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(‘_L’)は命令が欲しいようです
571
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 20:55:52 ID:yXXE1w160
从'ー'从「やだ、!かえして!」
身体をおこし、再び男に立ち向かっていく。
覆面をした男が横わきに抱えているのは、ぐったりと意識をなくしたーーーーーでぃ。
从#'ー'从「かえせ!!」
落ちた銃を拾い、男に向けるとすぐさま引き金をひいた。
連射機能はついていないので、慎重に男の顔面だけをねらう。
荷物のある男はそのまま撃たれ、頭に穴をあけてくずれ落ちるはずだった。��
しかし男は片腕で顔を防御する。
異常なことに、どれだけ撃っても、弾ははじかれるだけだ。
苛立ち、ワタナベは沸騰した。
.
572
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 20:56:43 ID:yXXE1w160
从#'ー'从「ふざけるな!ふざけんなよ!かえせ!!」
从#'ー'从「それは!あたしのだ!!!」
ワタナベは苛立って、金属の切断に使ったカッターを取り出し、振り回した。スイッチを入れると刃先がぐるぐるまわり、側にあった椅子やテーブルにぶつかり、それらを削る。カスが散った。
.
573
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 20:57:25 ID:yXXE1w160
从#'ー'从「かえせ!!!」
銃弾をふせいだ腕に振りかぶり、カッターで切りつけた。
ごりごりと削れる音がすると、ばちっとなにか細かなものが粉砕し、舞った。��
男の衣服が破れて、奇妙な肌が露わになる。顔を近づければうろこ状だとわかっただろう。��
しかしワタナベの視線はずっとでぃにあり、それを気にすることなくもういちど、切りつけようと振りかぶった。
.
574
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 20:58:28 ID:yXXE1w160
从#'ー'从「切断してやる!」
しかしカッターを振りかざす動作の隙をねらい、男の拳が振ってくる。
刃物を飛ばす勢いでワタナベは殴られた。身体はふっとび、机にぶつかると割れていた板がさらに砕ける。
壁に頭を打ったようで数秒ほど意識をとばした。
気がついたときにはもう、男も、でぃも居なくなっていた。
从#'ー'#从「ああああああああああああああああああああ��あああああ」
.
575
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:00:16 ID:yXXE1w160
クリスチーヌ! クリスチーヌ!
ああ降りていきたい!
降りていきたい!
降りていきたい!
すべての出口が閉ざされている、闇の井戸のなかへ!
『オペラ座の怪人』
.
576
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:01:16 ID:yXXE1w160
.
577
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:02:21 ID:yXXE1w160
(A^ν^)「すいません。お話中たいへん申し訳ないんですが…」
( ´_ゝ`)「なんか進展あった?」
(A^ν^)「はい。スーツがめっさ暴れてまくってます。どうしましょうか」
( ´_ゝ`)「んー。なんかいまの話きいちゃったらからなー」
( ´_ゝ`)「いまいちやる気にならねーわ。ちなみに被害どんくらい?」
(A^ν^)「撤退したからシェルター止まりにはなってるんですけど、最低限の交戦しかやってないので破られそうです」
( ´_ゝ`)「威嚇射撃2、3発くらい打っとけ」
(A^ν^)「スーツはいいんですか?」
( ´_ゝ`)「あんな嫌がらせみたいなのまじで捕まえようとしたら時間かかってしょうがないじゃん」
( ´_ゝ`)「向こうもわかってっから撹乱しかしないんだよ」
.
578
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:03:12 ID:yXXE1w160
(A^ν^)「了解しました。ミサイルはどうしましょうか?」
( ´_ゝ`)「あー…」
( ´_ゝ`)「うーーーーーーーん…とね」
( ´_ゝ`)「どうする?」
( ´∀`)「わたしに聞くのかね?司令官はきみだろうに」
( ´_ゝ`)「だってサンプルはたくさんあったほうがいいんだろ?」
( ´_ゝ`)「いまここで死んだら都市部と地方で結果異なるよ?」
( ´∀`)「ふむ。状況はそれほど逼迫してはいないのか」
( ´_ゝ`)「うん。だってここ囮だし」
.
579
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:04:05 ID:yXXE1w160
(A^ν^)「え?」
( ´∀`)「……なるほど。交通量の高い場所を抑えて制限をかけたのか。どうやらお相手はボードゲームが好きなようだね」
( ´_ゝ`)「そらそうよ。俺らとガチでやりあって、得することなんかねーじゃん」
(A^ν^)「え囮?」
( ´_ゝ`)「あれ言ってなかったけ?」
(A^ν^)「でも、だって、あの。少年兵とかばんばん死んでるんですけど」
( ´_ゝ`)「戦争だもの」
(A^ν^)「市民とか、流れ弾受けて」
( ´_ゝ`)「富裕層はいないからへーきへーき」
(A^ν^)「傭兵の3割くらい負傷してますけど」
( ´_ゝ`)「金払うのバカらしくなるよねーでも本人たち納得して契約してるからいいんでないの」
.
580
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:04:54 ID:yXXE1w160
(A^ν^)「いや、そんなつもりじゃないんですけど、」
(A^ν^)「だって…こんなに死人出てるのに、被害でかいのに、本当に囮なんですか?」
( ´_ゝ`)「うーん。そっかお前したっぱだもんなぁ」
(A^ν^)「な、なんですか?なんかだめでした?」
( ´_ゝ`)「だめっていうかー。いやだめだなこりゃ。御愁傷様。出世できないわお前」
(A^ν^)「こ、こんなに真面目なのに?」
( ´_ゝ`)「真面目ってか、普通っていうか平凡っていうか平均値っていうか」
(A^ν^)「」
.
581
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:06:18 ID:yXXE1w160
( ´_ゝ`)「だってさー、俺らや向こうってべつに死傷者って数えてないしー」
( ´_ゝ`)「被害のでかさ加減からいってもせいぜい金しかないぜ?それも爆発してる車両は強奪したもんだし、武器はメンテナンス不要の粗悪品。たまに自分の頭撃ち抜く用。そして人件費なんてタダ同然」
( ´_ゝ`)「ここでいう機会費用ってなにか、おまえわかるか?」
(A^ν^)「はぁ…しなかったことに対するもしもの費用ですよね?ええと、この場合もし迎え撃たなかったら、その間何をしているか、ですか」
※詳しくはググろうね
( ´_ゝ`)「そう。そもそも作戦なんてないに等しいようなもんだろ。ごり押しのテロなんてやらかすからには、必ず目的がある。前線で戦ってるやつらは知らされてないけど、奥に中心人物なんて絶対いない。」
( ´_ゝ`)「意味がないから。これだけ大量に人も武器も反乱も備えてるのに?」
.
582
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:07:08 ID:yXXE1w160
( ´_ゝ`)「だから向こうがやりたがってるのは、俺らが援軍を送るための道路を使えなくすること、それから最高司令官の足止め」
( ´_ゝ`)「つまり俺の足止めってこと」
( ´_ゝ`)「あー俺って優しいー。敬ってもいいよ」
(A^ν^)「ありがとうございます」
( ´_ゝ`)「だからおまえつまんねぇんだわ」
(A^ν^)「」
( ´∀`)「しかし、いいのかね?それだけわかっていながら、なぜ対処をとらない」
( ´_ゝ`)「だってべつに、本気になるようなことじゃないし」
(A^ν^)「いやいや、武器取られちゃったら不味いですよ。うちの製品ただでさえ国際的に非難浴びてるんですから、」
( ´_ゝ`)「また作ればいいし。」
( ´∀`)「反乱は必ず鎮圧できるという自信かね?いずれ足元を掬われるぞ。どれほど会社が優れていても、少数は不利ではないか」
.
583
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:07:56 ID:yXXE1w160
( ´_ゝ`)「いやだってさ。いったじゃん。出国と入国は俺が管理してるって」
( ´_ゝ`)「そもそも、誰もここから出す気なんてないよ」
( ´_ゝ`)「人間は減らさなきゃってさっき言ってたやん」
( ´_ゝ`)「おんなじ意見なんだよね。うちのとこもさ」
( ´∀`)「余裕があるということか」
( ´_ゝ`)「生きてここから出さないってこと」
( ´_ゝ`)「そいつがなんであれ、絶対ね」
.
584
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:09:42 ID:yXXE1w160
.
585
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:10:27 ID:yXXE1w160
食事の時間が好きじゃなかった。
それは食事ではなく、ただの補給だったから。
個体によって栄養素も取り入れる薬も違う。病院食ですらない。
経口摂取さえできなく、直接チューブで点滴を流し込まれる者もいた。
そんな彼らにとって補給は憂鬱な時間だった。しかしごくわずかに、鈍くとも味覚を形成された者たちがいる。
甘みに苦み。それだけしか感じ取られないが、食べることの楽しみを得ることはできた。
.
586
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:11:19 ID:yXXE1w160
「……おいしい?」
川*゚ー゚)「うん!」
ただ用意されるのは最低限の固形。
言い換えれば残飯。
職員の廃棄される分を、適当に混ぜ込んだもの。
人の食事のように配慮されていないのは当然。
いくつもの種類がひとつの鍋に捨てられた自分には口にすることができないほど、悪臭が強い。酸っぱい匂いが鼻につく。
しかし味覚や嗅覚が発達していない個体には、それでも十分味がするご飯なのだ。
無臭の流動食や、味のしない錠剤よりもましな。
.
587
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:12:08 ID:yXXE1w160
「……お皿がほしいね」
川*゚ー゚)「?なんで」
「スプーンをもらってこれば、汚れないですむから」
川*゚ー゚)「へんなの!あとで洗えるよ」
明るく、屈託ない顔で彼女は笑う。
どろどろに混ざった、元がなにか判別ができないモノで顔や手を汚している。手づかみで水っぽさのある“食事”を取っている。
食べずらくなれば、直接鍋に顔をつっこんだ。異常ではない。
ここではこれが当たり前の風景だった。ただ職員と食事をともにする自分しか、本当のことを知らない。
伝えることも難しい。
皿があってもスプーンがあっても、
きっとみな使わないだろう。
必要に迫られることがないから。
.
588
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:12:51 ID:yXXE1w160
「ごめんね。タオルがあればよかったんだけど」
川*゚ー゚)「べつにいいもん」
「そしたら拭いてあげられたのに」
川*゚ー゚)「どうして拭くの?」
それが人だから。
.
589
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:13:40 ID:yXXE1w160
けれど言葉はでなかった。��
彼女たちは、そのカテゴリに属していない。
.
590
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:14:28 ID:yXXE1w160
「おいで××××。いいものをみせてあげようか」
いくつもある使用されていない部屋のひとつに、こっそりと引き込まれる。
素直に従った。
まわりに誰も居なかった。
この場合の意味の誰も、に仲間は含まれない。
男を止めてくれるような施設の職員は誰もいなかった。
毎回自分だけが連れていかれる。仲間たちには妬まれたり、うらやましがられた。
彼らは本当に楽しい思いをしているのだと信じているのだった。
だから相談もむずかしい。
なにをされ慣れているのか、いまだ深くはわかっていない
.
591
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:15:13 ID:yXXE1w160
撫でられるような声で、囁かれるのは危険信号だ。
支配者からの、機嫌をとるような態度は不振しかない。
けれど気づいていないふりをして、頷いた。
慕っているようにこちらが示せば、危害は加えられない。
その代わりにひどいことをされる。
「おまえは綺麗だ、美しい。神がつくりたもうた、最上の生き物だ。」
研究員はひざまずいて、つま先に唇を落とす。��
恍惚に近い顔でうっとりと見つめられた。彼の場合はまだいい。
じっとしていればじきに解放される。少なくとも、肉体的な損傷はなかった。
.
592
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:16:03 ID:yXXE1w160
「大人になる日が待ち遠しいね。おまえは世界で一番、幸せな××になるんだろう」
ひもで閉じるだけの簡易な服。室内の温度は一定にたもたれているから、それだけで不安はない。
それなのに、いつも過ごしている衣服なのに、心もとない気分にさせられる。なぜだろう。男の手が入ってくるからだ。
豊かで、脂肪あふれた太い指が、でぃの足をのぼってくる。
ただ撫でているだけなのに、走り出したくなるのはなぜだろう。
打たれるわけでも、つねられるわけでもなく、ただねっとりと肌に触れる。
男の手が汗ばんでいるからだ。
だからこんなにも気持ちが悪い。
湿った手が、乾いた皮膚を濡らしていくから。
.
593
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:16:48 ID:yXXE1w160
「なにをみせてくれるの?」
押しとどめるようにして聞いた。
声はふるえていないだろうか。
動揺をみせてはいけない。
隙があれば、そこを突かれてしまう。撫でていた手が動きをとめ、なり惜しそうに足から離れていく。
ものすごく、安堵した。
理由は知らないが、彼らは中身にまで触れてはいけなかった。
他の個体は服を剥がされて、臓器のなかまで覗かれるから、それは破格の扱いだ。自分でも理解している。
優しく。穏やかに。いやがらない。
嬉しそうに。懐いているように。
そうやって振る舞わなければいけない。��
でないと扱いがひどくなる。
.
594
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:17:32 ID:yXXE1w160
「ああ……ほら。ずいぶんまえに、寝物語をみんなで聞いただろう。あれを見せてやろうと思ってね」
言い訳の言葉。ついでの説明だ。
そんなものは挿し絵でさんざん見たし、スクリーンに現れるような画像はもう見飽きている。
それでも笑顔をつくって、喜んだふりをした。
「ほんと?みたい」
でないと続きが行われる。
無邪気にそう促す。
「ああいいよ。記録的なニュースにもにもなったから、めずらしいと思ってね。ほんとは外の出来事を流しちゃいけないんだけど、おまえは誰かに言ったりしないだろう」
男はどこか自慢げに、こちらを伺うように言った。どこかさげすみの感情をもって知性をひけらした。
彼はなにも知らないままの無垢だと思っている。
.
595
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:18:14 ID:yXXE1w160
こちらは職員のアカウントをいくつも記憶しているのに。
手元の打ち込みを盗み見た。
指紋認証とユーザーとパスコード。
自在に使えれば、どこの部屋にもいける。外につながるドアにもくぐれる。思惑を押し隠し、はやくとねだる。
急かされて男はまんざらでもないように、映像を取得する。
そしてそれは映し出された。
しかし予想外の映写で、期待していなかっただけに、息がつまる。
食い入るように、目を見開いた。
「……これなに?」
「千年にいちど、あるかないかの風景だそうだ。美しいだろう?」
「うん……」
「そうだろう。雨の降らない砂漠に、こんな奇跡があるんだ。世界はまだまだ、驚きに満ちているよ。まるでおまえのようじゃないか」
.
596
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:19:05 ID:yXXE1w160
崇拝するように拝まれることもある。
しかし逆に、わわけもわからず毛嫌いされることもあった。
ふたつにどんな違いがあるのかわからない。思考の違い。
人間の違い。男女の区別。わかっているのは、両方ともこちらを特別とみなしていることだ。善くも、悪くとも。
.
597
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:20:19 ID:yXXE1w160
ミ,゚Д゚彡「おい」
「……っ」
腕を捕まれ、強く握られる。そこには気遣いなどない。
殴られないのは単純に手を痛めることと、実験最中の個体への配慮のためだ。
期間が終了すればなにをされるかわからない。低い恫喝に、いつも本気で怯える。
彼らの悪意は怖かった。
嫌いを越えて、いつも憎まれている。
理由を知らないから、なおさらに。
研究員と部屋から出たのを見られてしまった。詰め寄られる。
明確な悪さなどしていないのに。
この男はいつも、自分ばかり責め立てる。
.
598
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:21:22 ID:yXXE1w160
ミ,゚Д゚彡
二人きりで部屋にいったな。なにをしてたんだ?」
答えそうになって、口をつぐんだ。
映像のことは黙っている約束だ。
ばれたら二人とも不幸になる。
しかしその様子は、この男にある疑いを抱かせた。
そして発想は簡単に飛躍する。
ミ,,゚Д゚彡「言わないつもりか。言えないような何かをしていたんだな?汚わらしい!!だからおまえはだめなんだ、人を堕落させる!」
「だらく?」
ミ,゚Д゚彡「そうだ。正常ではない。歪だ。この世の正常ではないから、おまえのせいで道を間違えるやつがでてくるんだ。なんて恐ろしい」
「やだ……はなして!」
.
599
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:22:11 ID:yXXE1w160
ミ,゚Д゚彡「なにをされた?話すんだ。でないと仕置きだぞ。
なんのためにみながおまえを待っているんだと思うんだ!まともじゃない子宮を使ってまで、世界に貢献しないといけないんだぞ!」
「わからないよ。なにを言ってるの」
ミ,゚Д゚彡「歪んだ生まれだがおまえ自身が汚れてしまえば元も子もない。さあ、ちゃんとされたことを話すんだ。あの男は処分される。もうおまえに近づくこともない。だから言え。×××を握ったか?足を開いたのか?」
ミ,゚Д゚彡「それともおまえから誘ったのか?この悪魔め!」
恐怖に襲われ、抵抗した。すねを蹴って、逃げ出す。
他の個体と違って獣相がなくとも、運動もトレーニングもない研究職の男に比べれば筋肉はついている。
.
600
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:22:54 ID:yXXE1w160
反抗に驚いた隙に手を振り払って全力で走った。
仲間の誰よりも人間に近くとも、人よりも体は優れているはずだ。
いつもそのように言われている。
長く。ひたすら長く続く廊下を許されている範囲内で走りまわる。
追いかけてはこないようだった。
それでもまだ不安で、観察用の植物園にと向かう。
.
601
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:23:40 ID:yXXE1w160
天井がガラス張りで、夜でも日射がある。
葉の大きい植物や木々がいくつも繁茂していて、イグアナ種の個体たちの楽園場所だった。
隠れ場所に向いている。
他の部屋に比べて、少なくとも探す時間くらいは稼げる。
背丈のながい草にうずまり、震えながら身を隠した。
悪意は怖い。好意はどこかそら恐ろしい。
学んだことは、回避の方法だけ。
.
602
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:27:46 ID:yXXE1w160
.
603
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:28:36 ID:yXXE1w160
('A`)
さっとパネルに指を滑らせると、経路案内の画面がでる。
路線の色合いを確認し、無線で暗号化したデータを飛ばす。使用しているのはほとんどがきちんとしたまともな製品だ。
違法改造さえしなければ誰でも使える。登録した持ち主はすでに変わっているが。
喉がかわいたのでボトルの首を割って、コップに注いだ。
打ち付け、ガラスの割れた音が静かな部屋のなかに響いたが、誰も反応することはない。
色褪せたソファやシーツのないスプリングベッドの上には死体のような女たちが転がっている。
.
604
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:29:29 ID:yXXE1w160
ξ ⊿ )ξ
川 д 川
|゚ノ ∀ )
彼女たちはみな恍惚に眠り込んでいる。
客をとるために起きている時よりも、幸せな夢のなかにいる時間のほうが長い。
男たちもそれに慣れ、反応のないまま犯すこともあった。
つまらなくとも、早く済む。
('A`)「陽動に気づかれてるか…」
ひとり呟く。
管制の司令官はそれなりにキレるらしい。しかし拠点までバレているわけではない。そのまま続行する。
傭兵団の役割のまま、あくまでもレジスタンスを貫く。この国の人間でなくとも。
.
605
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:30:11 ID:yXXE1w160
('A`)「鼻が聞かないタイプねぇ…欲をいえばセオリー通りで居てほしいんだが、どんなんだろうな」
('A`)「お帰り」
('A`)「楽しかったかい?」
彼は背後の存在に声をかけた。
気配なく、いつ立たれたのかもわからないが、そこにいるだろうという予測があった。
.
606
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:30:51 ID:yXXE1w160
薄暗い電球の下、闇の深い場所から影が形になり、体躯のよいなにかが現れる。
それは一部の隙間なく、プロテクト・スーツに覆われていた。顔もわからない。
しかしわからなくともいい。人間の記号を、この男は持っていない。
('A`)「なにか飯でも食うか?女ならそこにいるし、酒も腐るほどあるが、おや?」
ドクオは男が脇に抱えたものに気がついた。
最低限の衣食住しか欲しないこの男が、なにやら訳のありそうな人間を持っている。
('A`)「なにか新しい情報でも手に入ったのか?」
しかし男は黙ったまま、持ち物を渡すこともなかった。自分のたちへの手土産ではなさそうだ。
.
607
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:31:48 ID:yXXE1w160
('A`)「……部屋を用意させようか?」
男はしっかりと意思表示した。
首を降って。NOの意味。
つまりはこれは男の獲物であり所有するということだ。
ドクオは乾いた笑みを浮かべる。
狂人の頭のなかなど理解不能だ。
女ならばまだ分かりやすいものを。
抱えられている人間は、特別美しいというものではない。見るからに凡庸だった。
しかしこの男が望むのなら、叶えてやらないと。
獣を飼うのは、飴だけが必要だ。
手に負えない相手に鞭は振るえない。
.
608
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:32:46 ID:yXXE1w160
('A`)「じゃあ早く連れてってやんな」
しかし男は動かない。
プロテクターのアイサイトレンズから、ドクオをじっと見ている。
なにか訴えたいことがあるのだ。
それを探るのはいつもならば、手間だったが、この時は簡単だった。
('A`)「心配しなくとも、取りゃしないよ。傷つけたりもしないさ」
おまえがいる限りな
男が仲間でいる間なら、そのためにいくらでも機嫌をとる。いま意識のない手土産が、たとえ拒絶したとしても。
言うことを聞かせる薬ならあった。
.
609
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:33:29 ID:yXXE1w160
ドクオの言質を取ると、男は再び重さの感じられない足取りですっと闇に消えた。
跳んだのだ。音をたてず、俊敏に。
窓から野外にでて、屋根をいくつも経由した離れにと帰った。
たどり着くまでに、人では時間がかかる。梯子もなにもないので、ひとりでは降りられない。
連れられた人間は、目を覚ましても逃げることはできないはずだ。
一段落ついて、ドクオはようやく緊張をといた。
表情にも仕草にも出さないようにしていたが、銃の効かない相手というのは身構える。殺す手立てがないのは絶望だった。
仲間にできて、本当によかった。
.
610
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:34:21 ID:yXXE1w160
('A`)「おっかねぇ」
('A`)「あの人間、食うのかな」
離れが汚れてしまえば、掃除屋が必要になる。
いまのうちに予約をとっておくか、とのんきにwebサービスを開いた。
血や内臓が腐れば、内装が使い物にならなくなる。
.
611
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:52:12 ID:yXXE1w160
「月は男神にも女神にもたとえられる。国によってはさまざまだがな。
しかし、だからこそふさわしい名だと思ったのだよ」
「おもしろいのは、多くの国々では、太陽は男なんだ。荒々しく照りつける。日照りに乾き、古くから、日射は恵みと同時に飢えを招きよせた。
それが雄々しい男神のように思えたの
だろう。月はやさしく夜をひっそりと照らす。そこに女人をみたのだ。アポロンやアルテミスがメジャーなのも、そういうことだろう。」
.
612
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:53:08 ID:yXXE1w160
「ただアジアの島国だけは異なる。
長らく鎖国状態だったからか、そっくり反対なのだ。アマテラス大神とツクヨミのミコト。このふたりは兄弟だが、太陽神が姉だ。女人であっても、太陽であるから男よりも格が高い。」
「どちらでもあるおまえにふさわしいものはなんだろうか。ただの連番を区別のために呼ぶのも味気ないだろう。これほど生き物として最適に進化する種の、初代なのだからな。おまえは母であり、父である。」
「アルテミスであり、アポロンなのだ。」
「ゆえに美を象徴する女神から名をもらい、月を意味する言葉にした」
「うつくしいだろう?××××」
.
613
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:53:57 ID:yXXE1w160
悲鳴のような声をあげかけて、目をさました。
心臓が早鐘を打っている。どくどくとうるさく、それで夢のなかのできごとを払拭する。
(#゚;;-゚)「は、は、……」
今しがたまで、支配する声がそばにあった。おきが上がり、そんなものはないのだと確認する。
誰もいないはずだ。
でぃはひたすら、自由のはずだった。そばに伸びる手がないのに安心する。
落ち着きかけて、現状に気がついた。
ここは、どこだ。
.
614
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:54:57 ID:yXXE1w160
散らかった室内。
布ばかりが積み重なっている。電灯もなく、あばら家といった風情だった。
人が生活する様式がまったくない。
板を張られたようなせまい壁が四方にあり、中心にでぃは寝ていた。
積まれた布を被り、子供が布団をかぶるように。
(#゚;;-゚)「ワタナベ……は?」
なにがあったのか、直前までの記憶は抜け落ちている。
襲われた直後、でぃは全体を知るまえに意識をなくした。
その後を知らない
恐る恐る、小屋から出ようと試みる。
取ってのあるドアのおかげで、閉じ込められているとは思わなかった。隔離部屋は、内側からは開かない。
ドア事態は簡単にひらいた。
.
615
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 21:55:39 ID:yXXE1w160
(#゚;;-゚)「え、……」
しかし一歩踏み出すことはできない。
床がなかった。
天上の楼閣のように、その部屋は下界から上にある。
見下ろせば、高いところの風が顔に吹き、髪を乱した。
人差し指で摘まめそうなほど、下にある家々はちいさかった。車なんておもちゃのようだ。
足がすくんでしまい、でぃはへたりこんだ。
高いところは嫌いだ。もうドアを開ける勇気もない。
.
616
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 22:01:41 ID:yXXE1w160
(A^ν^)「それで、結局どうするんですか?」
( ´_ゝ`)「そうさなー、とりあえず集合させて、そこを叩く。」
(A^ν^)「じゃあ向かうんですね」
( ´_ゝ`)「いんや。積み荷やらなにやら狙いつけられてるんのがわかってるんだからさ、馬鹿正直にそこに行く必要ないっしょ」
( ´_ゝ`)「かといって向こうから来るわけもないし。空は押さえてるから、逃げるんなら海だな」
(A^ν^)「幾人か向かわせますか?でもそのぶん、ここの警備が薄くなってしまいますが…」
( ´_ゝ`)「向かわせるっちゃ向かわせるけど、別に俺らじゃねーよ」
(A^ν^)「へ?」
( ´_ゝ`)「いるじゃん。こんなときに、都合のいいのが。そのためにお金払ってるんだし」
(A^ν^)「……!ああ」
.
617
:
名も無きAAのようです
:2015/11/01(日) 22:02:45 ID:yXXE1w160
一時停止。
まとめ終わったらまたきます
618
:
名も無きAAのようです
:2015/11/02(月) 20:14:03 ID:5nTiP99M0
おつ
619
:
名も無きAAのようです
:2015/11/02(月) 21:03:59 ID:dnzKaTuw0
やったああああ!待ってたら来てた!
これから読んでくる!
620
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:00:48 ID:Iajk2B0I0
ロマネスコ・アレクセーレフはこの国で傭兵団を率いている。
おおよそ治安の一定しない国特有の、力が法であり、秩序だった。
彼はロシアとメキシコのハーフであり、外見と同じように内部にも凍えた粛清を持っていた。傭兵団といえば聞こえはいいが、実際犯罪者の集団だ。
ただ金稼ぎと利権のためにとある会社と契約することもある。
.
621
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:01:33 ID:Iajk2B0I0
生きていくためには金が必要だ。
そしてこの国ではユダヤのように、商人はまともに生きていけない。
傭兵と手を組み、互いに協定を結ぶことが前提になる。契約してさえいれば、襲われることはない。
それは観光客も含まれる。ツアー客でさえ、大手のパックに入っていないと、行方知らずは当然だった。
そのための自警団。
仕事を得るためには、仕事を作り出さないといけない。
.
622
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:02:21 ID:Iajk2B0I0
そして彼らはもっとも実入りのいい仕事をつい最近見つけた。ビルが倒壊するほどの、大惨事。
被害はたいへんに大きかったが、この国の人間が受けた傷ではない。
みな冷静に、どれほどの儲けが出るかを考えた。株式は下がったはずだが、周辺地域の経済は活性化した。
混乱のさなか、めずらしく後手に回った企業の応対。傭兵団という兼業は、強盗に様変わりする。
たとえ登録されていない商品だろうと、分解して売却すれば金にはなる。
需要があり供給がある。
.
623
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:03:02 ID:Iajk2B0I0
日常的に、そのような嗅覚が発達している者たち。束ねるためにも、ロマネスコは強面であり、タフガイであり、信頼されている。
彼らの傘下にいる限り、食いっぱぐれることはない。区域にもよるが、簡素な作りの銃も振る舞った。
銃を持てない者これに殺到した。
しかし、犯罪数が増えることはない。ある程度管理する社会のほうが、もめ事は少なかった。警察が機能していない以上、取り締まるのは彼らでもあるのだ。
.
624
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:04:16 ID:Iajk2B0I0
この国は政治に混乱はないが、重要な役職をある一族に牛耳られている。
そのため国民が外貨を得るには、こういう事でなくば方法がない。正しくないと非難されるであろう行為だが、正しさだけでいえば企業が正義となる。
抑圧された国民たちは反乱を起こしてもよいはずだ。しかし国の多くが企業の技術に依存している現状。誰もが企業の顔色を伺うことに疑問を持たない。
撤退され不便になるのは、自分たちであるから。誰も難民にはなりたくはない。
国民は上手に飼い殺しにされていた。
飼われたくないのが、傭兵団だ。
立場上、自警団と呼んでもいい。
外資系に侵略されないがための。
.
625
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:05:04 ID:Iajk2B0I0
そのためには法律が間違いであり、反抗することが正義だった。
そも、法とは強者のための、強者が制定したものである。
だからいつまでたっても、改正されない。
.
626
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:14:44 ID:Iajk2B0I0
( ФωФ)「依頼かね」
( ´_ゝ`)「そーいうこと」
( ФωФ)「残党がまだ多い。我々がここを離れてしまうと、責めいる手数が増えるぞ。」
( ´_ゝ`)「べつにいいよ。突破されるわけじゃないし」
ロマネスコは傷のついた両眼で男を睨んだ。
( ФωФ)(……頭が悪そうなわけではないのに、このゆるさはなんだ)
.
627
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:15:26 ID:Iajk2B0I0
ロマネスコは不機嫌な様子を隠さない。
彼にとってこの男は理解の範囲外にあった。
( ФωФ)「ならば早々に移動しよう。敵の予測の裏をかけば、襲撃もうまくいくだろう」
( ´_ゝ`)「ああ。でもべつに、強硬しなくてもいいからさ。威嚇行動になってればそれで」
( ФωФ)「叩かないのか?」
( ´_ゝ`)「だって一ヶ所に集めてからじゃないと漏らすし。面倒くさいじゃんちまちま削るの。」
( ФωФ)「そんな弱腰のうちでは侮られるぞ」
.
628
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:17:13 ID:Iajk2B0I0
奇妙な胸騒ぎと、まるで見透かされているような態度。
どこか気味が悪い。この男の言葉には真あがない。どれも正しく、間違っているような気がする。
しかし言葉だけでみれば、ただの不精者。富にあぐらをかいただけの、企業の坊主。
しかし、先ほどから、契約途中の話し合いのさなか、この男がよい位置に来ることは一度もなかった。
ふらふらと、適当に部屋のなかに入り、ソファーに座り。だされた酒を飲む。
その間スナイパーは男の急所に狙いをつけることができない。
身体を揺らしたり、首を傾げたり、ソファーの背中に座ったりと、自由に動き回っている。
.
629
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:18:15 ID:Iajk2B0I0
ロマネスコは部下に窓のひさしを閉じさせた。
これを偶然と考えるほどおめでたくはない。頭のゆるそうな男だが、隙というものがなかった。
しかし意識しているわりに、こちらからの出したものに口をつけるのも不気味だ。
本当に警戒しているのか、わからない。それが気味が悪い。
承知のうえで行っているのか。ただただ。運のよいだけの男か。
いいや、そんなものが、司令官であるはずがない。ロマネスコは己の認識を改めた。なにかある。
あるからこそ、これほど自分たちにとって都合のいい展開になるはずがない。
.
630
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:18:56 ID:Iajk2B0I0
( ФωФ)「作戦概要があれば伝えてくれ。仲間を消耗させたくはない」
( ´_ゝ`)「これといったことはないなー。でもスーツ着た奴は無駄に追いかけなくていいぜ」
( ФωФ)「なぜだ。あれが一番、目障りではないか」
( ´_ゝ`)「行動が読みやすい。近場にいるなら、問題が起きてるのは遠くのほうだ。」
( ФωФ)「というと」
( ´_ゝ`)「そのまんまだよ」
( ФωФ)「……」
.
631
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:19:41 ID:Iajk2B0I0
ロマネスコは黙る。
男もそれ以上口にしなかった。
パワーゲームを真似るつもりはなかったが、あれこれ口にすれば無知のようにも見られ、また相手に疑問を持たれる。
所有権を渡したまま素直に承諾したほうが疑いは少ない。
どれほど気がついているのか、さぐりを入れたかったが、それ以上は難しい。
駆け引きなのか、そうでないのか。
見分けるのが困難な時は乗ってはいけない。
632
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:20:23 ID:Iajk2B0I0
( ФωФ)「それだけか」
( ´_ゝ`)「うん」
( ФωФ)「では我々は仕事をしよう」
( ´_ゝ`)「……うん?」
( ФωФ)「我々が居なくなったぶん、負担が増えるだろうが、それで潰されるお前たちではないだろう。」
( ФωФ)「せいぜい足止めを踏ん張るのだな。勝手に死ぬのではないぞ。契約中なのだ。金がもらえん」
( ´_ゝ`)「あー、うん、まぁ」
.
633
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:22:55 ID:Iajk2B0I0
協力体制。裏切りと罠。ロマネスコは腹芸が得意というわけでなく。
嘘を言わない代わりに真実も言わない。味方のふりをしているだけだ。
ただあまりに厳しい対応では、見限られるし信用されない。
実直で真面目な見方をされれば幸いだった。
( ФωФ)「少し警備のために残していくか?」
( ´_ゝ`)「いや、べつに……」
残念だ。警護と称して見張りをつけられたのに。
案じているふりをして、手を休めるようにと警告をする。
あわよくば、そのまま逃げ切れるかもしれない。
.
634
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:23:54 ID:Iajk2B0I0
( ФωФ)「同じことを繰り返すが、撃退せよとは言わん。ただいまの現状で追撃するのは控えるんだな。
破れかぶれになった奴が特攻すれば、どんなに厳重でも死なない保証などない。ここの人間ほど、テロをやり慣れているものなどいないのだ」
( ´_ゝ`)「お、おう」
( ФωФ)「我々はいずれ革命軍となる。お前たちと連携しなくばならんのだ。その時まで生きていてとらわんと困るのでな」
あやふやな将来だが、目的は間違っていない。利権さえ得られれば、それで安泰。
ロマネスコが治める一体が、豊かであれさえすればよかった。
裏切りの裏切り。ドクオとの共闘が終われば、次はまた敵になるかもしれない。
そのときに背後を守る存在が必要だった。
.
635
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:24:49 ID:Iajk2B0I0
ある程度まで信頼させる。
傭兵団の使い勝手のよさ。社会の裏の秩序を保っているのは、ロマネスコたちだという自信がある。
ロマネスコ・アレクセーレフはそういう男だ。
東西冷戦の時代のように。同盟と嘘と裏切りは、使い分けるためにある。
( ´_ゝ`)「……」
( ´_ゝ`)「え?フラグ?……」
.
636
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:26:29 ID:Iajk2B0I0
.
637
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:27:12 ID:Iajk2B0I0
('A`)「それでビビって逃げ帰ってきたわけかよ」
( ФωФ)「恐れてなどいない。ただ気味が悪かっただけだ」
('A`)「なにがだよ。飄々としたような奴なんだろ?扱い易そうじゃないか」
2台のトラックを、擦れ違うようにして挟む。二人は別の車両に乗って、窓から会話していた。
交通量の少ない、視界も限れる道路の脇に寄せる。通信手段は、この国では覗かれても文句は言えない。
厳重にカギをかけたとしても、製造元の管理は現在の敵だ。
うかつに受信されてはならない内容。確実な密談はいまだにアナログが有効だった。
.
638
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:28:06 ID:Iajk2B0I0
( ФωФ)「あれは扱いやすいわけではないぞ。対面しなければ、あの気持ち悪さはわからん」
('A`)「どうだか。そっちはただの人間だろう?」
('A`)「こっちのほうが得体がしれねぇぜ」
( ФωФ)「しかし、扱いのほうは難しくなさそうだな」
('A`)「わからねぇよ。キレさせた時のこと考えるとな。爆発物なみの慎重さで対応してるが」
( ФωФ)「そうか。こちらの方は一応、手出しは控えるようにと苦言を刺しておいた」
('A`)「素直に聞いたか?」
( ФωФ)「恐らくは。ただ気づかれているのか、いないのかの判断がつかない。どれほど特攻しても、まるで被害がないというような顔をしている」
.
639
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:28:48 ID:Iajk2B0I0
('A`)「なるほど。そいつはたしかに気味が悪い。どっちかわからないんだな?」
( ФωФ)「ああ。軍なら除隊じゃすまさない」
( ФωФ)「どちらでもいいとは、そういうことだろう」
('A`)「やつら、なにか企ててるんじゃないのか」
( ФωФ)「その様子も見られないから、気味が悪いのだ。ゲリラ戦に対して、防衛はするものの迎撃にこない」
( ФωФ)「俺が言うまえから、そのようなスタンスだった」
('A`)「ふぅん。そりゃ、おかしな話だ」
( ФωФ)「……」
('A`)「なんだよ?」
( ФωФ)「あの子どもたち、どうなった?」
.
640
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:29:41 ID:Iajk2B0I0
ロマネスコが尋ねたのは、スラムから拾われてきた少年兵たちのことだ。
彼らの多くは仕事を得るために銃を持たされる。そして教育された。
ロマネスコは少年兵の存在を憂いたわけではない。
ただ彼らは、この国の人間である。
ロマネスコが収める地域での、将来は一員であったかもしれない存在だった。
('A`)「……生きてるのも、いる」
( ФωФ)「……見せしめか」
('A`)「冗談やめろ、って思わず笑っちまったぜ」
('A`)「まさか躊躇なく撃って来るたぁな思いもしなかった」
.
641
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:30:37 ID:Iajk2B0I0
ドクオが乾いた笑みを浮かべる。
どこか自嘲めいていて、ロマネスコはそれでこの男を信用に足りると判断した。
何を惜しむかの価値観は似ていなければ協力はとれない。背中を預けることもできない。
そしてひとつのことに気がつく。
( ФωФ)「そこだ」
( ФωФ)「奴らには慈悲がない。容赦さえもない。我々を人だと、思ってすらないのだ。この国はもう我らの国ではない」
( ФωФ)「武器を持たされた子供を、衆人の目のまえで残酷に射殺した」
( ФωФ)「なのにこちらがわからの攻撃に、焦りが見られない。余裕がないからこそ、あそこまで配慮なくやれたのではないのか?事実、いまは誰もが我々を支持している。それもあの一斉射撃があってこそだ」
巨大な勢力と反乱。
弱者を踏みにじる様子は誰もの怒りと反発を招く。
大使館は沈黙しているが、表だっていないだけで、このやり方に賛成というわけではないはずだ。
.
642
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:32:39 ID:Iajk2B0I0
( ФωФ)「矛盾している。なにか、なにがある。いまここで、我々を殲滅しないだけのなにかが」
口に出せばその考えはかちりとはまった。
不気味に沈黙し始めた、敵の様子にしっくりと来る。
ただそのなにか、が分からない。
('A`)「……潮時だな。最後のコンテナを運べたら、俺は引き上げる。この国からな」
('A`)「おまえも考えたほうがいい。まともな奴は、こんなところで生きられない」
( ФωФ)「……」
ロマネスコはしばし沈黙した。この男から愁傷な言葉を聞くことになるとは。
( ФωФ)「それは惜しまれていると、考えてもいいのか」
('A`)「そうだ」
('A`)「ここにゃなんたって、あるべきものがない」
.
643
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:33:31 ID:Iajk2B0I0
('A`)「先進国のふりをしているのに、法律が機能してない」
( ФωФ)「ああ……独占禁止法、消費者法……」
('A`)「それだけじゃないさ」
ドクオはそこで初めて哀れみを見せた。諸外国から来た男の、偽りない同情。
この国の生まれでは、持ち得ない世界観。
生まれた時から、管理された肥溜めに生きる気分はどうだ?
('A`)「たぶん倫理観。豊かなのに、餓えることなんてないのに」
品物はある。作物も。輸入も頻繁で、国は、国だけは豊かだった。
ただ、下位のものが、それを入手する手だてがない。
奪うことでしか。
ドクオは当たり前のことを口にした。
.
644
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:34:12 ID:Iajk2B0I0
('A`)「人が死ぬことが日課になっている」
( ФωФ)「外は違うのか」
('A`)「……少なくとも、意識はある」
( ФωФ)「意識?」
('A`)「犯罪という、意識がな」
('A`)「ここにはそれがない。」
('A`)「意識がないから、問題にさえならないだろう」
( ФωФ)「よくわからんな」
('A`)「まぁな。本当はどこかの、えらい学者さんが言うべきなんだろう」
('A`)「俺みたいなのがそう思うくらいに、この国は歪んでるんだ」
.
645
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:35:05 ID:Iajk2B0I0
( ФωФ)「だから我々は戦っている。いずれ国を取り返すさ」
('A`)「……そうじゃないんだよなぁ。なんてーかさ、」
('A`)「救われたいとか、思ってないのが問題なんだよ
」
.
646
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:38:04 ID:Iajk2B0I0
.
647
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:39:48 ID:Iajk2B0I0
( ´_ゝ`)「そんで?」
( ´∀`)「なにがだ」
( ´_ゝ`)「話の続き。まだあるだろ。その重大なプロジェクトは、なぜ未完のまま放置されてたんだ?」
( ´∀`)「……なに、簡単なことさ。」
( ´∀`)「時間が足りなかったんだよ」
( ´_ゝ`)「そういや年数たつのを待ってたって言ってたな。なんでだ?」
( ´_ゝ`)「いくらでも、好きなように育てられただろうに」
.
648
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:40:38 ID:Iajk2B0I0
試験管のなかのホムンクルス(人工生命)
生まれたての成人
設定され、カスタムされる身体。
年数を待つことなどない。ただ老化を促進させ、望みの姿で止めればいい。
命を弄ることに抵抗もなく。技術がありながらなぜ、行わなかったのか。
純粋な疑問を兄者が尋ねる。
( ´∀`)「まあ意識の違いだ。できるだけ自然に育つことを待っていたのだ。弄ればいろいろと噛み合わないこともある」
( ´∀`)「脳の作用や筋肉の発達、神経系の影響、成長ホルモンの過剰分泌。
メンテナンスが難しく、完全にコントロールできないのならば、やはり時間をかけてでも穏やかに進めたほうがいい」
( ´∀`)「なにせ、失敗はできないからな」
( ´_ゝ`)「なんで?」
間違えたのなら、やりなおせばいいのでは?
.
649
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:41:24 ID:Iajk2B0I0
( ´∀`)「突然変異とは、進化だと思うか?」
( ´_ゝ`)「また講義?学説では、枝のように別れた可能性の一つ。ただ、それが大多数ではないかぎりに、一代のみの変種であることが前提だったような」
( ´∀`)「さすがに、よく知っている。ヒトノゲムを解析した遺伝子実験の果てに、わたしはたどり着いたのだ。」
( ´∀`)「種の起源とも言えるべきものにね」
( ´_ゝ`)「大袈裟な」
( ´∀`)「なにを言う。真面目に主張するさ。有性生殖を繰り返して進化してきた歴史を真っ向からひっくり返すほどの衝撃なのだぞ」
.
650
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:42:11 ID:Iajk2B0I0
( ´∀`)「そも、
子を生むのが片方だけというのはじつに効率が悪いとは思わんかね?」
( ´_ゝ`)「男が妊娠する世界のほうが狂喜だろうがよ」
( ´∀`)「否定はしない。わたしもそう思う」
( ´∀`)「ただ少し考えてみてくれ。両性を持つ者がいたら、どうなのかと」
( ´_ゝ`)「両性具有、半陰陽?」
( ´∀`)「none、それは染色体に原因があるから母体のホルモンが影響する場合だ。
」
( ´∀`)「わたしのは違う」
( ´∀`)「哺乳類動物、ヒト科の、完全なる両性体だ」
.
651
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:43:17 ID:Iajk2B0I0
( ´_ゝ`)「……逆に聞きたいんだけどさ」
( ´_ゝ`)「なんでそれがうまくいくと思ったの?」
( ´∀`)「固定概念を捨てることだ。むしろ。あらゆることに対して、うまくいく」
( ´_ゝ`)「生理的嫌悪は理性で抑えることはできないよ」
( ´_ゝ`)「第三の性別みたいなもんだろそれ」
( ´∀`)「いや、それの問題は克服ずみでもある」
( ´∀`)「ヒトに好かれる、というのは特別な才能でな。ごくまれに反発する者が居たとしても、大多数に受け入れられたならば、問題はないのだ」
( ´∀`)「悪魔的に、あれはそういうことが上手だった」
.
652
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:44:34 ID:Iajk2B0I0
( ´_ゝ`)「ふぅん。そういや捜索すんのに具体的なこと聞いてなかったな」
( ´_ゝ`)「どんな奴なんだ?その成功例って」
( ´∀`)「外見ならばデータに残っているはずだ。サルベージできる。必要なのは特性か?」
( ´_ゝ`)「そうだな。メンタルと習性を教えてくれれば、それで範囲の特定ができるし」
( ´∀`)「ふむ……」
( ´∀`)「自らは動かずに、他人の手を使って行動する。好まれると言ったろう。そういうことに長けている」
( ´_ゝ`)「珍しいな。命令主体型じゃないのか」
( ´∀`)「蝶よ花よと育てあげたらな、いつの間にか人を利用することを覚えよった。逃げたのも、たらしこんだからだ」
.
653
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:45:24 ID:Iajk2B0I0
( ´_ゝ`)「ああ。じゃあ潜伏先もすぐわかる。ここで居場所のない奴を匿うなんて、限られるしな」
( ´∀`)「いや。恐らく見つけるのは難しいな。たぶん庇われているはずだ」
( ´_ゝ`)「?愛人とかなら、新顔を検索することもできるけど」
( ´∀`)「そうではない。先も言ったが、あれは好かれるだけではないのだ。本人の特性ゆえか、そういう風に生まれたのか」
( ´∀`)「ひたすらに、ただ愛されるのだ」
( ´∀`)「愛しかたに、違いはあれどな」
( ´_ゝ`)「コミュニケーションレベルが高く、他人の支配がうまいってこと?」
( ´∀`)「そうだ。そしてそれは無自覚な献身に変わる」
.
654
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:46:05 ID:Iajk2B0I0
( ´∀`)「身代わりになってでも、庇ってやろうとする。あれを救うために」
( ´_ゝ`)「なんか精神病質者みたいだな。嘘がうまく、人に頼るのが得意で、自己中心的にしかものを考えられない」
( ´∀`)「それも、生き残るためだけにだ」
( ´∀`)「あれのために40年費やした。簡単に死なれては困る。」
( ´_ゝ`)「確かに、争いあってもその輪から外れていれば危険は少ない」
( ´_ゝ`)「しかし不思議だな。庇護される生き物に、自分からなったってこと?」
( ´∀`)「それも無意識に。そのように育ったのだ。どれほどわたしが歓喜したか、わかるだろう?」
( ´∀`)「この世で生物の頂点は人間だ。そのために、人間を攻略することとなった。これもまた進化なのだよ」
.
655
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:46:56 ID:Iajk2B0I0
( ´_ゝ`)「外見的特徴に、特別なものは?平均的美格数値とか」
( ´∀`)「特にない。強いて言えば美形ということだが、そんなものありふれている」
( ´_ゝ`)「たしかに」
シリーズ、ナンバーズ、その他の人工的生命体。共通しているのは、平均的な造形があるということ。個性的な面というものは、あまりない。量産される人形たち。
( ´∀`)「昔は羽根を背中につけた愛玩生物が人気だったんだが、すぐに生産は中止になった。」
( ´∀`)「人気がいまひとつでな。鳥の習性をそっくり真似るうえに、感情表現が豊かではなかった。天使を眺めるのはいいが、懐かないということで廃棄になったんだ」
( ´∀`)「しかし耳としっぽをつけた別のシリーズを売り出したらこれが売れに売れた。やはり、犬や猫は歴史が長いぶん、人に懐きやすい」
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656
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:48:17 ID:Iajk2B0I0
( ´_ゝ`)「そいつに耳やしっぽがあるのか?」
( ´∀`)「いいや」
( ´_ゝ`)「それなのに、好まれる」
( ´∀`)「そう。なぜか。独占もしくは支配、束縛、それから従順」
( ´∀`)「だれもが愛と呼ぶべきかもしれないことのように、ただ好まれるのだ」
( ´_ゝ`)「ふーん。じゃあさ、過去のケースを教えてくれよ。そこまで具体的ならなにかあるだろ?」
( ´_ゝ`)「うちんとこってさ、ギャングとマフィアの抗争とか多いんだけど、おかしな事件なんかは起こんないから探しやすいんだ」
死体と、犯人。
被害者と殺人者。犯人がいない、該当に値しない人物が犯人であることは滅多になく。
人が密集している地帯だからこそ、監視は多い。
人々は、事件を起こした犯人を知っている。知りながら生活している。
そこからたどれば、逃げた個体を探すのも容易だろう。
民衆に溶け込んだ手先は、いくらでもいる。
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657
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:49:16 ID:Iajk2B0I0
( ´∀`)「……ふむ。しかしそこまで特殊なケースというものでもないが。参考になるかわからん」
( ´∀`)「研究員が一人死んでな」
( ´∀`)「調べた結果、他の個体に指示して殺させたことがわかった」
( ´∀`)「それだけだよ」
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658
:
名も無きAAのようです
:2015/11/06(金) 23:57:31 ID:Iajk2B0I0
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659
:
名も無きAAのようです
:2015/11/07(土) 00:01:09 ID:4CVnIR9g0
(A^ν^)「……」
(A^ν^)「一止めが囮」
(A^ν^)「二度めも囮……」
(A^ν^)「じゃあ三度めは……?」
(A^ν^)「囮を使うなら、本命はどこなんだ……?」
(A^ν^)「あの人を足止めするのに、なぜわざわざ交通網を麻痺させる必要がある……」
(A^ν^)「考えなきゃ」
(A^ν^)「役に経たないと、意味がない」
(A^ν^)「生きている意味がないと、」
処分される
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660
:
名も無きAAのようです
:2015/11/07(土) 02:19:40 ID:J6HhtrFk0
支援
661
:
名も無きAAのようです
:2015/11/07(土) 14:32:24 ID:8X1zjZjc0
④
662
:
名も無きAAのようです
:2015/11/12(木) 18:37:05 ID:vvnmNgMYO
もののわかったスピーディーな会話好き
663
:
名も無きAAのようです
:2015/11/19(木) 03:28:03 ID:r3dbzxrw0
支援
めたくそ面白い
664
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 10:40:41 ID:tnyXgnDM0
主は来ませり
road is come
主は来ませり
road is come
主は
road is��
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665
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 10:41:52 ID:tnyXgnDM0
川*゚ー゚)
草木のなかで、彼女が笑っている。
背の高い鋭い先端の葉が生い茂り、彼女と自分の姿を隠す。
緑が青々と濃い。草の匂いが強い。
それは決して嫌いなものではなかった。
ひたすらに高い天井からはさんに
さんと太陽の光が降って、緑色がきらきらと輝く。
遺伝子操作によって景観のために育てられた大樹の下、体いっぱいに日光を受けるために彼女が手を広げた。
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666
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 10:42:37 ID:tnyXgnDM0
川*^ー^)
青い、碧い肌いっぱいに光を浴び、それは輪郭に沿って瞬いた。
鱗状のきめ細かな肌が美しい。
感嘆したつぶやきがこぼれる。
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667
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 10:43:30 ID:tnyXgnDM0
「ねぇ、エヴァ……」
川*゚ー゚)「?それ、なあに」
「きみの名前」
川*゚ー゚)「あたし68だよ?」
「それは生体番号。正式ならthd068だよ。これはね、それとは別の名前」
「ぼくがでぃ、であるみたいに」
川*゚ー゚)「××××みたいな?」
「それは違う」
川*゚ー゚)「なんで?」
「きみはエヴァ。ちゃんと理由もある。ぼくみたいに変なのじゃない」
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668
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名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 10:44:14 ID:tnyXgnDM0
川*゚ー゚)「えば?」
「エヴァ」
川*゚ー゚)「あたし、エヴァ?」
「そう。エヴァ、エヴァ。エヴァ」
川*゚ー゚)「なあに」
「とこしえの緑なんだって。きみにぴったりなのは、それしかないんだって思ったんだ」
Ever green
だからその色が一番好き。
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669
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 10:45:06 ID:tnyXgnDM0
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670
:
名も無きAAのようです
:2015/11/22(日) 10:46:22 ID:tnyXgnDM0
“キャラバン”は停滞している。
銃器や食料、毛布や衣服。生活雑貨、歯ブラシと石鹸はどこに行っても需要がある。
それらをトラックの荷台に、人と同じように積めるだけ詰め込む。
それが現在の反抗勢力のアジト。
かつての遊牧民のように、移動をしながらその日を過ごす。
定住の地はない。
彼らはここで生まれ、どこにも行けなく、争うために生きている。
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