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(´・ω・`)【宣伝】バーボンハウスのようです

17名も無きAAのようです:2014/01/02(木) 19:21:47 ID:gHkC5.kg0
 注がれた酒の、嗅ぎ慣れている匂いと色に、男は眉を顰めた。
ビール…普段から缶を買い占め、浴びるように飲んでいたものだ。


 麦芽を酵母で発酵させた、黄金色の液体。
このバーには、とても似つかわしくない匂いが、辺りに漂い始める。
意外と強い独特な香りに、男は顔を顰めた。

 溢れそうな白い泡が、音を立てて消えていく。
やつれた男の顔が、グラスに透けて映った。

 こんなもの、と言おうとした男に、バーテンダーは静かに尋ねた。

(´・ω・`)「本当に、これは君が飲んでいた酒かい?」

 どうしてと問うことが、男には出来なかった。
重石が乗ったような、息苦しさが、言葉を閊えさせているのだ。

 やがて、はっと息を飲み、男は顔を上げた。
己がこの酒を、嫌っているということに気がつく。
そうでなければ、こんなに苦く、嫌な気持ちにはならないと。

 しかし、何故、こんなにも嫌っているのだろうか?
見れば見るほど、寧ろ吐き気を覚える。
この色を見たくない、この匂いを嗅ぎたくない、味わいたくない。

 酒の中でも、最も簡単に、かつ安価で手に入るビールは
大衆に好まれて飲んでいるのだ、社会人の己が嫌っては
上司や同僚との付き合いにも、困るのではないか?

 そうだ、それでは、己が浴びるように飲んでいた酒は、何なのか。
確かに、缶を買い占めた記憶があるのだが、思い違いか。
それともあれは、夢の中の出来事だったのだろうか?

 様々な疑問を、男は目を閉じ、深呼吸して、少しずつ整理していった。
これほど嫌うからには、相応の理由があるのだ。
そして目の前の幼馴染は、それを知っていて提供している…はずだ。

 バーテンダーの視線は、燐憫の色を含みながら男を見ていた。


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