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( ^ω^)はしがない錬金術師のようです

31 ◆Dl8RDFPb.U:2014/04/02(水) 22:28:56 ID:PjvqQdzU0
こうして、朝早くから不穏な空気に包まれたブーンの村。その感情に呼び寄せられたのか、見る間に空は曇りがちになり、午後からの予報であった雨が早々に降り始める。

( ^ω^)「雨は嫌だお…」

しとしとと屋根を叩く雨音を聴きながら、ブーンは窓から空を眺めた。
自警団の人たちはまだ山の中を探しているようだが、雨がひどくなる前に撤収してくることだろう。ぬかるんだ斜面は危険だ。
客足もまばらなブーンの店、やることもなく、彼は温かいお茶と栗きんとんのようなものを食べていた。

( ^ω^)「あ、そうだ…久々の雨なんだから水を確保しないといかんおね…」

ヒョイパクヒョイパクと皿を空にし、ブーンはいそいそと奥へと消える。
雑多な店前、乱雑な離れの作業場と違い、店奥にある彼の生活スペースはこぢんまりとして小奇麗だ。
そこで彼は台所脇の雨水タンクを取り外す。タンクの中には今日降った雨水がタンクの4分の一ほど溜まっていた。

( ^ω^)「ちょっと早かったかお…まあいいや」

彼はそう呟きながら金属製の鍋に雨水を移す。それを土かまどの上に乗せ、その上から奇妙な蓋をする。
蓋は逆ろうと型をしており、その先は大きく曲がって下向きになり、さらにその先は別の管で覆われている。管の中には、白っぽい粘りのある液体。

( ^ω^)「よいしょ…っと」

彼はかがみ込み、かまどに薪を放り込む、その上におがくずを乗せ、さらにその上に…これは何だろうか?赤い石を乗せた。
赤い石は銅線のようなものが巻かれており、その銅線の片端をブーンが摘んでいる。

( ^ω^)「…ほっ」

そして、彼がその摘んだ指先に力を込める。すると、かすかな青い光が銅線を伝い、赤い石に到達するやいなやその石はボウ!と大きく燃え上がった。

( ^ω^)「うむ」

彼は頷き、トングのようなもので赤い石を取り出した。チリチリとまだ燻ってはいるが、それを桶に満たされた水に放り込むと、じゅっという音を立てて消える。
それは魔導石。一般家庭には必要不可欠な『発火魔導石』だ。魔力を流し込むことによって燃え上がる、最も単純な魔導石である。
そして彼が握っていた銅線のようなものは『魔導線』。魔力を伝達する特殊な糸である。各家庭の魔導製品の稼働に必要な魔力も、この魔導線によってはるか遠方の魔力炉から送られてくるのだ。


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