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('A`)は異世界で戦うようです

296:2014/06/18(水) 23:25:37 ID:cfE26c6g0

◇◇◇◇

本日は学校がなく、久々の休日である渡辺は朝早くからツンのお見舞いに向かっていた。ここしばらくドクオと顔を合わせてはいないが、何だか今は会いに行けるような心境ではなかった。

それよりも今は大切な友人を見舞いたい、と心のなかで言い訳のように唱えてみるが、どうしてか罪悪感が募るばかりで渡辺は早々に気を落としてしまう。

(*゚ー゚)「随分と元気がありませんね」

その矢先、病院の前でしぃと出くわしてしまった。もちろん渡辺の心に彼女のことなどちっともなかったのだが、思わず渡辺は全身をびくりと強張らせてしまう。何もやましいことなどありはしないのに。

(*゚ー゚)?「どうかしましたか?」

从;'ー'从「あ、ううん、なんでもないよぉ! まさかこんなところで会うとは思ってなかったから」

(*゚ー゚)「はぁ」

怪訝そうに眉を潜めるしぃに、渡辺はどうしてか申し訳ない気持ちになった。彼女は悪くないのに、自分の気持ちも分からないのに勝手に嫉妬している。それが渡辺の心を大きく揺さぶっているからだ。

(*゚ー゚)「今日もツンさんのお見舞いですか?」

从'ー'从「うん。しぃちゃんも?」

(*゚ー゚)「いえ、私はツンさんの入学資料を届けに。退院次第即入学ですからね」

从'ー'从「そっかぁ。えへへ、ツンちゃんと一緒に学校通えるんだ」

とても喜ばしいことだ。と、そこで疑問が浮かぶ。

从'ー'从「そういえば、ツンちゃんとは学校で会ったけど、入学はしてなかったのー?」

(*゚ー゚)「ええ。籍はありませんでした。元々ツンさんの戸籍自体が抹消されていましたから。新たに騎士団側で用意させていただきました」

黒の魔術団に所属していたツンのこれまではどのようなものだったのだろう、と渡辺は考える。ツンは道具として扱われていた、と言っていた。

人ではなく道具。渡辺の持つ箒や、物を食べるときに使うスプーンやフォークのような扱い。壊れても代えがきくただの物。

そんな中で生きてきた彼女が今、長いときを得てようやく普通の女の子として生きることができるのだ。これほど喜ばしいことはない。

从'ー'从「……」

ないはずなのに、どうしてこんなにも嫌な気分になるのだろう。


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