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('A`)は異世界で戦うようです
221
:
1
:2014/06/09(月) 23:33:58 ID:Q3Oqlw1I0
全てを知り、彼女は何も言わなかった。いや、言えなかった。彼女には知識が沢山あったが、見たことも聞いたこともない両親や自分の立場はどこか作り物のように感じられて現実感がまるでなかったのだ。使用人達は涙をこぼしながら謝罪の言葉を繰り返していたが、彼女はそれすら無感情に、機械的に返事をするだけで終わってしまった。
屋敷を後にしてから彼女の生活は一変する。今までのように勉強と読書だけでなく、炊事に洗濯掃除とやることは山のようにあった。しかし彼女は辛いとは思わなかった。屋敷の中から見ることしか出来なかった外の世界を出歩けたという満足感に満ち溢れていたから。どんな理不尽も、この空の青さを見れば耐えることができたのだ。
彼女が使用人として生活を始めてから一年後、今度は住む家そのものがなくなった。
彼女を雇っていた男が人身売買組織の親玉として検挙され、呆気なく騎士団に拘束、そのまま投獄されたのだ。彼女の他、彼に雇われた使用人達は屋敷を追われ食料を口にすることすら難しい生活へと身を落としてしまう。
彼女が昔思い描いた外の世界とはこんなにも無情なものだっただろうか。空は青く、空気は澄んでいて、人の心は暖かかったはずなのに、自分がいるこの場所はどうしてこんなにも醜いのだろう。
そんなことを考えながら、一人また一人と元使用人の仲間達が倒れていく。彼女は再び孤独になった。
最後に食事をしたのは何日前だったのかも分からなくなった頃、彼女は一人の少女と出会う。
住む家があり、食事も出せる。しかし一人では広すぎる家は寂しいし、自分は友達すらいない。よければ友達になってほしい。
人の温もりに触れ凍った心が雪解けの水のように流れていくのを感じた。彼女はこの恩を忘れない、どれだけ時間がかかったって必ず返すと約束して少女の友達となった。
それから一月も経たず、彼女は黒の魔術団の道具として生きることを余儀なくされた。
かつての友達に別れを告げられず、ありがとうさえ言えないままで。
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