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( ^ω^)千年の夢のようです
-
9/24(水) 夕方より投下します
よろしくお願いします
前スレ
>( ^ω^)千年の夢のようです
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1401648478/
まとめサイト様(以下敬称略)
>ブンツンドー
http://buntsundo.web.fc2.com/long/sennen_yume/top.html
>グレーゾーン
http://boonzone.web.fc2.com/dream_of_1000_years.htm
作品フィールドマップ(簡易)
http://imefix.info/20140922/321215/rare.jpeg
http://imefix.info/20140922/321216/rare.jpeg
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おつ・・・センセーはアサウルスだったのか
おもしろいよー続きまってる
-
元ネタ知らんがすごく壮大で面白い!
乙!
>799のスペルって……
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あとは当話のエピローグのみなのですぐに投下しに来ます
少し私生活が慌ただしいので、もう少しだけお時間をください。
>>822
読んでいただきありがとうございます
肝心な部分を間違ってしまいました…これも誤字ですね
ASA-USUS→×
ASA-URUS→○
そろそろ前話までの誤字修正も、後日まとめサイトで依頼させていただきます
よろしくお願いします
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>>7901の
-
うわあいろいろミスった
>>790の現実可能って所も誤字かなって書こうとしたんだすまない
-
読み込んでもらえているみたいでとても嬉しい!
ありがとうございます
そこは意図した表記ですが、きっと記述が良くないんですね
現実可能な〜のほうが自分の書きたいイメージに沿っていました
実現可能な〜、の場合、
理論的には出来るけどまだやったことがない…といった未知なるものへの科学的イメージがあります
当話ではすでに様々なプロセスをさんざん試した上での末路なので、その表記にしました
-
从 ゚∀从編の最後を投下します
-
----------
その状態を、なんと呼べば良いのだろう。
-
从 ゚∀从
何もない…? ――そうではない。
正しくは直黒にまみれた空間がある。
そのせいで彼女は、自身の二本足がしっかりと存在しているかも分からない。
::从;゚∀从::
手持ち無沙汰…などという余裕はとても持てない。
現にいまも彼女には闇がべったりと絡み付き、その身体を拘束しているかのようだった。
-
しえ
-
アサウルス体内。
…正確には、
名瀬がアサウルスごと、世界をまるまる飲み込んだ太陽の内側。
差し込む光のないその場所は死後を連想するほど静かで、
外気…それどころか温度を感させることすら拒絶した。
実は意識を失ったまま、いまも空を落下している最中ではないか…。
それとも海の底へと沈んでしまい、混濁とした意識が乖離して夢でも視ているのか…。
高岡自身はなにも知らず、
"自分は死を迎えてしまった" と認識している。
だから瞳を開けばまた、あの世界で――
::从 ∀从::
彼女はそう考え、しかしすぐに止めた。
誰もいない部屋…
壊れゆく塔…
支えのない空…
迫る腐海と、黒い巨獣。
恐怖満ちる今しがたまでの境遇と比べれば、
ここはある種の平和をもたらしているといえる。
とはいえ、そこに立つだけでも孤独は助長され、
呼吸を忘れてしまうほどの閉塞感を覚えるのも事実だった。
グランドスタッフから投げ出されたあの時の感覚など、
比較にもならない浮遊感が高岡を襲い続ける。
::从∀゚;从::
「センセぇ…………」
「…名瀬センセー……?」
::从;゚∀从::
「……誰か…、いないの……?」
-
口走るさきから虚空へと消えてしまう自身の声にまで不安を駆られる、
音の反響すらない…ひたすらに黒い場所。
朧気な四肢の感覚から、此処はやはり夢の中なのだと脳が信号を発し始めていた。
从 ゚∀从 "
――だがそれを引き留める、現実へのトリガー。
从 ゚∀从
つ"
-
《…世界は神が作り出した》
それは下腹部で蠢く、異質な鼓動。
从 ゚∀从 「…」
つ
己の意志とは無関係に…
ドクっ、 ドクっ、 と鳴り報せる命の鐘。
从 ゚∀从
まばたきほどの微々たる感触でしかなかったものが、
いざ意識し始めると不思議と存在感を…愛しさを増していく。
…心当たりがあった。
しかし、こんな状況下でやっと手に入るとは夢にも思っていなかった。
それは世界の終わりを通告された日、諦めたはずの夢…。
さらに――もうひとつ気付いたことがある。
-
《…偉大な神は真っ暗闇な世界を憂いて》
∵
从 ゚∀从 「!」
心に余裕が出来たわけでもなかろうが…わずかに見上げた先で、闇に隠れた光の粒子。
そんな小さな輝きに、愛しき人の面影を見付けてしまう。
∫……すまなかった∫
从 ゚∀从 「…」
∫ここは巣だ。
君…、君を私は…………∫
从 ゚∀从
从 ゚∀从 「いいよ、無理に喋らなくても」
震えぬ鼓膜の頭の奥に流れ込んでくる聞き覚えのある声。
へへっ、と高岡が笑うと、
いつもの無表情に隠された困惑の色が届いた。
从 ゚∀从 「あー、そっか助けてくれたんだ…。
ありがとね、センセー」
∵
从 ゚∀从
-
《己の眼球を取りだし》
∵
从 ゚∀从 「みんなも居るの?」
たった今、観測者は高岡ただ一人。
たとえ他者にとって成立しない会話であっても、彼女にさえ解れば問題ない。
从;゚∀从 「……待って、その前に!
結局どうなったのか、教えてくれないかな」
……語ることがあるとすれば。
アサウルス、そして高岡たちの世界をドレインした名瀬は、
その膨大な魔導力によって太陽のなかで "巣" を構築した。
宙闇である此処には素直や伊出たち…
そしてアサウルスすらも【魂】として内包されている。
从 ゚∀从 「…センセーは…どうなってるんだ
?」
一度ひらいた太陽は永劫閉じることはない。
いつまでも、いつまでも…
生命を燃やし続けるべく、溜め込んだ魔導力の放出を続ける。
…そうして、いつかは枯渇してしまう。
餌の供給なき魔導力には終わりが来る。
-
《その虹彩からは光を》
从 ∀从 「なんで……そんなことしたんだよ」
∫……たす…けたか…た∫
从 ∀从
アサウルスが餓えで死ぬことはない。
…その代わり、名瀬の魔導力によって此処に生かされる高岡は
エネルギー供給がなければいずれ死んでしまう。
彼の蓄えた感情…【魔導力】が底をついた時、ついに高岡には正真正銘の死が訪れることとなる。
从 ∀从
从 ∀从 "
从 ゚∀从
名瀬は此処では星となり神となる。
アサウスルという一生物が、王として君臨するのはそういう意味だ。
-
《瞳孔からは闇を》
从 ゚∀从σ 「…あのさ、あれは、なに?」
前方…真下…、それとも真上。
彼女の視界の範疇で毒々しい紫霧が現れていた。
つい先程まで、無かったはずなのに。
∫[か…がみ]∫
从;゚∀从 「!! …あれがっ?!」
彼女は慌てて駆け寄るも思わず気が逸り、少しだけつまづいた。
[かがみ]と呼ばれる――しかし目の前のそれは気体の集合体だった。
額縁はもちろん鏡面なども当然見当たらない。
高岡の知る一般的な鏡とは趣が異なる。
それでもしばらくの間、目を奪われていた。
从 ゚∀从 「…」
評議会…つまりは人類が最後に求めた、切り札であり元凶。
海底にあるべきもの。 …海底にて求めようとしたもの。
よくみると、[かがみ]はほのかに光る粒子を散らせている。
まるで動くものに反応し舞いあがる、密室に射しこむ光に生きるの塵のように。
「……これが、そうなんだな」
-
《硝子体は大地を》
川 ゚ -゚) 「もっとこう、物体的な感じを想像していたんだが」
从∀゚ 从 「クー…
Σ 从∀゚;从 って、ドクオ?!」
振り向いた先には友がいた。
その足元にも、鬱田が転がっている。
……上半身だけの、残酷な姿ではあるが。
( A )
川゚- ゚ ) 「息はある。
…なにかを探してるみたいに、さっきからずっとこんな調子だよ」
鬱田は焦点の合わない虚ろな瞳で、素直へと顔を向けて呆けている。
意識を感じさせる所以は片腕を不自然に伸ばす指先が、
微々しくも何かを掴もうとするような動きを見せていたせいだ。
川 ゚ -゚) 「それより。
これに飛び込むはずだったのか、私たちは」
∫も…う、……ぃ∫
川 ゚ -゚) 「?」
∫原初の…望…は……届い…た∫
( A )
∫あと……実行…るの…み∫
-
しえ
-
《水晶体は海を産んだ》
脳裏に漂う音の正体が名瀬であることを素直も理解している。
…高岡にそうしたのと同様、名瀬は各自の【魂】へと個別に語りかけていた。
「クー…、ハイン…?」
後ろを振り向く二人は、それが伊出の声であるとすぐに気が付いた。
伊出もまた皆をみて安堵に顔を緩ませる…。
だがそれも次の瞬間には脆く崩れさる。
川 ゚ -゚) 「ツン、無事か」
ξ;゚⊿゚)ξ 「ドクオもいるのね。
ねえ、ブーンは…どこかで見なかった??」
从 ゚∀从 「…えっ…」
内藤の腕と共にアサウルスに飲み込まれた彼女の手の中には、なにも残っていない。
半死体の鬱田ですらここにいる。
ならば動けず、空間のどこかで助けを求めているのかもしれない。
川 ゚ -゚) 「すまない、私は見かけてない」
从 ゚∀从 「俺も…」
ξ;゚⊿゚)ξ 「居ないのよ……どこにも」
从 ゚∀从 「センセー、知らない?」
从 ゚∀从
从 ゚∀从 「……センセー?」
このとき――いくら高岡が呼び掛けても応えは響かなかった。
どんなに目を凝らしても、名瀬の面影を見付けることは叶わなかった。
空間の主たる名瀬。
彼ならば判らぬはずもないという希望。
三人のなかでそれが徐々に薄らいでいく。
-
《世界は神の眼球として生まれ変わり、》
人は迷い、問い掛け、答えを得ることで一縷の安定を築き上げる。
……必ず答えが得られるものだという、根拠のない奇跡的前提の元に。
だが突き付けられる、闇。
从;゚∀从 「…」
川 ゚ -゚) 「……あまり猶予はない、かもしれないな」
ξ;゚⊿゚)ξ 「先生の力が足りていないってこと…?」
空間の維持、そして行動には、主たる名瀬にエネルギーがなくてはならない。
名瀬からの供給を途絶えさせないためには、
此処や、【かがみ】を通して、常に感情を届けなくてはならない。
川 ゚ -゚) 从∀゚ 从 「……ツン」
内藤だけがここにいない――ともすれば、伊出には困難な条件かもしれない。
魂さえあれば、名瀬によってこの空間にて生かされるはずだった。
元より瀕死の鬱田がいまなお死なないのはそういう仕組みだ。
ならば――内藤はどうなってしまった?
三人が同じ結論に達し、慌てて否定する材料を捜している。
一度失ったかと思えば己だけが生き永らえ、
なおも奈落でじっくりと、喪失を噛み締めろとでもいうのか。
高岡からすれば、内藤を名瀬に置き換えるだけで想像に容易い。
"从∀゚ 从 (( 川 ゚ -゚)
ξ ⊿ )ξ
どこも一緒だ……元の世界も、此処も。
誰かにとってありふれた一寸先の没未来となることもあれば、
誰かにとっては一握りのチャンスへと姿を変えることもある。
-
《また神の瞼の下に埋め直された》
从 ゚∀从 「クー?」
(゚- ゚ 川 「私が先に行こう」
淀みのない歩みと、歪みのない声で素直はそう言った。
[かがみ]の前に立ち、長く美しい黒髪が一度だけ伸縮する。
顎を上げ、何もない宙をふと仰いだのだと、二人には分かった。
川 - ) 「――――」
从;゚∀从つ 「クー!」
だが素直の足は二度と止まらなかった。
友に背を向けたまま唇を動して…
後ろ手を軽く振ると、そのまま[かがみ]という靄に飛び込んでいった。
从;゚∀从つ
ξ ⊿ )ξ
( A )
素直は評議会で与えられた【現】の意味を、彼女なりにずっと考えていた。
いま出来ることは、いまにしか出来ない。
昨日の自分には不可能で、明日の自分にも不可能かもしれない。
だから "いま" なのだ。
…それは同時に、最も移ろいやすく愚かな決断にもなる諸刃。
かつては過去の自分が吐いてしまった不謹慎な言葉の尻拭い。
これからの名瀬の空間…そして[かがみ]の効力。
薄氷の上を歩く選択肢しかない彼女は、それでも悦び尖兵として役目を請け負ってみせた。
「これが役割というものなんだろう。
…ならせめて私は、自分で求めて、自分で何者かになりたい」
-
《神の体温を得たことで》
靄に消えたその言葉は、高岡たちに届いただろうか?
从 ゚∀从 「…あ」
すると余韻なく、[かがみ]に異変が起こりはじめた。
みるみると靄の濃度が色を強くしていく。
確かな指先で瞼をこすった高岡の細い腕が、うつ向く伊出の肩にぶつかった。
共有した視線の先では、次第に闇に同化せんと集圧する紫煙。
目を凝らせば内側へ、内側へと捻られるベクトルを感じ取れる。
ぎゅ
る
り ぎ
る
ゅ
ぅ。
――寄せては返す、圧しては膨れる。
うねり蠢く[かがみ]の不定形さから、悪意といえるものは発されていない。
むしろ高岡の胸中に呼び起されたのは――
(▼・ェ・▼) (∪^ω^∪)
…名瀬の部屋に置いた二体を造るとき、内を覗けばこうして綿を詰めていたのだろう。
『ねぇねぇこれ、ブーンに似てない? ……ツンが見たら欲しがるかなあ』
『…どうだろうか』
…その日、隣で眺めていた名瀬の戸惑いも、今ではもうずっと昔のことのように思える。
まもなく四方に噴き出し、具現する一枚の大鏡。
あれほどあった靄が、大人しく鏡面の周囲で額縁の役目を引き受けた。
∫素直…現……彼女ガイれば…∫
∫過去…未来も、形にナル∫
-
《世界には暖かみが生まれた》
この[かがみ]の変質は【秩序】のカタチ。
不確かなものに対する畏怖の性質を、素直が払拭した。
ξ゚⊿゚)ξ 「名瀬先生、内藤は…」
取り戻された名瀬の声。
たとえ一時的な回復だとしても、力を得たのは間違いない――だが、
∫さあ未来…を創レ、伊出∫
ξ゚⊿゚)ξ 「…」
∫未来は…ダイ…ョ……かラ∫
感情を自らの内に留めていない名瀬は、
もはや呟き続けるだけの自動システムになりつつある。
ズリュ…
ズリュ……
――しかしシステムであれば…人が創り、人の力でコントロールできる理論も存在する。
ズリュ・・・
(( (; A )
奇怪な音に振り向く高岡が目に捉えたのは、呆けていたはずの鬱田だった。
不可視の床に散らばる肉片が、彼の足跡を痛々しく赤黒く染めていく。
ズ リ ュ ・ ・ ・ 。
(( (; A )
从; ゚∀从 「おい、ドクオ!」
死を望み、命乞いをした弱者。
なんとも無様に這っている。
その身を千切りながらも腕を交互に突き出し、
闇とまぐわうその姿は不死の申し子に相応しい。
-
《だが神もまた真っ暗闇の中にいる》
ズ...
( A )
ξ;゚⊿゚)ξ 「貴方も行くの? ブーンも…まだ来てないのよ?」
「…………、関係ねぇ」 ( A )
一瞬だけ止めた身体を再び這わす。
死の間際に霞む鬱田の声が、ここではよく通った。
「俺は… 俺のために生きて」 ( A )
从 ゚∀从
「俺のために、死にてぇんだけだ」 (( ( A
そう言い遺し、鬱田は身をよじりながら[かがみ]をくぐっていった。
ξ゚⊿゚)ξ 「…… ドクオ…」
目の前の[かがみ]に、先のような変化は訪れない。
そのせいではないとしても、
二人は鬱田という人物に、どこか諦めにも似た想いをひととき抱く。
昔からそうだったようで、もっとも理解しがたい友だったのかもしれない。
唯一、内藤だけは彼を認めていた気がする。
…だがしかし素直の時とは異なり。
彼がもたらすのは人の心――いやそれどころか
もっと根本的な。
"命" に関わるファクターであることを、彼女たちが思い知らされるのは今ではない。
-
《神が目を開ければ夜になり…》
从 ゚∀从
ξ゚⊿゚)ξ
∫次は、どっチ∫
…顔を見合わせる二人は動かない。
伊出には内藤を求める願望があり、
高岡には誰にも伝えていない企みがあった。
『行かないなら、お先に失礼するよ』
从∀゚;从 「?!」ξ;゚⊿゚)ξ
『そのためにずっとあそこで待っていたんだからね』
直に届いたようにも聴こえ、にも拘わらず浮世離れした響きが辺りを走る。
伊出が振り向き確かめるよりも早く煌めいた光の風が、
二人の背を撫でて[かがみ]に吸い込まれていく。
∫君か、よクぞここマデ∫
『貴方が恐かっただけだよ…でもそれももう終わりみたいだ』
かつて自殺を図ったはずの感情の持ち主を、名瀬は感嘆を示し迎え入れた。
…高岡には、なぜかそう感じた。
つり上げた眉に印象深い、ぶっきらぼうな顔が目に浮かぶ。
ξ;゚⊿゚)ξ 「――その声、ひょっとして」
『予想と現実はこうも違う。
…やり直すっていうのも、まんざら悪い気分じゃないね』
『それと気を付けて。
ここにはもう一匹いる、迫ってきている…。
くれぐれも、名瀬先生の足手まといになったらいけないよ』
-
《目を閉じれば朝になる》
ξ゚⊿゚)ξ 「シャキン…」
从;゚∀从 「あいつ、腐海のなかで……」
簡単な話ではない。 …有史前例もない。
アーカイブに載らなかった彼の魂の行方と結末は、
評議会の誰がいても、過去のどんな研究学者も、
理解の範疇を越えた出来事だとして頭を破裂させかねないほどに。
事ここに至り、彼がおこなったのは史上初の不屈の体現といえる。
――しかしそれを奇跡と呼ばず、
わざわざ解明科学に傾倒する無粋な真似は、彼女たちがやらなくても良い。
∫魔導力には…その力があル∫
∫畏れルナ。 いまナら私がいル∫
ξ;゚⊿゚)ξ
人のもつ創造の可能性を有らん限り膨らませるのも、魔導力というものだ。
ξ゚⊿゚)ξ
从 ゚∀从 「…ツン」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿ )ξ
从 ゚∀从 「ツン…!」
ξ ⊿ )ξ
(推奨BGM:A Return, Indeed... (piano version))
https://www.youtube.com/watch?v=WnKGdqolFhA
-
《……それでも神は続けた》
「…いまは怖くても、いまは一人でも……
私は、最後にブーンがいてくれさえすれば大丈夫」
「そのための世界を創るなら、歩んでみる。
もしも…ブーンが後で追い付いたら…よろしくね、ハイン」
迷いを振り切るように走り、続いて彼女も[かがみ]へと飛び込み消えた。
从 ゚∀从
評議会に未来を託された伊出は、これから何を創るのだろう…。
高岡の知る限り初めて、伊出は内藤と離れて大きな行動をすることになる。
ともかく彼女も、此処から旅立った…まるでなにかに急かされるように。
从 ゚∀从 「…………ツン…」
从 ゚∀从 「…シャキン、ドクオ……」
从 -∀从 「クー…… …ブーン、皆……」
一人を除いて、ついに高岡は友を全員見送った。
[かがみ]の向こう側で果たしてなにが起こるのか。
まだ、それは誰にもわからない。
∫…はやく…、まもなく奴が来る∫
[かがみ]へのエネルギーは主に名瀬が得る。
…だが、アサウルスもまたその特性として感情を察し、餌を求めてやってくる。
――名瀬という、巨大な餌を目掛けて。
忘れてはならない。 アサウルスは餓えで死なない。
これから此処は、遅かれ早かれ名瀬とアサウルスの戦場となる。
だからこそ、残りわずかな自我を振り絞り、心配そうな色で高岡の意識に語りかけた。
-
《力の限り、》
从 -∀从
从 ゚∀从
「お願いがあるんだけど」
…高岡が切り出す。
沈黙で続きを促す名瀬。
「アタシは…此処にいたい」
沈黙で、戸惑いを表す名瀬。
「感情はセンセーにもずっと必要なんでしょ?
皆と一緒に[かがみ]に入ることも考えたけど…」
「なるべく、なるべくさ、 …近くにいたいんだ」
沈黙で、否定する名瀬。
「お腹のなかにも居るんだよ…。
センセーとしか、あんなことしてないから間違いはないし」
沈黙で――驚愕を示す名瀬。
「子供の頃のアタシなら、単に誰かと笑って過ごせたらそれだけで満足だった。
…でも、でもさ…一度 "それ" を知っちゃったから……」
「好きな人と、時間と場所を一緒にする嬉しさ…。
格別で、とろけそうで、なにものにも代えがたいこの気持ちを」
-
《愛しきヒトのために、》
高岡は、無意識に両手を腹部に添える。
いや、もはや抱えている…といったほうが正しいか。
さっきまでは鼓動を感じる程度だったにも拘わらず、今では……。
∫…妊娠していた、のか∫
――常識はずれの成長速度。
人の時代に名瀬と呼ばれたアサウルス…その彼の創り出した空間。
感情を先走らせ、時間の概念すらまだ持たない此処では成り立ってしまう奇跡。
そもそもが、桁外れの願望を彼女が抱いているために。
「産みたいんだ…センセーとの子供。
ブーンのことも…ツンと約束したし」
「シャキンはどんな風になってでも、最後にはちゃんと生きてた。
ドクオだって、あんなになってもまだ生きてたんだ…」
∫…∫
「クーは、…大丈夫かなぁ。
ああ見えてアイツ、その場の雰囲気に流されやすいところがあるから……心配になる」
∫……此処では子は産めない。
その代わりに――∫
独白する高岡を置いて、名瀬はその力を少しだけ使用した。
愛しき彼女のためだけに。
アサウルスの危険性から我が子を護るためだけに。
「……そっか」
「…………うん、ありがと、センセー」
-
《次の時代を創生するために、》
闇に覆われた世界で。
生まれたての小さな小さな魂が、
ふわりと胎内から漂い浮かぶ。
へその緒を連想させる、輝き繋いだ光の糸も、
母から離れ、[かがみ]に到達する頃、
やがては静寂の離別に運命を委ねる…。
高岡は自分に良く似た、
その金色の髪の毛を
最後に瞳へと焼き付けた。
-
《帰ってきてね、と身勝手な願いを込めて》
゚∋゚
∵
从∀゚ 从
高岡が名瀬を庇い、
アサウルスが高岡を喰らい、
名瀬は高岡を再生する。
永劫続くかと思わせる摂理の輪が、こうして此処に構築された。
-
「……ごめんよ、アタシの赤ちゃん。
――ごめんね、まだちゃんと母親になってあげられなくて」
∫見守っている、必ず∫
「うん…、いつか二人で逢いにいくんだ。
いまは此処でセンセーを助けないと」
∫新しい世界は、私が護るよ∫
「だからそれまで、どうか…どうか……」
《みんなと同じ世界で、
無事に、生きていて》
(了)
-
--------------------------------------------------
※千年の夢 年表※
--------------------------------------------------
終末年 ***********
【いつか帰る場所】 ☆was added!
→グランドスタッフ倒壊。[かがみ]への突入。 ☆was added!
創世-1000年 ***********
-900年 ***********
→信仰の概念がうまれる
( ∵)は偶像生命体として同時に生誕。
-400年 ***********
→結婚(結魂)制度のはじまり
-350年 ***********
【ふたごじま】
→魔導力の蔓延
-312年 ***********
【銷魂流虫アサウルス (´・ω・`)幼年期】
→ "隕鉄" が世界に初めて存在しはじめる
【東方不死 〜山人の夢〜】
→('A`) がアサウルス(a)と相討ち
-220年 ***********
【銷魂流虫アサウルス (´・ω・`)青年期】
【傷痕留蟲アサウルス】
→アサウルス(c)撃破
→騎兵槍と黒い槍(アサウルスb)が融合
→('A`) がアサウルス(a)から解放
-
-210年 ***********
→大陸内戦争勃発。
【帰ってきてね ミ,,゚Д゚彡幼年期】
-200年 ***********
【帰ってきてね ミ,,゚Д゚彡青年期】
【死して屍拾うもの】
【夢うつつのかがみ "赤い森の惨劇" 】
→結魂によって二代目( ´∀`)生誕
→アサウルス(b)復活
→ミ,,゚Д゚彡は【ウラミド】に巻き込まれてアサウルス(b)もろとも氷漬けに
-195年 ***********
→大陸内戦争終了。
【はじめてのデザート】
-190年 ***********
【その価値を決めるのは貴方】
-180年 ***********
【老女の願い 復興活動スタート】
-150年 ***********
【老女の願い 荒れ地に集落が出来る】
→川 ゚ -゚) が二代目( ´∀`)に指輪依頼の時期。
-140年 ***********
【老女の願い 老女は間もなく死亡】
→指輪の暴走時期。 川 ゚ -゚) が湖に封印
-
-130年 ***********
【人形達のパレード】
【此処路にある】
→(´・ω・`)( ゚∀゚)川 ゚ -゚) の三人が集結
→二代目( ´∀`)死亡時期
【夢うつつのかがみ 水の都】
【東方不死 湖から( <●><●>)引き揚げ】
-120年代 ***********
【矛盾の命】
→ξ゚⊿゚)ξが石化(?)
【東方不死】
【白い壁 黒い隔たり】
→ウォール高原の国法制度が崩壊
-100年代 ***********
【繋がれた自由】
【遺されたもの】
【時の放浪者】
→ミ,,゚Д゚彡( <●><●>)( ゚∀゚)川 ゚ -゚)が同じ場所にいる
( ´∀`)は四代目。
-40年代 ***********
【老女の願い 集落は町として発展】
00年代 ***********
【老女の願い】
→( ^ω^)がプギャーとギコに再会
-
投下中の支援、ありがとうございました
これだけのラストに間が空いてしまって大変申し訳ないです
(´・ω・`)ω・´): 傷痕留蟲アサウルス >>6
('A`) :東方不死 >>170
( ^ω^) :白い壁 黒い隔たり >>329
(´・ω・`) :夢うつつのかがみ >>438
从 ゚∀从 :いつか帰る場所 >>662
-
■誤字脱字について
>>836のアサウルス表記の一部が
アサウスル、になっていますが誤りです…すみません。
>>845のドクオの発言の一部は誤字ではなく、呂律が回っていないものと考えていただければ幸いです
-
乙
今回の話のタイトルは>>670では「いつか帰る場所で」だったけど「いつか帰る場所」とどっちが正しいんだろう
>>831のアサウルス体内、感させる、>>837の生きるの塵、>>838の「息はある〜」の部分のクーの顔、>>841の没未来の部分もミスかな、仕様ともとれる所もあるけど
-
おつ・・・ハイン・・・
-
>>859
いつもありがとうございます
もはや自分で何度見返していても、誤字脱字が無くなってくれません
なにか良い手があればいいのですが…
タイトル→「いつか帰る場所で」が○
>>831
アサウルス体内→誤字ではない
感させる→感じさせる、が○
>>837
生きるの塵→生きる塵
>>838
「息はある〜」の部分のクーの顔→仕様
>>841
没未来→誤字ではない
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こども気になるな
-
乙!
おつむの弱い俺は簡単な解説が欲しい…笑
ハインに似た子供って出てきたっけ?
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ミ,,゚Д゚彡金色の髪の毛の描写があった人物を思い出すんだ……!
-
乙!
あ〜〜なるほどね!能面とか帰ってきてねで繋がりがあるのか
-
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
メモリ残量が不足しています。
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次の夢を見るためのメモリ(レス数)が足りません。
空き容量のあるスレッドを立てるまで、しばらくお待ちください……。
――option画面に移行します。
番号(記号)を選択することでデータベースにアクセスできます。
Tips表示には時間がかかる場合があります。
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Tips ― キャラクター頁
※未登場キャラクターおよび、現時点で未解放のエピソードは【???】で伏せられているため選択できない
1■( ^ω^):???
2■ξ゚⊿゚)ξ:???
3■川 ゚ -゚):???
4■('A`) :白い花 _
5■( <●><●>) & ( ゚∀゚):呪術の種類
6■(´・ω・`) :初代モナーとの約束
7■ミ,,゚Д゚彡 :???
8■( ´∀`):???
9■(`・ω・´) :自殺の理由
10■从 ゚∀从 :夢
11■( ∵) :???
12□???:???
13■( ゚д゚ ) :ナナシとの生活
14■(#゚;;-゚) :大陸戦争に馳せる想い
15■ノパ⊿゚) :毒の効かない体質
16■lw´‐ _‐ノv :???
17■ハハ ロ -ロ)ハ :みなしごの鎮魂歌
18□???:???
19□???:???
20■イ从゚ ー゚ノi、 :きつねの正体
21■爪'ー`) & 爪゚A゚) & 瓜゚∀゚) & 爪゚ー゚) :賢者の忠誠
22■('、`*川 & (゚、゚トソン :視線の先に
23■( ><) & (*‘ω‘ *):宿に込めた願い
24■( ^ν^):越えられない壁
25□???:???
26■(・∀ ・) & (-_-):傭兵という立場
27■(*゚ー゚) & (*゚∀゚) :待ち続けて…
28■(,,゚Д゚) &( ^Д^) :???
29□???:???
30■(・(エ)・) :???
31■( ,'3 ) :価値
32■( `ハ´):戦士の生涯
33■(-@∀@):コンプレックスの塊
34■<ヽ`∀´> :風水の仕組み
35■( ・∀・):???
36■('(゚∀゚∩ :わんわんお
37□???:???
38■( ФωФ):変えられないもの
39■( ´_ゝ`):変えられるもの
40■(´<_` ):海に見た雪景色
41■ζ(゚ー゚*ζ & ミセ*゚ー゚)リ :双子の確執
42■(‘_L’) :虐げられしもの
43■/ ゚、。 / & *(‘‘)* :???
44■|(●), 、(●)、| :虐げしもの
45□???:???
-
Tips ― 用語頁
※未表示のものでもフリーワード入力で追加される(上限アリ)
A■銷魂流虫 & 傷痕留蟲
B■AAキャラの顔表示
C■アサウルス(ASA-URUS)
D■魔法の種類、属性の強弱
E■リング
F■GC(ガードコンディション)
G■魔導力
H■[かがみ]
I■[かがみ]の贄、つがい、壁
J■終末年の人々
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とりあえず24でおねしゃす
複数選択アリなら5、41も追加で
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B!
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>>868
4、9、15、23が見たい
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24,38,39,40おなしゃす
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4 6 15 が気になる
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27とHが気になります
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15か41でおなしゃす
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now loading......
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■24 - 越えられない壁 -
( ^ν^)「まだかよ、とーちゃん」
ウォール高原から南に程遠くなく。
イプシロン山脈と呼ばれる細長い山地がある。
尾根は大陸文化を分断するほどに高い。
さらに大陸中央を縦に割っている河と相まって、
入り組んだ複雑な地形を構築している。
( ^ω^)「もう少しで着くはずだと思うお」
( ^ν^)「なあ…なんでいちいちあんな余計なことしたんだ?」
(;^ω^)「余計って… 荷運びしてるだけだお?」
荷物には依頼主の心が一緒に包まれているという言葉を思い出す。
( ^ν^)( 運ぶよりも気を遣ってたよな、明らかに )
…誰に渡すのか、何を渡すのか。
…どんな気持ちなのか、何を伝えたいのか。
今回ニューが同席して判ったのは、
ブーンは依頼主からそれを訊き出すのが得意だということだ。
-
当時まだ魔導力もなく、【破壊】の概念も持たぬブーン。
相手からしてみれば見ず知らずの人物に大切なものを預ける行為…。
猜疑はかけられて然るべきであろう。
だが父はそれを難なくクリアしてしまった。
( ^ω^)「待ち遠しくてウキウキしてるかもしれんお。
早く向かうお!」
( ^ν^)「……遅くなったのはとーちゃんのせいだろ」
息子であるニューの仕事も郵送屋だった。
だから、初対面の相手から信頼を得るのがどれだけ大変か…身に染みて理解している。
そして今回。
なんの変哲もない品物が運び手となるブーンの手によって、
文字通り手心を加えられていく一部始終をみた。
( ^ν^)「そのままのほうがいいと思うんだけどな」
――自分にはそこまで出来るだろうかと思わず考えてしまった。
父のように休みなく動くことが出来るわけではないが、
ニューもまたこの仕事を気に入っている。
喜びも、時に悲しみも運んでしまうとしても、決まって人々から礼を言われるのは悪くない。
…だからこそ。
ニューは品物を触らない。
これまではなにも訊かず、黙々と職務をこなすだけだった。
-
朝日を背負い、夕焼けを背負い、月夜を抱いては空の涙に目を覚ます。
…そんな一日を過ごしてようやく辿り着いた目的地。
地図にも載らない小さな町は谷風が強いものの、
比較的安定した気候を保っている。
稲穂と緑に囲まれて建ち並ぶ背の低い平屋は、
信者が山々に膝をついて崇めているかのようだった。
(;^ν^)「ねえ、マジでやるの…?」
「あたりまえだお! (^ω^ )
ニューも早くこっちに来るお!!」
「……、チッ」 (( (;^ν^)
「"それ" を忘れちゃだめだお!」
潜めつつも大きなブーンの声が耳を打つ。
ニューは隠れて深い溜め息をついた。
やがて送り先となる一軒の扉の前に立ち、準備する。
大の大人がゴソゴソとなにやら企んでいる様子は誰にも見られなかった。
…でなければ、カブに火を灯した時点で放火犯とでも間違えられかねない。
《 コ コ
ン、 ン… 》
室内へと響かせるノックの音。
…ニュー自身の胸にも似たような音が鳴り、それはどんどんと大きくなっていく。
聴こえていないはずなのに、
隣で父はクックッと笑っていた。
やがて扉が開くと…………
-
「うわぁっ――?!」
目線は下。
何者よりも早く驚きをあげた小さな小さな子供。
だがその瞳はすぐに細まり、口許には微笑を浮かべた。
( ★ω^)「お届け物ですおー☆」
( メΘνΘ)「……どうも」
仮面の下から覗かせる二者二様の表情。
ブーンはまず持っていたカブのかがり火を手渡すと、
次いで背負っていた布袋からは
星々を描いたひとつの箱を子供に差し出す。
( ★ω^)「遠く離れた、君のお父さんから。
炎は魔除け。
箱のなかにはこわーい魔物と戦うための武器が入っているお」
「お父さんから?! やったー、おばあちゃん、みてー!
お父さんからーー!!」
( メΘνΘ)「…早く開けるんだ、さもないと、俺が君を食べてしまうぞ」
嫌々ながらニューも役割を果たす。
フルフェイスの被り物は傷痕を目立たせて、死者を連想させる。
彼は悪霊として、子供に退治されなくてはならない。
家のなかでは笑みを携えた老婆がこちらを柔らかく眺めていた。
「オバケなんて、オバケなんてあっちいけ!」
箱から出てきたのは――樫の木で造られた玩具の杖。
振り回すだけで効果を発揮する、魔法のステッキだ。
-
( ★ω゚)「あばばばばば!」
「キャッキャッ!」
「……」 (ΘνΘ メ)
秋の収穫と、
つつがなき幸福の訪れを祈願して、
この家族にもたらされる福音の儀式。
「あばばばばばば!!」 (( ( ★ω゚)
「まてー!」
(メ ;ΘνΘ)「…真面目か」
死ぬこと叶わず、
地獄にも落ちることのできない悪霊のお伽噺を依頼主から訊いていたブーン。
それを偶像ではなく実在する存在として、自らを重ねていたのかは定かではない。
(メ ΘνΘ)
(メ ΘνΘ)「…まあいいや」
いくつになっても楽しそうな父親だと思った。
仕事も、家庭も、
真っ直ぐ向き合うその姿にニューは何を思うのだろう。
少なくともあんなおちゃらけた真似は出来そうもない。
…だがせめて、見知らぬ子供に優しく出来る程度の器量は見習いたいと彼は思う。
そのためにはもうしばらく、この父の背中を見ていることになりそうだ。
<了>
-
■5 - 呪術の種類 -
_
( ゚∀゚)と( <●><●>)では使用できる呪術に違いがある。
_
( ゚∀゚)の呪術
パワーデス→strengthを上昇させる
ドッジ→agilityを上昇させる
( <●><●>)の呪術
シャドウ << シャドラ→闇色の炎を具現する
ウィルス→病気状態にする
カース→呪う(効果は様々)
キール→毒素による抗体増進状態にする
その他の呪術
ドレイン→吸収(もしくは混在)する
プール<<プーラ→ダメージを身代わりする
共通点は、いずれにしても想いの強さがそのまま魔導力の強さになるという点。
作中のジョルジュの言葉を借りるならば「人の数だけ希望を持つ」かのように。
…希望が、必ずしも人に害を与えないとは限らないが。
_
( ゚∀゚)の呪術は森の民の善なる心が高まるにつれて青天井に効果が高まる。
逆に。
呪えば呪うほど( <●><●>)の呪術は本来の効果を越えて歪んでいく。
<了>
-
■41 - 双子の確執 -
ζ(゚ー゚*ζとミセ*゚ー゚)リ の二人が、
直接対話しているシーンが実はない。
あくまで第三者を挟むことで会話が成立する。
ふたごじまの双子には一つの特徴がある。
二人に限らず、
兄弟(姉妹)の性格は真逆になってしまう性質だった。
( ´_ゝ`)は島のしきたりに、なんとかして従うことができた。
(´<_` )は島のしきたりに、どうしても従うことができなかった。
そんな流石兄弟の場合、
ブーンとツンが島に現れたことで縁を結び直して和解できた。
デレとミセリの場合。
彼女たちは互いの信仰心こそが一番で、
それ以外は順位として蹴落とすべき存在と考えていた。
性的趣向すら理解できず、
また神官として位を上げることができないのは
相手がいるせいだと思い込むまでにこじれていた。
-
兄者とミセリの弔いが行われた時に、それぞれが涙を流すシーン。
( うωФ) 『彼はそう、我輩に説いてくれた… それで…良いのだろう?』
ζ(;ー;*ζ 『……ミセリは…どんな気持ちだったのでしょう』
(∩<_∩ )『…代わりにあんたが精一杯生きてやれ』
ロマネスクは、年老いた自分よりも若い命が失われたことに涙した。
年老いた自分にも、まだまだ知るべきことがあるのだと恥いた。
弟者はやっと和解した兄弟を失ってしまった悲しみに涙した。
一度は島を見捨てた自分に、兄者の分まで生きることを学んだ。
しかし、デレはちがう。
仲違いしたまま姉妹を失った自分に涙した。
失われた年月と、理解できぬミセリの心を知りたくて、
思わず弟者とロマネスクに問い掛けた。
自分では答えを見つけることはできなかった。
弟者はそれを察して、上記の答えを導いたに過ぎない。
性的趣向についても記述しておく。
ζ(゚ー゚*ζは、高齢者であればあるほど慈愛の精神を見せる。
ミセ*゚ー゚)リは、とりわけ幼い男子を愛した。
【ふたごじま】の話中でミセリが兄者に冷たかったり、
【銷魂流虫】においてショボンが襲われた際は真っ先に庇ったのもそのため。
デレはロマネスクに立場以上の想いを抱いていたが、
後のミセリの喪失感から弟者のアドバイスに従いついていくことで、
後年はなんとか自我を保っていた。
-
■B - AAキャラクターの顔の有無について -
作品内でAA顔が表示されている場合、生きる願望が強いことを表している。
子供は生への希望に満ち溢れていることが多く、
大人は人生の終着を見定める頃に願望がなくなってしまうことが多い。
(死にたい、という意味ではない)
レモナには顔表示が無く、
/ ゚、。 /と*(‘‘)*が顔表示あり。
西川や渡辺、鬱田の母親(カーチャン)が顔表示なし。
話中で変化した者もいる。
最後だけ顔をみせた(‘_L’)
最後にどうしても顔を見られなかった( ><)
――など。
-
■4 - 白い花 -
東方不死…山人の夢で、('A`)が童からもらった飴がある。
それが「白い花」…
白花と書いてハッカ飴と読む。
山人である('A`)は、これを受け取ったものの舐めずにとっておいた。
そしてアサウルスを退治し、
例の空間に閉じ込められ、
lw´‐ _‐ノvに拾われるまで、
飴には自然の塵が積もり積もって覆われてしまった。
――毒の懐で。
なお忍の里に伝わる "秘薬" とは、岩石と化したこの白花を指す。
>見た目はどちらかといえば綺麗な石…しかし、よく見ればその輝きは砂糖水を溶かしたような淀みが内部で蠢いている。
内部は飴なので上記のような中身がまだ残っていた。
(腐ってはいるが、ドクの願望によって存在は消えなかった)
ロスオデ原作でも『白い花』という夢の話がある。
<了>
-
失礼しました。
>>885と>>886の終わりに付けるべき↓
<了>
↑の記載が抜けていました
脳内変換をお願いします
-
あれ、渡辺ってどこで出てたっけ……?
-
>>889
なにげに>>696で、幼い从 ゚∀从が呼び掛けていたりします
彼女は高岡の母親でした
-
■9 - 自殺の理由 -
【いつか帰る場所で】において、
遺書をしたため魔導力の海に身を投げた(`・ω・´)
彼は産まれた頃からの記憶と、生まれつき備わる予知夢をもつ。
笑顔を向けてはいても感情のない人の群れ。
成長し、アーカイブを覗いたことでそれが
"哲学ゾンビ" と呼ばれる存在であることを知った。
幼い頃。
なにも知らない内藤たちにそれを伝えることも憚られ、
眠れば夢の中でアサウルス(主に名瀬)が現れる。
…将来出現する( ゚∋゚)もいたのだが、まだ彼には見分けがつかなかった。
毎日が苦痛の連続。
何年も続く孤独な地獄。
いつしか心を閉ざしかねないまでに追い詰められた彼は、
勇気をもって、友にこの世界の話を切り出した。
なぜこうなったのか。
どうして今こんな世界に居なければならないのかを。
……だが。
-
(` ω ´)
( ^ω^ )『あまり考えすぎないで、まずは僕たち六人がずっと一緒に楽しく過ごそうお』
――無駄だった。
人というものに対する考え方が、自分とはあまりに違う。
このとき友に理解して貰うことは不可能なのだと心の奥底で感じてしまった。
現実には友に否定され、
夢には世界の終末とアサウルスに心を追い込まれた結果、
彼は逃げ道としての自殺を決意する。
それでも。
死に直面して僅かにもっていた希望が、魔導力の海。
魔導力が感情の塊であり、歴史そのものが微睡んでいるのではないかと推測した彼は
足掻くように別の道を模索していたといえる。
『気が狂う前に試したい』
…それは最後の最後に、魔導力による生まれ変わりを信じていた彼の遺言。
『三度目の大嵐にまた』
…それは世界の最後に、何が起こっているのかを予知夢した彼の遺言だった。
[かがみ]の向こうの世界でまさに生まれ変わろうしていた彼の推測は正しかった。
…それがやっと現実になるまえに、ショボンに出逢わなければ。
<了>
-
■15 - 毒の効かない体質 -
忍の里で飾られていた秘薬のせいで、
忍たちは常人よりも毒への耐性がわずかだが上がっている。
(毒がまともに漏れているわけではないが、シューの話していた通り
そこにあるだけで空気中に微量、滲んでしまっていた)
ノパ⊿゚)はひょんなことから修行中に秘薬をみてからというもの、
毎日その毒素に惹かれ、覗き込んでいた。
特にシューが体調を崩しはじめてからは
いかにそれを持ち出すかばかり考えていたので、身近に秘薬のある時間が増えていった。
そのせいで彼女は他の忍びに比べて毒への耐性が人一倍、培われていくことになる。
とはいえ、
('A`)本人の撒き散らした高純度のポイズンに長時間耐えられるとは考えにくく、
あくまで常人、他の忍に比べて…でしかない。
<了>
-
■23 - 宿に込めた願い -
[po・od]という看板は、( ><)のために(*‘ω‘ *)が考案したもの。
上から読んでも下から読んでも(つまり左右対称に)同じ読み方にできる。
看板がどんな方向になっても、自分が居なくても、
目の見えない兄が困らないように作っていた。
読み方も[ぽっぽ]である。
――余談。
(*‘ω‘ *)の宿屋と、鉄道員(ぽっぽや)をかけた洒落でもある。
遠出の出来ない彼らが、未だ見ぬ土地に思いを馳せていたら…?
ゲーム原作では『ハンナの旅立ち』という宿屋の娘の夢の話がある。
-
今日はいったんここまで。
>>894でも<了>の記載が抜けていました
すみません
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すげぇ全部来るとは…
またみたい…!おつ!
-
おつ
ずいぶん細かいとこまで考えてるんだな
練り込まれてて面白い
-
すっげーこまけぇのな
原作のゲームやってみたくなったわ
-
ほんと天才だわ…
もしまだ間に合うならフリーワード IとJ入力させてくれ!
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まだ可能なら32,33,34のどれかを・・・!
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――option画面に移行しています。
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フリーワード入力の場合はアルファベット指定と併せ、
希望する単語を入力してください。
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��
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っしゃきたぁ!
16,21、H,Jおなしゃす!
ってかA〜Jまで全部気になるわAAの顔のあるなしおもしろかったし
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6.13.42.44オナシャス
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I■[かがみ]の贄、つがい、壁
と
J■終末年の人々
を入力する!!
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■38 - 変えられないもの -
特級神官の( ФωФ)
【ふたごじま】話中の "天かける儀式" での神託によって、
祈り、しいては信仰を否定されてしまった。
彼を含めた島の人々は存在そのものすら拒絶された負の感情を抱いてしまい、
結果としてそれがアサウルスの招来を許してしまう。
しかしこの舞台裏で、一点の相克が行われていた。
とあるワンシーンから抜粋する。
(´・ω・`) 『海中はどんなものがあるんだろう』
( ФωФ) 『これ、集中しなさい』
(´・ω・`) 『ねえ、なにがあるの?』
( ФωФ) 『うむ、魚がいるのは確かだが…
か ーー …人間は水に潜れない。
誰も海の中をきちんと見たことはないのである』
-
『か ―― …』
ロマネスクは言い淀み、悟られぬように誤魔化しはしたが…
本当はこう発言するつもりだった。
『神のみぞしるのである』。
…信仰は終わっていなかった。
島の人々のなかにも同じような者は確かに居たが、
特級神官として携わっていたロマネスクのなかでは秘めた想いが特に大きく在り続けた。
アサウルスは感情を餌にし、感情目掛けて襲ってくる。
感情値が強ければ強いほどアサウルスは感知しやすくなり、
それが負の感情であればあるほどアサウルスという個体は強くなる仕組みだ。
御神体としての( ∵)が行った警告は
あくまでアサウルスの招来を防ぐためのものだった(終末年における人々のように無感情を求めた)が、
ふたごじまの民に蔓延した否定感の強さはビコーズの予想になかったといえよう。
アサウルスはこれによって一定の強さを手に入れるも、
ロマネスクを筆頭に、心の底からの純粋な祈りによって不完全な状態で降臨する。
その姿が "黒い槍" のアサウルスであり、
兄者とショボンを貫いた正体となっている。
<了>
-
■39 - 変えられるもの -
( ´_ゝ`)はかつて信仰教団としての責務は果たしつつ、
しかし ミセ*゚ー゚)リやζ(゚ー゚*ζ、
その他の信者による行き過ぎた勧誘を、それとなく止めるよう努めていた。
【ふたごじま】話中に記述された用語を紐解くとこうなる。
破折屈伏(はしゃくくっぷく)とは、いわゆる折伏を指す。
人をいったん議論などによって破り、自己の誤りを悟らせること。
摂受(しょうじゅ)は、
心を寛大にして相手やその間違いを即座に否定せず反発せず受け入れ、
穏やかに説得することをいう。
ミセリとデレは前者ばかりに気をとられていた。
兄者によって日頃から後者の心を説かれてはいたものの、
結局最後まで改善することはなかった。
とどのつまり、兄者は組織には馴染めても島の信仰に染まっていなかった。
そんな彼だからこそ、いの一番に価値観を変化させることができたのだろう。
-
ふたごじまの信仰は以下の特徴がある。
・御神体(ビコーズ)を奉っていた。
・神、および天使や神の使いの存在を肯定していた。
・信者はみんな灰黒色の木札を持っていた。
…典型的な偶像崇拝。
崇めるべきは神であり、心のない依り代を用意してまで
"見えないものを、目に見える" まで追い求める。
突き詰めてそれは
"神を信じる" のではなく、
"神を信じている自分を盲信しているだけ" だと弟者は思った。
だから弟者は耐えきれず、追放に至る。
兄者は違う。
"神を信じる" ということは、
"同じものを信じる仲間も信じられるはず" なのだと、
信仰の先にある対人感情を求めていた。
-
天かける儀式から数年…。
大空洞の兄者の元に、かつての信者として以後毎日を過ごす沢山の迷い人が訪れていた。
『あれから夜も眠れません…。
陽が昇れば思えます、新しい朝が来た、と』
『…夜の帳がおりるたびに気持ちが塞ぐんです。
もう二度とあの日には戻れないのだ、と』
『自分には何もないことを思い知ったよ。
見続けていたのは幻で、身に付いたのは身体の贅肉ばかりじゃて…』
『こんなことなら、ああしておけば良かった…こうしていたなら……
そんな思いばかりが募るのよ、ねえ』
異口同音に語られる不安。
ロマネスクですら、時に口をついて溢すことがあった。
( ФωФ)『…我々の信仰とは、一体なんだったのだろうか』
( ´_ゝ`)『皆も、きっとおなじ気持ちなのでしょうね』
そこで彼はまず話を訊き、肯定し、相手の言葉を促す。
――摂受。
そうすることではじめて、人はこちらの言葉を求める時が来る。
彼は言葉を結ぶ。
――折伏。
( ´_ゝ`)『……しかし輝く過去も、薄暗い未来も、すべては貴方の心が作り出した執着でしかない。
貴方を否定しているのは、他ならぬ貴方自身です。
誰一人として貴方を否定していない』
( ФωФ)『…』
( ´_ゝ`)『好きだった頃の貴方はもう居ないことを認めましょう。
そうすれば、きっと誰かが助けてくれる。
…たとえばそう、昨日はじめて出逢った人が縁を結ぶこともあります』
-
いつか見たやり取りを、ここにもう一度記述しておこう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ξ゚⊿゚)ξ「…儀式、結局はどう思ったの?」
( ´_ゝ`)
つ□~ 「…変わらんさ。 変われないよ」
無反応ではないが、やはり気落ちしているせいですべてを諦めたように彼は呟く。
( ^ω^)「神はまだ、兄者の中にいるかお?」
( ´_ゝ`)
つ□~ 「……どうなんだろうな」
( ^ω^)「……」
( ´_ゝ`)「…でももしかしたら、俺はもう町に居ても仕方ないかもしれないな」
そう言って彼は顔を伏せ、膝を折ってしゃがみこみ、祈るように少しだけ涙を流す。
それは海へ向けて…
かつて自分が追放した、もう会うことのできない弟へ向けて…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ここで兄者が流した涙は、失われた島の信仰に対するものではない。
人の心と向き合わなかった島民と己の末路に涙したのだ。
きちんと向き合えていたなら、
弱った彼らは互いを慰められるはずなのだから。
-
そしてもうひとつ。
兄者の葬儀でロマネスクはこう語った。
( ФωФ) 『肉体は朽ちても、魂がいく場所は我らの記憶の中なのだ』
( うωФ) 『彼はそう、我輩に説いてくれた… それで…良いのだろう?』
後年の兄者の生活は、時に挫けることもあれど、きっと充実していたのではないかと思う。
人は人と居ることで向き合う準備を整える。
人は人と触れ合うことで向き合える。
ふたごじまから三日月島へと名を変えたこと…。
それを物語る一端に、兄者を筆頭とする
"変われた者" たちが確かに居た。
世に蔓延る信仰を否定こそしないが、ないがしろにしてはいけないものも必ずあるはずだ。
遺されるものを考えて祈るべし。
本質として何が大切かを考えるきっかけになるだろう。
――願わくば、
死の間際に空っぽな記憶だけが灯び甦らないことを切に願う。
変われるものは救われる。
<了>
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■40 - 海に見た雪景色 -
"(´<_` )「よっ――こいせっ…と」
すっかり愛着のわいた小舟に荷を詰め込んで、弟者は背を伸ばした。
天に煌めく星々が彼の瞳を潤す。
ひんやりした空気が鼻孔を触る。
いま彼は一人、陸に面した低い崖下でたゆたう舟に揺られている。
月に照らされた海面がわずかながら彼という存在を知らせてはいるが、
それを知っているのは依頼人だけだった。
(´<_` )「重量オーケー、スペース問題なし。
…あとは到着を待つばかりだな」
今日の客は若い ――といっても同世代頃と思われるが―― 一組の男女。
まとめた荷物をひとまず弟者に預け、当人らは日没から夜明けまでに改めて来るという。
曖昧な指定時刻ではあるものの別段心配はしていなかった。
言い方は悪いが、人質ならぬ物質がこちらにはある。
金銭も共に受け取っているため、いざとなれば換金させてもらえばいい。
あまり考えたくはない待ち伏せという線も、自分が海にいれば逃げる自信もあった。
-
(´<_` )「…」
(´<_` )
(`<_,` )"
゚。('<. ` )「――えっくし!!」
息を吐き、ぶるるっと震えた身体を思わずさする。
防寒具として厚手の首巻きと手袋を装備してはいるがそれでも尚。
(´<_`;)「……この辺りは冷えるな」
大陸には二季がある。
空の彼方…太陽がもっとも放熱する夏と、その放熱が静まる秋。
しかしそんな秋の気候にしても、これほどの寒気を感じることは滅多にない。
ふと見上げた先に聳える大きな頂き。
ちりちりと宙に降り注ぐパウダースノウ。
天に近いほど色濃く主張し、しかし地に降り立つ頃にはかき消えてしまう儚い命。
(´<_` )「……まだかなぁ」
――アイスキャニオン。
それは古来より形成されし氷の山が鎮座する雪原地帯。
彼は棚氷の片隅に舟を止めて、いまか、いまかと依頼人を待っている。
-
大陸北西に位置するこの地域は気温だけでなく、風景も寒々しさを感じさせる。
草木の生えにくい土… 氷壁に覆われた獣道。
この山を登るための路は存在するのだろうか…。
背が高く分厚い氷が邪魔をして、なまじ歩くことも砕くこともできそうにない。
猛り吹くすきま風は迷路の入り口を連想させつつ、
その奥を見通すことすら許しはしない天然の要塞を思わせた。
(´<_` )「ワケアリ…駆け落ち… うーん、そんなところか?
暇をもて余し、なんとなく依頼人を思い起こす弟者。
悲壮感漂う雰囲気でもなかったが、どこか神妙な面持ちを残していった印象がある。
(´<_`;)「…あーくそ、ますます寒くなってきたぞ」
夜が深まってきた……。
波に濡れた舟には少しずつ氷霜が張り付きだす。
強くなる身体の揺れ。
それが冷気に凍える自分自身のせいだけではないと、
気付かされるまでそれほど時間はかからなかった。
《ド
::(´ : 》
「ぅお?!」 <_`;): ォン
――直後、吹雪空を衝く爆発音。
真横に噴き出す大量の雪土が彼方向こうへ飛んでいく。
(´<_`;)「おいおいおい…なんだよ、何が起き ――――」
-
凄まじい震動がここまで轟き伝わった。
方角は違ったものの雪崩が押し寄せる可能性を考え、
弟者はオールに手をかけた。
いつでも舟を動かせる心構えをもちながら空を仰ぐ。
(´<_`;)「…………」
…。
しかし閑静に時は流れる。
弟者がいくら待っても、
アイスキャニオンの動きは続くことなく、それきり日常を取り戻していた。
余韻としての粉雪が彼の頭をほんの少しだけ撫でていくだけ。
そんな固まった体勢のまま一時間が経とうとしている。
(´<_`;)( …早めに離れたいところだな、これは )
「待たせてしまってごめんなさい」
その時かけられた声は最後に聴いた音と同じだった。
視界の外から投げられる不意打ちの穏やかさ…。
先の爆発と比べての落差に、一瞬でも心身を強張らせてしまった己を自嘲する。
(´<_`;)「えっ――あ、ぁあ…あんたか」
ξ゚⊿゚)ξ 「約束通り残っていてくれて凄く助かるわ、ありがとう」
-
ツンは崖上まで来ると、片手でスカートの前を抑えながら舟へと飛び乗った。
カクッと揺れる足元にも弟者は平然と立ち、依頼人を支えようと腕を差し出す。
…しかし、どうやらいらぬ心配だったようだ。
彼女は慌てる様子もなく足場の感触を確かめると、
弟者の手を軽く握り返した。
そして振り向き、アイスキャニオンの麓を指差す。
ξ゚⊿゚)ξ 「あと一人ももうすぐ来るから待っててね」
(´<_`;)「いいけどあんたら…今まで雪山に居たのか?
さっき上のほうで爆発が――」
ξ゚⊿゚)ξ 「居たけど…大丈夫よ、ここまでは追ってこないはずだから。
でも念のためブーンが戻ってきたらすぐに出発しましょう」
(´<_`;)「…??」
煙に巻くようなやり取りから程なく、もう一人の依頼人であるブーンの姿が見えた。
挨拶もほどほどに、彼もまた崖から飛び乗る。
⊂( ^ω^)⊃ 「 ――っとう!」
ツンと違い、ブーンは体格に恵まれている。
ガク と大きく舟が傾いた。
ン、
…海上で荒波に揉まれることもある弟者ですら、さすがにたたらを踏む衝撃。
ξ゚⊿゚)ξ 「大丈夫?」
(´<_` )「ああ…それじゃあ行くぞ」
( ^ω^)「よろしくだお!」
弟者は掴んでいたオールに重心を落とすと、肩を回して舟を進める。
静かに…だがしかし速やかに岸辺を離れた。
-
ブーンもツンも、短い河を渡る時くらいにしか舟を動かしたことがない。
だから大海で舟を操るのは弟者の生業であり、得意分野だ。
細かな流氷を退かしつつ、
大きな流氷に行く手を遮えられぬよう、
器用にオールと舟頭を左右に操る。
( ^ω^)「うーん、さすがだお。
やっぱりお願いして良かったお」
ξ゚⊿゚)ξ 「実は誰に頼んでも断られていたのよ。
陸地経由も考えていたけれど、今日は少しでも退路を増やしておきたかったから……」
(´<_` )「退路…アイスキャニオンにはそんな危険なものがあるのか?」
ξ゚⊿゚)ξ 「一部の人にとってはね。
麓にいる分には何もないんだけど…私たちにはあそこが故郷だから」
弟者は内心驚きながらも「へえ…」と適当な相槌を打ち、
後ろにいる二人の表情を窺おうとした。
今はリラックスした様子のブーンとツン…。
しかしよく見れば、その額にはうっすらと汗が滲んでいる。
あのアイスキャニオンにいたにも拘わらず。
…走ってきた疲れとは明らかに異なる発汗の跡。
――なによりも。
今は遠くに見える、
彼らの背後の空に見えるのは――
-
(´<_`;)「――……」
弟者は生唾を飲み込み、前方へ注意を向け直す。
氷海地帯での余所見は命取りとなる。
自分だけならいざ知らず、今は二人の命を預かっている身…。
万が一、この舟が転覆でもして冷たい海に投げ出されてしまえば決して生きて帰れないだろう。
人の生が有限である限り。
ξ゚⊿゚)ξ 「……」(^ω^ )
そんな弟者の気持ちを二人が見抜いているかは分からない。
…彼らがアイスキャニオンで戦っていたのは、
かつて自分たちが産み出してしまった幻影。
今しがた弟者の見た、
この世のものとは思えぬ残像。
(´<_` )「…まあいいさ、命があるだけ俺は今日という日に感謝するよ。
さあ、ここからどこに向かえばいい?」
すでに氷の群れは抜けた。
ここからは水温も高くなり、
しかし代わり海底からの災害に注意を払わねばならない。
雪景色に背を向け、
三人を乗せた舟が少しの重みを取り戻して大海を走る。
-
( ^ω^)「西の孤島、"ふたごじま" まで」
(´<_` )「――!」
年に一度は必ずその地を告げる客がいる……まるで弟者の里帰りを願うかのように。
(´<_` )「…良かったらアンタらの話でも訊かせてくれるかな」
もうすぐ彼の故郷において、一つの歴史が刻まれる。
世界の構造と共に…。
(´<_` )「故郷…ね。
俺も実はその島の生まれでさ」
オールを漕ぐ手は止まらない。
むしろどこか急かすように力んでいるのを弟者当人は気付いてはいないだろう。
一度どこかの町で食料を…、
それと、先日までに飲みきってしまったコーヒーを補給しよう。
弟者は頭の中でぼんやりとそう考えて、次の瞬間には世界地図を浮かべる。
そうこうしているうち――。
アイスキャニオンで見た影のことを彼は少しずつ忘れてしまった。
悪い夢のように。
<了>
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