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これを魔女の九九というようです

177名も無きAAのようです:2015/06/05(金) 16:44:37 ID:HOaUlsmE0
指が二度、テーブルを叩く。
真っ白な陶器が形を成す。
とぷんと液体の揺れる音、苦く香ばしい匂い。
正真正銘のコーヒーだった。

(´・ω・`)「デミタス、君は砂糖とかミルクはいるかい?」

(´・_ゝ・`)「……いえ」

(´・ω・`)「ああそう。ところでいつまでそこに立っているのかな」

ショボンは心底不思議そうにそう問うた。
僕はそれに答えず、黙って椅子を引いた。
ひんやりとした鉄の感触は、魔法で引き出されたものとは到底思えなかった。
しかし、やはりこれは魔法なのだ。
これだけの日が差し込んでも全く汗をかかないし、街には僕たち以外に人はいなかった。
あまりにも完成されすぎた空間だ。
居心地の悪さを誤魔化すため、僕はコーヒーをすすった。
それに気付かず、ショボンはサンドイッチを手に取った。
イチゴやキウイ、オレンジなどの果物がたっぷり入っていて、生クリームがはみ出ている。
見るからに食べにくそうだったが、彼は欠伸した時よりも大きく口を開けた。
ばくりと食らいつくその様は、童話に出てくる狼を連想させた。
幸せそうに頰が緩みながらも、さらにもう一口。
そんな調子だったので、皿はあっという間に空になってしまった。

(´・ω・`)「さてと」

指についた生クリームを舐めとり、ショボンは手をあげた。

(´・ω・`)「デミタス、十年前の秋頃に君は何をしていたか覚えているかね」

(´・_ゝ・`)「十年前?」


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