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優しい衛兵と冷たい王女のようです 番外編 『暁の綾蝶』

10 ◆MgfCBKfMmo:2015/07/20(月) 13:20:33 ID:VABT4D4M0
ラスティアの北西においては、工芸が鍵となっていた。

 中継地はスィオネという街だ。
 盆地に広がるこの中核都市は、魔人がくるより遙か昔から、織物、ガラス、鋳型といった工芸品製造業で栄えており、魔人が来てからもその担い手は人間のままだった。
 魔人がいかに力強く、実直で、超能力にも似た不思議な力を持っていようとも、工芸職人たちの持つ技術を真似ることはできなかった。

 魔人を必要としないスィオネの工芸業が欲したのは絹を作るための生糸や鋳型の原料となる鉄鉱等であり、その生成にはテーベ由来の工業製品が必要だった
 。このため、マルティアから送られてくる資源で作られたテーベの工業製品は、その需要を維持できた。

 三角貿易を成立させるためには、あとの一辺、スィオネの街とマルティアとの間の貿易関係が必要となる。
 ここで中核をなしたのは、ほかならぬ魔人だった。

「テーベの国策で、魔人がよく国外退去を命じられている。住む場所を追われた彼らの多くは隣国のラスティアに流れてくる。
 一方マルティアは魔人の活用が盛んな国で、フリーの魔人はいれば居るほど助かる。
 そこに目を付けたスィオネの街の商人は魔人たち何人か集めて一括りに氏、労働力に換算して価値を付け、商品として市場に売り出しているんだ」

 三角形の残りの一端をつつきながら、クーは説明を終えた。


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