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('A`)は異世界で戦うようです

5571:2014/08/01(金) 21:55:58 ID:Fg3tJaY20

◇◇◇◇

貧しい家に生を受け、早くに両親を亡くして物乞いにまで身を堕とし、日々の食事に困るような生活が続いた自分にも目指すものができた。

報われぬ者に救いの手を。

なんといい言葉だろう。

報われぬ自分には誰も救いの手を差し伸べてはくれなかったが、たまたま盗みに入ったきらびやかな建物の中で一人の男が分厚い本を読み上げていたのを聞いた。

幼かった彼にはそれが何なのかは分からなかったが、あれは神の御教を謳う聖書だったのだ。

それを読み上げる時間は決まっていて、朝昼晩の三回。彼は当初の目的も忘れて何度も何度もその男の言葉を聞きに足しげく通うまでになる。

そんなある日、彼はとうとう見つかってしまった。自分が街で悪評高い盗人だということも男は知っていたが、彼は怒られることもなくもてなされてしまう。

『腹が減ったのならいつでも来るといい。だが、人様の物を盗るのはよくないことだ』

彼はそう言って笑顔で自分の頭を撫でてくれた。

報われぬ者に救いの手を。

その日、その時、その瞬間から彼のいく道は決まっていたのかもしれない。

男は教会に務める神父なのだといった。謳いあげたのは聖書という。

彼は熱心に神父の教えを聞き、その言葉の通りに生きていく。

誰も救ってはくれないが、神父はこんな子供を救ってくれた。

だから自分も同じように、誰かを救う人間になろう。

神の御教をどこまでも愚直に守っていこう。

彼に一つの道ができた。


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