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('A`)は撃鉄のようです
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__ ,、
く_;:::ハ /::ヘ
(_厂 ヒコ
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1〜15話 >>2
第十六話 仲間を求めて >>6-24
第十七話 Waste Land >>33-71
第十八話 限りある世界 >>89-134
第十九話 ドクオは泥を見た。ミルナは星を見た >>149-173
第二十話 説明をする回 >>194-233
番外編として処理する予定だったのを、急遽無理矢理一話分にしました
今回の内容が役に立つことはあんまり無いなので、今回よりも過去話を読んでもらえるとハッピー('A`)
書き溜めが24話まであるので、5月は週一で投下しようと思います
次回は来週末くらい(^ω^)よろしくNE(^ω^)
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おつおかえり
タイトルが直球過ぎて笑う
ようやく全貌が見えてきたってところかね
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乙乙ー。荒巻の印象が変わる回だったな
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乙!説明回と言えど安定の面白さ
6月早いなぁ
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>>199と>>200の間抜けてない?
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乙!
さすがの実力
楽しみだわ
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( ゚д゚ )「俺の場合、撃鉄一個を節約して使い、大体六発に分ける」
(;'A`)「え、分けるとか出来たの……」
( ゚д゚ )「お前は全力で戦おうとしすぎなんだ。
同じ事を言うが、加減と節約を覚えて損は無いぞ」
その時、ミルナの背の撃鉄が落ちた。
撃鉄から生み出された光は花火のように弾け、瞬発的な破壊力を彼の右腕に送り込む。
すると、彼の右手は簡単に岩にめり込んだ。
(;'A`)「……え、で、撃鉄また起こせるのか?」
( ゚д゚ )「ああ」
ミルナが腕を引くと同時に、撃鉄は再び起き上がった。
( ゚д゚ )「当面は超能力に慣れる事と、燃費の向上を目標にするんだな」
(;'A`)「能力ありきの戦い方を考えるのは後か……」
( ゚д゚ )「お前には十分な基礎体力がある。大体何とかなる。分からんが」
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第二十話 >>194-199 >>240 >>200-233
たまにはこういうこともあるNE(^ω^)
抜けを教えてくれてありがとう('A`)
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乙!
ふざけた発言したらホントに投下がきたときぐらい驚いたぜ
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毎回楽しく読んでます
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>>228
ガッ
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忙しいので来月末まで延期します
個人的6月では世間的5月には勝てませんでした('A`)
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了解
今日何とはなしに読み返したけど面白かったわ
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≪1≫
【一年前、なおるよの実家】
【以下、レムナント監獄に入っていたなおるよ】
ハ_ハ
('(゚∀゚∩ 「みんな〜」
ヽ 〈
ヽヽ_)
【以下、なおるよの弟妹6人】
\ワイワイ/
ハ,,ハ ハ_ハ \ドッ/
ハ_ハ('(゚∀゚∩∩゚∀゚)'ハ,,ハ
(^( ゚∀) ハ_ハ Y ハ,,ハ('(゚∀゚∩
) (^( )^) )^) 〈
(_ノ_ノ ) /´ `ヽ ( ヽヽ_)
(_ノ_ノ ヽ_ヽ_)
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('(゚∀゚∩「にーちゃん!」(六男)
('(゚∀゚∩「兄ちゃん!」 (五男)
('(゚∀゚∩「兄ちゃんだ!」 (四男)
('(゚∀゚∩「おみやげだ!」 (三男)
('(゚∀゚∩「みんな手を洗ってから食べるんだぜ!」 (次男)
('(゚ー゚*∩「兄ちゃんおかえり!」 (長女)
('(゚∀゚∩「ただいまだよ! なおるね(五男)は元気だった?」
('(゚∀゚∩「今日は隣のおばさんにオヤツ貰ったよ!」 (五男)
('(゚∀゚∩「おおっ! それは良かったんだよ〜!」
('(゚∀゚∩「……なおるかな(長女)、あっちで御土産広げてくるといいんだよ!」
('(゚ー゚*∩「……分かった! みんな、あっち行くよ!」 (長女)
('(゚∀゚∩「一番乗りなんだよ!」 (三男)
('(゚∀゚∩「ぼく一番大きいの食べる!」 (六男)
('(゚∀゚;∩「ずるい!」 (五男)
('(゚∀゚;∩「みんな手を洗ってからだよ〜」 (四男)
.
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('(゚∀゚∩「……兄ちゃん」 (次男)
('(゚∀゚∩「ん? どうしたんだよ?」
('(゚∀゚∩「……やっぱ俺も働きに……」 (次男)
('(゚∀゚∩「それはダメだよ! みんなの面倒を見られるの、なおるぜ(次男)だけなんだよ」
('(゚∀゚;∩「でもっ! 兄ちゃんが体壊したらみんな悲しむぜ!?」 (次男)
('(゚∀゚∩「……ごめんね」
('(゚∀゚∩「……今度、ちょっと長い出稼ぎにいってくるよ。
いつ帰れるか分かんないけど、いっぱいお金貰って帰ってくるよ」
('(゚∀゚;∩「……危ない橋は渡らないでほしいぜ」 (次男)
('(゚∀゚∩「その橋を渡れるのは僕だけなんだよ、分かってほしいんだよ。
大丈夫、絶対に帰ってくるよ――」
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――なおるよは、唸るようなエンジン音で目を覚ました。
('(゚∀゚∩(……良い夢を見たんだよ)
.
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第二十一話 「不治のくらやみ その1」
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ドクオとミルナはその日の内に酒場・バーボンを出発する事にした。
逸早く目的地に行き、今出来ることをやる為に。
('A`)「よっし。大体オッケーだ」
店の軽トラックを無断拝借して車の荷台に銃器を積み終えると、ドクオはすぐさま運転席に乗り込んだ。
ミルナは先んじて助手席に座り、アホ面で荒野を眺めていた。
( ゚д゚ )「……」
('A`)「なんだよ、まだ気分悪いのか? 昨日も変だったし」
( ゚д゚ )「これが俺のデフォだ。覚えとくんだな」
(;'A`)「そんなツラで偉そうに……車、揺れるからな。吐くなよ」
ドクオはキーを回し、レバーやハンドルをガチャガチャして車を発進させた。
次なる目的地はレムナントの中心街・クソワロタだ。
( ゚д゚ )「……」
気の抜けた様子のミルナ。
しかし彼は、周囲に隠れ潜んでいる なおるよ の気配を鋭敏に察知していた。
( ゚д゚ )(普通の感知能力なら見逃すんだろうが、tanasinnの感知能力に弱点は無い。
お前が何をしたいかは知らんが、場合によっては……)
場合によっては、殺すつもりだった。
人を殺すということに対して、今の彼には迷いも戸惑いもなかった。
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('(゚∀゚;∩(……ああ、行っちゃった)
なおるよは岩場の陰に身を潜め、望遠鏡を構えてドクオ達を見ていた。
('(゚∀゚∩(予定より早いけど、ドクオを追って街に入らなきゃ)
('(゚∀゚;∩(また長距離移動……がんばろう……)
車が土煙を上げて走っていくのを確認してから、彼もリュックを背負って歩き出した。
彼が今こうしているのは、監獄で棺桶死オサムと交わした約束があるからだった。
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棺桶死オサムが行動を起こしたのは、ドクオがレムナント監獄を出発した直後だった。
なおるよを故郷に送り返すという名目で二人きりになった時、オサムはなおるよに、ある頼みを持ちかけた。
【+ 】ゞ゚)「お前に、ミルナという男を追って欲しい」
('(゚∀゚∩「……なんで?」
なおるよは首をかしげて聞き返した。
【+ 】ゞ゚)「向こうに感知能力があった場合、俺では確実に気付かれる。
だが、お前の無効化があれば気付かれずに追跡出来るはずだ」
('(゚∀゚∩「……オサムも恩人だよ。
だから受けた恩は返すけど、頼み事があるならちゃんと話さないとダメだよ」
【+ 】ゞ゚;)(……子供に正論を語られた……)
彼の正論を受け入れ、オサムは大人ぶるのを止めた。
.
-
【+ 】ゞ゚)「なんと言うかな……ちょっと気になっててな。
こないだの戦いで、向こう側の奴が俺に言ったんだ」
オサムは脳裏にシャキンの顔を思い浮かべて言った。
【+ 】ゞ゚)「――『ミルナに気をつけろ』。
たったそれだけ、本当に一言なんだが、気になっている」
('(゚∀゚∩「……良い意味で? 悪い意味で?」
【+ 】ゞ゚)「後者だ。ドクオとは仲が良いらしいが、信用ならん。
仲間として受け入れるかどうか、その判断材料が欲しい」
('(゚∀゚∩「……要は、ミルナがどんな人か見てくればいいの?」
【+ 】ゞ゚)「気付かれずに、だ」
オサムは、はっきりとした口調で念を押した。
【+ 】ゞ゚)「相手は監獄の最奥に幽閉されてた危険人物だ。
もし引き受けるなら、本当に気をつけてくれ」
【+ 】ゞ゚)「……俺だって人殺しだが、もしもミルナが危険な奴なら、迷わずに逃げろ」
オサムの忠告を聞いた上で、なおるよは胸を叩いてしたり顔を作った。
.
-
('(゚∀゚∩「これでも危機管理は出来る方なんだよ!
でないと、こんな所まで出稼ぎには来れないよ!」
('(゚∀゚∩「……それに、オサムも結構その人を信用してるでしょ?
僕に行かせるくらいだし、そこまで脅さなくてもいいんだよ!」
なおるよの言った通り、これはオサムにとっても杞憂と言える行動だった。
もしも、万が一、仮に――そういう言葉を並べた末に思いついた、なおるよという保険。
この時の棺桶死オサムは、まだその程度の危機感しか覚えていなかったのだ。
【+ 】ゞ゚)「……まあ、ドクオと仲が良いからな。
ある程度なら信用出来ると、思っている」
('(゚∀゚∩「……まぁ追っかけるのは正直面倒だけど、恩返しって大抵面倒だからね」
【+ 】ゞ゚;)「その年で何を言ってるんだお前は……」
('(゚∀゚∩「オサムの頼み、引き受けるんだよ」
その後、オサムから事細かに注意を言い渡されたなおるよは、
リュックを背負ってレムナントの荒野を歩き出した。
.
-
――なおるよが監獄を出発して数分後。
(。人。)
('(゚∀゚∩
('(゚∀゚;∩(オッパイが落ちてる……)
('(゚∀゚;∩(あの垂れ具合からして、多分看守長のオッパイなんだよ……)
ハ_ハ (とりあえず埋めておこう……)
∩;゚∀゚)')
〉 /
.(_/ 丿 :;""'':';⌒"゛゛;:
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~^'"\(。ノ""'':,√~^ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
地面 . \,( ゚ )/
-
――さらに数時間後、ドクオを追って入った森にて。
('(゚∀゚;∩「道に迷ったよ!」
_,,, チュン
_/::o・ァ
∈ミ;;;ノ,ノ
('(゚∀゚∩「スズメだ! こっちで初めて見た!」
_,,, チュン _,,, チュン
_/::o・ァ _/::o・ァ
∈ミ;;;ノ,ノ ∈ミ;;;ノ,ノ
('(゚∀゚*∩「増えた! かわいいんだよ!」
_,,, チュン _,,, チュン _,,, チュン
_/::o・ァ _/::o・ァ _/::o・ァ
∈ミ;;;ノ,ノ ∈ミ;;;ノ,ノ ∈ミ;;;ノ,ノ
。
('(゚∀゚*∩「エサあげたら懐くかな〜……」
.
-
\KILL/ \YOU/
_,,, _,,, _,,,
_/::o・ア _/::o・ア _/::o・ア <エサ置いてけ
∈ミ;;;ノ,ノ ∈ミ;;;ノ,ノ ∈ミ;;;ノ,ノ
。
('(゚∀゚∩
('(゚∀゚∩`。 ポロッ
※このあと食料の大半を渡して和解、道案内をしてもらった。
-
――森の出口、すごい崖のところ。
ヒュオオオ〜……
('(゚∀゚;∩「こんなのどうやって渡ればいいの!?」
ノノノノ
(゚∈゚__) 「向こうまで、食べ物で送っていく」
/⌒ )
ミイ //
| ( ( 【ドクオとの接触により、等価交換を学習したクックル】
| ) )
| //
| ノノ
|ノノ
彡ヽ`
('(゚∀゚;∩「もう食料が全然残ってないんだよ……」
( ゚∋゚)「……森の食べ物でいい」
('(゚∀゚∩「本当に!? 優しいんだよ! 取ってくる!」
※このあと三匹スズメに再会。残りの食料を取られ、身包みをはがされる。
.
-
――ドクオの故郷。から少し離れた岩陰。
('(゚∀゚∩「あれがドクオの育った場所……」
('(゚∀゚;∩「……うちと良い勝負だよ、ドクオとは仲良く出来そう」
<_プー゚)フ「じゃあ俺、町の方に行って来ます」
(´・_ゝ・`)「おう。気をつけてな」
(;´・_ゝ・`)「……んで、なんだアイツ」
('(゚∀゚ |岩| コッソリ
(;´-_ゝ-`)「……誰かアレを捕まえて車に突っ込んどけ。邪魔だ」
('(゚∀゚∩「……えっ? まさか向こう側の……」
('(゚∀゚;∩「ギャー!」
※このあと普通に補導され、車両に突っ込まれる。
※ミルナが隊員を倒してる最中に頑張って逃げ出した。とても頑張った。
.
-
――深夜。酒場・バーボン付近の岩陰。
('(゚∀゚;∩「なんか酷い目にあってばっかりだよ……」
('(゚∀゚;∩「恩返しって本当に面倒臭いよ……早く帰りたいよ……」
( ゚д゚ )「――悪いな、夜中に呼び出して」
「まったくだ。俺は明日も早いんだぞ?」
('(゚∀゚∩(ミルナと……でっかい人だよ。なんか話してる?)
「そんで話って何だよ? 悪いが金の掛かる事はッ――」
( ゚д゚ )「……」
「――……てめえッ……!」
('(゚∀゚∩(……えっ)
.
-
≪2≫
('(゚∀゚;∩(あー疲れた……)
なおるよはドクオ達に続いてレムナントの中心街・クソワロタに入った。
既に日は落ちており、街は夜の活気に満ちていた。
なおるよは夜の商店街を歩きつつ、適当なホテルを探した。
('(゚∀゚∩(……あのホテルとか、ドクオが選びそうだよ)
路地に破格の安ホテルを発見し、足を止める。
なおるよは即断してそこに入り、風呂とトイレが別になっている部屋を取った。
.
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
なおるよはリュックをベッドに放り投げた。
('(゚∀゚;∩(やっと休める……)
壁際にあった椅子に腰掛け、電気も点けずに窓を覗く。
路地のホテルなので壁しか見えなかったが、彼は構わずに思案し始めた。
('(゚∀゚∩「……」
('(゚∀゚∩「……殺したのかな……」
ミルナがした事を思い返し、自分自身に問い掛けるように言う。
('(゚∀゚∩(ダディ達がここに来るまであと四日、どうしようかな……)
('(゚∀゚∩(見張りを続行する? でも、もし本当に殺してたなら危険だよ)
('(゚∀゚∩(……殺したかどうかで考えるなら、見た限り、ミルナは大男を殺した)
('(゚∀゚∩(僕個人の判断では、ここで見張りは終わり。
殺しの事実だけをオサムに伝えて身を引くべき……)
('(゚∀゚∩(……でも、その危険に一番近づけるのも僕なんだよ)
('(゚∀゚∩(オサムが僕に声を掛けたのも、僕が超能力を打ち消す力を持ってるから)
('(゚∀゚∩(能力者相手の生存確率は僕が一番高い。逃げるだけなら一番上手いだろうし。
危険を冒して行動できるのが僕だけなら、確証を得るまで続けるべきかな……)
.
-
('(゚∀゚∩(――うん、見張りは続行する。
明日改めてミルナ達を見つけて、追うんだよ)
なおるよが決意を新たにした、その時。
彼は眼下の路地裏に、二人の男を見つけた。
( '`_ノ´')
かたや見知らぬ男。切れ目で、目尻には謎の刺青がある。
彼の風体は猛々しく、なおるよの目にも彼が強者だと見て取れた。
( ゚д゚ )
そしてもう一人の男は、件のミルナだった。
.
-
('(゚∀゚;∩(なんでここにッ!?)バッ!
なおるよは咄嗟に窓から離れた。
ミルナの顔を見てビクンと跳ねた心臓に手を当て、息を殺す。
('(゚∀゚;∩(やっぱりこの辺のホテルに泊まってたんだよ……!)
('(゚∀゚;∩(……感知能力を発動される前に、こっちも能力を発動して……)
なおるよはゴクリと音を立てて生唾を飲み込み、今さっきの決意を強く念じた。
('(゚∀゚;∩(……ミルナを追いかけるんだよ……!)
.
-
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
人気のない場所に到着して間もなく、男は振り返ってミルナと向き合った。
両手を後ろに組み、鋭い視線をミルナに投げかける。
( '`_ノ´')「アナタ、何者カ?」
( ゚д゚ )「……見ての通りだが」
( '`_ノ´')「……ナラ、喧嘩屋?」
( ゚д゚ )「そう見えるなら」
( '`_ノ´')「……コノ街、意外と喧嘩屋は少ナイ。
見ての通りの喧嘩屋にしてハ、アナタ、目が優しい」
( '`_ノ´')「……なのに気配ハ邪悪ソノモノ。共存しないハズのモノが、アル」
( ゚д゚ )「人間色々居るんだ。その一人さ」
( '`_ノ´')「……マ、売られた喧嘩は買ウのが常ネ。さっさとやるヨ」
男は組んでいた両手をするりと解き、大きく開いて身構えた。
周囲の電灯から光を吸収し、能力を発動して――
.
-
(; '゚_ノ´')「ハァ……ハァ……」 ボタッ・・・ボタッ・・・
――ものの数分で、男は両腕をちぎられていた。
( ゚д゚ )「……どうした、威勢が衰えたな」
(; '゚_ノ´')「……理解不能……」 ボタッ・・・ボタッ・・・
ミルナの背後でうごめく黒煙を睨みつけ、男は声を絞り出した。
黒煙は巨大な手をかたどっており、その手中には男の両腕を握っていた。
( ゚д゚ )「……」
(; '゚_ノ´')「……ココに来てカラ初めて思ったよ、マジでヤバイ……!」
( ゚д゚ )「……命までは取らん。腕は貰っていくが、逃げたきゃ逃げろ」
(; '゚,_ノ´')「フン。屈辱に甘んじて生きてくほど、自分の命に執着は無い……!」
男は両腕の切断面から多くの血を流しながら、なおも戦意を失っていなかった。
血に染まった狂的な笑み。ミルナはそれを見て、男を最後まで殺しきる決心をした。
(; '゚_ノ´')(弟子を育てきる前に死ぬのは未練だけど、許すネ……)
数瞬後、男はミルナに肉薄し、最後の一撃を仕掛けた――
.
-
≪3≫
――夜が明けていく。
路地裏のホテルにも多少の日差しが入り込み、なおるよの部屋をほのかに照らし出す。
('(゚∀゚;∩ モゾモゾ
埃っぽい布団から顔を出し、朝日を一瞥。
なおるよが街に到着してから今日で四日目。
今日はいよいよダディクール達との集合の日。今日でなおるよの仕事は終わりだ。
('(゚∀゚;∩「……」
集合時間は午前十二時、場所は近くの噴水広場。
徒歩10分で着けるその場所に、今日なおるよは一つの報告をしに行かねばならない。
.
-
('(゚∀゚;∩(今日までの四日間で完全に理解した……。
ミルナはほぼ毎晩、誰かを殺してる……)
('(゚∀゚;∩(全部見ちゃった…………)
黒い煙。
ミルナが使っていたそれの禍々しさは、なおるよの短い人生では到底表しきれるものではなかった。
しかも、その煙は日を追うごとに進化していった。
大男を殺した時は腕にまとわりつく単なる煙。
その後、この街で最初の犠牲者になった男の時には、手の形。
更に翌日には腕一本。昨晩には、黒煙は遂にあらゆる形状に変化出来るようになっていた。
('(゚∀゚;∩(あの能力はたぶん、人間をエサに進化してる)
('(゚∀゚;∩(……人を食べて進化する能力なんて、聞いた事ない……)
.
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('(゚∀゚;∩(今日はオサムと合流して、見たものを全部話すんだよ)
('(゚∀゚;∩(……でも、ミルナにも理由があるかも知れないから、ちゃんと話を……)
('(゚∀゚;∩「……」
('(゚∀゚;∩(人を殺した理由を聞いて、『そうなんだ』って言えるのかな……。
もしかしたら僕達だってエサなのかも知れないのに……)
――こんこん。
部屋のドアがノックされた。
駆け巡る思考を止め、ドアに目を向ける。
('(゚∀゚∩(ルームサービス?)
一瞬、そんな呑気なことを思う。
それも束の間、弾けるような悪寒が彼の体を駆け巡った。
('(゚∀゚;∩(いやっ――これは――!)
.
-
言葉に出来なかったあの禍々しい気配、その一端がドアの向こうに確かにあった。
次いでオサムの言葉が脳裏を過ぎる。
『もしもミルナが危険な奴なら、迷わずに逃げろ』
('(゚∀゚;∩(――逃げなきゃ!)ガタッ!
なおるよはベッドを飛び起き、財布だけ持って窓枠に足をかけた。
だがその時にはドアは開けられ、素早い足音が背後に迫ってきていた。
('(゚∀゚;∩(飛ぶッ! 迷ってる暇はッ――)
.
-
(;'A`)「――お前ッ! なにやってんだよッッ!!」ガッ
('(゚∀゚;∩「――おおおおッ!? ドクオッ!?」
そう言ってなおるよの肩を掴んだのは、ミルナではなくドクオだった。
('(゚∀゚;∩「な、なんでドクオ……?」
(;'A`)「っていうか先に戻れっ! 落ちるぞ!」グイッ
ドクオに力強く引き戻され、なおるよは床に尻餅をついた。
('(゚∀゚;∩(なんでっ、なんでドクオが来たんだよ!?)
('A`;)「あッぶねえな……。おい、お前の言うとおりだったぞ!」
ドクオは呆れた様子で振り返り、廊下に佇む男に言った。
('(゚∀゚;∩「……」
なおるよの予感は当たっていたのだ。
しかし、ミルナがドクオを連れて来る事までは想像が及ばなかった。
.
-
( ゚д゚ )「……だから言ったろ」
('(゚∀゚;∩「……」
なおるよは目を丸くし、しかし平静を装いながら、彼が部屋に入ってくるのを見守った。
( ゚д゚ )「何があっても、誰であろうと、絶対に見つけ出せるってな」
.
-
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
( 'A`)σ「あんまり危ないことしちゃダメだぞ、分かったな」
('(゚∀゚;∩「わ、わかってるんだよ……。
向こう側の人かと思って慌てたんだよ、もうしないよ……」
( ゚д゚ )「お前のが死にたがりだろ、何偉そうに言ってんだよ」
('A`;)「うるせぇ!」
('(゚∀゚;∩「……アハハ……」
三人は部屋で談笑しつつ、集合時間が来るのをゆったりと待っていた。
ただし、なおるよの内心は激しい焦燥に駆られていた。
('(゚∀゚;∩(確実にバレてる。この場所が分かったんだから、僕の見張りは絶対バレてる)
('(゚∀゚;∩(ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ……)
('(゚∀゚;∩(……ドクオを連れて来たのは僕を逃がさないため?
でも正直、居場所がバレた状態でこの人から逃げ切るのは無理……)
( ゚д゚ )「――だがまぁ、怖くて逃げ出すって感じはよく分かる」
( ゚д゚ )「だから、いつでも逃げ出していいんだからな」
('(゚∀゚;∩「……えへへ。考えておくんだよ……」
.
-
( 'A`)「そうだ、なおるよ」
('(゚∀゚;∩「なに?」
('A`)「お前、この先一緒に行動するのか?
俺らを追ってきた理由、それぐらいしか浮かばないんだが」
( ゚д゚ )
('(゚∀゚;∩「……一応、そのつもりだよ」
(;'A`)「……大丈夫かよ。声震えてんぞ。
つーかお前、たしか故郷に帰るとか言ってなかったっけ?」
('(゚∀゚;∩「……そうだね、帰らなくちゃいけないよ。家族が待ってるから」
('A`)「……だったら帰れよ。帰る場所があるんだから」
なおるよはミルナを一瞥してから言った。
一瞬の目の動きだったが、ミルナはしっかりとそれを把握していた。
('(゚∀゚;∩「でも、せめて、みんなに会ってから帰りたいんだよ。
ドクオが起きた後、すぐ出発でちゃんと話せてないから……」
( ゚д゚ )「――誰かに伝言があるなら、聞くが」
ミルナは静かに提案し、なおるよに冷たい視線を送った。
('(゚∀゚;∩「……いやっ、別に……、急いで帰る必要は、ないし……」
( ゚д゚ )「大事な話でもあるのか? ただの囚人仲間相手に」
前のめりになり、じっとなおるよを見つめる。
ミルナが言葉の裏に隠した真意は、明確になおるよに伝わっていた。
.
-
('(゚∀゚;∩「……」
('(゚∀゚;∩
('(゚∀゚;∩「帰る」
('A`)「……そうしとけ。みんなには俺から言っとくよ。
悪いな、無駄金を使わせちまって」
('(゚∀゚∩「……ううん。僕が一人で勝手に来ただけだから。
ドクオ、僕を監獄から出してくれてありがとうなんだよ」
('∀`)「気ぃにすんなって。俺も勝手にやっただけだ」
( ゚д゚ )「慣れない先輩面なんかするなよ、似合ってないぞ」
ゞ('A`;)「うるせっ」 シッシッ
.
-
('(゚∀゚∩「……それじゃッ!」
なおるよは元気に言って立ち上がった。
('(゚∀゚∩「早いし越した事はないし、さっさと帰るんだよ!
みんなに『頑張れ、ありがとう、またね』って言っといてね!」
('A`)ノ 「おう。今回は短い付き合いだったけど、またな」
('(゚∀゚∩「……うん! いつか改めて、ちゃんとお礼をしに来るよ!」
.
-
なおるよはテキパキとホテルのチェックアウトを済ませ、外に出た。
表通りに行き、ドクオとミルナに見送られながら帰路を行く。
ドクオは自分より年下のなおるよの背中を、じっと見送った。
('(゚∀゚∩「またね〜〜〜」
('A`)ノ 「おー」
最後に大きく手を振ってから、なおるよは軽快な駆け足でどんどん離れていった。
('A`)「……なんか、良いヤツだったな」
( ゚д゚ )「……そうだな」
('A`)「ダディがアイツを助けた理由が分かったよ。
優しいけど向こう見ずって感じ、ちょっと話しただけで分かったぜ」
ドクオは踵を返し、ダディクールとの待ち合わせ場所へと歩き出した。
しかしミルナはドクオが歩き出してからもしばらく、なおるよの背中を見続けていた。
( ゚д゚ )
やがてなおるよが角を曲がり、姿が見えなくなったところで、
ミルナもようやくドクオの後についていった。
.
-
≪4≫
なおるよは、クソワロタ周辺の荒野をとぼとぼ歩いていた。
('(゚∀゚;∩「……」
出来るだけゆっくり、それでいて、しっかり歩いているように見せかける。
そんな小細工で時間を稼ぎながら、なおるよは一つの可能性に身を委ねていた。
その可能性とは、クソワロタに来ている筈の棺桶死オサムが自分を見つけるというものだった。
棺桶死オサムにも十分な性能の感知能力がある。
彼がそれを発動してなおるよを感知すれば、必ずなおるよを迎えに来るはずだ。
しかし、なおるよが時間稼ぎを始めて一時間、現在午前十時。
最早その可能性は完全に途絶え、なおるよは次の事を考えていた。
こうなればもう一度、自分から会いに行くしかない。
.
-
('(゚∀゚;∩(生きて帰る。故郷に帰る。
それだけが目的なら、このまま歩いて行けばいい……)
('(゚∀゚;∩(……家族をずっと待たせてるし……)
('(゚∀゚;∩(それに、僕じゃ絶対にミルナに捕まって終わっちゃうよ。
オサムだってミルナが危ないって疑ってたし、たぶん何も起きないはず……)
('(゚∀゚;∩「……」 ピタッ
なおるよは一通りの言い訳を並べ終えてから、足を止めた。
('(゚∀゚;∩「……」
('( ∀ ;∩「……〜〜〜〜〜〜ッ!!」 ググッ・・・
.
-
('(゚∀゚;∩(……ああっ! もうっ!!)
('(゚∀゚;∩(恩は勝手に返すもの!
だからこれは恩返し! 全員分合わせてこれが最後!)
('(゚∀゚;∩(終わったら帰る! 何が何でも!) ザッ!
なおるよは威勢よく踵を返し、クソワロタに向かって踏み出した。
('(゚∀゚;∩(僕だけがミルナのやった事を知ってる!
真実であれ杞憂であれ、この事を誰にも伝えないのはダメだ!)
('(゚∀゚;∩(しかもミルナが人殺しなら一番危ないのはドクオじゃん!
一番恩返ししなきゃならない人を見殺しなんて、気分悪い!)
なおるよは足元の石ころをコツンと蹴り飛ばした。
('(゚∀゚;∩(クッソォ〜〜帰ったらみんなに自慢してやるんだよ!)
('(゚∀゚;∩(にいちゃんは良い事をしたんだ、悪い人を出し抜いたんだって!
みんなに自慢して褒めちぎられないと割りに合わない!)
('(゚∀゚#∩(牛歩で稼いだ一時間時間、クソワロタには人も車も入っていかなかった!
ってことは、オサム達はとっくに街に入ってるんだよ!)
('(゚∀゚#∩(じゃあ集合場所まで行ければ何とかなる!
ミルナが何だって言うんだよ! チクショウ!)
('(゚∀゚#∩「……恩返しは大抵面倒。その通りなんだよ、まったく……」
ささやかな愚痴を最後に腹を括り、そこから先、なおるよは無駄口を叩かなかった。
.
-
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【クソワロタ中央・噴水広場】
噴水とは水が上に向かってドバーとしているモニュメントである。
この噴水広場はクソワロタでは待ち合わせ場所として有名で、
昼前の時間帯でも多くの人がここに集っていた。
(゚д゚;);'A`)「人多すぎだろ!」 ギュウギュウ
時刻は午前十時。
ダディクール達との待ち合わせまで、まだ二時間も残っている。
人混みの中で待つのは辛いので、ドクオとミルナはひとまず噴水を離れた。
(;'A`)「あー都会こえー……噴水にこんな集まるってバカかよ……」
(;゚д゚ )「なんだ、都会は初めてか?」
(;'A`)「こんなん初めてだよ。なんか気分悪くなってきた……」
(; д )「俺も人混みは苦手だ。は、腹が……」
(;'A`)「前から思ってたけど腹弱いの? ださくね……」
(; д )「それ酷くないか……?」
.
-
(;゚д゚ )「……あーダメだ、出してくる」
(;'A`)「おう、分かった」
(;゚д゚ ) ギュルルル〜
(;゚д゚ )「しばらく出してくる」
(;'A`)「どういう表現だよ。分かったから、この辺に居るから」
(;゚д゚ )「悪いな、行ってくる……」
ウンコマンはそう言って弱々しい足取りで歩き出し、人混みに紛れてどこかに消えた。
ドクオはそれを見届け、近くにあったベンチによろよろと腰を下ろした。
(;'A`)(あー気持ちわる……)
(; A )(ていうか、もう昼寝するっきゃねえ……) ガクッ
ドクオは深々と俯き、眠った。
.
-
人気を離れ、静かなところで立ち止まる。
ミルナは両手をポケットにしまい、やさぐれた様子で青空を見上げた。
( ゚д゚ )(……警告はした)
ミルナの感知能力は既になおるよを捉えていた。
なおるよの進行方向からして、彼が噴水広場に向かって来ているのは明白だった。
( ゚д゚ )(警告を無視するなら俺も容赦はしない。
見られたからには、それを秘密にできないなら、子供だろうと……)
ミルナはそこから先を考えなかった。
( ゚д゚ )「……」
沈黙の最中、ミルナの体から黒煙が立ち上り始める。
ミルナが念じると、黒煙は彼の足元に集中した。
軽く膝を曲げ、跳躍。
直後、彼はその場から消えた。
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1〜15話 >>2
第十六話 仲間を求めて >>6-24
第十七話 Waste Land >>33-71
第十八話 限りある世界 >>89-134
第十九話 ドクオは泥を見た。ミルナは星を見た >>149-173
第二十話 説明をする回>>194-199 >>240 >>200-233
第二十一話 不治のくらやみ その1 >>247-285
次回は明後日
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おつ
-
乙
黒い煙も撃鉄なのかなあ
-
乙
-
おつ!!!!!
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≪1≫
「……おい、ドクオ。おいってば」ユサユサ
('A`)「んあっ」
ドクオは誰かに肩を揺すられ、気持ち悪い顔で目覚めた。
(;,,゚Д゚)「ったく、お前こんなとこで寝んなよ。スられても知らねぇぞ」
('A`)「おあ……お前、ザコじゃん……」
(#,,゚Д゚)「ギコだ。殴るぞバカ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
('( ∀ ;∩「――――ッ!!」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
('A`)「……いま何時?」
(,,゚Д゚)「十二時ちょい過ぎだ。もうみんな居るぞ」
('A`)「どこに?」
(,,゚Д゚)「近くのメシ屋。決起記念、ダディクールの奢りだってよ」
.
-
ドクオは大きく体を伸ばして立ち上がった。
噴水広場にあった人混みは、寝る前に比べれば大分マシになっていた。
ドクオとギコは僅かに残った人の往来を背景に、立ち話を続けた。
('A`)「……あれ、ミルナは?」
(,,゚Д゚)「あいつ来てんのか?
その辺に居ないから途中で別れたんだと思ったぞ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
('( ∀ ;∩(クソッ……!)
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('A`)「あいつウンコしに行ってるんだ」
(;,,゚Д゚)「……そ、そうか。クソか」
('A`)「ま、後で迎えに来りゃいいだろ。それよりメシだ」
(,,゚Д゚)「そうだメシだ。男のウンコ待ちなんかしたくねぇよオレ」
('A`)「俺も。行こうぜ」
二人は肩を並べて歩き出した。
どこかで戦う一人の少年の事など、ほんの少しも知らないまま――
.
-
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この大地において一番の人口と大きさを誇る街・クソワロタ。
そこは未だ発展途上であり、その過程では放棄された区画がいくつかある。
('( ∀ ;∩(何かッ……何か考えなくちゃッ……!)
なおるよは今、その放棄区画の中で戦っていた。
人気は一切無く、たまに浮浪者がそこら辺を歩いているだけの空間。
ほぼ孤独、完成された孤立無援。
そんな状況下に置かれながら、なおるよは懸命に戦い続けていた。
( ゚д゚ )
――無表情な顔が一つ、なおるよを追い続けていた。
.
-
支援
-
≪2≫
クソワロタに戻る途中で、なおるよは幾つかの方針を決定していた。
('(゚∀゚∩(一つ。放棄区画から入って、広場まで一気に突っ走る。
人混みに足止めされてる余裕は無い。これが最善ルートだよ)
('(゚∀゚;∩(二つ。見つかるのは時間の問題だから、絶対に立ち止まらないこと。
ミルナに見つかる前にオサムに会えなければ、もう殆どダメだよ。考えたくないけど)
('(゚∀゚∩(三つ。話が出来そうならする。
その上で和解が出来るなら和解する)
('(゚∀゚∩(……四つ)
なおるよは紙切れとペンを持ち、そこに自分が死んだ場合の事を書き記した。
('(゚∀゚∩(……これを書き終わったら、自分が殺される想像は二度としない)
以上四つの方針を胸に、なおるよはクソワロタの街に再度足を踏み入れた。
.
-
放棄区画から入る場合、目的の噴水広場はほぼ反対側になってしまう。
メリットは足止めを食らわないこと、無関係な人の迷惑にならないこと。
主に後者を心配してのルート選択だったが、それが運良くミルナの死角を突いていた。
結果、なおるよは難なく放棄区画に立ち入る事ができたのだった。
('(゚∀゚;∩(……よし、まだ来ない。気付かれてないんだよ)
('(゚∀゚;∩(時間は……)チラッ
人気のない大通りを走りながら腕時計を一瞥。
時刻は午前十一時を数分過ぎた直後だった。
('(゚∀゚;∩(あと十分も走ればこの区画を抜けられる!
それまで気付かれなければっ……!)
なおるよが希望を持って思った時、それは、空からやってきた。
('(゚∀゚∩「――――」ピクッ
頭上に落ちた黒い影。
なおるよは反射的に顔を上げ、一気に目を見開いて叫んだ。
.
-
('(゚∀゚;∩「――来たッ!!」ズザザザッ!
なおるよは咄嗟に踏ん張って立ち止まり、全力で後方にジャンプした。
直後その場に爆風と砂塵が巻き起こり、なおるよは衝撃の余波に大きく吹き飛ばされた。
('(゚∀゚;∩「おおっ!?」
飛ばされた先は廃屋。
なおるよは古びた窓ガラスを突き破り、中の家具もろとも床を転がった。
砕けたガラスが彼の体に降り注ぎ、いくつもの切り傷を作る。
('(゚∀゚;∩(一つ! 止まらないッ!)ガバッ!
なおるよは一瞬で立ち上がり、振り返らずに廃屋の奥へと駆け込んだ。
.
-
グチョッ・・・
”
. ..:.“..:.:. .:..:. :::.,..;;;(⌒ 、 . ..”
:.:.:. .. .:..ノ;;ゞ/,,リ、∵∴ ∴) ...
”(∵ ⌒" ∴∵∴ r'. ..:.: グチッ・・・
(●)∴¨"、,∵∴∵.∴.). .:.:
..・・¨ γ ∵ ”
一方、空から落ちてきた定形すらない黒い塊は、
ゆっくりと、なおるよの後を追い始めた。
.
-
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
なおるよは廃屋の裏口から路地裏に出た。
左右をそれぞれ一瞥し、より広い場所を目指して進路を決める。
('(゚∀゚;∩「あっち!」
なおるよは右に向かって飛び出した。
間髪いれず、彼を追って黒い塊が背後に現れる。
黒い塊は水のように流動し、一定の速度を保ってなおるよを追跡した。
('(゚∀゚;∩(あの感じ、やっぱりミルナと同じだよ……)
一瞬振り返って黒い塊を目視するなおるよ。
彼はその物質から、ミルナと同じ雰囲気を直感した。
('(゚∀゚;∩(……話し合いは無理だ……!)
.
-
路地裏から大きな通りに出て、再び左右を見回す。
噴水広場への道順を急いで整理し、今度は左に向かって走り出した。
そうしてしばらく走ってから、ふと背後を振り返る。
そこに、黒い塊の姿はない。
('(゚∀゚;∩「……」
走るのを止め、ゆっくりと歩いてみる。
自分の足音が消えた今、そこには不穏な静寂が広がっていた。
放棄された場所だからという理由だけではない、もっと別の違和感。
言葉を変えれば、なおるよが肌で感じたものは 『危機感』 だった。
こっちからは見えないが、敵がどこかから見ている。
('(゚∀゚;∩(……屋内に入るんだよ)
なおるよはじりじりと壁際に寄り、大きめの廃屋を選んで中に入った。
元は飲食店だったであろうその廃屋は、開店当時のまま放棄されたのか、
各所に分厚い埃を被っていても家具や食器はしっかりと整理されていた。
それはそれで不自然だったのだが、今は無駄な事を気にする余裕はない。
('(゚∀゚;∩(とりあえず入り口を塞ぐんだよ)
なおるよは店内のテーブルや椅子を持ち寄ってドアを封鎖した。
あの物質なら液体のようにすり抜けてくるだろうが、少しでも足止め出来ればそれでいい。
ミルナの追跡は手強い。今後更に激化するのも目に見えている。
だからこそ、今ここで考える時間を作らなければ先が無いのだ。
.
-
('(゚∀゚;∩(……ハッキリした攻撃がまだ来てない。
どうして? こっちの能力が分からないから警戒してる?)
('(゚∀゚;∩(あの黒い塊で僕の能力を探ってるのかな……。
だったら逆に、向こうの能力を探ってやるんだよ……)
なおるよが持つ超能力は『無効化』の能力。
三つの条件を満たした場合に限り、他者の超能力を問答無用で消滅させる能力だ。
('(゚∀゚;∩(発動条件その1・対象の能力を理解すること)
('(゚∀゚;∩(まず、この状況を利用してミルナの能力を把握するんだよ……)
活路を見出し、再び奮起したなおるよ。
外から水音が聞こえてくる。黒い塊が追いついて来たのだ。
('(゚∀゚;∩(まあ、素早くないのだけが救いかな……)
ピチャピチャという水音はドアの向こう側にしばらく留まった後、呆気なく沈黙した。
なおるよはジッとドアを睨みつけ、黒い塊が入ってくるのを待ち構えた。
.
-
――ふぉん。
風を切るような、軽い音。
その直後、近くにあったテーブルが真っ二つに分かれ、床に倒れた。
('(゚∀゚;∩(……前言撤回)
切断されたテーブルを一瞥し、なおるよは拳を固く握りしめた。
.
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
( ゚д゚ )(……外した、のか)
なおるよが隠れた廃屋を観察しながら、ミルナは物陰で小さく呟いた。
( ゚д゚ )(tanasinnの感知能力、感知範囲はともかく精度が駄目だ。
俺自身が力を制御出来てない証拠だな……)
ミルナが頭の中で 『戻れ』 と唱える。
すると、なおるよを攻撃していた黒い塊はいそいそと彼の所に帰ってきた。
黒い塊はミルナの影に混ざり、居なくなる。
( ゚д゚ )(形状の変化も難しいし、不定形の維持もすごい疲れた……。
遠隔操作は燃費が悪いな……)
物陰を出て歩き出し、胸元で右拳を構える。
ミルナは超能力『マグナムブロウ』を発動した。
( ゚д゚ )(ドクオに怪しまれるし、さっさと殺して戻ろう)
.
-
≪3≫
ドアノブを捻って手前に引くと、足元をテーブルや椅子が塞いでいた。
( ゚д゚ )(……バリケードなのか?
引くドアだから意味無いんじゃ……)
ミルナは普通に障害物をどかし、中に入った。
細かい埃が舞い上がり、視界を濁らせる。
目の前の埃を手で払い、店内を見渡す。
ミルナはその途中、二つに切断されたテーブルが床を転がっているのを見つけた。
二つに分かれたテーブルをよく観察すると、わずかに血痕があった。
( ゚д゚ )(……掠っていたか。感が冴えん)
血のついた手で触ったであろう痕跡も周囲にいくつか見受けられる。
ミルナはそれらを冷静に見つけ出し、血痕を辿った。
( ゚д゚ )(血は奥に続いてる。厨房に逃げ込んだな)
――と、ミルナはここまで考察して我に返った。
(;゚д゚ )(感知すりゃいいんだった)
集中し、なおるよの居所を探る。案の定、やはり厨房の中に居た。
しかも先程の攻撃が致命傷になっていたらしく、彼は厨房の壁際に座ってグッタリしていた。
.
-
( ゚д゚ )「……」
ミルナは忍び足で厨房のドアに近づき、ドアを少し開けた。
その隙間から荒い息遣いが聞こえてくる。しかし、なおるよの姿は見えない。
ミルナは徐々にドアを押し広げた。
('( ∀ ;∩「ぐううううッ……!」
やがて、痛切な唸り声が右側から聞こえてきた。
ミルナは勝負が決した事を察し、厨房に入ってなおるよを捉えた。
( ゚д゚ )「……」
('( ∀ ;∩「はぁ……はぁ……!」
なおるよは右肩から腰骨にかけて大きな切り傷を負っていた。
出血量も凄まじく、放っておけば確実に死ぬのは明らかだった。
( ゚д゚ )「……」
放っておけば、彼は苦しんで死ぬ。
ミルナはしばし考えてから、なおるよに歩み寄った。
.
-
( ゚д゚ )「中途半端に当てて悪かった。
今、止めを刺す――」
なおるよの前に行くと、ミルナは超能力を解いて床に片膝をついた。
彼の首元に手刀を当て、その手にtanasinnの黒煙を纏わせる。
('( ∀ ;∩「や、やめ……」
( ゚д゚ )「ここで生き延びても殺す。諦めろ」
黒煙を纏った手刀が首の薄皮を切り、グッと押し込まれる。
首筋からたっぷりと血が溢れ、死が近づいてくる。
('( ∀ ;∩
最中、なおるよは笑っていた。
.
-
( ゚д゚ )(……なんだ?)
違和感を覚えて手を止めるミルナ。
嫌な感じがした。その一瞬の停滞が、彼に冷静な思考をさせてしまった。
後ろで、何かがパチパチと鳴っている。
ミルナは咄嗟に振り返った。
( ゚д゚ )(あれは――――)
点火済みのガスコンロと、それに加熱される多数のガス缶、ガラス片。
それを見つけ、彼の笑みの理由を察した時には手遅れだった。
(;゚д゚ )「こいつッ!!」 バッ!!
('(゚∀゚;∩「おああッ!」
ミルナが身を引くと同時になおるよは動いた。
彼は隠し持ったガラス片を振りかざし、ミルナの太腿に深々と突き刺した。
(; д )「ぐッ!」
('(゚∀゚;∩「舐めんなッ!」 ゲシッ
なおるよは足を抑えて悶えるミルナを蹴り飛ばし、自分は窓を突き破って外に逃げ出した。
.
-
直火に晒されたガス缶が、いよいよ炸裂した。
中身がコンロの火に引火して燃え上がり、巨大な火炎となって一気に膨れ上がる。
なおるよが仕掛けた罠は、たった今ミルナを“詰み”の状況に引きずり込んだ。
0.5秒にも満たない時間の最中、ミルナは咄嗟に体を丸めて防御の体勢を取った。
(;゚д゚ )(tanasinnならまだ間に合ッ――)
更にtanasinnを用いて守りを固めようとした瞬間、多数の鋭い痛みが彼の思考を遮断した。
ミルナは反射的に、自身の両腕を見直してしまった。
(;゚д゚ )(これは――)
腕には透明な破片がいくつも突き刺さっていた。
それには見覚えがあった。ガス缶と一緒に加熱されていたガラス片だ。
ガス缶の炸裂で細かく砕けたガラス片が、火の手よりも早くミルナを攻撃したのだ。
(;゚д゚ )(――――)
そんな無駄な思考を経て視線を戻すも、思考が状況に追いつかない。
膨大した火炎は、一瞬でミルナを包囲した。
.
-
≪4≫
(,,゚Д゚)「あそこだ。先に始めてやがる」
(;'A`)「まともなメシ、久し振りな気がする……久し振りばっかだ……」
店に入ったギコとドクオは、奥のテーブルに集まったダディクール一行のもとに行った。
|(●), 、(●)、|「おお、来たか。元気にしてたか?」
('A`)「不健康そのものだよ。そっちは元気そうだな」
(,,゚Д゚)「お前そっちつめろよ」 グイ
【+ 】ゞ゚;)「押すな」
ノパ⊿゚)「おう。元気が一番だ」ムシャムシャ
|(●), 、(●)、|「まぁとりあえず食べるぞ、話はそれからだ」
ノハ*゚⊿゚)「ぶっちゃけ監獄の方がメシ美味かったけどな!」
.
-
その後は、各々好き勝手に飲み食いしながら雑談を楽しんだ。
(#,,゚Д゚)「それオレのもんだぞ!」
ノハ*゚⊿゚)「追加注文しろよどうせ奢りだろ〜」
(,,゚Д゚)「じゃあこれ貰うぞ」ヒョイパクー
ノパ⊿゚)「あっ殺す」
(,,゚Д゚)「は?」
(#,,゚Д゚)「上等だ女ァ!! 表出ろォ!」
ノハ#゚⊿゚)「出たらメシ食えねェだろ馬鹿かァ!?」
(;'A`)「タベモノガ・・・モウナイ・・・」
【+ 】ゞ゚;)「……俺のをやる」
がっつく二人に気圧されて貧困根暗クソ野郎と化したドクオ。
棺桶死オサムはクソ野郎を哀れみ、自分のスパゲッティを分け与えた。
.
-
('A`)「……棺桶死、だったよな?」
フォークでスパゲッティを巻き取りつつ、ドクオは無難な話題で彼に話し掛けた。
【+ 】ゞ゚)「呼び方は何でもいい。それも偽名だ」
('A`)「……じゃあオサム。お前それ眼帯、カッコイイよな」
【+ 】ゞ゚;)「同じ事を、脱獄の日にも言われたが」
( 'A`)「そうだっけ? でもマジでカッコイイぜ、それ」
ちゅるりん。ドクオはスパゲッティを食べた。カルボナーラ(笑)
('A`)「あん時な、脱獄の時。手ぇ貸してくれて助かったよ。
お前すげー強いんだな。ビックリしたわ」
【+ 】ゞ゚)「それならこいつのおかげだ。あの晩、俺は役立たずだった」
彼は得意気に右目の眼帯を叩いた。
,_
('A`)「……それがぁ? なんで」
【+ 】ゞ゚)「異物を知らないか? 何も無くても超能力を使えるんだ」
('A`)
('A`)「……マジかよ……」
今までの俺の努力は何だったのか。ドクオは脱力して呟いた。
.
-
('A`)「――あっ」
【+ 】ゞ゚)「どうした?」
('A`)「そうだ、見たわ。お前の言う『異物』を使うすごい奴」
ドクオはフォークで空中に弧を描いた。
('A`)「八頭身! あいつ凄かったなぁ」
('A`)「なんか凄いデカイ剣を持っててさ、その剣に水晶はめるんだよ。
そしたら色々出てくんの。しかも水晶いっぱい持ってたし、あれ反則だって」
【+ 】ゞ゚)「……凄いあやふやだが、異物を複数持ってたのか?
確かに凄いな。異物の扱いは結構難しいんだが……」
('A`)「そうなの? お前の眼帯も?」
【+ 】ゞ゚)「こいつの場合、はっきりした人格と意思を持ってる。
それに認められない限り、力は使えないんだ」
(;'A`)「……ふ、ふ〜ん……」
ドクオは歯切れ悪く言ってから、オサムの眼帯をチラ見した。
.
-
来てるな支援
-
(;'A`)「……ちなみに、俺じゃ使えない?」
【+ 】ゞ゚)「……付けてみるか?」
(;'A`)「……中の人に怒られない?」
【+ 】ゞ゚)「見込みが無ければ、そもそも話も出来ない」
ドクオは少し考えてから、オサムに手の平を差し出した。
(;'A`)っ 「……ちょっといい? ダメ元で試す」
【+ 】ゞ゚)「まぁ根は良い奴だ。話せるといいな」
ドクオは渡された眼帯をまじまじと見つめてから、意を決してそれを装着した。
【+】A`)
【+】A`)「似合う?」 チラ
( ゚"_ゞ゚)「……」
【+】A`)「……」
.
-
('A`)「ところでさ、お前はなんでココに来たんだ?」
【+ 】ゞ゚)「……なんで、というのも分からんな。
動機の話でいいのか?」
直前三十秒間のやり取りを忘れ、二人は話を続けた。
('A`)「正直この中じゃ一番冷めた感じがするから、不思議に思った」
【+ 】ゞ゚)「お前こそ、女の為に体を張るような感じはしないがな」
( 'A`)「……察しろ恥ずかしい」
わざとらしく顔を背けたドクオを見て、オサムは頬を緩めた。
【+ 】ゞ゚)「……俺は、なんというか……」
シャキンが言った事を確かめる為、とは言えず、オサムは語尾を濁す。
【+ 】ゞ゚)「……そうだな、強いて言えば気まぐれだ」
(;'A`)「あー出た、強い奴にありがちなヤツ」
('A`)「ったく、強い奴は主体性がない法則でもあんのかよ」
呆れた様子で瞑目し、頭を振る。
.
-
('A`)「……そういや遅いな」
【+ 】ゞ゚)「料理がか?」
('A`)「いや、ミルナ。あいつ今ウンコしてるんだ」
ミルナという言葉に、オサムの眉がピクリと跳ねた。
【+ 】ゞ゚)「……来てるのか?」
('A`)「ああ。なおるよも来てたんだぜ、さっき帰ったけどな」
(;,,゚Д゚)「帰った!? なんでだよ、引き止めろよ!」
山盛りポテトを抱えたまま、ギコが話に割り込んできた。
(;'A`)「いやっ! だって流石に小さすぎるだろ! 危ねぇよ!」
(;,,゚Д゚)「貴重な戦力が……。つーかお前も十分ガキだっての!」
ギコはそう言い、ポテトでドクオをつついた。
.
-
【+ 】ゞ゚)「……探しに行ってくる」
('A`)「お?」
ドクオは席を立ったオサムを目で追った。
【+ 】ゞ゚)「ミルナがどこに行ったか分かるか?」
('A`)「その辺のトイレだろ? 別に探しに行かなくても……」
【+ 】ゞ゚)「……襲われてるかもしれないだろ。
俺達の思惑を向こう側が知れば、何かあっても不思議じゃない」
(;,,゚Д゚)「いや、考えすぎだろ。俺らが動き出したの一週間前だぞ」
【+ 】ゞ゚)「俺だってそう思う。だから見てくるだけだ。
本当にトイレが長引いてるならそれでいい。
紙が無くて困ってるだけかも知れん」
('A`)(ありそうだなぁ……)
ダディクールは、視線をティーカップに向けたまま思考した。
|(●), 、(●)、|(……『本当に』か。何を探っているんだかな……)
ノパ⊿゚)「行くならお前らで行ってくれよな。あたしはメシを食うから」ムシャムシャ
(,,゚Д゚)「お前は周りに合わせるって事を覚えろ」サクッ
ヒートの鼻に熱いポテトが突き刺さった。
【+ 】ゞ゚)「それじゃあ、また後でな」
('A`)「……俺も行こうか?」
ドクオは提案したが、彼はそのまま店を出て行った。
.
-
≪5≫
クソワロタの放棄区画に、男の声がこだまする。
\(^o^)/「色々売ってるよぉ〜」
\(^o^)/「仕入れも出来るよぉ〜」
男は健気に売り文句を言いながら、周囲を見回しながら客が来るのを待っていた。
しかしここは放棄区画。小さな露店を構えて数ヶ月、客足は絶滅していた。
\(^o^)/「……」
\(;^o^)/「……」
彼の名前は人生オワタ。
('A`)は撃鉄のようです第8話に登場し、黒ローブの男と戦った一般的な会社員である。
そんな彼がなぜ、一体どうしてレムナントの街・クソワロタに居るのか。
その理由を簡潔にまとめると以下の通りになる。
1・『ThisMan』の一件が色々作用して会社が倒産
2・色々あって一文無しに
3・以上の理由でレムナントでの生活を余儀なくされる
社会の荒波に揉まれた結果、彼はこの街に流れ着いたのだった。
世の中には色んな事があるため、決して不自然な事ではなかった。
.
-
\(;^o^)/「ハァ〜〜客なんか来る訳ねえだろ〜こんなトコでさぁ〜〜」
オワタは弱々しく空を見上げた後、がっくりと肩を落とした。
\(;^o^)/「あんな奴の言うこと聞くんじゃ無かった……。
こっちに居た方が利口だとか……完全に騙されたわ……」
\(^o^)/(……お?)
遠くに足音を聞いたオワタは、咄嗟に姿勢を正して身構えた。
この客の羽振り次第で今日の夕飯が決まる。心身は自然と滾った。
\(;^o^)/(ぜってえ逃がさねぇ……!)
('(゚∀゚;∩「……」
しかし、やってきたのは大怪我をした子供。
とても金銭を期待できる雰囲気ではなかった。
.
-
\(;^o^)/「……いらっしゃい」
('(゚∀゚;∩「……水、ある?」
\(;^o^)/「……水ってか、絆創膏とかあるけど、買う?」
('(゚∀゚;∩「……水だけ」
なおるよはポケットから紙幣を掴み取り、数えもせずにオワタに渡した。
オワタは状況が分からず面食らったが、すぐに水入りのペットボトルを彼に差し出した。
('(゚∀゚;∩「……銃……」
ボトルを開けて水を飲み始めたなおるよが、商品として出されていた拳銃に目をつける。
なおるよは水を飲み干してボトルをポイ捨てし、拳銃を指した。
('(゚∀゚;∩「あれ、使えるの?」
\(;^o^)/「一応使えるけど……え、買うの?」
('(゚∀゚;∩「……お金、さっきので足りる?」
\(;^o^)/「足りるけど……お前、何? どうかしたの?」
('(゚∀゚;∩「子供にも色々あるんだよ」
なおるよは拳銃を受け取り、弾が入ってるのを確認してポケットに差し込んだ。
.
-
('(゚∀゚;∩「助かったよ。じゃあ急いでるから……お願いね……」
なおるよは軽く頭を下げ、オワタの前を去った。
\(;^o^)/(……物騒な街だぜ。
ガキがあんなに逞しいってスゲー……)
\(^o^)/(でもまぁ何にせよ収入ゲット!
これでまともなメシを食える! うおお!)
オワタは早速売上金を数えた。
今回の売り上げは五万円。今のオワタにとって、これは十分すぎる額であった。
\(^o^)/(なんという奇跡……ありがとう名も知らぬガキよ……)
\(^o^)/(これを元手にして、いつか向こう側の生活に戻ってやる!)
\(^o^)/「……お?」
その時、オワタは紙幣の中に別の紙切れが混ざっているのを見つけた。
\(^o^)/「なんだこりゃ……」
オワタは紙幣に紛れていた紙切れをつまみ、訝しげに広げた。
.
-
≪6≫
ミルナは 『不幸』 を自覚した事が無かった。
彼は、『俺は不幸だ』と人に言った事が無かった。
彼には、昔からこういう考えがあった。
自分より弱い人間に助けを求めるのは、それ自体が暴力であると。
ミルナは殆どの他人を『弱者』だと思っていた。
自分より弱く、頼るに値しない存在だと認識していた。
決して周囲の人間を見下していた訳ではないが、少なくとも、助けを求めるには脆すぎる存在だと思っていた。
実際それは正しい認識だった。
tanasinnと関わる以前でも、ミルナに匹敵する強者はそう居なかった。
だから誰にも頼らなかった。あらゆる事を一人でこなし、あらゆる敵を一人で倒してきた。
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しかし、tanasinnに出会ってからその生き方は一変した。
彼は変わりゆく世界を生きながら、時に仲間を作り、tanasinnに立ち向かった。
結末は全滅。何度仲間達と戦いを挑もうと、その悉くを皆殺しにされた。
結局最後には何も残らず、誰もついて来ていない。
振り返れば、そこには死体の山が積み上がっているだけ。
死体の山を見る度、彼は自分の言葉を思い出して自責した。
そして、孤独に耐え切れず、自分以下の存在に囲まれて現実逃避に励む自分を強く自覚させられる。
上には立ち向かわず、延々下に向かって吼えているだけ。
tanasinnを得て強くなった筈なのに、ミルナは自分がどんどん弱くなっている気がしていた。
一方的に与えられた力は、呪いに他ならない。
ミルナは自責する。
( д )(俺はこんな人間じゃなかった筈だ)
( д )(自分より弱い人間を、こんな風に利用する卑怯者じゃなかった筈だ)
( д )(俺は、自分の現実から目を背ける為に他人を利用している……)
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深い深い漆黒の中にひきこもった彼は、孤独を享受した。
そうせざるをえなかった。
誰彼構わず人に頼る弱い自分を否定しながら、
一人で何にでも立ち向かっていた頃の自分を演じるには、孤独に身を潜めるしかなかった。
自分の人生から他者を排除する事でしか自分を守れない。
そんな人間に成り果ててしまいながら、ミルナは心の奥底で願い続けていた。
いつか自分より強い誰かが現れて、この弱さ諸共自分を消し去ってくれないか。
この願いすら自分の弱さだと自責しながら、彼はひたすら漆黒の中で考え続ける。
漆黒を出て、荒野を歩き、今に至っても。
ミルナの願いは、それだけだった。
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('(゚∀゚;∩「……もう少しだよ……!」
なおるよは、確実に噴水広場へと前進していた。
傷を負った体を懸命に動かし、彼は放棄区画を抜ける寸前にまで来ていた。
人の声がだいぶ近くに聞こえる。
ほんの少し、胸をなでおろす。
('(゚∀゚;∩(……頭がぼーっとする……切りすぎたかな……)
なおるよが負った右肩から腰骨にかけての大きな切り傷。
それは、自らガラス片で作った自作自演の傷であった。
ミルナを誘き出して注意を引く為とはいえ、やりすぎたと反省する。
('(゚∀゚;∩(まぁ、あの程度で死んだはず無いけど、足止めは出来た、と思いたい……)
('(゚∀゚;∩(追ってきたとしても、今なら僕の能力で対抗できる……はず)
なおるよの無効化能力の発動には、対象となる能力への理解が必要である。
十分ではないにしろ、なおるよはミルナの力を多少なり理解している。
いずれ追いつかれた時には、問答無用で超能力を発動するつもりだった。
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――黒煙の具現化、形状変化、遠隔操作、感知能力、撃鉄の能力。
そして更に回復能力もある、となおるよは推測していた。
ミルナが追って来ないのも、恐らく肉体の回復に手間取っているからに違いない。
('(゚∀゚;∩(……はず。多分。分かんないけど)
何にせよ前進を急ぐべきだ、と結論を出す。
あらゆる推測に自信を持てない今、出来るのは前に進む事だけだ。
なおるよは傷の様子を見つつ、走り出した。
('(゚∀゚;∩
――その矢先、なおるよは背筋に冷気を感じた。
今度のは分かりやすい脅しではない。
凍てついた殺意。それが背後に現れた。
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('(゚∀゚;∩「クッソ!!」
なおるよは脇目もふらずに疾走した。
あと少しで人気のある場所に出られる。あと十秒あれば安全圏に出られる。
当初は人混みを避けようと考えていたが、もはや人混みを利用してでも前に進むしかない。
なおるよには伝えなければならない事がある。自分しか知らない『この事』を、誰かに残さなければ……。
彼は薄暗い小道を光に向かって走った。殺意がそれを追い、どんどん近づいてくる。
猶予は無かった。崩れ落ちていく崖が一歩後ろにあるような絶望感が、今にも彼の足を掴もうとしていた。
('(゚∀゚;∩(間に合う――ッ!)
あと数歩で明るい日差しのもとに出られる。
彼は微笑んだまま、光の中に身を投げた。
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――鮮烈な太陽の日差しが、なおるよを照らした。
彼は勢い余って倒れ込み、地面をごろごろと転がった。
('(゚∀゚;∩(――間に合ったッ!)ガバッ
すぐ近くに聞こえるガヤガヤした声、ドタバタした足音。
いつもは小うるさいとしか思わない雑音に心底安心を覚えながら、なおるよは汗ばんだ顔を上げた。
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('(゚∀゚∩
なおるよが聞いた、それらの雑音。
それには、ノイズが混ざっていた。
人の声には悲鳴が。
足音には、足ではない物が地面を叩く音が混ざっていた。
赤い塊がひとつ、地面に落ちて転がっていく。
なおるよは目に映る光景を理解出来ず、立ち上がるという思考すら出来なかった。
何かをする、という段階まで脳が動かなかった。
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形振り構わず逃げていく人々がとは別に、道に巨大な人混みがあった。
数人が、それぞれ超能力を発動したまま誰かを睨んでいる。
一人の能力者が意を決して中心に飛び込む。
それが箍を外したのか、他の能力者も一斉に動き出した。
次いで、風を切る音が響いた。
直後、人混みを形成していた人間は全て血飛沫に変わった。
ある程度は肉として残ったが、大半は粘り気のある血飛沫になって広範囲に飛び散った。
人が消えた事で、なおるよにも中心が見えた。
( ゚д゚ )
無機質な瞳と、目が合う。
そこに居たのは、黒煙を周囲に漂わせたミルナだった。
ミルナの視線は一直線にこちらに向いていた。
('(゚∀゚;∩「ひっ……!」
押し潰された悲鳴が小さく上がる。
なおるよは逃げるとか戦うとか以前に、全身から力が抜け落ちてしまった。
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この場の人間が、ミルナの黒煙によって次々と血肉に変わっていく。
ミルナに近づく者は何度もシュレッダーに掛けられたように粉々になり、
逃げていく者はわざわざ黒煙で引っ張り戻されて殺された。
標的に例外は無かった。
泣き叫ぶ子供も、それを守ろうとした母親も細切れになって死んだ。
そこで行われているのは、単なる屠殺作業でしかなかった。
( ゚д゚ )
ミルナの視線はなおるよを捉えたままだった。
その傍らで、ミルナの黒煙が作業的に人々を殺していく。
“お前が巻き込んだ”。
ミルナの目は、そう語っていた。
('(゚∀゚;∩「……やっ……」
やめろ、とは言えなかった。なおるよは直感して分かっていた。
彼らを巻き込んだのが自分で、自分の考えが甘かったせいで、こうなってしまった事を。
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ミルナの作業はものの数十秒で終わった。
生きている人間は、少なくともこの周辺には二人だけ。
それだけ徹底的に邪魔者を排除した以上、次に殺されるのが自分なのは考えるまでもなかった。
( ゚д゚ )「……この傷は……」
ゆっくりと歩き出したミルナは、その歩調同様にゆっくりと話し始めた。
彼は、自身の顔に残った火傷の痕を指でなぞった。
( ゚д゚ )「俺が 『人間』 として負った、最後の傷になるだろう」
( ゚д゚ )「……目撃者は皆殺しだ」
('(゚∀゚;∩(……な、何か……何かしなくちゃ……)
なおるよは腰を抜かしたまま後ずさり、言う事を聞かない体を動かした。
その時、なおるよはポケットに硬い感触を覚えた。
それはさっき露店で買った古い拳銃。彼は咄嗟にそれを掴み取り、ミルナに突き付ける。
('(゚∀゚;∩「……」
だが、その行為は自身の非力さを際立たせるだけだった。
('( ∀ ;∩(今更こんなの出して、何が出来るって言うんだよ……)
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( ゚д゚ )「……お前、銃を持つのは初めてか」
一歩一歩、ミルナが着実に近づいてくる。
( ゚д゚ )「……お前、こんな事をするタイプじゃないだろう」
('(゚∀゚;∩「……」
気を持ち直し、なおるよは唇を食いしばってミルナを見返した。
なおるよの口元に血が滴る。
( ゚д゚ )「……小さな正義漢という訳か。
だが、そのせいで多くの人間を巻き込んだ」
( ゚д゚ )「さっさとお前を殺しておくべきだった。
そうすれば無駄な殺しをせずに済んだ」
なおるよの目前に立ったミルナは、周囲をたゆたう黒煙をなおるよに差し向けた。
( ゚д゚ )「言いたい事があれば聞くぞ」
('(゚∀゚;∩「…………」
( ゚д゚ )「…………」
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