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( ^ω^)きっとよくある冒険譚のようです

1名も無きAAのようです:2014/10/13(月) 23:59:31 ID:t2pLqBbw0
彼らの世界には剣がある。
彼らの世界には魔法がある。
そして、彼らの世界には敵がいる。

だが、彼らの旅は自発的なものではない。


それでも彼らは駆け抜けるだろう。

2名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:03:59 ID:cXCXCZcY0
ああああああああああああ
僕の……僕の腕が!!


('、`;川「落ち着け!」

(;ФωФ)「そうである、すぐに良くなるである!」

从'ー';从「落ち着いて調合して……今から塗るから」


あああああああああああああ
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


『ムダだ、お前らごときにこの器は救えん』

(#ФωФ)「黙るである!」

从;ー;从「ふぇぇぇ治らないよぉ」

('、`*川「落ち着いて調合しなおすのよ」


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイ
イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ


('、`;川「これ以上寄るな!
ロマネスク、用意はいいか? 時間を稼ぐぞ!」

( ФωФ)「『炎の精よ、わが剣に宿れ』いつでも良いのである!」

从;ー;从「万能回復剤はダメ……止血剤なら……」

『勇者、格闘家、魔法剣士、そして薬師よ』

('、`*川「彼らに近づくな!」

( ФωФ)「吾輩たちを倒してから、グフッ」

从'ー'从「あ、血が止まった
後は回復剤を……」


ありがとう、だいぶ楽になったよ。


从'ー'从「今この薬で腕をくっつけるから」

3名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:07:13 ID:cXCXCZcY0
('、`*川「グハッ」


大丈夫!?
ロマネスクも君もボロボロじゃないか!


('、`*川「……いいのを一発貰っただけよ
ロマネスクは?」

(//ФωФ)「……吾輩もだ」

从'ー'从「うぅ、私が回復に時間かかったから……」

『この場所まで来たのはお主たちが初めてだ、褒めてつかわそう』


二人とも明らかに一発じゃないし……。
早く腕をくっつけて!
剣が持てない!!


从'ー';从「切り口に瘴気が……聖水ある?」

(//ФωФ)「ペニサスのカバンに確か」

('、`*川「これよ、さっさと回復させなさい」

『だが、この世界は私のものだ』

从'ー'从「やった、くっついたよ!」


ありがとう、これで戦える。
そして魔王よ、この世界はお前の物にならないぞ!

4名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:10:50 ID:cXCXCZcY0
『腕が繋がったくらいで勝てるとでも?』


あぁ、そうだ!
それに僕は一人じゃない!


『ボロボロの体で何ができる?
 見れば薬師の薬もほとんど尽きているではないか』

(//ФωФ)「失礼な、まだまだ行けるぞ?」

('、`*川「そうよ、二本の足で立っていて腕が振るえる
私はそれだけで戦える」







『では薬師に問おう、瘴気は完全に払えたか?』

从'ー'从「え? それってどういうこと?」

『こういう事だ』


魔王が指を鳴らす音が響く。








その音は嫌に耳元に響いた。

5名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:13:35 ID:cXCXCZcY0








あれ? なんで?


从 ー 从「……信じていたのに」


僕の手が真っ赤なの?


( 、 *川「……目を覚ませ……」


あれ? どうして?


(  ω )「……堕ちたか……勇者よ」


皆は倒れているの?


『これで二人きりになったな、勇者よ』


どうして、どうして、どうして




どうして僕の剣はみんなの血で赤いの?


『これで、世界が救えるとでも?』


あ……あぁ……あああ……

うわぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

6名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:18:45 ID:cXCXCZcY0
かつて魔王に挑んだメンバーの生き残り、ロマネスクは過去を思い出す。

無意識のうちに顔を触る。
目にある傷はそのままで、髪は白く、顔にはしわが刻まれ年月を感じた。
そして手元の手紙へ視線を落とした後呟く。


( ФωФ)「応援部隊に助けられた時にあった物
それは死にかけのわが身と二人の骸
そして勇者の剣と魔王の抜け殻だけだった」

( +ω+)「勇者に刺され、吾輩は気絶した。
その時何があったのか、吾輩は知らぬ」

( ФωФ)「だが、魔王は吾輩たちが残した
罠にようやく気付いた
だからこのような要求をしているのだろう」

( +ω+)「『あの時の子孫たち』に世界のカギを
持ってさせろなどという要求をな」


ロマネスクはそう言うと手紙を持ち上げる。
彼はもしもの時のために仲間と世界のカギと言われたものを7つに分け、隠したことを思い出す。


( ФωФ)「だが、これはチャンスでもある。
彼らが世界を救ってくれると信じる他ない」

(;ФωФ)「問題があるとしたら4つはそれぞれの
故郷にある……残りの3つは……」

(;+ω+)「……ダンジョン作ってその中心部
しかも子孫は見つけたものの渡辺さんと勇者の故郷は
すでに魔物に襲われ廃墟でカギはなかった」

( ФωФ)「いやー参った参った
……まぁどうにかなるだろう」

(*ФωФ)「吾輩の孫のブーンならばな!」


ロマネスクの自信に満ちた高笑いが夜の城内に響いた。
王冠の赤い石の輝きだけがそれを見ていた。

7名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:21:09 ID:cXCXCZcY0


〜第0章〜

第1話 始まりの記憶と運命が始まる時

8名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:24:16 ID:cXCXCZcY0

さわやかな風が吹く。
その風は若干の土臭さを運んでくる。

もうすぐ雨が降るのかもしれない。
布の服を身にまとい森の中の開けた場所で転寝をしつつ彼はそう考える。
その体格は大きくガッシリとしたものであった。
しかしその顔は柔和な雰囲気を出していて、眠いため眼は細かった。

彼は起きようと思ったが眠気には勝てない。

もう少し寝てからでもいいだろう
と意識を再び闇にゆだねようとする。

  _
( ゚∀゚)「王子、起きてください! 王子!!」

( ^ω^)「……なんだお?」


彼は同年輩の騎士の声で起き上がると体をのばす。
眠いせいかその動きはゆっくりであった。
その騎士の手には軽鎧が一着あった。

  _
( ゚∀゚)「王が呼んでいましたよ、ほら、ブーン王子早く鎧着て」

( ^ω^)「おじいちゃ……おじいさまがかお?」


そう言われて動きやすいように金属が減らされた鎧を着る。

ブーンは動きやすくするためと聞いていた。
だがそれ以外の理由もあると知っていた。

金属の量が減っているのだった。
理由は簡単、鉱山が魔物の手に落ちたためであった。

9名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:24:46 ID:lEkYcsh.0
支援

10名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:28:34 ID:7hpwPhEA0
いつのまに
しえん

11名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:29:20 ID:cXCXCZcY0

ギャーギャーと鳥の鳴き声がする。
空を見上げると異様に大きいカラスが空を飛んでいた。
目の色がにごり、翼に赤い羽根が入っていて魔物だとわかる。


( ^ω^)「ついにこの国にも攻めてきたのかお?」
  _
( ゚∀゚)「それだと周りの国が落ちたってことになりますね」

(;^ω^)「そんな知らせはないお……理由はなんだお?」
  _
( ゚∀゚)「サボりがばれた?」

( ^ω^)「……確かにさぼってたお?
でもそれは他の騎士みんなが相手してくれないからで」
  _
( ゚∀゚)「王子速いですし一撃が重いんですもの!」


あれくらいの魔物が空を飛んでいることには慣れていた。
この世界は魔物の手に落ちつつあった。

幸いにもこの国と周辺の国は無事であった。
だが、他の国はほとんど落とされていた。
落とされた国の人々は奴隷、もしくは食料としてやり取りされているという。


何時落とされるか分かったものではない。
怖い、諦めてしまいたい。
だが抵抗をやめたら待つのは死である。

それは嫌だった。

人々はどこか諦めつつも抗い続けていた。


ブーンは魔物が飛んで行った空を見つめる。
その様子を見て先を進んでいた騎士は足を止めた。

  _
( ゚∀゚)「王子はやっぱり嫌ですか?
魔物に支配されるのを待つのは」

( ^ω^)「嫌に決まっているお
それに僕は瘴気のない風が好きだお」


そう言うとブーンは視線を前に戻し歩き出した。
彼らが見上げた空を魔物の群れが飛んでいた。

12名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:33:13 ID:cXCXCZcY0
ξ゚⊿゚)ξ


皮の鎧を身にまとい、翼をあしらった弓を背負った金色の巻き髪。
顔立ちは整っていて目に入ったら思わず目で追ってしまうだろうと思える。

ブーンが王の間に入るとそんな少女がいた。
年のころはブーンとあまり変わらないように思えた。


( ФωФ)「来たか、ブーンよ」

( ^ω^)「何か御用ですか?」


ロマネスクは周りを見るとブーンを連れてきた騎士を見つける。
そして彼の方へ向かって言った。


( ФωФ)「ジョルジュよ、下がってよいぞ」


そう言われて胸に手を当て一礼するとジョルジュは去る。
ツンとブーンと自分以外がこの空間にいないことを確認すると言った。


(*ФωФ)「もう固くならなくていいぞ」

( ^ω^)「お、そうですかお
ところでおじいちゃんこの人は誰ですかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「私はツン=デレと申します」

( ФωФ)「ツンちゃんも固くならなくっていいよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「しかし、仮にも一国の王子」

( ^ω^)「僕はブーン=ナイトー=ホライゾンっていうお
こんなにかわいい子なら呼び捨てで構わないお」

ξ///)ξ「か……かわいいだなんて初対面相手に!」

(*ФωФ)「そうそう、その調子、仲よくするである」


ロマネスクは嬉しそうに言った。
そして笑みをけし、神妙な面持ちになると言葉をつなげる。


( ФωФ)「二人に頼みがあるのである」

13名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:36:37 ID:cXCXCZcY0

ロマネスクの言葉に二人は彼の方へ体を向ける。
彼は軽く咳払いをすると言った。


( ФωФ)「まずはツン、お主の祖母の妹は『渡辺』で相違あるまいな?」

ξ゚?゚)ξ「はい、ありません」

( ФωФ)「そうか、ならば問題あるまい
私はかつて若いころ旅をしておった
あのころは魔物の侵攻が始まったばかりであった」

( ФωФ)「旅の仲間は薬師の渡辺、格闘家のペニサス
魔法剣士だった吾輩、そして勇者」

( ^ω^)「勇者?」

( ФωФ)「……名前が思い出せないのである
ただ彼が勇者だったこと、それだけは覚えているのである」

ξ゚?゚)ξ「……そのことと私がどのような関係が?」

( ФωФ)「まぁ待て、今から続ける
旅の途中、吾輩たちは魔王退治を頼まれた
そして魔王と会った」

( ^ω^)「倒せたのかお!?」

ξ゚?゚)ξ「今の状況を考えなさいよ……」

( ФωФ)「吾輩たちは負け、渡辺とペニサスは死に
勇者は剣を遺して消えた
吾輩は様子を見に来た救助の騎士団に助けられた」

( +ω+)「やつは吾輩たちを退けた後本格的に
侵攻をはじめ、あっという間にここまで来た」

( ФωФ)「今、向こうの侵略が止まっているのは
吾輩たちが旅の途中あるものを7つに砕いて隠したおかげである」


ロマネスクはそう言うと王冠から赤い石を外す。
その石は不思議な輝きを持っていて見るものを惹きつけた。
赤く光っているようにも見え、その明かりは揺らめいていた。

14>>13やり直し:2014/10/14(火) 00:43:17 ID:cXCXCZcY0

ロマネスクの言葉に二人は彼の方へ体を向ける。
軽く咳払いをすると言った。


( ФωФ)「まずはツン、お主の祖母の妹は『渡辺』で相違あるまいな?」

ξ゚⊿゚)ξ「はい、ありません」

( ФωФ)「そうか、ならば問題あるまい
私はかつて若いころ旅をしておった
あのころは魔物の侵攻が始まったばかりであった」

( ФωФ)「旅の仲間は薬師の渡辺、格闘家のペニサス
魔法剣士だった吾輩、そして勇者」

( ^ω^)「勇者?」

( ФωФ)「……名前が思い出せないのである
ただ彼が勇者だったこと、それだけは覚えているのである」

ξ゚⊿゚)ξ「……そのことと私がどのような関係が?」

( ФωФ)「まぁ待て、今から続ける
旅の途中、吾輩たちは魔王退治を頼まれた
そして魔王と会った」

( ^ω^)「倒せたのかお!?」

ξ゚⊿゚)ξ「今の状況を考えなさいよ……」

( ФωФ)「吾輩たちは負け、渡辺とペニサスは死に
勇者は剣を遺して消えた
吾輩は様子を見に来た救助の騎士団に助けられた」

( +ω+)「やつは吾輩たちを退けた後本格的に
侵攻をはじめ、あっという間にここまで来た」

( ФωФ)「今、向こうの侵略が止まっているのは
吾輩たちが旅の途中あるものを7つに砕いて隠したおかげである」


ロマネスクはそう言うと王冠から赤い石を外す。
その石は不思議な輝きを持っていて見るものを惹きつけた。
赤く光っているようにも見え、その明かりは揺らめいていた。

15名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:47:33 ID:cXCXCZcY0

( ФωФ)「これは元は1つの『世界のカギ』だった
私たちはこれから力を借りつつ戦っていた」

( +ω+)「魔王が求めていたものがこれだと分かり
私たちは7つに砕いて隠した。
4つはそれぞれの故郷に、3つは迷宮の中心部に」

ξ;゚⊿゚)ξ「私の、いえ、渡辺の故郷は魔物の侵攻により
廃墟となりました、大丈夫なのですか?」

(;ФωФ)「兵士に探させたが見つからなかった
で、続きなのだが」


ロマネスクはそこまで言うと息を吸う。
そしてある一通の手紙を取り出す。
そこには魔物の旗印の刻印があった。


( ФωФ)「ここにある魔王からの手紙で
吾輩たちのメンバーの子孫に世界のカギを
持ってこさせろという命令が来た」

(#^ω^)「魔王からの手紙なんて無視すればいいお!」

ξ#゚⊿゚)ξ「そうよ! なんで言いなりに」

( +ω+)「持ってこなかったらすべての奴隷を食う
そう書かれていた」

( ^ω^)「え?」

ξ゚⊿゚)ξ「それって」

( ФωФ)「あぁ、ツンの国の人々も含まれている
戦いに出て捕まった私たちの国の者もな」


その言葉にツンとブーンは沈黙した。
魔王の言葉に従っても従わなくても多くの命が失われることが予想できた。

16名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:52:09 ID:bZczKZww0
わくわく

17名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:54:50 ID:cXCXCZcY0

ロマネスクは目を閉じつつ言った。


( +ω+)「今、魔王は魔王の城から動かない
そして城の守りは堅牢で侵入もできない」

( ФωФ)「その魔王がお前たちが世界のカギを
持ってきたらお前たちを中に入れると言っている」

( ^ω^)「魔王の首を狩れたら」

( ФωФ)「魔王軍の瓦解が狙える
ただし失敗したらカギを奪われて
私たちの敗北は決定する」

ξ゚⊿゚)ξ「一発逆転のチャンスという訳ね」


ロマネスクは二人に赤い石を差し出す。
そして強い語気で言った。


( ФωФ)「迷宮はつらいだろう
石の所在も分からないものがある
それでもやってくれるなら石をとれ」


ブーンとツンは顔を見合わせた。
ブーンはツンが大丈夫か不安だったからだ。
ツンはその様子を見てためらうことなく言った。


ξ゚⊿゚)ξ「その役割お受けします
薬師渡辺の子孫ツン、精進いたします」

( ^ω^)「……僕も受けるお
魔法剣士ロマネスクの孫ブーン、その役割果たすお」

( ФωФ)「二人とも、ありがとう」


ロマネスクはそう言うと二人に2通の手紙を渡す。
石とともに二人はその手紙を受け取る。


( ФωФ)「まずは川辺の町サイドニアに行くといい
そこに勇者の子孫が保護されている」

18名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 00:58:35 ID:cXCXCZcY0
ξ゚⊿゚)ξ「どうしてその人が子孫だと?」

( ФωФ)「勇者は若いころに子供を
作って苦労したらしい
その子供の名は覚えていた」

( ^ω^)「子孫の名前と……あの、保護ってことは」

( ФωФ)「名前はクー、故郷はお察しの通りだ」

ξ;゚⊿゚)ξ「カギの所在が分からないパート2」

(;ФωФ)「言わないでくれ
まぁそこから船で川を渡って
対岸にある山の中の里へ行ってくれ」

( ^ω^)「あ、知っているお
確か格闘家の里があるおね」

( ФωФ)「ペニサスの故郷がそこだ
そこにカギはある
子孫は探してくれ」

ξ゚⊿゚)ξ「でも事情を話したところで
保護している人や親が
すんなり信じてはくれなさそう」

( ФωФ)「そのための吾輩からの手紙だ
それぞれ保護している人と里の長に渡してくれ」


ここまでの会話でブーンはあることに気が付く。
そしてそのことの質問を行うことにした。


( ^ω^)「……一ついいかお?」

( ФωФ)「なんだい?」

( ^ω^)「その二人への説得は?」

( ФωФ)「君たちでやってくれ
手紙を読んだ人が快く送り出してくれるかもしれないが」

ξ;゚⊿゚)ξ「場合によっては無理にでもってことかしら」

( ФωФ)「そうなるな」


ロマネスクはしれっと言い切った。

19名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:02:09 ID:1cLgXU6g0
支援

20名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:02:35 ID:cXCXCZcY0

ロマネスクは二人から視線を外す。
そしてどこか遠くを見ながら言った。


( ФωФ)「お前たちが仮に断ったとしたら
その時はケツをひっぱたいてでも行かせた」

(*ФωФ)「だが了承してくれた
そのことが吾輩はとてもうれしい!」

(;^ω^)「なーんかやる気なくなるお」

ξ;゚⊿゚)ξ「まぁ引き受けたし人質は見過ごせないけど」

( ФωФ)「今日はゆっくり休んで明日出るといい
あ、メンバーが全員そろった時と
石が全部揃った時はここに戻ってくれ」

( Фω+)「良いものを用意しておくである」


ロマネスクはおちゃめにウインクした。
ブーンとツンは顔を見合わせたのだった。

21名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:08:12 ID:cXCXCZcY0

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと良いかしら」

( ^ω^)「何だお?」


王の間から退出した後、ブーンはツンに呼び止められ足を止める。
ツンはブーンをしばらく見た後尋ねた。


ξ゚⊿゚)ξ「なんであの時すぐに返事をしなかったの?」

( ^ω^)「僕が受けたらツンさんは断りにくくなるお
僕は引き受けるつもりだったしどっちでもよかったお」

ξ゚⊿゚)ξ「呼び捨てでいいわよ
気遣いありがとう
でもそこまで気を回さなくていいわよ」

( ^ω^)「分かったお
それじゃぁまた明日だお」

ξ゚⊿゚)ξ「待って、まだ話は終わっていないわ」


ツンの言葉にブーンは自室へ向かいかけた足を止める。
そして不思議そうにツンを見た。


ξ゚⊿゚)ξ「あんた、戦えるの?」

( ^ω^)「一応この城での身分は騎士だお」

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと手合わせを頼めない?
一応これから一緒に旅をする仲間として
実力を把握しておきたいのよ」

( ^ω^)「分かったお
じゃぁ闘技場があるからそこへ案内するお
そこなら訓練用の武器もあるお」


ブーンはそう言うと「ついてくるお」と言って歩き出す。
ツンはその後を追ったのだった。

22名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:12:28 ID:cXCXCZcY0
闘技場は木張りの床と高い天井のある部屋だった。
部屋の隅には雑多に訓練用の武器や案山子が積まれている。


( ^ω^)「ここだお」

ξ゚⊿゚)ξ「剣、槍……確かにいろいろあるわね」


ブーンに案内されてツンは訓練用の武器をまじまじと見る。
ほとんどが木製で当たっても痛いだけであった。
ブーンは木の剣を手に取り、軽く振る。

ツンの方を見ると矢に当たる部分に布のまかれた矢を持っていた。
そして何かを探している様子だった。


( ^ω^)「弓は自前でいいお」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、そうなの」


そう言うと背負っていた弓を取り出す。
そして構えつつ言った。


ξ゚⊿゚)ξ「いつ始めれば……」

( ^ω^)「えっと、誰かいないかお!?」
  _
( ゚∀゚)「呼ばれて飛び出てどうかされましたか?」

( ^ω^)「ジョルジュ、手合せの合図をしてほしいお」
  _
( ゚∀゚)o彡゜「分かりました、では始め!!」

(;^ω^)「早いお! ってうぉ」


ブーンがジョルジュに突っ込みを入れている時、目の前を矢が通る。
ツンのいたずらっぽい笑みを見る限りわざと狙ったらしい。


ξ゚ー゚)ξ「戦場じゃ油断が命取りよ?」

(;^ω^)「う……分かっているお」


ブーンはそう言うと剣で飛んでくる矢を叩き落とす。
ツンは意外そうな顔をした。

23名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:16:17 ID:cXCXCZcY0

ξ゚⊿゚)ξ「なかなかやるのね、王子様」

( ^ω^)「今度はこっちの番だお!」


ブーンはそう言うとツンへ駆け寄る。
そして大きく剣を振りかぶる。
ツンはそのわきを潜り抜け弓矢を構えて放つ。

剣を外したブーンはツンを見てかわす体勢に入る。
肩にかすったものの放った矢をかわすことができた。
そして矢を放った直後次の矢へ手を伸ばしたところで木の剣を突き付けた。


ξ゚⊿゚)ξ「……もう少し距離を取るべきだったわね」

( ^ω^)「僕の勝ちだお―」

ξ-⊿-)ξ「残念だけど引き分けよ」


ツンの言葉にブーンは不思議そうに見る。
腰につけたカバンから薬を取り出す。


ξ゚⊿゚)ξ「普段は即効性の麻痺毒を塗っているの
相手はいつも当たった直後動きが鈍るから
その癖で至近距離で撃とうとしちゃったのね」

(;^ω^)「なるほど、そうかお
でも効きにくい相手もいるから
できる限り距離は取った方がいいお」

ξ゚⊿゚)ξ「気を付けるわ
あなたは速攻で決めようとしているわね」

( ^ω^)「戦いはさっさと終わった方がいいお
だからできる限りさっさと倒そうと動くのかもしれないお」

ξ゚⊿゚)ξ「騎士なんだから速攻だけはダメね
防御も考えないとだめよ」

( ´ω`)「うぅ、気を付けるお……」


ブーンは多少しょんぼりしつつ応えた。
しかし彼らは知っているのだろうか。
三つ子の魂百まで、癖がそう簡単に変わらないことを実感するときが近いことを。

24名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:20:21 ID:cXCXCZcY0
次の日二人はフードつきのマントを羽織り、青い空の下にいた。
その手には旅に必要なものを入れた袋があった。


( ФωФ)「二人とも、武器は持ったか?
お金は? 手紙は? 野営用のテントは?」

( ^ω^)「大丈夫だお」

ξ゚⊿゚)ξ「いざとなったら野宿もできます」


ロマネスクは二人の軽快な返事に頷く。
そして目を閉じる。


( +ω+)「あの時倒せていれば、今でもそう思う時がある
だが、今その『もし』を考えていても仕方がない」

( ФωФ)「魔王は強い、だからできる限り強くなってくれ
倒せなくても良い、おじいちゃんとしては生きていれば良い」

( ^ω^)「……そんなわけにはいかないお」

ξ゚⊿゚)ξ「そうよ、私たちが引き受けたのは」

ξ゚⊿゚)ξ^ω^)「「魔王を倒すまでだから(だお)」」


二人は自然と息があっていた。
それを見てロマネスクは嬉しそうに目を細めたのだった。

そして思い出したように旅立つ二人に言った。


( ФωФ)「二人とも、この使命は内緒な
世界を見る旅をしているとでも答えておけ
そしてブーン、お前は身分を隠せ」

( ^ω^)「ホライゾン国王子という身分をかお?」

( ФωФ)「仲間は別にいいが世界中の人がいい人ではない
誘拐する人も魔王に取り入ろうとする人もいる」

ξ゚⊿゚)ξ「確かに侵略されていない国の中で
ここは一番の大国ですからね」

( ^ω^)「分かったお! ツン、行くお!」

( ФωФ)「……気を付けてな」

25名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:23:50 ID:cXCXCZcY0
町を出て早一時間。
二人は旅のつらさを実感していた。
魔物に襲われたのだった。


ξ゚⊿゚)ξ「侵略されていないとは言っても
町以外には居るのね」

( ^ω^)「前線の兵士さんたちも
こんな雑魚には構っていられないらしいお」


彼らの前には3匹のゴブリンがいた。
身長は1メートルにも満たない程度だろう。
尖った耳、しわくちゃな顔と体、緑色の皮膚を持っている。
そして申し訳程度に布をまとった存在。
それがゴブリンであった。

各々棍棒を持っていて、敵意を持って彼らに振りかざしていた。

二人とも武器を構え距離を詰める。

ツンは弓に毒を塗った矢をセットし、ゴブリンに当てる。
ゴブリンの右目にそれは直撃する。
痛みに呻きつつゴブリンは棍棒を振るう。

次の矢を手に取りながら少し下がってそれをかわす。
そこへ別のゴブリンが後ろから襲いかかる。
痛みを感じた瞬間そのゴブリンはタックルを受け吹き飛ばされる。

ブーンはタックルをかましたスピードに乗ったまま3匹目のゴブリンに切りかかる。
そこへ片目を負傷したゴブリンががむしゃらに殴りかかってくる。
左腕にこん棒を食らい3匹目に攻撃を加えることなく下がる。

1匹目のゴブリンが手ごたえからブーンを確信し、襲ってくる。
毒で身動きが鈍っており、ブーンは無事かわせる。

その空ぶったゴブリンをツンが狙い撃ちする。
眉間に矢は突き刺さり1匹目のゴブリンは倒れる。

次の矢を構えようとしたツンを狙って弾き飛ばされたゴブリンが迫る。
ブーンは今度はきっちり剣を構えて突撃する。
ゴブリンの腹部に剣が刺さり、ゴブリンは倒れる。

3匹目のゴブリンは仲間2匹がやられたのを見て逃げ出す。
背を向けたゴブリンを見逃さずツンが麻痺矢を放つ。
ゴブリンは足をもつれさせ転ぶ。

そこへブーンは近づき、剣をその喉元へ突き立てた。
その剣に躊躇いはなかった。

26名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:28:12 ID:cXCXCZcY0

(;^ω^)「い、痛いお」

ξ;゚⊿゚)ξ「だから少しは防御考えなさいと」

(;^ω^)「そっちだってもう少し距離を……」


傷を負った部分に軽く揉んだ薬草を貼りつけつつ二人は話す。
しばらく沈黙が続く。
軽く手合わせをした際にお互い突撃癖があるのは何となく感じていた。

そしてお互いにため息をつく。


ξ゚⊿゚)ξ「まぁお互いに特攻癖は治らないわよね」

( ^ω^)「治らないから癖っていうお」

ξ゚⊿゚)ξ「サイドニアはどこ?」

( ^ω^)「この草原超えて
あの丘を越えた先だお」


そういってブーンが指示した先には草の地平線。
そして小さくでっぱりが見えた。


ξ゚⊿゚)ξ「……何日くらい歩きそう?」

( ^ω^)「三日だお」

ξ;゚⊿゚)ξ「そのくらいなら薬草も食糧も持つわね
にしても、平原で野宿って初めてだわ」


そう言うとツンは立ち上がる。
薬草を貼っていた場所はすっかり治っていた。


ξ゚⊿゚)ξ「ブーン歩ける?」

( ^ω^)「大丈夫だお」


ブーンは立ち上がるとさっき攻撃を受けた腕を動かして見せた。
それを見てツンは頷く。

27名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:30:54 ID:cXCXCZcY0

ξ゚⊿゚)ξ「じゃぁ行きましょう
そして薬草を買いだめしましょう」

( ^ω^)「クーさんが白魔法使えたらありがたいおね」

ξ゚⊿゚)ξ「『勇者』の子孫、どんな人かしら」

( ^ω^)「今は会って話すのを楽しみにするお」


二人はのんびりと喋りながら歩き出す。
各々の武器をしっかりと握りしめながら。
一人で無言で歩くのはつらいだろうが二人ならつらくなかった。

緑の地平線はまだまだ先だった。






(=゚ω゚)ノ「……」


一つの小さな影が現れる。
トンボのような透明な羽のある妖精のようだった。


(=゚ω゚)ノ「……彼らでいけるのかょぅ?」


二人がゴブリンと再び相対し、傷だらけになっているのを眺めつつ呟いた。
小さなため息をついたのち再び身を隠したのだった。

28名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:34:23 ID:cXCXCZcY0

( ФωФ)「……行ったか」


ブーンとツンを見送った後ロマネスクは呟く。
そして王の間に戻り、部屋の中をうろうろし始める。
若干眉を顰め心配そうに呟く。


( ФωФ)「大丈夫かな、二人とも
心配だな、なんか心配だな
そもそもちゃんと会えるの?」

( +ω+)「何か不安になってきたな
うーん、手紙を書けって言えばよかったである」

( ФωФ)「そうだ、心配なら見守ればいいんだ
おい! ジョルジュ!!」


ロマネスクが呼ぶと訓練中だったジョルジュが慌ててやってきた。
その手には木製の槍があった。

  _
( ゚∀゚)「王、何の御用ですか?」

( ФωФ)「お前に密命を言い渡す」


密命と聞いてジョルジュは姿勢を正す。
ロマネスクは満足そうにうなずくと言った。


( ФωФ)「ブーンたちを見守り逐一報告せよ
また、魔物に襲われかけたら救え
そしてばれるな」
  _
(;゚∀゚)「相変わらずの心配性」(了解しました)

( ФωФ)「逆だ逆、だって孫が心配なんだもの」
  _
( ゚∀゚)「分かりました、ヒャッホウ町だ!」

( ФωФ)「……見失うなよ?」


ロマネスクの念押しにジョルジュは軽く「了解しました」と答える。
そして手早く荷物をまとめるとブーンたちの後を追ったのだった。
久しぶりの国の外に胸を躍らせながら……。

29名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:42:23 ID:cXCXCZcY0
以上で第1話終了です。
このような夜遅くに申し訳ありませんでした。

そして支援がもらえるとは思っていませんでした。
とてもうれしかったです。

これは一応王道を目指しています。
0章分は書きあがっているのでこれっきりはありません。

それではおやすみなさい。

30名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:43:49 ID:1cLgXU6g0
期待するおつ

31名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:49:28 ID:IYN4G2RE0

楽しみだ

32名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:50:36 ID:dFTkgVlM0
支援

33名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 01:53:39 ID:dFTkgVlM0
今後どうなるか楽しみだ
乙−

34名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 07:19:57 ID:CMXvPnyE0
いちおつ
期待してる

35名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 08:07:16 ID:sEXmlgao0
勇者系の完走率

36名も無きAAのようです:2014/10/14(火) 17:26:42 ID:ExUd6hJ2O
ω・)乙。まだあんまし強くないのね

37名も無きAAのようです:2014/10/15(水) 17:49:31 ID:bJlqWtEg0
調子に乗った結果書き溜めが1話分がかけた。

書きたいから書くんじゃ……という訳で第2話投下開始。
なお、投下が止まったら夜中に投下再開します。

38名も無きAAのようです:2014/10/15(水) 17:50:43 ID:bJlqWtEg0

( ∵)「現在サイドニアは立ち入り禁止です」

( ^ω^)゚⊿゚)ξ「え?」


ブーンとツンは声をそろえて門番にそう言っていた。
二人の荷物の薬草はすでに底をつきつつあった。

39名も無きAAのようです:2014/10/15(水) 17:52:02 ID:bJlqWtEg0

第0章
第2話 集いゆく役者たち

40名も無きAAのようです:2014/10/15(水) 17:54:31 ID:bJlqWtEg0

( ∵)「もし対岸に渡りたいのなら
船着き場はこの城壁を沿っていけば行けます」

ξ゚⊿゚)ξ「薬草は」

( ∵)「対岸の町でお願いします」

( ^ω^)「食料は」

( ∵)「対岸の町でお願いします」

ξ゚⊿゚)ξ「何で入れないの?」

( ∵)「現在疫病が流行っており、その封じ込めのためです」


そう言われて二人は耳を澄ませる。
確かに活気ある声はしなかった。
ただ、何かの低いうなり声はした。


( ^ω^)「……仕方ないお」

ξ゚⊿゚)ξ「せっかくクーって人と会えると思ったのに」

( ∵)「……クーさんですか?」


兵士はそう言うと腕を組み、少し考える。
そして頷き「来客ならいいか」と呟いたのち言った。


( ∵)「彼女なら今教会にいます
教会は城壁の外なので入れますよ」

( ^ω^)「お、行ってみるお!
行き方教えてくれお!」

41名も無きAAのようです:2014/10/15(水) 18:00:06 ID:bJlqWtEg0
教えられた教会はほぼ廃墟と言っても差支えなかった。
人の気配はなく、屋根の十字架は傾いていた。
壁は黒ずんでおり、ところどころ穴が開いていた。

二人はその教会へ入る。
その扉は壊れており、扉としての意味をなしていなかった。

二人は中央に置かれている何かの像の元へ近づく。
そしてその足元を言われた通りノックする。
するとその像の足元の一部が押し上げられた。


爪'ー`)「何か用かい?」

( ^ω^)「人に会いに来たお」

ξ゚⊿゚)ξ「入れてくれるとありがたいわ」


顔を出した男にそう声をかける。
男は中に声をかけると言った。


爪'ー`)「入ってきな」


男がそして下へと潜っていく。
ブーンたちがそこを見ると梯子があった。
二人が入ったことを確認すると「閉めてくれ」という指示が飛ぶ。

ツンは梯子に足をかけたまま蓋をずらす。
裏手に持ち手がついており、一応動かしやすいようになっていた。

彼女がふたを閉めると世界は暗闇に包まれる。
暗い中足探りで梯子を下りていく。


( ^ω^)「いたっ」

ξ゚⊿゚)ξ「あ、踏んだ? ごめん」

爪'ー`)「落ちるなよ?」


やがて足は堅い感触を感じる。
どうやら床に着いたようだった。
降り立つと男は言った。


爪'ー`)「ようこそ、サイドニアの秘密基地に」

42名も無きAAのようです:2014/10/15(水) 18:03:40 ID:bJlqWtEg0

そこには町になかった活気があった。
それは複数の明かりで照らされた地下の町であった。
家こそ簡素なものであったが市場などはきちんと機能していた。


( ^ω^)「……薬草とか買えそうだお」

爪'ー`)「あー、買い物はサイドニア人じゃないとダメなんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「こんな地下じゃもの限られているしね」

爪'ー`)y‐「ところで、誰に会いに来たんだい?」


男は煙草を取出しつつ尋ねる。
タバコと言っても火はついていない。
手に持ったり口にくわえたりして口さみしさを紛らわせているようだった。


( ^ω^)「クーという人だお」

爪'ー`)y‐「クー、あぁデミさんのところで保護されている」


そう呟くとひときわ大きな家を指さした。
どうやら病院をやっているらしい、けが人が入っていくのが見えた。


爪'ー`)y‐「あそこだ」

ξ゚⊿゚)ξ「ありがとうございます、最後に名前を」

爪'ー`)y‐「俺の名前なんて聞いてどうするんだい?
名前はフォックス、しがないサイドニア人さ」

( ^ω^)「フォックスさん、ありがとうございますだお」


礼をして二人はその大きな家へ向かった。
フォックスはそれを見送りつつ呟く。


爪'ー`)y‐「……あのガキの方、鎧が高級品だった
良いところのお坊ちゃんかな
ちょーっと探るか」


フォックスはそう呟くと音もなく人の中に紛れる。
その気配は一瞬にして人の波にのまれていった。

43名も無きAAのようです:2014/10/15(水) 18:06:54 ID:bJlqWtEg0

ブーンとツンがその家に入ると受付があった。
そこで自分たちの「クーに会いたい」という要件を伝える。
受付の人は少し困ったようにある場所へ連絡した。



しばらくすると白衣の男性が現れる。
白髪交じりの髪で頭頂部には肌が見えつつあった。


(´・_ゝ・`)「初めまして、デミタスと言います
クーに何の御用でしょうか?」

( ^ω^)「クーさんを保護している人かお?」

(´・_ゝ・`)「そうですが」


その返事を聞いてブーンはロマネスクからの手紙を手渡す。
デミタスはそれを受け取ると小さく驚く。
ホライゾン国の紋章で封がしてあったためである。

そして中の手紙を読む。
驚きに目を見開いたのち二人を見た。


( ^ω^)「……なんて書いてあるんだお?」

ξ゚⊿゚)ξ「さぁ?」

(;´・_ゝ・`)「君たちみたいな若い子が……」

(´・_ゝ・`)「後で話をしよう
私が話をしておくから薬草や食料を買ってくるといい」

ξ゚⊿゚)ξ「良いんですか?」

(´・_ゝ・`)「あぁ、今の世界を見て回るには必需品だろう」


二人は素直に喜びを表す。
デミタスはそんな二人を見て悲しそうな顔になった。


(´・_ゝ・`)「……こんな子供を呼びつけて、魔王は何をしたいんだ」


その呟きは喜ぶ二人の耳には入らなかった。

44名も無きAAのようです:2014/10/15(水) 18:11:55 ID:bJlqWtEg0
( ^ω^)「しっかり買えたお」

ξ゚⊿゚)ξ「これで格闘家の里までは持つわね」


二人は物品の補給を終えてホクホクと言った様子だった。
現在地はデミタスの家、最後の腕にけがを負った人が診察を終えて帰って行った。


(´・_ゝ・`)「待たせたね、まずはクーに会わせよう
その前に一つ約束してくれ
今から見るものについてこの町で口外しないと」


デミタスはそう言うと二人をある一室へ導く。
扉をノックした後に入る。

そこには大勢の人が寝ていた。
そしてその人々の姿は異様だった。

人の耳や腕が失われ、獣となっているものが大勢いた。
その人たちは呻き、どこかへ腕をのばしたり突然叫び声をあげたりしていた。


(´・_ゝ・`)「……これが疫病だ
安心してくれ、人から人へは移らない」

ξ;゚⊿゚)ξ「人が獣の魔物みたいになっている……」

(;^ω^)「大丈夫なのかお?」

(´・_ゝ・`)「えぇ、クーは無事だ
ただ二つの事情によりここから出ないだけ」


その時奥の部屋から雷の音が響いた。
そっちの方をデミタスは申し訳なさそうにみていた。


(´・_ゝ・`)「一つは足の怪我、これは時間が経てば問題ない
もう一つは」


そう言うと扉を開ける。
そこは白い四角い部屋で、中央に足に包帯を巻いた長い黒髪の女性がいた。
年のころはブーンたちよりも少し年上と言った感じだった。
そして彼女の目の前には黒こげになった一つの塊があった。


(´・_ゝ・`)「……理性を失った患者たちの殺害をやってもらっているからなんだ」

45名も無きAAのようです:2014/10/15(水) 18:17:16 ID:bJlqWtEg0

川 ゚ -゚)「……誰だい? 君たちは
見たところ患者ではなさそうだな」

( ^ω^)「ホライゾン国から来たブーンと言いますお
えっとその」

ξ゚⊿゚)ξ「一緒に旅をしてくれないかしら
あ、私の名前はツンよ」


ツンのド直球な言葉にクーは顔をわずかにしかめる。
そして少し考えた後尋ねた。


川 ゚ -゚)「どういう意味だ? なぜ私が行かねばならない?
私は足をけがしていて動けないんだが……」

ξ゚⊿゚)ξ「あなたのおじいさん『勇者』さんでしょう?」

川 ゚ -゚)「……確かに『勇者』と言われている
何故それを知っている?」

( ^ω^)「おじいちゃんが調べたからだお
君が行かねばならない理由は、それが命令だからだお」


ブーンはそう言うと祖父達が昔魔王と戦ったこと。
その時世界のカギを割ったこと。
当時の祖父たちの子孫に世界のカギを持ってこいと魔王が言っていること。
それをしなかったら魔王は奴隷たちを殺すこと。
そしてあえて従う狙いなどを伝えた。


川 ゚ -゚)「……勝てる見込みは薄いぞ?」

( ^ω^)「それでもやるしかないんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「勝てる見込みが現状ではそれ以外ないからね」


ツンの言葉にクーは「確かに」と呟く。
そして人差し指をこめかみに軽く当てながら目を閉じて考える。

やがて、その目を開くと答えた。

46名も無きAAのようです:2014/10/15(水) 23:00:14 ID:Obu87lXA0
ブーンが後に下りるべきだろうスカート的に考えて支援

47名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 01:22:33 ID:1V96W0eE0
川 ゚ -゚)「私も魔王は気に食わんから協力したい
だが、この足では私が黒魔法使いでも足手まといだ
加えてここで世話になっている恩を返したい」

川 - -)「すまないが、先に他の一人に当たってくれ」

( ^ω^)「……つらくないのかお?」


ブーンは疑問に思って尋ねる。
クーは魔物になったとはいえ人を殺し続けているのだ。
ブーンたちにとってあまり「人が魔物になる」というのは馴染みがなかった。


ξ゚⊿゚)ξ「そもそもこの人たちって魔物なの?」

川 ゚ -゚)「魔物の定義を瘴気に当てられた結果とするなら違う
定義を理性なく、襲ってくるものとしたら魔物だ」

( ^ω^)「瘴気……かお」


ゴブリンなどの魔物は土からできていた。
瘴気に当てられた土が魔物を作るのである。

他にも瘴気に当てられた野生動物が魔物になるという報告があった。
空を飛んでいる魔物の多くは元はカラスなどの野鳥であった。

そして今までヒトが魔物になった話など聞いたことがなかった。
それは理性が瘴気に打ち勝つからだと言われていた。

そしてクーの言葉からこの病は瘴気が原因ではなさそうだった。


( ^ω^)「……理性をなくしたら殺し続けて、それでいいのかお?」


ブーンはクーに改めて尋ねる。
クーは顔色一つ変えずに言った。


川 ゚ -゚)「構わない、彼らを放置して他の多くの命が失われては意味がない」

川 ゚ー゚)「それに私には目的がある
それを果たす過程で受けた恩は返すべきだ
これは恩返しの一環だからいいんだ」


かすかに笑いながら言ったのだった。
彼女のその目に迷いはなかった。

48名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 01:29:37 ID:1V96W0eE0

ブーンたちは一晩の宿を借りた後この地を発った。
デミタスは相変わらず白い部屋で座り込むクーに尋ねた。


(´・_ゝ・`)「見送らなくてよかったのか?」

川 ゚ -゚)「彼らはまた来るでしょう
永遠の別れではありません
だから別に良いのです」

(´・_ゝ・`)「……本当に良かったのか?」


彼女は手元の本から目を離さず応えた。
だが、改めて尋ねられた問いにクーは顔を上げる。
どうやらデミタスの問いの真意を量っているようだった。


(´・_ゝ・`)「着いて行かなくてだよ」

川 ゚ -゚)「今の私の足では足手まといです
それに私はあなたたちに救われました
その恩返しが済んでいない」

(´・_ゝ・`)「……全てを君に押し付ける形になってすまない」


クーはデミタスの謝罪を興味なさげに聞き流し、視線を落とす。
だが、慰めるためか分からないがデミタスの方を見ずに言った。


川 ゚ -゚)「……私の魔法の契約は悪魔
この恩返しはある意味私の目的のためである
……だからいいんですよ、私にやらせても」


その発言にわずかにデミタスは恐怖した目でクーを見た。
クーは彼には目もくれず、魔道書を読み続けていた。

49名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 01:37:09 ID:1V96W0eE0

ξ゚?゚)ξ「ブーンのおじいさんは魔法剣士だったのよね
ブーンは魔法使えないの?」


お金を払って船に乗り込みつつツンが尋ねる。
どうやらクーの魔法を見てブーンが使わないことが不思議に思ったらしい。

ブーンはその言葉に少し悲しそうな顔をした。


( ^ω^)「白魔法も黒魔法も才能がいるんだお」

ξ゚?゚)ξ「……努力じゃどうにもならないの?」


ツンが気遣ったように尋ねる。
ブーンは頷く。

彼らは船の座席に着きつつ会話を続ける。


( ^ω^)「どっちの魔法も魔力だけじゃ使えないお
何かと契約しなくちゃ使えないお」

ξ゚?゚)ξ「何かって色々あるの?」

( ^ω^)「あるけど効果はほとんど同じだお
神官さんは神様と契約している人が多いお
おじいちゃんは精霊だったお」

ξ゚?゚)ξ「その二種類?」

( ^ω^)「多くはそうだお
その契約には才能がいるんだお」

ξ-?-)ξ「数が多いってことはそれだけ愛を振りまいているのね」

( ‐ω‐)「怖いから会いたくないけど幽霊っていうのもあるお
でも、才能があっても契約してはいけないものがあるお」

ξ゚?゚)ξ「それは何かしら?」


ツンの言葉にブーンは辺りを見渡す。
そして声を潜めた。

50>49訂正:2014/10/16(木) 01:41:12 ID:1V96W0eE0

ξ゚⊿゚)ξ「ブーンのおじいさんは魔法剣士だったのよね
ブーンは魔法使えないの?」


お金を払って船に乗り込みつつツンが尋ねる。
どうやらクーの魔法を見てブーンが使わないことを不思議に思ったらしい。

ブーンはその言葉に少し悲しそうな顔をした。


( ^ω^)「白魔法も黒魔法も才能がいるんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「……努力じゃどうにもならないの?」


ツンが気遣ったように尋ねる。
ブーンは頷く。

彼らは船の座席に着きつつ会話を続ける。


( ^ω^)「どっちの魔法も魔力だけじゃ使えないお
何かと契約しなくちゃ使えないお」

ξ゚⊿゚)ξ「何かって色々あるの?」

( ^ω^)「あるけど効果はほとんど同じだお
神官さんは神様と契約している人が多いお
おじいちゃんは精霊だったお」

ξ゚⊿゚)ξ「その二種類?」

( ^ω^)「多くはそうだお
その契約には才能がいるんだお」

ξ-⊿-)ξ「数が多いってことはそれだけ愛を振りまいているのね」

( ‐ω‐)「怖いから会いたくないけど幽霊っていうのもあるお
でも、才能があっても契約してはいけないものがあるお」

ξ゚⊿゚)ξ「それは何かしら?」


ツンの言葉にブーンは辺りを見渡す。
そして声を潜めた。

51名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 01:45:47 ID:1V96W0eE0

( ^ω^)「このことは公式の魔法使いじゃないと知らないお
だからあまり言っちゃダメだお」

ξ゚⊿゚)ξ「なんで?」

( ^ω^)「それと契約したものは強い魔法が使えるお
だから戦争とかに使われないためが一つだお」

ξ゚⊿゚)ξ「それだけならそれと契約した方がよさそうだけど」

( ^ω^)「あとそれと契約したら魔物でも人でも
とにかく命を消すだけ強くなるお」

ξ;゚⊿゚)ξ「広まったら戦争に駆り出されるわね」

(;^ω^)「分かったかお?
……実は理由はもう一つあるお
この理由は契約しちゃダメな理由だお」

ξ゚⊿゚)ξ「……それは?」

( ^ω^)「……契約相手は悪魔なんだお
悪魔と契約した場合悪魔が提示した時までに
悪魔と再会して……倒さなくちゃいけないんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「……悪魔は強いの?」

( ^ω^)「……らしいお
だから悪魔と契約したら強くならなくちゃいけないんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「契約者に近づいたら殺されるとか怯える人が居そうね」

( ^ω^)「力にはリスクがいるということだお
魔法は魔法だから差別予防のためだお」


ブーンがそう言った瞬間船が動き出す。
後ろの方で懐かしい声が大騒ぎしているような気配がした。

振り返ると騒いでいたと思しき人が沈黙させられていた。
巻き込まれたくないとブーンは慌てて別方向を見たのだった。

52名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 01:51:53 ID:1V96W0eE0

船は心地よい揺れと共に川を横切る。
川の上流へ向かうように進むため時間がかかる。

川を覗きこむと水底が見えた。
魚も藻すらなくひたすら透明で、きれいだった。


( ^ω^)「……ツン、暇だお」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃぁ地図でも読めば?」

( ´ω`)「酔うから嫌だおー」


ブーンがあきたらしくうだうだ言う。
その時、船が突然動きを止める。

乗っていた人たちはその揺れでバランスを崩す。
口々に文句を言いながら川を見る。

水は相変わらず透明で澄んでいて特に引っかかる物もなかった。


次の瞬間船は縦方向に揺れる。
小さな悲鳴が上がり、周りを見る。




だが、船は水面を離れて浮いていた。
事情を理解した瞬間、船を悲鳴がつつんだ。


(;^ω^)「やばいお! どうするお?」

ξ;゚⊿゚)ξ「後ろの方に人が集まっているわ
行ってみましょう」


ツンの言葉で船尾のほうへ二人は向かう。
そこには水のイカがいた。

透明で透き通った水がイカを形作っていたのだ。
その足のうち一つが船を持ち上げていた。

53名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 01:54:36 ID:1V96W0eE0

人々が口々に「魔物か」などと騒ぐ。
ブーンたちはその言葉に武器を構えるも狙うべき場所がない。
何せすべて水でできているのだ。

船頭はそのイカをじっと見つめると叫びをあげた。

「安心してください!」という叫びを。


その言葉を聞いても混乱している人々には届かない。
しかし、次の言葉で落ち着きを取り戻すことになる。

「こいつは精霊のいたずらです!」という言葉によって。

精霊のいたずらと魔物の襲撃の差異は一つである。
すなわち命の危険があるか、無いか。

精霊はいたずら好きなものも多く、見えない人が慌てふためくのをよく楽しんでいた。
ちなみにブーンもよく着替えなどを隠されて慌てる羽目になっていた。



人々が落ち着きを取り戻したのを見てイカは船を下した。
本当に精霊の仕業だったらしい。

ブーンは急激に揺れたためエチケット袋に吐きつつ精霊の説明をした。
ツンはすまなそうに「知っているわ」と答えていた。

54名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 01:56:37 ID:1V96W0eE0

( ´ω`)「おー、足元がまだぐらぐらするお」

ξ゚⊿゚)ξ「もう地上よ?」


ブーンはツンの言葉に小さな唸り声をあげた。
どうやら本当に気持ち悪いらしい。
ツンは軽くため息をつく。


ξ゚⊿゚)ξ「仕方ないわね、宿をとってくるから
里の場所探しておいてね
もしくはここで休んでおくこと」

( ´ω`)「うぅ、分かったお」


ツンが町の中へ入っていくのを見送った後噴水の前でしゃがみ込む。
ブーンは顔面蒼白で視線は定まっていなかった。


('A`)「……大丈夫ですか?」


しゃがみ込むブーンにそう声がかけられた。
彼が顔をあげると痩せた背の低めな青年がいた。
心配そうな青年の問いにブーンは喋る際戻さないように気を付けて応える。
と言っても胃の中は空だったが。


( ´ω`)「大丈夫ですお、ただの船酔いですお」

('A`)「船酔いなら回復か? 『レオナ』」


背二年は持っていた大きな紙袋から一本の杖を取り出す。
そしてブーンにそれを向けて呪文を言った。
すると蒼かったブーンの顔に赤みが差し、体力が回復した。


( ^ω^)「……神官さんかお? ありがとうございますお」

('A`)「えっと……一応格闘家……困ったときはお互い様です」


ブーンに問いに青年は体格と杖を見た後申し訳なさそうに答える。
ブーンはその答えの言い方が気になった。

55名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 02:00:31 ID:1V96W0eE0
( ^ω^)「一応?」

('A`)「格闘家の里に住んでいるから格闘家なだけです」

(*^ω^)「お、良かったら里までの道案内を頼みたいですお!」

(;'A`)「うーん……今からなら」

(;^ω^)「今日はここに泊まるので今すぐは……」

(;'A`)「そうか、俺は急いで帰んなくちゃいけないので
地図で良ければ」


そう言うと青年はここら一帯の地図にあるルートを書き込む。
それはとても曲がりくねったルートだった。
一直線に近いルートがあるのにとブーンは考えた。


( ^ω^)「なんでこんなに曲がりくねっているお?」

('A`)「一番魔物と遭遇しないルートだからです」

( ^ω^)「なるほど、ありがとうございますだお」


そうブーンが礼を言うと青年はお辞儀をして走って行った。
どうやら急いで帰らなくてはいけないのは本当らしい。
彼が去ったところでツンが戻ってきた。


( ^ω^)「おかえりだお!」

ξ゚⊿゚)ξ「すっかり良さそうね
今日はもう宿で休みましょ、疲れちゃった」


ツンはそう言いながらブーンに赤く艶やかで丸い木の実を投げ渡す。
ブーンがキャッチしたのを見ると言った。


ξ゚⊿゚)ξ「今胃の中空っぽでしょ?
一緒にいる時お腹鳴ったら恥ずかしいわ
それでも入れておきなさい」

( ^ω^)「ありがとうだお!」


ブーンは歩き出したツンの背中にお礼を言う。
そして宿に向かいながら先ほど書いてもらった地図のこと等を話したのだった。

56名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 02:12:40 ID:1V96W0eE0
  _
( ゚∀゚)φ「いやー、一瞬見失ったけど船着き場ではっていてよかったぜ」


ジョルジュがロマネスクに送る報告書をしたためながら呟く。
見た範囲でブーンたちに起こったことをできる限り書いていた。

  _
( ゚∀゚)「あの二人大分仲良くなったな
王子には分からなかっただろうけど
お嬢ちゃんお礼言われたとき顔真っ赤だったな」


ジョルジュは楽しそうに「いつくっつくかな」と呟く。
そして宿屋の窓辺で月を眺めつつ安酒に手をのばす。

  _
( ゚∀゚)o彡゜「仕事上がりのこのいっぱいたまんねぇぜ」
  _
( ゚∀゚)「にしても次は格闘家の里か
どうやってばれずについて行こうかな」


そう呟くと大きな欠伸がジョルジュの口からあふれる。
目元をこすりながらベッドに入る。

  _
( -∀-)「安酒はイカンな、すぐ眠くなる」
  _
( ゚∀゚)「まぁ明日のことは明日考えるか
……そう言えば王子にあれ見せたことなかったな
あれが通用するかもしれないな」
  _
( -∀-)「あれのセット持ってきていた……け……」


彼はやがて安らかな寝息を立て始めたのだった。

57名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 02:14:37 ID:1V96W0eE0

月は静かに輝き、彼らを見守っていた。


( ‐ω‐)

ξ-⊿-)ξ


旅を続ける者も


川 - -)

(-A-)


これから巻き込まれていく者も


( +ω+)

(´‐_ゝ‐`)


彼らの運命を案じる者も


爪-ー-)「……あいつらはいったいムニャムニャ」


何かを企む者も


(=-ω-)ノ
  _
( -∀-)


今はただ見守るだけの者も

全てを照らし、月は彼らの眠りを今は見守っているのだった。

58名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 02:32:40 ID:1V96W0eE0
ひっそりと2話投下終了です。

第0章は仲間集めと世界観説明できたらいいなと考えています。
スカートは……ツンさんすみませんでした。
言えない、今書き溜めした回ではきちんと別キャラには順番気にしていたなどとは。


では夜遅くに失礼しました。
おやすみなさい……夜の投下は文字化けするのでしょうか?

59名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 08:35:47 ID:y4rd2Nxw0
おつおつ

60名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 10:07:23 ID:W/M5ilS60
おつ!
文字化けは原理がよくわからない
時間問わずだめだったり平気だったりする

61名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 11:41:25 ID:PWe8z8Vc0
おつ

62名も無きAAのようです:2014/10/16(木) 13:01:11 ID:83QNv8EE0
おつ!
こういうレベル1から始めるRPGみたいの好き

63名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 22:03:24 ID:YutJjk1U0

(メ^ω^)「……あ」

ξメ゚⊿゚)ξ「どうしたの?」

(メ^ω^)「地図読み間違えたお」


そう言うとブーンはツンに地図の現在地点を指で示す。
確かに里には向かっていた。
だが、示されたルートから大きく外れていた。

64名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 22:05:17 ID:YutJjk1U0


第0章
第3話 2つ目のカギ

65名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 22:07:29 ID:YutJjk1U0

立ち止まり薬草を傷口に貼り付けていたツンは手を止める。
ブーンはその様子を見て冷や汗をかく。


ξ#゚⊿゚)ξ「道理で魔物とたくさん会うと思ったわ」

(;^ω^)「ごめんだお!
でもあと一息で里に着くお!」

ξ#゚⊿゚)ξ「もう薬草はほとんど底をついているのよ?
もう戻れないのわかってんの?」


そう言うとツンはカバンの中身を見せる。
4枚ほどの薬草があるだけだった。


( ^ω^)「でも、だいぶ戦闘慣れして怪我減ったお」

ξ゚⊿゚)ξ「そりゃそうだけど」

( ^ω^)「大丈夫だお」


ブーンの言葉にツンは軽く息をつきながら立ち上がる。
お互いに傷の回復は済んでいた。


ξ゚⊿゚)ξ「さっさと行くわよ、日が暮れちゃう」

( ^ω^)「了解だお―」


ブーンはそう軽く返事をすると立ち上がる。
そして里の方へ向かって歩き始めるのだった。



二人の後ろで落ち葉を踏みしめる音がしたことを彼らは知らない。

66名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 22:12:43 ID:YutJjk1U0

ξ゚⊿゚)ξ「……今どこ?」

( ^ω^)「あともう少し歩けば見えてくるハズだお」


背後から音もなく近づく影に二人は気づかない。


ξ゚⊿゚)ξ「本当に? 地図見せて」

( ^ω^)「信用無いおね」

ξ゚⊿゚)ξ「前例があるからね……合っているわね」

( ^ω^)「だから言ったお」

ξ゚⊿゚)ξ「一度失った信用は」

ξ;゚⊿゚)ξ「危ない!」


ツンが振り返りながら文句を言おうとした。
しかし背後にいた魔物に気付く。

そのためツンはそう叫ぶととっさに土を投げつけた。
ブーンは慌ててそれを回避する。
文句を言おうとして、獣の悲鳴に近いうなり声で危機を知った。

目に土が直撃したらしく、顔を手で洗う獣がいた。
全身の体毛は黒色で。耳は少し欠けているが丸い。
三日月のような金色の眼はネコを思い起こさせる。

大きさはブーンの背丈ほどあり、その大きさから魔物と分かる。
爪と口の端から覗く牙は毒々しい濃い紫色だった。

67名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 22:19:29 ID:YutJjk1U0

(;^ω^)「ありがとうだお、そして初めてだおね」

ξ;゚⊿゚)ξ「そうね、ゴブリン以外の魔物なんてね」


彼らは魔物と戦ってきた。
そして武器の使い方などを上達させてきた。

だが、倒した魔物はゴブリンのみであった。
ゴブリンも強くなっているとはいえ、所詮はゴブリンだった。
今までは囲まれても傷は負うが負けることは無かった。


この魔物は違った。
むき出しにされた紫の牙から何かの液体が垂れる。
ジュッという音を魔物の足元の落ち葉が立てる。

この毒を食らったらどうなるか二人は考えた。
自然と二人の背筋を寒いものが通る。


ξ;゚⊿゚)ξ「……ブーン、近距離頼める?」

(;^ω^)「……解毒剤はあるかお?」

ξ;゚⊿゚)ξ「あるけど私の使う毒用で効かないかもしれない」

(;^ω^)「おーん、守りながら戦う練習しておくんだったお」


ブーンは軽く嘆くように言う。
しかし、その手はしっかり剣を握っていた。
そしてしっかりと敵と認識した魔物を見つめていた。

魔物はブーンの視線に気付くと体勢を低くし、唸り声をあげた。
ブーンはしばらく構えた剣先を揺らしていたが、それを止める。
ツンは矢を弓にセットし、引き絞って狙いを定める。

一瞬時が止まったかのように3つの視線が絡み合った。

68名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 22:33:56 ID:YutJjk1U0

ツンが矢を放った瞬間ブーンは前足を狙い、切りかかる。
その魔物はかすかに跳んで後ろに下がりそこから爪を出した前足を伸ばしてくる。
その爪をブーンは剣を盾にして辛うじてかわす。

衝撃を殺しきれずバランスを崩したブーンを狙い、さらに追撃を加えようとする。
その攻撃態勢に入った魔物へツンが矢を放つ。

その矢は攻撃を仕掛けようとした前足に刺さる。
魔物は攻撃を中止し、その足を浮かせつつ下がる。

下がった魔物を素早く追いつめ、ブーンは無事な前足に剣を立てる。
爪と爪の間の谷が広がる。

近距離まで来たブーンに噛みつかんと魔物の顔が近づいてくる。
ブーンは慌てて剣を抜くと距離をとった。
剣先には魔物特有の輝きを持つ紫色の血がついている。

前足を両方とも負傷した魔物の動きは鈍くなる。
矢が刺さったままの痛みか、ツンの塗った麻痺毒のおかげかはわからない。

しかし、前足を捨てたようで二人の攻撃全てを前足で受ける。
そのため胴体に大きなダメージを与えられずにいた。


ξ;゚⊿゚)ξ「そろそろ動きが止まってもいいのに」


ツンは小さくそう呟いた。


(;^ω^)「毒かお?」

ξ;゚⊿゚)ξ「毒は効かなさそうだから麻痺
やっぱり神経に当てたほうがいいのかしら」


ツンの言葉に心なしかブーンの汗の量が増える。
そして恐る恐ると言った様子で聞いた。


(;^ω^)「神経って……結構深いお?」

ξ;゚⊿゚)ξ「だから近距離、かつ背後に回らなきゃ
……これ渡しておくわ」


そう言うとツンは矢じりに麻痺毒の塗られた矢を手渡す。
ブーンは不思議そうにそれを受け取ると見ていた。

69名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 22:40:04 ID:YutJjk1U0

よくわかっていない様子のブーンにツンは軽く息を吐き出す。


ξ゚⊿゚)ξ「ちんたら攻めて見てられないわ
あんたが囮じゃ頼りないからよ」

(;^ω^)「ちょっと待つお! 狙うのはツンじゃないのかお?
僕の囮じゃ心配かお?」

ξ゚⊿゚)ξ「なんで私があんたの心配なんてするのよ
……私の体力が限界なだけよ」


ブーンはツンの言葉に不思議そうな声を漏らす。
今のところ攻撃は外れていないし、目立った傷も負っていなかった。


ξ-⊿-)ξ「私もまだまだね、もう集中力が切れちゃって
あれには当たるものの狙った部位には当たってないのよ」

( ^ω^)「……そんな」

ξ゚⊿゚)ξ「それにまったく信じていなかったらこんなの任せないわ
……お願いね」


ツンはそう言うと魔物の前へ躍り出る。
そして目の前で矢を引き絞って見せる。
魔物は彼女が構えている弓矢を見てボロボロの前足を出した。

ツンは撃つのをやめ華麗に3歩ほど下がる。
がむしゃらに振られた腕が空を切った。

70名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 22:44:39 ID:YutJjk1U0

ξ゚⊿゚)ξ「かかってこい魔物
私はお前らに負けたりしない」


ツンはそう言うと魔物の顔にかするように矢を放つ。

ブーンにはそれは挑発のためにわざだったのか
それとも本当は目や眉間を狙ったものだったのかわからなかった。

ただ少なくとも魔物の注意の大部分はツンに流れたことはわかった。
ブーンはしゃがみ込み、疲れを癒しつつ自分から注目が完全に外れるのを待った。

本当は彼も参戦したかった。
だが、それをしてしまうとツンの捨て身の覚悟をも無駄にしてしまいそうでできなかった。
だから彼は目立たず見ることしかできなかったのだった。


ツンは挑発のため矢を放つ。
狙いを大雑把にしか定めていないためかすりはするけれどヒットはしない。

しかし魔物にしてみれば自分の周りを矢がちらちら飛ぶのだ。
いい気はしないだろう。

イラついたように乱雑に振られる腕をツンは落ち着いてかわす。
少しずつ戦闘の場所がずれていく。
ツンは魔物がブーンに背を向けるように誘導することに必死であった。


ξ゚⊿゚)ξ「気分はどう? 魔物
圧倒的にか弱い人間に翻弄される気持ちは」


ツンは声を上げ魔物の意識をひたすら寄せる。
次にどうしたら意識が向けられるかわずかに顔を伏せ考える。
「ここら辺で一発矢を当てようか」と思い顔を上げる。

振るわれた腕が迫ってきていたのでパターン通りバックステップでかわした。

71名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 22:52:35 ID:YutJjk1U0

しかし場所が悪かった。
足元に木の根が出ている部分があった。
注意が魔物の移動に偏っていた彼女は気づかない

足が引っ掛かり背中から転びかける。


慌てて引っかかっていない足を下げバランスをとる。
そして転ばずに済んで安心したところで顔をあげて魔物を見る。






彼女の視界にやけに大きな紫色の牙が映る。
一瞬事情が理解できなかったがすぐに納得した。

バランスを崩した瞬間飛びかかってきていたのだった。
魔物の顔が迫ってくる。


ツンはブーンが叫ばないことを願った。
今ばれたらブーンにも注意を払うようになってしまう。
そう考えていた……。

72名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 22:54:26 ID:Q9/D8yto0
読んでるぞ

73名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 22:56:45 ID:YutJjk1U0
ツンは左腕をとっさに差し出した。
そのおかげで左腕に鋭い痛みは走るが首なしになることは避けられる。
牙に滴っていた毒が体に侵入したらしく寒気を感じた。

ツンの視界がかすむ。
即効性のある毒だなと考えていると魔物の背中に飛びかかるブーンが見えた。
そして背中と首の間辺りに矢を思い切り刺したのを見届ける。

魔物の咆哮が響く。


ξ゚ー゚)ξ「……できるじゃない」


ツンはそう小さく言うと意識を闇に落とした。




ブーンはツンを抱え、魔物から距離をとる。
脈は乱れていて息も荒かったが息はあった。


(;^ω^)「ツン! 大丈夫かお!?
ちゃんと矢はさせたお!!」


ツンが答えることは無い。
そのことがブーンの焦りを増大させる。
急いで里に行って解毒剤をもらわねばと考える。

魔物は唸り声をあげる。
前足はボロボロでもう感覚がないのかもしれない。
だが、武器として振るってくるので危険であった。

ふっとブーンは魔物のがむしゃらの腕の振りが遅くなっていることに気付く。
どうやらしっかりと麻痺は効いているようだった。


(#^ω^)「……さっさと倒させてもらうお」


そう言うと剣を構えて飛びかかる。
ブーンは頭に血が上って防御を忘れていた。
彼の目の前に爪の出た前足が差し出された。

74名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 23:01:21 ID:YutJjk1U0

ブーンは爪に気が付いていた。
だが爪に当たらないために攻撃を止めるつもりなどなかった。


(#^ω^)「その前足貰うお!」


そう言うと魔物の前足を関節ぐらいまで縦に引き裂く。
その際爪が頬にかすり傷を作る。

痺れる感覚があったがそれを無視する。

動きの鈍くなった魔物のもう一方の腕を肩から切り落とす。
魔物は仰向けに転がされる。
後ろ脚だけでは逃げられそうにもなかった。

魔物は命乞いをするかのように高い声を出す。
ブーンはそれを聞いて冷めたように言った。


( ^ω^)「命乞いをするくらいなら最初から襲ってくるなお」


そして仰向けに転がした魔物の下あごから頭頂部へ向かって剣を突き立てる。
剣を抜き、突いて魔物が絶命したのを確認した。

ブーンはそれ以降魔物に目もくれずツンを背負う。
そして里へ向かおうと足を動かす。

否、動かしたつもりだった。


彼の視界には地面が迫っていた。
倒れたと気づいたとき爪がかすったことを思い出す。

そして意識が遠ざかっていくのを感じた。

75名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 23:05:35 ID:YutJjk1U0

(=゚ω゚)ノ「……所詮ここまでだったかょぅ」


トンボの翅の妖精がつぶやく。
そしてその場を去ろうとしたとき近づいてくる気配に気づいた。
その気配はため息をつきながら分かれ道に立ち、ぼやいていた。


('A`)「……長に昨日のことを言ったら迎えに行けと言われてしまった
示したルート通っているといいが」

(;'A`)「こっちの道は通ってないよな?
確かに最短ルートだが毒持ちの魔物出る道なんだよなぁ」

(=゚ω゚)ノ「……」


妖精は近くに落ちていたツンの矢を拾う。
そして青年の方へ投げる。

青年はそれに気付いたようだった。


('A`)「矢だ、新しいな……まさか」


そう言うと矢が飛んできた方へ歩き出す。

しばらく進むと巨大な影が見えたので駆け寄る。
そこには血まみれの魔物と毒で苦しむ二人がいた。


(;'A`)「やばいな、体に結構毒が回っている、早く神官に
……そういや今神官いなかった」


しばらく青年はぐるぐると歩きながら思案する。
こうしている間にも刻々と時間は過ぎる。
そして何かを決心したように隠し持っていた杖を取り出す。


(;'A`)「『ポイズンバスター』」


そう唱えた瞬間二人の顔から脂汗が消える。
無事毒は消えたようだった。
その様子を見て妖精はため息をつくと姿を隠した。

青年は二人を半分引きずるように里へと向かったのだった。

76名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 23:09:21 ID:YutJjk1U0

ブーンたちが倒れた晩サイドニアでは笑い声が響いていた。


爪'ー`)「フハハハ俺様天才!」


フォックスはそう嬉しそうに言うと手紙を見る。
ホライゾン国からのものであることが蝋の紋章でわかる。


彼が盗めたのは偶然だった。

デミタスが手紙を再び取り出して読み直していた。
その時患者の家族がお見舞いに来た。

時同じくしてある患者が暴れだした。
それを危険が無いようにクーが処分した瞬間を見てしまった。

そのため大騒ぎを始め、その対応のためにデミタスが出た。
慌てていたため手紙のしまい方が不十分だった。


その結果としてフォックスの手元に手紙があった。


爪'ー`)y‐「ふーん、あの坊ちゃんが王子ねぇ
にしてもどえらいこと任されているな
世界のカギ……欲しいな」


フォックスはそう呟いたあと少し考える。
そして苦笑いしながら手紙をぐしゃりとつぶす。


爪'ー`)「ま、俺は毛頭魔王と取り合う気なんてない
平和になってから狙うか」


そういうとその手紙を無造作に捨てたのだった。

77名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 23:14:51 ID:YutJjk1U0

柔らかい光が窓から差し込む。
見慣れぬ部屋の見慣れぬベッドで寝かされているようだった。
外からは何の物音もしなかった。


( ^ω^)「……ここはどこだお?」


そう呟くとベッドから起き上がる。
服は寝間着にはなっていたが鎧は部屋の片隅に置いてあった。
体に見たところ大きな傷はなかった。
何があったのかゆっくりブーンは思い出す。


Σ( ^ω^)「そうだ! ツンは」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「気が付いたかい?」


いつの間にかに部屋に入っていた筋骨隆々の女性に話しかけられる。
ブーンは少しビビりながらもあいさつをする。


( ^ω^)「助けていただきありがとうございますだお
あの、ここは? そしてもう一人は?」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「ここは格闘家の里
女の子は別の部屋で寝ている」


そして女性はブーンが預かった手紙を取り出す。
慌てて袋の中を見ると確かに入っていなかった。

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「そして私はこの里の長の母者、
悪いが読ませてもらったよ
あんたらも難儀だねぇ」


そう言うとブーンの頭をなでる。
その手つきは体つきに似合わず優しかった。

78名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 23:19:04 ID:YutJjk1U0
( ^ω^)「あの、読んだのならペニサスさんの
子孫の人を紹介していただけるとありがたいですお」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「ん? 知り合いじゃないのかい?」

( ^ω^)「この村に知り合いは……」


ブーンはそこまで言ってこの里の人間と思しき人を思い出す。
そして驚いたように言った。


( ^ω^)「あの白魔法の!」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「……相変わらず格闘家と名乗りつつ
そんなの使っているのかい
あの体格じゃ仕方ないが……」


母者の言葉にブーンは不思議そうに首をかしげる。
白魔法のどこがダメなのか分からなかった。
その様子を見て母者は言う。


 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「この村だと魔法の類は邪道だ
この村に生まれたら格闘家になるのがしきたりでね」

( ^ω^)「それ以外はダメなんですかお?」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「なるなら村を捨てるのがしきたりだ
私もあいつの親も捨てることを勧めてはいる
……あいつの白魔法は独学だ
才能があると村人の多くが認めている」

( ^ω^)「……なんで捨てないんだお?」

 @@@
@#_、_@
 (  ノ`)「結局村から出るのが怖いんだろうな」


母者の言葉にブーンは考え込んだのだった。

79名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 23:24:17 ID:YutJjk1U0

( ^ω^)「という訳だお」

ξ゚⊿゚)ξ「クーの場合は出られないだったけど
こっちの場合は出ないなのね」

( ^ω^)「ドクオっていう人らしいお
どうしたらいいと思うお?」


母者との面会後、ツンと会い、そのような会話をする。
ブーンの言葉にツンは考え込む。
そして気が付いたように尋ねる。


ξ゚⊿゚)ξ「どうしてブーンは旅をしているの?
私は家族も故郷も魔物に奪われた復讐だけど」

( ^ω^)「……ナチュラルに復讐なんて使うなお
僕の理由はおじいちゃんの頼みだし
それに父ちゃんも見つけたいからだお」

ξ;゚⊿゚)ξ「死んでいるわけじゃないのね、良かった」

( ^ω^)「死体が見つからなかったんだお
ただ最後にいたのが魔物と人間の境界戦闘地域だお」

ξ゚⊿゚)ξ「……なんか、ゴメン」


ツンの謝罪に対し、首を横に振る。
ツンはそれを見て少し沈黙した後言った。


ξ゚⊿゚)ξ「たぶんその人にも命令以外の動機があればいいんじゃないのかしら?」

( ^ω^)「でもたぶん残っているのは怖いからだけじゃないお」

ξ゚⊿゚)ξ「どういうこと?」

( ^ω^)「独学ってことはやりたいということだお
本当は白魔法をしっかり学びたいのかもしれないお
とすると残りたい理由があるのかもしれないお」

ξ゚⊿゚)ξ「……仮定ばっかりね」


ツンはそう言いながらもうなずいたのだった。
外からは相変わらず鳥の鳴き声しかしなかった。

80名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 23:30:51 ID:YutJjk1U0

J( 'ー`)し「ドクオ、ちょっと来なさい」

('A`)「……なんだよ、カーチャン」


普通の本を読んでいたドクオは母に呼ばれて近づく。
母の前には大きな紫色の石が埋め込まれた腕輪があった。
彼女は無言でそれをドクオに押し付けた。


('A`)「?」

J( 'ー`)し「それを持って旅に出なさい
そして立派な白魔法使いになりなさい」

(;'A`)「村を捨てろってことか?
ってか、え? 旅?」


ドクオはいきなりの母の言葉に説明を求める。
彼女の手には手紙があった。


J( 'ー`)し「そう、事情は旅の仲間が話してくれるわ
そして、子供たちのためにもなるのよ」

('A`)「……は?」


そう聞き返した時、「母者の家に行け」と家を追い出される。
困ったように頭をかきながら静かな里を歩いたのだった。



子供も青年も一切いないその里を。

81名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 23:38:50 ID:YutJjk1U0

ブーンたちはドクオの自宅を目指して歩いている。
静けさに違和感を感じつつも会話していた。


( ^ω^)「静かな村だおねー」

ξ゚⊿゚)ξ「そうねー、子供の一人くらい走り回ってもよさそうだけど」

从∀゚ 从「お前らも観光に来たのか?」


突然後ろから話しかけられた。
二人は驚きながらもうなずく。

話しかけてきたのは片目を髪で隠した人物であった。
二人の会話を聞いていたらしく頷きながら言う。


从∀゚ 从「確かに子供の一人くらいいてもよさそうなんだけどな」

('A`)「あ、二人とも良くなったんだ」


ちょうど母者の元へ向かおうとしていたドクオが通りかかる。
そして町を歩く三人のうち二人に安心したように言った。

ブーンたちは世間話のように「静かな村だ」と言う。
ドクオは少し考えた後残念そうに言った。


('A`)「そこの人の言う通り子供は全員居ない」

ξ;゚⊿゚)ξ「なんでそんなことに」


ツンの動揺した様子に慌てて「存在はしている」と付け加える。
そして目を細めてある夜のことを思い出していた。

82名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 23:43:06 ID:YutJjk1U0

('A`)「……ある夜、空から大量の瘴気が下りてきた
大人は平気だったが大半の子供は瘴気に当てられた
そして今も寝込んだままなんだ」

(;^ω^)「魔物化しているわけではないおね」

(;'A`)「え、人も魔物になるの?」

(;^ω^)「えっとある疫病で魔物みたいには」

从∀゚ 从「恐ろしいな」


それで会話を切り上げドクオは母者の家に行こうとした。
ブーンが慌てて彼を呼び止める。


( ^ω^)「ちょっと待ってほしいお!
話がしたいお!!」

('A`)「……俺?」


不思議そうな顔をしたドクオに説明をしようとする。
その時他の人に聞かれてはいけないと思い回りを見る。
さっきの人物の場所を確認する。

しかし確認できる位置にはいつの間にかにいなかったのだった。
周囲に誰もいないことを確認してから声を発した。


( ^ω^)「実は、僕らと一緒に旅をしてほしいお」

ξ゚⊿゚)ξ「最終目標は魔王討伐よ」

(;'A`)「ちょっと待ってよくわからない」


突然の誘いに動揺しつつドクオは彼らが自分の母が言っていた人物と認識した。
そして世界のカギとそれにまつわる作戦の説明を受けた。


(;'A`)「んな無謀な
……確かにペニサスさんは
俺のカーチャンのおばさんだけど」

ξ゚⊿゚)ξ「無謀でも通さなきゃいけないのよ」

83名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 23:48:28 ID:YutJjk1U0

ツンの言葉を聞いてドクオは考え込む。
そこへブーンがすかさず叩き込む。


(;^ω^)「これは魔王へ近づく道だお!
きっとその途中で瘴気の正体も分かるお!
そしたら子供たちも治せるお!」

('A`)「……そうだな
この村にこもって独学で治そうとするより
希望も持てそうだな」

ξ゚⊿゚)ξ「魔王が倒せたら瘴気の影響もなくなるかもしれないしね」

( ^ω^)「そうだお、だからお願いだお」

( ^ω^)゚⊿゚)ξ「それにこの先白魔法ないと私たち早死にする!!」


どうやらこの里に来る途中のことを思い出したらしい。
二人の息の合い方に思わずドクオは笑っていた。
笑ったのはいつぶりだろうと考えつつ答える。


('∀`)「いいぜ! 一緒に行ってやる!」

( ^ω^)「やったお! 僕はブーンだお」

ξ゚⊿゚)ξ「私はツン、よろしくね」

('A`)「俺はドクオ、タメでいい」

( ^ω^)「僕らもだおー、ところで何歳だお?」

('A`)「18、お前らは?」

( ^ω^)←16

ξ゚⊿゚)ξ←16

( ^ω^)「……なんかごめんだお」

('A`)「?」


ブーンはドクオより身長が高いこと、
ツンは大体同じくらいの身長なこと

二人はそれぞれ何となく申し訳なく思った。

84名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 23:53:21 ID:YutJjk1U0

( ^ω^)「そういえばドクオの家にカギ貰いに行くんだったお」

('A`)「カギ?」

ξ゚⊿゚)ξ「さっき話した世界のカギの欠片よ」

( ^ω^)「宝石みたいなんだお」


その言葉を聞いてドクオは先ほど受け取った腕輪を取り出す。
紫色のきらめきは見る人々を何処か不安にさせる。
だが、同時にとても視線を惹きつけた。

ブーンは受け取った赤い石を近づける。
それぞれ共鳴するようにより強い光を放った。


(;'A`)「まぶし!」

(;^ω^)「遠ざけるお!」

ξ;゚⊿゚)ξ「一か所で管理しない方がいいわね、目立つわ」


横で見ていたツンが冷静に判断を下す。
ひとまずそれぞれの石は継続してブーンたちが持つことになった。


('A`)「無くしそうだな」

( ^ω^)「魔力補助具みたいだからそれはつけててもおかしくないお」

(;'A`)「確かにそうだけど……その方が無くさないかな」


そう言うとしぶしぶと言った様子で腕輪を身につける。
ツンは腕輪を見て何かを思い出していた。


ξ゚⊿゚)ξ「腕輪、王冠……母様」

( ^ω^)「どうしたお?」

ξ;゚⊿゚)ξ「母様……母様……形見!」


そう言うと二人の前に立つ。
二人が不思議そうに見ていると言った。

85名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 23:57:32 ID:YutJjk1U0

ξ゚⊿゚)ξ「ブーンのところは王冠
ドクオのところは腕輪
もしかしたらカギは装飾品に
カモフラージュされているのかもしれない」

( ^ω^)「それがどうしたお?」

ξ゚⊿゚)ξ「私思い出したの! 世界のカギが何にあったのか!」


そしてツンは深呼吸をする。
口元だけで笑い、冷や汗をかきながら言った。


ξ;゚ー゚)ξ「母様の形見のペンダント
大きな宝石が印象的だったからよく覚えている」

('A`)「じゃぁ場所分かるのか?」

ξ;゚ー゚)ξ「たぶんね、しかも無事よ
昔タイムカプセルに入れて埋めたから」


その言葉にブーンは頭を抱える。
この瞬間魔物に支配された場所での穴掘りと宝探しが決定したためであった。
ツンも自覚しているらしく苦笑いをした後ため息をついた。

事情が分からないドクオはこの場ではある意味幸せなのかもしれなかった。




彼らは1週間後ここを発つことにした。
主な理由はツンとブーンの毒の快癒のためであった。

確かに魔法は効いていた。
だがそれまでが長く身体が負ったダメージは大きかった。
そのため休息が必要であった。

86名も無きAAのようです:2014/10/18(土) 23:59:13 ID:YutJjk1U0
  _
( ゚∀゚)φ「いやー二人が二日間寝込んだときはどうしようかと思った
しかも寝過ごして見失っている間にだもん」
  _
( ゚∀゚)「あの新しいメンバーに感謝だな、まったく」


ジョルジュは見失ったことなどを馬鹿正直に書く。
そしてドクオの話の部分をしっかり書く。

  _
( ゚∀゚)「書いておけばあの人なら支援の手くらい伸ばせるだろ
聖水を大量発注して届けたりとか」
  _
( -∀-)φ「『1週間後彼らはサイドニアへ戻る予定です
騎士、射手、白魔法と今のところなかなか良い
バランスではありませんか』っと」
  _
( ゚∀゚)「あの人たちは確か勇者、格闘家、薬師
そして魔法剣士……ん?」
 _
(;゚∀゚)「俺あの人が魔法使っているの見たことねぇな
『だった』っていつも表現するし
魔法って普通生涯契約じゃなかったっけ
使えなくなることってあるのか?」
  _
( ゚∀゚)「まぁいっか
そんなに大切じゃないだろ」


ジョルジュはそう言うを安酒を一杯煽る。
そして幸せそうな顔をする。

  _
( ゚∀゚)「あいつらの出発は一週間後だしな、大丈夫」
  _
( ^∀^)「次はサイドニアか
料理うまいらしいし入れるといいな」


ジョルジュはそう言うとロマネスクに手紙を送る。
そして布団に入るとあっという間に眠りについたのだった。

87名も無きAAのようです:2014/10/19(日) 00:05:45 ID:QE3UCV/60
(´・_ゝ・`)「……すまない、町の人たちにばれた」

川 ゚ -゚)「……そうですか」


疫病の患者はもう一人もいなかった。
皆すでにそれぞれの家族に引き取られていっていた。


(´・_ゝ・`)「しかも手紙が盗まれ、公表された
そのおかげで君たちは魔王にある意味手を貸すものだよ」

川 ゚ -゚)「そうですか」

(´・_ゝ・`)「ここの町の人たちは閉鎖的でね
この町さえよければいいんだ」

川 ゚ -゚)「……」

(´‐_ゝ‐`)「君を罪人として裁きたいらしい
人を殺した殺人罪とか魔王幇助罪でね」

川 ゚ -゚)「もう裁かれたの間違いでは?」

(´・_ゝ・`)「……そうだね
君は1週間後『疫病』が発生した町に放り込まれるらしい
それまでここを動くなということだ」

川 ゚ -゚)「分かりました」


クーはそう返事をすると魔道書を読みふけり続ける。
デミタスは何度も謝っていた。


(´ _ゝ `)「すまない、全て君の責任にして、すまない」

川 ゚ -゚)「……」


クーは読み続ける。
読むことだけしかしない。
紙の音とデミタスの謝罪だけが響く。


川 -  -)「……それでもこの町とあなたたちに感謝しています
ありがとう」


クーの小さな呟きは謝罪を続けるデミタスには届かなかったのだった。

88名も無きAAのようです:2014/10/19(日) 00:10:51 ID:QE3UCV/60
以上で第3話の投下終了です。
そしてコメントと総合でこれは王道ファンタジーではなく王道RPGっぽいのかもしれないと感じました。
……機械仕掛けが書き溜めで出てきたためです。


初めてのまともな時間からの投下でした。
密かに書き溜めが50行ぎりぎりで分割やり直したりしています。

ではおやすみなさい。

89名も無きAAのようです:2014/10/19(日) 10:21:31 ID:7iBcTTuE0
おつです
王道の部分と、うまくすればとんでもない隠し球のできる余地がある気がする
レス分割って戸惑うよね

90名も無きAAのようです:2014/10/19(日) 10:53:19 ID:azoF/.ZU0
いちおつ! 期待して待ってる

91名も無きAAのようです:2014/10/19(日) 11:22:25 ID:N2CN1zyU0
おつ

92名も無きAAのようです:2014/10/19(日) 17:25:39 ID:gm8JD57M0
今日もおつ
伏線や謎な部分も出てきてますます続きが気になった

93名も無きAAのようです:2014/10/23(木) 21:47:10 ID:gZVuyioo0

3人に増えたパーティで山を下る。
その途中ゴブリンが現れ、ドクオが驚いたような声を上げる。


(;'A`)「うおっゴブリンが出た」

ξ゚⊿゚)ξ「邪魔よ」

( ^ω^)「蹴散らすお」

('A`)「……」


途端に二人が躊躇いなく前に出る。
そして何発も矢を放ったり剣を振るって慣れた様子で倒す。
彼は驚きもビビってもいない二人を見て呆然とした。

しばらく歩くと再びゴブリンが現れる。
ドクオは二人の邪魔にならないよう下がりつつ呪文を唱えた。


('A`)「……『パワーアップデート』」

( ^ω^)「うおっゴブリンが一撃で弱ったお!」

ξ゚⊿゚)ξ「力がみなぎるわ!」


二人は先ほどよりも少ない手数で敵を蹴散らしていくのだった。
ドクオは程なく自分の役割はこういうアシストだと悟ったのだった。

94名も無きAAのようです:2014/10/23(木) 21:51:01 ID:gZVuyioo0

険しい山の頂上ともいえる場所に大きな教会のような建物がある。
そして何かを象った像の前に一人の男が手紙を持って立っていた。


(´・ω・`)「……これはゆゆしき問題だね」


一人の赤いカソックのような服を着たその男が手紙を読みつつ呟く。
そして、一人の青年を呼びつける。


( ・∀・)「なんでございましょうか」

(´・ω・`)「君の担当していた場所はどこだっけ」

( ・∀・)「格闘家の里ですよ、
瘴気に当てられた子供のために
聖水をもらいに来たんですよ」

(´・ω・`)「モララー君もよくやるね
あそこ神父とかの白魔法に否定的でしょ?
私なら続かないよ、心が折れる」

( ・∀・)「でも旅人が時々やってきます
彼らにとって私は大切です。
それに魔法は嫌っていますが
私個人とは仲良くやってくれます」

(´・ω・`)「まぁそれは置いておいて
近くにサイドニアって町あるよね?」

( ・∀・)「対岸にありますが……」


モララーの答えを聞き赤い服の男は頷く。
そして手紙を見せつつ言った。


(´・ω・`)「そこからの懇願書だ
戻るついでに怪物退治と罪人の回収を頼む」

( ・∀・)「罪状は?」


モララーの問いに男は一瞬答えない。
そして言うのも恐ろしいというように震えて見せた。

95名も無きAAのようです:2014/10/23(木) 21:52:25 ID:gZVuyioo0

(´・ω・`)「魔王を幇助する罪だ
仲間がいるらしいからいたらついでに捕まえてよ」

( ・∀・)「……了解しました」

96名も無きAAのようです:2014/10/23(木) 21:56:11 ID:gZVuyioo0

第0章
第4話 サイドニアでの戦い(前編)

97名も無きAAのようです:2014/10/23(木) 22:08:21 ID:gZVuyioo0

( ^ω^)「今日の船は揺れなくってよかったおー」


ブーンは船から一番に降りつつ言う。
軽くジャンプして地面の感触を楽しんでいるようだった。


ξ゚⊿゚)ξ「また吐かれたらどうしようかと」

(;^ω^)「あれは精霊さんの所為だお!」


ブーンとツンが会話している横でドクオが物珍しそうにあたりを見渡す。
どうやら川を越えたのが初めてだったらしい。


( ^ω^)「どうかしたのかお?」

('A`)「いや、俺は今、新しい場所の第一歩を踏み出したんだなと」

ξ゚⊿゚)ξ「川超えたくらいで大げさな……」


ツンが少々呆れたように言う。
その言葉に言い訳するようにドクオは言葉を返す。


(;'A`)「俺あの対岸の町ぐらいしか里から出たことが無くて
初めてこっち来てなんか感動したんだ」

( ^ω^)「おーなるほど、魔物区域に突入した時の反応が楽しみだお」

('A`)「多分そこでは驚かないと思う」


ドクオの言葉に二人は不思議そうな顔をする。
その様子を見て慌てて言葉を続ける。


('A`)「俺は途中のゴブリンとの戦いでも
後ろから見てるしかできなかっただろ?」

ξ゚⊿゚)ξ「こっちは強化呪文とかかけてもらえて楽だったけど」

( ^ω^)「攻撃力強化強いお」

(;'A`)「とにかく、その魔物区域って瘴気まみれなんだろ?
で、敵がいつ出てくるか分からない
たぶん俺怯えてゆっくり驚けないかなーっと」

98名も無きAAのようです:2014/10/23(木) 22:12:51 ID:gZVuyioo0

ドクオは小さく「思って」と続ける。
それを聞いた二人は顔を見合わせる。
ブーンが振り返ると安心させるように言い切った。


( ^ω^)「ドクオの攻撃力は自分の強化を
使ってやっと戦える程度だお
だからこそ戦闘じゃなくて支援なんだお
でもドクオの慎重さが役に立つときがいつかくるお」

ξ゚⊿゚)ξ「そうそう、
私たちに比べて臆病な方が普通なのよ」

(;^ω^)「ツン……僕がはっきり言わなかったことを」

('A`)「……なんか励まされたな」


ドクオはそう言うと軽く息をつく。
そして船着き場の近くのサイドニアの城壁の方を見つめた。


('A`)「……またネガティブになったらよろしくな」

( ^ω^)「こちらこそストッパー頼んだお」

ξ゚⊿゚)ξ「テンションが全員良好になったところで
クーを迎えに行きましょう」


ツンの言葉で3人は歩き出す。
その時ある人物が彼らを呼びとめた。


(;∵)「そこのお二方!」

99名も無きAAのようです:2014/10/23(木) 22:21:44 ID:gZVuyioo0

ξ゚⊿゚)ξ「あら、いつかの兵士さん」

( ^ω^)「久しぶりだお」

(;∵)「サイドニアに行ってはいけません
あなた方も処刑されてしまいますよ!」

( ^ω^)゚⊿゚)ξ「え?」


同じタイミングで二人は聞き返す。
兵士と二人を見てドクオは不思議そうに呟いた。


('A`)「……ふたりとも何をやらかしたんだ?」


ドクオの言葉に兵士が慌ててフォローを入れる。


(;∵)「お二方は何もやってませんよ!
私はデミタスさんに伝言を頼まれてきました」


そう言うと兵士はデミタスからの伝言を伝える。
伝言内容は要約すると3つで

・手紙が盗まれた。
・その所為で君たちを魔王を助力するものとして処刑をしようとしている。
・逃げろ。

とのことだった。
3人はそれを聞いて一瞬顔を見合わせる。


( ^ω^)「……確かに作戦失敗したら
魔王の手助けして終わることになるお」

(;'A`)「このくくりだと俺も犯罪者ですねー」

ξ゚⊿゚)ξ「兵士さん、クーは?」


三者三様な反応を返すが、ツンの言葉に兵士は固まる。
その兵士はすぐには答えを返さなかった。

100名も無きAAのようです:2014/10/23(木) 22:27:34 ID:gZVuyioo0

しばらくするとおいおいと兵士は泣き出す。
3人が軽く驚いているとその涙を止めないまま続けた。


( ;.;)「クーさんは! クーさんは!!
処刑のため、この城壁の中です!」

( ^ω^)「……疫病にかからせて処刑かお?
手が込んでいるおね」

( ∵)「疫病……それは便宜上の嘘です
本当はこの中に疫病をばらまいたドラゴンがいるんです
そいつに食わせるつもりなんです」


その言葉を聞いて三人とも顔を蒼くする。
ドラゴンと言えばおとぎ話等に出てくる代表選手である。
ひとまずツンが代表して尋ねる。


ξ;゚⊿゚)ξ「ドラゴンって伝説の生き物の?」

( ∵)「違います……ドラゴンのような魔物です」


『魔物』という単語を聞いたツンの表情が固まる。
ブーンはそれを見て軽くため息をつく。


ξ ⊿ )ξ「魔物……また魔物……」

( ^ω^)「……僕らも入れますかお?」


ブーンの言葉にドクオと兵士が驚いた顔をした。


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