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( ゚∀゚) 複雑恋模様のようです
1
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:33:58 ID:BMay8K5c0
いくつもの想いが絡み合って
誰もが皆の幸福を願っても
決して叶わないのなら
誰の幸福を望めばいい?
誰が不幸になればいいのだろう…
2
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:34:43 ID:BMay8K5c0
( ゚∀゚) 複雑恋模様のようです
3
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:35:25 ID:BMay8K5c0
家を出てから三軒目。
右に曲がってまっすぐの交差点。
いつもきっかり朝八時。
そこにいつも、彼女はいる。
(*゚ー゚)
姿勢の良い小振りな背中。
少し赤く色づいた頬。
こちらに気づいて、笑う。
(*゚ー゚) 「あ、ジョルジュ君、おはよう」
( ゚∀゚)「お…おう、おはよう」
オレは、彼女に恋をしていた。
4
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:36:22 ID:BMay8K5c0
( ゚∀゚)「…てことで、最近好きな奴ができたんだよ」
(,,゚Д゚)「…」
( ゚∀゚)「なんだよ、変な顔して…聞いてんのかよ!」
(,,゚Д゚)「いや、ちゃんと聞いてるよ…にしてもジョルジュがねぇ。
おまえまた『おっぱいの形が』とか言うんじゃねーだろーな…で、誰なんだ?」
こいつはオレの親友で同じ柔道部のギコだ。
何でも話すが、踏み込みすぎない、特に意見も強要しないし、迎合もしない。
そんな良くも悪くも個人主義なところが居心地が良くて気づいたらつるんでいた。
( ゚∀゚)「お前オレのことなんだと…まぁいいや。
実はな…3組のしぃって奴知ってるか?」
(,,゚Д゚)「あー、しぃなら知ってるぞ。 親が仲良くてな、ちっさい時は良く一緒にいたわ。
ただまぁ、人見知りする奴だったみたいであんまり話した記憶はねーんだけど…
てかジョルジュ、しぃのこと好きなのか? 貧乳に目覚めたか?」
( ゚∀゚)「お前いい加減にしろよ! そういうんじゃねーんだよ!
ていうかお前、しぃと幼なじみなのか…? そいつぁ初耳だ」
ハハハ、悪い悪い、とギコは笑う。
(,,゚Д゚)「まぁ幼なじみといえばそうだけど、言葉の印象ほど親密だったわけじゃないんだよ。
…まぁなんだ、お前にも春が来たかー。 とりあえず頑張れよ、応援してやるから」
( ゚∀゚)「おぉ! ほんと心強いぜ、なんかあったらよろしく頼むわ!」
5
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:37:39 ID:BMay8K5c0
(,,゚Д゚)「しかしまぁ、仲良くなるとか告白がどうのとか、そういうので力になれることはなさそうだけどな」
( ゚∀゚)「ばーか! そういうのは自分で何とかするから良いんだよ、そこまで女々しくねーつもりだからな。
プレゼント選びだとかそういうしょーもない相談に乗ってくれるだけで良いんだよ」
(,,゚Д゚)「おまえ…自分でしょーも無いとか言うなよ」
( ゚∀゚)「いやいや、他人のプレゼント選びとかどうでもいいってのは百も承知だからな。
ただ、そういうのは一人だと意味も無く迷って転けたりするもんなんだよ。 そういう時にちょっと茶々入れてくれればオレはすげー楽になるからさ」
( ^ω^)「二人とも、なにしてるんだお、もうすぐ休憩終わるお!」
('A`)「部長怒らせるとめんどくせーぞ…」
どうも休憩時間が終わるらしい。
部員のブーンとドクオがわたわたと道場の方へ戻っていくのが見える。
( ゚∀゚)「あぁ、悪い、すぐ行くわ! ギコ、いこーぜ!」
(,,゚Д゚)「しゃーねーな、もうひと頑張りすっか」
部長のショボンが号令をかけている、次は打ち込み練習のようだ。
打ち込みはまだいいが、このじめじめした時期に寝技なんかは本当に勘弁して欲しい。
いや、寒い時期ならいいってもんでも無いか…
6
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:38:48 ID:BMay8K5c0
( ^ω^)「今日も疲れたおー」
('A`)「今日は寝技なかったからよかったじゃねーか」
( ^ω^)「でも僕は寝技の方が得意だお」
('A`)「デブ乙」
( ゚∀゚)「デブ得か」
(,,゚Д゚)「デブ得だな」
(#^ω^)「お前らゆるさんお…いつか覚えてろお…」
(,,゚Д゚)「まぁあれだ、よく動いた後は腹が減るってな。
コンビニ寄ってくか」
( ^ω^)「お、いいねー。 アイスとか肉まんとか食べたいお」
( ゚∀゚)「…どういう食い合わせだよそれ…一緒に買うのか? 片方が溶けたり冷めたりしないか?」
( ^ω^)「溶けたり冷める前にいつも食い終わってるからわからんお」
('A`)「デブ乙」
(#^ω^)「(ビキビキ)」
7
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:40:30 ID:BMay8K5c0
(,,゚Д゚)「じゃあオレ達こっちだから」
('A`)「おぉ、それじゃまた明日なー」
( ^ω^)「ハムッ ハフハフ、ハフッ!!」
( ゚∀゚)「(食いながら挨拶してやがる…)」
二人の背中を見送りながら、小声でギコが話しかけてきた。
(,,゚Д゚)「…ところで、あいつらには言わねぇのか?」
( ゚∀゚)「誰にでも言うことでもねーからな」
(,,゚Д゚)「オレには打ち明けたじゃねーか」
( ゚∀゚)「ハッハッハ、言いやすかったのがお前ってだけだよ」
(,,゚Д゚)「褒め言葉なのか? それは」
( ゚∀゚)「おー、褒めてる褒めてる」
(,,゚Д゚)「ま、せいぜい役に立たせてもらうよ」
( ゚∀゚)「そりゃ助かる」
どんな恋愛の達人より、オレにはこいつが心強い。
8
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:41:17 ID:BMay8K5c0
しぃが好き。
あいつはそう言った。
こういう場合どうすればいいのか、考えても考えても『正解』は無かった。
ならば、オレは”親友”の幸せを応援すべきなのだろう。
それが、一番誰もが幸せだと思った。
随分と臆病な話だけど…
(,,゚Д゚)「そういえば」
ほとんど話したことがない、とは言ったが、全く会話がない、というわけでもなかった。
おぼろげに記憶にある当時の様子を思い浮かべる。
(,,゚Д゚)「おめー、ゆめとかねーのかよ」
(*゚ー゚)「わたしは…およめさんになりたいな」
(,,゚Д゚)「へぇ、けっこんしたいのか? だれと?」
そう聞くと、しぃは少し申し訳なさそうな顔をした後、うつむいてこう言ったのだった。
(*゚ー゚)「…おとこらしいひとがいい」
男らしい、か。
今のオレとはまるで反対だと、まどろみのなかでそう思った。
9
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:41:58 ID:BMay8K5c0
( ゚∀゚)「おーす、ギコ」
(,,゚Д゚)「おう、おはよう」
( ゚∀゚)「いやー、今日もギリギリですな」
(,,゚Д゚)「お前も昔は遅かったじゃねーか。
最近朝早いのは、…やっぱ例の件絡みか」
( ゚∀゚)「まぁそうなんだけどよ、笑っちゃうよな。
昔のオレが聞いたら馬鹿にしてること請け合いだぜ。
『好きな子の顔見るために早起き』なーんて」
(,,゚Д゚)「いやいや、そういうもんだろ」
( ゚∀゚)「いや、こればっかりはなってみんとわからんもんだな」
教室の扉が開く。
それと同時に定刻を報せるチャイムが鳴り響いた。
( <●><●>)「ほらほら、席について。 HRをはじめますよ」
今日も一日がはじまる。
10
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:42:45 ID:BMay8K5c0
退屈な授業。
寝てしまうわけにもいかず、授業を真面目に受けるような性格でもなかったオレは、ノートを取りながらしぃのことを考えていた。
よく考えたらオレはしぃのこと何もしらねーんだよな…
好きになった切っ掛けは些細なことだ。
朝、たまたま早起きして、特にやることもなかったから早めに家を出たときのことだ。
例の交差点で、歩く彼女を見かけた。
一目惚れってやつである。
それで、同じ時間ならまた見かけられるかもしれないと、そんな浅ましい考えで早起きをするようになった。
彼女は規則正しく、だいたい同じ時間にそこを通るらしかった。
だからこれはただの憧れで、遠くから花を見ているようなものだったのだ。
あの日、彼女が歩道の縁石で転けるまでは。
11
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:43:25 ID:BMay8K5c0
おもわず駆けよってしまった。
大丈夫か? と声をかけて手を伸ばしてしまった。
(*゚ー゚)「あ…ありがとう。 いたっ…」
( ゚∀゚)「おい、どうした? 捻ったか…?」
(*゚ー゚)「いや、それは大丈夫みたい…」
幸い、捻挫や骨折というわけではなかったみたいだが、よく見るとスカートから除く膝から血が出ている。
普段なら興奮してしまって挙動不審になるのかもしれないが、急な出来事に動転していて逆に冷静になっていたらしい。
( ゚∀゚)「擦りむいてるのか…ちょっと待ってくれ」
そう言って、部活用のタオルで血をふいて、絆創膏を貼った。
この時ほど柔道部だったことを感謝したこともないだろう。
(;゚ー゚)「そんな、悪いです、タオルまで汚しちゃって…」
( ゚∀゚)「いいって、別に」
実際こっちが勝手に世話を焼いたのだから、いいっても糞もないのだが。
( ゚∀゚)「あと、応急処置で絆創膏貼ってるけど、学校着いたら剥がして消毒して貼り直すんだぞ。
ばい菌が入って膿んだらまずいからな」
(*゚ー゚)「ありがとう…ここまでしてもらって…あ、タオル、洗って返します!」
( ゚∀゚)「あ、これはその、部活で汗拭いたりするから…」
12
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:44:31 ID:BMay8K5c0
そうだった、よくよく考えたら汗拭くタオルで血拭いたりと、やっぱり相当動転していたと思う。
部活でも使いづらいし、なによりそんなので傷口拭かれた相手も嫌がるだろう(当然洗ってはいたが)
(;゚ー゚)「それなのに血で汚しちゃって、ごめんなさい…」
( ゚∀゚)「いや、ほんといいって。 オレが勝手にしたことだし、友達に借りたり出来るからさ」
(*゚ー゚)「あ、あの、私1年3組の春日しぃって言います。
もし良かったら、…名前とか」
( ゚∀゚)「あぁ、オレ、1年4組の長岡ジョルジュ」
(*゚ー゚)「えっ!? 同じ学年なの?」
( ゚∀゚)「へ?」
(*゚ー゚)「先輩だと思ってたよ、なんか恥ずかしい…」
( ゚∀゚)「そうなのか…そんなに背も高くないんだけどな」
(*゚ー゚)「私、女子の中でも背が低いから、男子はみんなおっきく見えちゃうな」
( ゚∀゚)「あぁ、そういうもんなのか。
とにかくはやく学校行って保健室行ったほうがいいよ」
(*゚ー゚)「うん、ありがとう。
ジョルジュ君は学校行かないの?」
( ゚∀゚)「え? いやオレも今から学校だけど、そんなサボり魔に見える?」
(*゚ー゚)「だって、学校行くんだったら、一緒に行けばいいのになと思って…」
13
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:45:11 ID:BMay8K5c0
( ゚∀゚)「あー、そうか…いや、でもお前、いきなり男と二人で登校とか迷惑かかるんじゃないか?」
(*゚ー゚)「なんで?」
( ゚∀゚)「なんでってそりゃ…お前…」
(*゚ー゚)「…あっ!そういう…ひょっとしてジョルジュ君、彼女とかいて、私と一緒に居るとまずい?」
( ゚∀゚)「は? いや、オレは全然そんなのいねーし問題ねーけど」
(*゚ー゚)「じゃあ、私もだから大丈夫だ」
( ゚∀゚)「あー、そうか、じゃあ学校まで一緒に行くか」
(*゚ー゚)「うん!」
憧れが恋に変わった瞬間だった。
14
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:46:15 ID:BMay8K5c0
そういう経緯があって、しぃとは登校の時間がかぶると、下足箱まで一緒に行くというちょっとしたつながりが出来た。
しかし、よく考えてみればオレが知っている彼女とは『交差点から下足箱まで』というたったそれだけなのだ。
何が趣味で、何の部活をしているのか、得意な科目は、友人関係は?
そういった事柄に関しては全く触れていない。
そんなに深く知りたがるのもストーカーじみているようで気が引けてしまうし、自分の好意にそれらの情報は何ら影響を及ぼさない気もしたのだ。
いや、より好きになることはあるかもしれないな。
自分は随分と恋に当てられているようだ。
15
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:47:29 ID:BMay8K5c0
( ゚∀゚)「まぁでも、部活ぐらいは知りたいわけよ」
(,,゚Д゚)「聞けばいいじゃねーか」
( ゚∀゚)「なんかさー、オレってそういうの聞き出すのって得意じゃないみたいなんだわ」
(,,゚Д゚)「逆に普段登校中何話してるんだよ…」
( ゚∀゚)「今日も暑いね、とかしぃが言ってきて、そうだなー、って言って終わる感じだな」
(,,゚Д゚)「うわぁ…」
弁当を食う手も止めて露骨に残念そうな顔をするギコ。
なんだよ文句あんのか? あるか。そりゃそうだ。
( ゚∀゚)「お前相手にしてるのと違うんだよ、もういっぱいいっぱいなの!」
(,,゚Д゚)「へーへー、わるーござんしたねー、話しやすい奴で」
と、ギコは茶化すように言った後、しばらく考え込んでから、急に真面目になってこう言った。
(,,゚Д゚)「…オレが居れば話できるんじゃないか?」
と。
16
:
名も無きAAのようです
:2014/02/21(金) 21:48:12 ID:BMay8K5c0
考えた。
それだけは言うべきでは無いのかもしれないと。
自分がそこに絡むのは良くないのかもしれないと。
それでも、自分が自制しさえすれば、切っ掛けになるのでは無いか。
この、要領の悪い親友を助けることが出来るのではないか。
だから…
(,,゚Д゚)「…オレが居れば話できるんじゃないか?」
オレは、そう言ったのだった。
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