?」
(;^ω^)「しませんお! 芋掘り……って、鴨志田さん!!?」
(‘_L’)「そォーら、よっと!」
―――ズボッ
(;^ω^)「おおっ!? 何かいっぱい付いてますお!!?」
(‘_L’)「よぉく見ろォ」
( ^ω^)「お……?」
(*^ω^)「おっおっ! 芋ですお!!!」
(‐_L’)「つーワケで、此処が芋畑さね」
(*^ω^)「じゃあこれ、全部芋ですかお!? 凄いですお!」
(‘_L’)「よーし、抜くかァ」
(*^ω^)「はいですお!」
.
234
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 20:23:40 ID:Vw4vy.jM0
( *^ω)つ「おっおっ!」
( ;^ω)づ「おぉっ!? 中々力が要りますお……」
( ‘_L)づ「抜きにくきゃあ、周りの土ィ掻くといいぞ」
(;^ω^)「土を掻く? って、何ですかお?」
(‘_L’)「土を手で穿(ほじ)んさね」
ホジホジ
( ‘_L)づ「ほら、こォして……」
ホジホジ
( ^ω)づ「お……」
( ‘_L)つ「掴んで……」
( ^ω)つ「お……」
ズボッ
( ‘_L)づ「抜くっ!」
ズボッ
( `ω)づ「おっ!」
(*^ω^)「おっおっ! 抜けましたお!」
(‘_L’)「んじゃあ、蔓から芋ォ取ってだ、ここ置いとけ」
(;^ω^)「お? 土の中に芋が残ってますお」
(‘_L’)「後でモナ野郎が鋤で土ィ掻っから、俺たちゃあ芋抜くぞ」
(*^ω^)「はいですお!」
235
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 20:24:35 ID:Vw4vy.jM0
(;'A`)「ふぃ〜……掃いても掃いても落ちてきやがる……」
(`∠´)「落ち葉はそういうものだ、仕方あるまい」
(メ._O )「ならば、先に木の葉を取り尽くせば良かろう」
(;'A`)「いやいやいや、何本あると思ってんだよ」
(メ._O )「ふむ……」
(`∠´)「用意して頂いた籠ももう入らんし、粗方片付いた故、そろそろ戻るか」
(*'A`)「へい! 籠は俺が持ちます!」
(`∠´)「そうか、頼むぞ」
(*'A`)「お安い御用でさァ!」
(メ._O )「しかし、思ったよりも広かったな」
(`∠´)「ああ。初めて来た時は迷っ……ん?」
£*//ゞ°)ノシ「あ! ベルさ〜ん!」
(`∠´)「どうした?」
£*//ゞ°)「父様から昼餉を預かって参りました〜」
(`∠´)「もうそんな時間か……ご苦労だったな、ロミス」
£*//ゞ°)>"「いえいえ〜」
236
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 20:25:18 ID:Vw4vy.jM0
(*'∀`)「よぉ、ロミス! 今日の事ァ感謝してるぜ!」
£*//ゞ^ )「いえいえ〜」
£//ゞ°)「おやぁ?」
(メ._O;)
£//ゞ^ )「こんにちはぁ〜、三月さん」
(メ._O;)「な、何なのだ、お前は……」
£//ゞ^ )「忍の死に神です〜。名を、『乙鳥 ロミス』と申します。ベルさんのお供をさせて頂いております〜」
(メ._ー;)「……そうか」
(`∠´)「どうした?」
(メ._O;)「む、……いや……」
£//ゞ^ )「ではでは、鴨志田さんたちの所に行きましょ〜」
237
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 20:26:07 ID:Vw4vy.jM0
( *^ω) 「あ! あと、いも田楽も好きですお」
づ ホジホジ
( ‘_L) 「どうやって作んだ?」
づ ホジホジ
( *^ω) 「おろした甘藷を蒸したら、味噌を塗って、炙ってから食べるんですお」
づ ホジホジ
( *‘_L) 「へぇ……結構簡単に出来そうじゃねェか。今度ウサギに教えてやってくれよ」
づ ホジホジ
( *^ω) 「おっおっ! 勿論ですお!」
づ ホジホジ
( * ^_L) 「へへっ。先より芋掘りも楽しくならァ」
づ ホジホジ
( *´ω) 「僕は早く焼き芋が食べたいですお……昼餉を焼き芋にしましょうお」
づ ホジホジ
( *‘_L) 「いいなァ」
づ ホジホジ
(`∠´)「おーい! 飯だぞ」
(*^ω^)「お!」
(*‘_L’)「よっしゃ! 寄越せ!」
(`∠´;)「待て待て! 手を洗ってこないか」
(‘_L’)「へーい」
(*^ω^)「はいですお!」
238
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 21:00:07 ID:Vw4vy.jM0
(‘_L’) ジャブジャブ
(; ´ω`)「おぉ〜ん……冷たいですお……手が凍りそうですお……」
£;//ゞ°)「本当ですね〜」
(;^ω^)「おっ!!? お、なんだ……ロミスかお……」
£*//ゞ°)「そうです〜。初めまして、フィレンクトさん。乙鳥ロミスと申します〜」
凸( ^_L^ )「初対面のクセに馴れ馴れしく呼ばないでください、鼠小僧」
£;//ゞ°)「ね、ネズミ!!?」
(‘_L’)「貴方、私と饅頭氏が初めて会った時に、天井裏に居た輩でしょう?」
£//ゞ^ )「おやぁ〜? 分かりますかぁ〜?」
(‘_L’)「聞きましたよ? ベルお抱えの忍だそうで。それに、あの時と同じ“妙な感じ”がします」
£//ゞ^ )「……危険だとお思いにならなかったのですか?」
(‘_L’)「さぁ? 私には解りかねますが、元締めもベルも放っているので、危険では無いかと」
£//ゞ^ )「後に危害を加えるかもしれませんよぉ?」
( ‘_L) 「その時はその時に考えます」
£//ゞ°)
(;^ω^)「お? お? 何の話しですかお?」
(‘_L’)「何でもありません。それより、早くしないと昼餉が無くなってしまいます」
(;^ω^)「お!? 急ぎましょうお! ロミスも行くお!」
£//ゞ^)「はーい」
239
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 21:07:32 ID:Vw4vy.jM0
£//ゞ°)「父様からの昼餉は、塩と鮭と梅紫蘇の握り飯です」
木箱の底に敷かれた竹皮。その上に並ぶいくつもの握り飯。隅には沢庵も盛られている。
(*´∀`)「やったモナ! じゃあ、早速頂こうモナー。頂きますモナ」
(`∠´)「頂きます」
(*‘_L’)「頂きます」
(メ._O )「頂きます」
(*'A`)「頂きます」
(*^ω^)「頂きますお」
£//ゞ- )「頂きます」
('A`)「ところで、鴨志田さんとオレ達ァ何時手合わせするんで?」
( ´∀`)「昼餉の後モナー」
('A`)「分かりやした」
( ^ω^)「そう言えば、夜叉切丸って何が出来るんですかお?」
(;'A`)「え? 何?」
(‘_L’)「私の奇術である大太刀の名です」
(;゚A`)「えっ!!? 大太刀!!?」
_,
(‘_L’)「何か不満でも?」
(;'A`)「え? いやぁ、その……」
( ´∀`)「世間では閻魔の奇術は“謎”モナ。だから、為らざるモノを手懐けているとか、丹生速(にゅうそく)さんのように複数の奇術が使えるとか、色々な噂があるモナー」
(;'A`)「そんなかでも、大太刀ってェのは聞かなくて……」
(‘_L’)「おや、そうですか」
240
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 21:10:32 ID:Vw4vy.jM0
(;'A`)「つか、お前! 何聞いてんだよ!」
(;´ω`)「おぉーん……」
(‘_L’)「構いませんよ、饅頭氏。私も教えようと思っていたところです」
(*^ω^)「おっ!」
(;*'A`)「ほ、ホントッスか!!?」
(‘_L’)「えぇ。どうせなら、粘って頂きたいので」
(;*'∀`)「それで、その奇術は……」
(‘_L’)「夜叉切丸は一・五丈ほどの大太刀で、私が斬りたいと思ったモノならほぼ斬れます。奇術も例外ではありません」
(;^ω^)「奇術も斬るんですかお……」
(;'A`)「あの、『ほぼ』ってェのは、何ですかい?」
(‘_L’)「斬りたいと思っても斬れないモノがあるんですよ」
(メ._O )「それは知らなんだな。何が斬れぬのだ?」
(‐_L’)「それは内緒です」
(‘_L’)「とまぁ、夜叉切丸に関してはそんなところです」
(;'A`)「いやぁ……どうしたらいいのかますます分からねェ……」
(;^ω^)「ドクオ、あれは……」
(‘_L’)「おっ、と。策は私が席を外してから練ってください」
(;´ω`)「おーん……」
(‘_L’)「では、十個ほど貰って行きますよ」
( ´∀`)「竹皮に包むと良いモナー」
(‘_L’)「そうさせて頂きます。ウサギも好きなのを包みなさい」
(メ._O )「承知した」
(‘_L’)「ではまた、後程」
( ´∀`)「ゆっくり食べて来ると良いモナー」
.
241
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 21:14:01 ID:Vw4vy.jM0
(メ._O )「主。何処へ行くのだ?」
(‐_L’)「そぉだなァ……中庭なんかどォだ? 日も当たって寝るにゃァ最適だぜ?」
(メ._O )「中庭か……」
(‘_L’)「ま、兄ィも鼠小僧も居そうだけどなァ」
(メ._O;)「そ、そうか……ならば、我は行かぬ」
(‘_L’)「んぁ? どォしたよ?」
(メ._O;)「主も感じただろう。あの乙鳥と言う小僧の奇妙さを」
(‘_L’)「あぁ? んァ、まぁ……それが何でェ」
(メ._O )「我の知る『大蛇』の気配によう似ておる。“加護の類い”だとは思うが、それにしては大蛇の気配が強すぎるのだ。故に、奴は大蛇の血を飲んだか、或いは……」
(‘_L’)「或いは?」
(メ._O )「血を継いだのやもしれん」
(‘_L’)「血を継ぐ? んじゃあ、半分は為らざるモノなのか?」
(メ._O )「仔細は分からぬ」
(‐_L’)「血を継ぐ、ねぇ……」
_,
(‘_L’)「ぁん? それとお前が兄ィ達んとこ行かねェのと、何の関係があんだァ?」
(メ._O;)「我はその大蛇が苦手なのだ……行くのならば、主一人で行ってくれまいか」
(;‘_L’)「……お前にも苦手なモンがあるたァ、意外だぜ」
(‘_L’)「ま、しゃあねェさ。んじゃ、裏庭でも行くかァ」
(メ._O;)「否。我は一人で構わん」
(‘_L’)「俺だって別に、兄ィにも鼠小僧にも用無ェし」
(‐_L’)「日当たり悪ィけど、広くてのんびり出来るぜェ。おら、行くぞ」
(メ._O*)「うむ」
.
242
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 21:15:08 ID:Vw4vy.jM0
(*´ω`)「お〜……お腹いっぱいになったら、眠くなっちゃったお……」
(;'A`)「お前なぁ……」
( ´∀`)「着いたモナよ」
( ´ω`)「お〜……裏庭ですかお?」
( ´∀`)「そうモナ。此処で稽古してもらうモナー」
('A`)「あれ?」
( ^ω^)「おっ! 三月さん。どうしたんですかお?」
(メ._O;)「席を外した後に此処で飯を食うていたが、主が寝てしもうて……」
(*‐_L-) グー…
'
(メ._O;)「背中が重……」
∑(メ._O;;) ガタッ
ゴンッ ∑(; _L )
'
(((;# _L )))「うぐぉ……!!?」
'
£;//ゞ°)「うわぁ〜……痛そうな音……」
(;#‘_L’)「テメェんにゃろォ!!!」
'
(メ._O;;)「す、すまん……」
.
243
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/22(日) 21:21:41 ID:Vw4vy.jM0
(`∠´)「フィレンクト」
(;#‘_L’)「んぁ?」
'
(`∠´)「涎」
(;*‘_L’) !
つ" ゴシゴシ
(#*‘_L’)「垂れてねェし!!!」
( ´∀`)「それじゃあ、三人は裏庭に出るモナ」
(‘_L’)「手合わせとは言え、私は手加減も容赦もする気はありません。殺されたくなければ、殺す気でお願いします」
(;'A`)「あ〜やべぇ……緊張で腹が……」
(;´ω`)「お、おーん……」
(メ._O )「内藤。来る時に言うたろう」
( ^ω^)「……お!」
( `ω´)「はいですお! 全力で臨みますお!」
( ^_L^ )「楽しくなりそうですねぇ」
( ´∀`)「そろそろ結界張るモナー」
(‘_L’)「お願いします」
刹那、モナーが座する場所に紋様が浮かび上がる。すると、裏庭を囲むように透明の膜が現れた。
(;^ω^)(……お?)
終わったのか分からない。然し、誰も反応しない上、体を圧する気のせいで聞けもしない。
ふと、隣を見れば、睨むように閻魔を見据えている。
( `ω´)(お!)
饅頭も倣い、閻魔を見やった。
.
244
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:03:17 ID:mkY/Z4pM0
(‐_L‐)
吹く、木枯らしが。
.
245
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:03:57 ID:mkY/Z4pM0
('A )
飛ぶ、虫が。
.
246
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:04:44 ID:mkY/Z4pM0
( `ω´)
落ちる、葉が。
.
247
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:05:34 ID:mkY/Z4pM0
( ゚ω ) !
――――凍てついた。
.
248
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:06:24 ID:mkY/Z4pM0
地を揺らし轟音をあげながら、氷は生え出(い)で閻魔を包む。その周りを更に氷が包み、口は捩りながら塞がった。
.
249
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:07:19 ID:mkY/Z4pM0
―――― 沈黙 ――――
.
250
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:08:06 ID:mkY/Z4pM0
瞬間、氷の蕾に縦の斬り込みが入り、続けて輪切りにされた。切り身を蹴り飛ばし、閻魔が現れる。
干瓢は既に、放っていた。
目前に迫る雷弾をも斬り裂き、走る。
饅頭は極限まで透過させた氷を張り巡らせ、干瓢は閻魔とそれらを狙い撃つ。
透明過ぎる氷が見えない閻魔は、時々態と逸れる弾を不審に思ったが、それが策ならばと見過ごしていた。
迫り来る閻魔を止める為、饅頭は足元に氷の刃を放つ。
意図を汲み、閻魔は大きく後退。切り崩された蕾の前で夜叉切丸を構えた。
狙いを定め、再び指先から雷弾を放出。
閻魔は構えを解いた。
弾は全て、後方の蕾を粉砕していく。
_,
(;# ゚_L ) ゼヒィー…ゼヒィー…
ヒソッ
(;^ω^)「怒ってるお……」
ボソボソ
('A`)「全部閻魔狙いじゃねェし、当然だ」
斜め上方へ指先を向けた。
.
251
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:08:58 ID:mkY/Z4pM0
上空に雷弾を放つ。
それが自ら付近に落ちる事を予想し、閻魔は退こうとした。が、体が動かない。
それどころか立つのも儘ならなくなり、膝を着き崩れる始末。
_,
(;#‐_L-)(クソ……)
冷たい。空気も、身体も、凍っているかのよう。
見上げた。雷弾の狙いが自分では無く蕾の残骸だということに気付き、せめて衝撃を軽減しようと構えた。
――――着弾。
腕は動かなかった。
衝撃で飛ばされた体が地を滑る。その感触に違和感を覚え、地表に目を凝らせば、そこには小さな氷の蓮華が無数に咲いていた。
.
252
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:12:55 ID:mkY/Z4pM0
(;; _L ) コヒュー…コヒュー…
苦しい。冷気が体内で氷るような錯覚。
だが、手は、足は、凍り付いている。そこからは地表と同じく、小さな氷の蓮華が数多に生えていた。
錯覚では無いのかもしれない。
(;; _L )(夜叉切丸……)
(;; ゚_L )「ヴッ……!」
地面から突き出た夜叉切丸が、閻魔を貫いた。
(;^ω^) !!?
(;゚A`)「なっ……!!?」
.
253
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:13:41 ID:mkY/Z4pM0
手足を覆っていた氷は砕け落ち、嗚咽と共に口からは氷が吐き出される。
(; -_L- )「ゲホッ、ゲ、ッゥエ……」
( _L )「手ェ、止めてんじゃ、ねぇよ……こォんの……」
(#°_L )「クソ共がアアアアアアアアアアアアアアア」
ビクリと肩を震わせ身を強ばらせる饅頭の横で、干瓢は悪態を吐きながら弾を連射した。それを全て斬り捨てながら、閻魔は駆けてくる。
(;'A`)「クソッ! クソッ! 何で走れんだ!? おい、ブーン! 次の!」
(;^ω^)「……お!」
(;`ω´)「おおっ!」
大きく腕を振るうと、地表の蓮華は茎を伸ばして閻魔の行く手を塞ぐ。
が、一太刀。
花は地に落ち、閻魔は止まらず、焦って腕を振るえば茎が雷弾を弾き飛ばした。
(;'A`)「おいッ!」
(^ω^;≡;^ω^)「すまんお! えーっと、えーっと……」
.
254
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:14:24 ID:mkY/Z4pM0
目前に迫る閻魔に焦りが募る。
(;#'A`)「うぉおっ!!!」
殴りかかる干瓢の腕を掴み肩へ乗せ、背負うようにしてその身を前方地面へ叩きつければ一本。干瓢は受け身が取れずに蹲る。
その様にあわてふためく饅頭の頬がブニィと潰された。
と(‘_L’)「ふざけてんのか? 饅頭氏」
(;)^3^( 「しょんなへっしょほほしゃいしゃへん」
┓(-_L-)「はぁ〜あ、やれやれ。どちらもいい奇術ですが、経験が足りませんねぇ」
(;'A`)「クソぉ……」
(;^ω^)「ごめんだお、ドクオ」
('A`)「いや、気にすんな。オレも焦ったし、お互い様だろ」
(`∠´)「ご苦労だったな、お前たち」
(*'A`)「いえそんな! とんでもございやせん!」
(*^ω^)「いい勉強になりましたお! 鴨志田さん、ありがとうございましたお!」
( ‘_L)「ケッ」
('A`)「また筋肉痛にはならんでくだせぇよ?」
(#‘_L’)「ぁあ?」
.
255
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:15:24 ID:mkY/Z4pM0
(メ._O )「いや然し、内藤の奇術も中々に厄介だな」
(‘_L’)「肺にまで花ァ咲いてんのかと思ったらおぞましかったぜ」
(;^ω^)「氷華は内臓でも血中でも咲きますお。けど、夜叉切丸の一突きで全部枯れちゃうとは思いませんでしたお」
(‘_L’)「言ったろォ? 奇術も例外じゃねぇって」
(;´ω`)「おーん……」
(;'A`)「奇術の能力も桁違いッスけど、体術も凄ぇッスわ……やっぱ伝説は伊達じゃねぇや……」
(*´∀`)「みんなお疲れさまモナ。お茶を持ってきたモナ〜」
(`∠´)「芋も蒸かして来たぞ」
モグモグ
(*)‘_L’)"「掘った甲斐があるってェもんだ」
(`∠´;)「お前は……いつの間に……」
.
256
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:16:32 ID:mkY/Z4pM0
(`∠´)「三月。茶を飲んでからで構わんが、手合わせをしてくれないか?」
(メ._O )「うむ、承知した」
('A`)「ブーン、しかと見て学ぶぞ」
( `ω´)「おっ!」
( )‘_L’)"「おーやれやれー」
(`∠´)「その後はフィレンクト、乙鳥の相手をしてやってくれ」
(‘_L’)「腕痛ェ」
(`∠´;)「無理して宇津田を投げるからだろう」
(‐_L’)「やぁっぱ鈍ってんのかねェ……」
(`∠´)「いつまた狩りに呼ばれるとも知れん。今のうちに鍛え直せ」
(‘_L’)「気が向いたらな」
(`∠´;)「全く……」
(メ._O )「ベル殿、我はいつでも構わぬぞ」
(`∠´)「そうか」
( ´∀`)「準備が出来たら結界を張るモナー」
(メ._O )「うむ」
(`∠´)「お願いします」
( ´∀`)「モナモナ」
稽古に励む死に神たちを照らしながら、日はゆっくりと傾いていった。
.
257
:
◆vvt8MHIS22
:2020/11/26(木) 18:17:27 ID:mkY/Z4pM0
宿りし力は君のため
咲き誇りしは氷の蓮華
全ての生を贄にして
守る命はただ一つ
呪いを孕みし、氷の種子よ
生を蝕み、咲く華よ
.
258
:
名も無きAAのようです
:2020/12/05(土) 12:49:47 ID:NP1fQK3M0
おつおつ 三人とも格好よかった!
259
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:52:03 ID:Rsy2eP9Y0
長さ
一丈=約3m
一尺=約30cm
距離
一間=約1.8m
金銭
銭一文=約25円
金一両=約16万円
切り餅=金二十五両を包んだモノ
時間
暁七つ=4時頃
明け六つ半=7時頃
昼八つ(八つ時)=14時頃
暮れ七つ=16時頃
暮れ七つ半=17時頃
暮れ六つ=18時頃
亥の刻=22時頃
四半刻=約30分
半刻=約1時間
一刻=約2時間
その他
.
260
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:53:12 ID:Rsy2eP9Y0
心も身をも
焦がしたりけり
――― 伍 ―――
その恋、燃えつき
.
261
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:54:24 ID:Rsy2eP9Y0
―――コンコンコン、コンコンコン
w,,ぅД~w「ぅ、んん……誰だ、こんな時刻に……」
(#゚;;-゚)「私が見て参ります」
w,,~Д~w「ん……すまんな」
(#*゚;;-゚)「ふふ……いいえ」
.
262
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:55:26 ID:Rsy2eP9Y0
―――コンコンコン
(#゚;;-゚)「はい……どなたでしょうか?」
「あぁ、でぃさん。夜分に申し訳ない。杉浦ロマネスクだ」
―――ガラガラガラ
(#゚;;-゚)「あらあら、杉……!?」
(メ #)ωФ)「クサギコは寝ておるか?」
(#;゚;;-゚)「いえ、起きておりますよ。どうぞ、中へ」
(メ #)ωФ)「邪魔をする」
w;,,゚Д゚w「よぉ、ロマ。何だその顔は」
(メ #)ωФ)「訳は聞くな」
w,,゚Д゚w「そうか。まぁ、なんだ。なにもこんな夜更けに来ずともよいではないか。夢見も良かったと言うに」
(メ #)ωФ)「申し訳ない。見舞いに来ようともどうにも手が空かず、迷惑と知りながら訪ねさせてもらった」
w,,^Д^w「ギコハハハ! その心遣いは嬉しいねぇ……!」
(メ #)ωФ)「粗末な物ではあるが手土産も持ってきた故、受け取って頂きたい」
w,,゚Д゚w「いや、悪いねぇ……」
(メ #)ωФ)「なに、気にすることはない。こんなもの……」
(メ #)ω )「冥土の土産にもならぬ」
.
263
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:56:10 ID:Rsy2eP9Y0
―――カァーーンカァーーンカァーーンカァーーン
日も昇らぬ暁七つに、忙しなく鐘が鳴り響く。
(#‐_L‐)「んぁ………………るせぇなァ………………」
(メ._O )「火事のようだな」
(#ぅ_L‐)「火元は?」
(メ._O )「此処からは離れている」
( ‐_L)「そぉか、んじゃ、寝っか……」
(メ._O )「……む? 主」
( ‐_L)「ああ?」
(メ._O )「ベル殿が……」
―――ガラガターーーン
(`∠´;;)「フィレンクト!!!」
(#‐_L)「あーあーうるせぇうるせぇ」
(`∠´;)「無事か……」
(#‘_L’)「ったりめぇだろ、火元たァ離れてんだ」
(`∠´;)「それはそうだが……」
(メ._O )「……む?」
(#‘_L’)「あ? 今度は誰だ」
(メ._― )「……否、これは……」
.
264
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:57:23 ID:Rsy2eP9Y0
鐘が鳴る少し前。
異変を察した死に神たちは、避難指示や消火の手助けを始めていた。
(; >ω< )「ゲホッ、ゲホッ……」
(;'A`)「大丈夫か、ブーン」
(;^ω^)「平気だお。それより、逃げ遅れた人たちを探すお!」
('A`)「おう。俺ァ向こうを見てくる」
(;^ω^)「気を付けるお」
('A`)「お前もな」
宇津田と分かれ、燃え盛る家屋に目を配らせながら、小走りで進んでいく。
(;^ω^)「誰か居ませんかお!? 助けに来ましたお! 誰か……」
(;^ω^) !
炎揺らめく風下の先で、何かを担ぎ歩く人の姿を見つけ、走り追った。
(;^ω^)「大丈夫ですかお!? お荷物なら僕が……」
( )「不要だ、内藤」
(;^ω^)「お……?」
(Ф )「我輩にはこれが」
(メ #)ωФ)「必要である」
.
265
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:58:13 ID:Rsy2eP9Y0
―――カァーーンカァーーンカァーーンカァーーン
焼け焦げただれ、赤と黒の混じるその担ぎ物を直視した内藤は、ウッと呻き、嘔吐した。
(メ #)ωФ)「死に神がこの程度のもので吐瀉するとは……情けない」
( ;ω;)「ぅ、ウェッ……ひ、必要って……どう言うことですお……」
(メ #)ωФ)「なに、どうせならフィレンクトが良かったのだが、クサギコは足を悪くしていたからな。焼くのは容易であった」
( ω )「……どう言うことだお……」
(メ #)ωФ)「どうもなにも、我輩が担いでいるのはクサギコの丸焼きということである」
( ω )「……坐草さんかお。お前が、担いでいるご遺体は、……坐草さんかお」
(メ #)ωФ)「そう言うておろう」
( ω )「……鴨志田さんも、焼くつもりなのかお」
(メ #)ωФ)「それが何だと言うのだ」
(#゜ω゜) !!!
刹那、内藤は無数の氷の棘を飛ばす。が、杉浦の纏う炎で瞬時に気化してしまった。
(#゜ω゜)「お前がっ!!! 杉浦ロマネスク! お前が火を付けたのかお!!! 杉浦!!! 火付けは極刑と知ってのことかお!!!!!」
(メ #)ωФ)「極刑なぞ、お前以外に知られなければならぬものよ」
(#゜ω゜)「逃がさないお! 絶対に!!!」
(メ #)ωФ)「フンッ……貴様のような青二才から逃れるのは容易い、が……」
(メ #)ω )「燃やした方が早く済みそうである」
.
266
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 22:59:02 ID:Rsy2eP9Y0
燃え盛る炎が杉浦に呼応するように内藤を囲む。
(メ #)ω )「どうせ燃やすのならば、貴様も手土産に……」
(メ #)ωФ)!
荷を捨て大きく飛び退いた。刹那、風が辺り一面の火を消し飛ばす。
(*;ω;)「お、おお……!」
(メ #)ωФ)「流石は“風鳴りの暗殺者”……風が吹くまで気付かなんだわ」
(*;ω;)「ベルさん……!」
( ∠ ゚ )
夜陰のせいか、殺気のせいか。顔はどす黒く染まり、眼光は鋭い矢の如く、杉浦を射殺さんばかりに睨み付けていた。
(メ #)ωФ)「丁度良い。老い耄れや新造より、お前の方が価値がある」
( ∠ )「……価値……?」
(メ #)ωФ)「そうである。備津府以外にも価値のある死に神は幾人か居るが、最も価値があるのはやはり、えん」
(;メ #)ωФ) !
飛び退いた。見れば、先まで居た場所には複数の穴が空いている。
気配を察して抜刀、受けるために横に構えれば、叩き割らんばかりの勢いで刀が振り下ろされた。
.
267
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:01:52 ID:Rsy2eP9Y0
(;メ #)ωФ)「ぐっ……」
( ∠ )「貴様が死に神として生きることを止めてから数年。閻魔に次ぐ備津府の二番手として名を連ねている今、」
( ∠ ゚ )「負けはせん」
刹那、左腕が吹き飛び、ベルの刀は右肩から左脇腹にかけてその体を切り裂いた。
(;メ #)ω )「ぐあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
崩れ、膝をつく杉浦。それを気にも止めずに刀を振り上げ―――――。
(;‘_L’)「ベル!!!」
(`∠´) !
(;‘_L’)「何をしているんですか! 罪人を殺そうなど……」
(メ._O )「清水殿から生かして連れてくるよう言伝を賜った」
(`∠´)「あ、あぁ……そうか……」
左肩を押さえ、項垂れたように座る杉浦を蹴飛ばし、腹の傷を踏みにじる。
(;メ #)ω―)「っ……!」
( ∠ )「親父さんに感謝するんだな」
そう言い残し、去って行った。
.
268
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:03:28 ID:Rsy2eP9Y0
(;‘_L’)「ど、どうしちまったんだ……」
(メ._― )
(メ._O )「む?」
(;'A`)「よぉ……ベルさん、どうしたんだ……? 凄ぇ怖い顔してたけどよ……」
( ω )
(;'A`)「お、ブーン! 無事だったか! 少し前に叫び声が聞こえて……え、杉浦さん!!? ど、どうしたんスか!!?」
( ω )
ふらふら、ふらふらと、今にも倒れてしまいそうなほどに覚束ない足取りで、内藤は歩き出した。
(;'A`)「あ、おい、ブーン! どこ行くんだよ!?」
.
269
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:09:29 ID:Rsy2eP9Y0
そうして坐草の側まで来ると、倒れるように膝から崩れ落ちた。
( ω )
(‘_L’)「よォ、饅頭氏」
( ;ω;)「鴨志田さん……鴨志田さん……」
涙も鼻水も涎か汗かも分からない液体を流しに流しながら、フィレンクトにすがり付く。
(;‘_L’)「ぎえ」
( ;ω;)「お、おお……坐草さん……坐草さんが………………」
(‘_L’)
(‘_L’)「……クサじぃ、なのか……」
( ;ω;)「う、ううぅ……」
(‐_L‐)
(‘_L’)「饅頭氏、クサじぃの家ェ分かるか?」
( ;ω;)「お……はい、ですお……」
(‐_L‐)「でぃ婆ちゃんも居るばすだ……干瓢と一緒に、元締めんとこォ運んでやってくれ」
( うω;)「お……」
(‘_L’)「頼んだぜ」
( ;ω;)「は、はい……はいですお!」
.
270
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:10:19 ID:Rsy2eP9Y0
日も昇り、人々が焼けた残骸を片付け始めた頃。
|゚ノ#^∀^)「許せません! 許せませんわ!」
(;´・_ゝ・`)「まあまあレモナさん、落ち着いて……」
|゚ノ#^∀^)「どうして落ち着けますの!? この同胞殺し兼火付け人を前にして……!!!」
(;メ #)ω―)「ぐぅ……」
(;´・_ゝ・`)「絞まってる! 絞まってるから!」
牢の中に入れられている杉浦に巻きついている蔦が、その体をきつく絞めあげる。
(`∠´)「失礼します」
(;´・_ゝ・`)「あ、ベル。丁度良かった……レモナさんを落ち着かせてほしいんだ。今、殺すわけにはいかないだろう?」
(`∠´)「それはレモナさんも承知していることでしょう。それより、親父さんから日没とともに処刑するとの言伝を……」
(;´・_ゝ・`)「今日の内にするのかい?」
|゚ノ#^∀^)「私は日没まで待てませんわ!」
(メ #)ωФ)「……デミタス」
(´・_ゝ・`)「ん? なんだい?」
(メ #)ωФ)「フィレンクトを呼ん」
(;メ #)ω―)「うぅ、ぐ……」
|゚ノ# ∀ ゚)「何ですって?」
( ∠ ゚#)「殺すぞ」
.
271
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:11:23 ID:Rsy2eP9Y0
(;´・_ゝ・`)「まあまあ、この状態じゃ奇術も使えないだろうし……」
|゚ノ#^∀^)「駄目! 絶対に駄目ですわ!」
( ∠ ゚#)「千両は渡しただろう」
(メ #)ωФ)「殺すわけでは無い。我輩は、……文を書きたいのである」
(´・_ゝ・`)「文? フィレンクトに文を書くのかい?」
(メ #)ωФ)「いや」
(´・_ゝ・`)「うーん……じゃあ、文を届けてもらうのかい?」
(メ #)ωФ)「……まぁ」
( ∠ ゚#)「そんなこと、何故フィレンクトでなければならないのか!!?」
|゚ノ#^∀^)「そうですわ!」
(;´^_ゝ^`)「まあまあ……」
( ゚¥゚)「文を届けるくらいなら、フィレンクトに危害も及ばんだろう」
(`∠´;)「お、親父さん!!?」
( ゚¥゚)「遺言くらい届けてやらねばな。それより、ロマネスクから遠ざかるなら、むしろ良いんじゃないのか?」
|゚ノ;^∀^)「そう言われれば、そうですわね……」
(´・_ゝ・`)「うんうん」
(`∠´;)「しかし……」
( ゚¥゚)「レモナ、紙と筆を頼む。デミタスは机だ」
|゚ノ*^∀^)「かしこまりましたわ」
(´・_ゝ・`)「取ってくるよ」
( ゚¥゚)「ロミス」
£°ゞ°)「はい」
( ゚¥゚)「フィレンクトとウサギを呼んできてくれ」
£- ゞ- )「御意」
.
272
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:12:07 ID:Rsy2eP9Y0
(‘_L’)「それで、私に何用です?」
(メ #)ωФ)「文を届けてもらいたい」
(‘_L’)「文ですか。貴方にそんなもの届けたい人が居るのですねぇ……。それで、届け先は?」
(メ #)ωФ)「……フィレンクトと二人にしてくれまいか?」
( ∠ ゚#)「何だと!?」
(メ #)ω―)「あぁ、そこの為らざるモノと三人だ」
( ゚¥゚)「それなら構わん」
(`∠´#;)「親父さん!」
|゚ノ;^∀^)「甘やかしすぎですわ」
( ゚¥゚)「日没まで刻がない。出るぞ」
(´・_ゝ・`)「分かりました」
.
273
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:13:04 ID:Rsy2eP9Y0
(メ #)ωФ)「……そう言えば、こうして話をするのは久方ぶりだな」
(‘_L’)「ここに運ぶ間は気を失っていましたからねぇ。ところで、文の届け先は? 刻がないのでしょう?」
(メ #)ωФ)「そうだったな。届け先は……奥野の、シュールに……」
(‘_L’)「奥野とはまた、遠いですねぇ……返事の文が間に合うか否か……」
(メ #)ωФ)「届けさえすれば構わん」
(メ._O )「ん? 奥野のシュールとは、もしや……」
(メ #)ωФ)「お前に心当たりがあるなら、場所の仔細は要らぬな」
(メ._O )「あぁ、しかし……」
(‘_L’)「ところで、文は書いてあるんですか?」
(メ #)ωФ)「いや、これからである」
(‘_L’)「乾かす必要がありますので、お早めに。それと、書いたものを確かめるよう言われておりますので、悪しからず」
(メ #)ωФ)「分かっておる」
.
274
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:13:51 ID:Rsy2eP9Y0
(‘_L’)「ウサギはシュールと言う方をご存知で?」
(メ._O )「我も会ったことはないが、遊びを好み、相手をするのは骨が折れるとの話しを聞いた」
(‘_L’)「へぇ……」
(メ._O )「そのシュールに気に入られるとは、よっぽどなのだろうな」
(メ #)ωФ)「書けたぞ」
(‘_L’)「おや。それでは拝借します」
(‘_L’)
_,
(‘_L’)「……恋文ですか?」
(メ #)ωФ)「ああ」
_,
(‘_L’)「何故これを私が?」
(メ #)ωФ)「為らざるモノと親しい死に神はお前しかおらぬ故」
_,
(‘_L’)「はぁ……まぁ……」
(‘_L’)「因みに、この文にはどういう意味が込められているのです?」
(メ #)ωФ)
(メ #)ω―)「それは……」
.
275
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:15:44 ID:Rsy2eP9Y0
(`∠´;)「親父さん! フィレンクトは!?」
( ゚¥゚)「奥野へ発ったぞ」
(`∠´;)「奥野!? あそこには一帯を統べる蛇鬼(じゃき)が居るはずでは……」
( ゚¥゚)「とうの昔にロマが狩ってくれている。……まぁ、それ以来、奴は死に神を止めてしまったがな」
(`∠´;)「そうですか……。しかし、奥野には死に神の巣窟もありませんし、山奥故に民家も無いはずです。なのに、何故そんなところへ文を……」
( ゚¥゚)「確か、金で人を雇っていると言っていたな。そこに誰か残してきたのやもしれん」
(`∠´;)「では、坐草さんのご遺体が必要だとか、死に神に価値があるなどとほざいていたことについては……?」
( ゚¥゚)「分からないことを考えていても仕方がない。フィレンクトが戻ってきたら聞けばよかろう」
(‐∠‐;)「……はい」
( ゚¥゚)「よし。さあ、処刑の準備だ」
(`∠´;)「承知しました」
.
276
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:16:53 ID:Rsy2eP9Y0
(;‘_L’)「急げ、ウサギ!」
夜叉切丸の細い峰に苦もなく立つフィレンクトと、
(メ._⊿,;)「早すぎるぞ!」
為らざるモノの姿に戻り、跳ぶように走るウサギ。
(;‘_L’)「主に盾突いてんじゃあねェ!」
(メ._⊿,;)「然し、杉浦は返事が間に合わなくともよいと言うていたではないか」
(;‘_L’)「あんなもん、建前に決まってんだろォ! 昔っから女にゃ好かれるクセに全く興味を持たなかったあのジジィが、周りが見えなくなるほど夢中になってんだぞ!」
(メ._⊿,;)「ほう……?」
(;#‘_L’)「分かんねぇならいい! 頭より足ィ動かしやがれ! 夜叉切丸ももっとだ! もっと!」
(メ._⊿,;)「……例え要らぬと言うのが建前だとしても、何故主が必死になるのだ。好かれたいが為に同胞まで殺めたのだぞ」
(‘_L’)「だとしても、だ。俺にゃァあのジジィに恩がある」
(メ._⊿,)「恩? そんなに大きな恩なのか?」
(‘_L’)「あぁ……まだ兄ィと二人でさ迷っていた頃だ。雨の中、俺ァ風邪を拗らせちまってな。廃屋で雨宿りしてたのよ。そォしたらたまたまあのジジィが通りかかって、巣窟に連れてって医者を呼んでくれて……あのままだったら俺ァ死んでたって言われたそうだ」
(メ._⊿,)「そのような経緯があったのだな……」
(‘_L’)「まァ、大袈裟に言やぁジジィは命の恩人だって事よ」
.
277
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:17:43 ID:Rsy2eP9Y0
(#‘_L’)「分ぁったらもっと早く走れ!!!」
(メ._⊿,;)「無茶を言うな! 我にも限度があるのだぞ!」
(#‘_L’)「あぁん???」
(メ._⊿,;)「だが、思うたより早う奥野に着きそうだ」
(#‘_L’)「何言ってんでェ! 昼なんかとっくに過ぎちまってんだ! 今は日も短くなってきてんだぞ! さっさとシュールを探し」
(‘_L’) !
(メ._⊿,) !
飛び退いた。直後、焼けるような音と共に近くの木が溶け、倒れた。
―――クスクスクス……クスクスクス……
(#‘_L’)「誰でェ! 人が急いでる時に……ぶち殺すぞッ!」
―――クスクスクス……クスクスクス……
「と〜りゃんせ、とぉりゃんせ〜」
(#‘_L’)「通っていいんなら邪魔すんじゃあねェ!」
一歩足を踏み出せば、その数歩先に落ちた液が地を溶かす。
(# ゚_L )「通さねぇなら殺す」
(メ._⊿,)「主」
(#‘_L’)「ぁあ?」
.
278
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:18:32 ID:Rsy2eP9Y0
(メ._⊿,)「この歌は続きがあるのか?」
(#‘_L’)「んなもん関係ねぇだろ!」
(メ._⊿,)「言うたであろう。遊びを好むと」
(‘_L’)「……あ? じゃあ、アイツが……」
(#*‘_L’)「おいテメェ、俺に歌えってのか!?」
(メ._⊿,)「無論。我は知らぬ故」
(#*‘_L’)「クソがッ!」
―――クスクスクス……クスクスクス……
「と〜りゃんせ、とぉりゃんせ〜」
(;#*∩_L‐)「……こーこはどーこの細道じゃー」
「クスクス……毒蛇鬼シュールの細道じゃ〜」
(‘_L’)「……どーぞ通してくだしゃんせー」
「ご用の無いもの通しゃせん〜」
(‘_L’)「杉浦ロマネスクから」
―――!
(‘_L’)「文を預かってきた」
懐から出した文を声のした方へ投げれば、蛇の尾のようなものがそれを掴み、再び姿を隠す。
.
279
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:19:23 ID:Rsy2eP9Y0
(‘_L’)
(メ._⊿,)
「……これはどういう意味でありんすの……」
(‘_L’)「……人間だけではなく、死に神を食べてみたいと言うその想いに答えるため、昔からの友をも手に掛けたなら、その罪でこの身が、貴女を想ってこの心が、焦げてしまいそうだ。とのことです」
:(;‘_L’): ヒィ…
ガサガサと枝葉を揺らし、現れたのは、上半身が女性で、下半身が青葉色の鱗を持つ蛇の姿をした為らざるモノだった。
lw;´‐ _‐ノv「ロマネスク様は!? ロマネスク様はご無事でありんすか!?」
(‘_L’)「日があるうちは心配無ェ」
lw;´‐ _‐ノv「あぁ! ロマネスク様! ロマネスク様!」
(‘_L’)「待て」
lw;´‐ _‐ノv「止めないでおくんなまし! なんと言われようと、わっちはロマネスク様に会いに行きんす」
(‘_L’)「だぁらよ、そんじゃあ日ィ落っちまうだろって」
lw;´‐ _‐ノv「それでも、わっちは……」
(‘_L’)「ウサギ」
(メ._⊿,)「御意」
ウサギはシュールを抱え、その尾を自らに巻きつかせた。
.
280
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:20:32 ID:Rsy2eP9Y0
lw´‐ _‐ノv「あら? ぬしは月山の兎でありんすの?」
(メ._⊿,)「そうだ」
lw´‐ _‐ノv「それでは、あちらが閻魔?」
(メ._⊿,)「如何にも」
lw´‐ _‐ノv「ぬしほどのモノが死に神に下ったとの噂は真でありんしたの」
(メ._⊿,)「そう言うお前も、死に神と恋仲になっているではないか」
lw´‐ _‐ノv「わっちはロマネスク様と対等でありんす」
(メ._⊿,)「我とて、主より『下につく供であり、横に立つ友だ』と言われておる」
lw*´‐ _‐ノv「あらあら、わっちらよう似ていんすなぁ」
(メ._⊿,)「それは同感だ」
_,
(#*‘_L’)「じゃかしいさっさと走れ狩るぞ手前ェら!!!」
そう言い夜叉切丸の峰に飛び乗った途端、弾丸のように山を下る。
lw*´‐ _‐ノv「クスクス……お子は照れると愛らしくありんす」
(メ._⊿,)「我らも行くぞ。しかと掴まっておれ」
lw´‐ _‐ノv「よろしゅうお願いしんす」
.
281
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:23:00 ID:Rsy2eP9Y0
日が半分ほど山に隠れた頃。
磔(はりつけ)にされた杉浦の足元を囲うように、藁が山積みになっていた。
(メ #)ω┿)(シュール……)
(`∠´)「火矢は私が飛ばす。自らの行いを省み、地獄で悔いろ」
(メ #)ωФ)「……ベル」
(`∠´)「何だ」
(メ #)ωФ)「アイシスに想いは告げたのか?」
(`∠´*#)「なっ……! 貴様……!」
(メ #)ω┿)「我々が思うているより、死に神は短命だ。為らざるモノは強く、狩りに出向けば死に直面する。それに、アイシスは身体が弱い。……共に命があるうちに、幸せになれよ」
(`∠´#)「黙れ! 貴様如きに杞憂される事ではない!」
(メ #)ωФ)
(メ #)ω┿)「そうであるか……すまん」
(`∠´#;)
.
282
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:23:47 ID:Rsy2eP9Y0
£°ゞ°)「ベルさん。父様がそろそろと……」
(`∠´)「分かった」
(‐∠‐)
(`∠´)「乙鳥」
£°ゞ°)「はい」
(`∠´)「フィレンクトはまだ戻らんか」
£°ゞ°)「戻ったとの報せは聞いていません。ですが、近付いて来てはいます」
(`∠´)「そうか、ありがとう」
£*°ゞ°)「いえいえ〜」
.
283
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:25:52 ID:Rsy2eP9Y0
ゆっくり、ゆっくりと日は顔を隠し、辺りは徐々に暗くなっていく。
( ゚¥゚)「ロマネスク」
(メ #)ωФ)「何であるか」
( -¥-)「そろそろだ……すまんが、成仏してくれ……」
(メ #)ωФ)「よい。我輩のしたことが我輩に返ってくるだけである」
( ゚¥゚)「ロマネスク……」
(メ #)ω┿)「長い間、世話になったな。それと、長い間すまなかった……」
( -¥-)「そんなこと、今さら気にするな」
( ゚¥゚)「ベル、頼むぞ」
(`∠´)「はい」
( -¥-)
( ゚¥゚)「それでは、これより、杉浦ロ」「間に合ったみてェだ!!!」
( ゚¥゚) !
.
284
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:27:19 ID:Rsy2eP9Y0
(;‘_L’)「どぅわっ!?」
急に止まった夜叉切丸から放り出されたフィレンクトは顔から地面に落ち、シュールを降ろしたウサギは尻もちを着くように座り込む。
(;‐_L‐)「ヒィ……ヒィ……おぇっ……」
(メ._―,;)「ハァ……ハァ……最早、立つことも、ままならぬ……」
lw*´‐ _‐ノv「ロマネスク様!」
(`∠´;)「なっ……!?」
( ゚¥゚)
(メ #)ωФ)「……シュール?」
lw*´‐ _‐ノv「ロマネスク様!」
(メ #)ωФ)「何故、此処へ……」
lw*´‐ _‐ノv「閻魔と月山のが連れてきてくれんした」
(メ #)ω┿)「……そうか」
.
285
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:28:17 ID:Rsy2eP9Y0
(メ #)ω┿)「最期に見(まみ)えて良かった、シュール。もう帰れ」
lw´‐ _‐ノv「……え?」
(メ #)ω┿)「帰るのである」
lw;´‐ _‐ノv「何故そないなこと仰いますの!? わっちは……わっちは……」
(メ #)ω┿)「文を読んだのであろう?」
lw´‐ _‐ノv「でありんすから、こうして来んした」
(メ #)ω┿)「……我輩の焼け爛れる様を、お前に見られたくないのだ」
lw´‐ _‐ノv「そんなもの見いしんせん。わっちは永遠に、ロマネスク様と共にありんす」
(メ #)ωФ)「……シュール……」
lw*´‐ _‐ノv「わっちはロマネスク様から離れんせん」
(`∠´;)「……如何致しましょう」
( ゚¥゚)「フィレンクト」
(‘_L’)「何をお迷いで? このために彼女は下りると言ったのでしょうから、気持ちを汲んでください」
(`∠´;)「ん……そうか……」
lw*´‐ _‐ノv「感謝しんす」
.
286
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:30:21 ID:Rsy2eP9Y0
( ゚¥゚)「では改めて、杉浦ロマネスクの処刑を行う。……火矢を」
(`∠´)「はい」
矢の先に巻かれた、油の染み込んだ布。それを火へ潜らせ燃やし、弦を引き絞る。
(メ #)ωФ)「……シュール」
lw*´‐ _‐ノv「はい」
(メ #)ω┿)「もっと、側に……」
lw*´‐ _‐ノv「はい」
尾を杉浦の体へ巻きつけ、磔台ごと抱き締める。
(メ #)ω┿)「シュール……」
lw*´ _ _ ノv「ロマネスク様……」
(`∠´;;)
.
287
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:34:59 ID:Rsy2eP9Y0
ギチギチと弓が軋み、腕が疲れで震え始めても尚、ベルは火矢を放てずにいた。
(‐∠‐;;)
(`∠´;;)
(メ #)ωФ)
(`∠´;) !
(メ #)ωФ)
(メ #)ω┿)"
(`∠´;;)
(‐∠‐;;)
.
288
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:37:16 ID:Rsy2eP9Y0
二人を包む炎は燃え盛り、夜の闇を照らす。
( ∠ )
(‘_L’)「兄ィ」
(`∠´)「ん? 何だ」
(‘_L’)「……辛ェのか?」
(‐∠‐)「……分からん」
(‘_L’)「そォ」
(‐∠‐)
(‘_L’)
(`∠´)「フィレンクト」
(‘_L’)「んぁ?」
(`∠´)「文には、何と?」
(‘_L’)「……あのジジィが恋文を書いた。それしか言えねぇ」
(`∠´)「そうか。あのロマさんが……」
(‘_L’)
(`∠´)
.
289
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:38:11 ID:Rsy2eP9Y0
抱き締め合い一つになっていた影が、炎の中で少しずつ、少しずつ、崩れていった。
.
290
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:39:04 ID:Rsy2eP9Y0
君想い
故郷の友を 焼きむれば
心も身をも
焦がしたりけり
.
291
:
◆vvt8MHIS22
:2021/01/01(金) 23:56:55 ID:Rsy2eP9Y0
明けましておめでとうございます。
292
:
名も無きAAのようです
:2021/01/05(火) 20:34:27 ID:6e7oNUts0
今更再開気づいてむせた
ファイナル板移動とかはせずに行くのか
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