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('A`)は異世界で戦うようです

217:2014/06/09(月) 23:29:56 ID:Q3Oqlw1I0
从'ー'从「やっぱり、もう一回街に戻って様子を見てきた方がいいかなぁ」

渡辺が廃墟から一歩出ようとして、すぐにやめた。

从'ー'从(……誰?)

足音が聞こえる。魔物のような大きい足音ではない。コツコツとヒールが石畳を叩くような音だ。

川д川「隠れてないで、出てきたらいかが?」

若い女の声が聞こえた。誰に向けての言葉なのか、渡辺には判断ができない。他に誰かがいるのかもしれない。

渡辺は体を強ばらせてじっと耐える。出来ることなら自分に気付かないでくれ。そう願いながら。

川д川「クスクス、かくれんぼなんて歳でもないのだけれど、いいわ」

女の周りでひゅんと何かを振る音がした。大丈夫、今王都で魔法は使えない。

川д川「見つけてあげる」

女の声を合図に、周囲の建物が崩れ始めた。渡辺は慌てて廃墟を飛び出すが、女はこちらを見付けるとにやりと笑い、持っていた杖から魔方陣を呼び出した。

从;'ー'从(魔法は使えないはずじゃ……)

一瞬の思考が渡辺の行動を遅らせた。女が放つ黒い光が渡辺に当たると、ぱっとはじけ、途端に渡辺は地面に倒れこんだ。

从;'ー'从(か、体が、重い……)

まるで地面に縫い付けられたように体があがらず、立ち上がることはおろか指を動かすことすら出来なかった。

川д川「ふふふ、残念だったわね。貴女に恨みはないけれど、私達のために死んでいただけるかしら?」

渡辺は反論したかったが、声がでない。少しでも力を抜けば押し潰されてしまいそうだ。

川д川「<忌み子>だなんて言ったところで所詮他の人と何も変わらないのに、悲しい話だわ。きっと貴女を殺すのは私ではなく、そう願う他人の悪意。恨むなら世界を恨みなさいな」

女はそれだけを言うと杖をこちらに向けた。こんな至近距離で魔法を使われれば、待っているのは確実な死である。

逃げようと渡辺は体に命令を下すが、なんの魔法なのか体は言うことを聞かない。どころか徐々に悲鳴をあげて筋肉からぶちぶちという音と共に刺すような痛みが走った。

川д川「さようなら、不幸な仔猫ちゃん」

死を覚悟し、目を閉じる。残された策はない。最後にドクオの顔を見たかった。

从 ー 从(さよなら……)


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