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これを魔女の九九というようです

35名も無きAAのようです:2015/04/30(木) 17:14:42 ID:q9TyRmLg0
風呂場は思ったよりも大きく、立派であった。

(´・_ゝ・`)「猫足のバスタブなんか初めて見たな」

思わず口に出しながら、僕は蛇口をひねって湯を溜めた。
その間に体を洗うことにした。

しかしやたらボトルが多く、どれを使えばいいのか僕はさっぱり見当がつかなかった。
好きに使っていいと言われたが、こうも選択肢が多いと選び辛かった。

(´・_ゝ・`)「おお」

と、ここで僕は見慣れたものを発見した。
牛乳石鹸。
これさえあればとりあえず頭でも体でも洗ってもいいだろうという謎の安心感がある石鹸。
子供の頃にかじってあまりの苦さに涙目で吐き出した覚えもあった。
牛乳で出来てるならきっとおいしいだろうと僕は思ったのである。
そんなはずはないのに。

適当にしゃかしゃかと泡立てて、頭に乗せる。
ところどころじんわりと痛む箇所やかさかさに乾いた血がべろりと剥がれるような感触がした。
さっきまで死んでいたという証拠が、少しずつ消え失せていく。

思ったより、死ぬというのはなんともないものだったな、と僕は考える。
ほぼ即死だったせいか、痛みに苦しむ間もなかった。
ただあのままどうすることも出来ずに、寝転がっていたのはどうにも落ち着かない気分であった。
一本の映画が終わり、エンドロールも流れ切ってしまったのに、照明がつかない映画館に一人取り残されたらああいう気分になるのかもしれなかった。
どうするんだ、僕はどうしたらいいんだ。
このまま待てばいいのか、それとも動くべきなのか。
しかし真っ暗な映画館で立ち上がるのは、なんとなく気が引けてずっと座らざるを得ない。
結果そのまま一人でゆらゆらと揺れる「Fin」の文字を見つめ続ける羽目になるのだ。


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