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優しい衛兵と冷たい王女のようです 番外編 『暁の綾蝶』

19 ◆MgfCBKfMmo:2015/07/20(月) 13:29:10 ID:VABT4D4M0
 叫び声がクーの耳に届いた。
 一人、二人、三人以上。聞き取れないほどの折り重なりが、クーに鳥肌を立たせた。

 声の方向におおよそのあたりをつけ、焚き火を消して駆けつけた。
 時間はかかった。夜の森では月明かりしか頼りにできず、低木や根っこに足を取られもした。
 それでも押し進み、空が青じみてくるころに、開けた場所で血のにおいを嗅いだ。

 人がたくさん倒れていた。
 先日見かけた商人と同じような風体をしている。身体の周りの草原が黒ずんで見えてるのはおそらく血で汚れているからだ。
 夜営のためのテントは支えを欠いて不格好にくずおれている。中にはもう誰もいない。
 歩き回って確認していたら、足下に気配を感じた。商人の一人が息を吹き返し、微かな呻きを漏らしていた。

「何があった」

 明け方の空では相手の顔もよくは判別できない。だから質問するのも厭わなかった。
 漏れる吐息に阻まれながら、商人の声はクーに届いた。


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