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( ^ω^)きっとよくある冒険譚のようです

1名も無きAAのようです:2014/10/13(月) 23:59:31 ID:t2pLqBbw0
彼らの世界には剣がある。
彼らの世界には魔法がある。
そして、彼らの世界には敵がいる。

だが、彼らの旅は自発的なものではない。


それでも彼らは駆け抜けるだろう。

125名も無きAAのようです:2014/10/24(金) 12:46:39 ID:RElmQSdk0
更に書き慣れてきたらぐいぐい引き込まれそう。おつ

126名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 21:56:16 ID:CGEDAuak0

川;゚ -゚)

(;'A`)


真下におらず煙に巻き込まれなかった二人は呆然と煙を見つめる。
空からドラゴンの高らかな咆哮が降ってくる。

黒い煙が霧散していくと同時に二人の姿が見えてきた。
ドクオはクーの話から、クーは経験から二人が変化していることを覚悟する。





しかし、二人とも咳き込んではいたものの見た目に変化はなかったのだった。

127名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 21:58:15 ID:CGEDAuak0

第0章
第5話 サイドニアでの戦い(後編)

128名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:01:43 ID:CGEDAuak0

ξ;゚⊿゚)ξ「ゲホ……落ちた後に言われても」

(;^ω^)「吸っちゃったお……」


二人が呆然と言った表情で声を発する。
それを見てクーは不思議そうに声を出した。
普通の町の人たちはこれだけ吸いこんだら『疫病』に罹っていた。


川;゚ -゚)「……何ともないのか?」

(;^ω^)「僕はないお、ツンは?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっと気持ち悪い程度……」

('A`)「状態異常ならまだ毒以外は治せんぞ?」

ξ;゚⊿゚)ξ「えーと、毒とは違うかな
……にしてもあの毒は死ぬかと思った」


ツンはそう言うと思い出したのか、かまれた腕をなでる。

ドラゴンはこちらをじっと見下ろしていた。
やがてさっきの球が効いていないと分かると地面に降りる。
ブーンはそれに気付くと即座に近づいて攻撃を加えようとした。

しかし彼には足が異様に重く感じられた。
いつも通り動かせない。
その結果として近づくタイミングが遅れる。

ドラゴンは接近を認識すると長い尾を持ち上げる。
ブーンは攻撃を諦め、後ろへ下がって攻撃範囲から逃れることを試みる。
しかしそれはかなわず長い尾で横から叩きつけられてしまった。

吹き飛ばされ、後衛のドクオの近くの建物にぶつかる。
慌てて回復呪文が唱えられ傷は回復する。
しかし怪我は治っても痛みの記憶は消えず、頭を思わず抑えていた。

129名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:05:00 ID:CGEDAuak0

ブーンは頭を軽く振り、剣を持って立ち上がる。
そして冷や汗をかきつつ状態異常を伝えた、


(;^ω^)「……足が遅くなっているお」

(;'A`)「……すまん、速度系はまだ使えない
代わりに攻撃力もっと上げるから
当ててくれ『パワーアップデート』」


ドクオは申し訳なさそうに言う。
その横でツンはドラゴンへ接近を許さないよう矢を放つ。
しかし3本に1本ぐらいしかドラゴンの方へ向かわなかった。


ξ;゚⊿゚)ξ「……私も目がかすんでうまく狙えないわ」

川 ゚ -゚)「疫病にはならないが状態異常か、厄介だな」


クーは呟きつつ考える。
自分が今何をすべきか。
そして自分が何をできるのか

そう考えているとドラゴンは翼を動かし軽く浮き上がる。
空中で体勢を整えるとこちらへ向かって低空飛行の突進を始めた。

130名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:08:24 ID:CGEDAuak0

川 ゚ -゚)「氷の壁よ! 彼のものと私たちの間にそびえ立て!」


クーがとっさに詠唱を行う。
結果としてドラゴンは勢いそのまま氷の壁に衝突した。

氷の壁は砕け、ドラゴンは地に落ちる。
ツンが矢を音とぼんやり見える姿を頼りに放つ。
しかしその矢は硬い皮膚にはじかれた。


ξ゚⊿゚)ξ「固いわね、関節か目を狙わないと
通りそうにない」


ツンが唸りながらつぶやく。
どうやら今の状態で狙える自信はないらしい。
その様子を見てブーンが声をかけた。


( ^ω^)「今僕の足遅いから
辿り着くまで注意をそらすの頼むお」

ξ゚⊿゚)ξ「顔のあたり狙いね
そのくらいの緩い狙いならできるわ」


ツンはそう言うと弓矢を構える。
ドラゴンは顔を持ち上げるとツンが攻撃態勢に入ったことを確認する。
その瞬間背中の翼で強い風を巻き起こした。

塵が舞い上がり前方が見えなくなる。
ツンはそれでも大体の方向に矢を向けていた。


('A`)「おい、見えないぞ」

ξ゚⊿゚)ξ「それは相手も同じでしょ?
ブーンはわかっているみたいね」


ツンにそう言われてドクオは周りを見る。
前方には目を閉じて集中しているクー。
そして矢を構えているツンだけでブーンはいなかった。


風が吹き、一瞬塵の向こうにドラゴンの頭が見える。
素早くツンは構えた矢を放つ。
そして何発も同じ方向へ矢を放ったのだった。

131名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:11:17 ID:TVxz9XZ.0
おーきてる
読むお

132名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:12:54 ID:CGEDAuak0

ドラゴンはチリの中から飛んでくる矢を頭を振って振り払う。
目に当たらないように目はしっかりと閉じていた。
そのため、ブーンの接近にすぐに気付くことができなかった。


( ^ω^)「うおぉぉぉ!」


塵の中からブーンは翼を狙ってとびかかる。
しかし目を閉じていたとはいえ、正面からの攻撃である。
簡単に背中の翼には当たらない。

小さな前足を用いて剣をはじこうとした。
普段の力だったらその硬さにはじかれただろう。
ドラゴンにとっての想定外だったのは2段階上がったブーンの力だった。

パキリという音を立ててドラゴンの腕が肘の節から折れる。
わずかに紫色の液体が垂れ、空虚な中身が現れる。
勢いづいたブーンはここでさらに追撃を加えようとした。

ドラゴンは少し浮くとバック宙を放つ。
尾が下の方からブーンにたたきつけられる。
そして宙に浮いたブーンの元へ翼を広げて接近する。

翼がブーンに迫る。
ブーンは空中で体勢を立て直すことも剣を構えることもできない。


ξ゚⊿゚)ξ「危ない!」


ブーンが辿りつけたか確認するために近づいていたツンが叫ぶ。
そしてあらかじめ構えておいた矢を放つ。
その矢は偶然左目に直撃した。

腹から低いくぐもった声が響き渡る。
ドラゴンはブーンに迫るのを止め、宙に留まる。
ブーンはその間に背中から着地した。


ξ#゚⊿゚)ξ「何やってんのよ!
せっかく作ったチャンスに」

(;^ω^)「ごめんだお……でも前足は狩れたお」


ドラゴンは残った腕で目に刺さった矢を抜いていた。
ツンは無くなった方の腕をじっと見つめていた。

133名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:16:08 ID:CGEDAuak0

ブーンは斬った感触を思い出す。
あの感触は実生活で体験したことがあったような気がした。

ツンはじっと空虚な腕の中を見つめる。
そして記憶の中のあるものと一致することに気付く。


ξ゚⊿゚)ξ「へぇ、中身詰まってないのね」

( ^ω^)「……なんか切った感覚が
うっかり踏んだ時に似ていたんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「……奇遇ね、私も空っぽなのを見て
似ているものを思い出したわ」


ブーンはその言葉を聞いて冷や汗を流す。
そして恐る恐る尋ねる。


(;^ω^)「えー、腕とかもいだりするのかお?」

ξ;゚⊿゚)ξ「いい気はしないわよ
もいでも動いているし
良い毒の材料になるから仕方なくよ」


そこまで話して、お互いのイメージが同じそうだと確認する。
何となく頷きあう。
一拍置いてから一斉に声を発した。

134名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:20:14 ID:CGEDAuak0

( ^ω^)゚⊿゚)ξ「このドラゴン虫みたい」

( ^ω^)「そう考えるとあの羽も虫みたいだお」

ξ゚⊿゚)ξ「あの硬い皮膚はカブトムシやGかしらね」

川;゚ -゚)「そこの二人は何を話しているんだ!
虫の話はやめろ!!」


塵の向こうからクーの声が響く。
どうやら虫が苦手らしい。

その叫びを聞いて二人は顔を見合わせる。
そしてツンが困ったように目を細めドラゴンを見つつ言った。


ξ゚⊿゚)ξ「これは矢にぬれる毒じゃ無理ね
やっぱり目や節を狙うしかないかしら」


その言葉を聞いてブーンは剣を向けつつ考える。
そして思いついたように言った。


( ^ω^)「ハンマー系の武器が使えたらきっとつぶせるお」

ξ゚⊿゚)ξ「あぁ確かにいけるわね
でも誰も使えないわよねぇ」


そう会話をしているとドラゴンは風を巻き起こす。
どうやら邪魔にしかならなかった塵を吹き飛ばしたかったらしい。
塵が目などに入らないように二人はとっさに腕を掲げて防御態勢をとった。

塵はドラゴンの風によって空の彼方へ吹き飛んでいった。

135名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:25:04 ID:CGEDAuak0

塵が晴れ、お互いの様子がよく見えるようになる。
ブーンが結構ボロボロになっていたのでドクオは声をかけた。


('A`)「おーい、回復いるか?」

( ^ω^)「まだ大丈夫だお
それよりもう少しパワーアップ頼むお」

ξ゚⊿゚)ξ「私にもお願い」

('A`)「3段掛けまでしか効果ないぞ?
『パワーアップデート』」


ドクオはブーンに1回、ツンに2回呪文を唱えた。
クーはドラゴンを見て二人の会話の理由を探す。
そして不思議そうに「触角もないし、どこが虫なんだ」と呟いた。

ツンが真っ先に動き口を狙い全力で引き絞った矢を放つ。
一か所に集中する力は腹部の口の近くの装甲を無理やり突き破る。
矢が突き刺さった部分を中心としてひびが入る。

ドラゴンが矢の方を驚いたように見つめる。
ブーンはその隙に近づこうとする。
しかし相手もそう何度も近づかれるほど愚かではない。

翼を動かし、空高く飛びあがった。
クーはそれを見ると言った。


川 ゚ -゚)「身体の装甲が甲虫のようだという訳か
虫ならば……」

川#゚ -゚)「虫なんて嫌いだ!
火柱よ! 立ち上がれ!!」


クーが叫んだ瞬間巨大な火柱が地面から立ち上がる。
その火柱はドラゴンを巻き込む。
炎の柱が消えた後、ドラゴンがいた場所から燃え盛る塊が落ちてきたのだった。

136名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:30:37 ID:CGEDAuak0

川 ゚ -゚)「どうだ?」

ξ;゚⊿゚)ξ「すごい火力ね」

( ^ω^)(ここまでの威力を出すには
『火の精霊』や『神』みたいな
契約名が普通要るはずなんだお)


ツンが感心している横でブーンは密かに考えていた。


(;^ω^)(契約名を言わずにこの火力
そしてクーのやっていたことを総合すると
たぶん契約しているのはあれになるお)

('A`)「どうした? 冷や汗なんて出して」

( ^ω^)「ん? なんでもないお
後で話すんだお」

(;^ω^)(そう言えばこいつも何と契約しているんだお?
今までの発言にヒントがありそうだお
……でも考えたくない気がするお)


ブーンはそこで思考を切るとドラゴンへ視線を向ける。
彼らの目の前でドラゴンはよく燃えていた。
虫のように体に水分が比較的少なかったためかもしれない。

比較的すぐに攻撃できるブーンとツンが様子を調べるために近づく。

一歩ずつ歩を進める。
そしてある一定の距離に近づく一歩を踏み出した。



その瞬間炎の中ドラゴンがにごった目を開けた。

炎をまとった尾で辺りを薙ぎ払う。
攻撃可能な距離にまで迫っていたブーンとツンが弾かれ飛んでいったのだった。

137名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:33:36 ID:CGEDAuak0

クーはほぼ倒したと考えていたドラゴンが動いたことに驚きを隠しきれない。
飛ばされた二人の方を示しつつドクオを急かした。


川;゚ -゚)「何!? おい、二人の回復を」

(;'A`)「分かってる! 二人とも大丈夫か?
『キロルオナ』!」


ドクオは遠くの方で倒れている二人に慌てて回復呪文をかける。
回復の効果を確認する前に二人の方へ低空飛行の突進が迫る。
後衛の二人はそれをギリギリかわした。

近くを飛ばれたことで凄まじい風が生じる。
クーは風に耐え切ったがドクオの方はしりもちをつく。
もちろんドラゴンは近くにいてなおかつ動けない方を狙う。

ドラゴンの炎は素早く飛んだおかげで消えていた。
燃え尽きたのか透明な方の翼はなくなっている。
そこまで観察したところで現実逃避の観察は終わる。

近くに降り立ち、思い切り踏みつけてきたためである。
それをぎりぎり横に転がってかわす。

少し離れて立ち上がるとドラゴンへ向かって杖を構える。
足は震えていて、おびえていることが嫌でも分かった。
クーはロッドを構えつつも驚いたように声をかける。


川;゚ -゚)「お前その体格で戦えるのか!?」

(;'A`)「確かに俺は小さいし筋力もねぇよ!
怖いし帰りたいし足が震えるしさ……
でも今やらなかったら死ぬ!
『パワーアップデート』」

138名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:40:39 ID:CGEDAuak0

ドクオは自らに強化呪文をかけ、立ち向かっていく。
迫ってくる尾を杖を用いて受け流す。
そしてツンの矢があった場所を拳で突いた。

一瞬固まった後痛そうに離れながら突いた方の腕を振る。
どうやら硬いらしく逆にダメージがあったようだ。
しかし焦げて見えにくくなっていたがひびが広がる。

クーはそれに気が付くと呪文でまず氷の槍を生じさせる。
そのあと槍にドラゴンへ突き刺さるように命令をした。

ドラゴンは後ろへ少し下がり、身をひるがえし、尾で槍を叩き落として槍をかわす。
クーはそれでも次々を槍を生じさせて攻撃していく。
ドラゴンはその攻撃を無事な目や傷を守りつつかわす。

ドクオは邪魔にならないよう少し下がる。
一応ドラゴンから見て左側という安全そうな方である。

一本の槍が自分の近くの地面に突き刺さる。
クーの方を見ると槍を指さした後ドラゴンの方を指さした。
その口は攻撃のための槍の出現と襲撃命令を出し続けていた。


(;'A`)「右目狙え? 傷狙え?
どっちだ?」

川 ゚ -゚)(当たらなくてもいい
どっちでもいいから攻撃してくれ!)


クーがそう言わんばかりに傷と右目を交互に指差した。
ドクオはそれを確認すると氷の槍を持つ。
冷たさが手に沁みた。

そして傷口を狙って槍を突き立てようとした。


この時彼はひびと口の裂け目を誤認していた。
口へと向かって思い切り槍を突き立てる。

ドラゴンは眼中になかった彼からの攻撃をかわすことができない。
隙間にねじ込まれた槍は比較的柔らかな赤い舌に突き刺さった。

139名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:45:34 ID:CGEDAuak0

(;'A`)「あれ? ミスった」


そうドクオが血の気の引いた顔で小さくつぶやく。
それと同時にドラゴンは辺り一面に尾を振り回した。
顔に直撃して大きく吹き飛ばされる。

しかし彼が尾の射程外に弾き飛ばされても暴れ続けていた。
結構痛かったらしいと吹き飛ばされた先でせき込みながら考える。


川 ゚ -゚)「氷の槍よ! 彼のものから抜けるな!」


その瞬間クーがそう命令をする。
ドラゴンが槍を抜こうとのた打ち回っていたがその命令後槍は全く動かなくなった。

だが、ドラゴンの動きは鈍くならない。
確かに痛いがダメージは少ないらしい。

それを確認したクーは疲れたように息をつく。
ずっと命令していたためか息切れをしていた。

ドクオは攻撃された部分をさすりながら立ち上がる。
そしてクーに声をかけた。


(メ'A`)「いてて、結果オーライなのか?」

川 ゚ -゚)「たぶんな、
だが、私の魔力も切れかけだ
魔力が回復するまで何もできん」


クーがそう言った瞬間回転しながらドラゴンが突進してくる。
ドクオはかわしたためぎりぎり掠る程度で済むがクーは動けなかった。

はね飛ばされ残っていた建物にぶつかる。

140名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:49:27 ID:CGEDAuak0

それを見てドクオは心配して駆け寄る。
クーはそれに気が付き、むくりと上半身を起こすと言った。


川メ゚ -゚)「……訂正だ
切れかけではない、切れている
動く気力がまったくでない」

(メ'A`)「……悪い、回復はできん
俺の方もあの二人のある呪文分しか残っていない」


慌てて駆け寄ったが何もできないドクオの言葉にクーは頷く。
彼女は「それでいい」と言ったつもりだった。
しかしその口はそう動いていなかった。

そのことに気付くとクーは心の中で嗤う。
「情けないな」と言いたかったがそんな気力も湧かなかった。


重々しい足音が響く。

視線を向けるとドラゴンが大地を踏みしめ近づいてくる様子が見えた。
ドクオは自分とクーの体力がほとんどないことが分かっていた。
だからこそどうすべきか考えていた。


(;'A`)「とは言ったもの回復しないと死ぬよな
だが回復したら二人とも魔力切れで動けないという絶望が」

川;゚ -゚)「それ使ったら奥の手使えなくなるんだろ?
なら使うなよ?」


クーは流石に焦ったように声を発した。
ドラゴンが白と黒の魔法使いを見据えて近づいてくる。
二人はドラゴンの方を見て、そしてあることに気付いた。

141名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:52:27 ID:CGEDAuak0

(メ'A`)(……あ)

川メ゚ -゚)「さて、私は動く気力はもうないぞ」


クーがわざとらしく大声を出す。
ドラゴンは迷いなく、その速度を緩めることなく近づいてくる。

ドクオは落ちている瓦礫を拾い上げ、投げつける。
刺さったままの槍に当たり、ドラゴンは立ち止まる。
かすかにうめき声を上げた。

そして再び歩を進める。
速く動かないのは槍を動かすと痛いためだろうかと考える。
ドクオは杖を構えるとドラゴンの後ろの方へ向かって叫んだ。


(メ'A`)「後は頼んだ、『ディフェンスバージョンアップ』!」

( ^ω^)「二人とも後は任せるおぉぉぉ!」


ブーンのそんな叫び声とともに剣が振り落される。
残っていた黒い翼の片方が切り落とされる。
ドラゴンは振り返りながら尾で弾き飛ばそうとした。

ブーンは剣で防御する。
衝撃はあったが吹き飛ばされずギリギリ耐え切る。
そして氷の槍が刺さっている部分を狙って剣を突き出した。

最初ドラゴンは噛みしめることで歯を使い、口への攻撃を防御しようと試みる。
しかし、氷が邪魔で食いしばることができない。
そのことを察すると素早く下がる。

突き刺さった槍が動き、傷をえぐる。
ほんの一瞬痛みのためか動きを止める。




その瞬間ドラゴンの残った右目をツンの矢が貫いた。

142名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:54:45 ID:CGEDAuak0

矢が飛んできた方向をブーンが見るとモノクルをしたツンがいた。
当たったことを確認するとモノクルを外し嬉しそうに跳ねる。


ξ*゚⊿゚)ξ「やったわ! 当たったわ」

( ^ω^)「あれ? 命中落ちていなかったかお?」

ξ*゚⊿゚)ξ「吹き飛ばされた近くにこれが落ちていたの
着けると攻撃対象がよく見えるのよ」


そう言ってモノクルを嬉しそうに示す。
銀縁のシンプルなモノクルであった。
ブーンは素早さは下がったままなので素直にうらやましかった。


(*゚ω゚)ノ


その様子を妖精はちょっと嬉しそうに見ていた。
もちろん彼ら全員から確認されない位置からであったが。


ドラゴンは右目に矢が突き刺さった瞬間しゃがみ込んでいた。
怒りとも苦しみともつかない呻き声を上げている。

しばらくすると大きく咆哮をあげながら立ち上がった。

143名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 22:58:16 ID:CGEDAuak0

ドラゴンは頭を振る。
残った腕で矢を抜く。

しかし彼の眼はもう元には戻らない。
ドラゴンの視界は完全に闇に包まれていた。

また、このドラゴンはあまり耳は良くなかった。
そのため彼らの居場所が全く分からなくなっていた。


ドラゴンは空へ逃れようと翼を広げようとする。
しかし片翼を失った状態では飛ぶことはできない。

空へ飛ぼうとしたことにより腹部の口に刺さった槍が動き、ドラゴンにダメージを与える。
その槍は魔法によるもので抜けない、溶けない。

普通の動物なら「歯」も十分な武器となる。
しかし槍が刺さったままでは口の中にある歯は武器にならない。
そもそもこんなところにある口は自分から攻撃するのに向かない。

踏みつけようにも先述通り場所が分からない。
手の爪を使って攻撃しようにも手は小さく攻撃範囲は狭い。
そしてすでに片方の腕はない。

ドラゴンは闇雲に尾を振るのが良いと判断した。
見えないため適当に移動しながら尾を振るう。

ひとまず体が向いている方向へ歩き出す。
そして進みながら尾を闇雲に振るった。

ブーンはそこへあえて近づく。
そして尾を受け流した後槍が刺さっている隙間に剣を突き立てた。


ブーンが剣を抜くと紫色の血が隙間からあふれる。
尾を使って薙ぎ払うようにその場で一回転する。
ブーンはダメージを受けつつその尾を剣で受ける。

そして再び剣を振りおろす。
今度は受け止めた尾を狙った。
しかしドラゴンも当たった感触からブーンの位置は分かった。

尾の先端をブーンの方へ突き出す。
その尾は少々油断していたブーンの脇腹をかすめた。
そこに軽い傷が作られ、血がにじむ。

144名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:01:40 ID:CGEDAuak0

ツンはそのドラゴンがブーンに集中している隙にドラゴンに近づいていた。
モノクルをかけると見えにくいひびがよく見えた。

そのひびを狙って全力で引き絞った矢を放つ。
あえて先ほど矢が刺さった場所とは違う場所だった。

ドラゴンのひびがこじ開けられる。
そこから黒い煙がひびが広がったためか少しあふれる。

ドラゴンはかすかによろめく。
その隙にブーンは離れ尾の攻撃範囲から出る。
ドラゴンは尾を再び突き出すが当たるわけがない。

再びブーンたちの場所が分からなくなったドラゴンはフラフラ歩く。

そして口を開き紫色の光を集め始める。
今度は技を出される前にツンが口の中を狙って矢を放つ。

矢が口の奥に突き刺さった。
光を溜めるのをやめ、せき込むように矢を吐き出す。
何とか矢を出した時ツンが拡げたひびに剣が突き立てられた。

ひびが大きくなった瞬間煙があふれ出したためブーンはとっさにはなれる。
ドラゴンはとにかく闇雲に暴れまわる。

もはや敵などどうでもよいといった様子だった。
ひたすら痛みに苦しみ、暴れているだけだった。

その尾が近くにあった瓦礫を弾き飛ばす。
その瓦礫はツンへ飛来する。
とっさに身をかがめてかわす。

瓦礫がかすり皮鎧の背中の方が壊れ、傷を作る。
ツンは咳き込んだ後軽く舌打ちをした。


ξ#゚⊿゚)ξ「痛いわねぇ」

(;^ω^)「やっぱり皮は金属より脆いおー」

ξ#゚⊿゚)ξ「にしてもしぶといわね……」

145名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:05:48 ID:TVxz9XZ.0
描写の努力がみてとれる
少し読みやすくなった感じ

146名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:05:56 ID:CGEDAuak0

ツンの言葉通り確かにドラゴンはしぶとかった。
本能だけでここまで戦えるのか彼らには分からなかった。
だがブーンは自分たちにできることは一つだということは理解していた。


( ^ω^)「理由はわからないけど
さっさと楽にしてあげるべきだお」

ξ゚⊿゚)ξ「魔物に慈悲はないわ
けど楽にするというのには同意ね」

( ^ω^)「それに魔法組が魔力切れな今
さっさと休ませるべきだお」

川 ゚ -゚)「すまないな」

ξ;゚⊿゚)ξ「あんな火柱出して
こんなに氷の槍を作って飛ばして
それで切れるだけというのはすごいわよ」

(;^ω^)「確かに普通なら枯渇して気絶するお」

川 ゚ -゚)「一応修道女だったから魔力は多いのかもな」

ξ;゚⊿゚)ξ(そういうものなのかしら)

(;^ω^)(あれと契約しただけの魔力じゃないと思ったお
あれ? でもそれだけで維持までできる魔力あるかお?)

(;'A`)(この人の魔力の量多かったんだ……)

川;゚ -゚)(とっさに無難な理由を言ってしまった)


各々別のことを考える。
しかし考えてはいたがしっかりドラゴンの方を見ていた。
ドラゴンはとぎれとぎれの咆哮をあげる。

ツンは前面へ矢を放ち、ひびを口の切れ目まで広げる。
ブーンは背後に回り全力で剣を横に振る。

横方向の切り傷が付き、端の方には小さなひびが生じる。
その端の方の小さなひびが元のひびと繋がり大きなひびとなる。

黒い煙があふれ出すがブーンは気にしない。
振るわれた尾に胴体を殴られつつも苦しそうに息を吐いてその場で耐える。

そしてその傷から剣を思い切り突き立てる。
正面から見るとドラゴンの腹部の口から剣が生えてきたようにも見えたのだった。

147名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:10:55 ID:CGEDAuak0

(#^ω^)「うおりゃぁぁぁ!」


ブーンはそんな掛け声をあげながら剣を動かす。
ドラゴンの周りをひびに沿って半周し正面に回る。
バキバキという音を立てひびが一つの大きな穴となる。

正面に回った瞬間ドラゴンと目が合ったように感じた。
慌てて蹴りを入れながら離れて距離をとる。

ドラゴンは不思議そうに軽くあたりを見渡す。
そして傷つき、見えていないはずの眼でブーンたちの方を見る。


足を持ち上げブーンたちの方へ歩み寄る。


(;^ω^)「体の半分斬ったのにまだ来るかお?」

ξ;゚⊿゚)ξ「真っ二つにしなくちゃ倒れないの?」


ブーンとツンが息を切らしつつ叫んだ。
ドラゴンは尾を振るおうと足を広げ踏ん張る。
そしてその上体をひねった。

ブーンはとっさにツンを守るように間に入る。
そして剣を縦に構え、尾の攻撃に備えた。

148名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:13:56 ID:CGEDAuak0

ドラゴンの上体がゆっくりと倒れていた。
ひびが入っていなかった部分がパキパキと音を立てて折れていく。
そしてその体内構造が日の下にさらされていく。

まず口、これは入り口に細かい歯があった。
そしてその内壁は血で紫色だった。

その内壁は胃へ直通のようだった。
食道の一部が口の内壁となっているようだった。
いくつかの内臓が黒い煙の中に見えた。

硬く、黒い装甲。
いくつかの内臓と神経。
そしてその間を埋める黒い煙。

これら3つがこのドラゴンを形成するものだった。
そのうち黒い煙は空中へと霧散し、やがては消えていく。

恐る恐る近づき確認したドクオが感想を言う。


('A`)「なんというか無駄が多いというか
バラバラの内臓を無理やり押し込めた感じだな
俺らが負けてもこいつたぶん遅かれ早かれ死ぬと思う」

( ^ω^)「確かに変な声が何かやった
そしたらできたという感じだったお」

川 ゚ -゚)「思い返すと最初は腐りかけだった
声は『腐るのが速い』『失敗作』と言っていた
あの声がこれを作ったのだろう」

(#'A`)「……失敗作って
まるで自分が作ったみたいな言い草だな」

ξ゚⊿゚)ξ「人工であってもなくても魔物は魔物
殺す対象よ……でも魔王にも部下っているのね
姿見えなかったし強い魔物なのかしら」

(;^ω^)「こんなにしぶといのたくさん作られたら厄介だお」


ブーンが力が抜けたように膝をつきつつ言う。
それを見て声をあげようとしたツンも座り込んでいた。

149名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:16:10 ID:CGEDAuak0

ツンは立てなくなった事実に焦る。
そして不思議そうに声を発した。


ξ;゚⊿゚)ξ「あれ? なんで? 立てない」

(;^ω^)「ツンもかお?」

('A`)「あ、3回強化したからだな
2回目までならそこまで副作用無いんだがなー
しばらく休めば動けるから安心しろ」


ドクオの言葉に二人は不満そうな声を上げる。
その不満にため息をつきながら言った。


('A`)「いいか? 普段の力の倍以上出しているんだ
身体に負荷かかるのは当然だろ」

(;^ω^)「でも魔物地区でこうなったら大変だお」

('A`)「2回なら平気だ
それに『レオナ』程度ですぐ回復できる」

ξ゚⊿゚)ξ「にしてもあんたの呪文独特ねぇ」

('A`)「独学だから自分で考えている
そもそも神官とかの呪文が一緒なのは
契約対象がほぼ同一だからだ」

川 ゚ -゚)「確かに神官以外の白魔法の連中は呪文ばらばらだったな」

( ^ω^)「契約対象で効果がほとんど変わらない
だけど呪文は違うのかお……」


ブーンは感心したように呟く。
どうやら魔法が本当に好きらしい。
新しい知識を得たブーンの声は弾んでいた。

150名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:17:38 ID:CGEDAuak0

(=゚ω゚)ノ「……無事倒せたかょぅ」

『おい、妖精』


瓦礫の影から見ている妖精に声がかけられる。
妖精は少し顔をしかめると何もない方向へ答えた。


(=゚ω゚)ノ「なんだよぅ」

『あのガキンチョにモノクルを渡したのおまえだろ?
 その所為で目つぶされてあっさり負けたじゃないか』

(=゚ω゚)ノ「それはすまんかったよぅ」

『入れ込みすぎじゃないか?
 お前の仕事は見守ることだろう?
 無事魔王様の元へたどり着くまで』


姿なき声は若干声を荒らげる。
妖精は何も答えない。
姿なき声は軽くため息をつく。


『今回は俺も暴走した
 魔王様には報告しないでおいてやる』

(=゚ω゚)ノ「勝手にするんだよぅ」


妖精はとても小さい声でぼそりと言ったのだった。
座り込む4人に兵士達が駆け寄っていくのが見えた。

151名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:20:19 ID:CGEDAuak0
  _
( ゚∀゚)φ「今回は報告することたくさんあるぞー
まずは仲間が全員そろった
騎士、射手、黒魔法、白魔法ですっと」
  _
( ゚∀゚)「ツンちゃんが近距離に出気味だから中距離として
遠、近、中距離がそろって回復もいる
まぁ良さげだよな」
  _
( ゚∀゚)φ「次になんと彼らはドラゴンを倒した
正体は魔物とは言えすごい
クーちゃんの魔力の量がおかしかったっと」
  _
( -∀-)「あんなに氷の槍放てるかって普通
そのとき一緒にいたのがドクオ君で
彼の村魔法使いがいないからすぐ気付かなかったんだな」
  _
( ゚∀゚)φ「で、ドラゴン討伐後動けなかった
だから兵士のビコーズさんに助けてもらったっと
彼も王子たちの助けになりたいそうなので
俺と同行することを許してください」
  _
(*゚∀゚)「全員そろったから一回帰るんだけどな
ついでに会ってもらって許可取るか
ハイン元気かなー」
  _
( ゚∀゚)φ「……そうだ、あのこと書かなくちゃ
クーちゃんが許されたこと伝えなくちゃいけないしな」


ジョルジュはそう呟くと目を閉じる。
ブーンたちがドラゴン討伐後自分が地下の町で見た出来事を思い出していた。

152名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:22:39 ID:CGEDAuak0

( ∵)「君たちはあれを倒してくれた
一日くらいなら休んでも許されるだろう」

从∀゚ 从「そうそう、それくらい許されなくちゃな」


ジョルジュは変装して魔力切れで動けない二人に肩を貸していた。
もちろん一人だけだとつらいのでビコーズにも手伝ってもらっていた。
その後ろを歩くブーンは申し訳なさそうに言った。


(;^ω^)「運ぶの手伝ってくれてありがとうございます
えっと名前は」

从∀゚ 从「名前なんていいんだよ、ただの通りすがりで」

ξ;゚⊿゚)ξ「そうですか、ありがとうございます
あれ? たくさん人が出ている」


ツンの言葉で全員が視線を寂れた教会へ向ける。
デミタスを先頭としたサイドニアの住人達がそこにいた。

ビコーズは真っ先に疑問の声を上げる。


( ∵)「皆さん出てきてどうしたのでしょう?」

(´・_ゝ・`)「……君たち、ついさっきドラゴンを倒したかい?」

( ^ω^)「倒しましたお」

(´‐_ゝ‐`)「そうか、感謝しよう」


デミタスは深々とお辞儀をする。
後ろにいた町人たちはブーンの言葉に嬉しそうにざわついた。
しかし、固まった表情のまま一言も発さない人々もいた。

153名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:24:27 ID:CGEDAuak0

クーは並んだ町人たちを見る。
そして少しためらった後幾分かの期待を込めて尋ねた。


川;゚ -゚)「患者はどうなりましたか?」

(´・_ゝ・`)「先ほど一斉に亡くなったよ」


その言葉を聞いたクーは一瞬血の気が引いたようになる。
そして目を閉じると「そうか」とだけ言った。

デミタスは後ろを振り返る。
大部分の人は安心したように笑っていた。
それを確認した後言葉を続ける。


(´・_ゝ・`)「クーさん、訴えは取り下げる」

(´‐_ゝ‐`)「理由は引き取られた患者たちが
多くの家族や隣人を殺した
君がやったことは仕方ないという世論が湧き上がった」

(´・_ゝ・`)「あれを倒した君たちなら魔王も倒せるかもね
訴えたからやってくる教会の人には
訴えを取り下げると伝えよう」


町人たちから「頑張れよ」等の軽い調子の応援が響く。
「びびってごめんね」「勝てよ」「負けるなよ」
ブーンはその声援に包まれながらデミタスに尋ねていた。


( ^ω^)「……本当に死んだのですかお?」

(´・_ゝ・`)「あぁ、本当は煙を吸った瞬間死んでいたらしい
調査の結果黒い煙の成分は魔物区域の瘴気と近かった
だが誰かが何かしたのか死んでいたはずの彼らは動いていた」

ξ;゚?゚)ξ「……そうですか……」

(;'A`)「ドラゴンに煙まとわせていたし
あの声の主の仕業か……?」


ドクオがそうぼそりと考えを漏らす。
その時、上流から下ってきた船の到着音が響く。
黒いカソックのような服を身にまとい大きな剣を背負ったモララーが船から降りる。
その船には十字架のような教会のマークがしるされていた。

154>153訂正:2014/10/26(日) 23:28:16 ID:CGEDAuak0

クーは並んだ町人たちを見る。
そして少し見回した後幾分かの期待を込めて尋ねた。


川;゚ -゚)「患者はどうなりましたか?」

(´・_ゝ・`)「先ほど一斉に亡くなったよ」


その言葉を聞いたクーは一瞬血の気が引いたようになる。
そして目を閉じると「そうか」とだけ言った。

デミタスは後ろを振り返る。
大部分の人は安心したように笑っていた。
それを確認した後言葉を続ける。


(´・_ゝ・`)「クーさん、訴えは取り下げる」

(´‐_ゝ‐`)「理由は引き取られた患者たちが
多くのその家族や無関係の隣人を殺した
君がやったことは仕方ないという世論が湧き上がった」

(´・_ゝ・`)「あれを倒した君たちなら魔王も倒せるかもね
訴えたからやってくる教会の人には
訴えを取り下げると伝えよう」


町人たちから「頑張れよ」等の軽い調子の応援が響く。
「びびってごめんね」「勝てよ」「負けるなよ」
ブーンはその声援に包まれながらデミタスに尋ねていた。


( ^ω^)「……本当に死んだのですかお?」

(´・_ゝ・`)「あぁ、本当は煙を吸った瞬間死んでいたらしい
調査の結果黒い煙の成分は魔物区域の瘴気と近かった
だが誰かが何かしたのか死んでいたはずの彼らは動いていた」

ξ;゚⊿゚)ξ「……そうですか……」

('A`)「ドラゴンに煙まとわせていたし
あの声の主の仕業か……?」


ドクオがそうぼそりと考えを漏らす。
その時、上流から下ってきた船の到着音が響く。
黒いカソックのような服を身にまとい大きな剣を背負ったモララーが船から降りる。
その船には十字架のような教会のマークがしるされていた。

155名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:31:19 ID:CGEDAuak0

(;・∀・)「あれ? ドクオ君?
とうとう村出たの?
もしかして噂の罪人の仲間?」

('A`)「あ、モララーさん、村は出ました
ですが罪を犯した記憶はありません」


ドクオを見るなりある意味失礼なことを言ったモララーはほっと息をつく。
「知り合いは捕まえたくないからよかった」と小さく呟く。
そこへジョルジュは前に出ると尋ねる。


从∀゚ 从「黒いカソックってことはお前が教会の人間か?
訴えは取り下げるってさ」

( ・∀・)「ん? そうなの?
魔王幇助罪の方も?」

(´・_ゝ・`)「はい、そうです」

( ・∀・)「良かった、捕まえることにならなくて
もう一つの訴えの怪物は?」

( ^ω^)「僕らが倒しましたお」

(*・∀・)「マジ? いやぁメンドかったから助かった」


モララーはとても嬉しそうな声を発する。
その様子を見て呆れつつもドクオは呟く。


(;'A`)「一応聖騎士サマなのに」

ξ゚⊿゚)ξ「聖騎士?」

川 ゚ -゚)「教会の次期6人長ということだ」

( ^ω^)「6人長?」

川 ゚ -゚)「教会の偉い人と理解しておけ」


ドクオの「聖騎士」という言葉に町の娘たちが色めき立っていた。
よく通る声に白い歯、鼻立ちはすっきりと言ったイケメンでしかも結婚できれば玉の輿一直線なのだ。
色めき立つのも当たり前だろう。

156名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:34:03 ID:CGEDAuak0

モララーはそのような反応に慣れているのか気にも留めない。
キラリと爽やかな笑顔を町娘たちに向けた後デミタスの方へ向き直った。


( ・∀・)「分かりました、では教会には訴えは取り下げられたと伝えます」

(´・_ゝ・`)「お騒がせしてすみませんでした」


デミタスは深々とお辞儀をした。

クーは笑顔を見せない町の人たちの方をじっと見ていた。
笑顔のない町人たちもクーを見ていた。

クーはその視線をしっかり受け止めた後深々とお辞儀をする。
その町人たちは視線を逸らしたのだった。


川 ゚ -゚)(彼らはおそらく、本当はすでに死んでいたとしても
私が殺すこととなった方々の遺族だろう)

川 - -)(私が彼らにできることは本当の敵を討つぐらい……だろう)


クーはそう密かに考える。
一瞬わずかに眉根を顰めつらそうな顔になる。

そのことに気が付いた者もいたが彼らは気づかないふりをしたのだった。

157名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:38:39 ID:CGEDAuak0

ジョルジュは目を開ける。
そして思い出したことを記した。

  _
( ゚∀゚)φ「クーちゃんはつらそうな顔をしていました
俺は何か声をかけるべきだったのでしょうかっと」
  _
( ゚∀゚)「ま、きっと正解なんてないさ
クーちゃんは19になったという話だし
自分で乗り越えられる年齢さ」
  _
( -∀-)φ「彼らは言いつけどおり
ホライゾン国に戻るそうです
王子も王様に会えるのを楽しみにしていますっと」


ジョルジュはそう書くと大きく伸びをする。
そして報告書を送り出す。

  _
( ゚∀゚)o彡゜「これで良し、ビコーズ酒飲んで寝るぞ」

(;∵)「毎晩これ飲んでいるんですか!?
度数高いですよ!」


同行することになった兵士、ビコーズと共に酒を飲む。
そして各々眠りについたのだった。


( ∵)「一杯で沈むのにこんなの飲んでいるんですね……」


ビコーズは呆れも混じった呟きを発する。
静かな地下の宿で起きているのは彼だけだった。




爪'ー`)「次は何を盗もうかな……無理そうだけどカギ欲しいなぁー」


手紙を結果的に公開したフォックスはそう寝言を呟く。
彼もまた巻き込まれる運命にあるのだが、この時は最後の平和な夜を過ごしていたのだった。

158名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:41:46 ID:CGEDAuak0

(´・ω・`)「取り下げたから捕まえない
確かに理由がないからね」


赤いカソックのような服を着た男はため息をつく。
そしてモララーからの報告書を握りつぶすと声を荒らげた。


(#´・ω・`)「だがやつらは魔王様に敵意を持っている!
敵意を持つなんてとんでもないことだ!
そんなやつを呼び込むなんてとんでもないことだ!」

(´・ω・`)「魔王様も魔王様だよ
世界のカギが欲しいのなら四天王が集めるのに」

( ^ν^)「何あらぶってんだよ」


垂れた眉の男が報告書をたたきつけたところで突然笑みを浮かべた男がその部屋に入ってくる。
赤いカソックを着た男は慌てずに答えた。


(´・ω・`)「いや、ある意味有能だけど無能な部下についてね」

( ^ν^)「モララーか? 仕方ないだろ
あいつは荒巻の跡目だからな」

(´・ω・`)「その笑顔止めてくれないか?」

( ^ν^)「この笑顔? 止めない」


入ってきた男もまた赤いカソックに着替える。
そして部屋から出ていきつつ言った。


( ^ν^)「ま、他のカギは魔物区域通る必要あんだろ?
どうせ死ぬから大丈夫だって
あとメンドーイ6人長会議が始まるぞショボン様」

(´-ω-`)「……分かった、今から出るよ」


最後の一言をわざとらしく言った男にショボンは苛立ちを覚える。
しかしそれを顔には出さずにその部屋から出たのだった。

159名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:51:13 ID:CGEDAuak0
以上で第5話投下終了です。
前回絶望が見られるといいましたね?
ドラゴンの絶望でした。

ゲームで言うとはめ技を食らったという感じです。

書き溜めを結構書き直しながらの投下になっています。
そのため書き方がぐちゃぐちゃしているかもしれません。

次回は第0章最終話です。
その最終話である第6話はほのぼのな仕上がりとなっています。
……ほのぼのしています、たぶん。

私がRPGでやったことあるゲームは某伝説などの一人旅が多いです。
そのため複数で戦うということに慣れていません。
複数ならではの連携などをかけるようにして戦闘描写などを読みやすくなるよう努力していきます。

もうしばらくお付き合いいただけるとありがたいです。
今はひたすら書いています。

最後に感想であった腐敗臭について一言、ピーマンは腐らせてはいけない。

160名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:58:33 ID:Hxg6S22Q0

冒険物大好き
次回も楽しみにしてるよ!

161名も無きAAのようです:2014/10/26(日) 23:58:34 ID:KqimgO0U0
おつです

虫みたいなドラゴンか
それだけならともかく羽がGみたいって、想像しただけで少しゾッとした

>>155
このハインってジョルジュだったのか?!それとも誤字?

162名も無きAAのようです:2014/10/27(月) 00:02:17 ID:YlB/6oCw0
ミスった
皮膚がカブトムシやGみたい、だな

163名も無きAAのようです:2014/10/27(月) 00:30:15 ID:hVetNwO20
おつ!某伝説ってなんだろ

>>161
前の話に突然出てきたハインネタの回収かと思って読んでた
ジョルジュとハインは目付きが同じだし

164名も無きAAのようです:2014/10/27(月) 01:15:02 ID:sAA.0CD.0
ゼルダじゃね?

とにかくいちおつ

165名も無きAAのようです:2014/10/27(月) 11:43:04 ID:RLtBm3Y60
おつ

>>161
変装って>>152にある

166名も無きAAのようです:2014/10/27(月) 14:35:30 ID:GCPgiSEU0
>>163 >>165
目つきについては確かに似てるな−とは思ってた
>>152の文章落としてたorz
教えてくれてありがとう

167名も無きAAのようです:2014/10/30(木) 10:02:26 ID:9oqIRjAg0

あのハインはジョルジュだったのね

168名も無きAAのようです:2014/10/31(金) 10:51:46 ID:xrVNemAo0
面白いなこれw

169名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 00:13:59 ID:YHNyFybQ0

草原をさ迷い歩く。
出てくるゴブリンをひたすら倒す。



そしてサイドニアを出てから四日が経った。


( ^ω^)「帰ってきたおー」

川 ゚ -゚)「ここがブーンの故郷か」

('A`)「でかいな」

ξ゚⊿゚)ξ「改めて見ると確かにデカいわね」


巨大な城壁を前にしてそんな感想を漏らす。
ここはブーンの故郷ホライゾン国であった。

170名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 00:15:53 ID:YHNyFybQ0

第0章
第6話 飛びだす時

171名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 00:19:11 ID:YHNyFybQ0

川 ゚ -゚)「ブーンのおじいさんとはどういう人なのだろうか
私を見つけたということはなかなかの人脈だな」

('A`)「俺も気になるな
母者さんが敬語使っていたし」

( ^ω^)「お? ……そう言えば言ってなかったお」

ξ゚⊿゚)ξ「あっ確かに」


ブーンとツンの言葉に二人は市場を歩きながら不思議そうな顔をする。
白い布で張られたテントからの物売りの声が響く。
ブーンはにこやかに笑いながら言った。


( ^ω^)「僕のおじいちゃんここの王様なんだお」

川;゚ -゚);'A`)「な、なんだってー!?」

川;゚ -゚)「確かにその鎧は高級品だが
ツンはなんだ? 王女だったりするのか?」

(;'A`)(この鎧高いんだ……)

ξ゚⊿゚)ξ「私はここの国の者じゃないわ
今は魔物区域にあるとある国の没落貴族よ」

(;^ω^)(貴族だったのかお
魔物に対する態度の苛烈さで分からなかったお)

(;'A`)「……俺は村男Aです」

川;゚ -゚)「修道女Cです……態度改めたほうがいいですか?」

(;^ω^)「そういうのいいお……」

ξ;゚⊿゚)ξ「二人の方が年上なんだし」


委縮した二人に気にしないように言いながら彼らは城へ向かう。
その頃城ではロマネスクが楽しそうに彼らを待っていた。

172名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 00:27:52 ID:YHNyFybQ0

( ФωФ)「お主たち待っておったぞ
……よくぞ戻ってきたな、アヒャ大臣は下がれ」

(  ゚∀゚ )「あひゃー、了解しました」


ブーンたちを城に入ってからここまで案内した大臣が一礼をして去る。
玉座に座ったロマネスクは赤い扉に金の装飾を施した扉から大臣が出ていくことを確認する。

しばらく経ってからロマネスクの頬が緩む。
それを見てブーンがうれしそうな声を上げた。


( ^ω^)「おじいちゃん久しぶりだおー!」

(*ФωФ)「ブーンよくやったぞ
ドラゴン倒したりしたんだってな、すごいぞー」


急に砕けた調子になったのをはじめて見たドクオとクーが若干引く。
そして聞こえないように小声で話す。


川 ゚ -゚)「王様はフランクなんだな」ヒソヒソ

('A`)「大国の王だからもっと厳格だと思ってた」ヒソヒソ

( ФωФ)「さて、君たち
それぞれ勇者とペニサスの子孫だね」


いきなり言葉を向けられた二人は慌てて姿勢を正す。
そしてはっきりと答えた。


川 ゚ -゚)「はい、確かに私の祖父は勇者と聞いています」

(;'A`)「あ、俺は母のおばがペニサスと聞いています」

(;ФωФ)(うーむ、彼らを見ていると昔を思い出す)


自分の仲間の面影をロマネスクは彼らから感じていた。
そのことをきっかけとして旅をしていたころの記憶が溢れてこようとしている。

勇者のことを最初どのような名前で呼んでいたか。

その記憶にも手が届きそうにも感じた。
しかし掠る程度の手ごたえしか感じられなかったのだった。

173名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 00:32:01 ID:YHNyFybQ0

( ^ω^)「一端戻れっておじいちゃんが言ったから戻ったけど
何の用なんだお?」


ブーンの言葉でロマネスクの意識は記憶の海から引き戻される。
そして頷きながら言った。


( ФωФ)「世界のカギのある迷宮は今は魔物区域にある
そこに行くために最近開発されたあるものと
私たちがかつて使ったあるものを渡そうと思ってな」


そう言うとロマネスクは用意していたのか懐から古い地図を取り出す。
4人が覗きこむとそこには今は瘴気に沈んでいる町も描かれた地図があった。

北の方には切り立った山々が描かれていた。
その頂上には十字架が立てられた建物が描かれている。

教会のある山のふもとには大きな国が描かれていた。
その近くには「寒い」とか「雪」等という単語が無造作に書かれていた。

地図の西方には海があった。
そしてその沿岸部にも大きめな国がある。
その横に「海危険」「魔法ばっかり」などの荒々しくかかれた文字があった。

東方には低くなだらかな山があった。
その山のふもとにも大きな国があった。
丸っこい文字で「木がほとんどないよ」「岩ばっかりで危ないよ」と書かれていた。

南の方には自分たちの今居るホライゾン国が一番の大国として描かれていた。
その国が集中した地域の中央に川が走っていた。
元気のよい文字で「故郷!」「帰るべき場所」という言葉が書かれていた。

そして地図の中央には大きな湖があった。
北の方から流れてきた川は湖に入り、それぞれの地域の方へと流れていた。
ただし、東は町から離れた場所だったが。


( ФωФ)「昔私たちが使った地図だ
ちなみにダンジョンはここに作った」


そう言うとロマネスクは西の町、地図の南と東からほぼ等距離にある南東の場所。
そして地図の北の町から少し東の位置に×を書いた。

174名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 00:34:48 ID:YHNyFybQ0

( ^ω^)「この国が小さいおー」

( ФωФ)「そりゃ世界地図だからな
世界はこんなにも広かったんだ……瘴気の所為で小さく感じるかもしれないがな」

ξ゚⊿゚)ξ「こんなにも広い地域が魔物地区なのね」

( ФωФ)「ちなみに魔王はここに居った」


そう言うと地図の中央の湖の真ん中に丸を描く。
そして目を閉じ小さく「ここの洞窟にいたのである」と呟いたのだった。

しばらくして目を開くと口元をわずかに吊り上げる。


( ФωФ)「お前たちにはこれから瘴気を抜けてもらう
それには足が必要であろう……アヒャ!」

(  ゚∀゚ )「はい、なんでございましょうか?」

( ФωФ)「彼らをあれに案内しなさい」

(  ゚∀゚ )「あれですね、分かりました!」


アヒャ大臣はそう言うと4人についてくるように言う。
「あれはすごいぞ」と言いアヒャヒャと楽しそうに笑いながら案内を始めたのだった。


ブーンたちが居なくなってからロマネスクはため息をつく。
そして若干怒りのこもった大声で叫んだのだった。


(#ФωФ)「ジョルジュ! 報告書について気になる部分があった
急いで参上するのである!!」

175名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 00:38:41 ID:YHNyFybQ0

アヒャの先導で辿り着いた先は中庭だった。
ブーンにとっては庭師によって整えられたいつもの中庭である。
だが、その中央には見慣れないものがあった。

それは2頭の巨大な機械の馬とそれにつながれた馬車であった。

馬車は大きく機械の馬で動かせるか不安になるほどであった。
外見は運転者が座るところまで屋根が伸び、ガラスで覆われていた。
一応手綱用の穴があったができる限り瘴気が入らないよう考慮されている。

中を軽く見ると2階建てで1階には運転席につながる扉や食堂等があった。
2階は小さな部屋が4つある。
小さな備え付けのベッドと小さな机あと旅のための荷物でほぼ一杯になる広さだった。

一応生活はできそうだと感じる空間であった。


(  ゚∀゚ )「機械馬車だぞ、普通の馬では瘴気内では魔物になるからな
手綱を通して機械の馬に魔力を注いで動かんだ
ついでに馬車の中の環境も魔力を使って維持されるぞ」


クーは魔力という単語を聞いて小さく不安そうにつぶやく。


川;゚ -゚)「どれだけの魔力を注げばいいんだ?」


アヒャはその言葉を聞いて待ってましたと言わんばかりにいい笑顔を見せた。

176名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 00:47:19 ID:YHNyFybQ0

(  ゚∀゚ )「アヒャヒャ! その点は大丈夫
ブーン王子世界のカギはあるか?」

( ^ω^)「どうぞだお」


ブーンに赤い石を手渡されたアヒャは馬車の横にあった扉から中に入る。
そして運転部屋に入ると小さなボタンがいくつか手綱の横にあるのが目に入った。

ボタンのうちEと書かれたボタンを押すとその隣に穴が開く。
その穴に赤い石を放り込む。
その瞬間木と鉄でできた馬が顔を上げ、大きないななきを上げた。


(  ゚∀゚ )「カギの魔力を使って動かすんだぞ
カギが集まるほど魔力が多くなって速く走れるらしいぞ
だけど時々止まって石を休ませないと魔力切れるらしいぞ?」

('A`)「あ、じゃぁこれも」

(  ゚∀゚ )「アヒャヒャ、ありがとう」


ドクオから紫の石が付いた腕輪を受け取るとアヒャはそれも放り込む。
中から一瞬強い光が漏れたように見えた。


カギがエネルギー源と聞きツンは少し考える。
そして不思議そうに尋ねた。


ξ゚⊿゚)ξ「魔王にこれ渡す前に一つのカギにするのよね
一つになった後でも問題はないのですか?」

( ;゚∀゚ )「アヒャー、実は1個になるとエネルギー取り出すのたぶん難しくなるぞ
だけどな、今魔法使いたちに宝石に魔力を注いでもらっている
たぶんカギが集まるころにはエネルギー源の魔力の詰まった石ができているぞ」


アヒャが苦笑いを浮かべながら答える。
その様子を見て軽く顔を見合わせ魔法使い組は小声で会話をする。


川 ゚ -゚)「いざとなったら魔力提供だな」

('A`)「そうなりそうだな」

177名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 00:52:31 ID:YHNyFybQ0

ブーンは手綱を見て考える。
一応馬には乗ったことがあるがすぐ落馬したし馬車も操ったことがなかった。
不安に感じたことを尋ねることにした。


( ^ω^)「ところで、だれが操縦するんだお?」

(  ゚∀゚ )「全員操縦方法と整備方法くらいは覚えて欲しいぞ」


そうさらっと言われて顔を見合わせる。
驚いた様子なのを見て少し考えた後に言う。


(  ゚∀゚ )「あひゃー、安心するんだぞ、この手綱は魔力をよく通すんだぞ
一応運転者の思考を魔力を使って馬に伝えてくれるから技術は問題ないぞ」

(  -∀- )「魔力は量の違いはあってもだれにでもあるぞ
もちろん、王子とツンさんは魔法使いじゃないから魔力は少ない
でもその少ない魔力で運転できるようになっているから安心してほしいぞ」

ξ゚⊿゚)ξ「魔力……ってことは」


ツンはサイドニアで魔力を使い切った二人が動けなくなっていたことを思い出す。
そうなったら大変だと思い声を上げようとした。

しかし、それを遮るように言った。


(  ゚∀゚ )「アヒャヒャ、安心するといいぞ
一日運転したとしても疲れを感じるが寝たら治る程度の消費量だ
だけど一応みんなで覚えて交代で運転してほしいんだぞ」

( ^ω^)「分かったお!」


ブーンの返事を聞いて満足そうな顔をアヒャはする。
そしてその顔のまま彼に整備方法などが書かれたマニュアル本を渡す。


(  ゚∀゚ )「今君たち用に新しい防具を作っているらしいぞ
もうすぐ完成するから出発は待ってほしいんだぞ
それまで整備マニュアルはしっかり目を通しておいてほしいぞ」


アヒャはそう言い残すと「頑張るんだぞ、アヒャ」と言いつつその場を去ったのだった。

178名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 00:55:48 ID:YHNyFybQ0

ブーンは渡されたマニュアルを呆然と見つめる。


( ^ω^)「……分厚いお」

('A`)「魔道書よりは薄い、頑張れ」

川 ゚ -゚)「あぁ、薄いな……大丈夫行けるさ」

ξ;゚⊿゚)ξ「そう言うならあんたらも覚えなさいよ」

('A`)「一応覚えるつもりだが
魔力切れした時は整備できないからな」

川 ゚ -゚)「しっかりツンも読むんだぞ?」

ξ-⊿-)ξ「うぅ……全員暗記が任務ね、了解」

( ´ω`)「暗記苦手だけど頑張るお―」


ブーンとツンの言葉にはいささか覇気がないのであった。
全員そろって馬車から降りる。
すると元気な声がかけられた。


从*゚∀从「初めまして!
ジョルジュの妹で開発部に所属しているハインリッヒです!
このたび王様からツン様とクー様のお世話と機械馬の説明を頼まれました」


その場にいた全員がある顔を思い浮かべる。
その感情を代表してブーンが前に出て尋ねる。


( ^ω^)「……格闘家の里とかサイドニアに最近行ったかお?」

从 ゚∀从「いいえ、この町から出ていませんが……どうかしたか?」

ξ゚⊿゚)ξ「いや、あなたのそっくりさんと会ってね」


その言葉を聞いてハインリッヒは不思議そうな顔をした。
そして少し考え、わずかに顔をしかめた後機械馬を触りながら言った。


从 ゚∀从「まぁ偶然でしょう
まずはこの子の説明をします」

179名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 00:59:27 ID:YHNyFybQ0

ハインリッヒはそう言うと楽しげに機械馬の説明を始める。
マニュアルには載っていないが、知っていると便利な機能を説明する。

例えば速度を変える時、手綱の持ち方を変えるだけで良い。
休ませる目安は機械馬が足を上げる高さが低くなってからで良い。
といった使うに当たって大切なことだった。

そして自分がこっそりつけた機能について説明する。


从 ゚∀从「今の魔力量じゃ無理だがもっとたくさん魔力があれば空も飛ぶ
このボタンを押すだけでいい……ちなみに飛び続ける時の消費魔力量は
ちゃんと減るから飛び続けるだけで魔力切れはないはずだ」

从 >∀从「フォルムは昔兄貴に読んでもらったペガサス風だ!
ちゃーんと馬車の方にも一緒に飛ぶように細工はしてある」

( ^ω^)「まじかお!?」

从 ゚∀从「マジなんですよ! 王子!!」


そうやって大声を出した瞬間自らの言葉遣いに気付き、はっと固まる。
ハインリッヒは少し照れたように頭をかきつつ言った。


从*゚∀从「すみません、家族が兄貴ぐらいで丁寧な言葉使いに慣れていないもので
えっとツン様はこの前宿泊した部屋で良いでしょうか?」


その問いにツンは少し考える。
そして楽しそうにハインリッヒの問いに答えた。


ξ゚⊿゚)ξ「良いわよ、ベッド広かったからクーも同じ部屋でいいわ
あなたも一緒に泊らない?」

川 ゚ -゚)「良いのか?」

从 ゚∀从「え? でも」

ξ゚⊿゚)ξ「たまには女の子同士で語り合いたいし
あの部屋広くて一人じゃ寂しいもの」

从 ゚∀从「と、とにかくご案内します、ついてきてくれ」

180名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:04:07 ID:YHNyFybQ0

ハインリッヒを先頭にツンとクーがおしゃべりをしながら城の中へ入っていく。
気が付いたら中庭から太陽が塀に隠され見えなくなっていた。
辺りはオレンジ色の明かりに包まれている。

所在なさげに立っていたドクオが体をのばしつつ声を出す。


('A`)「町に宿でもとるか」

( ^ω^)「ここに泊らないのかお?」

(;'A`)「落ち着かないしどこに泊ればいいか分からないし」
  _
(ゝ゚∀゚)「どうも、ジョルジュです
ドクオ君の案内に来ました」


そこへ頬が心なしかこけたジョルジュがニュッと現れる。
その様子にブーンが思わず声をかけた。


(;^ω^)「ジョルジュどうしたんだお?」
  _
( ゚∀゚)「怒られただけです、大丈夫です、大丈夫です」

('A`)「……あ、あの時の」


ドクオが驚いたように声を出す。
ブーンはその反応に不思議そうに声をかけた。


( ^ω^)「会ったことあったかお?」

('A`)「え? あの時お前も」


そこまで言った瞬間ジョルジュは手でパンと音を鳴らす。
ドクオが驚き発言を止めた瞬間素早く有無を言わせず腕をつかんだ。

181名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:07:55 ID:YHNyFybQ0
  _
( ゚∀゚)o彡゜「さぁ部屋へご案内します
おしゃべりは夕飯の時にでもお願いします」

(;'A`)「え、あの」


何か言いたげなドクオは半ば引きずられつつ中庭から去った。
中庭に一人残ったブーンはマニュアル本を見る。
その分量にため息を一つ出す。

何気なく顔をあげると馬車が目に入る。


(*^ω^)(これが僕らを新しい場所へ連れて行ってくれるんだお)


馬車を見るとそう心が躍るのもまた感じられる。
ブーンはとても楽しそうにしばらく馬車を見ていたのだった。



  _
( ゚∀゚)「もう王子いないな」


ジョルジュが城の中に戻りそう呟く。
ドクオは必死に来た道順の暗記をしていた。

  _
( ゚∀゚)「……お前に頼みがある」

('A`)「あっちが……なんですか?」
  _
( ゚∀゚)「なんで分かったか分からんけど
あの変装が俺だって他の人には言わないでくれ!」


そう言うとジョルジュは土下座する勢いで懇願する。
勢いに若干気圧されながらもドクオはうなずく。
その反応を見てジョルジュはほっとしたようだった。

  _
( ゚∀゚)「約束だぞ? 俺はもう王様に絞られたくないんだ!
さて部屋に案内しようか」

(;'A`)(あ、町に宿取りたいって言いそびれた)

182名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:11:26 ID:YHNyFybQ0

それぞれが部屋に案内された後、夕食をとる。
その後にツンとクーは浴室へ案内されていた。


从 ゚∀从「旅の最中じゃ満足に入れないでしょう
楽しんでくれ! 俺は機械馬の最終調整に行ってくる!!」

ξ*゚⊿゚)ξ「お風呂よー!」

川 ゚ -゚)「流石城、でかいな」


広い浴室を見てクーが感心したように声を上げる。
そして着込んでいた服を脱いでいく。
それを見たツンは密かにクーは着やせするタイプだったのかと考える。


ξ゚⊿゚)ξ(でかいわね……3年もすれば私も……)

川 ゚ -゚)「どうした?」

ξ;゚⊿゚)ξ「何でもないわ、入りましょう」


クーに声をかけられて見ていたことがばれるのが何となく恥ずかしく顔をそむける。
もう一度こっそりとクーの方を見ると背中に大きな傷跡があった。


ξ;゚⊿゚)ξ「背中大丈夫!?」

川 ゚ -゚)「これか? 故郷が襲われた時にな
……ツン、君は魔物が憎いかい?」


クーに問われ、ツンはためらいなく首を縦に振る。
その返答を見ると目を閉じて言った。


川 - -)「この傷を与えた魔物は人の形をしていた
君は信頼していた人が魔物になった時
その時はためらいなく殺せるかい?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ひ、人は魔物にはならないわ」


ツンの答えを聞いてわずかに悲しそうにクーは微笑む。
そして小さく「そうだな」と言ったのだった。

183名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:15:56 ID:YHNyFybQ0

ドクオは図書室で本を読んでいた。
食事は豪華なのは分かったがいまいち味はわからなかった。
いくつか本を本棚から引き出して座席へ持っていく。

すると虚ろな目でマニュアルを読むブーンがいた。
いまいち王子らしくない王子だなとあきれつつ声をかけた。


('A`)「おーい、大丈夫か?」

( ´ω`)「中身同じことの繰り返しだおー
変化なくてつまらんお
ドクオは何借りてきたんだお?」

('A`)「瘴気についての本
あの黒い煙がお前らにとって本当に大丈夫か気になってな」

( ^ω^)「一応聖水は飲んだお?」

(;'A`)「だが聖水だけじゃダメな気がするんだよなぁ
時々だけど聖水が効果ないときがあるから」


ドクオはそう言うと借りてきた本の一節を示す。
そこには前線で瘴気に当てられた兵士の治療の絵があった。
小さく『聖水で8割程度は回復できる』と書かれていた。

ブーンはその文を読んでロマネスクの話を思い出す。
瘴気に当てられた勇者。
正気を失った勇者。


( ^ω^)「おじいちゃんに話聞くといいお
昔魔王と戦った時に瘴気を扱ってきたらしいお」

('A`)「うーん、もう少し考えてから聞く
あの姿なき声の正体にも近づけそうだし」

( ^ω^)(そう言えばあれの正体は幽霊じゃなかったらなんだお?)

('A`)(実体がないという言い方から幽霊っぽくはある
だけどあれは幽霊じゃない
精霊は実体はあるが見えないだけ)

(;'A`)(よくわからない他の種族として思い当たるのは
後二つだけ……なんだが宗教的に
偉い人に聞くなら確証が欲しいよな)

184名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:18:29 ID:YHNyFybQ0

その時外からかすかに鐘の音が響いてくる。
ブーンにはその鐘の意味が消灯時間だと分かった。


( ^ω^)「消灯時間だからもう寝るといいお」

('A`)「消灯時間なんてあるのか」

( ^ω^)「でもみんな起きているお」

('A`)「消灯時間の意味とは」

ξ゚⊿゚)ξ「二人とも探したわよ!」


そう会話しているとツンががらりと乱暴に図書室の扉を開ける。
鎧を身にまとっていないラフなワンピースに近い姿だった。
ブーンはのんびりと振り返りながら言った。


( ^ω^)「図書室ではお静かにだお」

ξ゚⊿゚)ξ「それどころじゃないわよ!
今日すごい量の流れ星よ!」

(*^ω^)「マジかお!? 行くお!!」


そう言うと勢い良く立ち上がる。
何冊かの本が机から落ちる。
しかしブーンは気にせず走って行った。


('A`)「おい、落としたぞ」

ξ゚⊿゚)ξ「もう行っちゃったわよ
あんたも早くしなさい!!」


機嫌良くせかすツンにため息をつく。
落とした本を拾い、ひとまず机の上に置くと図書室を後にしたのだった。

185名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:21:42 ID:YHNyFybQ0

城の屋上にはこの城にいる人間がほぼ全員集まっていた。
ほとんどの人物が上を見上げている。


川*゚ -゚)「この城の人全員来たか」

( ∵)「そのようですね」

( ^ω^)「兵士さん! 兵士さんも来ていたのかお?」

( ∵)「あなた方を見て旅がしたくなりましてね」

(  ゚∀゚ )「そんなことより空をご覧ください!
あひゃひゃ! すげぇ!!」

从 ゚∀从「アニキッ! また落ちたぞ!!」
  _
( ゚∀゚)o彡゜「オッパイ! オッパイ!! オッパイ!!!」

从;゚∀从「意味わからんぞ」
  _
( ゚∀゚)o彡゜「『オれの妹に幸せいッパイ』の略だ!」

爪'ー`)y‐「お宝お宝お宝」

( ^ω^)「僕もお願いするお
えっと父さん父さん父さん!」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたの目的の一つそれだったわね
じゃぁ私は……殲滅殲滅殲滅」

川;゚ -゚)「ツン、それは怖いぞ」

( ФωФ)「討伐成功討伐成功とうばちゅっ
舌を噛んでしまった……」

('A`)「皆案外願い事あるんだな……」

川*゚ -゚)「……目的目的目的」

( ^ω^)「そう言えばクーの目的ってなんだお?」


クーの願い事を聞いたことで何気なく発せられたブーンの問いに彼女は一瞬黙る。
ツンとドクオは突然の彼の問いを驚いたように見ていた。
クーはわずかに考えた後答えた。


川*゚ -゚)「まず最初に、私の魔法は悪魔と契約した魔法だ」

186名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:27:59 ID:YHNyFybQ0

(;^ω^)(あっさり言いおったおー!!)

川*゚ -゚)「ただし、悪魔との再会まで済ませている」

ξ゚⊿゚)ξ「だからあんなに強いのね」


ツンが驚きつつも安心したように言った。
クーはその言葉に頷く。


川*゚ -゚)「再会した時、その悪魔はとても弱っていた
聞いた話によれば悪魔にも集会があるらしい」

(;'A`)「話の腰を折るようで悪いが悪魔がいまいち分からん
幽霊とかと何が違うんだ?」

( ^ω^)「悪魔は神とは反する種属の総称だお
幽霊は僕らが死んだら生じるものだお」

川*゚ -゚)「要するに悪魔は生きているか死んでいるかで言ったら生きている」

川;゚ -゚)「そしてある一定の強さを持つ悪魔は時々集会を行うらしい
その時魔王に襲撃された」

ξ゚⊿゚)ξ「魔王……」

川*゚ -゚)「魔王はそこにいた悪魔の多くを食らったらしい
私と契約した悪魔は襲撃から逃れた
だが無傷ではなかった」

川*- -)「私が見つけた時、彼は弱っていた」


彼ら4人はわずかに沈黙する。
周りでは降り続ける星に喜びを上げる声が響いている。


川*゚ -゚)「だから私は、その悪魔を宿すことにした」

( ^ω^)「あの魔力の量はそういうわけかお」

ξ゚⊿゚)ξ「?」


ツンが不思議そうな顔をして首をかしげる。
ブーンはあまりツンが魔法に詳しくないことをその様子を見て思い出した。

187名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:32:12 ID:YHNyFybQ0

( ^ω^)「宿すとその悪魔の魔力も使えるんだお
これは精霊と神様でも共通しているんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃぁ皆宿せばいいのに」

( ^ω^)「そういうわけにはいかないお
神様は何となくわかるおね」

ξ-⊿-)ξ「フフン、大勢と契約しているからでしょ?
一人を特別扱いできないっていうのはわかるわ
でも精霊はたくさんいるはずよ」

( ^ω^)「でも精霊の場合は魔法の使い分けのために
多くの場合一人が大勢の精霊と契約しているんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「そう言えば昔父様言ってたわ
『精霊の管理大変』って
なんか一人宿していたという話だけど」

( ^ω^)「その一人がよっぽど強くない限り
宿すと他の精霊は嫉妬して離れるお」

ξ゚⊿゚)ξ「なるほどね、悪魔はどうなの?」

川*゚ -゚)「悪魔は本来倒す相手だからな
しかもプライドが高いのが多い
今回のように弱ってないと大抵は宿ってはくれない」

('A`)「そういうもんなのか」

ξ゚⊿゚)ξ「魔法って興味深いわねぇ」


ツンもしっかり理解したようだった。
そのことを確認するとブーンはクーに続きを促した。


川*゚ -゚)「悪魔は助けた私を認めてくれた
おかげで死の呪いからは逃れられた」

川;゚ -゚)「だが魔王は多くの悪魔を取り込んだままだ
今のままでは魔王の魔力は手につかなくなるだろう」


クーの言葉に他の三人は頷いた。

188名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:35:41 ID:YHNyFybQ0

クーは軽く咳払いをする。
そして他の3人を見つつ言葉を発した。


川*゚ -゚)「私の目的は悪魔たちの魔王からの解放
それを達成すれば魔王の力も削げるはずだ
あともう一つあるが……」

ξ゚⊿゚)ξ「にしてもクー良くしゃべるわね」


ツンが何気なく感じたことを声にする。
クーはその言葉を聞いて不思議そうな顔をして手に持った瓶に入った液体を示す。


川*゚ -゚)「そうか? 何もやってないぞ?
風呂あがりにこの水飲んだくらいだが」

(;'A`)「……これ酒だ!」

川*゚ -゚)「なに!? 私が酔っているように見えるか!?」


ドクオの言葉にすかさず反論する。
ブーンはわずかに考えた後自分の回答を示す。


( ^ω^)「見えないけどなんか変だお」

('A`)「二日酔いじゃないから
回復呪文効かないよなぁ」

川*゚ -゚)「言っておくが酔っぱらっていても
貴様ら以外にこんなこと言わんぞ」

川*゚ー゚)「なんてったって一緒にドラゴン倒した仲だからな!」


かすかに笑いながら楽しそうに言葉を紡ぐ。
空からは相変わらず星が降り続けていた。

189名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:39:45 ID:YHNyFybQ0

その時ジョルジュがクーの持つビンを見て大きな声を上げた。

  _
( ゚∀゚)「あったぜ俺の酒!」

( ^ω^)「お前のかお」

(;∵)「クーさんあのお酒飲んだんですか? あの度数の高い?」


ビコーズが呆れたように言葉を発する。
そのことを気にも留めずジョルジュは酒を取り返そうとする。
しかしクーは持ったまま警戒して離れる。

水と認識している酒を守ろうとするクー。
酒を取り戻したいジョルジュの攻防をのんびり笑いながら眺める。
※クーはうっかり飲んでしまいましたが、未成年はお酒飲んではいけません。

その時ブーンは感じた。
クーが悪魔との契約をカミングアウトしたこのノリなら聞けると。


( ^ω^)「そう言えばドクオは白魔法使うのに
魔法について知らないお?」

('A`)「俺の契約先はさっきの『宿す』がないからな
魔力は頼めば微妙に供給してくれるしまったく知らなかった」

( ^ω^)「ふむ、そうなのかお
で、契約先はどこだお?」

('A`)「……悲鳴あげるなよ?」


わずかに考え、空を見上げた後ドクオはそう言った。
その言葉にブーンは嫌な予感を感じる。
しかしここまで聞いてしまったら止まれない。

首をブーンは縦に振る。
いつの間にかに聞いていたツンも頷いていた。

190名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:43:19 ID:YHNyFybQ0

('A`)「俺の契約先はいわゆる幽霊です」

(;^ω^)「え」

('A`)「おかげで幽霊の類はばっちり見える
あのドラゴンとの戦いとか
ドラゴンの近くに恨みがましい目をしたのがたくさんいた」

(;^ω^)「」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃぁ守護霊みたいな幽霊とか見えるの?」

('A`)「もちろん、お前らの近くというか背後にも居る
そのおかげで変装とかは俺に意味ない、背後のやつらは変わらんからな」

(; ω )「」

('A`)「この契約は守護霊がついてないと治しにくいのが欠点かな
だがそのおかげでちょっと遠距離でも回復できる」

m9('A`)「お前の後ろにもいるぞ!」

Σ(  ω )

('A`)「と言っても居たからって何をするわけではない
幽霊は基本そこにいるだけだ」

川*゚ -゚)「おい、そこ何をしている
ブーンが座ったまま寝ているぞ」


クーの言葉でドクオはブーンが気絶していることに気付く。
ブーンには結局この後の記憶がないのだった。

彼らの騒ぎなどつゆ知らず、この間も星は降り続けていた。


それは彼らの門出を祝っているようにも
彼らの行く先を暗示しているようにも見えた。

191名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:46:49 ID:YHNyFybQ0

( ^ω^)「……思い出すと昨日は失礼やらかしたお
突然聞いたり話聞いて気絶したり」


ブーンは日が高くなってから自室のベッドで起き上がる。
そして昨晩のことを思い出しつつ反省する。
流れ星でテンション上がりすぎたかなと考えた。

そして軽く頭を抱えつつ着替える。
いつでも旅立てるように目立たない格好である。

王の間の方へ向かおうとするとツンたちがある絵の前に立っていた。


ξ゚⊿゚)ξ「あ、ブーン! この絵ってブーンの家族?」

( ^ω^)「そうだお
父ちゃんと母ちゃんの絵だお」

川 ゚ -゚)「ふむ、口元と目元はそれぞれ受け継いだか」

( ^ω^)「そうだお、父ちゃんは剣騎士だったらしいお
僕は父ちゃんぐらいの剣の使い手になりたいんだお!」

('A`)「……会えるといいな」

(;^ω^)「あ、そうだクーとドクオ昨日はすまんかったお」


ブーンは慌てて謝る。
クーはその言葉に顔をうつむかせ「しゃべりすぎた」と言った。
ドクオは絵の方をぼんやり見つつ「驚かせすぎた、悪い」と言った。

ブーンも絵の方へ視線を向ける。


( ^ν^)(*‘ω‘ *)


そこには変わらない両親の眼差しがあった。
きっと会える、ブーンはそんな無邪気な希望を持つのだった。

そこへハインリッヒが彼らを見つけ、駆け寄ってくる。
そして要件を手短に伝える。


从 ゚∀从「皆さん、王様がお呼びです」

192名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:50:49 ID:YHNyFybQ0

( ФωФ)「さて、操縦法は覚えたかい?」

(;^ω^)「ま、まぁ何とかだお」

( ФωФ)「ふむ、そうか
実はな装備が完成したんだ、着てみてはくれないか?」


ロマネスクがそういうとそれぞれに装備が手渡される。

ブーンに渡されたのは今までより金属に覆われた銀の甲冑だった。
重さは不思議と感じない。
また、兜も存在しなかった。


( ФωФ)「魔法で重さを減らしておるから速度は減らんぞ
ただ、馬のおかげで兜の分の金属までは集まらんかったがな」


ツンに渡されたのはレザージャケット、グローブ、ブーツだった。
一揃いのそれらを着ると一体感を感じる。
またポケットが多く存在し麻痺毒などの薬を入れる場所にも困らなかった。


( ФωФ)「防御力は下がった
だがそれ以上の機動力と使いやすさを追求したつもりだ」


ドクオに渡されたのは白い白衣のようなロングコートだった。
持ち上げてみると案外軽い。


( ФωФ)「その生地には魔力遮断の糸が使われている
相手が魔法攻撃をしても耐えるぞ、あと丈夫な生地だから斬撃には強い」


クーに渡されたのは黒いマントとワンピースだった。
マントの方が若干生地は厚く、固い。


( ФωФ)「服は穴が開いていたからついでだ
マントは丈夫で魔力がこもる布地を使っている
魔力が増強されるから更に攻撃力上がるぞ」


各々装備すると軽く動いて動きやすさなどを確認する。
ドクオとクーに関してはただの私服だった時よりよっぽど旅にふさわしかった。

193名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:53:38 ID:YHNyFybQ0

装備と食料品などを整え、各々町での買い出しも済ませる。
そしてその荷物などを積み込んだ馬車は城の前に置かれていた。

その馬車の前でハインリッヒは別れを惜しんでいた。
一晩仲よくしたツンとクーも寂しそうにしていた。


ξ゚⊿゚)ξ「ハイン、昨日は楽しいお話ありがとう」

从 ゚∀从「この城男ばっかで寂しいからさ、また来てくれよな」

川 ゚ -゚)「面白い話を仕入れておこう」

ξ*゚⊿゚)ξ「ハインのいい話期待しているわ」

从*゚∀从「いい報告ができるよう頑張るぜ……あ、ます」

川 ゚ -゚)「気にしなくていいんだぞ? ただの修道女Cだ」

ξ゚ー゚)ξ「私の身分も元だしね」


その横でブーンがマニュアル片手に機械馬の動作点検をしていた。
マニュアルを見て問題がないことを確認し終える。


( ^ω^)「たぶん大丈夫だおー」

ξ゚⊿゚)ξ「それじゃ行きましょう」

('A`)(あれ? 兵士さんやジョルジュさんがいない?)

川 ゚ -゚)「どうした、置いていくぞ?」

(;'A`)「あ、待ってくれ」


ドクオは不思議そうにあたりを見渡していたがその言葉で慌てて乗り込む。
しばらく時間が経つとブーンが運転席に乗り込み、動き出す。

ゆっくり加速するとツンの故郷の方角へと向かって駆け出す。
その馬車はあっという間に小さくなり、見えなくなったのだった。

194名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 01:55:48 ID:YHNyFybQ0

( ФωФ)「今だ! ジョルジュ達追うである!!」


ロマネスクがそう叫ぶと一頭の機械馬が引く馬車が走り出す。
そしてブーンたちを追いかけて消えていった。

ハインリッヒは見送った後小さく呟く。


从 ゚∀从「兄貴たち頑張れよ……」


ロマネスクは一息つくと城の方を見る。
そこには慌てて出てきたアヒャの姿があった。
アヒャは困ったようにロマネスクにあるものを渡す。


(;ФωФ)「し、しまったである!!」


アヒャから受け取ったものを見てロマネスクが叫ぶ。
叫び声に驚いてハインリッヒは振り返る。
その手には四つの防護マスクがあった。


(;ФωФ)「瘴気用の防護マスクを渡し忘れたのである」

从;゚∀从「王様何やってんですかー!?」


ハインリッヒの叫びが響いたのだった。

195名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 02:04:04 ID:YHNyFybQ0

ブーンたちは今、運転席にいた。
運転席は一番前が見え、なおかつ4人とも入れるスペースがあった。
操作に慣れる目的もあり、代わる代わる運転をしていく。

ひとまず一周して今はブーンが運転していた。


( ^ω^)「まずはツンの故郷へ向かうお
道案内頼むおー」

ξ゚⊿゚)ξ「いいわよ、えっとまずはこのまま」

(=゚ω゚)ノ「ぃょぅ! おまえら!!」


突然そんな声と共に目の前にトンボの羽の妖精が下りてくる。
とっさに全員武器を構えた。

妖精はその反応に多少ビビりながらも続ける。


(=゚ω゚)ノ「なんだょぅ、せっかく俺が出てきてやったのに
俺に敵意はないょぅ」

ξ#゚⊿゚)ξ「うるさい魔物!」

(;゚ω゚)ノ「魔物じゃなくて妖精だょぅ!」

ξ#゚⊿゚)ξ「妖精なんて瘴気浴びた精霊じゃない!
理性を持っていようがいまいが魔物は魔物よ!」

( ^ω^)「……ツン落ち着くお
理性があるというのならなんでここにいるか言うお」


ツンのあまりの怒りの様子に他のメンバーは若干ビビる。
そのおかげで冷静になったブーンが尋ねた。

196名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 02:07:17 ID:YHNyFybQ0

妖精はブーンが冷静になったことに安堵したように息をついた。


(=゚ω゚)ノ「……やっと話が通じたかょぅ
俺はお前らを導く妖精だょぅ」

川 ゚ -゚)「導く? どういう事だ?」

(=゚ω゚)ノ「次行くべき場所とかを示すのが仕事なんだょぅ」

( ^ω^)「なら次はどこ行くべきだお?」


ブーンの問いに妖精は腕を組む。
そしてピーンと来たように言った。


(=゚ω゚)ノ「このまま彼女の故郷でいいんだょぅ」

('A`)「なんだ、良かった」

ξ゚⊿゚)ξ「……なら出てくる必要ないのに」


ツンは武器と怒りをおさめたが敵意を隠そうとはしない。
妖精はしょんぼりとうなだれる。
その様子を流石に憐れんだブーンが声をかけた。


(;^ω^)「えっと、君はどうしたいんだお?
旅に同行したいのかお?」

(=゚ω゚)ノ「そうだょぅ! たのむょぅ!!」


妖精は手を合わせて懇願する。
その妖精の頼みに四人は顔を見合わせる。
お互いの意見を聞きたそうな表情だった。

妖精は彼らの返事を不安そうな面持ちでひたすら待っていた。

197名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 02:10:58 ID:YHNyFybQ0

しばらく経ってからクーが口火を切った。


川 ゚ -゚)「私はその翅で部屋に入ってこなければいい」

('A`)「妖精は敵意があるってあまり聞かないから
俺は別にいいと思う」


まず魔物に対して敵意をそれほど持っていない二人が意見を言った。
ブーンは少し考えた後に言う。


( ^ω^)「怪しい部分があったら放り出すお」

(=゚ω゚)ノ「分かったょぅ」


妖精は伺うようにツンの方を見る。
ツンはわざとらしく大きくため息をつくと言った。


ξ゚⊿゚)ξ「皆がそう言うなら……勝手にしなさい」

(=゚ω゚)ノ「ありがとうだょぅ!」


ツンは機嫌が悪そうに乱暴に扉を開け、運転室から出ると部屋へ戻る。
ブーンはそれを見て少し困ったように言った。


( ^ω^)「できる限り彼女の前には姿を現さないでほしいお
えっと……妖精さん」

(=゚ω゚)ノ「俺はぃょぅだょぅ、わかったょぅ」


こうして移動手段の機械馬とやけに広い馬車。
ちょっと変わった新しいメンバーを加えた一行は進むのであった。

次なる目的地、ツンの故郷へと。

198名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 02:16:14 ID:YHNyFybQ0

爪'ー`)「まったく、なんで俺がこんなことを」


フォックスが文句を言いながら機械馬の手綱を握る。
その後ろでビコーズが呆れたように言った。


( ∵)「サイドニアの治安組織に突き出さないだけましですよ」

爪'ー`)「……ま、そうだな」


ジョルジュはビコーズがフォックスをサイドニアを出る直前に捕まえてきたときのことを思い出す。

ビコーズは「手紙を盗んだ犯人」とフォックスのことを言った。
フォックスは諦めたように肯定し、サイドニアの治安組織だけは勘弁してくれと懇願した。
ジョルジュはそれを聞いて許す条件を一つ出した。

それはすなわち、ブーンたちのアシスト隊に入ること。

フォックスもまたブーンたちが何をなすのか気になっていた。
また、厳しいことで有名なサイドニアの治安組織に捕まりたくはなかった。
そのため即座に了承したのだった。


爪'ー`)「あーぁ、隙を見てカギ盗ろうと思っていたのに
動力源じゃ無理だな」
  _
( ゚∀゚)「ま、あきらめなって」

( ∵)「……ジョルジュさん、なんでこいつ引き入れたんですか?」


ビコーズが不満そうに声を上げた。
ジョルジュは少し考え込んだ後に言った。

  _
( ゚∀゚)「こいつは手紙読んだ時『無理だ』とは思わなかった
勘だったらしいがな」
  _
( ^∀^)「俺らと一緒だ!」


ビコーズはジョルジュの言葉にため息をついてしまう。
しかしその口元はわずかに笑っていたのだった。

199名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 02:17:34 ID:YHNyFybQ0

〜第0章 反撃の始まり〜

           了

200名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 02:28:18 ID:YHNyFybQ0
  _
从 ゚∀゚从 まずかつらをかぶります。

从∀゚ 从 かつらの前髪を降ろしたりして眉毛を隠します。

从∀゚ 从 妹からは『似ててキモイからやめろ』って言われた。



第0章終わりです、はい、やっと終わりです。
正直乙が多くて内心ビビったりしていますが力となっています。
時々考えている話で満足させられるか不安になります。

もちろん完結させて見せます。
ちなみに前回のあれはゼルダです、正解です。

前回までと比べペースが遅くなったと思ったそこのあなた、正解です。
ですがしっかり書き溜めはしています。
ご安心をしてください。


ブーンたちの馬車はでかいキャンピングカーをイメージしていただけたら楽かもしれません。
それではおやすみなさい。

201名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 02:33:02 ID:Tfo/VGAY0
おつ

202名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 08:14:28 ID:K0brxPxo0
女装ワロタ乙

203名も無きAAのようです:2014/11/03(月) 22:10:09 ID:w35rlA720
乙、いいねいいね

204名も無きAAのようです:2014/11/27(木) 14:59:17 ID:1c4syGhg0
おつ!

205名も無きAAのようです:2014/11/29(土) 21:49:03 ID:Yd37TuN60
アシスト隊が気になるww
おつ!

206名も無きAAのようです:2015/02/18(水) 03:48:29 ID:Tmojq0r20
まだー?

207名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 22:24:12 ID:UFLVQn1o0

( ^ω^)「時間的には朝だけど瘴気しか見えないお」


ブーンが硬いベッドから起き上がると自室の窓から外を眺めつつ呟く。
この窓は一応開くらしいが使う機会はあるのだろうかと考える。
瘴気の向こうの低い位置に明るい物が見えたような気がした。


( ‐ω‐)「案外馬車の旅は快適だお
まさか馬車のトップスピードなら魔物がついてこれないとは」


そう呟き遠くの空を見る。
鳥の魔物の群れの影が見えた。

彼は瘴気のない空を恋しく感じた。

208名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 22:26:54 ID:UFLVQn1o0

第1章

第7話 馬車の旅、好きと嫌い

209名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 22:29:39 ID:UFLVQn1o0

ブーンが瘴気のない空に思いをはせていたとしても空腹は感じる。
その欲求に従い、フラフラと食堂へ向かった。
おやつぐらいないかなと期待しての行動だった。


(=゚ω゚)ノ「何か用かょぅ!」


普段は操縦部屋にいる妖精が食料庫の前で陣取っていた。
ブーンは顔をしかめつつ聞く。


( ^ω^)「なんでここにいるお?」

(=゚ω゚)ノ「……運転の担当がだれか考えてみろょぅ」


そう言われてブーンは納得の声を上げる。
そして少し考えてから言った。


( ^ω^)「あそこにツンがいるのは分かったお
でもなんでこの場所にいるんだお?」

(=゚ω゚)ノ「クーに頼まれたんだょぅ」

川=゚ω゚)ノ「『居場所がないのか?
なら勝手に食べる奴が居ないよう見張れ』って」

( ^ω^)「……そうかお」

(=゚ω゚)ノ「改めて何の用だょぅ
何か食べたいなら今日の食堂担当のクーに頼むんだょぅ」

(;^ω^)「……なぜわかったお?」

(=゚ω゚)ノ「食堂に入ってきて
食料庫に直行するやつの目的なんて一つだょぅ」


ぃょぅの単純明快な答えにブーンは沈黙する。
そして苦笑いを浮かべつつ食堂を出たのだった。


(=゚ω゚)ノ「……図星かょぅ」

210名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 22:32:42 ID:UFLVQn1o0

クーはノックの音で魔道書から顔をあげる。
そして「用なら入れ」という声を机の前で腰かけたまま発した。


( ^ω^)「失礼しますお」

川 ゚ -゚)「ブーンか、何の用だ?」

( ^ω^)「何か食べ物が欲しいなと……
何を読んでいるんだお?」


ブーンに問われ、クーは手に持っていた魔道書を見せる。
しかしそれを見せられてもブーンは不思議そうな顔をした。


( ^ω^)「黒魔法だと呪文は命令じゃなかったかお?」


ブーンの言う通りこの世界での黒魔法はほとんど口頭での命令である。
魔力の許容量以内で達成可能な命令ならば魔法として発動できる。
仮に許容量をオーバーしてしまう命令を行ったら倒れてしまうといった具合だった。

ドラゴンとの戦いで動けなくなったのは魔力消費量の蓄積で許容量を軽く超えてしまったためである。
意識を失うほど超えてはいなかったのは幸いであった。


川 ゚ -゚)「普通の魔法ならばそれで良い
だが強い魔法を使おうと思ったら細かい命令が必要でな
詠唱に時間がかかる」


そこまで言うとブーンに魔道書を見せた。

211名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 22:35:39 ID:UFLVQn1o0

川 ゚ -゚)「そこでドクオに白魔法みたいに黒魔法も短縮できないか訊いた」

( ^ω^)「ふむふむ、それで?」

川 ゚ -゚)「単純なものなら何度も使えば発動が速くなるらしい
それ以外だと昔『魔方陣』なる物が研究されていたと教えてくれた」


そう言うと持っていた魔道書のあるページを開く。
そこには不思議な模様が描かれていた。

大きな円の中に少し小さな円があり、その間には文字が描かれていた。
そして小さな円の中には二つの三角形でできた星があった。


川 ゚ -゚)「どうやら発動した魔法を封じ込めるというイメージらしい
この魔方陣を使えばあらかじめ封じた強い魔法が使える。
そして面白いことにトラップが可能になる」

( ^ω^)「踏んだら発動とかかお?」

川 ゚ -゚)「そうだ、トラップならうまいこと隠さなくてはいけないが
トラップでなくても呪文を聞かれてとっさにかわされることが無くなる
それにこの呪文という名の命令が無いと少し楽だしな」

( ‐ω‐)「うーんやっぱり魔法は奥が深いお」


ブーンはとても楽しそうにクーの魔方陣の意味などの説明を聞く。
その様子があまりに楽しそうなのでクーは尋ねた。


川 ゚ -゚)「魔法は好きなのか?」

( ^ω^)「才能はないけど大好きだお
下手したらごはんと同じくらい好きだお」

川 ゚ -゚)「そうか……ブーン安心しろ」

川 ゚ー゚)「魔法は40から使えるようになることもある」

( ^ω^)「本当かお!?」


ブーンはクーの言葉に嬉しそうに声のトーンを上げて返したのだった。

212名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 22:40:32 ID:UFLVQn1o0

ブーンはクーから魔方陣の理論について聞き終わると部屋を後にする。
結論として、彼の興味とは裏腹に彼女の話の半分も理解できなかった。
しかし理解できた話で呪文より細かいこともできるという話には驚かされたのだった。


(;^ω^)「そう言えば食べ物頼み忘れたお」


そう呟き戻ろうかと思案する。
しかし窓から外を見ると光が高い位置にあり、もうすぐ昼食だと分かる。
もう少し誰かと会話して時間をつぶせば昼ごはんと考えた。

その時食堂でぼんやりとしているドクオが目に入った。
彼が見ている先をできる限り見ないようにしつつ尋ねる。


( ^ω^)「……居るのかお?」

(;'A`)「いちいち俺が宙を見ていたら不安に思うなよ
居ないから安心しろ」


そう言うと意識するのをやめ、安心したように息をつく。
それを見てドクオは不思議そうに尋ねた。


('A`)「なんで魔物や精霊は恐れず幽霊は恐れるんだ?
あいつらはただそこにいるだけだぞ」

( ^ω^)「うーん……たぶん分からないからだお
精霊や魔物は悪戯とか攻撃が目的だお
でも何もやってこずにただ居るなんて不気味だお?」

('A`)「あー、確かに
何時もせず近くに居るだけの人がいたら怖いな」


ドクオはブーンの言葉に納得したようにうなずく。
その様子を見て付け加えるように言った。


( ^ω^)「あと魔物は剣で殺せるお
精霊は見える人には叩かれたりしているお
幽霊にそれはできるお?」

('A`)「普通魔力使えば話せはするがそれはできんな」


ドクオの言葉にブーンは顔を若干蒼くさせた。

213名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 22:44:38 ID:UFLVQn1o0

(;^ω^)「やっぱり倒せないのかお……」

('A`)「殴れないから怖いという感じか」


ドクオはどこか納得した様子で呟いた。
その言葉にブーンは頷く。


('A`)「まぁ俺も幽霊慣れているしそんなに注視することは無い
だからぼんやり宙を見てても安心してくれ」

( ´ω`)「なんかすまんお、でもこればっかりは怖いんだお」

('A`)「じゃぁおまえに安心させる言葉を一つ
この中には俺らの守護霊的なもの以外の霊はいない」


その言葉にしおれたブーンの顔に覇気が戻る。
安心したようでいつもの表情に戻るとほっとしたように言った。


( ^ω^)「それは良かったお」

('A`)「守護霊的なのは平気なんだな」

( ^ω^)「よくわからんけど
僕がドクオの回復の恩恵得られるのは
その人がいるからだお」

( ‐ω‐)「それに『守護』ってついているからには
僕を守ってくれているお
感謝する謂れはあっても恐れる謂れはないお」

('A`)「……俺がいるって言った時」

(;^ω^)「あ……あれは言い方にビビっただけだお
それにしてもお腹へったお」


ブーンはそう言うと立ち上がる。
そしてクーのところにご飯の催促へ行ったのだった。




( ^ω^)
好きなもの:食事、魔法
嫌いなもの:苦いもの、幽霊

214名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 22:51:41 ID:UFLVQn1o0

ツンは真顔のまま鼻歌を歌い、手綱を握る。

魔物に落とされた街とは言え今向かっている先は故郷だ。
何が残っているか楽しみではある。
その一方で何もなかったらどうしようと不安でもあった。


ξ゚⊿゚)ξ「地図だと今はここら辺で
私の町はここだから……少し右かしら」


地図と羅針盤を見ながらつぶやく。
周りに見えるのは瘴気の霧と廃墟だけだった。
そのため地図に記された街などはあまり参考にできない。


( ^ω^)「ツーン! ご飯運んできたお!」

ξ゚⊿゚)ξ「あ、ありがとう」


勢いよくブーンが手に皿を乗せて操縦室に入ってきた。
ツンはそんな彼に対し素直にお礼を言う。

昔、父に「精霊は素直じゃないと見えない」と言われたため人に対し素直になろうとしていた。
だが、今も昔見えた精霊の姿は見えなかった。


ξ゚⊿゚)ξ「はぁ……」

( ^ω^)「どうかしたのかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「精霊見たいなって」


ブーンはツンの言葉を聞きつつ食事の乗った皿を渡す。
メニューはスパゲッティである。
野菜などがバラバラな大きさで切られて入っていた。


ξ゚⊿゚)ξ「クーの作る料理はなんというか豪快ね」

(;^ω^)「厨房覗いたら魔法で焼いたり切ったりしていたお」

ξ;゚⊿゚)ξ「なるほど、料理当番二順目の時天井焦げていたのはそれが理由ね」


しかし味はしっかりとしておいしい。
ツンはブーンに運転を任せるとそれを食べ始めた。

215名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 22:56:38 ID:UFLVQn1o0

( ^ω^)「ツンは精霊に会いたいのかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「小さいころは見えたからね
お父様がすごい精霊使っていたのが印象的なのよ」

( ^ω^)「そう言えば宿していたって言っていたおね」


ブーンは運転しながら会話をする。
ツンはスパゲッティをフォークに巻きつけながら言った。


ξ゚⊿゚)ξ「昔突然見えなくなって、お父様に相談したら言われたの
『精霊は素直じゃないと見れない』って」

( ^ω^)「素直なだけで見えたら僕も見れるお」

ξ゚⊿゚)ξ「確かにね、性格以外の要因もあるのかしら」

( ^ω^)「うーん……ツンは精霊のことは好きだおね」

ξ゚ー゚)ξ「うん、魔法とかは使おうとは思わなかった
でもきれいな花とかで遊ぶ精霊を見ているのが好きだった」

ξ゚⊿゚)ξ「だからこそまた精霊に会いたいんだけどね」


最後は少しさみしそうに言った。
ブーンは運転を続けつつ言った。


( ^ω^)「午後の運転は僕の担当だお
代わるからお皿を返したり頼むお」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、ありがとう」

( ^ω^)「それと、きっとまた会えるお! 精霊に!」


ブーンの言葉にツンは驚きの表情を漏らす。
ツンはそしてかすかに笑うと操縦部屋を出たのだった。

食堂にいたぃょぅは操縦室からツンが居なくなったことを確認する。
すると定位置である操縦部屋の中へ戻っていった。
ツンはそれをできる限り見ないようにしたのだった。

216名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 23:12:05 ID:UFLVQn1o0

('A`)「お前ら同じ船の中なのに空気悪い」

ξ;゚⊿゚)ξ「な、何よいきなり」


食堂で食べ終わったにもかかわらずぼんやりとしていたドクオはそう声をかける。
ツンはそれに対し少したじろぎ、考えると言った。


ξ゚⊿゚)ξ「仕方ないじゃない
あれは魔物よ……私の敵よ」

('A`)「敵意はないから別にいいじゃないか……」

ξ゚⊿゚)ξ「敵意があってもなくても魔物は魔物なの」


似たような問答を少し繰り返した後軽くため息をつく。
そしてらちが明かないと判断したのか空気を換えるように質問をした。


('A`)「お前の魔物嫌いは分かった
それ以外に苦手なものとかあるのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「うーん、幽霊は何もしないから怖くないし
虫だって故郷失ってから山の中だったから平気」

ξ;゚⊿゚)ξ「えっと、あれ?
憎しみ強すぎて忘れちゃった?
何かすっごい怖いことが……」


ツンは慌てて答えを考える。
その様子にドクオは「そこまで考えなくても」と呟く。
そしてツンはひらめいたように言った。


ξ゚⊿゚)ξ「分かった! 私が苦手なものは毒よ!
格闘家の里の時以来毒調合してないもの」

(;'A`)「あーあの時遅くてすまんな」


ドクオは若干申し訳なさそうに言う。
ツンはそれに対して気にする風もなく返す。


ξ゚⊿゚)ξ「別にいいわよ、助けてくれたんだし」

217名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 23:16:14 ID:UFLVQn1o0

ドクオは二人を発見した時のことを思い出す。


('A`)「俺は矢が飛んできて気づいたから
お前自身が自分たちを救ったようなもんだろ」

ξ゚⊿゚)ξ「え? 矢?」

('A`)「そう、お前の矢」

ξ;゚⊿゚)ξ(あの気絶する前、私は矢を放っていない
私が放った矢で気づいたならもう少し早くてもいい
と言うことは誰か別の人がいたのかしら?)


ツンはドクオの言葉で必死に考える。
しかしいくら思い出しても人の気配などなかった。


ξ゚⊿゚)ξ(……情報が無いわね、このことは置いておくために話題を変えましょう)

ξ゚⊿゚)ξ「そう言えばあんたの魔法について知っておきたいんだけど
どこまでの距離なら回復してくれるとか」

(;'A`)「唐突に変わるな……範囲か?
他の白魔法と一緒で視認できるなら可だ
ただし俺の場合本人じゃなくても守護霊が見えれば治せる」

ξ;゚⊿゚)ξ「範囲すごい広いじゃない」

('A`)「ドラゴン戦で初めてやったけどな
だけどあれはダメだ、魔力が倍近くかかる」


ドクオはそう言うと手をひらひらとさせる。
そして「できる限りダメージ受けないでくれ」と言った。
ツンは少し考えた後に尋ねる。


ξ゚⊿゚)ξ「あの変な呪文は自分で考えたの?」

('A`)「……はい」


ドクオはツンの問いに消え入りそうな声を返した。

218名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 23:18:49 ID:UFLVQn1o0

('A`)「白魔法はそれ用の本に書き込んで契約主に効果や仕組みを覚えてもらう
神様とかと契約しているのはもう書き方が決まっているらしい
そしてその時に呪文も設定する」

ξ゚⊿゚)ξ「たくさん契約しているから揃えているのね」

('A`)「そうだな、おかげで『回復魔法Lv1』とか分かりやすい
俺みたいに個人で精霊とかと契約している場合はそう言うのが無い」

(;'A`)「書き方が公開されてないせいで皆独学だ
精霊は数があるから本とかにまとまっているが俺は本気の独学」

ξ゚⊿゚)ξ「へぇ、使える魔法はどうやって増やすの?」

('A`)「経験を積めば覚えられる呪文の数が増える
だけど薬師みたいに切れた腕をくっつけたりする呪文は存在しない
だからお前らそんな致命傷を受けないように気をつけろよ?」


ツンはそれを聞いて少し考える。
そして顔をあげると言った。


ξ゚⊿゚)ξ+「前向きに検討いたします」

('A`)「それ考えないってことだろ」


ドクオの突込みにツンは軽く笑う。
そして「分かったわ」と言うと食堂を出て行ったのだった。



ξ゚⊿゚)ξ
好きなもの:精霊、買い物
嫌いなもの:魔物、毒

219名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 23:23:58 ID:UFLVQn1o0

黄昏時の日差しが霧の向こうにわずかに見える中、クーは一人部屋にいた。
そして自らのジュエリーボックスから石を取り出す。

それはイミテーションの宝石だった。
偽物とは言え、その輝きは本物以上である。
瘴気を通った夕日の赤い光を浴びてキラキラと輝く。


ξ゚⊿゚)ξ「クー? 入るわよ」

川 ゚ -゚)「ツンか、どうした?」

ξ゚⊿゚)ξ「今日のお風呂のことなんだけど」

ξ;゚⊿゚)ξ「ってすごい量の宝石、魔法に使うの?」

川 ゚ -゚)「イミテーションだ、集めているのは趣味だ」


そう言うとツンに石を見せる。
光が乱反射して目がくらみそうになった。


ξ゚⊿゚)ξ「ずいぶんキラキラしているのねぇ」

川 ゚ -゚)「キレイだろ?
親が生きていた時分にはガラスのかけらを持って帰って怒られた」

ξ゚⊿゚)ξ「……親御さんは魔物に?」

川 ゚ -゚)「ただの事故だ、おかげで孤児院行き
その流れで修道女やっていた」


クーはそう言うとにやりと笑う。
そして「だから悪魔との契約に抵抗もなかった」とだけ言う。

ツンは小さく「へぇ」と声を上げた。


ξ゚⊿゚)ξ「私いまいち宗教が分からないのよね」

川 ゚ -゚)「親御さんは教えてくれなかったのか?」

ξ-⊿-)ξ「両親はどっちかと言うと精霊を信仰していたわ
親戚のおじさんは『祈る間があったら狩れ』っていう人だったし」

220名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 23:26:08 ID:UFLVQn1o0

川 ゚ -゚)「……すごいおじさんだな」

ξ゚⊿゚)ξ「お世話になっていたホライゾン国も無宗教国だったしね」

川 ゚ -゚)「では教会について説明しよう
本部はホライゾン国よりずっと北の方にある
瘴気を超えた川の上流だな」

ξ゚⊿゚)ξ「そう言えばモララーさん船に乗ってきたわね」

川 ゚ -゚)「そして教会の人で偉いのは『6人長』と言うやつらだ
文字通り6人からなるらしい」

川;゚ -゚)「だが、私はアラマキ殿しかお見受けしたことが無い」

ξ゚⊿゚)ξ「アラマキ?」

川 ゚ -゚)「あの地区を管理しているという6人長の一人だ
称号は騎士長、そしてあのモララー殿は若かったが
聖騎士の称号はおそらくアラマキ殿の跡目だろう」

ξ゚⊿゚)ξ「何を信じているの?」

川 ゚ -゚)「神様だ……この世界と人を作った神らしい
そして悪魔と対立している種族らしい
彼と契約すると魔法が使える」

ξ゚⊿゚)ξ「らしいが多くてあやふやね」


クーの説明にツンがそう感想を漏らす。
その言葉にクーはかすかに笑みを漏らす。


川 ゚ー゚)「確かにあやふやだ
もしかしたら祈っている神様は
遠くから見て本物にそっくりなだけかもしれない」

川 ゚ -゚)「これのようにな
だが、偽物でも十分な人は十分なんだよ」


クーはそう言うとツンにイミテーションの宝石を示す。
その表情はどこか楽しげだった。

221名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 23:29:32 ID:UFLVQn1o0

川 ゚ -゚)「炎よ……なんだぃょぅか
てっきり虫かと思って燃やしかけたぞ」

(;゚ω゚)ノ「怖いこと言わないでくれょぅ」


夜の操縦部屋にクーは少しの間だけ運転を頼まれてやってきていた。
そして影から翅だけが見え、虫だとクーは思ったらしい。
深く息を吸って吐くと言った。


川 ゚ -゚)「すまないな、虫は苦手なんだ」

(=゚ω゚)ノ「なんでだょぅ?」

川 ゚ -゚)「昔は平気だった」

川;゚ -゚)「だがある時捕まえた蝶をまじまじと見たんだ
たくさん寄り集まった複眼、腹に生えた細かい毛
翅の鱗粉、足の節……とかな」

川 ゚ -゚)「そしたら気持ち悪くてだめになった」

(=゚ω゚)ノ「おぉう」

川 ゚ -゚)「他の虫なら大丈夫かと思って観察した
トンボ、ハエ、ムカデ、ダンゴ虫
ここら辺でこれ以上見たらだめだと気づいた」

川;゚ -゚)「だが、まじまじと見た所為か
夢の中で巨大な虫に襲われてな
それですっかり」

(=゚ω゚)ノ「なんというか、ご愁傷様だょぅ」

川 ゚ -゚)「好奇心猫をも殺すの意味を知ったよ」


クーはそう言うと困ったように笑った。
ぃょぅも苦笑いを浮かべる。


川 ゚ -゚)「そう言えばお前は魔物だったよな
聖水は大丈夫なのか?」


クーはふっと思いついたように尋ねた。
その手にはいつの間にかに無職透明な水の入った瓶があった。

222名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 23:32:45 ID:UFLVQn1o0

(=゚ω゚)ノ「聖水は精霊だった時は美味しく飲めたょぅ
でも最近は飲んでないょぅ」

川 ゚ -゚)「飲んでみてはくれないか?」


ぃょぅはそう言われて聖水に手を伸ばす。
そして何口か飲んだ後に言った。


(=゚ω゚)ノ「普通に美味しいょぅ」

川 ゚ -゚)「そうか、味は変わらないか
瘴気を聖水で払うから何かしらあると思ったんだが」


その言葉にもう一口と含んだ聖水を吹く。
そして焦った様子で尋ねる。


(;゚ω゚)ノ「さらりと試したのかょぅ!?」

川 ゚ -゚)「ついでに聖水処分だ
ちなみにほかのメンバーにも黒い煙の浄化と言って飲んでもらった」

(=゚ω゚)ノ「お前は?」

川 ゚ -゚)「悪魔を宿した身で神の水を飲めと?
ついでに言うと臭いだけでダメだ
聖水なんて大嫌いだ」

(=゚ω゚)ノ「影響しっかり出てるょぅ……元修道女だったんじゃないのかょぅ」

川 ゚ -゚)「煩いな、
ちなみに結果はブーンとツンがうまい、ドクオがまずいだった」

(=゚ω゚)ノ「神の性質じゃない魔法使うとまずいのかょぅ」

川 ゚ -゚)「かもしれないな」


クーはそう言うと羅針盤とにらめっこをしながら手綱を握る。
早く本来の当番こないかなと考えつつ。



川 ゚ -゚)
好きなもの:光り物、魔法開発
嫌いなもの:虫、聖水

223名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 23:36:14 ID:UFLVQn1o0

ドクオが操縦部屋に戻る。
そこには転寝しているぃょぅと地図を睨みつけるクーがいた。


('A`)「悪い、今戻った」

川 ゚ -゚)「む、待っていたぞ
まさかまだ食っていないとは思わなかった」

(;'A`)「あー、本読んでるとよくあるんだよな
飯忘れたり約束に遅れかけたり」


そう申し訳なさそうに言うと運転を代わる。
クーはその言葉を聞くと小さく「フム」と言った。


川 ゚ -゚)「勉強が好きなのか?」

('A`)「いや、白魔法の本じゃなくて普通の本
伝説まとめたやつとか小説とか」

川 ゚ -゚)「伝説で面白いものはあったか?」


クーの問いに手綱を離さず考える。
しばらくするとこう答えた。


('A`)「この世界の創世記かな」

川 ゚ -゚)「神話の神がこの世界を作ったという話か」

('A`)「いや、ある辺境の山間の村にだけ伝わる話だ
その話では神だけではなく
精霊、亡霊、悪魔も協力してこの世界を作ったらしい」

川 ゚ -゚)「……それは面白いな
だが、人間がいない」

('A`)「人間は全てを混ぜて作られた中間種らしい
だからすべての種族と契約できるんだとよ」


ドクオの言葉にクーは興味深そうに「ふむ」と声を出す。

224名も無きAAのようです:2015/02/20(金) 23:47:54 ID:UFLVQn1o0

('A`)「興味があるなら貸すぞ?
俺の部屋の机の上だ」

川 ゚ -゚)「そうだな、寝る前に借りるとしよう」


クーはそう言うと操縦部屋を出ようとする。
そして気が付いたように尋ねる。


川 ゚ -゚)「ところでその神話における亡霊とはなんだ?
何の霊なんだ?」

('A`)「そんなの決まっている
他の種族の霊だ」

川 ゚ -゚)「では……悪魔の霊は見えるか?」

('A`)「……今のところは見えない
精霊の霊なら見たことある」

川 ゚ -゚)「ふむ、悪魔は死んでいないということなのか
では魔物はどうだ?」

('A`)「魔物は見たことないな」


クーはそれを聞いてひとまず興味が満たされたようだった。
何度もうなずく。
そして思い出したように言った。


川 ゚ -゚)「そう言えばぃょぅにとって聖水の味は変わらなかったらしいぞ
興味深い話の礼の情報だ」

('A`)「……マジか
瘴気に当てられたら瘴気を払える
聖水への耐性も変わると思ったんだが」

川 ゚ -゚)「面白い仮説だったがちがったな」

(#-ω-)ノ(飲まされたのはお前の所為かょぅ)


ぃょぅが密かにドクオに怒りを覚えたことは彼しか知らない。
クーは悪魔の霊がいないという話にどこか安心しつつ操縦部屋を出たのだった。


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