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('A`)は異世界で戦うようです

50:2014/05/27(火) 01:16:31 ID:DYcRxU2Q0
◇◇◇◇

从ー从(嫌なとこ見せちゃったなぁ)

ドクオが記憶喪失だと知ったとき、渡辺は密かに歓喜した。何も知らないなら、仲良くなれるかもしれない、友達になれるかもしれないと思ったのだ。

自分の居場所はこの町にないことは知っている。渡辺という存在はあまりにも衝撃的で、未だ根強く蔓延っている。

この黒髪もそれを如実に表していた。

王都、いやこの世界を隈無く探したところで、渡辺と同じような漆黒の髪を持つ人間なんていないのだ。

ドクオの髪も確かに黒だったが、少し茶色がかっていて色素が薄い。けして自分とは同じではない。

漆黒の髪が忌み子として扱われる理由は、渡辺自身よく分からなかった。亡くなった両親も教えてくれなかったし、今後も知ることはないかもしれない。

渡辺は自分という存在に、人生に、命に、価値を見いだせなかった。人に嫌われ、蔑まれ、石を投げられても、彼女は自分に価値を与えるべく歩こうとしていた。だからこそ渡辺は暗いことを考えず、誰も恨まず憎まず、人に優しくあろうとした。魔法使いになるという道も、人の役にたちたいという願いからだ。

けれども現実は渡辺に牙を向いて襲ってくる。人のために、この世界の生きとし生けるもののために何かをしようとするほどに他人の悪意は増すばかりだった。

そんな世界に渡辺は絶望していた。そんな世界の中でしか生きることのできない自分に、価値があるとはどうしても思えない。

けれど、そんな中でドクオは初めて自分を恐れず、対等な人間として接してくれた。ニダーの台詞にも純粋に怒ってくれた。

人に優しくされたのは初めてだった。いや、あれは自分以外に向けられる感情としては当然なのかもしれない。普通の人間であれば、当たり前のように受けることのできたことなのかもしれない。

从;ー;从「嫌われちゃったかなぁ」


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