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【祝福祭り】ブーン系創作板クリスマス・短編投稿祭
1
:
◆6jiCjk8pbE
:2013/12/10(火) 22:27:15 ID:a.TRkVsQ0
クリスマスを創作板で過ごすあなたに、祝福を
クリスマスシーズンの短編祭を開催します。
鬱祭なんて忘れろ!今年は祝福だ!
【祭テーマ】
祝福
【特設サイト】
ビッグ・ホール(
https://sites.google.com/site/bigguhoru/home)
【タイムテーブル】
『宣伝』 予告期間(〜12/22 12:00)
『本祭』 作品投稿期間(12/22 19:00〜12/25 23:00)
『後夜祭』 感想投稿期間(12/26 0:00〜12/27 23:00)
企画詳細に関しては特設サイトをご参照ください。
不明な点がありましたら主催者までメールでご連絡ください。アドレスはサイトに掲載しております。
※12月10日より主催様から◆6jiCjk8pbEへ祭り進行及びサイト管理が譲渡されました。
お間違いないの無いように周知お願いします。
一応の前スレ(削除依頼済)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1384173121/
86
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 18:23:01 ID:ghaFSELE0
因縁やつの単発の多さは異常
あっ(察し)
87
:
◆6jiCjk8pbE
:2013/12/23(月) 18:35:17 ID:.YtBGrbQ0
スレの流れを見た印象では、十分絵祭りの開催は難しいと判断しました
ですので、独断ですが祝福祭り内の十分絵祭りは中止とさせていただきたいです
楽しみにしていらした方々、絵祭り主催者さんには申し訳なく思います
祭りの主役は投下された作品と、作者さんです
ここでの内容はそれに順したものであることを望みます
祝福祭り主催を引き継いだ者としては以上です
不快に思われた方はすみません
88
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 18:45:02 ID:vSERMomM0
了解です。
じゃあやらないということで。
89
:
fuzzy
◆foeF4/cEvk
:2013/12/23(月) 18:50:48 ID:fHXol3Yk0
すみません。
流れを見ていたら不安になってきました
今回予告させて頂いた「ファジーガールのようです」は投下を取りやめたいと思います
今回はROMに徹します、ありがとうございました
みなさん頑張ってください
90
:
fuzzy
◆foeF4/cEvk
:2013/12/23(月) 18:51:55 ID:fHXol3Yk0
とりみす…?
91
:
fuzzy
◆foeF4/cEvk
:2013/12/23(月) 18:53:46 ID:fHXol3Yk0
ああ…なんということだ…もういいやモンハンしよ…
92
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:03:28 ID:1cXiWiWo0
>>89
93
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:05:17 ID:1cXiWiWo0
ひいいごめんなさい上のはミスです、気にしないでください
>>89
予告見て楽しみだったのに残念です…いずれどこかで見てみたいものです
さて、やっとこさ書き終わったので空気を読まずに投下します、長いです
94
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:06:06 ID:1cXiWiWo0
ここは、どこだろう。
一見、学校の教室。
しかし、生徒どころか、机もイスも教卓も、黒板でさえも見当たらない、がらんどう。
なんとなく左を見てみると、カーテンから淡い光が漏れていた。
この何もない教室に、黄色い薄汚れたカーテンだけがかかっているのは、どことなく滑稽で、哀れなように思えた。
私は、カーテンを開け、その光の正体と対面しようとする。
黄色い布の向こうに窓がある、というそんな当たり前のことにも安堵を覚えた。
しかし、そこから見える景色は、存在しなかった。
ただただ、まばゆい光で満たされるばかりだった。
川 ゚ -゚)さみだれホワイト夢めぐりのようですo川*゚ー゚)o
.
95
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:06:56 ID:1cXiWiWo0
「すまない、待たせた」
光の中立ち尽くしていると、後ろから声が聞こえた。
とっさに振り向く。
川 ゚ -゚)「久しぶりだな」
女の人がひとり、机に足を組んで座っていた。
ついさっきまで、机なんてどこにもなかったんだけど。
自分で持ってきたのだろうか。
川 ゚ -゚)「ああ、きみの分を忘れていたようだ」
彼女がそうつぶやいた瞬間、わたしの目の前にイスが現れた。
川 ゚ -゚)「座りたまえ」
別に反抗する理由もない。
急にイスが現れたことに驚きはしたが、わたしは黙ってイスに腰をかけた。
わたしは彼女がこの状況を説明してくれることを期待した。
しかし、
川 ゚ -゚)「もう事情はわかってくれただろう、今から改めて話すことも特にない、まあ少し休んでいろ」
彼女の口から出たのは、わたしの望んでいたものとは違った。
事情とは何なのか、わたしは何も聞いちゃいない、どうしてここにいるのかも知らない。
思わず溢れ出る疑問が声となる……はずだった。
声が出ない、どころか、唇が動かない。
ざわり、と不安が湧き上がる、しかしその不安もからだの動きとして表に出ることはない。
まるで、このからだはわたしのものじゃないみたい。
.
96
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:07:49 ID:1cXiWiWo0
足元で何かが動くのを感じた。
反射的に下を見る。
そこにあったのは、古びたピンク色のガラケー。
気になって手を伸ばそうとするが、またしてもわたしのからだは思ったように動かなかった。
しかし、今回はこのからだに不安を覚える余裕はなかった。
不意に、そのケータイが動いたのだ。
その動きは、大型の甲虫を彷彿とさせた。
思わず悲鳴を上げそうになるが、声が出ることはない。
どうしようもなくなって顔を上げると、机の上の彼女もケータイ虫を見つめていた。
川 ゚ -゚)「……ふむ、そろそろか」
彼女が立ち上がる。
赤、青、黄、ベージュ……色とりどりの無数のケータイ虫が床をうごめく。
彼女がわたしをじっと見つめる。
大きく開いた文庫本が、鳥のように空を飛ぶ。
彼女がわたしに向かって開いた手のひらを差し出す。
床に転がったたくさんのあめ玉が、とりとめなく色を変えてゆく。
かちゃり、とわたしの腰から金属音がする。
ふわふわ浮かぶおりがみが、ひとりでにちぎれて紙吹雪を散らす。
少し視線を下に落とす。
うさぎりんごがわたしの肩を飛び跳ねる。
どうやらそこにあるのは日本刀らしい。
赤ペンが壁に丸印をたくさんつけている。
川 ゚ -゚)「それで、斬るんだ」
彼女の体を無数のポップコーンが這い回る。
川 ゚ -゚)「救われたいのなら、斬るんだ」
安っぽい表彰状から、安っぽい鳳凰が飛び出す。
わたしは、小さく、しかし力強く、うなずく。
かわのせせらぎ。しずむゆうひ。
川 ゚ -゚)「それでいい」
ざーざー、ざーざー。
川 - )「それで、大丈夫だ」
ざーざーざー、ざーざーざー。
.
97
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:08:46 ID:1cXiWiWo0
音が弾ける。
ケータイ虫が、まっぷたつになる。
文庫鳥が、撃ち落とされる。
あめ玉は、粉々に。
折りがみは、袋にしまって。
りんごのうさぎは、フォークに刺されて息絶える。
赤ペンが壁に大きなバツをつけて、消える。
弾けるポップコーン。
燃え上がる鳳凰もどき。
きえるせせらぎ、きえるゆうひ。
ざーざー、ざーざー。
ざーざーざー、ざーざーざーざー。
外は、雨なのか。
いつの間にか足もとに散らばっていた鏡の破片。
その一つをのぞきこむと、
o川*゚ー゚)o
見覚えがあるようなないような、長年親しんだようなそうでないような顔と、目が合った。
.
98
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:09:30 ID:1cXiWiWo0
* *
場面が変わる。
ポップな色使いの、二階建てのたてものが正面に見えた。
o川*゚ー゚)o「幼稚園……?」
いかにもといった感じの幼稚園。
わたしが昔通っていたりしたのだろうか。
o川* − )o(斬る……って、何を、だろう)
幼稚園で、何を斬れというのか。
o川*゚ー゚)o(まあ、もしかしたら、おっそろしいモンスターとかがいるのかもしれないし……?)
刀を、握る。
不思議と、構えは自然とできた。
軽く、中の様子を伺う。
園児の数の割には、静かだった。
o川*゚ー゚)o「おじゃましまーす……」
一応声をかけて中に入るが、誰もわたしに気づく様子はない。
どうやら集会で、表彰めいたことをしているらしい。
幼稚園の先生らしき人と、一人の園児がみんなの前に立っている。
「――ちゃんは、―――の――、――が、とてもすばらし――たので、この――を、」
先生が何かを言っているようだが、あまりよく聞こえない。
集団との距離を、つめる。
きらりと輝く、きんいろのおりがみでできたメダルが、園児に手渡されるのが、見えた。
瞬間、わたしは駆け出していた。
助走をつけ、その他大勢のこどもたちを飛び越え、二つの人影の間に、着地。
たった今、その園児に渡されたばかりのきんいろのメダルを、捉える。
刀を抜く、構える。
メダルを真っ二つに、斬り裂く。
.
99
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:10:17 ID:1cXiWiWo0
それを斬った瞬間、その園児は、こどもは、かのじょは。
川゚ -゚)
こちらをみつめて。
川゚ー゚)
確かに、笑っていた。
.
100
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:11:01 ID:1cXiWiWo0
* *
マンションの一室、居間。
夜の7時。
とある家族のだんらんの場面らしい。
その中の、ひとりの女の子。
川゚ -゚)
o川*;゚ー゚)o(あの子だ……)
よくよく見ると、テーブルにはワンホールのケーキ。
あの女の子には見えない位置に、プレゼントの包みもある。
o川*゚ー゚)o(誕生日、なのかな……?)
しかしそれにしても、彼女は楽しそうでない。
無表情のまま、足をぶらぶらさせている。
主役は彼女ではないのだろうか。
と思った瞬間、お母さんらしき人が、例のプレゼントをその女の子に差し出した。
やはり、誕生日なのは、彼女のようだ。
大股で近づき、わたしはプレゼントを刀で突き刺した。
* *
また先ほどの家族のようだった。
遊園地、楽しげな雰囲気。
しかし、そこでも、
川゚ -゚)
彼女は笑おうとしなかった。
そしてわたしは、彼女のお父さんが買ってくれたばかりのポップコーンの箱を斬った。
空中に散らばるポップコーンを見て、やっぱり彼女は笑っていたような気がした。
.
101
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:11:47 ID:1cXiWiWo0
* *
また、情景がかわる。
薄暗い、学校の廊下。
カラフルな色彩を視界の端に感じ、壁に目を向ける。
どうやら、生徒の作品が飾られているらしい。
いかにも子どもらしい、思い切った構図と色合いに、無邪気な感情。
『いつからわたしは、こんな絵を描けなくなったのだろう』
歩き、それらを眺めながら、ふっとそんな気持ちが浮かんだ。
足が、止まる。
ひとつの絵から、目が離せなくなる。
わたしは、静かに腰へ腕を伸ばした。
そこから先は、いつもどおり。
* *
どこかの病室のようだ。
ベットで女の人が、半身を起こしている。
ベッドの横には、セーラー服姿の女の子が、ひとり。
川 ゚ -゚)
彼女だ。
ベッドの上の女の人は、彼女のお母さんだろうか。
二人は会話をしているようだったが、声は全く聞こえない。
しばらく待っていると、どうやら話が一段落したらしい。
彼女が、自分で持ってきたリンゴを手にとった。
わたしは、自分が警戒されることはないともう気づいていたから、遠慮なく歩みを進める。
刀を抜き、彼女の手の中のリンゴだけを、突き刺す。
そして大きく刀を振り、リンゴを空中に浮かせてから、斬った。
彼女はやっぱり笑っていたけど、どこか違和感を感じた。
.
102
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:12:34 ID:1cXiWiWo0
* *
また学校だった。
なんだか見覚えのある教室の中、前方の扉寄り。
わたしはそこに立っていた。
休み時間なのだろう、セーラー服をきた生徒たちが笑い合っている。
こちらへ向かってくる人影が見えたので、わたしは反射的にそれを避ける。
川 ゚ -゚)
たった今、扉を開けて教室の外へ出ていったのは、例の彼女だった。
彼女が引き戸を閉めた瞬間、教室の空気が変わった。まさしく文字通り。
重苦しい、鈍色の空気がたちこめる。
先ほどまで笑顔を浮かべていた女生徒たちの顔も、醜悪なものになっている。
「いっつもどおりウゼー」
「調子のりすぎ、マジ消えてほしい」
「アレもどーせズルしたんでしょ」
「ほんと、――ちゃんの―――だからってさー」
「そーそー、だからあんまりあからさまにもできねーし」
「気持ち悪い」
「カス」
「人間のゴミ」
「死ね」
「――――」
「――!―――――」
.
103
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:13:23 ID:1cXiWiWo0
伸びた爪、尖ったシッポ、曲がったツノ、きらめくキバ、つりあがった目。
彼女たちは、まるで悪魔のような姿へと変貌をとげていた。
o川*゚ー゚)o「カバン……、カバンを、探さなきゃ」
まどぎわ、前からよんばんめ。
そこの机に置いてあったカバンの中身をぶちまける。
たくさん詰めてあったぐしゃぐしゃの紙くずから、目的のものを探す。
ケータイを斬った。
かわいいカバーのついた文庫本を斬った。
でも、どっちも違う。
o川*゚ー゚)o「どっかにあるはず、絶対」
ケタケタ、と下卑た笑い声が聞こえる。
机を叩く音、引っ掻く音。
o川*゚ー゚)o「あった……」
わたしが見つけ出したそれは、大きく『100』と書かれたテスト、10枚くらい。
当たり前のように、まとめて斬った。
川 - )
扉のガラスの向こう側の彼女の表情が、わたしによく見えることは、なかった。
.
104
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:14:05 ID:1cXiWiWo0
* *
最初に目に入ったのは、青空へと登ってゆく煙だった。
周りを見渡すと、誰もが黒っぽい服装をしている。
「かわいそうに……―――さんだけじゃなく、―――さんまで……」
ひそめた声での会話が聞こえる。
別の方向を見ると、ブレザーの制服が視界に映った。
川 ゚ -゚)
いつもどおり、彼女だ。
親戚らしきおばさんに話しかけられている。
そのおばさんが去ったあと、彼女の手には紙に包まれたアメがあった。
包み紙を開けようとするその手を、わたしは左手に握った刀の鞘ではたき、アメを空中に落とす。
右手に握った刀で、それを斬る。
地面に、包み紙がくっついたままのアメが、ふたつ落ちる。
その横に、ぽつりぽつりと二つの点ができた。
.
105
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:14:48 ID:1cXiWiWo0
* *
足元に、ふわりとした感触。
床には、分厚いじゅうたん。
高い天井や、大理石の壁から察するに、ホテルのようだ。
わたしは目の前にあった大きな扉を押し開けた。
扉の向こうには。
川 ゚ -゚)
いつもどおり、見慣れた顔。
その身に纏う真っ白なウェディングドレスが、傍らの姿見が反射した光を浴び、煌く。
川 ゚ -゚)「……どうだ、綺麗か?」
うん、とっても綺麗、綺麗だよ、でも、それを言うべきは私じゃない。
川 ゚ -゚)「ありがとう、きみは本当に優しいやつだ」
やめてよ、そんなこと言わないで。
川 ゚ -゚)「やめない。
だから、わたしを斬るんだ」
いやだ、いやだ、違う、私が斬りたいのは、あなたじゃないんだ。
だから。だから、私は。
o川* ー )o「さようなら」
そう呟いて、刀の切っ先を私の胸へ向けた。
そして。
.
106
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:15:32 ID:1cXiWiWo0
川 ゚ -゚)「やめろ」
彼女が、私の手から刀を払う。
私の相棒は大きく回転しながら、姿見へと吸い込まれてゆく。
鏡の割れる音。
川 ゚ ゚)「斬るべきなのは」
彼女が鏡の破片を踏みしめ、落ちた刀に近づき、それを拾い上げ、
o川 ゚ ゚)「わたし」
数十秒前の私と同じ格好で、彼女が刀を自分に向ける。
o川 ゚ー゚)o「わかってるはずでしょ」
o川*゚ー゚)o「おねえちゃん」
彼女が、私になっていた。
それならば、私は何だというのか。
足元に転がっている一際大きな鏡の破片を、覗き込む。
川 ゚ -゚)
そこに映っていたのは、幼稚園で、遊園地で、病院で、教室で、火葬場で見た、あの顔。
なんということだ。
私は、彼女だったのか。
暫し、呆然とする。
o川*゚ー゚)o「さよなら」
しかし私は、彼女の言葉によって動かされた。
姿見の残骸に目もくれず、彼女の腕を掴む。
川 - )「嫌だ、違うんだ、やめてくれ」
私の望んだことは、こんなことじゃない。
o川* ー )o「……」
ごとん、とも、からん、ともつかない、何かが落ちる音が響いた。
o川* ー )o「ごめんね、おねえちゃん」
.
107
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:16:25 ID:1cXiWiWo0
o川 ― )o「わたし、間違えてた、だって」
川 ; -;)
o川*;ー;)o「おねえちゃん、泣いてるんだもん」
.
108
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:17:27 ID:1cXiWiWo0
* *
真っ赤な夕焼け、煌く水面。
o川*゚ー゚)o「懐かしいね」
そうだ、ここは初めてキュートと家出した時に来た、ちょっと遠くの河原。
川 ゚ -゚)「あの日は、確かクリスマスイブだったな」
o川*゚ー゚)o「そーそー、お母さんとしょーもないことでケンカしてさ、
こんな悪い子のところにサンタさんは来ませんからね、なーんていわれちゃって」
川 ゚ -゚)「キュートはずっと泣いてたな、サンタさんが来ないのやだ、って」
あの時、どうして母さんとケンカなんてしたんだろう。
まあ、思い出せないほどくだらない理由だった、というわけか。
o川*゚ー゚)o「そんなわたしを見かねて、クー姉が言ったんだよ」
川 ゚ -゚)「……素直に謝ればだいじょうぶだ、絶対にサンタさんは来る、ってな」
私たちはその時のように、川に向かい、二人並んで座った。
川 ゚ -゚)「すまんな、キュート」
川 ゚ -゚)「やっと、全てを思い出したんだ」
.
109
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:18:12 ID:1cXiWiWo0
キュートは私の双子の妹で唯一の肉親だ。
父親は私が小学生の頃に事故で死んだ。母親は、私が中学校に上がった頃に病に倒れ、高校生の時に死んだ。
キュートは小さい頃から、活発で、真っ直ぐで、人見知りのしない、誰にでも好かれる女の子だった。
私の性格は、それのまるっきり反対。
不愛想で、引っ込み思案で、暗い。
友達なんて数える程、親友と呼べる人間など、キュートを除けば全く存在しない。
小学校、高校では、周りに距離を置かれるくらいだったが、中学校では、かなりの陰口を叩かれた。
幸い、人気者のキュートと同じ学校だったから、表立ってひどいことをされることはなかったのだが。
勉強ができるという取り柄はあったが、いくら良い成績をとっても虚しさが残るばかりだった。
高校を卒業し、大学を卒業し、就職をした。
それでも二人暮らしが続いていた。
そしてある日、キュートから、結婚すると告げられた。
頭の中が真っ白になった。
キュートは、私の妹で、家族で、親友だった。
いつでも、一緒だった。
キュートを、私の手から奪われる。
そこまで思いを巡らせて、寒気がした。
私はここまで、同い年のきょうだいに、依存していたのか。
呆然としていると、カレンダーが視界に入った。
そういえば、月が変わったばかりなのに、まだめくっていなかった。
先月のカレンダーの下から現れたのは、今年最後のカレンダー。
そこで、何を思ったのか、私は。
あろうことか、サンタさんにお願いをした。
『一から全てをやり直したい』、と。
.
110
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:18:57 ID:1cXiWiWo0
* *
ざーざー、ざーざー。
o川*゚ー゚)o「それで、おねえちゃんは、『周りとの記憶を繋がり』を斬ろうとしたの?」
私がその言葉に頷くと、キュートは大きく溜め息をついた。
o川*゚ー゚)o「おねえちゃん、成績は良いけど、実はケッコー馬鹿でしょ」
いつの間にか、また場面が変わっていた。
最初の、何もなかったあの教室。
今は教室の中央に、椅子と机が二つずつある。
一つの椅子に、キュートが座る。
私は、座らない。
机に手を当て、少し体重をかけて立つ。
川 ゚ -゚)「要はリセットをしたかったんだ」
o川*゚ー゚)o「でも、死ぬのは怖かった?」
ざーざー、ざーざーざー。
川 ゚ -゚)「その通り、情けない話だ」
o川*゚ー゚)o「でも、そのおかげで、わたしはおねえちゃんを助けられたんだよ、多分」
川 ゚ -゚)「ふむ、今までに出てきた『素直クール』は全てキュートだったのか?」
o川*゚ー゚)o「んーん、ちがうよー。わたしだったのは、最後のドレス着てたのだけ。
それまでは、おねえちゃんのことをなんか、こう、そばから?みてるだけ?みたいな……。
えーっと、そーゆーの、なんていうんだっけ」
川 ゚ -゚)「傍観か?」
o川*゚ー゚)o「そーそー、それ、傍観。
で、なんかね、このままじゃいけない、おねえちゃんを助けたい、って思ったら、あそこにいたの」
川 ゚ -゚)「……むう、不思議なこともあるもんだ」
.
111
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:19:47 ID:1cXiWiWo0
o川*;゚ー゚)o「いやもうサンタさんにお願いとかしてる時点で……しかもそれ叶っちゃってるし」
ざーざーざー、ざーざーざー。
川 ゚ -゚)「そういえば、これは、今のこの世界は、夢でいいのか?」
o川*゚ー゚)o「そーじゃないかな……そう思ってたほうがいいよ、たぶん」
ふと手元に視線をやると、長い袖が目に入った。
川 ゚ -゚)「おや、今は冬か」
o川*゚ー゚)o「……?そりゃあそうでしょ、サンタさんの季節なんだし」
よくよく見ると、私たちは裾が長めのコートを着ている。私は灰色、キュートはピンク色。
当たり前のことが目に入らない、これもまた夢の特徴か。
川 ゚ -゚)「いや、なんだかやたらと雨が降っているから、梅雨時かと」
o川*゚ー゚)o「ああ、それなら、これのことじゃないかな」
そうキュートが言った瞬間、教室に大量のテレビが現れた。
幼稚園、家族、遊園地、小学校、病院、クラスメイト、火葬場……そして、夕暮れの河原。
懐かしいブラウン管や、真新しい液晶画面に、色々な場面が写っては、砂嵐が合間に流れる。
川 ゚ -゚)「……ああ」
o川*゚ー゚)o「ね?」
ざーざー、という音は、砂嵐の音だったのか。
川 ゚ -゚)「いや、どうやら早とちりのようだったな」
o川*゚ー゚)o「……? どーゆーこと?」
川 ゚ -゚)「『途切れがちに続いてゆく夢』と、『五月雨』に関連性を見出していたのだがな」
o川*゚ー゚)o「え? さみ、なんて?」
川 ゚ -゚)「いや、こっちの話だ」
o川*;゚ー゚)o「こっちってどっち?!」
教えて教えてとしつこくせがむキュートを,、軽くいなす。
o川*゚ー゚)o「……うー、やっぱりよくわかんないけど
……途切れがちに続くってのは、なんかあれだね、人生に似てる」
.
112
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:20:32 ID:1cXiWiWo0
川 ゚ -゚)「は?」
o川*;゚ー゚)o「うわわ、ちょっとあんまり怖い顔しないでよう……。
えっと、あれだよ、幸せ、とか不幸、ってさ、そんなにずーっとつづいていくわけじゃないじゃん?」
o川*゚ー゚)o「いいことがあって、わるいことがあって、それでふつうのこともいっぱいあって……、
ていう感じの意味のことわざ? みたいのがあったような……」
o川;*゚ー゚)o「……なんだっけ、えーと、たしかうまがどーとか……、なわがどーたら……」
川 ゚ -゚)「……『人間万事塞翁が馬』と、『禍福は糾える縄の如し』、か?」
o川*゚ー゚)o「あーそうそう、そんな感じの、『バンジーの縄は猛々しい』ってやつ」
川 ゚ -゚)「言ったそばから全然違うんだが」
o川*゚ー゚)o「いや、まあ、話はそれちゃったけど、よーするに、おねえちゃんにはこれからいっぱいいいことあるよ!!
……ってことが言いたかった」
川 ゚ -゚)「慰め文句がありがちすぎるな」
o川*;゚ー゚)o「む、むう……だってそうとしかいいようがないんだもん……。
おねえちゃんと仲良くなりたいって思ってるひと、実は結構いるんだよ……?」
川 ゚ -゚)「……む」
川*゚ -゚)「……いや」
川*゚ -゚)「それが良いこととは……限らない、だろう」
o川*゚ー゚)o「いやもうおねえちゃん笑っちゃってるもん、ごまかせてないもん」
私は、自分の頬に触る。
川 ゚ -゚)「……私は、笑えていたのか?」
o川*゚ー゚)o「え?あー……うん、さっきは」
川 ゚ -゚)「ふむ、そうか、ではさっさと戻ろう」
.
113
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:21:17 ID:1cXiWiWo0
o川*゚ー゚)o「え?
……もどる?」
川 ゚ -゚)「……?
いや、そのままの意味だが……目的は達成したんでな、さっさと戻ろう」
o川*;゚ー゚)o「え?! いやちょっと待ってよまさか……笑う? おねえちゃん、笑いたかったの?」
川 ゚ -゚)「全くもってその通りだが」
o川*;゚ー゚)o「いやいやおねえちゃん別に普段全然笑わないとかじゃないし、
なんか笑ってたじゃん最初の方」
川 ゚ -゚)「ああ……いや、もし繋がりを斬ってゆく中で笑えたら、もうちょっと頑張ろうと思っていたんだ。
あと最初のあれは私であって私じゃない、記憶の中の私みたいなそんな感じ」
o川*;゚ー゚)o「急にあいまいだよう……おねえちゃん、めんどくさくなってきてない?」
私であって私でない。
ふむ、我ながらなかなか良い言い回しではないか。
そうすると、最初私がキュートの姿をとっていたのは、『繋がりを斬る』ということを、
他の誰でもない、私の妹自身にやってもらいたかった、という願望の現れか。
o川*゚ー゚)o「ていうかそもそも、どうやって帰るつもりなの」
川 ゚ -゚)「むー……あー、いや、夢は夢らしく頬をつねるとか……。
ん?」
o川*゚ー゚)o「え、どうしたの?」
川 ゚ -゚)「いや、なんだか急に冷えだしたなと思ってな」
o川*゚ー゚)o「あー、それもそうだね……。
あ、もしかして」
川 ゚ -゚)「?」
o川*゚ー゚)o「いや、おねえちゃん、ちょっとカーテン開けてみなよ」
.
114
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:22:08 ID:1cXiWiWo0
* *
ξ゚⊿゚)ξ「全く…、ホワイトクリスマスに式を挙げることになるなんて」
( ^ω^)「おっおっ、ロマンチックで素敵だおー」
ξ゚⊿゚)ξ「キュートちゃんはいいけど、あいつがロマンチック、ねぇ」
<ガシャーン
<ウ、ウワーカガミガー!!
<アアモウ、シンロウサマハソコデジットシテテクダサイ……
ξ;゚⊿゚)ξ「……あーもう」
( ;^ω^)「早速やらかしてるお」
<ガチャ
(^ω^ )「おっ?」
( ;´_ゝ`)「あーひどい目にあった……」
ξ゚⊿゚)ξ「ひどい目もくそも、どうせあんたのせいでしょうに」
( ´_ゝ`)「ギクゥ」
( ^ω^)「口で言うなお」
ξ゚⊿゚)ξ「キュートちゃんはまだ中なの?」
( *´_ゝ`)「そうだぞーもう反則的なまでにきれいかわいいんだからなー覚悟しとけー」
( ^ω^)「いやーそれにしても、兄者があのキュートちゃんとゴールインするなんて、びっくりだお」
ξ゚⊿゚)ξ「ホントよ全く、こんなのどこがいいのかしらねぇ」
( ´_ゝ`)「おまいさんそれを言うならこのピザ男くんと結婚したあなたも大概ですぜ」
ξ゚⊿゚)ξ「は? ブーンとあんた一緒にしないでくれる? ブーンは世界一素敵な私の旦那よ」
( //ω//)「おっおっ……ツンやめるおーてれるおー」
( ´_ゝ`)「のろけめ」
.
115
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:22:55 ID:1cXiWiWo0
o川*゚ー゚)o「あれ? もうふたりとも来てたの?」
( *^ω^)「おーキュートちゃんだおー、ドレスきれいだおー」
ξ*゚⊿゚)ξ「うわー……やっぱり素敵ね」
o川*゚ー゚)o「ふふふー、ありがとー」
( *´_ゝ`)「そうであろうそうであろう、なんてったって俺の嫁さんは世界一だからな!!」
o川*゚ー゚)o「ところでわたし、こないだのデパ地下のマカロン、また食べたいなあ……一ダースくらい」
( *´_ゝ`)「おう、もういくらでも買ってくるぞ!!」
o川*゚ー゚)o「ついでにさっき壊れた姿見の請求書もあげる」
( *´_ゝ`)「構わん構わん、どんときやがれ!」
ξ;゚⊿゚)ξ(恋は盲目……)
ξ゚⊿゚)ξ「……ん?」
川 ゚ -|┬┴┬┴
ξ゚⊿゚)ξ(誰かしら…すごいこっちみてる)
o川*゚ー゚)o「あ、おねえちゃん!」
ビクゥΣ川;゚ -|┬┴┬┴
川;゚ -゚))))) |┬┴┬┴ ススス
( ^ω^)「あ、もしかして、例のキュートちゃんの双子のお姉さんかお?」
川;゚ -゚) ア、ハイ……ドウモ……
( *´_ゝ`)「クーちゃん久しぶりー、ご挨拶に行ったとき以来だね」
( ^ω^)「僕らははじめましてだおー」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね、はじめまして。私がツンで、こっちがブーン」
.
116
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:23:44 ID:1cXiWiWo0
( ´_ゝ`)「いやー双子なのにおねえちゃんと呼んでもらえるなんて羨ましい限り……
俺の双子の弟なんてもう生意気生意気」
( ^ω^)「それでも、『おにいちゃん』なんて呼ばれた日には?」
( ´_ゝ`)「全力で殴る、気持ち悪い」
( ^ω^)「ですおねー」
<ソロソロフタリトモ、ジュンビオネガイシマース
o川*゚ー゚)o「あ、もうこんな時間?」
( ^ω^)「僕らもそろそろ行くおー」
( ´_ゝ`)「だなー……って、お? クーちゃん、どうした?」
川;゚ -゚)「エ、えーっと、あの……」
川 ゚ -゚)「……兄者さん、キュートのこと、宜しくお願いします」
川*゚ -゚)「私の大事な、自慢の妹なんです」
o川*゚ー゚)o(……)
( *´_ゝ`)「おうっ、任しとけ!」
川*゚ -゚)「……ありがとう、ございます」
<スミマセーン!ジカンオシテマース!!
( ;´_ゝ`)「うぉっと、そろそろやばいな」
o川*゚ー゚)o「……。
ごめん、ちょっと三人とも先行っててくれる?」
( ;´_ゝ`)「え、あーまあ良いけどなるべく早くねー!」タタタ……
川 ゚ -゚)「……すまんな、遅れてしまって」
o川*゚ー゚)o「なーにやってたのよー」
川 ゚ -゚)「……絵を、描こうと思って」
o川*゚ー゚)o「絵?」
.
117
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:24:32 ID:1cXiWiWo0
川 ゚ -゚)「そう、絵だ
夢の、目覚める直前の雪景色が、とても綺麗だったから……忘れないうちにちょっと描いておいた」
o川*゚ー゚)o「おねえちゃんの絵かー……懐かしいなー、小学校以来?」
川 ゚ -゚)「む、中学の頃はたまに描いていたんだがな、なんとなく疎遠になってしまっていてな」
o川*゚ー゚)o「わたしおねえちゃんの絵、大好きだったんだよ!
出来上がったら見せてねー」
川 ゚ -゚)「もちろんだ」
川 ゚ -゚)「……あのさ、キュート」
o川*゚ー゚)o「?」
川 ゚ -゚)「キュートは昔から、元気で皆の人気者だったけどさ、
やっぱりどっか無理してるのかなって、思うことが結構あったんだ
……でも、兄者さんの前のキュートは、なんか……」
川;゚ -゚)「こう、うまく言えないんだけどな……、
ありのままっていうか、私が知ってるそのままの、私の一番好きなキュートなんだ、だから」
川 ゚ー゚)「彼ならお前を幸せにしてくれるよ、絶対」
川 - )「なあ、キュート」
川 ;ー;)「結婚、おめでとう」
o川*゚ー゚)o「……」
o川* ー )o「ありがとう、おねえちゃん」
o川*゚ー゚)o「おねえちゃんも」
o川*^ー^)o「おめでとう」
o川* ー )o「い、ままでほんとうに……グスッ」
o川*:ー;)o「ありがとう……」
川 ; -;)「……このバカ、泣くのは、早すぎるぞ……」
o川*;ー;)o「おねえちゃんだって、泣いてるくせにぃ……」
.
118
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:25:14 ID:1cXiWiWo0
川う -゚)「む、さすがにそろそろいかないとだめだな」
o川*;゚ー゚)o「うわほんとだ、式までいくらもない、じゃあ、またあとでね!」
o川*゚ー゚)o「……」テクテク
o川*゚ー゚)o(おねえちゃん、わたしが結婚のこと伝えてからずっと上の空だったから、元気になってよかった…….。
それにしても、サンタさんとはねぇ……やっぱり双子って考えも似るもんなのかな)
o川*;゚ー゚)o(言えないよねぇ……わたしもサンタさんに、『おねえちゃんが元気になってほしい』、ってお願いしたなんて)
* *
( ´_ゝ`)「あ、やっときたきた」
o川*゚ー゚)o「おまたせー」
o川*゚ー゚)o「ところで、そっちのスピーチってドクオくんだっけ? こっちは予定通りおねえちゃんだけど」
( ´_ゝ`)「そうそう、いやーブーンがツンちゃんと結婚したときはどっちが最後に残るかヒヤヒヤだったんだが……。
結局三人の中でドクオが最後になっちまったんだなー」
( ´_ゝ`)「あーそーいえば、クーちゃんって、キュートちゃんとは二卵性の双子なんだっけ?」
o川*゚ー゚)o「そーだよ、あんまり似てないねって、よく言われるけど」
( ´_ゝ`)「そう? さっき笑ったところなんて、そっくりだったよ?」
o川*゚ー゚)o「……」
( ´_ゝ`)「まあ、二卵性だとしても姉妹なんだし」
( ;´_ゝ`)「似てるのも当然っちゃー当然……
って何なにどーしたの急に、あんまりぎゅっとするとドレスにシワついちゃうよ?!」
o川* ー )o「しるかばーかーばーか今度ゴデバのチョコドリンクおごりやがればーか」
( ;´_ゝ`)「いやもうそりゃあ喜んでおごらせていただきますが」
( ´_ゝ`)「……あ、そーだった忘れてたんだけど」
o川*゚ー゚)o「んえ?」
( ´_ゝ`)「いや、ドクオの、スピーチのことなんだけどね……」
.
119
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:25:59 ID:1cXiWiWo0
…
……
………
o川*;゚ー゚)o
( ´_ゝ`)「って」
o川*;゚ー゚)o「……いや……えーっと……」
o川*゚ー゚)o「……もう、なんかいいか……おもしろそうだし……。
ただしお前は式が終わり次第クリスマス限定ゴデバ買ってこい」
( ´_ゝ`)「えっ」
o川*゚ー゚)o「一番高いやつな」
* *
川;゚ -゚)(スピーチの練習も死ぬほどしたし……大丈夫だ私、頑張れ私)
川 ゚ -゚)(……えーっと、席は)
ξ゚⊿゚)ξ ( ^ω^)ノシ
ドンッ('A`)川 ゚ -゚)(……あそこか)
川;゚ -゚)「って、お?」
|(;'A`)「あ」
|(;'A`) ス、スミマセン……ブツカッチャッテ
|'A`;)彡ピャッ
川;゚ -゚)(行ってしまった……私、そんなに怖い顔してたか……?)
ξ゚⊿゚)ξ「クーさーん? 式始まっちゃうわよー」
川;゚ -゚)「あ、すみませんすぐ行きます」
.
120
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:26:44 ID:1cXiWiWo0
* *
川 ゚ -゚)「……これで、ご挨拶とさせていただきます」
パチパチパチパチパチ……
川;゚ -゚)(やりきった……無事に終わった……よかった……)
ξ゚⊿゚)ξ「お疲れ様」
( ^ω^)「すごくよかったおー」
川*゚ -゚)「ありがとうございます」
スピーチまでの短い時間で、私は内藤夫妻とかなり打ち解けることができた。
この二人が、夢でキュートが言っていた『私と仲良くなりたい』という人たちだったのだろうか。
だとしたら、私をこの二人と相席にしたのは。
川 ゚ー゚)(全く…出来の良い妹をもって、私は幸せ者だ)
( ^ω^)「お、次はドクオのスピーチだおー」
((( 'A`)
川 ゚ -゚)(……あ)
先ほど二人が話していたドクオという旧友は、私にぶつかった彼のことだったのか。
.
121
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:27:43 ID:1cXiWiWo0
* *
('A`)「そしたら、こいつが言ったんですよ」
('∀`)「『それを言うならヒメマルカツオブシムシの再来だろ』ってね」
\ドッ/ \ハハハハ/
彼らの友人時代の笑える出来事を語るドクオ君のスピーチは、とても面白く、引き込まれた。
川;゚ -゚)(むう、なんだか今になって自分のスピーチがすごく恥ずかしくなってきた……)
('A`)「さて、長々と話してしまいましたが」
('A`)「本日は、二人とも本当におめでとうございます」
('A`)「お二人の幸せを心からお祈り申し上げ、ご挨拶とさせていただきます」
沸き起こる拍手。
もちろん私もそれに加わる。
('A`)「と、その前に」
('A`)「最後に、もう一つ言わせてください、私事なのですが」
('A`)「今日からピッタリ三か月前のことです、僕が兄者とキュートさんと、キュートさんの家の近くで話していたとき」
('A`)「とある方がキュートさんに忘れ物を届けに来ました」
('A`)「バカバカしい話だとは思いますが」
('A`)「その時、僕はその方に一目惚れをしてしまったのです」
('A`)「その方とは」
('A`)「ついさっき、スピーチをしていらした」
('A`)「新婦の、双子の姉」
('A`)「素直クールさん、です」
.
122
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:28:38 ID:1cXiWiWo0
('A`)「素直クールさん、」
( A )「どうか、この僕と」
( A )「結婚を前提にした、お付き合いを、して、いただけないでしょうか」
川;゚ -゚)
無数の視線が私に注がれるのを感じ、とっさに俯く。
人の結婚式のスピーチでこんなことを告げるなど、馬鹿げている、非常識だ。
こんなの受け入れるなんて、頭がおかしい。
わかっている、しかし、わけのわからない夢のせいで寝不足の頭では、思考が追いつかない。
:;o川* 、 )o;:
なんだよキュート、笑いをこらえて。
知ってたのかお前は。
ばか。
川 ー )
下を向いた顔に、なぜかにやけ面が浮かぶのを感じた。
ついに頭が変になったのか、妹の結婚式だから、クリスマスイブだから、気持ちが昂っているのか。
それとも、嬉しいのだろうか。
これは夢じゃないのかとも思ったが、今度ばかりは、雪景色を見ても覚めそうにない。
川 ゚ー )
いいだろう、受けて立とうじゃないか。
私は、顔を上げ、ドクオとやらに向かって、声を張り上げた。
《おしまい》
.
123
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:29:51 ID:1cXiWiWo0
投下終わりです。
みなさんも祝福されますように.。
124
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 19:34:34 ID:WJjVCr5.O
乙!
情景のきれいな話だった
素敵な景色をありがとう
125
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 20:05:40 ID:/jLQ7pTs0
乙!良い姉妹だなー
ヒメマルカツオブシムシが気になってぐぐったら害虫なのか
126
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 20:46:37 ID:CIV7CEVw0
読み返すとあったかい
おつ
127
:
名も無きAAのようです
:2013/12/23(月) 22:42:06 ID:rPnKGEPw0
ζ( ー *ζ花言葉は神の祝福のようです
奇跡なんか必要ない。
私はただ、友達がほしかった。
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1433.jpg
青い薔薇の花言葉に神の祝福があるそうなので、あのゲームをもとネタに
祝福祝福
128
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 00:05:06 ID:EjL7w.5o0
>>127
色合いとかデザインとかすごく素敵
祝福乙です
129
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 01:55:27 ID:bgPs8I7s0
投下します
130
:
从 ゚∀从5分間の祝福のようです
:2013/12/24(火) 01:56:12 ID:bgPs8I7s0
从 ゚∀从「お……雪降ってる」
トポポ…
カタン
从 ゚∀从「今年のひとり誕生日パーティーはベランダでやりますか」
从 ゚∀从 テクテク
ガラッ
从 ゚∀从「ベランダさっむ」
从 ゚∀从「完全防寒しないとな」
http://imepic.jp/20131224/059500
从 ゚∀从「ブーツブーツ」
从 ゚∀从「どっこいせ」
131
:
从 ゚∀从5分間の祝福のようです
:2013/12/24(火) 01:57:05 ID:bgPs8I7s0
从 ゚∀从っ[スマホ] ス…
[スマホ]<…〜♪
从 ゚∀从「はっぴばーすでーとぅーみー」
从 ゚∀从「はっぴばーすでーとぅーみー」
[スマホ]<〜♪〜♪
从 ゚∀从「はっぴばーすでーでぃあハインー」
从 ゚∀从「はっぴばーすでーとぅーみー」
从 ゚∀从「かんぱーい」
ゴク
132
:
从 ゚∀从5分間の祝福のようです
:2013/12/24(火) 01:57:53 ID:bgPs8I7s0
从 ゚∀从「んあー」
ポカポカ
http://imepic.jp/20131224/060250
ゴク
从 ゚∀从「ひとりで飲む酒は美味い」
从 ゚∀从「あったまったし、寝るか」
ポカポカ
从 ゚∀从「どっこいせ」
ガラ
ピシャッ
<ライネンハ、カレシツクルゾー
終わり
133
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 01:58:42 ID:bgPs8I7s0
投下終わり
もともとは総合絵題用に描いたやつなので、イラストがメインです
お題は「毛糸」と「ホットウイスキー」でした
134
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 02:13:42 ID:OW.cb7y.0
やだハインちゃん可愛い…祝福乙
135
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 02:17:15 ID:bu6.6tIo0
祝福乙 ハイン可愛い。温かくていい絵だな。
136
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 07:59:37 ID:tH6JbSZk0
祝福乙!かわいい!
137
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 11:32:29 ID:Y38iZVLs0
のんびり感がいいね 祝福乙!
138
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 20:46:01 ID:W4HgW3rA0
投下します。
139
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 20:47:14 ID:W4HgW3rA0
( ∀ )「あ――…いってえな……くそっ」
悪態をつきながら街を歩く。
傷だらけの体を嘲笑うように、あちこちでイルミネーションが輝いていた。
どうやら今日はクリスマスだったらしい。
まあ、俺には欠片も関係のない話だが。
( ∀ )「死ぬんじゃねえのか、これ」
自嘲混じりの言葉も、カップルの愛の囁きの合間に埋もれていく。
( ゚∀゚)聖夜に彼らは出会うようです
.
140
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 20:48:49 ID:W4HgW3rA0
煌びやかなイルミネーション。
それを見ながら体を寄せ合うカップル。
幸せそうな笑顔。
忌々しい。何もかも、忌々しい。
幸せそうな空気の中、ずたぼろの体を引きずって歩く俺に目を向ける奴は滅多にいない。
たまに視線を感じるが、それもすぐに消える。
幸せの最中に、わざわざ面倒事に関わりたくないのだろう。至極当然のことだ。
.
141
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 20:49:57 ID:W4HgW3rA0
( ゚∀゚)「はあ……」
体を動かすのが億劫になった時、目の前に巨大な建物が見えた。
風を凌ぐのにもちょうどいいと思い、壁に寄って腰を下ろす。
( -∀-)「……寒いな」
風は凌げたが、いかんせん寒い。
時期が時期だから当たり前だとは思うが。
どこからか聞こえる軽やかなメロディをBGMに、先程までの記憶を回想する。
俺は、喧嘩に負けたのだ。
.
142
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 20:50:57 ID:W4HgW3rA0
俺はあちこちをふらふらする根なし草だ。
特別珍しいことじゃない。この辺りはそんな奴で溢れかえっている。
だから俺達にとって、喧嘩に負けることは自分の居場所を奪われるということだ。
ショバ。いや、縄張り、か。
そして俺は負けた。
元々、滅法喧嘩が強いわけではない。
そんな奴が多勢に囲まれて勝てるわけがなかった。
――――いや、敗因など今更どうでもいい。
重要なのは、俺はこれからどこに行けばいいのかということだ。
.
143
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 20:52:15 ID:W4HgW3rA0
( -∀゚)「……」
痛む顔を撫でる。思いきり腫れていた。
殴られたせいか血を流したせいか、多分両方だろうが、頭がうまく働かない。
( -∀゚)「(俺、死ぬのかもな)」
それもいい気がした。
どうせ帰る場所などないのだ。それならここで凍え死んだ方がいい気がする。
そんな自虐的な思考に身を任せていると、ふと濃い陰が落ちた。
ξ;゚⊿゚)ξ「あんた、大丈夫?」
心配そうな顔をした女が、俺を見下ろしていた。
.
144
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 20:53:14 ID:W4HgW3rA0
ξ;゚⊿゚)ξ「怪我してるじゃない、大丈夫なの?」
( ゚∀゚)「……何だよ、お前」
正直面喰った。好き好んで声をかけてくる奴がいるとは。
女は俺のまとっているそれと対照的な、白い毛皮のコートを着ていた。
これから恋人とデートですとでも言いだしそうなほど、綺麗な服と顔をしている。
ξ;゚⊿゚)ξ「私の家ここから近いから行きましょう。手当てしてあげる」
(;゚∀゚)「はぁ!? てめっ、触るな!」
差しのべられた手を、触れられる直前で振り払う。
女は「きゃっ」と小さく悲鳴を上げて腕を引っ込めた――――と思いきや、鬼のような顔で俺を睨む。
ξ#゚⊿゚)ξ「あったまきた! 意地でも手当てしてやるんだから! 来なさい!」
(;゚∀゚)「うお、ちょ、待ってって、おま――――」
.
145
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 20:53:58 ID:W4HgW3rA0
引きずられるような形で、俺は女の家に連れ込まれた。
救急箱からガーゼだの消毒液だのを取り出す女の背中をぼんやりと眺める。
さっきまで着ていたコートは既に脱いでいた。
こいつ、あんなめかしこんで、どこかに行く予定じゃなかったのか?
ξ゚⊿゚)ξ「じっとしてなさい」
言うや否や、乱暴に消毒液をぶっかけられた。しみる。
殴られた時の痛みには到底及ばないが、しみるものはしみる。思わず顔を顰めた。
( ゚∀゚)「なんつー乱暴な女だ」
ξ゚⊿゚)ξ「我慢してよ。化膿するよりましでしょ」
.
146
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 20:55:48 ID:W4HgW3rA0
ξ゚⊿゚)ξ「あんた、こんな傷どこでつけたのよ」
俺の腕に包帯を巻きながら、女は溜息交じりに言った。
ま、私には関係ないけど、と続け、余った包帯を切り取る。
ξ-⊿-)ξ「はあーあ、変な怪我人は拾っちゃうわ、彼氏にはふられるわ、ついてないわね」
( ゚∀゚)「ふられた……って、お前」
包帯を片づけながら、女は俺に向かって笑った。
ξ゚⊿゚)ξ「クリスマスも仕事だっていわれたのよ。でも、一目会いたくてさ。仕事が終わる時間を見計らって家に行ったわけ」
( ゚∀゚)「……」
ξ゚ー゚)ξ「そしたら、他の女と腕組んだあいつと鉢合わせしちゃったの。その場でふられちゃった。ばかよね、ほんと――――」
ばかみたいに張り切ってお洒落してさ、と女がハンガーにかけたコートを見る。
その目からぽろりと水が滴った。
.
147
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 20:57:37 ID:W4HgW3rA0
ξ;⊿;)ξ「うう、う"……うううう……」
(;゚∀゚)「お、おい」
ξ;⊿;)ξ「なによ……ばかあ……何もこんな日に、ふること、う"う"う"っ」
堰を切ったように女は泣きはじめた。
派手な色をしたスカートに暗い色の染みが広がっていく。
女がふられようがなんだろうが俺には全く関係のない話だが、このまま放置するわけにもいくまい。
とりあえずそっと女の手に触れる。と、びくりと目の前の体が震えた。
ξ;⊿;)ξ「あ、あんた、それ、慰めてるつもり……?」
(;゚∀゚)「あー……いや、その、なんていうか……」
.
148
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 20:58:35 ID:W4HgW3rA0
どうすりゃいいんだ。
恋愛なんかとは無縁の世界と生きていた俺は、女の慰め方なんて知らない。
とりあえず女の体を何度かポンポンと優しく叩く。これじゃ幼児扱いだ。
ξ;⊿;)ξ「ふう"う"う"っ……」
(;゚∀゚)「あーと、その、なんだ、男なんざ星の数ほどいるんだからよ」
ξつ⊿;)ξ「うう"う"う"う……」
(;゚∀゚)「その……美人なのに、泣いたら……、ああもう! どうしろってんだ!」
俺が大声を上げると、女は今俺の存在に気付いたかのように、視線を俺に向けた。
スンスンと鼻を鳴らしながら、乱暴に涙を拭く。目が真っ赤になっていた。
ξ;ー;)ξ「ふふっ、ふふふ」
(;゚∀゚)「な、なんだよ急に笑い出して」
ξ;ー;)ξ「あんたが急に変な声出すから、思わず笑っちゃった」
.
149
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 20:59:28 ID:W4HgW3rA0
ξう⊿゚)ξ「はあ、泣いたら少しすっきりしたわ」
( ゚∀゚)「そりゃよかったな」
我に返ると、手当てはとっくに終わっていた。
俺に帰る場所なんてないが、いつまでもここに居座るわけにはいかない。
無視できる程度におさまった傷みを抱えて立ち上がる。
ξ゚⊿゚)ξ「え?ちょっと、どこに行く気!?」
( ゚∀゚)「もう用はねえだろ。邪魔したな」
ξ゚⊿゚)ξ「待ちなさいよ!」
女は慌てたように俺を引っ掴んだ。
体のどこからかグキリという音が聞こえた。本当に乱暴な女だ。
.
150
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:00:25 ID:W4HgW3rA0
ξ゚⊿゚)ξ「まだ私お礼言ってなかったわ。ありがとね」
( ゚∀゚)「なんだそれ。逆だろ」
怪我の手当てをした奴がお礼を言うなんて聞いたことがない。変な女だ、と思った。
ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、あんた行くところあるの?」
( ゚∀゚)「……お前に関係ねえだろ」
ξ゚⊿゚)ξ「なさそうね」
無視か。だが事実なので黙る。
女は先程までとうってかわった弾んだ声で「それじゃあさ」と続けた。
.
151
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:01:21 ID:W4HgW3rA0
ξ*゚⊿゚)ξ「私の家にいなさいよ!」
(;゚∀゚)「はあ!?」
ξ*゚⊿゚)ξ「ほら、私元々一人暮らしだし、これから彼氏もいないしさ。寂しいじゃない」
(;゚∀゚)「知らねえよ! 何言ってんだいきなり!」
ξ*゚⊿゚)ξ「いいじゃないいいじゃない、聖夜の出会い。ロマンチックじゃない!」
(;゚∀゚)「話聞けアホ!」
変なスイッチが入ったのか、女は鼻歌まで歌いだした。
音程のずれたジングルベルを聞いて、俺はこの女が音痴だということを知った。物凄くどうでもいい情報だ。
.
152
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:02:14 ID:W4HgW3rA0
ξ゚⊿゚)ξ「せっかくのクリスマスに家にこもるっていうのは不健全ね。
そうだ、イルミネーション見に行きましょうか。二人でカップル共を蹴散らしてやりましょう」
( ゚∀゚)「本当にやったら警察沙汰だな。というか俺がここに住むのは決定なのか」
まさかこんなことになるなんて、数時間前の俺に予想できただろうか。
初対面の女の家に連れ込まれ、手当てされ、泣かれ、慰め、ほぼ強引だが住処が決まった。
一番驚きなのが、あんな荒くれた生活をしていた俺が
「この女と暮らすのも悪くないかもしれない」と思っていることだ。
本当に、なんてこった。
.
153
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:03:48 ID:W4HgW3rA0
ξ゚⊿゚)ξ「それじゃ行くわよ! えーっと……ジョルジュ!」
( ゚∀゚)「なんだそれ」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたの名前よ。私からのクリスマスプレゼント、ありがたく受け取りなさい」
( ゚∀゚)「……まあ、嫌いじゃねえな」
ξ゚ー゚)ξ「うっし! じゃあカップル共を血祭りにあげるわよ!」
女の腕に抱かれた黒猫は、少し恥ずかしげに「にゃあ」と鳴いた。
おしまい
.
154
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:04:54 ID:W4HgW3rA0
投下終了です。
皆様に祝福あれ。
155
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:08:36 ID:VwM.k4rM0
祝福乙です
最後の最後で意表をつかれたわ、また読み直してほっこりした
156
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:10:49 ID:wNZE8Bfg0
祝福乙
ところで黒猫どこから現れたんだ……?
なんにせよツンもジョルジュも末永く爆発しろ
157
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:14:50 ID:FJVHTGoU0
祝福乙ー
ジョルジュはいったん病院連れてって病気持ってないか確認してこないとな
158
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:29:22 ID:fWilX0bEO
投下します
159
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:31:23 ID:fWilX0bEO
ξ*゚⊿゚)ξ「私ね、ブーンと付き合うことになったの!」
川 ゚ -゚)「ん……?」
目の前で頬を染めている巻き髪の女は津田ツン、私のクラスメイトである。
高校に入学して最初の席が隣だったことからぎこちない会話をしたのが、彼女との最初の思い出だ。
ちなみに初対面の彼女に対する印象といえば何だこの巻きグソ女というものだったが、
それを本人に言ったことはないしこれからも言う気はない。
だって、言ったらたぶん私の命はないだろうから。
ツンとはなんだかんだで気が合った。
そんなわけで一年と八ヶ月ちょっと、つるんでいるわけである。
今では親友ともいえる間柄だろう。
ツンは面倒な女だ。
しかし親しくなるにつれてそれは照れ隠しのきつい態度なのだと知れたし、そこも魅力のうちなのだと思う。
今のツンは私に対してはわりといい女だ。
160
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:32:55 ID:fWilX0bEO
ところでツンが名前を出したのが本名内藤ホライゾンなのにあだ名はブーンというおかしな男である。
入学して最初の席で彼は私の斜め後ろ、ツンの真後ろの席であった。
素直、津田、内藤、私達は二年の最初の席でも同じ位置関係からスタートした。
今のブーンの席はというと窓際の一番後ろという特等席である。
彼はそれを存分に満喫し、よくその時々の担当教師に叱られている。
実に羨ましい。
そんな彼はそんな生活に見合った相応の成績であるし、本人もそれを笑いの種にしている。
ブーンの魅力はひとえに彼の朗らかな人柄なのだ。
で、目の前のツンは頬を染めながら何と言ったのだろうか。
川 ゚ -゚)「……ワンモアプリーズ」
ξ*゚⊿゚)ξ「し、しょうがないわね! 特別なんだからね」
そう前置きをして、ツンは言った。
「私、ブーンと付き合うことになったの」と。
川 ゚ -゚)始まっていないし、終わらないようです
.
161
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:33:57 ID:fWilX0bEO
川 ゚ -゚)「……というわけでな、どうやらねーちゃんは失恋したようだ。慰めろ」
ノパ⊿゚)「いきなりそんなこといわれてもどうしたらいいんだ……」
川 ゚ -゚)「手始めに私の大好物のチョコミントアイスをおごってくれ」
ノハ;゚⊿゚)「中学生の妹にたかるなよ!?」
ツンからの告白は帰路で行われた。
私は自転車、彼女は電車を使っての通学で、学校から駅までの僅かな距離の中で私は爆弾を投げ付けられたのだ。
帰宅してすぐ、私は着替えもせずにリビングに出したばかりのこたつに陣取った。
そして、先に帰宅していたジャージ姿というなんともいけてない格好の妹にお使いを頼んだのだった。
川 ゚ -゚)「いいだろ、ヒート。私は今傷心中なんだよ……」
ノパ⊿゚)「……ねーちゃん、そのツンって人のことそんなに好きだったの?」
川#゚ -゚)「私が好きだったっぽいのはブーンだ! なぜかよくレズに間違われるんだが、まさか妹にやられるとは思わなかった!!」
ノハ;゚⊿゚)「ご、ごめん……。というか『っぽい』って何?」
川 ゚ -゚)「自分でも確信がないんだ」
162
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:35:22 ID:fWilX0bEO
そう、私は自分のブーンへの気持ちが恋愛感情なのだと言い切ることができない。
というのも、これが私の(おそらく)初恋だからである。
振り返ってみれば男友達はそれなりにいた。
中学まで一緒だった仲良しの幼なじみも男だ。
しかし、彼らは私にとって女友達と変わらない存在だった。
ブーンも最初はそうだった。
しかしいつからか、私は彼に特別を感じていた。
ブーンは絵に描いたような善良な男なのだ。
普段は友人らと悪ふざけもする。
だけど本当の頑張りどころで輝く。
川 ゚ -゚)「いいやつなんだ。誰にでも平等で、嫌味もなくて。他人のために命を懸けられる人間というものを、私は初めて見たんだ」
ノパ⊿゚)「命を、懸ける……?」
川 ゚ -゚)「ああ」
今年の夏休みあけすぐの出来事だった。
私の通う学校の近くには小学校もあるから、朝は狭い歩道が人で埋まるというのも見慣れた光景だ。
暑い、とても暑い日だった。
その日も私はいつも通りに登校した。
人が多く、いつものようにサドルからは降りて、押して歩いていた。
だらだらと流れる汗を拭っていた私は、誰かの叫び声がするまで気付かなかった。
163
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:36:29 ID:fWilX0bEO
キキーッ、という甲高い音。
何かが思い切りぶつかったような大きな音。
そして一瞬、すべての音が消えたのだ。
私は生まれて初めて交通事故の現場に遭遇した。
はっとして音のした方に目を向けた。
私は驚いた。
それはもう、声も出ない程に。
私の視線の先には、電柱に激突した乗用車があった。
ノハ;゚⊿゚)「そーいや、ねーちゃん言ってたなぁ。二学期早々やなもん見ちゃったって」
川 ゚ -゚)「そう、それだ。本当に怖かったんだぞ」
ノパ⊿゚)「私は見たくないなぁ……」
ヒートはしみじみと言った。
事故現場は悲惨だった。
車の前の方は電柱に激突した衝撃でぐちゃぐちゃだった。
ガラスの破片が大量に散っていたのをよく覚えている。
その近くには人が転がっていた。
そこはちょうど横断歩道の上だった。
次の瞬間には私は走りだしていた。
164
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:37:32 ID:fWilX0bEO
ブーン!
そう叫びながら私は駆け寄った。
川 ゚ -゚)「知ってるやつが倒れてたんだ。私は自転車の存在なんて忘れていた」
ノパ⊿゚)「あ、だから自転車のフレーム歪んでたんだ…」
川 ゚ -゚)「手を話したときに思い切りガードレールと電柱に叩きつけてしまったらしい。
あの時後ろを歩いてた友達が後から報告してくれたよ」
ノハ;゚⊿゚)「そりゃあ、あんなひどい状態だったら私だってねーちゃんに報告するぞ……」
自転車の修理にはそれなりの費用がかかった。
本来なら事故を起こした迷惑な運転手に請求してやりたかったが、それはさすがに無理だった。
とにかく、私はそれほど必死だったのだろう。
ブーンに一目散に駆け寄った私は、まず彼の怪我を確認した。
目に見える傷は大きくないように見えた。
川 ゚ -゚)「しかし、誰かが呼んだ救急車で病院についていったらな、脚を骨折してた」
それ以降、私はブーンの登下校の世話をやくようになった。
彼の家は学校の近くだから、私は朝早く彼の家まで迎えに行って荷物を自転車にのせてやった。
ブーンが松葉杖を使わなくなるまでの間だったが、その間に私は彼のいろんなことを知った。
趣味は料理で意外と家庭的であることとか。
休日は近所のファストフードでアルバイトをしているとか。
もっともっと、たくさん知った。
学校で話すよりもいろんなことを知った。
165
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:38:40 ID:fWilX0bEO
ノパ⊿゚)「そういや事故の方はどうだったの? ブーンさん以外の話とかさ」
川 ゚ -゚)「ああ、ブーンがかばった小学生は擦り傷だけだったよ。
車の方はスクラップだが、運転手もぶつかった衝撃で気絶したくらいでたいした怪我もなかったらしい」
ノハ;゚⊿゚)「ってことは、一番の重傷が……」
川 ゚ -゚)「無関係のブーンだったわけだな。本当に悪運の強いやつだ」
私はヒートが文句をいいながらも持ってきてくれたアイスを食べる。
冷たくておいしかった。
ノパ⊿゚)「結局、ねーちゃんは二人のことどう思ってるの?
私は好きな人できたら突っ走るタイプだから、ねーちゃんの考えてることがわかんないんだよ」
川 ゚ -゚)「私はブーンとツンを……」
ブーンには、うまい表現はできないものの特別な感情を抱いている。
これは否定しようのない事実である。
しかしツンは私の大切な友人だ。
彼女の幸せそうな顔を見ていたら私の気持ちも温かくなったのも事実なのだ。
川 ゚ -゚)「なあ、ヒート、大切な親友と好きな人が恋人になった時、人は必ずしも祝福できないものなのだろうか」
ノパ⊿゚)「へ?」
166
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:39:59 ID:fWilX0bEO
川 ゚ -゚)「私はな、思うんだ。
この世界の全ての恋が、少女漫画や恋愛小説のような激しいものばかりではないんじゃないかって」
好きな人を取られたことが殺意に繋がることは実際あるのかもしれない。
しかし実際、この国で起きる殺人事件のほとんどは身内によるものだ。
つまりフィクションの世界では普通のことも、現実ではそう起こりえないことなのだろう。
そもそも私の気持ちは、ついさっき気付いた程度の淡いものだ。
私にとってはきっと、天秤にかける余地もない。
ノパ⊿゚)「あのー……ねーちゃん?」
川 ゚ -゚)「なんだ、ヒート」
ノハ;゚⊿゚)「ねーちゃんってさ、すごく偏った恋愛ものばっか見てきたんじゃない?」
ヒートは気まずそうに言った。
ノパ⊿゚)「少女漫画だってさ、中には親友のために好きな人を諦める女の子はいるよ。
みんながみんな恋愛しか考えてないわけじゃないし……」
川 ゚ -゚)「そうなのか……?」
ノハ;゚⊿゚)「そうだよ! 初恋だって甘酸っぱい思い出に変わるんだよ!?」
ここで私は、改めて自分の嗜好を振り返ってみた。
私は実はわりて高齢の女性向けの「嫁姑、血なまぐさい女のバトル!」みたいな漫画が好きである
ついでに正真正銘の恋愛小説は読んだことがない。
恋愛要素のあるサスペンスが好きなのだ。
川 ゚ -゚)「そうか……どうやら私の認識は間違っていたようだ……」
ノパ⊿゚)「ねーちゃんの恋愛観こえーよ」
とにもかくにも、こうして私は自分の思いを整理し区切りをつけることができたのだった。
ヒートにはただ感謝するばかりである。
今度彼女の大好物のハンバーグを作ってやるとしよう。
167
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:41:15 ID:fWilX0bEO
数日後、私とツンはいつものように帰り道を歩いていた。
ξ゚⊿゚)ξ「でね、クリスマスだし家で集まってケーキでも、って思ってるんだけど」
川 ゚ -゚)「私はいいが……ブーンと過ごさなくていいのか? 付き合い初めて初めてのクリスマスだろう」
ξ゚⊿゚)ξ「ほら、あいつ、お人好しだから……。クリスマスは人手不足だからってバイトのシフト入れられちゃったんだって」
その場面はすぐに頭の中に思い浮べられた。
ツンというものがありながら要領の悪い男だ。
川 ゚ -゚)「なら、せっかくだからツンのお祝いにしよう。しぃたちも呼ぶんだったら丁度いいだろ」
ξ;*゚⊿゚)ξ「な、そういうのいいから! 恥ずかしいし!!」
川 ゚ー゚)「照れるなって。私たちが気合い入れて二人の仲を祝福してやる」
ξ;*゚⊿゚)ξ「いらない! ホントにいらないから!」
口では反対しながらも顔には嬉しさを隠し切れていない。
ブーンとの仲は二人の友人には知れ渡っている。
今さら茶化す者もいないだろう。
なんとなく、私は二人はこれからもずっと続いていくんじゃないかと予感している。
女の勘というやつだろうか。
あいにく、今までそんなもの働いたことはないが。
168
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:42:01 ID:fWilX0bEO
ともかく、私が言いたいことはひとつ、とてもシンプルだ。
川 ゚ー゚)「おめでとう、ツン」
友人らのこれからを、心の底から祝福しよう。
だって、私の恋は始まりさえしなかったし、友情はずっと終わらないのだから。
.
169
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:44:18 ID:fWilX0bEO
以上です
イブにこれを読んでるそこのあなたにも祝福あれ!
170
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 21:45:45 ID:a84s10Uk0
乙
なんだか暖かくなれたよ
171
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 22:00:13 ID:3S8cCBs60
乙
クーの趣味www
172
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 23:06:33 ID:a3pYs.kIO
乙!
よし、私も投下させて頂こう
173
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 23:07:38 ID:a3pYs.kIO
ミセ*゚ー゚)リ「……結局、トソンちゃんはクリスマスパーティ来なかったなあ」
ミセ*゚ー゚)リ「用事でもあったのかな。残念だけど仕方ないよね、そろそろ寝よっと」
「おやすみー」ミセ*-ー-)リ(゚、゚トソン「おやすみなさい」
ミセ;゚ー゚)リ「ひぎにゃあああああああぁぁぁ!?」
(゚、゚トソン「どうしたのですか、こんな夜更けにうるさいですよ。クリスマスとはいえ、はしゃぎ過ぎです」
ミセ;>ー<)リ「ト、トソンちゃん!? なんで私のベッドの中で、裸で縛られてるの!? 事件なの!?」
(゚、゚トソン「落ち着いてください。これは『私がプレゼント』というネタをやったら、リボンが絡まってしまった女の成れの果てです」
ミセ;゚ー゚)リ「友人のそんな成れの果ては見たくなかったな、私は! 大丈夫なのそれ?」
(゚、゚トソン「大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば、そろそろ腕の感触がなくなってきました」
ミセ;゚ー゚)リ「早くほどかないと!」
(゚、゚トソン「待ってください!」
ミセ*゚ー゚)リ「どうしたの、こんなときに」
(゚、゚トソン「私を辱しめたり、撮影したりするなら今がチャンスですよ!」
ミセ;゚ー゚)リ「そんなチャンスはいらないっ!」
174
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 23:08:15 ID:a3pYs.kIO
(゚、゚トソンケーキより甘い友情に祝福をのようです
.
175
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 23:09:11 ID:a3pYs.kIO
ミセ*゚ー゚)リ「えっと、こっちを引っ張るとここがほどけて」
(////トソン「ぃやん、そこ違っ……! あっ、やめないで、続けてください」
ミセ;-ー-)リ「なんで私クリスマスにこんなことしてるんだろ……」
(゚、゚トソン「ふう、助かりました。しかしミセリも私にエロいことができてWin-Winでしたね」
ミセ*゚ー゚)リ「今年最大のLose-Winだったよ」
(゚、゚トソン「隣りの部屋から楽しげな声が聞こえてきて、一人で三時間もなにをやっているんだろうと三回ほど泣きましたが、結果オーライです」
ミセ;゚ー゚)リ「Lose-Loseだった!」
(゚、゚トソン「しかし、Win-Winってカタカナでウィンウィンって書くと動作音みたいですよね」
ミセ*゚ー゚)リ「なんの動作音かは絶対に聞かないからね」
176
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 23:10:07 ID:a3pYs.kIO
(゚、゚トソン「後れ馳せながら、メリークリスマスです、ミセリ」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、その前に服を着ようよ、トソンちゃん」
(゚、゚トソン「私は裸族ですのでお構いなく」
ミセ;゚ー゚)リ「お構うよ! 自分の家で友人が全裸だったらお構うよ! 裸族のポリシーはせめてトソンちゃんの家でだけ貫いてよ!」
(゚、゚トソン「他人の家でのみ裸族ですので」
ミセ;>ー<)リ「それはただの変質者だよ!」
(゚、゚トソン「間違えました。ミセリの家でのみ裸族です」
ミセ;゚ー゚)リ「変質性には一部の変化もないから!」
(゚、゚トソン「ミセリ以外には肌をさらすつもりはないってことですよ。言わせないでください、恥ずかしい」
ミセ*-ー-)リ「……なんで友人の私に、いつも好感度メーター振り切れてるのか甚だ疑問なんだけど」
177
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 23:11:21 ID:a3pYs.kIO
(゚、゚トソン「それでですね」
ミセ*>ー<)リ「あの、トソンちゃん。さっきから胸が私の腕に当たってるんだけど」
(゚、゚トソン「当ててるんですよ」
ミセ*゚ー゚)リ「…………」
(゚、゚トソン「それで一時間半ほど前に、隣りで連想ゲームとやらが盛り上がっていたじゃないですか」
ミセ*^ー^)リ「うん、デレちゃんが提案したんだよ」
(-、-トソン「……チッ、あの泥棒猫め」
ミセ;゚ー゚)リ「聞こえないように言おうね、そういうのは」
(゚、゚トソン「それで私も、そのなんちゃらゲームとやらに興味を持ちまして」
ミセ;゚ー゚)リ「連想の部分なくなったらゲームしか残らなかったね! 確実にあんまり興味ないよね!」
(゚、゚トソン「やってみたいと思うわけですよ。例えばクリスマスといえば、ミセリはなにを連想しますか?」
ミセ*゚ー゚)リ「まあいいけど強引に話を進めたね、まあいいけど。私はクリスマスといえばサンタさん!」
(゚、゚トソン「では二文字隠してクリ○○スと言えばなにを連想しますか」
ミセ;゚ー゚)リ「そういうゲームじゃないからこれ! 次に連想するのサンタさんからだからっ!」
(゚、゚トソン「正解はクリト――」
ミセ;゚ー゚)リ「聞きたくないし言わせないよ!? しかも正解ってなに!?」
178
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 23:13:23 ID:a3pYs.kIO
ミセ*^ー^)リ「トソンちゃん、はいこれ。クリスマスプレゼント」
(゚、゚トソン「これは」
ミセ*^ー^)リ「前に小説の『吸血鬼カーミラ』が欲しいって言ってたよね。だから、ね」
(゚、゚トソン「これはプロポーズと受け取っても?」
ミセ*゚ー゚)リ「そういう意図は一ミリグラムも含まれておりません」
(゚、゚トソン「ともあれ、ありがとうございます。今ので私の好感度が上昇し、恋人の関係になりました」
ミセ*゚ー゚)リ「なってないなってない」
(゚、゚トソン「本当は嬉しいくせに、ミセリは照れ屋ですね。しかし、困りました」
ミセ*゚ー゚)リ「どうしたの?」
(゚、゚トソン「クリスマスプレゼント用のラッピングを外した今、私がプレゼントというわけにはいかないじゃないですか」
ミセ*゚ー゚)リ「ラッピングしててもそういうわけにはいかないと思うよ」
(-、-トソン「ミセリの友情に応えるには、後は処女を捧げるぐらいしか」
ミセ;゚ー゚)リ「友情が重いよ、トソンちゃん! 私がプレゼントとなにが違うのかわからないよ!」
(゚、゚トソン「では、二人きりで過ごせるこの一夜こそが、私からのプレゼントということで」
ミセ*゚ー゚)リ「……もしかして、泊まっていくつもりだったりする?」
(゚、゚*トソン「あー! たった今、終電が発車してしまいました! 残念、これは残念ながら泊まっていくしかなさそうです! ではちょっとエッチぃネグリジェに着替えますね!」
ミセ;゚ー゚)リ「全然残念じゃなさそうだよ! 顔が輝いてるよ!」
(゚、゚*トソン「ベッドは一つしかありませんし、残念ながらこれは一緒に寝るしかありませんね!」
この後、ミセリの貞操をかけた白熱の攻防が繰り広げられたのだが、それはまた別の話。
179
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 23:14:34 ID:a3pYs.kIO
投下終了です
トソンちゃんもなぜかよくレズに間違われるそうです
180
:
名も無きAAのようです
:2013/12/24(火) 23:26:41 ID:3S8cCBs60
祝福乙
この二人は可愛いなあ
間違わ…れる…?
181
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 00:06:23 ID:hoUaDYb60
祝福乙
楽しいやりとりだった
でもトソンって間違いなく…
182
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 00:14:18 ID:p8J1fFIE0
トソンかわいいです
艦これサーバークソ重いしクリスマス始まったし投下します
183
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 00:17:43 ID:p8J1fFIE0
誰もがクリスマスを待ち望んでいるわけではない
コインに表裏があるように、幸福の裏には必ず、不幸や嫉妬などの負の感情があるのだ
その感情は、まるで水蒸気のように人々から立ち昇り
まるで雷雲のように、形を成して
今宵、最も望まれている存在に、襲い掛かってくる
そう、子供たちに夢と幸せを運ぶ、『サンタクロース』に
グリーンランド国際サンタクロース協会は、その負の塊を『SHIT』と名付け、対策を取る事にした
人員を増強し、配達サンタ一人につき『護衛サンタ』を六名配置
SHITからの妨害を阻止する役割を果たす
護衛サンタには、負のエネルギーを打ち消す『祝福の加護』を施した武器を支給
状況に応じて、多種多様な戦いが出来るように一年かけて訓練を積む
全ては、幸せな聖夜を守るために
そして今夜も
命がけのプレゼント配達が始まるのであった
『弾丸に祝福をのようです』
.
184
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 00:18:56 ID:p8J1fFIE0
( ´∀`)「…今年もこの場所にやってきたモナ」
日本で最もSHITの襲来が激しい街『VIP』
華やかなイルミネーションの輝きを、上空から見下ろす彼らにしか見えないおびただしい数の『黒い影』が遮っていた
( ゚∀゚)「ひえー、おっかねえなぁ。タマが冷えるぜ」
( ´_ゝ`)「それはお前がしっかり防寒していないからだ」
トナカイが引くソリに乗る白髭のサンタを中心に
スノーボードやスケートで空を飛ぶ若い六人のサンタが空に浮いていた
川 ゚ -゚)「噛み千切られんように気をつけるんだな。毎年この場所だけは格が違う」
(;'A`)「やめてくれよ姐さん。股間が竦みあがっちまうぜ」
(´^ω^`)「信じて送り出した護衛サンタがSHITに堕とされて帰ってきた…薄い本が厚くなるな!!」
( ^ω^)「やだこの子サンタの癖に穢れきってるわ…」
配達サンタの不安も余所に、護衛サンタは軽口を叩く
いつしか、プレゼント配達は命がけの仕事になってしまった
彼を護衛していたサンタの殆どは、この街で再起不能になってしまう
今宵もそんな惨劇を目にしなければならないのか。彼の気はとても重かった
( ´∀`)「…行くモナよ」
しかし、クリスマスにサンタの身など二の次だ
彼らには、子供たちに幸せを運ぶという使命があるのだ
トナカイに鞭を走らせ、黒い影に向かって降下を始めた
185
:
名も無きAAのようです
:2013/12/25(水) 00:20:26 ID:p8J1fFIE0
しかし、今年ばかりは事情が違った
( ゚∀゚)「そんじゃ、露払いはこの俺が」
(;´∀`)そ「モナッ!?」
今までは『護る』スタイルを推し進めてきたが
彼らは『攻める』姿勢を見せた
( ゚∀゚)「一番手、ジョルジュ!!推して参るぜ!!」
彼が背負った袋から取り出したのは、『火炎放射器』
shit
( ゚∀゚)「『汚物』は…」
( ゚∀゚)「消毒だァァァーッ!!」
星屑が混ざった灼熱の炎が、目の前の影をなぎ払う
灼かれた影は悲鳴のような音を立て、蒸発する
夥しい数の影に、ぽっかりと穴が開いた
( ゚∀゚)「ハハッ!!さぁ突っ込むぜ爺さんよぉ!!」
(;´∀`)「ハァッ!!」
その穴に向かって、トナカイを全力で走らせる
影は穴を埋めようと迫るが、一寸遅かった
(;´∀`)「ぬ、抜けた!!」
影の層を抜け、街へと突入
しかし、上空と地上、そして左右と
四方から影が迫ってきていた
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