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('A`)は異世界で戦うようです

386:2014/07/03(木) 18:00:24 ID:2V.Din8.0

◇◇◇◇

元々しぃという子供は主体性がなかったと記憶している。

何をするにも両親がいなければ泣いていたし、友達と遊ぶのも周りの意見に合わせ、けして自分の心の内を他人に明かすことはなかった。

恥ずかしかったのとは少し違うし、自分が何かを言えば周りは少なからずそれを尊重してくれたんだろうとは思う。

けれどしぃがそれをしなかったのは何か考えがあったわけではない。ただ何を言えばいいか、自分が何を考えているのかという根本的な部分を理解していなかったに過ぎなかった。

例えば亡くなった母が好きなものを作ってくれると言ったときも、しぃは何が好きなのかを答えることが出来なかった。だって母が作ってくれるものはどれも美味しくて嫌いなものなんて一つもなかったから。

例えば友達と遊ぶときも、何をしようかと迷った時しぃは何をしても構わないと思っていた。かくれんぼでも鬼ごっこでも、要はみんなで遊べるのであれば何であろうと構わなかったから。

数え上げればきりがないこんな昔話は自分の中ではごくありふれたもので、今日に至るまでしぃはそれでいいと信じてやまなかった。

両親が魔物に殺され、教会に預けられたのは自分の人生の大きな分岐点ではあった。

そこで彼女はがらりと変わってしまった生活に、両親が目の前で残虐に殺されるという場面に恐れを抱いたのはまぎれもない事実であるが、心を閉ざした理由はそれではなかったのである。

しぃの過去の中では自分が困っていた時に必ず、両親であったり友達であったり、果ては見ず知らずの他人であったりが手を差し伸べてくれたのだ。だから、両親が亡くなる間際もそれを信じてやまなかった。もしかしたらしぃが自らの意思で誰かに助けを求めることをすれば助かったかもしれない。


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