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( ゚∀゚) 複雑恋模様のようです

1名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 21:33:58 ID:BMay8K5c0


いくつもの想いが絡み合って

  誰もが皆の幸福を願っても

     決して叶わないのなら

誰の幸福を望めばいい?

誰が不幸になればいいのだろう…

17名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 21:49:35 ID:BMay8K5c0
びっくりした。
ジョルジュ君が、ギコ君と友達で、同じ部活だったなんて。
同じ地域、同じ学校ってコミュニティ内で考えても、こんな偶然そうそう無い気がした。

運命ってあるんだなーって、私はそんなようなことを考えたりしていた。

18名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 21:50:27 ID:BMay8K5c0
別に特別難しいことをする必要は無かった。
ただ、ギコがオレと時間を合わせて登校してくれるだけ。
後はいつも通りしぃと合流することを願うだけ。

結論から言うとこの作戦はあたりだった。
多少ギコに負担を掛けてしまったが、その辺はお互い普段から持ちつ持たれつだと思っているので、多分あいつもそう気にしてはいないだろう。

(*゚ー゚)「あれ…ギコ君? 久しぶりだね、ジョルジュ君と知り合いなの?」

(,,゚Д゚)「あ、あぁ。 久しぶりだな。
ジョルジュは同じ部活の面子だよ。 むしろなんでお前がジョルジュのことしってんだ?」

しらじらしい。
こいつ、こんなに演技派だったのか…今までオレがあれこれ話してたのが夢かと思うほどのしらばっくれ具合だ。

(*゚ー゚)「同じ部活なんだー。 私はね、ここで転けてたところをジョルジュ君に助けてもらったの」

( ゚∀゚)「つっても傷に絆創膏貼ったりとか、その程度の話だけどな」

(*゚ー゚)「でも私はすごく嬉しかったよ?」

19名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 21:51:08 ID:BMay8K5c0
(,,゚Д゚)「なるほどな」

(*゚ー゚)「でもギコ君がこんなに早起きなんて珍しいね。 部活の関係かなにか?」

(,,゚Д゚)「いや、ちげーよ。 柔道部は朝練無いし、あったとしたら逆に遅すぎるだろ。」

(*゚ー゚)「あぁ、そうだね。 じゃあたまたま?」

(,,゚Д゚)「そ。 で、お前はなんでいつも早いのよ、部活の関係か何か?」

ギコがそっくりそのままの言い方でしぃに返す。
うまいな、オレも女とこれぐらいうまく話せれば良いんだがな…

いや、普通の女なら大丈夫なのか…
しぃだから、うまくいかないのか…

(*゚ー゚)「早起きなのは癖、っていうか、家族に合わせてたら自然にね。
部活は、実はやってないの。 私、どんくさいし、打ち込みたい趣味もないから…」

(,,゚Д゚)「お試しで入るってのもいいとこなかったのか?」

(*゚ー゚)「中途半端な気持ちでやるのは嫌なの」

(,,゚Д゚)「相変わらず変なとこだけ真面目なんだな」

( ゚∀゚)「そういうの嫌いじゃないけどな」

(*゚ー゚)「えへへ、ありがと」

20名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 21:51:50 ID:BMay8K5c0

(,,゚Д゚)「じゃあ放課後はあれか?友達とかと一緒に帰ったりーってのはないのか?」

(*゚ー゚)「うん、みんな部活やってるし、帰宅部でカラオケガンガン行っちゃおう、みたいな子はまだちょっと苦手で…」

(,,゚Д゚)「まだ人見知り治ってないのか」

( ゚∀゚)「でもオレの時はそんなでもなかったぞ」

(*゚ー゚)「ジョルジュ君は真面目っぽかったし、何より場面が場面だったから、あそこで人見知りって言うのも酷いじゃない?」

( ゚∀゚)「オレそんな真面目じゃないって」

(,,゚Д゚)「否定しない」

(; ゚∀゚)「いやちょっとは否定して、ね?」

(*゚ー゚)「ふふ、仲いいんだね二人とも、いいなぁ…」

21名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 21:52:50 ID:BMay8K5c0
( ゚∀゚)「まぁ、放課後暇っていうんだったら、オレらだいたい柔道場で部活してっから。
興味があったら見学に来てくれよ。 まぁ、あんな男臭いの興味ないと思うけど」

(*゚ー゚)「そんなことないよ!私、二人の部活姿すごい見てみたい! でも迷惑にならないかな…」

( ゚∀゚)「大丈夫だと思うよ、わりとおおらかな人ばっかだし、部長も柔道には厳しいけど、普段はぼーっとしてる人だから」

(*゚ー゚)「そうなんだ…じゃあ、機会があったら見に行かせてね」

( ゚∀゚)「あぁ、いつでも来てくれよ」

(,,゚Д゚)「…まぁでも、オレらの部活見るぐらいなら、クラスの友達の部活終わるの待つ方がいいんじゃないか?」

( ゚∀゚)「あ…」

それはそうだ。
調子に乗りすぎた俺へのフォローってところだろうか、たしかに気を使ってまで来てもらうのは悪い…

(*゚ー゚)「えっとね、ホントは友達の部活待ちたいなーとも思うんだけど、居心地悪いんだ」

(,,゚Д゚)「居心地? いじめか?」

(*゚ー゚)「違う違う、そういうのじゃなくて、みんな部活終わったら部員で下校するでしょ?
そこに私が居ると、勧誘されたり、そうじゃなくっても『なんでこの子部員じゃないのに一緒に居るんだろ』みたいな。
そんな空気になっちゃうでしょ?」

(,,゚Д゚)「あぁ…」

22名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 21:54:42 ID:BMay8K5c0
(*゚ー゚)「でも、柔道部だったら勧誘されることなんか無いし、一緒に帰ってても、話に参加しないで聞いてるだけで許される気がする」

(,,゚Д゚)「聞くだけで良いのか?」

(*゚ー゚)「話すのあんまり得意じゃないから」

それはなんとなくわかる。
今はギコがうまく話を振っているが、二人の時はそれはもう本当に話さないのだ。

(*゚ー゚)「ジョルジュ君は、あんまり無理に話そうとしないから、好き」

心臓が飛び跳ねた。

23名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 21:55:52 ID:BMay8K5c0
そういう意味ではないと分かっているけど、好きという単語が耳の奥でこだました。
今、鏡で自分を見たら酷い顔をしているだろう…

(*゚ー゚)「ギコ君は、昔からいつも私にいろんなコトを話させてくれるよね」

(,,゚Д゚)「そうか?」

(*゚ー゚)「そう。 それで、ただ聞いてくれる」

たしかにギコはそういう奴だ。
だからオレはあいつとそりが合うんだと思う。

(*゚ー゚)「だから、ギコ君のそういうところ、好き」

あぁ、好き、か。
オレもギコも好き、そういう好きっての分かってたけどね。
急激に熱が冷めていく。
嬉しくないわけじゃ無い。…無いのだが、興奮の度合いは全然違う。

(*゚ー゚)「だから、もし迷惑じゃなかったら、ホントにお邪魔したいなって」

24名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 21:57:26 ID:BMay8K5c0
まぁ、ブーンとドクオぐらい増えても大丈夫だろう。
…大丈夫だろうか…
ドクオがちょっと怪しい気もするが、まぁ、そこはオレとギコで何とかすれば良いか。

( ゚∀゚)「あぁ、オレはいつでも歓迎するよ」

(*゚ー゚)「ありがとう」

彼女は、そう言うと花のように笑った。

25名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 21:58:08 ID:BMay8K5c0
(,,゚Д゚)「…変なことになったな」

(; ゚∀゚)「いや、すまねぇ…成り行きで気持ちの昂ぶりを抑えきれなかった…」

(,,゚Д゚)「冷やかされるの覚悟で、言うしかねぇな…」

( ゚∀゚)「あの二人にか…まぁ、そうだな」

(,,゚Д゚)「ドクオは知らんが、ブーンは大丈夫だろ。 あいつは別口で好きなやつがいるからな」

( ゚∀゚)「お、マジかよ、そりゃ初耳だ。 誰なんだ?」

(,,゚Д゚)「ツン」

( ゚∀゚)「うわぁ…」

26名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 21:58:50 ID:BMay8K5c0
ツンと言えば3組にいる所謂お嬢様ってやつだ。
顔は良いがたかびーなところがあってあまり評判は良くないイメージがあるが…

(,,゚Д゚)「幼なじみだそうだ」

( ゚∀゚)「いいのかよお前それぺらぺらしゃべって…」

(,,゚Д゚)「ていうか有名な話だからな。 出所がどこかとか誰にもわからんだろ」

(; ゚∀゚)「マジかよ…」

(,,゚Д゚)「だからまぁ、しぃにちょっかいも出さないだろうし、好きな奴がいる手前ジョルジュのことそうそうバカにも出来ないだろ…」

( ゚∀゚)「なるほどな…後はドクオか…」

(,,゚Д゚)「まぁ、あいつらが何かやらかしてもオレやジョルジュまで一緒くたに嫌われるってことは無いだろうけどな」

( ゚∀゚)「そういうもんかね」

(,,゚Д゚)「まぁ、あいつはそうだろ、多分」

( <●><●>)「授業を始めますよー」

(,,゚Д゚)「もうそんな時間か、じゃ、続きは部活の時に」

( ゚∀゚)「あぁ、わかった」

27名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:00:04 ID:BMay8K5c0
( ^ω^) 「ジョルジュがしぃちゃんが好きってのは意外だお」

('A`) 「貧乳に目覚めたか」

( ゚∀゚)「お前ら…」

('A`) 「冗談冗談、まぁ、オレもエロと惚れた腫れたの違いぐらいはわきまえてるつもりだよ」

( ^ω^) 「おお、それも意外だお」

('A`) 「お前…まぁ、ほら、オレだって女なら誰でもってわけじゃねーからな。美人ならいいのかっていうと、セックスと恋愛はまた違うじゃん」

( ^ω^) 「童貞が語ってるお」

('A`) 「やんのかコラ」

(,,゚Д゚)「まぁまぁ、とりあえずそんなわけでな。 しぃが来る可能性が…まぁ、多少なりともあるから、色々上手くやってくれってコトだ」

('A`) 「義務は無いけど義理はあるしな、オレは良いぜ。 全面的に応援してやるよ」

( ^ω^) 「僕もかまわんお。 お互い困ったときは助け合うもんだお」

( ゚∀゚)「恩に着るぜ。 おまえらがなんかあるときはオレも協力するからな!」

('A`) 「なんか…あれば…いいよね……」

(;゚∀゚)「いや、すまん、悪かった…」

28名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:00:51 ID:BMay8K5c0
( ゚∀゚)「部長」

(´・ω・`)「ん? どうしたの?」

( ゚∀゚)「うちって見学自由ですよね?」

(´・ω・`)「まぁ特に隠すこともないし、見に来る人が居るならそれはかまわないよ。 また急にどうして?」

( ゚∀゚)「いや、その、こいつの幼なじみの女の子が興味があるって言うから」

(,,゚Д゚)「あー、まぁ、そっすね。 見に行っても良いかって言われまして」

(´・ω・`)「あぁ、別にかまわないよ。 こんな男臭い練習で退屈でなければと伝えておいてよ」

(,,゚Д゚)「ありがとうございます」

29名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:01:33 ID:BMay8K5c0
(,,゚Д゚)「いやー、根回ししたな」

( ゚∀゚)「どんどん風呂敷が広がってくな…」

( ^ω^) 「誰のせいだお」

(;゚∀゚)「いやまぁ、ほんと迷惑かけてすまんね」

( ^ω^) 「まぁ、僕は別に迷惑とは思って無いお」

('A`) 「右に同じ」

( ゚∀゚)「ホント、持つべき物は何とやらだな…」

('A`) 「しかし、おまえがしぃってのはなんか意外だな」

( ゚∀゚)「なんでだ?」

('A`) 「いや、あいつって、クラスだと大分浮いてるっていうか…別にいじめられてるわけじゃないし、ツンとかとしゃべってるのは見かけるんだけど…
なんかなー、一人でいるのが好きって感じなんだよな。 お前はもっと人当たりの良さそうなのが好きかと思ってた」

( ゚∀゚)「んー、オレと話してるときはそんなことないんだけどな。
まぁ、口数少なくはあるな」

( ^ω^) 「でもツンちゃんが話してるの聞いてるときはニコニコしてて楽しそうだお」

('A`) 「ツン見てて楽しいのはお前だろ」

(; ^ω^) 「おおおい! 急に何言うんだお!」

('A`) 「諦めろ…バレバレだから、当人達以外どうせ誰でも知ってるから」

(; ^ω^) 「お…マジかお…」

(,,゚Д゚)「マジだ」

( ^ω^) 「…」

30名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:02:50 ID:BMay8K5c0
( ^ω^) 「じゃあまた明日おー」

('A`) 「おう、それじゃまたな」

( ゚∀゚)「あぁ、またなー」

(,,゚Д゚)「おつかれー」

( ゚∀゚)「…結局全員に言うハメになったな」

(,,゚Д゚)「いいんじゃないか?あいつら、いいやつだし」

( ゚∀゚)「そりゃわかってるんだが…こんなの言いふらすもんじゃ無いと思ってたんだけどな、人は一人で何でもできねーってか」

(,,゚Д゚)「そりゃそうだ。 ギブアンドテイクだよ」

( ゚∀゚)「オレも、お前が好きな奴とかできたら全力で応援するからよ、その時はなんでも言ってくれよな」

(,,゚Д゚)「……あぁ。 そうだな、頼りにしてるよ…」

31名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:04:27 ID:BMay8K5c0
しぃが部活に来るらしい。
多分社交辞令じゃないんだろう、何となく本当に来る気がした。

ジョルジュとしぃは確実に仲良くなっている。
順調にいって二人がひっつけば万々歳だ。
親友が幸せをつかむ、最高じゃないか。

最高のはずなんだ。

最高のはずなのに…

(,,゚Д゚)「…はぁ」

まるで男らしくないな、オレは…

32名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:06:07 ID:BMay8K5c0
昔のことを思い出す。

君は星を見るのが好きだって言ってた。
そんなところも好きだった。
あの頃はそんなたわいのない会話しかなかったけれど。

それでも楽しかったこと、君は知ってる?

33名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:07:21 ID:BMay8K5c0
(*゚ー゚) 「はじめまして、ギコ君とジョルジュ君の知り合いで、見学に…」

(´・ω・`)「あぁ、聞いてるよ。 特におもてなしも出来ないけれど、よかったら見ていってやってくれ」

(*゚ー゚) 「ありがとうございます」

向こうで部長と話しているのは…しぃか?

(,,゚Д゚)「…きたのか」

(*゚ー゚) 「来ちゃった」

( ゚∀゚)「おぉ、ホントに来てくれたのか。 わりぃな、あんまり綺麗なもんじゃないだろ…」

(*゚ー゚) 「何かに打ち込んでる人かっこいいよ」

( ゚∀゚)「そ…そうか?」

いきなりかわいいことを言う。
最初は一目惚れだったけど、日々好きになっていくのが分かる。

34名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:09:29 ID:BMay8K5c0
( ^ω^) 「今日のジョルジュは張り切りすぎだお…」

( ゚∀゚)「うるせぇ、今日だけじゃなくていつも張り切ってるわ」

( ^ω^) 「いまでも受け身した手のひらがじんじんするお」

('A`) 「あの支え釣り込み足は芸術的だったな、デブがたたきつけられる衝撃が畳から伝わってきたわ」

(#^ω^)「ドクオゆるさんお…」

(,,゚Д゚)「わるいな、なんか全然構えなくて。 汗臭かったんじゃないか?」

(*゚ー゚) 「そんなことないよ、みんなかっこよかった。 畳のにおいとか、好きだし」

( ゚∀゚)「なんかせっかく来てもらったのに暇にさせてたら悪いなーと思ってたんだけど」

(*゚ー゚) 「ジョルジュ君が投げてるところとかすごくかっこよかったよ、あんなに大きな人投げちゃうなんてすごい!」

( ^ω^) 「大きい…」

(*゚ー゚) 「あ、ごめんなさい、そういう意味で言ったんじゃないの。 ブーン君も柔道部だったんだね。
部活してるときのブーン君楽しそうだった。 柔道好きなんだね」

(*^ω^) 「おっおっ、柔道は好きだお」

('A`) 「大きな人…プクク…」

(#^ω^)「ドクオてめぇ…」

35名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:10:09 ID:BMay8K5c0
(*゚ー゚) 「あ、一番星だ」

ブーン「お、ホントだお」

( ゚∀゚)「おぉ、よく見えるなー。 明日も晴れかな」

(,,゚Д゚)「ベガ…かな?」

( ゚∀゚)「お? なんだ、ギコ、詳しいのか?」

(,,゚Д゚)「あぁ、昔ちょっとね…」

(*゚ー゚) 「星って好きなんだ、きらきらしてて綺麗」

( ゚∀゚)「この辺は昔すんでたとこより星空が綺麗なんだよな」

('A`) 「都会っ子だな」

( ^ω^) 「都会っ子乙」

36名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:11:33 ID:BMay8K5c0
(,,゚Д゚)「都会だと星座とか見えないのか?」

( ゚∀゚)「あー、でかいのは見えるけどね、オリオン座とか、冬の大三角形とか」

(,,゚Д゚)「そう考えると片田舎ってのも悪くないな」

( ゚∀゚)「コンビニもあるし、駅も少ないわけじゃない。
このぐらいの方がいいと思うぜ、ここは良いとこだよ」

(,,゚Д゚)「でも、お前が都会にいたのって小4までじゃないか、今だったらわかんないじゃないか?」

( ゚∀゚)「どうかな、まぁ、オレはココが好きだから良いんだよ」

('A`) 「オレは都会に出たいがなー」

( ^ω^) 「情緒がねぇお。 まぁ僕は食べ物が美味しければどこでもいいお」

('A`) 「お前にだけは…」

(*゚ー゚) 「わたしも、この町すきだな…」

37名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:12:53 ID:BMay8K5c0
しぃはドクオ達とすぐ打ち解けてくれた。
それはそれで複雑だが、今まで以上にやりやすい。
ドクオ曰く

('A`) 「クラスにいるときとは別人みたいだった。ジョルジュが惚れるのがちょっと分かる」

らしい。
ライバルになるとか勘弁だといったら

('A`) 「いやいや、オレはああいうおとなしい子ってそこまでってわけじゃないから」

ということらしい。 好みは人それぞれだな。

それにしても最近毎日が楽しい。
恋は人生を変えるってのは本当だな。

(,,゚Д゚)「片想いならではの幸せってやつだな、努力したり、相手が自分を好きかもしれないって思ったり」

( ゚∀゚)「なんかそれっぽいこと言ってんなー。 経験者か?」

(,,゚Д゚)「さてね」

( ゚∀゚)「なんだよー、隠すなよー」

あぁ、オレは良い友達を持った。

38名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:13:43 ID:BMay8K5c0
やめろ、やめろよ。
オレの前で好きだって言うな。
本当は聞きたくないんだ。
ずっと隠してきた、自分の中の黒いどろどろとした何かを刺激する。

あいつには幸せになって欲しいのに…
オレはどうしたいんだ…
もうとっくに蓋をした気持ちだっただろう。

お願いだから外に出てこないでくれ。

あいつにだけは嫌われたくないんだ。

39名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:15:10 ID:BMay8K5c0
その日は事件の予兆からはじまった。
というのも、朝から先生がどこかで見たことのあるような女子を連れてきたのである。

( <●><●>)「今日は転校生を紹介します」

川 ゚ -゚) 「はじめまして、素直クールです。
父の転勤の都合で今日から皆さんとクラスメイトになることになりました。
こちらのことはまだ何も分からないので、ご迷惑をおかけすることもあると思いますが、仲良くしてやってくれると嬉しいです」

( <●><●>)「それじゃあ、そうですね…とりあえずは窓側の一番後ろの席に着いてください。
おそらくもうすぐ席替えがあるのはワカッテマスので、特に問題は無いでしょう」

川 ゚ -゚) 「ありがとうございます」

素直クールなんて名前の奴はそうそう居ない…
多分、いや、間違いないだろう…

40名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:17:52 ID:BMay8K5c0
( ゚∀゚)「お前、クーか? オレのこと覚えてるか?」

川 ゚ -゚) 「…長岡か…?」

( ゚∀゚)「まぁ、そうだよな。 あんな名前の奴そうそういねーし、見た目もそのまんまってなったら、他人のそら似な分けないよな」

( <●><●>)「おや? 二人は知り合いなのですか?」

川 ゚ -゚)クー「えぇ、小学校低学年まで共に過ごした仲です」

( <●><●>)「それは良い、長岡君、素直さんが分からない事があったら力になってあげてください」

( ゚∀゚)「あぁ、別にかまわないッスよ」

とんだ偶然もあったものだ。
数年たってから同じ片田舎の校区に引っ越すなんて普通は考えられない。
クラスメイトも『ドラマみたい』『運命じゃね?』等とはやし立てている。
オレもそう思う、そう思うけど、別にこいつとはそんなんじゃないんだが…

41名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:18:35 ID:BMay8K5c0
川 ゚ -゚) 「別に偶然というわけでもないよ」

( ゚∀゚)「? どういうことだ?」

川 ゚ -゚) 「元々私の父と君の父上は同僚だった」

( ゚∀゚)「あぁ、そうだったな。それで?」

川 ゚ -゚) 「君の父上が事業を立ち上げて独立しただろう? そして成功して最近軌道に乗ってきた」

( ゚∀゚)「なんでお前がそんなことに詳しいんだよ…」

川 ゚ -゚) 「簡単なことだよ、父は君の父上の会社の重役として雇われたって事だ」

( ゚∀゚)「……は?」

川 ゚ -゚) 「おそらく元々そういう約束でもあったのかもしれないが、独立の時にどうもうちの父が多少世話したらしくてな。
盟友ということで良い待遇で迎えてもらったと、そういうことらしい」

( ゚∀゚)「いやー、そうなるとたしかに校区がかぶるのは必然だけど、全然知らなかったわ」

川 ゚ -゚) 「私も最近知った」

( ゚∀゚)「なるほどね」

42名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:21:33 ID:BMay8K5c0
(,,゚Д゚)「どうもはじめまして、ジョルジュの友人やってるギコだ。 よろしく」

( ゚∀゚)「同じ柔道部の部員でもあるんだよ、もっぱらつるんで行動してるんでよろしくしてやってくれ」

川 ゚ -゚) 「どうもよろしく。 長岡は昔から友達がいのない奴だったが、君に迷惑を掛けてはいないか?」

(,,゚Д゚)「いや、そんなことないよ、割と居心地良い関係でだらだらさせてもらってる」

( ゚∀゚)「やだ、クー…酷い…」

川 ゚ -゚) 「しかし柔道か、こっちでもやってるんだな」

( ゚∀゚)「お前はやめたのかよ?」

(,,゚Д゚)「やめた?」

( ゚∀゚)「こいつとは子供向けの柔道クラブみたいなので一緒に活動しててな。
当時はその、なんつーか、悔しいけどクーの方が強かったんだよ」

43名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:23:04 ID:BMay8K5c0
(,,゚Д゚)「マジか…」

川 ゚ -゚) 「いや、それもそんなに差は無かったし、今はもうやっていないよ。
私はデスクワークの方が向いているということが分かったからね」

( ゚∀゚)「まぁ、当時から成績良かったからな」

(,,゚Д゚)「いや、人は見かけによらないな。
とても柔道をやっていたようには見えない…あぁ、でも頭が良いってのは分かるな」

川 ゚ -゚) 「学ぶと言うことが好きなだけで、頭脳面で才能があるとかいうわけでは無いよ」

(,,゚Д゚)「いやいや…十分だろ。
まぁ、オレの知らないジョルジュの話とかも聞かせてくれよ、面白そうだ」

( ゚∀゚)「おまっ、バカ、やめろって、そういうのいいから!」

川 ゚ -゚) 「ハハハ、いいな、今度長岡が居ないときにでもおもしろい話を聞かせてやろう」

(;゚∀゚)「やーめーろーよー!せめてオレが居るところでしろよー!」

44名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:25:14 ID:BMay8K5c0
川 ゚ -゚) 「ところで、その柔道部とやらはマネージャーを募集しているのか?」

( ゚∀゚)「へ?いや、オレは知らん…あぁ、でも部長が常々雑用の持ち回りがどうこう言って悩んでたな」

川 ゚ -゚) 「そうか…なら私は柔道部のマネージャーでもするかな」

(,,゚Д゚)「またなんで? デスクワークが向いてるんじゃなかったのか?」

( ゚∀゚)「ほんとだよ、また柔道部のマネージャーなんてめんどくさい事を」

川 ゚ -゚) 「いやいや、やはりあの道場の空気は良いものだ。
知り合いもちょうど居たことだし、他人のサポートをするのは得意分野なのでな」

( ゚∀゚)「胴着の洗濯とか」

川 ゚ -゚) 「漫画の読み過ぎだ、普通持って帰って各々洗うだろ」

( ゚∀゚)「夢がねーなー」

川 ゚ -゚) 「男の夢に付き合う義理はない」

45名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:26:51 ID:BMay8K5c0
(´・ω・`)「…」

(´;ω;`)「(ぶわっ)」

(´・ω・`)「いや、本当に助かるよ!どうしても男ばかりだと細かいところに気が回らないし、みんな練習で疲れて雑用がおろそかになりがちで…
柔道部なんて女子に人気のあるスポーツでもないし、マネージャーやってくれる人が来るなんて夢にも思って無かったから!」

川 ゚ -゚) 「では今日付でマネージャーとして入部を認めてもらえるということでしょうか?」

(´・ω・`)「もちろんだよ!こちらからお願いしたいくらいさ」

川 ゚ -゚) 「それでは、まだ分からない事ばかりなので、最初は部長の手を煩わせなくても済む掃除や整理整頓をこなしておきます」

(´・ω・`)「あぁ、あぁ、お願いするよ…なんて良い子なんだ…」

(,,゚Д゚)「お前の幼なじみって…」

( ゚∀゚)「あぁ、あいつ、行動力はすげーのよ…ありゃ昔から変わらんな…」

本当に大事件だ…
再会した幼なじみがその日のうちにマネージャーになるとか漫画でもそうそう無い。

46名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:29:43 ID:BMay8K5c0
('A`) 「おい…ジョルジュ」

( ゚∀゚)「…なんだよ?」

('A`) 「今日からマネージャーのあの…なんだ」

( ゚∀゚)「クーか?」

('A`) 「そう、そのクーさんだ。 お前幼なじみだって話じゃねーか」

( ゚∀゚)「まぁ、そうだな」

(*'A`) 「なぁ、ちゃんと紹介してくれよ!どういう人なんだ!?なぁ!」

なるほど、ああいうのが好みか…そりゃしぃにはいかないわけだ。
とりあえず安心してもいいらしい。

( ゚∀゚)「どうせすぐマネージャーになったんだしすぐに話す機会も来るだろ」

('A`) 「そうだけどさぁー、なんだよ、おまえあんな幼なじみがいたなんて聞いてねぇぞ」

( ゚∀゚)「言ってないし、言う必要も無かったじゃねーか」

47名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:31:33 ID:BMay8K5c0
('A`) 「ま、まぁそうなんだけど、あのおっぱい魔神のお前がスルーしてるのは意外といわざるを得ない…」

( ゚∀゚)「いや、昔はあんな胸無かったから…ていうかおっぱいは造形美であって恋愛とかそう言うのとは」

('A`) 「わかった!お前のおっぱい談義は長いからいいよ!」

(#゚∀゚)「お前が振ってきたんだろーが…」

('A`) 「とにかくよろしく頼むよ、な?」

( ゚∀゚)「まぁ、気が向いたらな」

('A`) 「ふへへ、持つべきものは友だよなぁ…」

( ^ω^) 「うわぁ、ドクオキメェお…」

48名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:32:13 ID:BMay8K5c0
(*゚ー゚) 「…あれ?女の人…?」

川 ゚ -゚) 「ん?あぁ、柔道部に何か用かな?」

(*゚ー゚) 「いや、友達を待ってて…」

川 ゚ -゚) 「ん?君は一年生だろう?てことは長岡達の知り合いなのかな?」

(*゚ー゚) 「ジョルジュ君達のこと知ってるんですか?」

川 ゚ -゚) 「長岡は私の幼なじみだよ」

(*゚ー゚) 「…え? えぇっ?だってジョルジュ君って都会の出身じゃ…」

川 ゚ -゚) 「あぁ、その通りだ。私も越してきたのだよ」

(*゚ー゚) 「すごい偶然…運命みたいですね…」

49名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:33:20 ID:BMay8K5c0
川 ゚ -゚) 「運命…か。 そんなたいしたもんじゃないよ、長くなるから説明は割愛するが、同じ校区に引っ越したのは必然からだ、偶然ではないよ」

(*゚ー゚) 「そうなんだ、あの…」

川 ゚ -゚) 「素直クールだ。 クーとでも呼んでくれ」

(*゚ー゚) 「クーさんは、柔道部で何をしているの?」

川 ゚ -゚) 「あぁ、私は今日付でここのマネージャーになったのだよ」

(*゚ー゚) 「えっ?」

川 ゚ -゚) 「あぁ、いきなり転校してすぐ柔道部のマネージャーをするのは、確かにちょっと普通ではないな」

(*゚ー゚) 「あ、いや、そういうつもりだったわけじゃないんです。
マネージャーか…考えたこともなかったな…」

川 ゚ -゚) 「興味があるのか? 体験入部みたいなものが出来るかどうか部長に聞いてみても良いが…」

(*゚ー゚) 「私、そういうことってやったことなくて、でも誰かの役に立つのは好きかも…」

川 ゚ -゚) 「君は長岡達の友人なのだろう? 見知らぬ男ならいざ知らず、友人の役に立つのは存外面白いと思うぞ?」

(*゚ー゚) 「うん…そうだね。 そうかもしれない…私、やってみようかな…
あ、でもクーさんが居るのに、もうマネージャーの枠無いのかも」

川 ゚ -゚) 「いや、そんなこと無いんじゃないか? 私がやると言ったときは半泣きで喜んでいたからな、人手はいくつあっても邪魔ってことも無いのだろう」

50名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:34:45 ID:BMay8K5c0
川 ゚ -゚) 「運命…か。 そんなたいしたもんじゃないよ、長くなるから説明は割愛するが、同じ校区に引っ越したのは必然からだ、偶然ではないよ」

(*゚ー゚) 「そうなんだ、あの…」

川 ゚ -゚) 「素直クールだ。 クーとでも呼んでくれ」

(*゚ー゚) 「クーさんは、柔道部で何をしているの?」

川 ゚ -゚) 「あぁ、私は今日付でここのマネージャーになったのだよ」

(*゚ー゚) 「えっ?」

川 ゚ -゚) 「あぁ、いきなり転校してすぐ柔道部のマネージャーをするのは、確かにちょっと普通ではないな」

(*゚ー゚) 「あ、いや、そういうつもりだったわけじゃないんです。
マネージャーか…考えたこともなかったな…」

川 ゚ -゚) 「興味があるのか? 体験入部みたいなものが出来るかどうか部長に聞いてみても良いが…」

(*゚ー゚) 「私、そういうことってやったことなくて、でも誰かの役に立つのは好きかも…」

川 ゚ -゚) 「君は長岡達の友人なのだろう? 見知らぬ男ならいざ知らず、友人の役に立つのは存外面白いと思うぞ?」

(*゚ー゚) 「うん…そうだね。 そうかもしれない…私、やってみようかな…
あ、でもクーさんが居るのに、もうマネージャーの枠無いのかも」

川 ゚ -゚) 「いや、そんなこと無いんじゃないか? 私がやると言ったときは半泣きで喜んでいたからな、人手はいくつあっても邪魔ってことも無いのだろう」

51名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:36:21 ID:BMay8K5c0
今日一番の事件…

しぃがマネージャーになった。

川 ゚ -゚) 「春日さんとそこで会ってな、話してみたらマネージャーに興味があるって事だったので体験入部を勧めたんだ」

(*゚ー゚) 「皆さんよろしくお願いします、春日しぃです」

(´;ω;`)「こんな部活にマネージャーが二人…こんなに嬉しいことがあるか…!」

部長も先輩も、降って涌いたマネージャーにいたく感激の様子である。
しぃがマネージャーになってくれるのは嬉しいが、ライバルがこうも増えそうな環境というのは良し悪しな気もする…
いや、まぁ今は素直に喜ぶべきだろう。
クラスが違うせいでいまいち親密になりきれなかった距離がここで一気に縮まるかもしれない。

クーには感謝しないとな…

52名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:39:02 ID:BMay8K5c0
我が柔道部は基本中堅である。
地方で言えばそこそこの強さ、大会成績もそこそこ。
部員もそこそこ、野球部やサッカー部ほどでは無いが、運動部としては割とそこそこ。

要するにそこそこなのである。
そんな片田舎のそこそこの部に女子マネージャーが二人というのだから、それは願ったり叶ったりなのである。

(,,゚Д゚)「なんかえらいことになったな…」

( ゚∀゚)「流れってこえぇな…」

( ^ω^) 「おっおっ、これで一年生の雑用の仕事が減るおー」

('A`) 「男子のむさ苦しい園が随分華やかになったもんだ…」

53名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:40:49 ID:BMay8K5c0
川 ゚ -゚) 「それで春日と長岡は知り合ったのか」

(*゚ー゚) 「うん、あのときは本当にありがとう」

( ゚∀゚)「いや、いいって、ほっとけなかったってだけだし」

('A`) 「その出会いは初耳なんですが…」

( ^ω^) 「その紳士具合を僕たちにも発揮して欲しいお」

( ゚∀゚)「身の程を知れよ」

('A`) 「おまえ…それほんど酷い…」

54名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:42:33 ID:BMay8K5c0
(*゚ー゚) 「クーさんは、ジョルジュ君とは仲が良かったの?」

川 ゚ -゚) 「幼なじみだったからな、幼なじみなりの仲の良さだったよ」

( ゚∀゚)「なんだそりゃ」

川 ゚ -゚) 「どうも頼りない弟のようでな、手を焼いたよ」

( ゚∀゚)「お前、そんな風に思ってたのかよ」

川 ゚ -゚) 「今でもさして変わらないと思うぞ?」

( ゚∀゚)「マジかよ…」

(*゚ー゚) 「そっか、幼なじみで仲が良いって素敵だな」

それはとても平穏な日々。
好きな人と、親友と、友人に囲まれた幸せな日常。

55名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:43:23 ID:BMay8K5c0
あの子の存在は私を刺激する。
何故後から入ってくるのだ…
やめろ、やめろ、邪魔をするな…

あぁ…私はなんて汚い人間なんだ…
誰も憎みたくないのに、だって、みんなあんなにいい人なのに…

56名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:44:19 ID:BMay8K5c0
誰かの幸せが誰かの犠牲を必要とする。
 誰もが相手の不幸は願っていないのに。

その感情は人を狂わせる。

57名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 22:48:11 ID:BMay8K5c0
ここまでで章区切りです。
続きはそう遠くない頃の予定。

58名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 23:06:59 ID:BMay8K5c0
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1496.jpg

タイトルイメージ。

59名も無きAAのようです:2014/02/21(金) 23:35:27 ID:BMay8K5c0
>>17
順番間違えてますね…
>>24の後に>>17の文章が入るのが正しいです。どうしてこうなった…

60名も無きAAのようです:2014/02/22(土) 01:15:04 ID:hNF.R8SI0
これは期待

61名も無きAAのようです:2014/02/22(土) 02:11:19 ID:B0IC.566C
なかなかいいじゃないか、不穏な雰囲気の匂いがビンビンだ

62名も無きAAのようです:2014/02/22(土) 04:08:33 ID:OtW6D8GU0
乙乙

63名も無きAAのようです:2014/02/22(土) 06:06:20 ID:5J9k19j60
さあどうなってしまうのか

64名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:05:10 ID:xPOhyhY.0


夏が来る。
いつもとは少し違う日々。
小さな変化が呼び水になる。

 いつまでも無垢ではいられないだろう。

 季節も心も移ろうのだ。

65名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:15:52 ID:xPOhyhY.0
(,,゚Д゚)「もうすぐ夏休みかー…」

( ゚∀゚)「いやー、いいよな、夏休み。
一年で一番長い休みだし、なにより夢があるぜ、祭りとか海とかよー!」

(,,゚Д゚)「そうだなー。 オレ暑いのは苦手なんだけど、夏休みってのだけは別格だな」

(; ^ω^)「僕は駄目だお…この暑さたえられんお…」

('A`)「お前そうやって言うけど祭りも海も一番はしゃいでるじゃねーか」

( ^ω^)「お。 海で食べるカレーは別格だし祭りの屋台はその存在自体が神なのだお」

('A`)「ぶれねぇな…おまえは…」

川 ゚ -゚)「しかし内藤君のそういう初志貫徹したところは好感が持てるな、何事も芯が通っているに越したことはない」

(*'A`)「クーさん、おれも小学校からずっとキャラがぶれないって評判なんだよ」

川 ゚ -゚)「そうなのか? それはいいな、この部の奴はみんなすがすがしくて良いな。
前いた学校は土地柄か男子もかび臭い奴が多くてな…」

66名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:16:49 ID:xPOhyhY.0
( ^ω^)「物は言い様だお…」

( ゚∀゚)「ドクオのブレなさっていうのはまぁ、確かに一本筋が通ってるといえば通ってるが…」

(,,゚Д゚)「まぁ、エロスは美の極致だ! 芸術だ! っつって憚らないのもある意味初志貫徹か…」

('A`)「お前らなんか言ったか?」

( ゚∀゚)「なんでもねーよ」

(*゚ー゚)「ふふふ、でもそうかぁ、中学最初の夏休みだね。 楽しみだな」

67名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:17:34 ID:xPOhyhY.0
クーが転校してきてから1ヶ月以上がたって、期末テストも終わりいよいよ夏休みという時期にさしかかっていた。
この顔ぶれで帰るのも板につき、随分皆打ち解けたと思う。
特にしぃは本当によく笑うようになった、と思う。

(,,゚Д゚)「まぁ、部活は夏休みもあるし、オレらはまだ参加選手じゃないにせよ、大会前は柔道漬けになるだろうから」

('A`)「今から気が滅入ること言うなよ…」

( ゚∀゚)「え、ギコは参加選手だろ…?」

(,,゚Д゚)「…は?」

川 ゚ -゚)「あぁ、長岡にしか見せてなかったな。
マネージャー用の書類に目を通してみたが、うちの部は50kg級がどうもお前しかいないらしい」

(,,゚Д゚)「え…マジか…ジョルジュとかドクオはどうなんだよ」

川 ゚ -゚)「青井が148cm46kg、長岡が152cmで54kg、鬱田が160cmで52kgだな」

( ゚∀゚)「何故ブーンを飛ばした…?」

68名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:18:50 ID:xPOhyhY.0
川 ゚ -゚)「いや、言うまでも無いと思ったからな。 興味があるようだから答えるが内藤は154cmで75kgだな」

(;'A`)「なんという…」

(;,,゚Д゚)「まさかの81kg級…」

(; ゚∀゚)「部長と同じ階級だと…?」

(; ^ω^)「具体的な数字で言われると凹んできたお…」

(*゚ー゚)「でも柔道してるだけあって、体重の割に引き締まって見えるよ?」

(; ゚∀゚)「(今体重の割りにって言った)」

川 ゚ -゚)「そうだな、世に言うところのガチムチってやつか」

(* ^ω^)「おっおっ、鋼の肉体ってやつだお」

69名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:20:42 ID:xPOhyhY.0

(,,゚Д゚)「ていうか、オレ50kg級個人の選手だったのか…」

(*゚ー゚)「部長が『出せるところは全部出していこう!』って」

川 ゚ -゚)「どうも小柄な選手が2年にいなかったみたいでな。 一年で選手冥利に尽きるじゃあないか、頑張ってくれよ」

(,,゚Д゚)「…全力を尽くさせてもらいます」

( ゚∀゚)「ますます休みが楽できなくなったな」

(,,゚Д゚)「最初からそんなに楽をしようとか思ってねーよ。 まぁ、気楽ではなくなったけどな」

( ^ω^)「僕たちの分まで頑張って欲しいところだお」

('A`)「応援だけはしてやるよ」

70名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:21:27 ID:xPOhyhY.0
(,,゚Д゚)「そういえば身長体重の話で思い出したけど、しぃは昔から身長低いよな」

(*゚ー゚)「定期検診で、成長が遅いタイプなのかもって言われたんだ、かなり低いみたい」

川 ゚ -゚)「何cmぐらいなんだ?」

(*゚ー゚)「135cmだよ」

川 ゚ -゚)「あぁ、確かに平均値よりかなり低いな…」

(*゚ー゚)「高いところの物とか取れなくて不便なんだ…もうちょっと身長欲しいな」

(,,゚Д゚)「姿勢が良いから数値ほど小さくは見えないんだけどな」

( ゚∀゚)「それはギコもそうだろう。 身長の割りに低く見える猫背のドクオと大して差が無いように感じからな」

('A`)「ついでにdisられたんだが…」

( ^ω^)「姿勢なおせお」

71名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:22:53 ID:xPOhyhY.0
大会、祭り、海。
色々イベント目白押し。
夏休みには夢がたくさん詰まっている。

それに今年は、今までとは違う。

( ゚∀゚)「今年の夏は勝負かけるぜ」

(,,゚Д゚)「あぁ、しぃのことか…」

( ゚∀゚)「急接近してあわよくば、な!」

(,,゚Д゚)「都合の良いように考えるなぁ…捕らぬ狸の皮算用にならないように頑張れよ」

( ゚∀゚)「あぁ、ギコにはいつも助けられてばかりでホントに感謝してるぜ」

しぃがいる、そう考えるだけで胸が高鳴る。
待っているのは恋心と迎える初めての夏休みなのだ。

72名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:24:05 ID:xPOhyhY.0
(´・ω・`)「じゃあこれから夏休みの日程を配るよ。 素直さん、春日さん、よろしく」

(*゚ー゚)「はい」

(*゚ー゚)「きちんと目を通しておいてください」

( ^ω^)「お、思ったより休みがあるお」

( ´_ゝ`)「あぁ、一年生は未経験だったな」

(´<_`  )「オレらも日程だけ見てチョロいと思ったからな」

(´・ω・`)「ふふふ、そう、日程がすかすかに見えるのには意味があるんだよ」

(,,゚Д゚)「どういうことですか…?」

(´・ω・`)「そのあいてる期間は超回復の期間だね」

( ゚∀゚)「超回復…?」

(´・ω・`)「そう、技術的な面も当然みっちりやるんだけど、この長期期間を利用してベースとなる体のグレードアップを図ってもらう!」

そういうと部長はすがすがしいまでのサムズアップでこう言った

(´^ω^`)「君たちにはこの夏でガチムチになってもらうよ!!」

(; ゚∀゚)

(;,,゚Д゚)

(; ^ω^)

(;'A`)

73名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:24:46 ID:xPOhyhY.0
(´・ω・`)「あぁ、青井くんの場合は体重調整も兼ねていくから、49kgに合わせるためにマネージャーさんはこまめに体重計ってね」

(*゚ー゚)「はい、わかりました」

(´・ω・`)「あとは、兄者が60kg級に調整する以外は微調整が必要な人も居ないと思うので、思う存分でかくなっていただきたい」

慣れるまではきついけど、まぁ慣れれば自由な日程が他の運動部より多いから、頑張れ。
先輩達はそう言ってオレ達の肩を叩いた。

いきなり不安要素が増えるってどういうことだよ…

川 ゚ -゚)「筋力トレーニングは部位ごとに集中して週5のローテーションの方が効率が良いのでは?」

(´・ω・`)「あぁ、それだと普段の練習が困難になるし、見せ筋になるからね。あくまで実用の範囲でムキムキに!」

川 ゚ -゚)「なるほど…勉強になります」

なんでクーはあんなに興味津々なんだ…わからん…

74名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:26:13 ID:xPOhyhY.0
テストの成績が返ってきたりと、いくつかのイベントはあったが、特にこれといった出来事もなく終業式を迎える。
ブーンがたしか「やべぇお…ギリギリ赤点免れたけど、これはお小遣いがピンチかもわからんね」と言っていたが、他は概ね問題なし。
ドクオは要領良く平均点ぐらいをうろうろしてたし、ギコはあれでそこそこ勉強が出来るから、割と高水準な結果だったようだ。

かくいうオレはブーンほどでは無いがやや下の方。
得意科目の社会と現代文でなんとか面目を保った形だ…

お小遣い危機かもしれない。

(,,゚Д゚)「明日から本格的に夏休みだな」

( ゚∀゚)「オレは成績如何で増減するお小遣いに思いをはせてるよ…」

川 ゚ -゚)「普段から授業を聞いていればそこまで落ち込まないだろうに」

( ゚∀゚)「くっ、なんかなぁ、あの授業って奴は集中力とか意欲ってのをごっそり持っていく魔力があるんだよ!」

(,,゚Д゚)「それはちょっと分かる…」

75名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:28:23 ID:xPOhyhY.0
( ^ω^)「おっおっ、通知表返ってきたかお?」

( ゚∀゚)「やめろ、その話は」

( ^ω^)「ジョルジュ…お前もかお」

( ゚∀゚)「あぁ、お察しの通りさ…小遣い危機を共に乗り切ろうじゃないか」

( ;ω;)「屋台が、海の家がー!」

('A`)「まったく遊べなくなるまで減らされねーだろ」

(,,゚Д゚)「コンビニで買い食いするのを節約すりゃいいのに…」

( ;ω;)「そんな殺生な…部活後のコンビニが無かったら空腹で死んでしまうお…」

( ゚∀゚)「流石に引くわ」

76名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:30:49 ID:xPOhyhY.0
(,,゚Д゚)「まぁしばらくは、いつも通り部活で集合って感じになるかな」

( ゚∀゚)「日程的に8月上旬、大会終わって落ち着いてからが海になるのかな?」

( ^ω^)「カレーが僕を待ってるお」

('A`)「お前、ツンを誘うがどうとか張り切ってたのどうなったんだよ…」

( ^ω^)「うっ、いやあのそれは…」

(*゚ー゚)「ツンちゃん、私もメールアドレス知ってるから、暇そうだったら誘ってみようか?」

( ^ω^)「おおおぉおお、しぃちゃんは救世主だお! 是非お願いしたいお!!」

('A`)「へたれだなぁ…」

(,,゚Д゚)「らしいといえばらしいな」

77名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:31:46 ID:xPOhyhY.0
川 ゚ -゚)「みんな、盛り上がるのは良いけど、宿題のこと日程に組み込んでおかないと後でどうなっても知らないぞ?」

( ;ω;)「うぉぉおおおおお!!!」

(;'A`)「やーめーろー!」

(; ゚∀゚)「急激に現実に引き戻すのは止めて!」

(,,゚Д゚)「ジョルジュはいつも最後に溜めてオレのところに泣きつきにくるからな」

( ゚∀゚)「そうだ! 全員で協力すべきだ! それがいい!」

('A`)「分担してやれば負担は1/6!」

( ^ω^)「なるほどっ!誰も損しない!素敵!」

川 ゚ -゚)「写したりはさせる気は無いから、教えるのは良いが1/6にはならないな」

(; ゚∀゚)「チクショォォオオオ!!!」

78名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:32:48 ID:xPOhyhY.0


夏の日差し、入道雲。
響き渡る蝉の聲。

夏休みがはじまる…

79名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:41:13 ID:xPOhyhY.0
結論から言おう。

部活は『いつも通り』なんかじゃなかった。

(;,,゚Д゚)「か、体がやばい…多分かばんもてない…」

(; ゚∀゚)「あ、足が…歩く度に悲鳴を上げてやがる…」

(;'A`)「おい…ブーンが向こうであわ吹いて倒れてるんだが…」

(´・ω・`)「初日はそうなる奴が多いんだよ。 まぁすぐに慣れる! 一緒に頑張ろう!」

(*゚ー゚)「あの、プロテイン作ってきました」

川 ゚ -゚)「きちんと飲み干すように」

(;,,゚Д゚)「う、うぅ…可も無く不可も無い味…」

(; ゚∀゚)「まずくないってだけでラッキーだと思うべきか」

('A`)「あ、オレこれ結構いけるわ」

( ^ω^)「甘くて美味しいお」

80名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:42:41 ID:xPOhyhY.0
そして翌日、当初考えていた休みだしどっか遊びに行こうという計画は…
見事に頓挫していた。

体が悲鳴を上げている…という慣用句はあながち間違っていないとオレは思った。
これは悲鳴だ、悲鳴。

(,,゚Д゚)「で、今日は集まって宿題の日なわけだが」

( ゚∀゚)「無理、この体で」

( ^ω^)「鉛筆がぷるぷるするお…」

('A`)「正直寝てたい…」

川 ゚ -゚)「動けないうちにめんどくさいことをやってしまった方が遊びたいときに煩わしくなくて済むぞ」

動くのが辛いというオレ達の意見を汲んでクーが提案したのがこの『宿題早めに進めよう集会』なのである。
ドクオが二つ返事でOKを出し、しぃが賛同している手前オレもNOとは言えなくなってしまった。
ギコは…多分オレに合わせてくれたんだろう。ブーンはドクオがえさで釣ったのだと思う、多分。

(*'A`)「まぁ…クーさんがそういうなら」

(*゚ー゚)「でも、ジョルジュ君のおうちって広いねー。 びっくりしちゃった」

( ゚∀゚)「念願の一軒家だーつって奮発したらしい。
ローンが結構あるみたいだけど、親父曰く『そう遠くなく返せそう』らしい」

(,,゚Д゚)「まぁ、家が広いのは助かるな、6人だと家じゃちょっとな…」

( ^ω^)「僕とドクオはアパート組だからますます無理だお」

81名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:44:21 ID:xPOhyhY.0
オレの両親は割と放任主義なので、今回の件も
「友達? いいわよ。 宿題のためなのに止める理由は全くないしね!」
「ていうかお前こんな早くから宿題って…頭でも打ったのか?」
と(不本意な感想が混じってはいたが)歓迎してくれた。

( ゚∀゚)「とりあえず今日は機械的に出来るドリルとかにしようぜ…動く作業は無理…」

('A`)「自由研究とかの題材も考えておかないとなー」

川 ゚ -゚)「自由研究はグループ発表が許されてるらしいからな、これは協力すれば本当に1/6の労力で済むぞ」

( ^ω^)「おっおっ、話の分かる学校だお」

(,,゚Д゚)「クラス別で作らなきゃいけないから実際は6人でやって完成品は二ついるわけか」

川 ゚ -゚)「実作業までは同じ工程で、レポートの段階で2チームに分ければ良いな」

( ゚∀゚)「まぁ、内容が思いつくまでは保留だ、保留」

(*゚ー゚)「そうだね、じゃあ最初は数学からやろうか」

82名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:45:39 ID:xPOhyhY.0
川 ゚ -゚)「結構進んだんじゃないか?」

( ゚∀゚)「数学だけでも1/3ぐらい終わってるぞこれ」

ギコ「分からないところはクーが教えてくれるからはやいんじゃねーか?」

川 ゚ -゚)「青井と春日も指導に回れるからじゃないか?」

(*゚ー゚)「難しい問題は私も教えてもらう側だけどね」

(,,゚Д゚)「まぁ数学はプロセスさえ覚えてしまえば単純だから」

( ゚∀゚)「出来る奴の発言だ…」

( ^ω^)「プロセスとか言われてもチーズしかしらんお」

83名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:47:05 ID:xPOhyhY.0

菓子食って、駄弁って、それでも5時間もやってればかなり進む。
普通に考えて5時間ぶっ続けでドリルとか正気の沙汰じゃないが、共同作業となると精神的な負担はどうやら大きく減るらしい。

( ^ω^)「もう持ってきた菓子がねーお」

('A`)「わりと多めに見積もって買ってきたのに…つーか半分はブーンじゃねーか?」

(,,゚Д゚)「流れるような『ながら食い』を見た…」

川 ゚ -゚)「そろそろ良い時間になってきたな。 今日はこのあたりで解散するか」

('A`)「やぁぁっとかー!つか明日までになおんの?この筋肉痛…」

川 ゚ -゚)「まぁ明日も遊びに行けるかどうかは微妙だな。 明後日は昨日と同じかそれ以上の内容。
土日とまた2日連続休みで、月曜に試合形式、次に昨日と同じという感じで週でループしているな」

( ゚∀゚)「またこの痛みと闘うのか…」

川 ゚ -゚)「とにかく筋肉をでかくするのが目標なわけじゃないからな、目標の数値に近づくほど筋力と負荷のギャップが緩くなって楽になるぞ。
…と部長が言っていた」

(,,゚Д゚)「ていうかボディービルダーとかウェイトリフティングとかやってる奴って常にこの状態を維持するんだろ…?
ちょっと信じられない世界だな…」

(*゚ー゚)「私はどれぐらい痛いか分からないけど、応援してるよ!」

( ゚∀゚)「おぉ、ありがとよ、励みになるわ」

84名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:49:37 ID:xPOhyhY.0
翌日、幾分マシにはなっていたが翌日の練習に後遺症が残ってはたまらないと、それぞれ自宅で過ごすことになった。
クーが「今日も宿題進めるか?」と提案してきたが、ブーンあたりの脳みそがダウンしても困るとやんわり止めておいた。

( ゚∀゚)「はー、何もやる気が起きねぇ…」

ベッドの上で天井を眺めながら思う。
最近は特に慌ただしくいろんな事があって、どうもぼーっとするということを忘れていた気がする。
体の痛みも相まって、連日気の休まることの無かった分、溜まった疲れが一気に吹き出したようだ。

それも心地の良い疲れだったけれど。

85名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:52:09 ID:xPOhyhY.0
そもそも、夏休みにしぃと一緒に居られるだなんて全く思ってもみなかったのだ。
マネージャーなんてのは青天の霹靂だったし、まして家に来て勉強会だなんて…

なんだか上手くいきすぎてるぐらいだ。
ギコをはじめ、みんなにはホントに感謝しないとな。

( ゚∀゚)「…今度なんかおごるか…」

そんなことを考えながら携帯のカレンダーを眺めていた。

( ゚∀゚)「とにかく今はギコの大会だ、せっかく大会に出られるんだから、しっかり応援してやらないとな」

86名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:53:12 ID:xPOhyhY.0

そういえば、ギコは元々柔道してたってわけじゃなかった…
オレがこっちでも柔道をしたいと言ったら、是非自分もやりたいと、そう言ってついてきたのだ。

今では実力もほとんど遜色ない、飲み込みが早いのか、素質があったのか。
きっとそれなりに良い成績も残すだろう。
正直ちょっと悔しい気もするが、それ以上に嬉しくもある。

あぁ、これでもしオレが試合に出られてて、しぃに良いところでも見せられたら良かったのに。
そしたら…そしたら…

(* ゚∀゚)「うぇへ…うえへへへ」

莫迦な妄想をしてベッドの上で身もだえている、端から見れば随分滑稽なのだろうが、あいにく見ている人は居ない。
あー、オレもいいとこみせてぇな…ていうかオレの分も頑張れよな。

87名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:53:56 ID:xPOhyhY.0
元々柔道に興味があったわけじゃ無い。
ただ、他にやることもなかったし、ジョルジュがやっていたからだ。
今はそれなりに楽しいし、柔道に真剣に取り組んではいるが、元々は友人とのコミュニケーションツールでしかなかった。

(,,゚Д゚)「オレが試合に出るのか…」

考えてもなかった。
体重別で自分しか居ないってのは完全に盲点だった。

(,,゚Д゚)「せっかく出るなら、良いところ見せないとな…」

誰に聞こえるでもなくそうつぶやいた…

88名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:55:23 ID:xPOhyhY.0
試合当日。
数週間で完全に慣れるというわけにもいかなかったが、それなりに調整も出来たし、今はかなり調子が良い。
危なげなく勝った1試合目、何とか拾った2試合目と続き、次はいよいよ…

( ゚∀゚)「準決勝か…どうせ行くなら勝ってこい!」

('A`)「ふがいない試合したらしょうちしねーからな」

( ^ω^)「お、いいとこみせてくれお」

(,,゚Д゚)「全力でやってやるさ、あわよくば優勝してやるよ!」

(*゚ー゚)「頑張ってね、応援してるから…!!」

川 ゚ -゚)「相手はうちと同じくらいの中堅校の2年だ、かなり手強いが勝てない相手じゃ無いと私は思う。
1年分の差は気合いで埋めて見せろ」

(,,゚Д゚)「あぁ、それじゃ、いってくるよ」

89名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 05:59:57 ID:xPOhyhY.0
試合が始まる。
まずは良い形で組みたい…

(,,゚Д゚)「っはぁ!」

お互い、相手に組ませまいと、相手の手を払い、攻め、腕を伸ばす。
より良い形で組めれば…

ここだ!
腕を伸ばす、相手の腕をかいくぐって届く!
相手の襟を取った、そのまま押したいけど…
相手の腕もまたこちらの襟を取っている。

この動き…これは相手が突っ込んで…

くるっ!
ちゃんと間合いを…っ

(,,゚Д゚)「くっ…」

とるっ!

かかとがすれる、相手の距離がいったん離れてまた近くなる。
大丈夫、良い位置だ。
相手のあの組み方…引き手を強く引いてくる…これはジョルジュの得意な…

きた!内股っ!

何度も繰り返し見てきた動き。
ジョルジュの動きが相手に重なる。
体を引いて、足を…っ!

( ゚∀゚)「!!あいつ、すかしやがった!」

相手の足は空を切る。
バランスを崩して大股開きになってる、今なら…

入るっ!

90名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:01:00 ID:xPOhyhY.0
(,,゚Д゚)「っっらぁ!!」

( ゚∀゚)「大内刈り!!」

(*゚ー゚)「!!」

(´・ω・`)「いや、少し浅い…!」

ダァァアンと音を立てて相手の体が横倒しになる。
脇から落ちた…きちんと入りきってない…これは…

「技ありっ!」

それでも技あり!どうだ、見てくれて…

( ゚∀゚)「おおぉお、すげぇぇ!!」

(*゚ー゚)「ギコ君、すごい!」

二人が手を取り合って喜んでいる…
やめろ、違う、考えるな…集中…集中を…
見てる、あいつが見てるのに…

あいつが…だれと…?

91名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:03:01 ID:xPOhyhY.0
「はじめっ!」

(,,゚Д゚)「!?」

しまった、タイミングが…!

( ゚∀゚)「あ、ばかっ!」

相手の腕が襟に伸びる。
とにかく襟をとるか、腕を払うのか…
どうする…どうするっ…!!

(;´・ω・`)「まずいっ!」

一瞬の迷い、集中力の途切れが隙を作る。
襟を取られたっ、そのことが一瞬オレの意識を途切れさせる。
なんで相手の肩が…と、急激に袖を引かれる感覚。

これは…くっ、間に合うか…!!?

( ゚∀゚)「こらえろ!!!」

体落とし、これなら、力押しで耐えられる…ふみとどまれ、跳ね上がったら負けだ…!!

(;,,゚Д゚)「っっっぉおおお!!!」

(;´・ω・`)「踏みとどまった!!」

92名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:04:35 ID:xPOhyhY.0
そのまま腹ばいになって相手と重なる。
審判から待ての声がかかる、そうだ、勝たなきゃ。
あいつが見ているのだから…

(,,゚Д゚)「勝つんだ…」

全力で闘って負けるならまだいい。
でも、こんな終わり方はしない。
絶対に。

はじめの声、今度はこちらから組みに行く。
ジョルジュとしぃが見守っている。
気にするな、踏み込め、いつもの柔道を…

経験の差は…気合いで埋める!!

「っ!」

気迫に押されて相手がひるんだ!
ここだっ!

(´・ω・`)「小内か!!」

川 ゚ -゚)「いや、だめだ、決まらない」

93名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:06:46 ID:xPOhyhY.0
( ゚∀゚)「いや、いいんだ、あいつの得意技は…」

相手がバランスを崩す、体勢を立て直そうとして腰を引く。

「くっ…」

お前…今…下がったな!

「あっ!?」

今だっ!

( ゚∀゚)「いっけぇええええ!!!!」

相手の上体が大きくぶれ、オレの足を支点に体が仰向けに回る。
ダァァアン、小気味のいい音が道場に響く。
仰向けで放心したような相手の顔が技の掛かりの良さを物語っていた。


支釣込足…

( ゚∀゚)「あいつはなぁ…小内でバランスを崩した相手を引っかけて落とすのがうまいんだよっ!」

「一本!それまでっ!」

勝った、のか…

…そうか、とりあえずオレは良いところ見せられたかな…
どうだった、頑張れてたか?

(*゚ー゚)「ギコ君…すごい!」

( ゚∀゚)「そりゃそうだ、オレの自慢の親友だからな!!!」

よかった、ちゃんと頑張れてたみたいだ…
見返りは君が笑う、ただそれだけでいいんだ…

94名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:08:22 ID:xPOhyhY.0
決勝戦は一方的だった。
流石に強豪校のレギュラーだけある、柔道らしい柔道をさせてもらえなかった。
始終足がおぼつかない…ただ立つことがあんなに難しい試合なんて初めてだった…

(,,゚Д゚)「すごいな…中学のトップレベルってのは」

( ゚∀゚)「地方であれだからな…全国なんてどうなってるのか」

(,,゚Д゚)「一緒に出たいな…全国」

( ゚∀゚)「…そうだな…」

(´;ω;`)「3年最後の大会…準優勝…それでも僕は頑張ったよ…悔いは無い!」

( ;_ゝ;)「かっこよかったです部長! オレ感動しました!!」

(´<_`  )「最後の大会…お疲れ様でした…部長!」

( ゚∀゚)「部長の後輩として、オレらがいつか優勝しよう…」

(,,゚Д゚)「あぁ、そうだな」

95名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:09:24 ID:xPOhyhY.0
( ;ω;)「おおぉ、ギコも部長もすごかったおおお!!!」

('A`)「感極まってさっきからずっとこんなんだぜこいつ…お疲れ様、頑張ったな」

川 ゚ -゚)「すばらしい試合だったよ」

(*゚ー゚)「かっこよかった…私、今日のギコ君のこと忘れない!」

(,,゚Д゚)「なんだそりゃ…来年や再来年はもっとかっこよくなるぜ?」

( ゚∀゚)「来年はオレと選手枠取り合いになるんじゃねーか? 成長してよ」

(,,゚Д゚)「…お前も太れば問題ない!」

( ゚∀゚)「ちょ、お前なんてこと言うんだよ…」

初めての地方大会は、こうして幕を閉じる。
胸にしこりを残したまま…それでもオレは、最高の一日だったってそう思うよ。

96名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:11:05 ID:xPOhyhY.0
そうして夏休みも半分が終わる頃。
ドクオから提案があった。

('A`)「なぁ、みんなで海いかねーか?」

恒例になった宿題会の最中、唐突に告げられた内容にそれぞれの筆が止まる。

(,,゚Д゚)「あぁー、そういえば今年はまだ行ってないのな」

( ゚∀゚)「そうだよ!夏と言えば海!海と言えばおっp」

(,,゚Д゚)「よおおおおし、じゃあとりあえず計画立てようぜ!今度まとまった休みがあったはずだからそこでどうよ!」

いつもの癖でしぃの前で失態を晒すところだった…
毎度ギコには頭が上がらない…危ない危ない。

97名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:12:51 ID:xPOhyhY.0
川 ゚ -゚)「あ、あぁ、私は別にかまわないが…」

(*゚ー゚)「私も大丈夫だよ」

( ^ω^)「あ、しぃちゃん、その、ツンちゃんに…」

(*゚ー゚)「あぁ、そうだったね、とりあえずメールしてみようか?」

( ^ω^)「助かるおー、持つべき者はマネージャーだお…」

('A`)「マネージャー関係無いからね?」

みんなで喧々囂々海について話し合っていると、しぃが携帯を見ながら

(*゚ー゚)「ツンちゃんからメール返ってきた、早いなー。
その日程なら13日なら良いよって、みんなはどう?」

( ^ω^)「いけるいくいくいけるんだおおおおおお!!!」

('A`)「まぁ、みんな大丈夫だろ」

当然他に予定がある者もおらず、とりあえずその日は海、ということで決定した。
海か、水着…今から想像してしまった…やばい、興奮してきた。

98名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:13:33 ID:xPOhyhY.0
ξ゚⊿゚)ξ「また随分大所帯ね…聞いてたけど、実際に見るとまたなんというか…」

(* ^ω^)「おー、ツンちゃんだおー、今日は一日よろしくだおー」

ξ*゚⊿゚)ξ「ベベ別にしぃに呼ばれたから来たってだけであんたとよろしくしに来たわけじゃないのよっ!」

( ;ω;)「お…」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、ちょっとなんで哀しそうな顔してるのよ、嫌だって言ってるんじゃ無くて…あーもうっ!今日はよろしくねっ!!!」

( ^ω^)「だおだおー!」

('A`)「何故だ…何故あの状態で数年間ひっつかないんだ…」

(,,゚Д゚)「鈍感とプライドが邪魔をしてんだよ」

川 ゚ -゚)「なるほど、これはバレバレになるわけだな…」

( ゚∀゚)「ていうかなんでオレ気づかなかったんだろーね…」

99名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:14:47 ID:xPOhyhY.0
絶好の海日和、地元から近い海まで電車でゆられて向かっております。
いいな、この空気。しぃのことを抜きにしても今すげぇ楽しいよ。

(,,゚Д゚)「空気入れとか持ってきてる奴いる?」

('A`)「オレ持ってる」

(,,゚Д゚)「あー、たすかる。いるかボートを息でやるのはしんどいからなー」

大会も終わって夏本番、やっぱり海でしょう!
電車の窓からのぞく入道雲が、オレの気持ちの昂ぶりに拍車を掛けた。

100名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:15:35 ID:xPOhyhY.0
(*゚ー゚)「どうかな…子供っぽくない?」

( ゚∀゚)「…かわいい…」

(*゚ー゚)「やっぱりもっと大人っぽいのが良かったかな」

( ゚∀゚)「え、いやその…」

(,,゚Д゚)「ははは、ジョルジュは褒めてるんだよ」

(*゚ー゚)「ほんと?それならうれしい…ギコ君は?」

(,,゚Д゚)「ん? オレも可愛いと思うよ。よく似合ってる」

ξ゚⊿゚)ξ「清純派って奴よねー」

(* ^ω^)「ツンちゃんの水着は刺激が強すぎるお」

(*'A`)「まさかがっつりビキニでくるとわ…」

101名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:19:30 ID:xPOhyhY.0
川 ゚ -゚)「さすがにみんな水着に気合いが入ってるな…私はあいにくそういったおしゃれな奴は持ってなかった」

( ゚∀゚)「競泳選手みたいな水着だなおい」

川 ゚ -゚)「やはり泳ぐのだから、泳ぎやすさを追求したデザインが良い」

(*'A`)「いや、よく似合ってるよ、健康的で綺麗だ」

( ^ω^)「スタイルが良いからその分映えるおー」

ξ#゚⊿゚)ξ「スタイルが良くなくて悪かったわね」

(; ^ω^)「ち、ちがうお、そういう意味で言ったんじゃないお、僕はツンちゃんが最高だと思ってるお!」

ξ*゚⊿゚)ξ「ちょっ!!な、なんなのよもう!!」

( ゚∀゚)「アレはわざとか、無自覚か」

(,,゚Д゚)「ブーンは多分何も考えてねぇ」

102名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:25:00 ID:xPOhyhY.0
( ^ω^)「スイカ割りたいお!」

(,,゚Д゚)「予算がありませーん」

('A`)「はぁ〜、眼福眼福…」

(,,゚Д゚)「お前は本当にぶれないな…」

( ゚∀゚)「海に来て女性の水着姿を堪能しないのは失礼ってもんよ」

(,,゚Д゚)「おーい、おまえらいい加減にしないと…」

川 ゚ -゚)「いやいや、別に私たちに気を使う必要は無いぞ? 存分に観察したまえ」

('A`)「それではお言葉に甘えtブフォッ」

(; ゚∀゚)「二人ともいつからそこに居たんだ…?」

(*゚ー゚)「えっと、ブーン君がスイカ割りたがったところから…かな?」

(; ゚∀゚)「うわぁぁああああやぁっちまったぁぁあああ」

(;,,゚Д゚)「知らん…オレは知らんぞ…」

ξ゚⊿゚)ξ「まったく、アホばっかりねー」

103名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:25:44 ID:xPOhyhY.0
とにかく泳いで、眺めて、はしゃいで食って。
思うさま遊びまくった。
特に今年は筋肉痛とクーの合わせ技で宿題の進みが非常によろしく、懸念材料がなかったおかげで随分のびのびとした気持ちで遊んだ気がする。

だんだんと日が落ちてきて太陽の色が茜に変わる頃には、帰り支度を終えて皆帰路につくところだった。

川 ゚ -゚)「潮風に髪がやられた…帰って風呂に入りたい…」

(*゚ー゚)「そうだねー、でもすごく楽しかったな」

( ゚∀゚)「そうだなー、多分みんなすっげぇ日焼けしてるぜー」

川 ゚ -゚)「残念、女子組は対策済みだ」

(*゚ー゚)「一応女の子だし、スキンケアはしておかないと…ね?」

ξ゚⊿゚)ξ「油断すると珠のお肌ががさがさになっちゃうのよ」

(,,゚Д゚)「自分から焼いてる女子も居るけどな」

ξ゚⊿゚)ξ「アレはもう、なんていうか完全に違うカテゴリじゃない…理解できないわ、私」

川 ゚ -゚)「私はファッションには疎いからな、美容ぐらいしか磨けるところがないのだよ」

('A`)「いや、でも変に流行に流されるより、自分の好みがしっかりしてる子のほうがいいかなーとか思うな、うん」

104名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:28:09 ID:xPOhyhY.0
(,,゚Д゚)「しかし日焼け対策か…やっとけばよかったな」

( ゚∀゚)「え、何お前色白になりてーの?」

(,,゚Д゚)「違う違う、ジョルジュ、忘れてないか…オレ達柔道部なんだけど…」

( ゚∀゚)「…あ、畳…」

(; ^ω^)「すれると地獄だお…」

('A`)「…寝技練習来たら終わる…」

(,,゚Д゚)「…な? スキンケア…大事だろ…?」

( ^ω^)「…次からは使用も検討に入れることを今固く心に誓ったお…」

そんなたわいもない会話をしながら帰路につく。
海で体力を奪われた体はその最中も始終ふわふわと気持ちの良いけだるさを感じていて、今日は特に何も考えずぐっすり眠れると思った。

またな、といって別れてからも、夕日に揺れるしぃの姿を見ていた。
瞳に焼き付けて、夢にまで連れて行きたかった。

105名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:30:00 ID:xPOhyhY.0

ねぇ、みて、とても綺麗。

 あぁ、そうだね、アレは何の灯りだろう…

アレは鬼灯の灯りだよ。
アレを目印にして帰ってくるの。

 鬼灯?それはお盆の話?

違うよ、お祭りなの。
だからアレは送り火でもあるのよ。

 送り火?

そうなの、要らなくなった気持ちを送るのね。

106名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:32:31 ID:xPOhyhY.0


 それは忘れるって言うこと?

忘れられないから送るの。
いいえ、違うね、送ったつもりになるんだわ。

ゆらゆら、鬼灯の灯りに照らされて赤く陽炎のように揺れる。
ゆらゆら、ゆらゆら。

 ねぇ、貴方、何も送り出す物がないのね。
 素敵、とっても素敵。
 でも誰もがそうじゃない、だって、人の心がそんなに都合良くパズルのピースみたいにはならないもの。

ぴったりはまらないのか?

 そうよ、はまらないの。
 同じところに収まりたいのにどれか一つしか使えないの。
 だって、望む形は同じなんだもの。
 凸凹がぴったりになる場所はそこしかないのにね。
 
 私、きっとおさまらないの。
 私が居たい場所は私の形に合わないの。

だから憎いの、貴方が…

107名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:34:07 ID:xPOhyhY.0

(; ゚∀゚)「っっ!!!!」

目が覚める。
背中がじっとりと濡れている…
しぃ、今のはしぃだ。
夢にしぃが出てきて欲しいと思った。

でも違う、今の夢は…悪夢だ。

自分で見たのに意味が全然分からない。
でもわかる、悪寒がする。

あれは、良い物じゃなかった。
妖しく、まがまがしくオレの心を締め付ける…

(; ゚∀゚)「はぁっ、はぁっ…なんだ、なんなんだよ…」

呼吸をするのも苦しい…
頭を離れない、光る鬼灯と、笑う…しぃの姿…

108名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:35:26 ID:xPOhyhY.0
(,,゚Д゚)「祭りに告白ぅ!?」

オレが次の祭りに告白したい旨を伝えると、ギコは訝しむようにして言った。

(,,゚Д゚)「何でまた急にそんなことになったんだ…?」

( ゚∀゚)「まぁ、心境の変化って奴かな…多分言った方がいいと思ったんだよ」

(,,゚Д゚)「言った方がってお前」

( ゚∀゚)「いや、わかってる、振られたとしてもって話でな。 なんか、ちゃんと言葉にしないと、わけわかんなくなりそうで…」

(,,゚Д゚)「今も十分わけわかんねーよ」

( ゚∀゚)「いや、そうなんだけど、しぃにも、オレがそう思ってるって分かった上でどう接するか決めて欲しいんだよ」

それを聞くと、はぁ、とギコは短くため息をついて

(,,゚Д゚)「わかったよ。 まぁたしかに、騙してるって訳じゃないけど、下心があるっての隠してるわけだもんな…」

( ゚∀゚)「あぁ、なんかさこういう気持ちって我慢したら、どろどろになって良くない物になる気がしてさ」

(,,゚Д゚)「あぁ…そうだな。 想いなんてため込めばため込むだけ腐っていくんだ…ジョルジュの、言うとおりだよ」

そう言って少しうつむくギコは、少し寂しそうに見えた…

109名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:36:31 ID:xPOhyhY.0
( ^ω^)「おー!りんごあめだおー!」

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっとうるさいっ!はずかしいじゃないの!!」

(; ^ω^)「お、ごめんお…」

ブーンとツンは一緒に来ていたらしい。
ブーンがしきりに『ツンの浴衣可愛いお!今日来て良かったお!』とはしゃぎ回っていたところに出くわしたのだ。
迷惑だと良いながらその実まんざらでもなさそうにしていた、ブーンの鈍感さはある種神がかりだ、と思う。
あとはドクオと残り女性陣なのだが、待ち合わせまで時間があるからと少し屋台を回っていたのだ。

(,,゚Д゚)「しかしツンを見るだに、女性陣は全員浴衣か…」

( ゚∀゚)「こりゃオレらも甚兵衛とか浴衣着てた方が空気読めてたかもしれんね」

(,,゚Д゚)「もってりゃそうだろうけど、持ってないんだから仕方ない」

('A`)「最近は甚兵衛も普通にやっすく売ってたりするもんだし、勝っちまうのも手だぞ」

(,,゚Д゚)「あぁ、それもありかm…ってドクオ!?」

(; ゚∀゚)「音も無く近づいてくるって忍者かよ…」

ドクオ「決して気配を殺していたわけでは無い、元から存在感が薄いだけだ」

(,,゚Д゚)「いや大丈夫、お前自分が思ってるより相当濃い奴だから、な?」

( ゚∀゚)「まったくだ…」

('A`)「なんかそれはそれでとっても失礼な感じじゃない?」

110名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:39:40 ID:xPOhyhY.0
(*゚ー゚)「あ、みんないた」

待ち合わせ場所では、すでにクーとしぃが浴衣で並んで待っていた。
水色と白のグラデーションに、撫子の柄。

あぁ、なんて綺麗な…

(,,゚Д゚)「よく似合ってるな、それ」

(*゚ー゚)「え、あ、ありがとう。なんか恥ずかしいな」

唐突に思い出す。
この二人は幼なじみだ。
ギコはそんなにも話す機会は無いと言っていた。

だが、それが恋と結びつかないとは誰が決めたのだ?
あいつは我慢しているのか?
後から来たオレに、甘んじて場所を譲っているのか…?

決して同じ場所に二つのピースははまらない…

111名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:40:32 ID:xPOhyhY.0
川 ゚ -゚)「どうした、長岡…浮かない顔だな」

(; ゚∀゚)「ん?いや、何でも…何でも無いよ」

川 ゚ -゚)「…」

いや、気のせいだ。
あんな夢を見たからだ。
だって、もしあいつがしぃを好きなら、そうと言えば良かったはずだ。
最初相談したときは、まだオレはそんなにしぃのことを知らなかった。

気を使う必要も無かったじゃないか。
もし気を使われていたのなら…水くさい…そんなことで友情にひびが入るとでも思ったのか。

…思ったのかもしれない。
でももう後には戻れない。

もし、あいつがしぃのことを好きだったとしても…
あいつの気持ちをここまで犠牲にしたのだから…

112名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:41:31 ID:xPOhyhY.0
( ゚∀゚)「…綺麗だな、浴衣」

(*゚ー゚)「わぁ、ほんと?ありがとう」

あいつが隠すなら、オレは気づかないふりをしよう。
もし打ち明けてくれるなら、正面から向き合おう。
今は目の前の、祭りの灯りを受けて笑う少女を、全力で追いかけよう。

(*゚ー゚)「あ、鬼灯」

川 ゚ -゚)「地方の盆は8月だったか」

(*゚ー゚)「あれでね、ご先祖様を迎えたり贈ったりするお花なんだって…
でもね、私思うの。 亡くなった人に何かをするのは亡くなった人のためじゃないんだって」

鬼灯の花が、提灯の光を照り返して、赤く、赤く…

(*゚ー゚)「あれはね、逝ってしまった人を思う、私たちの心を送っているんだって」

あぁ、これは夢なのか、現実なのか。
彼女が一瞬、別人に見えた。

まるで…別人に見えた。

113名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:42:17 ID:xPOhyhY.0
('A`)「クーの浴衣…なんていうか上品で似合ってるな…それ」

川 ゚ -゚)「祖母がね、和装が好きなんだよ。 これは似合う記事を選んでもらったんだ。
私には過ぎた柄かもと思っていたけど、そう言ってくれて嬉しいよ」

( ^ω^)「焼き鳥うめぇおー、ツンちゃん、次はたこ焼き食べるお」

ξ゚⊿゚)ξ「いやよ、あんまり食べたら太っちゃうじゃない」

(; ^ω^)「お…ブーンも太らないように食べる量減らさなきゃだめかお…」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたは別に良いわよ、部活でそれなりにカロリーも消費してるでしょ」

(* ^ω^)「お、そうかおー。 でもツンもテニス部でカロリー消費してるおー」

ξ゚⊿゚)ξ「あぁもう、わかったわよ、ちょっとだけ、ちょっと横からもらうだけだからね!」

(* ^ω^)「おっおっ」

114名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:43:14 ID:xPOhyhY.0
時間が過ぎていく。

空には大輪の花火が上がり、オレたちの顔を一瞬照らしては消えた。

(*゚ー゚)「すごい…綺麗…」

(,,゚Д゚)「この辺だと一番大きな花火だからな」

川 ゚ -゚)「いいな、花火は、美しくも儚い情緒があって」

色とりどりの小玉、きらびやかな大玉、それが次々に空へと上がる。
あぁ、綺麗だな…
花火に照らされて不規則にちかちかと明滅する彼女の横顔。

やっぱり今日言おう。
鬼灯にのせて、オレの気持ちをしぃに送ろう。

振られても、この気持ちの供養にはなるだろう。

( ゚∀゚)「なぁ、しぃ、帰り道、ちょっと話したいことがあるんだ」

(*゚ー゚)「話したいこと?」

( ゚∀゚)「あぁ、二人で話したいこと…」

(*゚ー゚)「…うん、わかった」

(,,゚Д゚)「…」

115名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:44:40 ID:xPOhyhY.0
分かっていたことだ、こうなることも。
だから気持ちをしまった。しまい込んで引き出しに鍵を掛けた。
それでもあふれてしまって、隙間からどろどろと這い出してくる。

見たくなかった。
それでも、目では始終追いかけてしまう。
耳が拾ってしまう。

それは許されない感情なのだけれど…

嫉妬…こんなに醜いものが自分の中にいたのだ。

今花火が照らしているオレは、どんな顔をしているのだろう。
こんな気持ちも鬼灯にのせて、どこかにやってしまえるなら…どんなにかいいだろう…

不規則に色を変える空、まるで今の自分の心のようだ。
ちかちかとしてめまいがする。

116名も無きAAのようです:2014/02/23(日) 06:46:02 ID:xPOhyhY.0
花火が終わった、それぞれの帰路につく。
ブーンはツンの見送り、ドクオは用事があるからと名残惜しそうにして先に帰ってしまった。

(,,゚Д゚)「じゃあオレちょっとコンビニに用事があるから」

川 ゚ -゚)「あぁ、私も買いたい物があったな。 一緒に行こう」

ギコが気を使ってくれている。
クーは、知っているのだろうか…聡い彼女のことだ、分かっていて気を使ってくれているのかもしれない。

( ゚∀゚)「じゃあ、オレ達先に帰ってるよ」

(,,゚Д゚)「あぁ、またな」


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