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( ^ω^)千年の夢のようです
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9/24(水) 夕方より投下します
よろしくお願いします
前スレ
>( ^ω^)千年の夢のようです
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1401648478/
まとめサイト様(以下敬称略)
>ブンツンドー
http://buntsundo.web.fc2.com/long/sennen_yume/top.html
>グレーゾーン
http://boonzone.web.fc2.com/dream_of_1000_years.htm
作品フィールドマップ(簡易)
http://imefix.info/20140922/321215/rare.jpeg
http://imefix.info/20140922/321216/rare.jpeg
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アサウルスはゆったりとした動作で振り向いた…。
焦る様子はない。
背負う月と濁った星光…
そして宵雲に潜む二つの太陽がなおも健在している。
「……娘…小賢しい真似をするな」 ミ●皿●,,彡
ξ゚⊿゚)ξ 「…」
「貴様も我の因果に含まれたいか?
余計な手を出さず、望みさえすれば
まだ長生きさせてやるが…」 ミ●皿●,,彡
ξ゚⊿゚)ξ 「…?」
ξ゚⊿゚)ξ 「そうね、お願いしたいわ」
交わす言葉とは裏腹にぶつかる視線、退かぬ不死。
蚊帳の外にいる女呪術師だけが後ずさりした。
【ウィンダラー】の狙いはアサウルスへの攻撃でなく、ショボンの緊急回避。
ダメージを伴いはしても、まだ死にはしないと踏んでのこと。
…そしてそれは思わぬ副産物をツンに与えたらしい。
表情から焦りが消える。
睫毛をはじかせ、勝ち気な眉をますますつり上がらせた。
ξ゚⊿゚)ξ 「他にも試してみる?」
⊂ξ゚⊿゚)ξ 「…【リジェネ】」
挑発する仕草でそのしなやかな腕をユラユラと揺らしたかと思えば、
流れる動作で魔法を発動する。
(;´-ωメ:)
-
光の魔導力がショボンを包む。
――反応はそれだけだった。
「……」 ミ●皿●,,彡
「ククッ、知恵は回れど実力が追い付かぬか。
弱々しき癒しの波動よ」 ミ●皿●,,彡
ξ゚⊿゚)ξ 「逃げて。
森や皆は残念だけど…貴女だけでも生きるのよ」
-
「……えっ」
認識には一呼吸分の時間がかかった。
女呪術師が、場にそぐわぬ声をあげる。
ξ゚⊿゚)ξ 「大丈夫。
せっかくアサウルス様が長生きさせてくれるっていうんですもの」
ξ゚⊿゚)ξ 「ねえ?」
「……」 ミ●皿●,,彡
ξ゚⊿゚)ξ 「ほーら、認めてるわよ」
「……」
そのやり取りに、
心中を困惑させながらも女呪術師は、一歩…また一歩と下がっていく。
視線はそれぞれに泳ぎ、やがて無防備な背中を晒しながらこの場を離れる。
自身の娘に向けていた別れの口づけとは対照的に、名残惜しそうに振り返っていた。
ツンに向けては申し訳なさそうに…。
アサウルスに向けては怒りの矛先として…。
ミ●皿●,,彡
アサウルスは静かにそれを見送るだけだった。
騎士道精神では決してないだろう…。
とはいえ、意識を朧気とさせるショボンの薄目に入るアサウルスがとても人間臭く映った。
-
ξ゚⊿゚)ξ 「… さて、と」
女呪術師が居なくなるのを見届けると、
ツンは逆手に指を絡ませ、リラックスするかのように伸びをする。
《カチャリ…》。
騎兵槍から突撃準備の鐘鳴。
「不死にすら敵わぬ我に、人間が
随分と余裕を見せるものだな」 ミ●皿●,,彡
ξ゚⊿゚)ξ" 「あら、アサウルス様?
ご存じ無いのね……」
ξ゚⊿゚)ξ 「【コンフュ】!」
伸びをしたまま――指先から放たれるは、神経回路の混濁魔法。
「?!」 ::ミ●皿●,,彡::
ドクンッ
色彩なき横倒しの刃が騎兵槍を貫通する。
直後、アサウルスがよろけ始めた。
ξ゚⊿゚)ξ
つ∴o 「貴方はショボンのことしか眼中にないのかしら?」
-
続けて詠唱したのは【フォース】。
ひたすらに物理的でしかない衝撃がアサウルス本体に襲いかかる。
吹き飛ぶ騎兵槍…
だが、ナナシの手がグリップを離さない。
重量に引きずられた身体が僅かに浮いた。
「グゥっ…小癪――
三ξ゚⊿゚)ξ !!」 ミ●皿●,,彡
その眼前に距離を詰めていたツン。
【コンフュ】から解放されたアサウルスの元へと駆け出し、
ξ`゚⊿゚)ξ 「っハァ!」
⊂彡
・・・・・・・・・
ショボンの隕鉄の刀を振り降ろす。
-
《ギチィ ―ィン!》
-
灰色の空に木霊する金属音…。
ξ゚⊿゚)ξ 「…」
ミ,,●皿●彡 「…」
重なりあう、刀と槍。
ミ,,●皿●彡 「…なんのつもりだ」
ξ゚⊿゚)ξ 「今度は反射しないのね。
意図して? それとも…アタシにはできないのかしら」
ミ,,●皿●彡 「なるほどやはり小賢しい」
鍔迫り合いする互いの武器。
…ツンはナナシの胴をすり抜け、騎兵槍を直接叩いた。
疑念を払拭するためだけに。
グッグッ…と、また嗤い声がした。
ミ,,●皿●彡 「だがこうも近付いたのは、やはり貴様の力不足というものだったな」
(;´-ωメ:) 「 ぅ…」
(;´・ωメ:) 「……はあ、はあ…」
(;´゚ωメ:) 「!!」
-
ド
::ξ;゚⊿゚)ξ:: 「――…ッッ!」
ス
ッ
…ツンの身体が跳ねた。 何度も、ガタガタと。
極短の縄で繋がれた家畜のように、決められた空間だけで痙攣を赦される。
ξ;;゚⊿-)ξ,゚、 「が――ふっ…」
徐々に上がっていく高度。
足が大地を離れ、小さなブーツを伝ってボタボタボタボタと血を垂れ流す。
…騎兵槍がツンを貫いていた。
何が起こったか、当人は把握することもままならず。
ミ,,●皿●彡 「この躯はとても良い。
身の丈を越える得物をここまで自在に操れるか」
::ξ;; ⊿ )ξ:: ビクッビクンッ
(;´゚ωメ) 「――くそ…、ツンーーー!!」
-
ショボンの身体は少しずつ動くようになっていた。
不死者といえど、自然に回復するわけではない。
これは【リジェネ】の段階的治癒の発動によるものだ。
即効性のある【ヒール】と違い、
本来ならば毒のような継続ダメージを受け続ける環境下で本領を発揮する。
消費魔導力の少なさから、非戦争地帯での治療にも役立てられる。
ツンはアサウルスの注意を引き付けるため…
そしてあえてショボンがすぐに動かないよう活用した。
やがて…ツンの痙攣が止む。
ミ,,●皿●彡 「ふむ…」
刀の扱い方を盗めなかったツン…。
瞬時に繰り出された旋風槍に対処できず、その刃を弾かれ、返り討ちにあってしまった。
ミ,,●皿●彡 「どこかでこんな死体を見たな」
結末は――百舌鳥のはやにえの如く。
槍に貫かれたその姿は、ショボンの記憶からかつての兄者をフラッシュバックさせる。
(;#´゚ω゚) 「アサウルス!!」
ミ●皿●,,彡 「邂逅…そうか。
これはいつかのお前でもあった」
-
グッグッ、グッグッ、
…嗤いが止まらない。
そうだ、このまま
女を投げつけてやろう。
…アサウルスはそんな風に考えていたのかもしれない。
ショボンから顔をそらさず、
騎兵槍を振りかぶろうとして……その意識は完全に余所見をしていた。
「…やっぱりね、
ショボンのことしか
見えてない」
Σ ミ●皿●,,彡
-
「アタシも不死者なの。⊿゚)ξ
…貴方は知らなかったみたいだけどね」
ミ;,,●皿●彡 「!!!」
(;´・ω・) 「ツン!!」
「【リベンジ】!!」⊿゚#)ξ
アサウルスの狼狽――同時、爆散する闇色の太陽光。
::《ゴ ア ァ ア ァ ァ ッ ッ》::
獣の断末が
哭き響く。
-
( 推奨BGM:Distorted Space )
https://www.youtube.com/watch?v=2wOonO74Y2M
-
シュゥウゥ……
.
: :: ,
ミ,,○皿○彡
(;´・ω・) 「…や、ったの……か?」
ξ ⊿ )ξ
(;´・ω・) 「ツン?」
膝をつくアサウルス…地に伏すツン。
どちらも立ち上がる気配は無い。
【リベンジ】…その身に受けた傷をそっくりそのまま放つ。
ダメージではなく概念であるため、
被爆した対象は痛みそのものや瀕死といった、発動者の状態をトレースする。
…かろうじて息があるのだろう。
ツンの身体は極々わずかだが、呼吸による上下運動が見られた。
貫かれた箇所は長く綺麗な後ろ髪に隠れて目視できない。
どのみち彼女も不死の者…。
生きてさえいるならば、その怪我の度合いよりも確認しなくてはならないことがある。
(´・ω・`) 「…アサウルスは」
`
: :: ,
ミ,,○皿○彡
-
ショボンは警戒しつつもアサウルスへと近よった。
しかし何も起こらない。
(´・ω・`) 「アサウルス、死んでいるのか?
いやしかし……」
空を見上げる。
夜空の彼方……雲の切れ間に、太陽は無い。
三日月島に出現したアサウルスは二つの太陽を破壊しても石化したまま、
島の海にその身を晒している。
いつの間にか現れた謎の物体として、
世間的認知が広がっているのをのちのち小耳に挟んだことがある。
生きているとは考えにくいが、消滅していないのも確かだ。
-
《 ( A ) 》
ならば東方のアサウルスはどうだろうか。
あの日あの空間でブーンが助けた男。
ハインの言葉を訊くに、彼がどうにかしたという。
-
だが、東方のアサウルスらしき発見談などこれまでに聞いたことがなかった…。
人の多くはひとつの場所に定住するが、遊牧する民もいる。
訳あって大陸から東方に旅立つものもいるだろう。
よって東方の生き残りがいようがいまいが。
何かしら形跡が残っているならば、人々は伝え、いずれはショボンの元に情報が入る。
アサウルスと蟻の痕跡を追い続けた彼に。
(;´-ω・`) 「――ぃづッ!」
ツンから取り戻した隕鉄の刀で騎兵槍をつつくと、
感触が痛みとなってショボンに跳ね返った。
そこで今度は素手で優しくさわってみる。
…やはり、さわさわと身体をまさぐられる感触。
(´・ω・`) 「相剋…か」
ツンがショボンを残して【リベンジ】…自爆したのは、
このアサウルスが彼女でしか有効なダメージを与えられないことを悟ってのことだろう。
倒せる確信があったのかは彼女にしか判らないが。
ならばショボンが期待されているのはトドメではなく、
(´・ω・`) 「恐らくは――」
-
ショボンはアサウルス本体である騎兵槍へと意識を向け、集中する。
やがて不可視の腕…その輪郭が伸び、宙を漂い始めた。
自身の腕ではない。
彼は両足のスタンスを自然にとり、両手は下がったままだ。
魔法の使えない彼だが、代わりに独自の概念を編みだし応用していた。
ふわり、ふわりと。
ショボンによく似た形の腕が魔導力によって具現されている。
(`-ω-´) 「…」
騎兵槍――そこから魔導力の波動は感じられない。
生きとし生けるものには総じて魔導力が備わっている。
アンデッド、無機物の魔導生命体…
アサウルスも例外ではなく、灰蟻にすら纏われているもの。
それが魔導力。
-
【ライブラ】が死んでいるものを生命感知出来ないように、
この不可視の腕もまた、魔導力のないものは感知出来ない。
これまでの経験と法則に則るならばアサウルスは死んでいるといえる。
――なのに、ショボンに対する相剋の特性は消えていなかった。
(`-ω-´) 「…」
もともと魔法を使えない人間からはパルス状の波動が流れているため、
ショボンの感知範疇にはもうひとつの存在が同様に捉えられる…ナナシもまだ無事のようだ。
アサウルスとの共有意識から完全に【切断】すべく、
自らの掌をナナシの顔に触れた。
直接魔導力を送り込めば、より強く意識を切り離すことが出来るだろう。
ミ,, Д ⊂(・ω・´ ) 「いま助けるぞ、ナナシ…」
騎兵槍たるアサウルスの処分はそれからだ。
そう思い、ショボンが【切断】を発した――
-
ミ,, Д⊂(;`・ω・) 「!!」 ――その時。
感知内にもうひとつの魔導力。
かつて感じたことのない、破裂寸前の膨脹波動。
背後へと振り向く。
ξ ⊿ )ξ
ツンではない。
(・ω・´;)
(;`・ω・)
他に、居る。
(推奨BGMおわり)
-
------------
〜now roading〜
ミ,,●皿●彡
HP / B
strength / B
vitality / B
agility / C
MP / C
magic power / B
magic speed / D
magic registence / H
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-
次投下でこの回は終わりです。
よろしくお願いします。
-
乙
-
ハラハラする
面白かった!乙
-
おつ!!
続きが気になる
-
おつ!ツンかっけえっす
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それは過去に無い感覚だった。
魔導力の波動……
ある日を境に世界で充満し始めたエネルギーをショボンが感じとる際、
様々なイメージをキャッチしている。
【火】が息苦しくなるならば、
【水】は重い。
【土】に締め付けられ、
【風】は感覚が薄くなってゆくかのように。
癒しを司る【光】の魔導力はむず痒さを覚えた。
(;`・ω・) 「……」
アサウルスの波動のような、チクチクとした刺々しさともまた違う。
未知に抱くは畏れもあり…。
しかしそれ以上に、彼がその場から逃げ出さないのは
心を埋め尽くすような赤黒い正体を掴みたいという好奇心が大きい。
立ち向かう精神はいつでも持ち合わせているつもりだ。
(・`ω・´;) 「……」
手は無意識に、いつでも抜刀できるよう腰に当てていた。
がっしりとした首を振るよりも忙しなく瞳を動かす。
廃巨木の奥、焼けて黒ずんだ岩の蔭、
それとも死体に擬装してはいないか…彼は意識を光らせた。
-
「……終わったの?」
だがその心配も杞憂に終わる。
ショボンの前に姿を見せたのは…ツンが逃がしたはずの女呪術師。
(`・ω・) 「まだ居たのか…どうして戻ってきた?」
問い掛けて、思わず息をのむ。
女の様子がおかしい。
敵意のベクトルをひしひしと感じさせる。
…波動の発生源すら一致させて。
「考えたの…私一人で逃げても仕方ないって。
誰もいなくなって、私はなにを支えに生きるというの?
独りで、どうしたらいいの?」
(`・ω・) 「命が惜しくなかったのか?
せっかく助かったんだ、せめてみんなの分まで――」
「声が聴こえたわ…
貴方が、ショボンだったのね」
(;`・ω・) 「!」
-
彼女は脇に何かを抱えていた…。
ショボンは目を凝らす。
それは彼女が懐へとしまいこんだはずの我が子の首。
カタカタと腕を震わせているのは、隠しきれぬ感情によるものだった。
「不死…って言ってたわね?
本当に死なないの?」
その表情は氷のように、冷たい。
その瞳孔は闇よりも、黒い。
-
(;`・ω・) 「…」
「……返事してよ、でないと」
(;`・ω・) 「…」
『理由がある、これは僕の仕業ではない』
…などという言葉は出てこない。
ショボンは葛藤していた。
三日月島の半壊滅、
赤い森の消滅、
森の民のジェノサイド……
言葉巧みに弁明すれば、もしかすると彼女からの罪は免れよう。
いずれもショボンが関わった事件だ。
しかし、彼自身が引き起こしたものではない。
ましてや望んだこともない。
アサウルスはショボンの意志とは無関係に、やがて現れただろう。
赤い森も、大陸戦争における国家間の諍いによる火の粉が降りかかったにすぎない。
ジェノサイドすら、その両方が同時に発生した不幸の結果論。
「この怒りをどこにぶつけたらいいのか、分からないの…」
だが、しわ寄せはなんの罪もない人にこうして襲い掛かる。
それをどうして己が為だけに否定することができようか。
-
さらにショボンが観察すると、女呪術師の瞳孔が大きく開かれていることに気が付いた。
子の生首の瞳すら見開き、こちらに向けられている。
(;`・ω・) 「…」
(;`・ω・) 「……僕だ」
それでも…
(;`・ω・) 「僕のせいで、君たちをこんな末路に導いてしまったのかもしれない」
「!!!」
(;`・ω・) 「不死も本当だ。
僕は死なない…何をされても、きっとまた甦るだろう」
「どう、して…」
(;`・ω・) 「…」
-
望む望まないに拘わらず、他者の評価が自己を作り出す。
映る姿は真実には相違ない。
加害者の言い訳がどれほど求められようか。
被害者の言い分がどれだけ受け止められようか。
女呪術の瞳から、一筋の涙が流れ落ちた。
「私の瞳が見えるでしょう…?
この瞳孔は、一度開いたら元には戻らない。
怨んでしまえばそれが晴れるまで求め続けてしまうのよ」
…彼女にも分かっていた。
目の前で一番にアサウルスと戦ったのもショボンであり、真に一族の仇ではないことを。
《パキッ》
「……どうして、貴方みたいな人がいるの?
なんのため?
私たちを巻き込むため?」
(;`・ω・) 「巻き込みたくはなかった…。
それでも、事実は変わらない」
「貴方が居なければ、この森も無くならなかった?
貴方が居なければ、私達一族ももしかしたら逃げることができた?」
「――止まらないの、止められないの。
聴かなければ良かった、あのまま逃げれば良かった。
貴方が…ショボンが身を呈してまで私を庇ってくれた恩すら、
この頭の中から消えていく……」
《パキッ》
-
混沌とした意識を維持できない《パキッ》のか、女呪術師の身体が更に振動し始める。
その背から、後光射す闇の波動が吹き出した。
…まるで、アサウルスの太陽コロナと同等の転輪を画いて。
《パキパキ…ッ》
(;`・ω< ) 「!!」
「これは私達への呪い。
制御不能な…魔導力……【ウラミド】の、 呪縛……」
「逃げ、て……貴方が、
私達に、囚われるべき人、で…なぃ の な ら 《パキパキッ》、 」
突如、
その手に掲げた子供の首がゴウッ――と、瞬時に燃えて発光し、散った。
-
(;`>ω⊂) 「――ぐっ!?!」
ショボンが目を奪われたその隙、女呪術師の足元からは冷え冷えとした風がそよぐ。
宙に泳ぐ鮮血の粒子。
《パキパキパキパキ――ッッ》
瞳孔から天を衝く闇柱。
蟻の顋を擁してあんぐりと開けた口から、零下の霜煙が吐き散らかされた。
(;`>ω⊂;:"`
―― 闇のブリザード。
(`>::"`
―― 一直線に彼のもとへ。
( ;::゙`
ショボンの身体を
正気に戻ったナナシが
力任せに押し流した。
それがショボンの
赤い森の記憶――。
-
《 http://imepic.jp/20150716/776760 》
-
-
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
-
「 」
-
「 ――?」
-
……目覚めよと、呼ぶ声がする。
-
早く起きろと、叱る声がする。
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( …うるさいなぁ )
眼が開くよりも先に、意識が覚醒した。
「 か?」
微睡む肉体に力は入らず、
しかし心地好い浮遊感が起き上がる義務感を結束させてはくれない。
「仕 な 。
れてたん だか 」
少しずつ聴こえ始めた音に嫌でも耳を傾けると、何者かの会話であることがわかる。
やれやれ…と。
まだ気だるげな四肢に無理やり電気信号を送り、身体を動かそうと試みた。
しかし長い時間を同じ姿勢で過ごしていたせいか、
命令を脳がキャッチするまで間があることに内心苦笑してしまった。
存外、不死の身体でも仕組みは人の枠を外れないらしい。
目蓋はなかなか開いてくれなかった。
-
《バシッ!》
頭に衝撃が走る。
誰かがショボンの頭をはたいたのだ。
从 ゚∀从 「ったく、何度揺り動かしても起きやしねえ」
『すまないな、こいつは根っからの寝坊助でね』
从 ゚∀从 「そうやって甘やかすからだよ。
あんまり長居はさせたくないんだがなー」
『なるほど一理ある』
話し声はハインと、もうひとりは男のようだ。
……いや、男が二人で計三人だと、なんとなく思った。
それよりも何故ハインに叩かれなくてはならないのか…
ショボンなりに考え始めるが、果たして納得がいかない。
从 ゚∀从 「もっぱついくか?」
『ショボンは我輩たちからみればいつまでも子供なのである。
優しくしてやってくれ』
( ――!?! )
今度こそ、ショボンの瞼が開かれる。
四人の声は明らかに異質で……
-
从 ゚∀从 「よう、おかえり」
(´・ω・`)
(´・ω・`) 「……な、なんで」
(推奨BGM:Parting Forever)
http://www.youtube.com/watch?v=e10cxFIPeKE
-
( ´_ゝ`)『ったく…お前は寝不足村の住人かっつーの』
(´<_` )『流石だな兄者、いつまでも発言センスは化石か』
( ФωФ)『久しいであるな、ショボン』
…異質だが、しかし懐かしく。
(´・ω・`) 「なんで居るのさ」
-
( ´_ゝ`)『なんでって…』
(´<_` )『お前が呼んだんじゃないか』
(´・ω・`) 「僕が呼んだ?」
ショボンは彼らに近付こうとして、すぐに理解することになる。
相も変わらぬ闇のなか。
ハインはすぐ隣でしゃがみこみ、ニヤニヤこちらを眺めている。
( ФωФ)『ほら、せっかくなのだから早く起きるのである。
おお…大きくなりおって…』
( ФωФ)『撫でてやりたいが、子供扱いも失礼であろうか』
他の三人は違う。
よろりと立ち上がるショボンにしても、少し見上げた位置にいる。
彼らは…[かがみ]の "向こう側" に映し出されていた。
-
从 ゚∀从 「最初に言っただろ?
念じればこの[かがみ]に映るんだ。
お前の過去の出来事も…お前の過去の記憶の人物も」
遅れてハインも立ち上がり、エッヘンとした様子で腰に手をやった。
ショボンからは背後にいるため見えないが。
(´・ω・`) 「そうか…なら過去を覗いているうち、兄者さんのことを考えた気がするよ」
(´<_` )『俺は?』
( ´_ゝ`)『ふっ、嫉妬するなよ愚弟』
(´・ω・`) 「思い出したのは死に様だけど」
( ´_ゝ`)『…』
(´<_,` )
( ФωФ)『赤い森…そしてそのあとの事も。
色々と見させてもらったのである』
(´・ω・`)
( ФωФ)『大変だったな、ショボン』
-
自らの産み出した幻とはいえ、誰もが以前と同じだと思った…。
サスガ兄弟も、ロマネスク爺も、
かつて少年だった頃のショボンの記憶に彷彿とさせる。
(´・ω・`) 「……なんだよ」
だから、後ろめたさがあった。
(´・ω・`) 「[かがみ]の幻覚のくせに……」
( ФωФ)
時は経ち、ショボンは彼らよりもはるかに齢を重ねてしまった。
二度と変わらない背格好と、過ぎたる現実。
…もう、後戻りもできない。
ショボンがアサウルスと関わったことも。
赤い森が地図から消えてしまったことも。
ナナシがショボンを庇い、氷漬けになって生ける屍と化したことも。
それ以降、呪術師の生き残りであるワカッテマスに永く怨まれていたことも。
(´・ω `)
从 ゚∀从 「俺がクーの景色を覗けるように、
お前がモナーの景色を覗いたように…」
从 ゚∀从 「こいつらも、お前の記憶やその周りを覗くことができたみたいだ」
-
(´<_` )『お前にも伴侶がいたんだな…。
心配してたんだぞ?
兄者が死んでからのお前はそれまでと、まるで別人だったから』
(´<_` )『ずっとじゃなくてもいいんだ。
誰かと過ごす時間…それが人生の潤いになる。
…俺がお前にしてやれなかったことを、他の誰かがやってくれたなら俺も嬉しいよ』
結局しぃとは生涯、顔を合わせなかった。
どんな顔をしておめおめと帰るべきか判らなかった。
誰にも伝えられない大罪に… 彼女とその子供に…
罪悪感を抱き続けていた。
-
( ´_ゝ`)『なのにお前はずっと独りで…
"自分はこの世に独りきり" だと思い込んで、生きてきたんだな』
( ´_ゝ`)『あげく水の都で犠牲になったのは、ヒロイックな感傷にでも浸りたかったのか?
一度くらい死なないと、みんなに申し訳ないってか?』
同族を見渡せば…
クーは死ぬことでかつての記憶を失い、
ジョルジュはワカッテマスを失った。
不死であろうと、人は常に何かを失わねばならないのだと思っていた。
( ´_ゝ`)『人は孤独で死ぬことができる。
信仰という支えの無くなったあの島で、俺が一番気をもんだのは自死への対策』
( ´_ゝ`)『…お前の両親の分まで、俺はお前を孤独にさせないよう過ごしたつもりだ』
(´ ω `)
-
叱られ、怒鳴られ、見損なわれても仕方のない生き方を、
ずっと…自分はしてきたのではないかと……どこかで考えていた。
( ФωФ)『ショボン…お主はバカタレであるな』
(´ ω `)
( ФωФ)『どれだけ人に愛されてきたのか、まだ分からぬか?』
( ФωФ)『思い出してみるが良い。
どれだけの人が、お前を助け、お前を生かしてきたのかを』
[かがみ]の住人は容赦なく言葉を投げつけてくる。
サスガ兄弟からは慰めを…。
ロマネスク爺からは一喝して諭すように。
-
( ´_ゝ`)『ショボン、ふたごじまを…
弟者やロマネスク爺の住んだ三日月島を救ってくれてありがとうな』
( ´_ゝ`)『そして俺のためにアサウルスを延々と追わせてしまって…すまなかった』
(´<_` )『ショボン、お前は凄い奴だよ。
俺たちはすぐに老いぼれるから、
生き方をどうこうだなんて考える以前に楽な生き方を選びがちだ。
…島の技術や人々も、大陸各地にあるだなんて昔なら考えられなかったぞ』
(´<_` )『追放された俺でも、あの島でやっと生きやすさを見付けて天寿を全うできた。
息子の末者も、ちゃんとお前の力になってくれて良かったよ』
( ´_ゝ`)『ぇ、なにそれ、お前子供作ってたの?』
(´<_` )『デレとな』
( ФωФ)『それはそれは……祝えなくて残念だったのである』
( ´_ゝ`)
(´<_` )『…そういえば兄者はミセリよりデレ派だったっけか』
( ´_ゝ`)『実体があったら殴りかかってるところだよ……なあ、ショボン?』
(´ ω `)
( ´_ゝ`) 『……』 (´<_` )
-
ショボンと兄弟の沈黙を受け、再びロマネスクが口を開いた。
( ФωФ)『仲間が出来たのであるな。
お主と同じ時間を共有できる……』
( +ω+)『不思議なものである。
ショボンも、彼らも、なぜ生まれたのであろうか』
(´ ω `)
( ФωФ)『…逆であるか。
生まれてきたからには必ず意味があるはずなのである。
必要だから生まれたのだと、我輩は信じておるよ』
( ФωФ)『一緒に日々を過ごしてくれてありがとう、ショボン。
…我輩は、お主が死ねないことを憂いる。
悦ばしいことも、怨めしいことも…凡てが永遠に終わらぬのだから』
从 ゚∀从 「…」
( ФωФ) 『ショボン、もっと強くなれ。
他人を頼るのだ』
-
( 強くなって…他人を頼る? )
昔はなんと口うるさい爺だと、うっとうしげにあしらっていたものだった。
なのに今なら、ショボンにも分かることがある。
…ロマネスクも微笑んでいた。
血縁はなくとも、孫と話すことがとても嬉しそうに。
そして思う。
ロマネスクはこんなに難しいことを話す人間だったろうか?
会話からイコールが繋がらない。
少なくともショボンのなかではそうだ。
「どういうこと?」
いつのまにか幼い頃の声色となったショボンが真意を尋ねると、
淀みなくロマネスクは応えた。
-
( ФωФ)『耳を塞ぎ、心を閉じてはならぬのだよ。
お主の過ごした時間は確かに誰かの命を奪い、しかし同時に誰かの命を救ったではないか』
(´<_` )『三日月島では兄者の代わりに俺が生きた。
兄者が生きていたなら、お前がアサウルスの手足になって島の人間を皆殺す未来もあったかもな。
…その手で兄者やデレ達を殺すような、考えたくもない架空の未来だけど』
( ´_ゝ`)『モナーは呪術師の血を薄めて、【ウラミド】の呪いを解き始めた。
…お前も後に逢っただろう? 二代目モナーはあの時の子供だよ』おう
( ФωФ)『水の都に至っては誰ひとり、その命を失ってはおらぬ。
他者には呆気なく映る平和的解決も、お主の迅速な行動が生んだ奇跡なのだ』
( ФωФ)『見誤ってはならぬ。 卑屈にもなるな。
考え方ひとつ、視点を変えれば人は感謝し合って生きていけるのである』
-
ショボンは彼らの言葉を黙って聞いていた。
決して自分を責めない言霊が、
身体中に染み込んでいく心地よさに沈んでいく……。
足は地についているだろうか?
そんな不安に駆られたが、
そもそもここが大地なき宙闇の空間であることをなんとか思い出す。
沈下する目線に追い打ちをかけるよう
ポンっ――と、ショボンの頭に重みが加わった。
ハインの手のひらが置かれたのだと、見てはいないが理解する。
从 ゚∀从 「アタシからもひとつ教えといてやるよ」
从 ゚∀从 「[かがみ]が映すのは過去だけじゃない…
さっきのクーみたく、現在も映してくれる。
要するに思いの大きさ、想いの強さに影響を受けて投影されるってわけだが…」
つっけんどんな口調ではあるが、それはハインなりの照れ隠しなのかもしれない。
ショボンの視線はあくまで[かがみ]の三人に注がれているにも拘わらず、
どうして彼女までが微笑っていると分かるのだろう…。
-
「前に出な… [かがみ]にもっと近付いて」
…ハインの声に導かれ、ショボンは恐る恐る歩を進めた。
眼前にそびえる[かがみ]。
――こんなに見上げるものだったろうか?
変わらず映るはあの頃の三人の姿。
願望に従い、考えるよりも早く腕を伸ばして触れる。
到着点はまっ平らな[かがみ]ではなかった。
紛うことなく、それは[かがみ]を越えて現れた
兄者、弟者、ロマネスクの三者三様の手の感触。
ショボンがそれに驚く間も無くぐいと引き寄せられると、四人は肩を寄せ合う形になる。
-
『どうした、ショボン?』
『…やれやれ』
『家族の前では、
いつまでも子は子であるな』
「…うるさいなあ」
-
( ´_ゝ`)
⊃(´;ω;`)(´<_` )
( ФωФ)⊂
-
人はいつも誰かと共にある。
一匹狼を気取るのは、人を傷つけたことにすら目をそらす愚か者だ。
人はいつも誰かを求めている。
ひとたび出逢えば縁を紡ぎ、その蜘蛛の糸が千切れるまで助け合える。
誰に何を言われても強くあり続けることのできる存在などありはしない。
瞬間を生きる者も、悠久を過ごす者も、
同じ時を歩み寄り添う。
――そうやって、人が安穏と
生きていければどれほど良いか。
-
从 ゚∀从 「…」
从 -∀从
从 -
′
四人を遠目で見つめながら、ハインは闇に消えていった…。
その身を、黒い何かに巻き取られながら。
( ´,_ゝ`)o
⊃(`;ω;)(´<_,` )
( +ω+)⊂
ショボン達はそれに気が付かない。
今はただ[かがみ]が与えた記憶と邂逅に、
束の間のうつつを抜かす。
-
―― 千年を生きる者。
―― 千年を過ごす可能性を秘めていた者。
[かがみ]に善悪はない。
只あるのは、
未来と、それを生き抜く概念と願望…
この世界を構築するエネルギーだけを貪欲に求めている。
-
リミットは刻々と迫りつつある。
"彼ら" は手に入れなくてはならない。
運命を乗り越えなくてはならない。
[かがみ]による願望の投影によって
うたかたの合間、幼くなったショボンに
闇に光る粒子の灯りが不規則に、しかし…確かに三つの輝きが、
煌々と照らされ増えたことにも気付くことはない…。
-
( …あの日以来、初めて )
( 少しだけ、心が休まった気がする )
( 自分を赦してくれる人と一緒に居るのは、こんなにも気持ちの良いものなんだ )
( でも兄者さんたちも、
僕が死んでここに来なければ逢えない幻覚… )
( 不死の僕には、せっかく
寄り添う存在が見つかったとしても
必ず別れが訪れてしまう…… )
-
そしてショボンは少しだけ、
ξ-⊿-)ξ
∪^ω^)
ブーンとツンを、羨ましく想った。
(了)
-
乙
-
乙
引き込まれたわ
-
乙!
-
--------------------------------------------------
※千年の夢 年表※
--------------------------------------------------
-900年 ***********
→信仰の概念がうまれる
( ∵)は偶像生命体として同時に生誕。
-400年 ***********
→結婚(結魂)制度のはじまり
-350年 ***********
【ふたごじま】
→魔導力の蔓延
-312年 ***********
【銷魂流虫アサウルス (´・ω・`)幼年期】
→ "隕鉄" が世界に初めて存在しはじめる
【東方不死 〜山人の夢〜】
→('A`) がアサウルス(a)と相討ち
-220年 ***********
【銷魂流虫アサウルス (´・ω・`)青年期】
【傷痕留蟲アサウルス】
→アサウルス(c)撃破
→騎兵槍と黒い槍(アサウルスb)が融合
→('A`) がアサウルス(a)から解放
-
-210年 ***********
→大陸内戦争勃発。
【帰ってきてね ミ,,゚Д゚彡幼年期】
-200年 ***********
【帰ってきてね ミ,,゚Д゚彡青年期】
【死して屍拾うもの】
【夢うつつのかがみ "赤い森の惨劇" 】
→結魂によって二代目( ´∀`)生誕 ☆was added!
→アサウルス(b)復活 ☆was added!
→ミ,,゚Д゚彡は【ウラミド】に巻き込まれてアサウルス(b)もろとも氷漬けに ☆was added!
-195年 ***********
→大陸内戦争終了。
【はじめてのデザート】
-190年 ***********
【その価値を決めるのは貴方】
-180年 ***********
【老女の願い 復興活動スタート】
-150年 ***********
【老女の願い 荒れ地に集落が出来る】
→川 ゚ -゚) が二代目( ´∀`)に指輪依頼の時期。
-140年 ***********
【老女の願い 老女は間もなく死亡】
→指輪の暴走時期。 川 ゚ -゚) が湖に封印
-
-130年 ***********
【人形達のパレード】
【此処路にある】
→(´・ω・`)( ゚∀゚)川 ゚ -゚) の三人が集結
→二代目( ´∀`)死亡時期
【夢うつつのかがみ 水の都】 ☆was added!
【東方不死 湖から( <●><●>)引き揚げ】
-120年代 ***********
【矛盾の命】
→ξ゚⊿゚)ξが石化(?)
【東方不死】
【白い壁 黒い隔たり】
→ウォール高原の国法制度が崩壊
-100年代 ***********
【繋がれた自由】
【遺されたもの】
【時の放浪者】
→ミ,,゚Д゚彡( <●><●>)( ゚∀゚)川 ゚ -゚)が同じ場所にいる
( ´∀`)は四代目。
-40年代 ***********
【老女の願い 集落は町として発展】
00年代 ***********
【老女の願い】
→( ^ω^)がプギャーとギコに再会
-
これで今話の投下を終わります、ありがとうございました
大陸マップの更新もしてあるのですが
肝心のデータを手元に移し忘れたので後日貼り付けます
…残り6話、その後エンディングです
読んでくださる方には是非とも、もう少しのお付き合いをよろしくお願いします
(´・ω・`)ω・´): 傷痕留蟲アサウルス >>6
('A`) :東方不死 >>170
( ^ω^) :白い壁 黒い隔たり >>329
(´・ω・`) :夢うつつのかがみ >>438
-
乙 もう残り6話か…長いような短いような
続きも楽しみに待ってるわ
-
読レスありがとうございます
いつも読んでいただいて嬉しいです
★誤字脱字の修正について
>>587
>「不死にすら敵わぬ我に、人間が
随分と余裕を見せるものだな」 ミ●皿●,,彡
※正しくは↓
「不死すら敵わぬ我に、人間が
随分と余裕を見せるものだな」 ミ●皿●,,彡
>>600
>自身の腕ではない。
彼は両足のスタンスを自然にとり、両手は下がったままだ。
※正しくは↓
自身の腕ではない。
彼は両足のスタンスを自然にとり、両肩は下がったままだ。
>>637
>…お前も後に逢っただろう? 二代目モナーはあの時の子供だよ』おう
※↑おう、は消し忘れ
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おう乙
あと六話か
楽しみにしてる
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投下できなかった大陸マップの更新についてだけ
作品フィールドマップ
http://imepic.jp/20150728/318990
http://imepic.jp/20150728/319000
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いつも読んでくださる方、ありがとうございます
時間の都合上、今回もひとつの話を前後編として分けて投下します
本日の19時過ぎから前編を。
後編は少し間をおいてしまうかもしれませんが、
今週末には投下し終えると思うのでどうかよろしくお願いします
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('∀`)うわーい
投下予告ありがとー
楽しみにしてるぞ
-
wktk
-
その状態を、なんと呼べば良いのだろう。
从 ゚∀从
暇をもて余す…いや、やるべきことはある。
そのために彼女は存在していなくてはならない。
::从;゚∀从::
手持ち無沙汰…というほどには楽もできない。
現にいまも彼女へと闇が巻き付き、その身を拘束し始めたところだ。
-
::从↑∀::::
冥獄の亡者が絡める果てなき腕。
溶け込む背景もまた常闇。
从;:'' '
そして呑まれていく。
これまでも、これからも。
彼女の身体がすべて喰い尽くされると、この空間は真に静寂をもたらす。
呼吸音も、心音も、光さえ誰にも届かない。
――まさしく【無】。
-
彼女が居なくなっても…観測を続けるかのように闇は続く。
意識だけは何処かにあるものの、しかし彼女が何かを視ることは叶わない。
…そうして幾ばくの刻を経て、やがては前ぶれなく、宙に色が生まれる。
はじめは黒く。
白を混ぜて灰色がかり、同時に碧と紅に脈打つ線が走り出した。
-
血を通わせ――、
神経を通わせ――…
それすら見えなくなる頃、宙に浮かぶのは橙色の、歪な様相を醸す珠だった。
ブヨブヨと弾力性を伴うせいかまともに円すら描けずもがく様が、
グロテスクな剥き出しの心臓を思わせる。
ドクン....
ドクン …
ド ク ン・・・
鼓動は徐々に大きくなっていく。
人のいない真っ暗闇に唯一、息づく太陽が主張を開始した。
-
膨張した太陽は人の大きさほどになると、大樹に実る果実となる。
吊るされた提灯のように、その内部に明かりを灯した。
……更なる静寂の後、
ベリベリベリ…ッ!
(=⊂从; ゚∀从⊃=) 「――暑っいんだよ!」
熟れた果実が反転して人の形を成した。
途端、彼女は薄殻を乱暴に破り捨て現れる。
从 ゚∀从ゞ 「…ぁー、くそ」
ベタベタとまとわりつく保護液は放っておけばすぐに渇くことは知っている。
…そもそも、拭き取るものすらここにはない。
一糸纏わぬ姿で軽く足踏みすると、
髪をバサリと振りあげ後頭部を掻きむしった。
そして二、三の咳払い。
-
从∀゚ 从 「ショボンはもう戻ったか」
从 ゚∀从 「そしてまた誰も居ない…ね」
寂しげにひとり呟き、歩き出す。
先ほどまでは見えなかった紫色のモヤが前方に陰ったかと思えば、
あっという間に眼前立ちはだかる自分自身。
――どこか歪な写し身。
彼女はそれを[かがみ]と呼んでいる。
兄者、弟者、ロマネスクは
ショボンと共に解放されたのか姿を見ない。
代わりに映るのは。
スレンダーではあるがどこか不健康で、女性らしさを失ってしまった骨と皮の構成体。
あえて直視せぬまま[かがみ]に手をかざし、意識を集中させる。
从 -∀从
从 ゚∀从 「……たまにはこんなのもいいか」
手を離し、顔を下げた。
[かがみ]に照らす景色は変化している。
-
白基調のタートルネックに露出した肩。
二の腕を残し、指先まで覆うレッグウォーマー。
膝下まで垂れ下がる絹の法衣は、白と灰の緩やかすぎるコントラストを描く。
スリットがはいっているが、ロングブーツとの狭間に揺れる素肌をチラつかせる風はない。
从 ゚∀从 「へへっ」
…彼女の髪の色と相まり、よく映えた。
装飾は肢体を彩り艶やかにしてくれる。
貧相さを覆い隠してくれる。
片足を軸にくるりと廻ってみた。
布きれが生む動きは少ないものの、
彼女のためにデザインされた法衣は何者にも侵されぬ神聖さを醸し出している気がした。
-
从 ゚∀从 「…懐かしいな、これも」
[かがみ]で具現した衣類…それは遠い過去、譲り受けたものだ。
少なからず辛いこともあったが、嬉しいことのほうが多かった日々を思い出す。
从 ゚∀从 「結局…三人並んでは着られなかったしな」
人は永遠を憶えることはできない。
かつて所持した品々は、そんな頼りない脳細胞の代わりに当時の記憶を受け継いでくれる。
彼女――ハインリッヒは、[かがみ]の前でもう一度くるりと舞った。
続いて右へ、左へ…時に弾みながら、リズミカルに小さくゆったりと。
まるで玩具を買い与えられた女の子が、全身で喜びを表現するかのように。
タン…
タン…
タタン…
从 ^∀从
心のなかで鳴り響く足音はとても愉しげに聴こえた。
闇に浮かぶ、満面の笑み。
止める者は誰もいない。
真っ暗闇に、一人きりの舞踏演。
それで良い。
ハインにとって、それは人生で一番輝いた感情。
きたる日が来ず、あのままであったなら…。
二度と表に出すことを赦されていなかったのかもしれないのだから。
-
( ^ω^)千年の夢のようです
いつか帰る場所で
-
----------
誰しも物心のつく遥か昔から――。
外の世界は蒼と灰闇によって、天地が延々と支配されていた。
土も、木も、湖も、岩も、雪も、砂もない。
一面の大海……ただそれだけ。
人類はそれが当然であると受け入れていた。
いつから始まったものなのか、当の人々ですら誰も知る由はない。
翼もつ存在はとうに絶え、大海原を住み処とする存在もすでにいない。
唯一…海洋の最果てにそびえる巨大な塔、グランドスタッフだけが
この世界に生ける者の闊歩できる唯一の箱庭だった。
-
「もう用意は出来たのか?」
辛うじて聞き取れるほどのくぐもった声が、明るい密室に木霊する。
対照的に薄暗い死の外界を窓越しに眺めながら、小太りな男は振り向かずにそう言った。
背後には頭を垂れる痩せこけた女が立っている。
両者ともに制服であろう外套に全身を隠し、フードを目深く被っているため
その表情を互いにうかがい知ることはできない。
「ぬかりなく」
「よろしい。 あとは六人次第か」
返答して…女には聞こえないよう、ため息をついた。
原因は彼自身にもわかっている。
「あとどれくらいの猶予があると?」
「約3日後に沈むとの観測が評議会指令本部から」
「平時すら悲観的なことに敏感な奴等だ。
何度もシミュレートした結果だろうから間違いはあるまい」
「こちらの準備も迅速に、との通達を共に」
「俺たちにそれを言う時点で、連中は本質が理解できているのかを問い詰めたいところだな」
-
太った男は宙に向けて言葉を吐き出す。
本来向けるべき相手…評議会員はこのグランドスタッフ地下で飽きもせず、
地核振動演算に精を出していることだろう。
働いている分には文句などないが、
今更わかりきった世界の行く末と、行き着く末の向こう側……。
それをわざわざ狂った人形のように、
繰り返し明らかにする人種を二人は最後まで好きになれないままだ。
「互いに息子がいる。
親ならばせめて立場を放り出してでも傍に居てやりたいのだろうな」
「そうですね、そうなります」
「保ちそうか?」
「わかりません。
ですが彼の人生ですから。
彼自身に満足いくピリオドを選んでもらうつもりです」
「そうか」
「西川さん、報告は以上ですが何か折り返しますか?」
「不要だ、戻ろう。
我々に出来ることも、三日後までは何もない」
不自然なほどに抑揚の無い会話を終え…二人はひとつしかない扉を後にした。
空調の効いた室内はしかし静かで、足音だけが彼らの在りかが遠ざかることを教えてくれる。
-
----------
その日、外は大嵐だった。
だが報せの音は箱庭の誰にも響かない。
窓もなく、目を惹く色も形もなく、ただ広大…。
無限を思わせる無機質な白のエントランスの一角で、
人目を気にもとめない荒い声が反響する。
(;^ω^)「どういうことだお?!
そんなこと、昨日までは一言も……」
「当然だ、本日付けの決定事項であり当人らも既に輸送した」
(;^ω^)つ 「一週間後には結婚式だお!
伊出に逢わせてくれお!!!」
「本日の許可は降りない」
荒声の主はがっしりとした、恵まれた体躯を目立たせる青年だった。
奥に鎮座する大扉。
その門番を務める相手の胸ぐらを掴むほどに興奮し、くってかかっていたところだ。
誰もが通り過ぎ、横目に見ることもない。
門番も、自身への暴力的行為についてなにも言及しない。
ただただプログラムのように最後の言葉を繰り返した。
「許可が降りない以上、通すことはできない」
でき損ないのオートマトンが台本を棒読むような無気力さだった。
-
「その手を離しなさい」
(^ω^;) 「西川…」
青年に向けて新たに吐かれた言葉は、門番のものではない。
くぐもった声…先程まで職務室にいた小太りの男だった。
「内藤の声は大きすぎる、あちらのほうまで聴こえていたぞ。
彼も仕事で言っているだけだ。
判ったらその手をおろしておくように」
そう咎める助け船にも、門番は表情を変えない。
ただ無表情に乱された外套の襟元を正し、数分前と同じように己が職務に戻ってこう言った。
「西川にはすでに通達が届いているはずだな?
説明はそちらでおこなっておいてくれ」
( ^ω^)「…あんたがこんな時間に出歩くなんて珍しいお」
「息子との時間を作りたくてな」
( ^ω^)「僕との?」
内藤は耳を疑った――。
血の繋がりはあれど情はなく、縁も果てなく薄い…。
間もなく二十を数える人生ではじめて聴く台詞を受けた。
それほどの父、西川との関係性。
-
だがそれ自体は珍しい光景ではない。
家族をもつ誰もが、同じように希薄な繋がりで生きている。
希薄…そう感じる事こそマイノリティといえる。
違和感を覚えるのは、グランドスタッフにおいて極一部の者だけだ。
( ^ω^)「いったん家に戻るお。
知ってること…詳しく教えてくれお」
頷き、父は息子の肩を抱き連れ歩きだす。
息子は父の温度を感じながら歩きだす。
そこに気恥ずかしさを持つのも、
いまこの場では、やはり内藤ただ一人の胸中にしか生まれない感情だった。
-
薬剤の包装アルミ箔にも似た、
おなじ間隔おなじ扉がずらりと並ぶ住居エリア。
( ^ω^)「評議会でなにが起きたんだお」
――010号室。
カーペットの敷かれた部屋には、
内藤が木材でこしらえた背の低い椅子が乱雑に置かれている。
「三女神の一人となるべく、井出はいま最上層にいる」
( ^ω^)「めがみ?」
しかしお互いそこには座らず、床から延びた円柱を椅子がわりにした。
西川が選ぶのはいつもそちらだ。
内藤の造った椅子に腰を下ろす場面を見たことがない。
日常の光景。
内藤の舌打ちが虚しく空に舞うが、
それを気にする様子は父親から見られなかった。
-
「なにか可笑しいか?」
( ^ω^)「なにか、って……」
女神――いにしえの比喩表現において表れた、実在なき偶像の概念。
創られては地母や鬼母のような両極面をもち、感情の象徴として捉えても差し支えない。
それを目の前の男が発する異物感が大きい。
「私も生まれる遥か以前のロストワードだからな、無理もない」
( ^ω^)「…回りくどいお…その女神が、井出とどう関係して――」
「あの針が6度回る頃にこのグランドスタッフは沈み、硬く暗い海でみな死ぬこととなった」
( ゚ω゚)「 は?」
-
「お前にもやってもらうことがあるのだ。
次に呼ばれる時は井出とも逢えるだろうが、それが見納めだと思ってくれ」
( ゚ω゚)
「せめてお前の結婚式は見てみたかったが」
( ゚ω゚)
人類の歴史は間もなく終着点に到達する。
緩やかに…しかし加速度的に、
幾星霜の果てで世界は死に辿るのだ。
( ゚ω゚) 「……それ、どういう意味だお」
――確定済みのロストオデッセイ。
(消えゆく人類の遍歴)
-
世界には。
物質を物質足らしめるための二大要素がある。
【魔導力】は想像と魂を生み出し、
【重力】は命をはじめとする総ての存在を具現した。
どちらも欠けてはならない。
重力がなければ、生まれるはずの命も魂と成るまえに散る。
魔導力がなければ、何一つ創造されない【無】の世界となる。
バランスを保って過ごしていたはずの永き史上に飽いた摂理の結果か…。
そもそもが平等性を欠いた別離の繰り返しか…。
いつしか暴走を始めた魔導力によって、天地は人の手を離れ、
重力は彼方に消えようとしている。
何年前…何十年前…
それとも何百年、何千年と…。
星はもはや、ひたすらに生の息吹をぐしゃぐしゃにかき回し、
虚しく命の粒子を巻き散らかすだけの遊戯処刑場と相違無い。
それでも…定まることを知らぬすべての生命。
感情が失されながらも、
辛うじてその名残をもつ人間が存在した。
(; ω ) 「いや、それよりも彼女は…ツンはどうなってしまうんだお?!」
「どうにかなってしまうのは我々のほうだ。
私も、お前も」
(; ω ) 「…」
「伊出は生き残るために礎となる。
人が、人であるうちにな」
-
----------
从 ゚∀从
_
ξ゚⊿゚)ξ
川 ゚ -゚) 「私達は…これからどうなるんだ?」
「どうにかなってしまうのは我々だ。
高岡、伊出、素直。
君たち以外は針が6度回る頃にグランドスタッフと共に沈み、魔導力の藻屑となる」
――時、同じくして。
グランドスタッフ最上層に位置する赤い空間…。
やはり全身に外套を被る評議会員の元、終末を通達される三人の女性がいた。
「君たちは尖兵であり、さもなくば最後の人間だ」
ξ゚⊿゚)ξ 「…なぜ、私たちなのですか?」
天井というものはそこに有って無いような場所だった。
内部での視界は不思議とクリアだが、
半透明に映る外を悠長に眺めるには、外壁をなすクリムゾンカラーのベールが邪魔をする。
吹きすさぶ大嵐がノイズとなって更に不透明さを増した。
ここに立つ限り、世界は紫と濁赤に染まり、世の終わりの増殖を連想させる。
-
名前通り、グランドスタッフは杖の形状をしている。
天空から見下ろせばスケールに従い、先端には巨大な紅きオーブが嵌め込まれていた。
そんな球体内部からはじめて見る景色。
素直はほんの少しだけ目を細め、
伊出は大きく眉をひそめ、
高岡は微動だにしない。
「感情値の高い者と想像値の豊かな者、そして性別が雌の君たちが選出された。
もっとも可能性が高いために」
从 ゚∀从
川 ゚ -゚) 「中身の説明はいただけるのか?
いや、それとも拒否権の有無は」
「拒否はすなわち人類への反逆を表すことになる。
しかしそれを罰することは評議会でも決定していない」
ξ゚⊿゚)ξ 「…」
「説明に入る」
从 ゚∀从
-
海に沈殿する魔導力の暴走により、ことごとく触れた物質が海面に熔けてゆく。
例外はない。
魔導力は人のみならず、星への猛毒としてすべてを滅ぼしにかかっていた。
かつてのグランドスタッフならば天を貫くほどの高さを誇るも、
今では最下層が浸かり、その根元すら維持できていない状態だ。
事ここに到り、評議会は科学技術による回避手段が尽きてしまい、
ついにははち切れんばかりの魔導力を、反対に利用することに活路を見いだした。
「有を減退させることは出来たとしても、
無になったものを再び呼び起こすことは出来ない」
それが発足したばかりの評議会が出した結論。
重力はもう戻らない。
もはや魔導力を抑え込んでも人類の末路は変わりない。
評議会は移住を決めた。
"別の星" ではなく、"別の世界" へ。
それは魔導力を結晶化し、概念に乗せ、新しい世界へと人類を移す方舟計画。
「そのためには我々では話にならないのだ。
感情をもつ者が想像し、はじめて創造できる」
_
ξ゚⊿゚)ξ
「世界を……?」 从∀゚ 从
川 ゚ -゚)
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