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(‘_L’)は命令が欲しいようです
1
:
名も無きAAのようです
:2014/06/18(水) 03:42:46 ID:5JotI9w60
遅いです。初心です。長い目でみててください
713
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:22:27 ID:om3Yvxs60
爪のながい指先が、首の肉を掴む。
手榴弾ごと首を締められて、一瞬で恐怖に陥った。
鉄とプラスチックの堅い感触。
なお悪いことに、こいつは粗悪品だった。見た目だけのシロモノ。
いつ爆発するか、本人にもわからない。爆弾の利点は痛みを感じるまえに天国へいくことだ。それが本当かは、誰も知らない。
いままさに、死にそうな恐怖に直面している。
手榴弾もこわいが、いつ爆発させるかわからない女のほうがこわいに決まっている。
.
714
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:23:28 ID:om3Yvxs60
从'ー'从「ねえ、あたしなんでもいいの。あの人が戻ってくるんならなんでもいいし、あの人が戻らなかったら、おまえでもいいの。
だっておまえが見つけられなかったってことだもんね」
从'ー'从「いいのよ。戻ってさえすればいいの。でも戻らなかったら。
あたしのあたしのあの人がもど、もどらなかったら、壊すのはおまえでも、いいの」
.
715
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:24:12 ID:om3Yvxs60
絶叫したかった。
しかし喉からはかすれたような呼吸音しかでなかった。
あしらうのは絶対に無理だ。
この女から逃げるにはこの国から離れないといけない。
でなければ蛇よりも執念深い、
狂った思考のこの女の怒りが、一心に自分に向くことになるのだろう。
そう悟った。
.
716
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:25:01 ID:om3Yvxs60
.
717
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:25:48 ID:om3Yvxs60
円卓を囲むのは かわいそうな駒鳥で
【Who killed u n owen】
.
718
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:26:29 ID:om3Yvxs60
布地の厚い毛布、片隅に散らばるのはミネラルウォーターと包装された携帯食。
見慣れない印字された包みをこわごわと開く、すると焼き菓子に似ているようなクッキー生地の食べ物が出てきた。一口かじってみる。
甘みがわずかにあり、味は菓子のようだ。悪くない。
ただ、やたらと口のなかが乾く。
そのための水なのかもしれない。
(#゚;;-゚)「……」
.
719
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:27:23 ID:om3Yvxs60
部屋のなかはうす暗い。
電気がいっさいなく、窓から差し込む光だけが朝を知らせてくれる。
わずかに開ける硝子戸からのぞき込むと、真下の風景がちらりと見える。
おもちゃ箱のような景色。つまめそうなほどの、建物の群。
どうしようもなく、でぃは高所に居るのだった。
わけのわからない誰かに、わけのわからない場所に閉じ込められている。
でぃは拉致した者の顔を見ていない。予想しようにも鎧のような装備に包まれている。
.
720
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:28:06 ID:om3Yvxs60
わけのわからないなにか、は日をあけてたびたび高所の部屋に来た。
しかしたいてい、でぃが気配に気づくとすっといなくなる。
出入り口のない部屋で、外壁をつたって上り下りしているのだ。尋常でない能力だ。��
まともな人間には思えない。
(#゚;;-゚)「きみは、誰?」
夕暮れの明るさがきえていく時間帯。
電気のない室内はすぐに暗闇に染まる。
影のようにして、その時間にこっそりと伺いにくるのももうなれた。
相変わらず得たいのしれない者に対する警戒はあったが、いっこうに近寄ってこないので、それも薄くなりつつある。
.
721
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:28:56 ID:om3Yvxs60
食事を運ばれ、衣類を渡される。
この部屋は小さいながら、浴室も備わっていた。
与えられるものに不足はしていない。
ただどうして、という悩みだけが尽きない。
(#゚;;-゚)「……つれもどしに来たんじゃないの?」��
研究所の手のものではないのか。
そんな意味の言葉、あっさりと無視された。影は答えない。
ただじっと、うす暗がりに佇んでいる。��
姿を確認すると即座に部屋から逃げていたのに、ここのところ、でぃが話しかけるととどまってくれるようにはなった。
ただ正体も、目的も、なにもかもが不明すぎて、でぃは戸惑う。
要求がない。
それではなにを求められているのか、でぃにはわからない。
.
722
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:29:39 ID:om3Yvxs60
(#゚;;-゚)「……ワタナベが心配だ。彼女のところにもどりたい」
でぃがいない今、なにをするのかわからないから。
自暴自棄になって、危険なことに首を突っ込んでいないか気になる。
それにせっかく得た協力者を失いたくなかった。
柔らかく、帰せと訴えるも、影は微動だにしない。
硬質なスーツのまま、顔の位置にあるカメラレンズがじっとでぃに向いていた。
(#゚;;-゚)「……なにか言ってよ」
ぽつり、そう不満をこぼす。
この侵入者が訪れるまで、娯楽らしいものもなく、ずっとひとりきり。
.
723
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:30:25 ID:om3Yvxs60
退屈は緊張をむしばむ。
怪力で、不気味で、物言わぬ不審者でも、ひとり狭い部屋に取り残されているよりはいい。
でぃが言うと、スーツの頭部がゆれた。
シュー……
(#゚;;-゚)「……え?」
.
724
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:31:11 ID:om3Yvxs60
呼吸音だった。肺を絞ったような。
かすれたような、息をするときの。
吸った息が、漏れたような音。��
は虫類独特の。
そんな呼吸をするのは1人しか知らなかった。
(#゚;;-゚)「…………エヴァ?」
.
725
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:31:53 ID:om3Yvxs60
.
726
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:32:53 ID:om3Yvxs60
.
727
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:33:35 ID:om3Yvxs60
(A^ν^)「ちょっといいですか?」
( ´_ゝ`)「んー?」
(A^ν^)「…なにをしようとしてるんです?」
(A^ν^)「截断まえの金属板ばかり、前線に送ってるようですけど」
( ´_ゝ`)「ああ、場所の特定がむずくってさ、どっちがメインかわかんないからとりあえずバンバン持ってったんだよ」
( ´_ゝ`)「数キロ県内にたくさんあれば、移動もやすいし」
.
728
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:34:35 ID:om3Yvxs60
(A^ν^)「はぁ……えと、それはなんのために?」
( ´_ゝ`)「制圧のためでしょ」
(A^ν^)「???」
(A^ν^)「えーっと…」
(A^ν^)「不特定多数の人海戦術をやられるから、そのために多くの物量で攻める、ってことでいいんですか?」
( ´_ゝ`)「うん」
(A^ν^)「しかしなんだってあんな物を?」
(A^ν^)「硬くて燃えなくて、貫通しなくて電気を通さなくて、それだけじゃないですか」
( ´_ゝ`)「うん」
(A^ν^)「たしかに構造状、うちの技術でしか分解できないシロモノですが、そんな物が役に?」
( ´_ゝ`)「うん」
.
729
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:35:22 ID:om3Yvxs60
(A^ν^)「」
( ´_ゝ`)「想像つかない?」
(A^ν^)「いいえ!つきます。たぶんついてます」
(A^ν^)「ただ……規模が大きすぎて…」
(A^ν^)「範囲、すごく広いじゃないですか」
( ´_ゝ`)「そう?」
( ´_ゝ`)「でもま、しょーがないね」
( ´_ゝ`)「あんまし減らしたくなかったんだけどさ。いいかげん終わらしたいし」
(A^ν^)「都合よくいきますかね」
( ´_ゝ`)「たぶん」
.
730
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:36:04 ID:om3Yvxs60
( ´_ゝ`)「うまくいかなくても、まあいいよ」
(A^ν^)「……いつも思うんですけど、どうしてそうなげやりなんですか?」
( ´_ゝ`)「ん?」
( ´_ゝ`)「……え、俺?」
(A^ν^)コクコク
( ´_ゝ`)「投げやりってやる気ないってことだろ。俺めっちゃやってるじゃん」
(A^ν^)「なんか熱心じゃないですよね。そういう時に使うんですよ、投げやりって」
( ´_ゝ`)「えー……」
( ´_ゝ`)「俺ちゃんとしてるけどなぁ」
( ´_ゝ`)「逆に熱心てなによ?」
(A^ν^)「それは……もっとこう、確実に、とか執念をもったかんじの……」
.
731
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:37:05 ID:om3Yvxs60
( ´_ゝ`)「だから確実性えらんでるじゃん」
( ´_ゝ`)「囲いあったら、逃げらんないでしょ?」
(A^ν^)「そうなんですけど、そうなんですけど……なんか違うというか……」
( ´_ゝ`)「えーなによ?」
( ´_ゝ`)「気になるわー」
(A^ν^)「……んー、たぶんですけど。あれですね」
ああそっか。興味がないだけなんだ。
( ´_ゝ`)「?」
(A^ν^)「……地図みてきます。次どこからあらわれるのかわからないので」
( ´_ゝ`)「港でしょ」
.
732
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:38:19 ID:om3Yvxs60
(A^ν^)「それを、絶対だって言えるように確かめてみます」
( ´_ゝ`)「オッケーグーグル!」
(A^ν^)「…………」
(A^ν^)「では……」
( ´_ゝ`)「失望してんの?」
(A^ν^)「……いいえ」
頑張りには意味がない。
熱意も、わずかな情も意味がない。
(A^ν^)「わたしにはあとどれくらい時間が残されていますか?」
( ´_ゝ`)「こんどのこれ、解決するまで」
(A^ν^)「それはよかった」
なにもかも執着のなさそうな人相手に、思い悩んでは時間がもったいない。
(A^ν^)「どっちかっていうと、」
(A^ν^)「絶望ですかね」
結果しか、意味がない。
.
733
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:39:07 ID:om3Yvxs60
絶望に至る病
.
734
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:40:01 ID:om3Yvxs60
施設の壁はぶ厚い。
柱は最上階から地下まで貫通しており、少しの地震程度で壁や骨組みはびくともしない。
火災があっても消火剤がまかれ、すぐに鎮火する。
そのさい、空気の供給も止まる仕様になっている。
中の生き物への配慮ではもちろんなく、施設内の重要な記録を守るためだけの設計だった。
職員用の個室もそうだ。
壁は厚く、防音で冷たい。
逃げだそうとするすべての個体たちをふせぐように。
.
735
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:40:43 ID:om3Yvxs60
響く足音も、誰かの悲鳴も聞こえない。大型の機材を使うときだけ地面が振動する。
それらはたいてい冷たくなった個体を処分する時に使われた。
火葬はきちんと焼くと時間がかかる。燃料もかかる。
だから大型の機材でプレスされた。
そんな場所だったから、職員のプライベートはもちろん、仕事のためにも防音管理はきちんとされていた。
施設内は清潔で、掃除が行き届き、快適だ。
残酷な光景も、工場のような作業で行われているとそう思えなくなる。
家畜の解体をできるだけクリーンに行えるように。
そんなマニュアルもあっただろう。
死はひとしく、実験対には平等だった。当たり前すぎて、なにが起こっているのか理解しないうちに済まされる。
実験対の知性は低い。
彼らにそれは必要がないものだった。
.
736
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:41:26 ID:om3Yvxs60
でぃは幸運だった。
ひとつのプロジェクトのために作られた。��
それは長期で、確実性で、結果をなにより期待されるものだった。��
だからそれまで生きるために、人並みの知性があった。��
“母胎があまりに愚鈍では、子にもそれが遺伝してしまうからな”
正確な意味は理解していないが、そう言った職員のことを覚えている。
他の個体とは違う。
しかし違うからといって、恵まれていることにはならない。
.
737
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:42:17 ID:om3Yvxs60
そのときでぃは、人に会わずに施設内を移動していた。
成長するに従って、職員たちの態度があからさまになってくることに辟易していた。
でぃは他の個体とはべつに、検証中の個体のために愛玩物だった。
気が向けば可愛がる程度の、無責任な愛情。
そして��自分がどの立場にいるのかも知らない。
ならば都合よく暮らすためには、気に入られるしかない。��
道ばたですり寄ってくる猫のような愛想のよさ。��
無機質で媚びることがない、敵意に満ちた個体たちよりも好まれるのは当然だろう。
.
738
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:43:03 ID:om3Yvxs60
そのなかででぃは呼吸し、顔色を伺い、なにも知らない、無知な子のようにふるまった。
女には腕のなかで甘え、男にはひざのうえに乗った。
そうすれば内緒だよ、と多少の融通をきかせてくれる。
ほんのわずかな特権。
余った菓子を振る舞われたり、就寝する寝室を居心地のよい部屋に変えてくれたり。
なかでもでぃがもっとも重要視したのは情報だった。
記録媒体には載っていない、職員の人間性。
それから処分されやすい個体の特徴。研究の余地があれば、まだ生かされる。
雑用のためだけに生きている実験対だっている。
手に入れた情報の鮮度は短い。
くだらないものでも、すぐに身近なものと共有するべきだ
.
739
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:43:57 ID:om3Yvxs60
でないとすれ違いに悲劇が起きる。
伝えたところで、遅すぎたりする。
職員のプライベートな個室と、実験室や大広間。
そんなところを覗けば、施設はいくつも自由に行き来する場所がある。
でぃは友人のところに向かっていた。
��
日光浴を楽しむ、青い肌の少女。
木々のそばであれば嬉しそうにする。
だからいつも通り植物のところにいると思ったのに中央の植物園に姿はなかった。
高いところが好きだから、木に上っているのかも思ったが、見上げても木漏れ日のなかにはいない。
.
740
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:48:43 ID:om3Yvxs60
でぃは首をかしげ、また思いつくところに移動する。��
水場にはいなかった。
砂場にも、草木が繁茂するべつの植木にもいなかった。
同じ場所に縄張りをつくるエヴァは基本、居心地のいい場所を変えない。
いやな予感がした。
それはたいてい、取り返しがつかないものだ。
「エヴァ……?」
走り、探しまわる。
怯えながら処分場にも顔を出したが、使われた跡はなく、それに安堵する。
しかし見つからない。
どこに行ったのか。
歩き続ければどれほど広い場所でも終わりがくる。
でぃが考えに考え、最後についたのはひとりの男の部屋だった。
.
741
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:49:50 ID:om3Yvxs60
「……」
近づきたくはない。
けれど個体数の管理はこの男がしている。でぃには冷たくとも。
仕事ならばきちんと対応してくれるはずだ。
そう、思いこもうとした。
大丈夫、なぜならここの廊下にはカメラがつけられている。
なにかあれば、そこまで逃げればいい。
いくら危ない男でも、カメラのまででぃになにかすることはないはずだ。
ーーーはずだ。
それとも。それともあの男がエヴァを連れ込んでいたならどうしよう。
エヴァは知性がひくい。
いやなことでも、納得すると我慢してしまう。
成長し、肉つきのよくなったでぃをみるようにして、体はしっかりと成熟しているエヴァに、欲望をたぎらせていたらーーー?
.
742
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:50:37 ID:om3Yvxs60
そっと指で、ドアに触れた。冷たい金属のひやりとした感触。
体温を感知して、扉は両開きにあいた。
部屋にはふたりがいた。
備え付けのベッドのうえ。
壁にくっついている机のかげから、上半身が見える。
川*゚ー゚)
そして彼女がいた。
しかし男もいた。
.
743
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 01:53:28 ID:om3Yvxs60
虐げられている、という恐ろしい予想は裏切られた。��
エヴァはこちらをむくと、「でぃ!」無邪気に笑んだ。
それから汚れた顔を袖でぬぐう。
「なにしてるの……?」
ひかりの加減だろうか。
廊下によくある青みのある光でなく、部屋の灯りはオレンジに近い。
赤黒い、色がもっと黒く見える。
エヴァは濡れていた。
大量に、湿ったわけなく被ったようにして濡れている。嗅いだことのある臭い。
乾くと、茶色く変色したりする、赤。
男の首はネジ切れていて、皮一枚でかろうじてつながっている。
だらん、とベッドの下にぶら下がってきいる。
虐待したのは彼女だった。
.
744
:
名も無きAAのようです
:2016/01/02(土) 01:02:59 ID:EfL14mGQ0
乙!
745
:
名も無きAAのようです
:2016/01/04(月) 23:25:19 ID:nzkftehI0
おつ
746
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 01:49:34 ID:DincLnGo0
( ´∀`)「ずっと思っていたことだよ。
どうして人類は管理されてはいけないのか」
( ´∀`)「およそこの地上にて、誰のものでもない場所が存在するかね?
国、土地、空、地下、水、空気、はたわ宗教という概念。民族間の価値観。これほどまでに共有しているというのに。
絶滅動物は美しく尊いものでなければ保護されない。
草木を守るために共存する醜い虫たちは見向きもされない。人類が興味がないからだ」
.
747
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 01:50:23 ID:DincLnGo0
( ´∀`)「生物には優劣がある。
当然のことだ。しかし最上位に人間が立ち、下位はそれ以外。
なるべく減ることがないようにという、最低限の意識しかない。
まるでリサイクルマークのようではないか。
あればそれなりに分別にだすが、なければ行動にうつすことなどまずやらない。そうした危機感もなく、いまどこでどのような動植物が死に耐えているのか、知ることもない。
知ろうとも思わない。」
( ´∀`)「当然だ。人間には人間の営みがある。他の生物だって自分たちの生存が第一なのだ。
いったいどうして自分たちのことをないがしろにしてまで他を気にしなければならないのだね。」
.
748
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 01:51:12 ID:DincLnGo0
( ´∀`)「本能に忠実になれればじつにしあわせだ。人は人らしく生きている。このうえなく正常な世界の理。
ただそこに科学はない。
傲慢な繁殖だけがある。
増えすぎたゆえの、淘汰が必要になるくらいの」
( ´∀`)「人間が発展し、この星の支配者となることが人類観点からみてこのうえない功績だとして、それらを管理、支配することは」
( ´∀`)「さらなる偉大さにつながるのではないか?」
( ´∀`)「管理できないからこそ争うのだ。秩序がないから殺しあうのだ。
互いにゆずりあう精神が培われないから、自己中心な損を嫌い、奪うことでしか幸福を信じられないのだ」
( ´∀`)「人が少なければ、そのぶん敬うことが増える」
.
749
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 01:51:54 ID:DincLnGo0
( ´∀`)「実際にクローズド・サークルを行ってみればわかる。
食物の心配さえなければ、人が減るのは恐怖でしかない。
そんな状態で誰が殺し合いなどしたいものか。乱すもの、脅かすものこそ一番最初に排除されるだろう」
( ´∀`)「倫理があり、教育があり、思想を共有し、豊かさを分かち合う。奪い合うからこそ、争うのだ。しかし分かち合うには、いまの人は多すぎる。」
(A^ν^)「だからプロジェクトを?」
.
750
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 01:52:35 ID:DincLnGo0
( ´∀`)「ああ。教育ない人間など人ではないよ。ただの獣だ。知性ある獣など、害獣いがいのなにものでもない。環境を破壊し、貴重な生物の循環を止める。絶滅寸前の動植物などめずらしくもない。
そしてその危機に気づきもしない。
不足になってからでは、意味がないのだ。
足下が割れそうなときには身動きなどできないだろう?」
(A^ν^)「なるほど」
( ´∀`)「人類の歴史など、殺戮の繰り返しだ。それは人も動物もかわらん。
生態系に破壊を促すだけ、人類のほうがよほど害悪ではあるがな」
(A^ν^)「あなたは原理主義者ですか?」
( ´∀`)「そうだ。極論を言っていると自分でも判っている。」
( ´∀`)「しかし長年の考えをまとめると、どうしてもこうなるのだ。」
.
751
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 01:53:24 ID:DincLnGo0
( ´∀`)「わたしは人類を愛している」
「だから破滅するまえに、どうにかしてやりたいと思ってる」
.
752
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 01:54:16 ID:DincLnGo0
(A^ν^)「破滅?せいぜいが殺し合い程度では?」
( ´∀`)「戦争だよ」
( ´∀`)「近いうちに必ず起きる」
( ´∀`)「そしてそれだけはどうしても回避できない」
( ´∀`)「歴史的に、国が大量虐殺を繰り返すのはどうしてだと思う?」
(A^ν^)「粛清ですね」
(A^ν^)「権力を握るための」
( ´∀`)「その通りだ。それは邪魔なものを排除するために。自分たちが、生き残るために。」
( ´∀`)「邪悪であれば、あるほどに生存が増す」
.
753
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 01:54:59 ID:DincLnGo0
( ´∀`)「生き残る確立が高くなる。
人を蹴落とすのは本能なのだ。
しかし当然、それだけではいけない」
( ´∀`)「わたしはね、性善説を信じてもいるんだ」
( ´∀`)「誰かを思いやるのは美しい。暖かい。喜ばしい。」
( ´∀`)「家族や身内を愛するのが種を残すことの本能かもしれない。だが全くの他人を、なにの思惑ないままに愛するのは違うだろう?」
(A^ν^)「そうですね」
.
754
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 01:55:42 ID:DincLnGo0
( ´∀`)「今の時代、愛するのにも理由が必要なのだ。男女、結婚相手、愛玩物。自分に有効なものか、そうでないものか」
( ´∀`)「その枠を取り払うためには、やはり現人類は多すぎる」
( ´∀`)「生きる数が限られてしまえば、人は争わざるを得ないのだ」
(A^ν^)「理由はそれだけでしょうか」
( ´∀`)「なに?」
(A^ν^)「この都市は恵まれています。電気も水もない農村よりもはるかに。教育も、最低限行き届いている。」
(A^ν^)「それなのに、まだ抵抗するのはなぜでしょう」
.
755
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 01:56:25 ID:DincLnGo0
( ´∀`)「利権ほしさだろう。元は彼らの土地と考えているのさ。もう取り上げられているのに」
(A^ν^)「ええ。でもそれならそれで、おこぼれをもらっていればいい」
(A^ν^)「こちらだって援助はしている。微量ですが。」
(A^ν^)「命をかけてまで、抵抗する意味がわからない」
( ´∀`)「聖戦と考えているなかもしれんな」
( ´∀`)「大義があれば、人はなんだってできるものだ」
(A^ν^)「そんな戦士のようにも思えません。やる事といったら子供を盾にして時間を稼ぐような奴等です」
.
756
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 01:57:07 ID:DincLnGo0
( ´∀`)「ふむ。ならば、もっと単純なものかもしれない」
( ´∀`)「争いなど、いつの世も原因はひとつだ」
(A^ν^)
( ´∀`)「足りないから、奪うのだ」
( ´∀`)「彼らの求めるものとは、そもそもなんなのだ?」
.
757
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:01:31 ID:DincLnGo0
.
758
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:02:16 ID:DincLnGo0
壁は順調に組み立てられている。
黒色の金属板はしっとりと輝くこともなく、ただ暗い暗い墨のように黒い。
30キロほど間隔をあけ、貧民区域を囲うようにして、高く長い。
まるで巨人がいまにも顔をだすようではないか、と誰かが言った。
それほど異様な高さだった。
遠くの山を見るようにして壁が景色のなかにある。
道路や家々を遮断しながら。
距離を詰め、丸く全体を囲っていく。
人々はその工事の目的を知らない。
邪魔でありながらも、隙間から通行できるからだ。それに文句をつけても、止めさせることなどできない。
.
759
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:03:20 ID:DincLnGo0
(`∠´)「やばいな」
ビル屋上からその景色を眺める。
20階数ほどある建物だが、壁の高さにはかなわない。
雲に届くのでは、そう錯覚するほどだった。
(`∠´)「まじで…やばい」
企業がこれほど大がかりなことをするなんて、しかし予想はつく。しびれを切らして手っ取り早く片付ける魂胆だろう。
倫理も道徳もなく。
.
760
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:04:05 ID:DincLnGo0
(`∠´)「あの男、こんなかから探さないと行けないのかよ……」
砂のなかに落ちた一粒を、掻き分けろというようなものだ。その一粒は金色の。
埋もれているから、見つからない。
逃げたい。逃げようか。優秀な脳みそがそう訴えかける。関係ないものに巻き込まれるのなど、クソ食らえ。
渡辺から逃げればいいだけの話。
もしくは殺されなければいい話。
(`∠´)「駄目だ……」
もしも、捕まったら。
渡辺のやり方は、よく知っている。
日頃彼女を怒らせても被害に合わなかったのは、渡辺がそこまで自分のに興味がなかったからだ。しかし今は違う。
.
761
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:04:49 ID:DincLnGo0
ある意味で、とても頼りにされている。それを裏切るのは、自殺と同じ。それも酷い死にかたをするだけだ。
性器を切り落とされ、数時間ほど生かされていた男の末路を思い返す。
渡辺はそういう女だ。
どうすれば死なずにできるだけ苦しむのか、やり方を知っている。
自己流で。
(`∠´)「ちくしょー……」
せいぜい壁が、できあがるまえに。
あの男を見つけなくてはいけない。
.
762
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:05:44 ID:DincLnGo0
.
763
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:06:34 ID:DincLnGo0
男の体が、ベッドから半分ずり落ちている。
奇妙にねじれた頭が床について、顔は真後ろを向いている。
目が合わないことだけが救いだった。
エヴァは上手に首を締めたのだろう。
器用に、窒息させてから首をちぎった。
点々と、果実をつぶした時のように。
圧迫された瞬間、水が吹き出たようにして、血が跳ねたのだった
横たわった体。物体になりさがる、元人間。
となりにはエヴァが笑っている。��
いやなことから解放されて、嬉しそうに。
.
764
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:07:29 ID:DincLnGo0
「どうして?」
川*゚ー゚)「だって、痛いことするんだもん」
実験だったら、検査だったら。��
エヴァはこんなことをしなかった。
男を殺さなかったはずだ。
聞き分けの悪い子は、いつもお仕置きされる。反抗するも、それに怯え、渋りながらも言うことを聞いていた。
職員たちの威圧感にも負けて。��
けれどここは密室で、男とふたりきりだった。
男以外の目がない。
大勢の職員から、たったひとりの男と対立するだけになる。
.
765
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:08:17 ID:DincLnGo0
だからエヴァは反抗した。
聞き分けなかった。男に怒った。
ひとりよりも、大勢のほうが怖いに決まっている。
エヴァには保身がない。
それからを思考することができない。空間把握能力も低く、概念がどういう意味なのか、考えることができない。
知識が高ければ高いほど、実験動物は危険なものになるからだ。
単純でおとなしく、聞き分けることができる。��
飼育が簡単で、手間もかからない。��
でも、だからこそ。
そのあとを想像することができない。
.
766
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:09:06 ID:DincLnGo0
「痛いことをされたの?」��
川*゚ー゚)「うん」��
「足をひらけって……言われたの?」��
川*゚ー゚)「掴まれたの」
息が、つまる思いで聞いた。
「……痛いのを、××られたの?」��
川*゚ー゚)「うん」
でぃはベッドに乗り上げると、男のずり落ち掛けている体を蹴った。
死体はだらん、とはずみに床に転がる。��
表情ない顔で、それを見下ろした。
.
767
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:09:57 ID:DincLnGo0
「じゃあ、ぼくのせいだね」
川*゚ー゚)「なんで?」
「こいつはぼくとしたがってた」
だから代わりが必要になった。
求めるからこそ、嫌悪となってより執着された。
手をだしてはいけないジレンマと、職員の権限にストレスを感じていたはずだ。代替え品にてすませようとする。
危機を感じていた。
だからでぃは逃げていたのに。
.
768
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:10:40 ID:DincLnGo0
川*゚ー゚)「だめ、あれ痛いの。でぃ柔らかいから、だめ」
「……エヴァも痛かったでしょ」
川*゚ー゚)「うん」
「だからね、ぼくも痛い」
川*゚ー゚)「されたの?」
「ううん。そうじゃないんだ……」
「でも、痛い」
まっすぐな、澄んだ目が見つめてくる。
ひどい、気持ちが悪くなることをされたのに、彼女はどこまでも清らかだった。
こうなってもまだ、でぃのことを心配してくれる。
身代わりにされたというのに。
男に刺されたのに。
.
769
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:11:22 ID:DincLnGo0
「痛いんだ」
呟くと、彼女が腕を延ばし、でぃをつかむと引き寄せた。
握力の強い手は、金属の手すりを簡単に折り曲げる。骨ごと肉を引きちぎる。��
けれど警戒も、危険も感じられない。
ひやりと変温動物のように冷たい肌をしていた。優しい力で抱きしめられる。
この手がでぃを傷つけるはずがない。
.
770
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:12:04 ID:DincLnGo0
川*゚ー゚)「まだ痛い?」
ゆらゆら、抱かれながら揺れる。
子供をあやすようにして。
座りながら、一定のリズムで穏やかに横に揺れる。寝付きの悪い子に眠りを誘うような仕草。
慰める動作というものを、エヴァはこれ以外に知らない。
数えもしないほどまえに、泣く彼女はこうやって誰かに慰められた。
それを教えたのは誰だっただろう。
でぃかもしれない。
もういない優しかった個体かもしれない。
川*゚ー゚)「ねえ痛い?」
.
771
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:13:02 ID:DincLnGo0
心臓の音が、耳に入る。
ゆったりと、穏やかで等間隔の音が。
すぐそばに死体があるのに。
殺してしまったのに。
エヴァがかわいそうなのに。
弾力のある肌の下、鼓動を聞くのは気持ちよかった。
「うん。痛い」
そっと目を閉じた。彼女の背中に腕を回し、離れがたく抱きしめる。
肩にあごを乗せて、呟く。
「だから、もう少し。こうしていて」
.
772
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:13:45 ID:DincLnGo0
考えなければいけない。��
人を傷つけた実験対が生きられる理由を。��見つけなければいけない。
エヴァが処分されない道を。
人間に危害を加えた個体は処分される。それは規則だった。
いちど支配から逃れそうになると、彼らは学習するからだ。
大きな体、獣の力。鉄の柵を食い破るほどの剛力や、顎の力。
一トンを越える体重を持つものも居た。
人型が人に害したのは、でぃが知るかぎり初めてだ。
.
773
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:14:39 ID:DincLnGo0
理由をこじつけなければ、そう考えるも、都合のよい言い訳が思い浮かばない。��
エヴァは被害にあっただけ。
そんなことが通るほど、施設は優しくない。
それよりも彼女の反抗心が問題になるのは間違いない。
どうにかして、切り離さなければ。
この死体、この男とエヴァとの関係を。
考えろ考えろ。どうすればいい。
どうすればエヴァを守ることがきる?
どうすれば、男を殺したことを知られないようにできる?
死体の隠蔽はできない。エヴァを隠すこともできない。なにか、なにか工作はできないだろうか。��
しかし考えは堂々巡りにしかならない。
管理されている身として、できることが限られすぎている。
.
774
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:15:21 ID:DincLnGo0
犯人探しは必ず行われる。
そのときに嘘がうまくないエヴァは、言わないことしかできない。
誰か。誰かが必要だった。エヴァのために、でぃに強力してくれるだれかが。
しばらくうずくまって考える。
思い立つと、でぃは立ち上がり、眠っているエヴァにシーツをかけて部屋を出た。
.
775
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:16:03 ID:DincLnGo0
うまくいかないかもしれない。��
すべてバレてしまうかもしれない。��
それでも、考えられる一番いい方法がほかにない。
でぃの知るかぎり、もっとも確実な方法。
廊下をなんども曲がり、生活形態の違うブースにたどり着く。
夜行性の生き物たちが住まう場所。
檻に囲まれた、職員たちが手を焼くも、使い勝手の良さと耐久性の高さから重宝されている生き物。
.
776
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:16:48 ID:DincLnGo0
目の前に。ぱっくり開いた大きな口が。生ぬるい空気が頬に触れる。
吐息がかかったのだ。
でぃは顔をあげた。願いを込めて。
その黒い目を見つめる。
言葉が通じるのはわかっていた。
その目に知性が宿っていることも。
だから懇願した。
「お願いだ」
.
777
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 02:17:38 ID:DincLnGo0
(*゚ー゚)「たすけて」
.
778
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 15:42:46 ID:UTBKDTmE0
支援
779
:
名も無きAAのようです
:2016/10/07(金) 05:04:01 ID:h6i.vu.o0
まつまつ
780
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:06:27 ID:/z5WvXAw0
“誰だったかしら。兄さま。
究極の愛はカニバリズムだと言ったのは。エドガー・アラン・ポー?”
“違うよ。姉さま。
彼はネクロフィリアだったんだ”
【ブラックラグーン】
.
781
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:07:08 ID:/z5WvXAw0
かさついた紙袋を破ると固い生地のビスケットがみっしりと入っている。
つまむと一口かじった。
(#゚;;-゚)「ビスケット…好き」
(#゚;;-゚)「パンも。クッキーも。パスタも。好き」
(#゚;;-゚)「お肉はきらい」
「だいっきらい…」
.
782
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:09:34 ID:/z5WvXAw0
��������
.
783
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:10:45 ID:/z5WvXAw0
( ´_ゝ`)「あ」
(A^ν^)「なんです?」
( ´_ゝ`)「こいつこいつ」
('A`)
( ´_ゝ`)「調べたらさ身元でてきた。すげーぞこいつの履歴書。」
(A^ν^)(誰だこいつ…?)
( ´_ゝ`)「大尉だって大尉。」
(A^ν^)「軍属ですか?」
( ´_ゝ`)「そ。いまはそんなもんなくなっちまったけど」
( ´_ゝ`)「へぇパイロットか。ならいい職にもつけただろうに。なんだってこんなとこにいるんだろうな」
(A^ν^)「職業軍人なんて…もうなかったはずですよね。そもそも軍隊なんて二十年まえに廃止されてるのに」
( ´_ゝ`)「ナンセンスな奴っているんだなあ。何が目的なんだろ」
( ´_ゝ`)「ジャーナリストだったら困る。めんどくさい」
(A^ν^)「…なにしに来たんでしょうね。」
.
784
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:11:38 ID:/z5WvXAw0
( ´∀`)「飛びたいんじゃないのか」
( ´_ゝ`)「あ、いたの」
( ´∀`)「いつの間にか、個人での飛行どころか国内でも飛行機の操縦は限られたものになったからなぁ。」
( ´_ゝ`)「嬉しそうだな」
( ´∀`)「おう。パイロットなんて久々に聞いたとも。私が子供のころは空港に行けさえすればたくさんの飛行機や戦闘機の本物が見れたものだ。懐かしい」
( ´_ゝ`)「すっごい非効率かつ非合理で廃止された職業だっけ?」
( ´∀`)「嘆かわしいことだ。彼らは英雄だのに」
( ´_ゝ`)「いまじゃ遠隔で操作できるのに。手動でしか飛ばせなかった頃のはなしだろ」
( ´_ゝ`)「中身入りミサイルにならないだけましじゃん」
( ´∀`)「いつの時代も人は空に憧れるものだ。ああ羨ましい。この男は戦闘機に乗ったのだろうなぁ」
.
785
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:12:21 ID:/z5WvXAw0
( ´_ゝ`)「え、無理でしょ。」
( ´_ゝ`)「戦闘機なんて何十年も前からもうただのラジコンだし」
( ´_ゝ`)「人間が運転する機械なんてよく乗れるよね」
( ´_ゝ`)「こわいじゃん」
(A^ν^)(怖いって感覚あるんだ…)
( ´∀`)「そうかな。わたしは逆にすべて機械任せのほうが恐ろしいよ。世代のせいかもしれんな」
( ´_ゝ`)
(A^ν^)
( ´_ゝ`)「んー」
(A^ν^)「そうですかね」
(A^ν^)「機械仕掛けのほうがなにより安全で確実だと思いますけど」
.
786
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:13:03 ID:/z5WvXAw0
( ´∀`)「以外とそうでもない。なにより緊急に対応できない、というデメリットがあるだろう。このあいだなんてひどかった」
( ´∀`)「そもそもの始まりは食糧難からだ。それさえなければ施設破壊も逃げられることもなかったのだ…」
( ´_ゝ`)「ふぅん?」
( ´_ゝ`)「なんかあったっけ」
( ´∀`)「タワー倒壊のことだよ。それのお陰で交通事情が麻痺し、たいへんな目にあった。首都であり中心部であるここはまだましだったろうが」
( ´∀`)「わたしたちの研究施設なんて地方みたいなものだからね。身体で言えば指先のようなものだ。血液の供給が追い付かなくなれば真っ先に崩れ落ちる」
( ´_ゝ`)「回りくどい」
( ´∀`)「……つまり、食うに困ったのさ。弱小施設とはいえ職員は50人以上いたし、研究対象なんてその倍だ。」
( ´∀`)「災害といえば身ひとつで逃げるよう教えられているし、備蓄などなかった。配給を待たなければいけない」
(A^ν^)「…………」
.
787
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:13:48 ID:/z5WvXAw0
( ´∀`)「しかし対処は遅かった。遅すぎるほどだ。すでに近隣の店は何もかも買い占められていた後だったし。水道が使えることだけが救いだったな」
( ´_ゝ`)「まじかー。やっぱ後手後手だったんだなー」
( ´∀`)「危機にすかさず対応できる者がいないのは仕方ない。その地位の人間が不足していたのだろう」
( ´_ゝ`)「おかげ様で。俺がいまんとこトップだしね」
( ´∀`)「しかしこの時代にこの都市で飢餓というのは笑えんぞ。水とクラッカーだけで何日も過ごすのはずいぶん苦しかったしな」
( ´_ゝ`)「防衛システムは稼働してたけど、たしかに流通に関しては遅かっただろうな。あれ判断に時間かかるし」
( ´∀`)「そこらへん改訂したほうが絶対にいい」
( ´∀`)「さて、議題の続きがまだある」
( ´∀`)「できればなにか食べながらしたいものだが」
(A^ν^)「でしたら席を変えましょう。なにか運ばせますので。フレンチはお好みですか?」
( ´∀`)「もちろん」
.
788
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:17:48 ID:/z5WvXAw0
��
.
789
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:19:23 ID:/z5WvXAw0
食事が足りなかった。
それが第一の悲劇。
職員も実験動物たちも、みな飢餓を経験したことがなかった。
マニュアルの生活したしたことがなかった彼らは避難についてもマニュアルでしかなかった。災害時に身ひとつで逃げることを訓練されている。
災害時の支援はすみやかに行われるため、荷物を持つ必要がない。
だがそこは限られた都市の、限られた範囲だったために、流通がままならなかった。
食品を保存する仕組みはなかった。巨大な冷蔵庫の中身は消費期限の近いものから順に自動的に廃棄される。
職員たちはみな、その日の日付を食べたことがない。要領を圧迫することなく新鮮な食事を取るための仕組みである。
.
790
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:20:17 ID:/z5WvXAw0
( ´∀`)「さて」
( ´∀`)「われわれが目指したのは真性半陰陽、つまり完全なる両性具有者だ」
銀色のナイフが、霜ふりの赤い肉を切り落とす。ほとんど力を入れていないに関わらず、指先だけで肉が裂けた。
( ´∀`)「産むこと、孕ませることに特化させた生殖のための生物」
( ´∀`)「ただ膣の育ちが遅れていてね、さすがにデリケートな器官だから、時間を待たなくてはいけなかったのだ」
( ´_ゝ`)「クラインフェルターみたいに、XXY型ってこと?」
( ´∀`)「ちがう。それではただの染色体異常だ。これは根本からして異なる」
( ´∀`)「ほ乳類に、魚の性質を持った性別転換だと考えてくれればいい。卵巣も精巣も、機能している」
( ´∀`)「本来両性具有は繁殖に向かない。どちらかの生殖器に分かれなくては2つとも駄目になるうえ、もともとが歪なため奇形のかたちで生まれてくることが多い」
( ´_ゝ`)「アンタの想像が確かなら、そいつは精子と卵子を両方持っていることになる」
( ´_ゝ`)「そんな存在なんて、可能なのか?」
.
791
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:20:59 ID:/z5WvXAw0
( ´∀`)「可能なのだ。そして、生み出した。1000/1の確率的で卵が授精した瞬間に、このプロジェクトは始まった」
( ´∀`)「単純に生殖するだけなら、単体生物のほうが優れているのは当然だ。しかし人は有性生殖によって遺伝子を取り入れることを選んだ。その結果がこの大繁殖。安定した繁栄に繋がるのなら、病気に強い種としての存続」
( ´∀`)「そこで考えられたのだ。産むこと、孕ませることのできる第三の性があればいい、人はなにもかも、クローンに代用させてきた。妊娠もまた、同じようにすればいい」
( ´∀`)「ただどうしても試験管のなかで育成する子供では支持を得られなかった。あくまでも自然妊娠に拘られてね。試行錯誤した結果思いついたわけだよ」
( ´∀`)「男、女、両方を相手に、子供を作れるような存在を」
.
792
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:21:44 ID:/z5WvXAw0
( ´_ゝ`)「精子と卵子を両方備えるといずれどちらも駄目になるんじゃないか?」
( ´∀`)「本来ならば、そうだ。」
( ´∀`)「しかし両方を同時に備える必要はない。使い分ければいいのだから。魚のように」
( ´_ゝ`)「時期ごとに性別を代えるのか?」
( ´∀`)「少しちがう。男女差はないが、内蔵の中身が変わる」
( ´∀`)「それにより、両性を持つことが可能だ」
.
793
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:22:25 ID:/z5WvXAw0
��
.
794
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:23:05 ID:/z5WvXAw0
ルーティン化されたはずの日常が少しずつ変わる。
職員たちの分を除けば大型の実験体への供給が最優先だった。
本能のまま生きている彼らが管理可能なのは習性をきちんと把握しているからだ。
そしてその分のしわ寄せはある程度safeと判断された者たちに来る。
二日に一度あった食事がなくなった頃には
水と点滴に使う栄養液だけが配給された。
最低限の糖分は保証される。
しかしだからと言って空腹がなくなるわけではない。
胃袋を満タンにしないかぎり
知性のない獣は餓えに苦しむ
それはsafe(安全)の扱いを受けた者たちも同じだった。
.
795
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:24:01 ID:/z5WvXAw0
( ´_ゝ`)「“人が想像しうることは人は実現できる”」
( ´_ゝ`)「ジュール・ヴェルヌの世界だな」
( ´∀`)「だがまだ全て終わっていない」
( ´∀`)「このプロジェクトで人類を抑制するためには、経過中の実験体が必要だ。」
( ´_ゝ`)「死んでなかったの?」
( ´∀`)「檻のなかにはいなかったのか?」
( ´∀`)「あれは頭がいい」
( ´∀`)「そうなるように教育したからな」
( ´_ゝ`)「人類が減少するか否か、その実験体にかかってるわけだ」
( ´∀`)「なんとしても、見つけなければいけない」
( ´∀`)「でなくば、すべてが無駄に終わってしまう」
.
796
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:24:42 ID:/z5WvXAw0
ごはんが無いと、うるさかった。
もうなにも食べてない。食べないあいだが長くて長い。最初からそうだったみたいに。
ごはんの時間があったのも忘れちゃったかもしれない。
お腹のすかせたうるさい子は檻の棒を噛む。
そんなことをしたらビリビリするのが飛ぶのにうるさい子たちはやめなかった。
そのうちビリビリが弱くなってただのパチパチになってもまだかじかじしてる。
ビリビリが痛くないんじゃない。
お腹が空いてるだけなの。
わたしは大丈夫
だってなんでも食べれるもの。
堅くても柔らかくてもどろどろしてても
酸っぱくても苦くてもえぐくても辛くても
.
797
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:25:31 ID:/z5WvXAw0
わたしはなんでも食べれるの。
でもあの子は違うから。
粉っぽい板きれみたいなのしか食べなかった。
だから小さくて弱くて柔らかすぎる。
歯をたてるとすぐに破れるくらい。
どんなものでも飲み込めるわたしなのに
あのこはあんなものしか口に入れないから心配。弱くて小さいから心配。
ぶつかっても叩かれても引っ張られても
ちっちゃく丸くなるしかできないからかわいそう。
わたしは大丈夫。あのこには平気だけど。
うるさい子や他の子たちは平気じゃないかもしれない。
他の子たちがあのこをごはんにしちゃったらたいへん。
柔らかいからすぐになくなっちゃう。
そのまえにわたしがごはんにしてあげなきゃ。ごはんにされる前にわたしがごはんにしてあげなきゃとっても しんぱい
.
798
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:26:15 ID:/z5WvXAw0
( ´_ゝ`)「フィッシングはどう?」
( ´∀`)「釣りはしたことないな」
( ´_ゝ`)「じゃなくて、フィッシング(囮)適当な情報ばらまいて食いつくの待てばいい。地味だけど効果あるよ」
( ´_ゝ`)「ただそれなりに食いつくエサが必要だけど。」
( ´∀`)「ふむ」
( ´_ゝ`)「だってさ、こんだけ探しても見つからないってことはめんどくさいことになってるか、完璧に隠れてるかのどっちかだぜ」
( ´_ゝ`)「スラムに潜まれたら向こうからやってこない限り辿るのは無理だし」
( ´∀`)「意外だな。てっきりこの都市のすべては管理されているものと思っていたが。やはり手の届かないところもあるのかね」
( ´_ゝ`)「映画の見すぎ。ごみ貯めをなんのために調べるのさ。」
( ´_ゝ`)「あそこらへんは無法地帯。中身を知る意味もない」
.
799
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:27:10 ID:/z5WvXAw0
( ´∀`)「なるほど」
( ´_ゝ`)「アンタ動き出すような情報持ってないの?アンタが詳しいんだろ?早くしないと回収できなくなるぜ」
( ´∀`)「そう言われてもなぁ……臆病なアレが何を考えているのかさっぱりわからん」
( ´∀`)「そもそもなぜ逃げたのかもよくわからんのだ。充分すぎるくらい、待遇はよかったのに」
( ´_ゝ`)「そういやそうだな」
( ´_ゝ`)「逃げることについて、教えたのか?教えないと逃げないはずだろう」
( ´_ゝ`)「逃亡する発想なんて普通思い付かないだろ」
( ´∀`)「アレは頭がよかった」
( ´_ゝ`)「それでもだ。外に出したことなかったんだろ?」
( ´_ゝ`)「だったら逃げるなんてこと、思い付かないはずだ。自分では」
( ´∀`)「たしかに。君の言う通りだ。恐らく職員から何らかの影響を受けていたのだろう。多少の触れあいは認めていたからな」
( ´∀`)「しかしこんなことになるのなら、隔離すべきだった。教育が仇になった」
.
800
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:28:02 ID:/z5WvXAw0
( ´_ゝ`)「必要あるのか?ただの研究体だろうに」
( ´∀`)「当然だ。教育とはすべての知的生命体に平等に与えられるものだ。人は生まれながらに人なのではない。教育によって人になるのだ」
( ´∀`)「支配が楽だからといって、無知のままにしておくのは許しがたい。放っておけば無知ゆえの取り返しがつかないことをしでかすこともあるのだ。最低限の思考は持ってないと」
( ´_ゝ`)「でもやらかしたんだろ?」
( ´∀`)「ああ。残念なことだ。あれは倫理を知らなければいけない。命というものがどれほど尊く尊重されるものかを学ばなければならんのだ」
( ´∀`)「でなくば母にはなれない」
( ´_ゝ`)「ふーん」
( ´_ゝ`)「倫理ねぇ……ただの実験動物にしてはずいぶんたいそうな」
( ´∀`)「人に愛された分、人になつくのが理想ではないか」
( ´∀`)「そのために教育したし躾もした。心を鬼にして」
( ´∀`)「大切なことを教えたのだ。命を殺すことがどれほど罪深いか」
.
801
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:28:57 ID:/z5WvXAw0
生きるために食べる
食べるために殺す
殺すために 生きる
生きるために
.
802
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:29:44 ID:/z5WvXAw0
大丈夫だよエヴァ
守ってあげる
きみは絶対に守ってあげる
「おいどうなっている。乾燥肉じゃどうやっても足りなかったぞ。せめて骨のついた奴じゃないと」
「無茶を言うな。穀物だってもう残り少ないんだぞ。そんなもの奴等に出せるもんか」
「我慢させておくしかないだろう」
「自然では何日も飲まず食わずって場合もあるんだ一週間くらいどうってことない」
「それもそうだな。多少暴れるのも仕方ないだろう」
「まだ記録の取れてない奴だけ隔離してお
け」
「はは、見ろよあいつら。まるで獣だな」
「……共食いしてやがる」
.
803
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:31:47 ID:/z5WvXAw0
('A`)「壁が完成する前だ」
( ФωФ)「早急すぎやしないか?」
恐らく最後になるであろう密談。
ふたりの意見は真っ向から割れた。
('A`)「嫌なタイプなんだよあれは。ああいう大がかりな工事をするってことは大がかりな目的があるってことだ」
( ФωФ)「……ただの壁だろう。俺たちを押しきるだけの。かのベルリンと同じものさ
('A`)「博識だな。しかしこの国が、この都市がそんな穏やかだと思えるのか」
( ФωФ)「この国は停滞している」
( ФωФ)「民主制の顔をした企業による独裁制だ。益のないことに金はかけんよ」
.
804
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:32:43 ID:/z5WvXAw0
( ФωФ)「我々がようく知っている」
('A`)「…………それならいい。」
('A`)「しかし、お前アレを見て何も思わないのか?」
( ФωФ)「ダムみたいだなとは思うが……正直お前がそこまでなにを警戒してるのかわからんよ」
('A`)「そうかい。他のやつらもお前と同意見か?」
( ФωФ)「ああ」
('A`)「……あれが処刑を連想させられるのは俺だけか」
('A`)「お前たちが慣れきっちまってるのか」
どちらもだろうな。
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805
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:34:01 ID:/z5WvXAw0
��
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806
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:34:51 ID:/z5WvXAw0
(A^ν^)「どうした?」
( )「これは……!申し訳ありません。騒ぎになってしまいましたか」
(A^ν^)「なにがあった?」
( )「お手を煩わせるほどのことでは」
(A^ν^)「いいから、なにがあった?」
( )「…………不審な男がどうしても責任者に会わせろと、」
(A^ν^)「……なぜそれで騒ぎになった?」
本来ならばゲート前の不審者などすぐに排除される。騒ぎになるほどの時間もなく。
( )「…………申し訳ありません。相手は情報屋でして」
(A^ν^)「……」
末端の職員と情報を生業にしている者は切っても切れない縁にある。どこぞの職員が小飼の情報屋と揉めたのだろう。
(A^ν^)「それで、その情報屋がなんと?責任者をだせと?」
( )「はい……」
呆れた。愚かな職員はどうしようもない者を相手にしたようだった。
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807
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:35:54 ID:/z5WvXAw0
(A^ν^)「ちなみに責任者とは、誰を指しているんだ?」
( )「さぁ……ただ責任者としか。ただえらく必死らしくて、いまもまだ暴れているようなんです。」
(A^ν^)(……)
(A^ν^)「どんな奴だ?上級市民ではまずないだろう?」
( )「はい。中間市民でもありません。しかし下層市民でもありません。」
(A^ν^)「どこにも属してない、情報屋らしいな」
(A^ν^)「なにか情報でも売りに来たのかな」
( )「どうでしょうか。ただ、取引をしたいと申し出でてますね。私たちは相手にしなかったので、暴れました」
(A^ν^)「……会ってみるか」
( )「え、」
(A^ν^)「彼らの価値観が知りたいな」
(A^ν^)「たとえばどんな時に命を懸けるのか、とか」
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808
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:36:52 ID:/z5WvXAw0
(`∠´)「……」
貧相な小男だった。
目だけが油断なくあたりを見回している。
彼の姿を目にすると、男は飛び付くようそわそわとし始めた。
(`∠´)「……ええと。あんたが今回の責任者?」
(A^ν^)「責任者という言葉をどういう意味で使ってるのかわからないが、ここを預っている一人で間違いないとも」
(A^ν^)「もっとも私の上にはもっと多くの者がいるがね」
下位の者と話すには自然と口調が改まる。
そのように教育を受けている。彼には意識もなかった。
(`∠´)「………」
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809
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:37:35 ID:/z5WvXAw0
通常ならば自分のような存在、瓦解したとはいえ一族‘’ナンバーズ‘’がこの男と会話することなどない。処理を適当に任せ、本来の政務に励んでいる。
しかし焦っていた。
反抵抗勢力の読めない攻撃、短いリミット。
部隊の集める情報量だけでは解決の糸口にもならない。
だから何らかの、少しのヒントでもいいから欲しかった。ほとんどきまぐれと興味本意である。
(A^ν^)「それで?何の用でここに来たのだ?」
(`∠´)「……」
(`∠´)「……売りに来たんだ。」
(`∠´)「リスト……買ってくれよ。たぶんあんたたちの知りたいやつらのこと、たくさん載ってると思うぜ」
男はそういって手帳を取り出した。
それはこの情報屋が人探しのためにとある娼婦から譲り受けたものだった。
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810
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:38:20 ID:/z5WvXAw0
��
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811
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:39:08 ID:/z5WvXAw0
( ´_ゝ`)「褒めろ」
(A^ν^)「ええ……」
( ´_ゝ`)「ドクオ・ハーレイのことがわかったのは収穫だろ。表に出てないだけで裏に要るのはそいつだろうし」
(A^ν^)「でしたら私の手柄なのでは……?」
( ´_ゝ`)「おまえ一人でこの膨大な名前のなかから('A`)だけを特定して( ФωФ)との関連性を見つけられたか?」
(A^ν^)「………………いいえ」
( ´_ゝ`)「( ФωФ)の使用してる施設と('A`)の彷徨いてる場所はお な じ
また娼婦たちを連絡係に使ってるのは明白だ」
( ´_ゝ`)「ただの顧客リストのなかの名前の欄からこいつらの繋がりをおまえは見つけられたか?」
(A^ν^)「いいえ。逆にどうやったんですか……素晴らしいですね」
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812
:
名も無きAAのようです
:2016/11/17(木) 13:39:55 ID:/z5WvXAw0
( ´_ゝ`)「偽名の使い方を確認しただけだ。毎回名前のを変えるやつ、第二の名を常に持ってるやつ。こいつは後者だったからな」
( ´_ゝ`)「なにを考えてるのか知らんが、恐らくこいつが参謀だろう。これで狙いをつけることができる」
( ´_ゝ`)「リードできるな」
(A^ν^)「…………リード」
( ´_ゝ`)「不満か」
(A^ν^)「いいえ。ただ、」
(A^ν^)「まだ考えてるんです。彼らの目的を」
.
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