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( ^ω^)文猫冒険季のようです
1
:
名も無きAAのようです
:2014/07/24(木) 03:43:51 ID:4VilwLJE0
はい
93
:
名も無きAAのようです
:2014/07/25(金) 22:14:32 ID:I8WsSvkw0
<_プー゚)フ「ああ、谷の……ハルピュイアのお嬢ちゃんか」
イ从゚ ー゚ノi、「あなた、しってる……あーす、どらごん」
<_プー゚)フ「そうだよー、ところでなんでコスチュームプレイしてんの?」
( ^ω^)「プレイ言うなし」
そうして、今しばしの時をボクらは過ごした。
空を明るくしはじめた陽も、とうとうその姿を現して、
砂と、白波をまばゆいばかりに輝かせる。
最初は興味津々なようすでボクらを眺めていたギンも、すぐに飽きたのか、
気付けばあたりをいったりきたり、たまに小さく羽ばたいては、
小鳥が飛び跳ねるように貝殻やら、海草やらを見つけては座り込んでいる。
そしてまた、くるりと反転。
陽に照らされて輝くのは、白金の奥、虹の翼。
キラキラと、輝きの中を少女は跳ねる、まるで踊っているようだ。
94
:
名も無きAAのようです
:2014/07/25(金) 22:15:33 ID:I8WsSvkw0
ボクらはそれを微笑ましく見守るばかり。
それゆえ、気付かなかった。
崖の上、立ち並ぶ木々の合間から、海岸を覗き見る姿があったことに。
「……!?!? す……すげぇ!!」
こうしてこの地には。
ドラゴンたちが集う場所、とかいう新たな伝説が生まれる事になるのだが。
それはもう少し、先の話である。
さて、陽も上がってきたし、そろそろ戻らねばと別れをきりだし、
そういえば、と向けた背に首だけまわして問いかけた。
( ^ω^)「あ、もう一個忘れてたお」
95
:
名も無きAAのようです
:2014/07/25(金) 22:16:25 ID:I8WsSvkw0
<_プー゚)フ「なんじゃらほい」
( ^ω^)「結局、ぜんぶお前が魔法……精霊を操って行ってたのかお?」
<_プー゚)フ「んー…どこまでを全部かは分からんが、そうだなぁ」
<_プー゚)フ「あっちの、最初の町の方は俺が仕込んでたよ」
具体的には、洞窟を掘って、あちこちの精霊を呼び集め、
あとは彼らの好き放題、やりたいように任せていた、とエクストは言った。
(;^ω^)「町の方、は? ……ん? ここは?」
<_プー゚)フ「ここ? ははー、バカだな、流石に目の前で使ったらバレちゃうだろ、
だからあっちのはあらかじめ仕込んでおいたの!」
(;^ω^)「え?」
<_プー゚)フ「だから、こっち来てからは、何もしちゃいないよ」
(;^ω^)「………え?」
96
:
名も無きAAのようです
:2014/07/25(金) 22:21:34 ID:I8WsSvkw0
<_プー゚)フ「んじゃ、行くぜ」
(;^ω^)「いやちょ―――」
( ^ω^)「……うい、風の向かったその果てで」
<_プー゚)フ「うむ、悠久に過ぎ行く地の果てで、また会おうぜオメガ」
言って、いや吠えてから、エクストは巨体を海中へと沈めていく。
いくつもの泡と白波が、これまたいくつもの渦巻きに吸い込まれ、消えていく。
振り向いた。
見れば、大きな洞窟の上、崖部分にはいくつもの穴が見える。
なにかの気配は、もうどこにもない。
結局なにもかもすっきり、とはいかなかった。
フサやクーたちには何て説明したものか、しばし思案するが、
まあいいか、とすぐに結論をつけた。
だって、空はあんなにも澄んでいる。
97
:
名も無きAAのようです
:2014/07/25(金) 22:22:22 ID:I8WsSvkw0
これも一つのロマンであるならば、僕も奴にならってそれを守ることにしよう。
( ^ω^)「ギン、さあ帰ろう」
イ从゚ ー゚ノi、「うん」
問いかけた言葉は通じなくとも、ギンはそれを察したようで、
すぐさま二対の影が空のむこうへ羽ばたいていった。
だけど、僕自身にも魔法はしっかりとかかっているようで、それでも考えてしまう。
はて、いったいどこからどこまでが、誰かの仕業だったのだろう?
続章 終
98
:
名も無きAAのようです
:2014/07/25(金) 22:23:03 ID:I8WsSvkw0
終わったよ、乙
99
:
名も無きAAのようです
:2014/07/25(金) 23:03:18 ID:oc0y4atY0
面白かった、乙
100
:
名も無きAAのようです
:2014/07/25(金) 23:09:16 ID:JoOBXmmE0
乙でさぁ
101
:
名も無きAAのようです
:2014/07/26(土) 00:17:04 ID:CfCi44Z.0
乙、また文猫が読めるなんて思わなかったよ
102
:
名も無きAAのようです
:2014/07/26(土) 01:51:25 ID:S6FFVg6E0
終わりなんてさみしいこと言うなよ
103
:
名も無きAAのようです
:2014/07/26(土) 11:22:05 ID:dV35lpV20
結局どういうことなのかわからなかった
乙
104
:
名も無きAAのようです
:2014/07/26(土) 22:14:20 ID:nhOQROhw0
おつ
異世界も書いてくれなきゃ…泣いちゃうぜ!!
105
:
名も無きAAのようです
:2014/08/14(木) 18:01:55 ID:T3zHZaPg0
とんでもなくひさしぶりだなぁ
やっぱりおもろいね乙
106
:
名も無きAAのようです
:2014/09/05(金) 23:32:05 ID:kAbOsx2UO
やっと前作読み終えた、今から読む
107
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:31:29 ID:5SUO60720
幾千の季節よりも遠い昔。
まずはじめに空を流れるモノがあった。
知恵を得た者は、いつしかそれらを総じて風と呼んだ。
風はやがて意思をもち、様々な姿かたちとなって世界をめぐる。
草原に波をつくっては生を営み、雲を流しては月夜の明るさを伝えた。
さらに幾度の夜があった、はるか昔の、忘却の彼方に微か残る記憶。
最初はただ、もっと先へ、もっと早く行きたいと、そう願っただけ。
だけど急かす心たちが翼を象り、欲する心たちが目を象り、求める心たちが腕を象り、
それらはいつしか集まって。
僕が生まれた。
108
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:32:19 ID:5SUO60720
∧,,∧
lヽ lヽ 【文猫冒険季のようです 】 ('ミ゚Д゚,,彡
/l\( ^ω^)'l\ ゞ,, :ミ)
⌒'´ と / ⌒ ミ ミ〜
〜(_,),,,, ∪ し`J
続章 その2
「 あと何度の音色 」
109
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:33:24 ID:5SUO60720
紅季をつげる赤い月がうっすらと、心なしか遠くなった青空のなかに見える午後のこと。
岩肌ばかりの山道から見えるのは、目下につづく山並みと、一面にひろがる森の森。
そんな森森しい森は、緑のなかに盛りだくさんの赤茶のまだら模様を浮かべ、
季節の移り変わりであることを森自身が主張する。
いわゆる紅葉。綺麗だという感想を抱くには、あまりにも見慣れてしまった景色のため、
出てくる感想はもはや、森であるということのみ、実に森であり、森であるように、森だった。
それに景色はよいが足場はわるい、落石だらけであまり生物の通らないこの道は川原にも似て、
うまく大き目の石をわたれば歩きやすいが、それができなきゃけつまづく。
現にここまで、同じ人物もとい猫が何度も足をとられていた。
そのたびに誰かしらが心配そうに声をかける、同じ猫として恥ずかしい限りである。
そんな僕らは待ち合わせ場所である、次の港をめざして山越えのまっさいちゅう。
110
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:34:24 ID:5SUO60720
……だったのだが。
そんな山脈の合間で、僕らは足を止めた。
何故なら、突如として現れた大きな影が、目の前に立ちはだかったからだ。
とつぜんの事にそれぞれ身構えると、その影は呼応するように翼を広げ咆哮。
大気が揺れる。
影はよく見れば陽炎を立ちのぼらせ、全身から赤熱の輝きを放っている。
踏みしめた大地は焦がされ煙をあげ、赤黒い存在感をさらに凶悪なものにしていく。
そして、巨体がまるで何かを伝えようとするが如く、再び吠えた。
(´;ω;`)「ひ、ひいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!」
そしてうしろの方から負けないくらいの絶叫が聞こえた。
(;^ω^)「……いやジェクト、何言ってるかわからんって」
(;゚∀゚)o彡゜「グルルゥ…?」
そう、現れたのは炎の化身にして火を象る精霊たちの王、ヴォルケーノドラゴンのジョルジュ。
またの名を爆炎のジェクト、僕とおなじドラゴンにして顔なじみ、というか友達である。
111
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:35:59 ID:5SUO60720
イ从゚ -゚ノi、「ブーン、似てる…?」
ミ;゚Д゚彡「あー、確かに……改めてみると似てるかも」
(´;ω;`)「ひいっ、ひいいっ、ななな、何!?何でみんな平然としてるの!?!?」
イ从;゚ -゚ノi、「…? どうしたの?」
(´;ω;`)「ドラゴン! ドラゴンだよ!!!!??」
(;*゚∀゚)「落ち着け、いつも横に居るだろう」コワクナイ コワクナイ
イ从゚ -゚ノi、「コワイ……こわい………?」
川 ゚ -゚)「ん……とりあえず、おひさー、みたいな事言ってるな」
(つ^ω^)つ「ちょっと待ってお、変……身!」バッ バババッ
(*゚∀゚)「どうでもいいがポーズは取らないと駄目なのか?」
風はすぐに僕の全身を巻き、翼を広げればいくつもの羽根が舞う。
その先に、青い巨体がある、ええ、僕です。
112
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:37:43 ID:5SUO60720
こうして、二対の巨体が並び立った。
( ^ω^)『おひさ、どうしたんだお急に』ガオオオオ
( ゚∀゚)o彡゜『いやー見かけたから挨拶にさ』グルルルル
しかしよくよく見れば、先ほど狐耳の少女がいったように、その姿は対をなすようにも見える。
赤と青、色は違えど立ち上がったずんぐりトカゲのシルエットはよく似ている。
兄弟です、とか言っても、普通に信じられそう。
ともあれ、いつかの洞窟ぶりに出会った旧友に、それぞれ挨拶を交わした。
だが言葉が通じないため、会話のボールは主に消える魔球と化し、
すぐに諦めた僕以外はそこらで腰を下ろし、思い思いに休息を取ることにした。
113
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:38:40 ID:5SUO60720
その折、ふと赤竜は神妙な雰囲気で口、いや喉をならした。
( ゚∀゚)o彡゜『でも今回はずいぶん早くまた会えたなー、いつも中々会わないじゃん?』
( ^ω^)『そりゃお前がいっつも火口とか、地底とか、熱いか暗いとこ居るからだお』
( ゚∀゚)o彡゜『言ったらお前、むかーしから言ってるけどよ、お前が空の上に居すぎなんだよ』
( ゚∀゚)o彡゜『また怒るかもしれんが、あんな何も無いつまらんとこ、よく居られるぜ』
( ^ω^)『いや……まあ、あの頃は…』
それしか知らなかった、それだけが存在理由、そうすることが何よりも自然だったから。
生を受ける以前から、僕というものはそういうものだったから。
( ゚∀゚)o彡゜『ほう……なんだ、なんか、変わったな、お前』
( ^ω^)『わかっただけだお、色々な物事を知ることが、楽しい事だって』
( ゚∀゚)o彡゜『そうかそうか、我が友が幸福であるなら、そいつは喜ばしい事だよオメガ』
( ^ω^)『なんだ、気をつかわせてたのか、感謝するよジェクト』
( ゚∀゚)o彡゜『いいって』
114
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:39:51 ID:5SUO60720
そう、彼は遠い昔から、僕という存在の在り方についてよく問いた。
無心であった頃、それを煩わしく思って突っぱねてきたけれど、
ジョルジュはずっと前から知っていたのだろう、心のあり方という物を。
前記したとおり、彼とは友である。
というのも、この生命になるより前から、僕と彼は近しいものだったから。
炎は風をうみ、また風が炎を高めるように、その関係は当然の物で、
当たり前のように出会い、当たり前のように気を許した。
( ゚∀゚)o彡゜『……ところで、わからねーか?』
( ^ω^)『なにが?』
けれど、彼は僕よりもずっと先を歩いていた事が、今ならわかる。
こうして地上を這いずりまわって、『なあって』そこで出会うさま『見ろって』
ざまな『おいホライゾン』ものが『見ればわかるだろ!』あーーーもう。
(;^ω^)『だから何だってばお、てか今何言おうとしたか忘れちゃったじゃないかお!』
( ゚∀゚)o彡゜『俺の姿だよ! 更にパワーアップしたこの姿!』
115
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:41:25 ID:5SUO60720
そう、確かに以前会った時とは違う箇所がいくつかある。
背中や肩まわり、両足腕、至るところに石が張り付いていて、
それらが熱されているせいか、芯から赤熱が発光をともなって覗き見える。
(;^ω^)『……またマグマダイブしてきたのかお』
( ゚∀゚)o彡゜『ああそうだ! そしてどうだい、この鎧の……アーマージェクト様は、かっこいいだろう?」ギャギイ!
( ^ω^)『アッハイ』
( ゚∀゚)o彡゜『時代は爆破体制のある黒曜石と聞く、これによって俺の強さはさらなる磨きが…』
(;^ω^)『お前は何と戦ってるんだお……』
( ゚∀゚)o彡゜『何って、最近ぶっそうだしよ、人もいろいろ知恵つけてきてるし、ちゃんと備えないとな』
(;^ω^)『む、どういう意味だお?』
( ゚∀゚)o彡゜『ハンター、だっけか、俺らみたいなのを狩ってる連中が居るんだよ、知らねーのか?』
( ^ω^)『ああ……まあ、知ってるというか……』
116
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:42:19 ID:5SUO60720
顔見知りというか、一役買ってるというか。
そもそも今回向かっているのも、そのハンターであるツイールたちとの待ち合わせ場所だ。
というのも、今現在、あの人等の武器類のめんどうを見ているのがクーなので、
定期的にこうして待ち合わせては、めんてなんす、とやらを行っていた。
もちろん工房士の商売として、僕らの路銀のあての一つでもある。
ちなみに、これはツイールたちも最初は気付いていなかったのだが。
様々な獣以上の力をもった、人に害をなす存在に対抗するための武器であるそれらは、
これまた多様な精霊の力を宿しており、いわゆる魔科学の結晶ともいえる物だった。
とはいえ、今も禁忌とされるその技術、その多くは人の手によって造られたものではなく、
自然に宿り、特殊な力を得たものとして専用のルートを介して各地のハンターへ支給、および売買されている。
117
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:43:51 ID:5SUO60720
ヒートと言う娘が持っていた精霊石、あれもそういった獲物を探す過程で見つけたものらしく、
うまく力を制御できずにいた彼女にクーが手を貸した際、そういったものの説明を聞き、
以来、きちんとした報酬の上で、自分たちのほうもお願いしたい、という流れになった。
赤竜が言っている、知恵をつけたというのは、おそらくそういった武器のことなのだろう。
……なんとなく、言い出しづらい空気だった。
( ゚∀゚)o彡゜『知ってるというか?』
( ^ω^)『……いや、でもほら、確か連中は別に、なんでもかんでも殺してるんじゃなくて、
あくまで人の生活をおびやかしたり、害をなすようなのを狩ってるだけで――――』
( ^ω^)『………』
( ^ω^)『……………そういえばお前、あの門番ごっこまだやってんのかお』
( ゚∀゚)o彡゜『ああ、したら通報されちまってなー、もう全力で夜逃げだよ参ったね』
(;^ω^)『自業自得……てか、よく今まで無事だったお』
( ゚∀゚)o彡゜『石くれ鉄くれならどうとでもなるんだがなぁ』
118
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:44:46 ID:5SUO60720
なんだか、このまま一緒に居るのはよくない気がしてきた。
思って、じゃあ先を急ぐからと別れをきりだした。
の、だが。
( ゚∀゚)o彡゜『どうせ暇だし、俺も途中までついてくわ』
(;^ω^)『くんな』
( ゚∀゚)o彡゜『かてーこと言うなって』
と聞く耳もたず、僕が猫にもどったあとも、うしろで唸りながらついてきて。
当初こそ、まだ居るんだけど的な空気だったが、それもすぐに順応をはじめ、
(*゚∀゚)「飯にすっか」
ミ,,゚Д゚彡「火おこさなきゃ」
( ゚∀゚)o彡゜『グルルル』
川 ゚ -゚)「任せろと言ってるぞ」
119
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:45:41 ID:5SUO60720
夜をまたぐ頃には、その存在に異を唱えるものはすでになく。
イ从゚ -゚ノi、「……くしゅっ」
(´・ω・`)「もう夜は冷えるね…」
ミ,,゚Д゚彡「焚き火もうちょっと強くしようか」
( ゚∀゚)o彡゜『GAROOOO』
川 ゚ -゚)「任せろと言っているぞ」
朝を迎えるころには、暖炉よりあたたかいジョルジュを中心に、
みなスヤスヤ寝息をたてているこの始末。
( ^ω^)(どうしよう………)
早くもこの時期にありがたい火の番として、
妙に家庭的なポジションに落ち着いてしまっている。
120
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:47:23 ID:5SUO60720
伝説に生きるドラゴンとしてそれでいいのかと問いたいものだが、
とりあえず、今はそれより今の目的とジョルジュの存在がよろしくない。
流石に町中までついてくる事はないだろうが、どっか行けとも言い辛い空気だ。
ふと目があった。
「いい朝だな」
とでも言いたげな、澄んだ瞳をしていた。
……言い辛い。
121
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:48:03 ID:5SUO60720
∧∧
ミ*゚∀゚彡 <ソレカラ ドッタノ
ミ,,,,,,,,,,ミ
紅季 63節
122
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:49:03 ID:5SUO60720
あれから幾度か夜をこえた。
赤竜と皆の仲はよりいっそう深まっている。
あのショボが恐れるどころか、温かいと近づいていくほどだから相当だ。
当の本人もとい竜も、こんな暮らしも悪くねぇ、とか言い出す始末。
なんだかこのままドラマティックな展開になりそうだ。
公道や看板が見えてきたことが、それを予感させる。
ミ,,゚Д゚彡「そろそろ見えてくる頃だなー」
割と人の手がくわえられている、歩きやすい山道がてらフサが言う。
潮の匂いはすでに感じ始めている、ここにくるまでに遠目に海は見えていた。
この林道をこえる頃には、町の影も見えてくるころあいだった。
しかしジョルジュはまだついてきている。
123
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:49:54 ID:5SUO60720
ここまで人に出会わなかったのは奇跡に違いないが、さすがにそろそろ限界だ、
だからポーズ、との突っ込みを無視して僕は再びドラゴンの姿へ。
( ^ω^)『ジョルジュ、もう町が見える頃だお』
( ゚∀゚)o彡゜『そうだなー……でもちょっとだけ様子見くらいなら…』
(;^ω^)『やめれ』
( ゚∀゚)o彡゜『わかってるって、しかしいいよなぁ猫になれんのは、便利だよなぁ』
( ^ω^)『細切れになるお』
( ゚∀゚)o彡゜『そりゃ嫌だけどさー、ま、しゃーないな』
( ^ω^)『じゃあ……クー』
川 ゚ -゚)「む? ああ…皆、ジェクトがそろそろ別れるそうだぞ」
(*゚∀゚)「ああ、まあ、そうだな」
ミ,,゚Д゚彡「そっか…やっぱ行っちゃうのか…」
124
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:50:55 ID:5SUO60720
( ゚∀゚)o彡゜『んじゃ、この辺で待ってるとすっか』
(;^ω^)『え……い、いや、待たなくていいから、どっか行けお』
( ゚∀゚)o彡゜『心配すんなって、今回は何もしないで出てくんの待ってっからよ』
川 ゚ -゚)「案ずる事は無い、また出会えるときを待っている、と言っているな」
ミ,,゚Д゚彡「ジョルジュ……ああ、言葉はわからないけど、俺も同じ気持ちだから…!」
(´;ω;`)「い…いやだ、やだよ、お別れなんて…」
ミ;゚Д゚彡「ショボ?」
(´;ω;`)「僕だって、それくらいわかるんだ、生きる時間が違いすぎる存在との別れがどういうものか…!」
(´;ω;`)「もう会えないんだ! せっかく…せっかく仲良くなれたのに!!!」
ミ#゚Д゚彡「っっ………バッキャローー!!!」
(´;ω;`)「!?」
125
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:52:13 ID:5SUO60720
(;^ω^)『だからそういう事じゃないお! その……長くなるし、ひ、人とも会うから』
( ゚∀゚)o彡゜『だから待ってるって、何節かかろうが昼寝でもしてりゃ一瞬だろ』
ミ#゚Д゚彡「仲間が、必ずまた会おうと言ってるんだ!! それを疑うのか!!」
川 ゚ -゚)「ああそうだ、彼もその時を待つと言っている」
(´;ω;`)「!!」
(;*゚∀゚)(なーんか変だな……)クイチガッテル ヨウナ
(*゚∀゚)「……ん?」
イ从゚ -゚ノi、「…別れ、かなしい……」
イ从゚ -゚ノi、「うれしく、ない事……」
(*゚∀゚)「…どうした?」
126
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:53:29 ID:5SUO60720
(;゚∀゚)o彡゜『なんだよー、なんでそんなに追い出したがるんだよー』
(;^ω^)『そうじゃなくて……ええっとぉ……あー』
( ^ω^)『わかったお、正直に話すお』
( ゚∀゚)o彡゜『ほう? なんだなんだ?』
( ^ω^)『…実は、僕らがこれから会う人って――――』
何だか傍らでドラマティックが始まっていた気がするが、ともかくしょうがないから全てを話す、
ところで、山間の側からいくつかの人影が現れ、片手をひらひらさせながら近づいてきた。
(*゚∀゚)「ツイールじゃねぇか、なんだ、お前も今到着か」
(*゚∀メ)「まあね、したらなんかでかいのが見えてね」
現れたのは、同郷のつー族が1人ツイール。
見れば大きな包丁を背負い、見知ったお供をひきつれている。
127
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:54:49 ID:5SUO60720
( ・∀・)「お疲れまです皆さん、元気そうで何より……」
(;・∀・)「てか、師匠!? やっぱり二体居ますよ!?」
(*゚∀メ)「そうだなー、でもほら、もう一匹猫が居たろ、ショボだっけ? あいつじゃね?」
(;・∀・)「流石にそれはないかと……」
ノハ;゚⊿゚)「……えーと、えーと……」
(*゚∀メ)「ほら、お前もちゃんとしな」
ノハ;゚⊿゚)「おう! ぁ…いや、はい…っ」
ノハ;゚⊿゚)「こ、こんにちわ! お、ひさしぶり……です!!」
川 ゚ -゚)「おやこんにちわ、あの子の調子はどうだい?」
ノハ;゚⊿゚)「ぇと、元気!! …です、おかげさま…? …です!」
ヒートは、自分の首輪につけられた赤い宝石に触れながら、
たどたどしい返事をした、ふと、石に小さな輝きが灯ったように見えた。
128
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:55:48 ID:5SUO60720
最後に会ったときに、次は礼儀を勉強させると言っていたから、その経過だろう、
まだまだ真っ当な会話には至らないようだが、あの頃と比べれば随分な進歩に見える。
そんな様子を微笑ましく眺めていると、ふと隣が固まっていることに気がついた。
(;゚∀゚)o彡゜『あ、あ、あ…………』
ツイールたちを見据えたまま、なんだか酷く動揺している。
まあ色々と武器もってるし、察したのだろう。
(;^ω^)『ジョルジュ? えーと、その、あの人らが、これから会う人で、そのー……』
( ;゚∀゚)o彡゜『アイエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!????』
(;゚∀゚)o彡゜『ハンター!!?? ハンターなんで!?!?』
(;^ω^)『落ち着けお! 大丈夫だから!!』
(;゚∀゚)o彡゜『逆鱗なんて迷信だって言ったじゃないですかあーーーーーー!!!!』
そんな動揺そのままに、ジョルジュはすぐさま翼をひろげ、
雄叫びをあげながら踵を返し、空へと羽ばたいた。
129
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:57:25 ID:5SUO60720
「グルルルオオオオオオオ!!!!!!」
(;´・ω・`)「あっ」
ミ,,゚Д゚彡ノシ「今のは分かる気がするよ……ああ、必ずまたどこかで!!」
(´;ω;`)「うう……さよなら、さよならぁーーーーー!!!!」
(*゚∀メ)「なぁんだ今の」
(*゚∀゚)「イイハナシカナー」
(;^ω^)『行っちゃった……』
それから挨拶もほどなくして、僕らは町へとやってきた。
港町とは言え、交易港とはほど遠く、それほど栄えたところではない。
ちょうど僕らの故郷、房津の港とどっこいどっこいな感じではあるものの、
代わりに規模としては中々のもので、およそ見える海岸部はすべて生活区域となっている。
とくに注視されるのは、海上にいくつも見えるブイや、木の板でつくられた橋など。
いわゆる漁場、および生簀などの養殖場と思われる。
130
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/09(日) 23:58:50 ID:5SUO60720
とはいえ、僕らがこれから目指すのはここから更に大陸を離れた地である、
なのでゆっくりと寝床を探す暇もなく、食料などの買出しをすると同時に、
次なる場所へとゆくための足を探し求め、船着場へと向かった。
(´・_ゝ・`)「ナツミ大陸か……直通の便はないから、どっかで乗り換えないといけないよ」
(*゚∀゚)「どう行くのがいいんだ?」
(´・_ゝ・`)「そうだなぁ、まあ普通に、カモガワ港までなら出てるから、
そこからラグランジェ海域を越えて、ウォクス港を経由するのが一番かな」
(*゚∀メ)「じゃあまずはそこだな、いつ出せる?」
(´・_ゝ・`)「じきに仕分けも終わる頃だから、そろそろ搬入……まあ、すぐにでも」
(*゚∀゚)「わかった、どこに行けばいい?」
(´・_ゝ・`)「第三灯台前のところで、遠方行きの看板があるからそこへ」
(´・_ゝ・`)「赤い屋根のとこだから、すぐわかると思う」
(*゚∀メ)「あいよー、てことだ、用意はいいか?」
( ・∀・)「大丈夫です」
131
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/10(月) 00:00:06 ID:OwFB1Ddc0
ミ,,゚Д゚彡「やっと落ち着けそうだな」
(´・ω・`)「そうだね…歩き詰めだったし」
( ^ω^)「……?」
と、向かおうとしたところで、ふと気がついた事がある。
というかツイールたちと林道で出会ったころからそうなのだが、
何か変だ、むしろこういう時、一番目を離せない存在が妙におとなしい。
それは相変わらず狐耳を装着しているハーピー少女。
ふだんは誰彼かまわず着いていくし、油断するとどっかで迷子になってしまうのに、
何故かさっきから僕のうしろにくっついたまま、離れようとしない。
イ从゚ -゚ノi、「…………」
(;^ω^)「ギン…? どうかしたのかお?」
132
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/10(月) 00:00:53 ID:OwFB1Ddc0
イ从゚ ー゚ノi、「………どうして?」
(;^ω^)「いや、なんか……静かだな、と」
イ从゚ ー゚ノi、「ブーンが、言ったから」
(;^ω^)「僕が? 何を?」
イ从゚ ー゚ノi、「ここに来るまえ、はなれないように、って……」
言われてみればそうである、というか、もはやこれは定型文。
迷子になるなよ、という親心てきなあれで、町などを前にいつも言っていることだ。
ああつまり、言うことを聞いたのだと言っているのかこれは。
困惑した。
これは何て言えばいいのだろうか、偉いと褒めるべきなのか、いや褒めるのはいいんだけど、
しかしこれはこれで何と言うかまるで、命令してるというか、脅しているというか、
そんなニュアンスにも感じられてしまう、分からない、子供の気持ちがわからない。
133
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/10(月) 00:02:25 ID:OwFB1Ddc0
(;^ω^)「ぇーと、そう、偉いおギン、でも別にそんなぴったり張り付いてなくてもいいんだお?」
イ从゚ -゚ノi、「…うれしく、ない?」
どういう意味だお!?
口にはせずに内心叫んだ。
今のはいったいどういうことなのか、ますますもってわからない。
イ从゚ -゚ノi、「どうしたの?」
(;^ω^)「ど、どうもしないお……うん、大丈夫…大丈夫だお」
イ从゚ -゚ノi、「………」チガウ ノカナ
(;^ω^)「?」
と、ギンはうつむき何か囁くように言った。
けれど声はあまりに小さくて、聞き取ることができなかった。
134
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/10(月) 00:04:28 ID:OwFB1Ddc0
そして聞き返すよりも先に、遠くで僕らを呼ぶ声があった。
ミ,,゚Д゚彡「ブーン、なにやってんだー? はやく行こうぜ!」
( ^ω^)「あ、今行くおー!」
何はともあれ、立ち止まっていても仕方ない、まずは歩く道がある。
少女をうながし、僕は前を行く背中をおいかけることにした。
ふと見れば、ギンもちゃんとついて来ている。
いったいどうしたのだろうか、心配ではあるが、今はまた別の不安もあって、
船に乗り込んだ後も、それを追求することもなく、会話はべつの方向へ。
というのも今回、ツイールたちと合流した理由である。
ハンター稼業である彼…彼女ら? と旅を同じくする理由は一つ。
これから大きな狩りをおこなうための、その用意と、および応援である。
135
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/10(月) 00:05:19 ID:OwFB1Ddc0
先ほども話しにあった、目的地であるナツミ大陸。
なんとなく可愛らしい名とは裏腹に、元は七罪と呼ばれた曰く付きの場所で、
多くの災いがかつてこの地にあったとされる、恐ろしい大地だった。
そう、だった、と以前に山さんから教えられたことがる。
いわく、そう呼ばれていたのはもう遠い昔。
今はもう、ロマンを求めた冒険者たちが荒らしまわって…いや、開拓され、
特に何か恐ろしいハザード的なものはなく、人も普通に住んでいる。
現にそれを語った山さん自身も、何度か調査に出向いた事があるそうな。
だが、決して安全で平穏平和というわけではない。
136
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/10(月) 00:06:42 ID:OwFB1Ddc0
あまり人の手が入ってない場所が多いせいか、獣たちが多く、
そのほとんどが巨大化し、いわゆる太古のままの姿ってやつ。
そして今回。元々あぶない生物も多く生息しているらしいのだが、
特にやばい奴が現れたとか何とかで、調査もふくめて向かうという話を聞き、
ツイールたちも居るし、と逆にこの機会はチャンスであると、僕らも向かうことになった。
というわけで、今も僕らは船の上。
これからの打ち合わせや、ツイールたちの武器のメンテナンス等に忙しく、
今も甲板でぼんやりと景色を眺めているギンを気にはなりつつも、
目先のことを考えることで精一杯だった。
137
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/10(月) 00:10:20 ID:OwFB1Ddc0
∧∧
ミ*゚∀゚彡 <ジャージブ ダマシー
ミ,,,,,,,,,,ミ
紅季 70節
.
138
:
◆6Ugj38o7Xg
:2014/11/10(月) 00:14:55 ID:OwFB1Ddc0
相変わらず短編なのにつづく状態、というわけで今日の分はここまで、またのちほど。
それと今回のは本編文猫冒険記で書かなかった諸々の伏線消化と、
書けなかった大事なぶぶんを書きたいがためのおはなしなので、たぶんこれ以上はネタなし。
だから文猫を書くのはこれで最後になると思うます、とかなんとか。
139
:
名も無きAAのようです
:2014/11/10(月) 00:38:11 ID:7JYWKcb60
乙
何度も読み返した大好きな作品だけにまた書いてくれて嬉しい
前出た時はルガール、今回は爆破耐性の黒曜石に逆鱗とかこの龍ゲーム大好きだな
140
:
名も無きAAのようです
:2014/11/10(月) 01:16:40 ID:yO3oESb.0
ジョルジュが微笑ましいおつ
142
:
名も無きAAのようです
:2015/03/13(金) 18:57:21 ID:kjC0O3M20
( ^ω^)
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