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('A`)は異世界で戦うようです

356:2014/06/26(木) 16:32:47 ID:AXRm0dFE0

二人の間に静寂が訪れる。街は眠りについており、頬を撫でる風の音さえも聞こえてくる。昼間は賑やかだった広場も今は二人だけしかいない。

しぃが哀愁のような雰囲気を纏っているように見えるのはドクオに女性の感情を分かる術がないからだろうか。

('A`)y━・~~「……答えたくないならいいけど、しぃちゃんはなんで騎士団に入ろうと思ったんだ?」

何かを話さなきゃ、と口をついたのはどうでもいい世間話とは離れたものだった。モララーは騎士団に入ろうとする者は何かを抱えている人間が多いと言っていた。例えば、渡辺やツンのように。

ショボンは騎士団というのは秩序であり、剣であり盾だと言った。それは誰かのために命をかけるだけの理由や事情があるということだろう。圧政に強いたげられたのかもしれないし、魔物や盗賊に家族や友人、果ては恋人を奪われたのかもしれない。

個人ではどうしようもないことを騎士団ならば変えられるという希望を持つからこそ、自分にルールを課して戦うのだろう。ドクオはそう理解している。

だから、こんなことはきっと聞いてはいけない。人それぞれ思うところがあって騎士団にいるのだ。ドクオのような人間が容易く踏みいっていい領分ではない。

言ったあと、しぃの沈黙にドクオは慌てて次の話題を探したが、裏腹に彼女はなんでもないかのようにそれを話し始めた。

(*゚ー゚)「私は孤児なんですよ、魔物に両親を目の前で殺されまして、そのあとにとある教会で育てられました」

それから、とつとつとしぃは語る。

魔物に両親を殺された彼女は心を閉ざし、少しのことで脅えるようになってしまった。周りの子供とも馴染めず、一日誰とも話さないことも多かった。

だが、それを見た神父はしぃを気にかけ、辛抱強く何度も何度も話を聞いてしぃの心の傷を少しずつ癒してくれた。しぃが他の子供達と遜色なく笑顔を見せるようになったのは両親の死から一年後である。

周りの子供達も辛い経験をしているはずなのに、いつだってしぃに優しくしてくれた。そんな環境もしぃを立ち直らせてくれるのには好都合だったのかもしれない。

そして月日が流れ、しぃが十二歳になった頃、その教会の取り壊しが決定した。


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