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( ^ω^)はしがない錬金術師のようです

30 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/02(水) 22:24:48 ID:PjvqQdzU0
ミセ;゚ー゚)リ「こんな怪物が近くにいたんじゃ私の家とかもう住めないよ〜…」

昨日、さんざん魔導石をねだったミセリが震えながら言う。彼女は魔術師だ。村のはずれに住んでいて、この現場から一番近い。

( ゚∋゚)「この際だ、村の中の空家にでも引っ越したらどうだ。不便だろうあんなところ。俺たち自警団としても、お前の家のせいで警備範囲が無駄に広くなってしまってる」

ミセ*゚Д゚)リ「えー!だって魔術師ってのは村のはずれの誰も近づかない所に住むもんでしょ!村の中に住むとかやだよー!」

( ^ω^)(お前のような性格の村はずれに住む魔術師がいるか)

ミセリの性格は見ての通りせっかちでサバサバしたものだ。妙なプライドも持ち、どうにも扱いにくい。肝心の魔術も二流であり、ブーンの存在もあってあまり彼女を頼るものはいない。
けれど、彼女はこの村(というか今住んでいる村はずれのボロ屋)をいたく気に入っているらしく、ここにずっと暮らしているのだ。

('A`)「お前魔術師だろう、防御用の魔法とか、反撃用の魔法とか無いのかよ」

村長との話も終わったのか、ドクオが話に加わる。

ミセ*゚ー゚)リ「私ができるのは治癒とか錬成とかですー!攻撃魔法とか見たかったら王都の遠征書士隊にでもついてったら?」

( ゚∋゚)(ブーンの術と完全にかぶってるな…)

( ^ω^)(どうりで向かう客がいないはずだお)

クックルとブーンはヒソヒソと話し合う。

(´・ω・`)「まあまあ、こんなところで口喧嘩なんてしててもしょうがない
      それで、クックル隊長。どうするのさ?」

( ゚∋゚)「…そうだな、とりあえずは村の若い奴らをかき集めて、事故現場一帯を調査する。妙な獣の跡だとかを探すぞ」

('A`)「手伝いますわ、この辺の地理は俺が一番詳しい…まあ流石に今日はかなり奥まで来ちまったけど」

(´・ω・`)「僕は遠慮しとくよ…シャキンに任せる」

(`・ω・)「えっ」

奥の方で馬車を待機させていたシャキンが弟の声に振り返る。

( ^ω^)「僕もこういう動き回る作業は苦手なんで遠慮しますお…」

( ゚∋゚)「まあ問題ないだろ。自警団だけでも人手は充分だしな」

31 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/02(水) 22:28:56 ID:PjvqQdzU0
こうして、朝早くから不穏な空気に包まれたブーンの村。その感情に呼び寄せられたのか、見る間に空は曇りがちになり、午後からの予報であった雨が早々に降り始める。

( ^ω^)「雨は嫌だお…」

しとしとと屋根を叩く雨音を聴きながら、ブーンは窓から空を眺めた。
自警団の人たちはまだ山の中を探しているようだが、雨がひどくなる前に撤収してくることだろう。ぬかるんだ斜面は危険だ。
客足もまばらなブーンの店、やることもなく、彼は温かいお茶と栗きんとんのようなものを食べていた。

( ^ω^)「あ、そうだ…久々の雨なんだから水を確保しないといかんおね…」

ヒョイパクヒョイパクと皿を空にし、ブーンはいそいそと奥へと消える。
雑多な店前、乱雑な離れの作業場と違い、店奥にある彼の生活スペースはこぢんまりとして小奇麗だ。
そこで彼は台所脇の雨水タンクを取り外す。タンクの中には今日降った雨水がタンクの4分の一ほど溜まっていた。

( ^ω^)「ちょっと早かったかお…まあいいや」

彼はそう呟きながら金属製の鍋に雨水を移す。それを土かまどの上に乗せ、その上から奇妙な蓋をする。
蓋は逆ろうと型をしており、その先は大きく曲がって下向きになり、さらにその先は別の管で覆われている。管の中には、白っぽい粘りのある液体。

( ^ω^)「よいしょ…っと」

彼はかがみ込み、かまどに薪を放り込む、その上におがくずを乗せ、さらにその上に…これは何だろうか?赤い石を乗せた。
赤い石は銅線のようなものが巻かれており、その銅線の片端をブーンが摘んでいる。

( ^ω^)「…ほっ」

そして、彼がその摘んだ指先に力を込める。すると、かすかな青い光が銅線を伝い、赤い石に到達するやいなやその石はボウ!と大きく燃え上がった。

( ^ω^)「うむ」

彼は頷き、トングのようなもので赤い石を取り出した。チリチリとまだ燻ってはいるが、それを桶に満たされた水に放り込むと、じゅっという音を立てて消える。
それは魔導石。一般家庭には必要不可欠な『発火魔導石』だ。魔力を流し込むことによって燃え上がる、最も単純な魔導石である。
そして彼が握っていた銅線のようなものは『魔導線』。魔力を伝達する特殊な糸である。各家庭の魔導製品の稼働に必要な魔力も、この魔導線によってはるか遠方の魔力炉から送られてくるのだ。

32 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/02(水) 22:30:43 ID:PjvqQdzU0
炎はおがくずへ移り、それから薪へと移った。パチパチと薪の爆ぜる心地よい音が彼のプライベートスペースに響き渡る。
やがて鍋に注がれた雨水はその熱を受けて少しづつ気泡を吐き始めた。

( ^ω^)「今度はこっちっと…」

そして今度は、白っぽい粘液が溜まった被せ筒に魔導線を差し込む。

( ^ω^)「…ほっ」

再び力を込める。彼の魔力が魔導線を通じて粘液に送り込まれた。
……特に変化は見られない。外見的には
彼は筒の表面を指先で触る。冷たい。

( ^ω^)「よし」

実は、この白い粘液も魔導石だ。正確には、魔導石を加工したものである。『冷却粘』と呼ばれる、氷結系魔法に反応する魔導石を細かく砕き、特殊な粘液と混ぜたものだ。見ての通り、魔力を流し込むと冷える。これをさらに応用・巨大化したものが、一般的な魔導冷蔵庫にあたる。

さて、もうお分かりだろう。煮沸した水を冷却する事で生まれる水は蒸留水だ。これはシンプルな蒸留水の生成装置である。
錬金術において、不純物の一切混ざっていない蒸留水はとても重宝される。彼が雨水を選んで蒸留するのは、川などの水を蒸留するのでは駄目だからである。
水は生命の源ともされ、魔力を僅かに溶かす効果がある。川の水は川に住む多種多様な生物たちの魔力が溶け出してしまっているのだ。魔力は蒸留程度では発散されない、故に、天から直に降り注ぐ雨を蒸留する必要がある。

ピチョン、ピチョン。と混じりっけのない純粋な水が瓶の中に溜まっていく。

( ^ω^)「…おし、これで待ってりゃいいおね」

火を使ってる関係上、離れることはできないだろう。彼は近くの本棚から適当な本を取り出し、読み始める。

「ごめんくださーい」

( ^ω^)「お?」

と、そんな時に店側から声が聞こえてきた。お客のようだ。

( ^ω^)「はいはいおー」

彼は立ち上がり、店先へともどる。

33 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/02(水) 22:31:43 ID:PjvqQdzU0
ミセ*゚ー゚)リ「あ、いた」

入口近くで傘をたたんでいたのは、魔術師であるミセリだった。

( ^ω^)「ああ、魔導石かお、出来てるお」

ミセ*゚ー゚)リ「ほんと?良かったー」

ブーンは引き出しから加工の終わった魔導石を取り出し、渡す。
そしてふと訊ねた。

( ^ω^)「ミセリさん、結局家はどうすんだお?」

ミセ*゚−゚)リ「あー…やっぱ得体の知れないモンスターがいるってのはやだからね…しばらく村の中の空家借りることにしたわ」

ミセリの表情は少し不服そうだ。

ミセ*゚ー゚)リ「まあ、これでクックルさんたちも手間がかからなくなるんだし、これでいいかな。まあ、事が収まったら戻るけどね」

なんだかんだで、この村の住人のことを考えるいい人なのだ、ミセリは

ミセ*゚ー゚)リ「ところでさ、金属をへし曲げるなんてどんなモンスターだろうね?」

( ^ω^)「僕はそういうのにあんまり詳しくないから何とも…ドクオが一番詳しいだろうけどお」

ミセ*゚ー゚)リ「そういやもう帰ってきてたみたいだね」

( ^ω^)「お、マジかお。なんか情報あるかお?」

ミセ;゚ー゚)リ「や、私見かけただけだし…」

( ^ω^)「お…そうかお、すまんお」

34 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/02(水) 22:33:08 ID:PjvqQdzU0
ミセリは再び傘をさして去っていった。ブーンはそれを見送り、ふと机の上のものに気付く

( ^ω^)「あ、傷薬…クックルさんに納品するんだったお、ちょうどいいお」

ブーンも傘を取り出すと、傷薬の瓶を小脇に抱えて外へと繰り出す。
村の自警団の詰所は彼の家から歩いて5分ほどだ。
そこには既に、クックルと、村長の荒巻がいた。

( ゚∋゚)「ん?どうしたブーン、こんな雨の日にお前が出てくるなんて珍しい」

/ ,' 3「ホー…」

( ^ω^)「こんにちは荒巻村長…あ、これ頼まれてた傷薬ですお」

ブーンは脇に抱えた傷薬の瓶を彼に渡す。

( ゚∋゚)「ああ…そういえば無くなってたんだったな、すまんな雨の中」

( ^ω^)「いえいえ、僕も聞きたいことがあったからちょうど良かったですお」

( ゚∋゚)「朝のことか」

さすがは自警団長、察しがいい。ブーンは頷いた。

( ゚∋゚)「ちょうど今も、そのことで村長と話をしていたところだ」

/ ,' 3「この村にモンスターが襲来するなぞ、何十年ぶりかのう…」

荒巻がよぼよぼの声で顎をさすりながら呟いた。

( ^ω^)「以前もあったんですかお?」

/ ,' 3「わしが生まれる前にもあったらしいぞい…なんのモンスターが来たかは…はて…覚えとらんのう」

(;^ω^)「それが肝心なのに…」

( ゚∋゚)「まあ何がやったのかってのは概ね察しがついてるから大丈夫だ」

( ^ω^)「お、そうですかお…それで、何なんですかお?」

35 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/02(水) 22:35:27 ID:PjvqQdzU0
( ゚∋゚)「金属も曲げる怪力、ドクオが昨日猟ったっていうヤオグアイの異常な弱り方からみて、ミノタウロスじゃないかって考察だ」

( ^ω^)「ミノタウロス?聞いたことない名前ですお」

( -∋-)「まあそうだよな、普通はこんな山の中にいる生物じゃない。低木生い茂る乾燥地帯に住む生物だ。おそらくどっかの誰かが幼体を山の中に捨てて、そいつが野生化・成長したんだろう」

(;^ω^)「困ったもんですお…」

( ゚∋゚)「ミノタウロスは牛の頭を持つ獣人型のモンスターだ。恐ろしい怪力と凶暴性を持ってる。自分より強そうなやつを見かけると、どんな障害を乗り越えてまでそいつと張り合いに行く喧嘩っ早い生物だ」

( ^ω^)「ヤオグアイも自動車も、そいつが強そうなやつだと判断したから襲われた…と」

( ゚∋゚)「まあそういう事だな、弱そうな相手にはそれほど積極的ではないが、襲わないというわけではない。ほうっておくわけにも行くまい」

( ^ω^)「どうするんですお?」

( ゚∋゚)「幸いミノタウロスは知能が低い、罠を作って、おびき寄せ討伐、ないし捕獲する」

( ^ω^)「早く捕まえて、この村に安全が来て欲しいですおー…」

( ゚∋゚)「そのために俺たちがいるんだ。まあ、なんとかするさ」

('A`)「おう、ブーンも来てたか」

と、ブーンの背後からドクオが現れた。その脇には丸められた紙が挟まれている。

( ^ω^)「ドクオも帰ってきてたのかお。それはなんだお?」

ブーンは自分と同じように脇に抱えて持ってきた紙を一瞥する。

( ゚∋゚)「俺が頼んだものだ。さっき言ったミノタウロスを捕まえる罠さ」

('A`)「流石の俺もミノタウロスなんて相手したことねえから、有効かどうかは分かんねえけどな…まあ、そこも含めていくつか案を持ってきた」

( ゚∋゚)「いいじゃないか、早速中で作戦会議と行こう」

36 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/02(水) 22:36:26 ID:PjvqQdzU0
( ^ω^)「お…」

二人は詰所の中に入っていき、紙を広げてなんやかんやと話を進める。

/ ,' 3「ふぇふぇふぇ、わしらの出番は無さそうじゃの」

( ^ω^)「まあ仲間に入ったところでよくわからんと思うけどお…ミノタウロスかあ…牛、牛…うーん、なんか引っかかるお…」

( ^ω^)

( ゜ω゜)

( ゜ω゜)「あああああああああああああああああああ!かまどの火つけっぱなしだああああああああああああああああ!」

/ ,' 3「なぜそこでかまどが出るんじゃいの…」

ブーンが慌てて去っていくのを、荒巻村長は杖をつきながら静かに見送った。

37 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/02(水) 22:41:36 ID:PjvqQdzU0
本日はここまでー。前回の質問の回答で出てきた魔力炉をちょろっとでも紹介できてよかった。その内魔力炉の描写も書きたいなあ

38名も無きAAのようです:2014/04/03(木) 00:05:49 ID:xyA/SjZA0
ドクオの顔ってわざとやってるの?

39 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/03(木) 07:23:45 ID:Da6Bgq/M0
>>38
えぇ…まだ駄目ですか?今回はシベリアの避難所のを使ったんですけどね…

40名も無きAAのようです:2014/04/03(木) 08:05:35 ID:PjREtQJA0
('A`)
こいつをコピーするんだ

41名も無きAAのようです:2014/04/03(木) 16:38:17 ID:IlsI2Wlc0
機種の問題じゃね?
ちなみに俺も違いが判らない


ところでヒョイパクヒョイパクってなんか可愛いな

42名も無きAAのようです:2014/04/03(木) 17:40:00 ID:HeyaH1MM0
なんというか元の顔より更に不細工になってるな

おつ
続き待ってるよ

43名も無きAAのようです:2014/04/04(金) 00:27:28 ID:YLIo0GMg0
Aが全角

44名も無きAAのようです:2014/04/05(土) 15:11:37 ID:DZFOCG/60
そしてここから平和を愛するEGFが出来るんですね(ゲス顔)

45名も無きAAのようです:2014/04/07(月) 02:49:44 ID:9Xs7TRGA0
Why did you miss your chopstick?

46名も無きAAのようです:2014/04/09(水) 21:07:19 ID:KEhfrmi.0
>>43
違和感の正体はそれかw

47 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/12(土) 08:11:02 ID:SpLOx1wI0
始まります。ドクオの顔も修正できたよ、多分

48 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/12(土) 08:11:55 ID:SpLOx1wI0
('A`)「森の木々の傷つき具合から見て、ミノタウロスの行動範囲はおそらくこれくらいだ」

ドクオが壁にかけられた東の山周辺地図に、大きくいびつな丸を描く。

( ゚∋゚)「意外と広いな」

('A`)「ああ、だから特に傷や破壊のひどかった地域…南側に罠を設置することにする」

('A`)「奴がよく通ってると思わしき獣道…ここと、ここと、ここ。この3箇所には、一番有効であろう落とし穴式の罠を作ろう」

(・∀ ・)「落とし穴なんて掘ってられるのか?その間にやつが来たらどうすんだ」

自警団の一人、またんきが当然のことを訊く。

('A`)「そこで魔術師さんの出番よ。
   落とし穴の魔法は簡単だろ?俺も昔見たことがある」


ドクオは詰所の隅に座る女性を見やった。

ミセ*゚−゚)リ「…うん、まあそれくらいなら出来るけどさ」

49 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/12(土) 08:17:08 ID:SpLOx1wI0
村唯一の魔術師、ミセリの顔は非常に不満げだ。

ミセ*゚〜゚)リ「でも、ミノタウロスってかなりデカいんでしょ?そんなサイズの落とし穴トラップとなると、私ができるとは思えないなあ…」

('A`)「やらずに出来ないじゃなくて、やってみて出来ないにしてくれ。とりあえず知ってるんだな?ならよし」

ミセ*゚−゚)リ「そんな適当で大丈夫なの?」

('A`)「知ってるだけでいい、俺みたいなのでも魔法学をかじった事くらいはある。それなら、この村の住人に何人かくらいわかる奴がいるだろ
   そうすりゃあれだ…なんだっけ?並列なんとか」

その言葉に、ミセリが唐突にぎょっとした顔をする。

ミセ;゚Д゚)リ「並列詠唱!?あれ息ピッタリ合わせないと出来ないよ!赤の他人となんて無理無理!」

並列詠唱。簡単に言えば、同じ詠唱を同時に行って、魔術の性能を単純計算で倍にする事が出来る詠唱の方法だ。
だが、彼女の言うように息をぴったり合わせて詠唱しなければ成功しない。少々難しいやり方ではあるが、単純で使いやすいので昔から扱われてきた魔術の技法の一つだ。

(;'A`)「む、そうなのか…でも落とし穴トラップくらいの詠唱なら出来るんじゃないか?たしか短いだろ?」

ミセ;゚〜゚)リ「そうだけど……うーん…どうかなあ」

ミセ*゚ー゚)リ「……あ、そうだ」

50 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/12(土) 08:18:02 ID:SpLOx1wI0
――――――……

( ^ω^)「で、僕のとこに来たと」

溜まっていた蒸留水を仕舞いつつ、ブーンは彼の店を訪れた二人を振り返る。

('A`)「並列詠唱を補助してくれる魔道具があるらしいんだが」

ミセ*゚ー゚)リ「もしかしたらあるかなーって」

ブーンは少し考え、ふむ、と呟いた。

( ^ω^)「ミセリさんが言ってるのは…もしかして"ツーカー錠"、の事かお?」

ミセ*゚ー゚)リ「そうそうそれそれ!」

('A`)「ツーカー…?なんじゃその妙ちきりんな名前は」

( ^ω^)「全く関係ない二人をまるで双子のごとく息を合わせる魔法薬だお。本来は仕事を効率よく進めるために開発されたものだけど」

ミセ*゚ー゚)リ「最近は応用の幅を効かせて出会い薬みたいな使われ方もするよね」

('A`)「よくわからんがそれがあれば並列詠唱も出来るってことだな?」

( ^ω^)「まあ可能だお」

51 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/12(土) 08:18:50 ID:SpLOx1wI0
('A`)「で」

( ^ω^)「無いお」

ミセ;゚ー゚)リ「即答かい」

( ^ω^)「ミセリさんなら知ってると思うけど…ツーカー錠は結構高いんだお?僕みたいなしがない錬金屋が持ってていいもんじゃねえお」

ミセ*゚ー゚)リ「王都にいたときは結構裏ルートで流通してたんだけどなあ…」

(;^ω^)「裏ルートて…まあたしかに出会い薬として裏の需要はあるけど…」

('A`)「つうかお前王都にいたのかよ、初耳だぞ」

ミセ*゚ー゚)リ「都会の空気が嫌になって出てきたの、言うほどの事じゃないから言わなかったけど」

('A`)「じゃあその頃のツテとかで手に入れられねえのか?」

ミセ*゚ー゚)リ「…その手があったか」

(;'A`)「おい」

( ^ω^)「僕の出番は一体なんだったんだお」

52 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/12(土) 08:20:24 ID:SpLOx1wI0
ミセ*゚ー゚)リ「もしもしー、ひさしぶりー、うん、うん、何年ぶり?そうだねえ…5年以上は経ってるよねー」

ミセリが村役場の脇にかけられた魔導電話(正式名称は魔導遠隔通信機)で、王都に住むというかつての友人に連絡を取っている。
魔導電話は専用の魔導線(つまるところ電話線)を使用するため、こんな山の中の田舎では村役場にしか置いてない。その脇ではまたんきが護衛として彼女を待っている。

(;・∀ ・)「まったく、なんで俺がこんな奴のお守りなんか…」

一方、詰所ではさらなる作戦会議が続行されていた。今度はブーンもいる。

( ゚∋゚)「とりあえず落とし穴は一旦保留として、他の案を聞こうか」

('A`)「思ったより落とし穴が手こずってるからな…他の案はこうだ」

ドクオはさらなる紙を広げる。結構な情報量の、大掛かりな作戦だ。

( ^ω^)「追い込み猟…かお?」

ブーンはそれを見てこう言った。

('A`)「仕組みとしては似たようなもんだな…だが『追い込み』じゃなく『引き寄せ』と言うべきだな」

ドクオの示した作戦はこうだ。
まず、先日狩ったヤオグアイ、その皮で剥製を作り、それを馬車の荷台に載せる。
ヤオグアイの姿に反応し向かってくるミノタウロスを引き寄せ、自警団が張る場所へと引っ張っていく。
そこで麻酔矢をありったけ打ち込んで眠らせて捕獲完了。

( ゚∋゚)「ずいぶん荒っぽいな」

(;'A`)「仕方ねえよ、ミノタウロスが食うものはここには無えし、どんだけの麻酔を打ち込めば効くのかもわからんしな」

( ^ω^)「ん…?ミノタウロスの食べるものがないのにコイツはどうやって今まで生き延びてきたんだお?」

('A`)「分からん…食性が変わったって可能性もある。だから餌で釣るのはちょっとやめた。間違えばこっちが大損だ」

53 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/12(土) 08:21:28 ID:SpLOx1wI0
( ゚∋゚)「……そもそも、本当にミノタウロスだって確信もないな」

唐突にクックルが言った。

(;'A`)「う゛」

確かにそうだ、いくつかのそれらしい痕跡は見かけたものの、ミノタウロスを見たというわけではない

(,,゚Д゚)「おいおい、今更すぎんぞ。また振り出しか?」

テーブルの奥で煙草をふかしながら耳を立てていたギコがそれをもみ消しながら立ち上がる。

( ^ω^)(あ、ギコさん元気そうじゃないかお。七草クワィンは効いてるみたいだおね)

ブーンはそんなことを考えながら、腕組みをする。

(;'A`)「一応、足跡の確認はある…ミノタウロスのものがな。こんな山の中に不釣合いだからコイツだと思ったが」

(;゚∋゚)「いや、すまんな、忘れてくれ。今更作戦を変えるわけにも、最初からにするわけにも行かん。これ以上被害は増やしたくない。早めに手を打たないと…」

(,,゚Д゚)「じゃあ、ミノタウロスって事で話を進めりゃいいのか。けどよ、この作戦じゃあ、もし万が一ミノタウロスじゃなかった場合、効かなくねえか?」

ギコが机に寄りかかり、最初の部分、ヤオグアイの剥製に関する所を指さしながら言った。

( ^ω^)「…そうか、喧嘩っ早いミノタウロスじゃなかったら、ヤオグアイの剥製じゃ釣れないお」

(;'A`)「ぐぬぬ…」

(,,゚Д゚)「もしもの事を考えて、もっと汎用性のある罠にすべきじゃねえかな」

(;'A`)「つってもなあ…」

54 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/12(土) 08:23:22 ID:SpLOx1wI0
ミセ*゚ー゚)リ「連絡取れたよー、3日後に知り合いの行商一家が来て持ってきてくれるってさ」

(・∀ ・)「長電話にならんで良かった…」

その時、良い一報を持ってミセリが詰所へと戻ってきた。またんきも安堵した顔で呟きながら入ってくる

( ゚∋゚)「3日後?王都からにしては随分早いな」

王都からは、馬車を使っても5日は掛かる。自動車でもなければ、3日で着くなど不可能だ。自動車は未だ高級品で、そこらの行商人が持てるような代物ではないはずだが

ミセ*゚ー゚)リ「家族で代々やってる行商一家なんだってさ、結構儲けてるのかもよ?」

('A`)「そんな奴に裏ルートのツーカー錠なんて持ってこさせてもいいのかよ…」

ミセ*゚ー゚)リ「いいんじゃない?そのへん詳しく聞かなかったけど」

( ゚∋゚)「…?何を話してるのかイマイチわからんが、とりあえずそれで落とし穴トラップは作れるんだな?」

ミセ*゚ー゚)リ「多分ね」

(,,゚Д゚)「多分じゃ困るだろ、オイオイ、もっと確実なやり方ねえのかよ」

('A`)「せめて確実にミノタウロスだってわかりゃあなあ」

(・∀ ・)「ん?俺姿見たぞ、牛頭に人間の体の獣人だよな?筋骨隆々で黒い体毛の」

またんきの言葉に、その場の空気が固まった。

('A`)「は?」

( ゚∋゚)「は?」

(,,゚Д゚)「ハァ?」

(・∀ ・)「え?あ、言ってなかった?」

( ^ω^)「大丈夫なのかおこの自警団…」

55 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/12(土) 08:24:22 ID:SpLOx1wI0
何はともあれ、ミノタウロスである確認も取れ、落とし穴トラップの目処も付いたところで、本日は解散となった。
ドクオはよりいっそうの罠の改良。クックルたち自警団は村周囲の警戒の強化を行い、作戦決行は3日後、王都からツーカー錠が届くのを待ってからとなった。
山にぬかるみを作り探索を阻んでいた雨も、翌日には綺麗に止み、その日の午後から再度搜索が再開された。まだ、車を捨てた人たちが見つからないのだ。死んでいたとしても、せめて亡骸くらいは見つけ、しっかりと供養してやりたい。
探索は二日間に渡り行われたが、しかし、懸命の探索も虚しくそれらしいものは全く見つからなかった。唯一、破壊された自動車の残骸の中から、彼らのものと思しきバッグが見つかったのみであった。

( ゚∋゚)「もしかしたら、生き延びて山向こうに行ったのかもな」

クックルは額の汗をぬぐってそう言った。

(,,゚Д゚)「……山の向こうの集落なんて、歩いていったら十数時間はかかるぞ」

( ゚∋゚)「希望的観測って奴だ、気にするな。明日は作戦決行だし、捜索はここまでにしてゆっくり休むぞ」

( ゚∋゚)「これ以上森の中でうろつけば、さすがにミノタウロスの気も引きかねん。自警団の安全のためにも、捜索はここまでだ」

(,,-Д-)「オーケー、確かにその通りだな…何度かやつを見かけたって報告もあったし」

作戦は明日。村を脅かすミノタウロスとの戦いが始まる。

56 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/12(土) 08:27:56 ID:SpLOx1wI0
今日はここまで
>>1でほのぼのとか言いながらいきなり危険な外来種モンスターとの戦いを描写する物書きの屑。
全くストーリー考えずにノリで書いてるってはっきりわかんだね。設定だけはいっちょまえに考えてストーリーを全く考えてないから途中でgdgdになるんだよなあ

とりあえず次回のストーリーはもう考えてあるのでそんなに時間はかからないと思います。

57名も無きAAのようです:2014/04/12(土) 11:50:20 ID:OEdza10QO
ツーカー錠とかドラえもんwwwww

58名も無きAAのようです:2014/04/12(土) 12:16:46 ID:ORlU3E0I0
乙 おもろー

59名も無きAAのようです:2014/04/13(日) 02:08:41 ID:kgH8VYDU0
おつ 顔はちゃんと修正されてたよ

60名も無きAAのようです:2014/04/13(日) 12:27:37 ID:97sybw0M0

世界観が面白いし展開の続きも楽しみ

61名も無きAAのようです:2014/04/13(日) 15:57:23 ID:aZZefShU0


面白いけど淫夢が寒い

62名も無きAAのようです:2014/04/13(日) 23:12:37 ID:qdKbO4iE0
ノンケは文句しか言わない

63名も無きAAのようです:2014/04/23(水) 20:10:56 ID:DahoJhtI0
まだかな

64名も無きAAのようです:2014/06/19(木) 20:55:41 ID:0aqgTftU0
まだなの?かくのやめたの?逃げたの?

65名も無きAAのようです:2014/06/21(土) 03:34:21 ID:mnYTE29A0
面白かったのにな。これも逃亡かぁ…

66名も無きAAのようです:2014/06/23(月) 15:22:06 ID:8HlyGFK60
黙ってろボウズ

67 ◆Dl8RDFPb.U:2016/07/01(金) 08:46:04 ID:QJoyI8gs0
まだ残ってたんだ…
HDD漁ってたら書き途中だったこれ発見したんで今どうなってんのかなと見てみたら
再開しようかな

68名も無きAAのようです:2016/07/01(金) 12:22:02 ID:2XpMIe9s0
さあ今すぐ書くんだ

69名も無きAAのようです:2016/07/01(金) 18:33:02 ID:ghbgKTHE0
はよう

70名も無きAAのようです:2016/07/01(金) 22:27:35 ID:Ei.7w8Cc0
楽しみにしてるよ

71名も無きAAのようです:2016/07/15(金) 09:13:16 ID:tPcRG9SY0
ツンのエロシーンだけでもいいんでおなしゃす!!

72名も無きAAのようです:2016/07/24(日) 18:14:02 ID:J8lZRpVI0
とりあえずミノタウロスの話を終わらせてくれねえかなぁ


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