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( ^ω^)ヴィップワースのようです
262
:
平沢進いいわぁ
:2014/01/30(木) 01:47:13 ID:i/8EQN6I0
ぐん、と引っ張られた腕だけが、情けなくも、女の細腕に締め上げられてその場に残される。
突き放す、そう思って蹴りを見舞おうとしたところで、奴の狙いに気づく。
かぁ、と口を開けた奴の牙は、ほのかに青白い。
どこかで見たか。
いや、そうではない。
けれど、これの存在は知っている。
長い牙―――血を吸う――――”吸血鬼”
从 ゚∀从「優秀なツレになるぜ、お前な」
263
:
平沢進いいわぁ
:2014/01/30(木) 01:47:58 ID:i/8EQN6I0
月明かりの下にさらされた泡立つ肌には奴の爪が食い込み、ぷつ、と破れた。
そこから流れる赤の色を見て、恍惚の表情をして、そこに顔を寄せていく。
動けなかったのは、人間としての本能か。
だが、原始の恐怖を、爆発するような怒りに換えて。
ただ、吠えて、拳を振るった。
(#゚дメ )「――――オオオォォォッ!」
黄金の尾を引いて、俺の拳は奴の顎先を撃ちぬく。
掴んだ左腕にこめた力を緩めなければ、今度は直撃は免れない。
――――ミタジマ流奥義。
264
:
救済の技法いいわぁ
:2014/01/30(木) 01:49:09 ID:i/8EQN6I0
从* ゚∀从「ハハハハハ!
おいおい、それ、ヤベェな!」
戦闘狂の吸血鬼の化物は、その光を見て、嗤った。
お前にとっては、何も面白いことはない。
ただ、消え去れ。
(#゚дメ )「――――”旋光撃”ッ!!」
”ゴキンッ”
265
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 01:50:34 ID:i/8EQN6I0
大気にすらも風穴を開ける。
それほどの速度と、強度をもって放った。
ミタジマ流の奥義を尽くして。
極限まで引き出した螺旋の力を使い果たして。
そうまでした放った奥義・旋光撃を――――外したのか。
(;゚дメ )「ばか……なッ!」
音はした。
いやにカン高いようでいて、同時に気色の悪い太い音が。
しかし俺の右拳は、奴の鼻先を掠めて、何もない空間へと突き出されていた。
从∀ ゚ 从「……お次は?」
266
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 01:51:15 ID:i/8EQN6I0
(;゚дメ )「……なっ……」
見れば、奴の首の骨は完全に折れている。
夜空を見上げられるほどの角度に、真後ろへと、直角に。
化物なりの回避動作は、あまりにも人体の構造というのを無視したものだった。
そんな事まで出来るとは思わなかった。
見越しておくべきだったのに、侮った。
俺の左腕へと食い込む奴の指に、さらに力が込められていくのを感じた。
从∀ ゚ 从「なるほど」
(;-дメ )「う……っく……!」
267
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 01:52:18 ID:i/8EQN6I0
軽く引き寄せられると、足がもつれそうになった。
右目に映る視界は霞み、これまで動かしてきた手足の言うことが、効かなくなっているのが理解る。
螺旋孔を開門して、螺光砲を放って、旋光撃までも外した。
螺旋の力とは、人体における生命力と等しい。
その絶対量は肉体を鍛えあげることによって限界を底上げする事はできる。
だが、決して無限の力にはなり得ないのだ。
急激に力を使い尽くしたツケは、すぐにやってくる。
”ごき、ごきっ。”
从 ゚∀从「……打ち止めかい」
268
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 01:54:28 ID:i/8EQN6I0
気を抜けば崩れ落ちそうになる俺の膝を見て、奴はすぐに悟ったようだ。
三重にも四重にも見える奴の姿は、ふらつく俺を冷ややかに見下ろしていた。
もはや殴るどころか、まともに奴を視界に捉えられるような力も残っていない。
万策、尽きた。
从 ゚∀从「なら、終わりにしようか」
こちらの余力を見抜いたように、化物はそう言って俺の身を引き寄せる。
”ゴッ”
(; д メ )「―――かッ………ハッ―――」
269
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 01:55:26 ID:i/8EQN6I0
華奢な奴の細腕が振り上げられると、それより頭一つ分は大きい俺の体躯は、いとも容易く宙を舞う。
どうやら、勝てない。
俺は、死ぬのだろう。
こんな唐突に、訪れるとは思わなかったが。
けれど、俺はそれをこそ願うべきなのだ。
・
・
・
『 マダダ 』
願うべき、なのに。
270
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 01:56:52 ID:i/8EQN6I0
从 ゚∀从「……?」
(; дメ )「よ、せ……ッ
く、る、な」
『 マダ、シヌナ 』
今の俺の身体からは、螺旋の力が失われてしまっている。
だくだくと脂汗を流しながら、その場に姿を表そうとする、あいつを振り払う。
吸血鬼はそんな俺の姿を、不思議そうに眺めていた。
271
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 01:58:36 ID:i/8EQN6I0
『 チカラガ、イルノカ 』
要らん!
消えろ!
必要ない!
このまま、人として――――
从 ゚∀从「あ? お前、まさか……」
見上げた月は、煌々と妖しい光を放っていた。
満ちた、青白い月。
人と、して―――――
272
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 01:59:23 ID:i/8EQN6I0
(; дメ )「……しな……せ、ろ……ッ」
狂おしいまでの衝動が湧き上がり、俺は身悶えした。
立ち上がる事もままならなかったはずの俺の全身を、支配しようと。
人の血ではなく、化物の血へと、入れ替えられていく。
やけに喉が渇く。
それに、ものすごく腹が減った。
自分の叫びが、次第に頭の後ろで聞こえるような感覚がした。
273
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 02:01:02 ID:i/8EQN6I0
『 コイツヲ、コロセバイイノカ 』
( ゚ ゚ )
そうだな。
そうだった、気がする。
今夜は、月も綺麗なことだ。
274
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 02:04:44 ID:i/8EQN6I0
『 ナラ、コロセ 』
やっぱり、分かりやすくていい。
お前という奴の、単純な生き方は。
月に吠えるお前に、俺は自分の在るべき姿を見たのかな。
似ていたのかも知れない。
だからこそ、俺は自分でも気づかないうちに、望んでしまった。
こんな力を。
”ゴギンッ”
275
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 02:10:02 ID:i/8EQN6I0
生きるために、戦ってきたはずなのに。
いつの間にか、戦うために生きていた。
だが、それこそが本当の俺なのだろうか。
この呪いを受け入れたのは、本当は自分自身なのではないのか。
そう悩んでいたはずの自分が馬鹿らしくなるぐらいに、今は気分がいい。
壊したい衝動ばかりが、熱く、内側から染み出してくる。
実に久々だった。
あの剣士との戦い以来、10日ぶりだろうか。
もう戻る事はないだろうと思っていた本来の姿を、取り戻してしまった。
絡んできたのはこの化物。
お前のせいで、人間としての俺だけは、最悪の気分だった。
从∀ ゚ 从「……おろ?」
276
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 02:11:18 ID:i/8EQN6I0
クーにだけは、見られたくなかった。
それだけはきっと、彼女が与えてくれた人間らしさを持つ、人としての俺の本心だ。
もう、あいつには会えない。
俺は、こいつを飼いならし、共に生きていくしかない。
『 ソレデイイ 』
それなのに、えも言われぬ解放感を感じる自分に、戦慄していた。
ミ#゚ メ#彡「……本気で行くぞ」
277
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 02:12:03 ID:i/8EQN6I0
・
・
・
ミ#゚дメ#彡「――――がああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
猛獣の連撃が放つ、徹底的な破壊。
ハインリッヒは、それを醒めた表情で見送っていた。
へし折られた首を修復する間もなく、矢継ぎ早に鋭爪や、剛脚が襲い来る。
从∀ ゚ 从「……」
278
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 02:13:04 ID:X6StF6j.O
ω・)ガンバレハイン!
279
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 02:13:25 ID:i/8EQN6I0
ミ#゚дメ#彡「フシィィッ!」
ほとんど真後ろへと向けられた首が、巻き込むように襲った蹴りで反対方向へと引き戻された。
从 ゚∀从「……チッ」
苛立ちが、徐々に募っていた。
やはり人間とは、恐るべき強さを秘めている。
武器も持たず、何も使わずして。
2000人もの血を吸ってきた自分と、素手でいい戦いを見せてくれた。
从 ゚∀从「オイ」
なのにこれは、今目の前にあるのは、何だ?
280
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 02:14:06 ID:i/8EQN6I0
ミ#゚дメ#彡「まだ口を動かす余裕があるか」
从 ゚∀从「あぁ? どういういう事だよ、こりゃあ」
ミ#゚дメ#彡「どうでもいい。
このまま、俺に八つ裂かれる中で考えていろ」
从#゚∀从「……てめぇなぁ……」
こちらを殺す事に必死な化物が、ただ一匹。
281
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 02:16:57 ID:i/8EQN6I0
別に特別な事はないのだ。
ただ少しばかり強い部類かも知れないが、そいつが自分以上かどうかなどどうでもいい。
面白い人間と戦っていたはずなのに、それが今や化物にすり替わっている。
何の興味もない対象が、この自分の身を傷つけているという事実に、今は怒りを覚えた。
从# ゚∀从「……殺すぞ……」
憤りを静かに抑えこむように、だが、声は上ずり震えていた。
あまりの怒りに、もはや、感情を押さえつける事は困難だった。
ミ#゚дメ#彡「……手加減する余裕も、もうないんだろうがな」
从# ゚∀从「あぁぁ〜そうですかぁ〜!」
282
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 02:32:07 ID:i/8EQN6I0
从#゚∀从「ならこっちも、手加減はいらねぇってこったぁなァァァッ!!」
夜の色に溶け込む外套が翻ると、ハインリッヒはそこから消えた。
少なくとも、そこへ鋭い爪を叩き込んだはずのミルナに手応えはなく、その視界からも。
ミ#゚дメ#彡「……ぬうぅぅぅッ!」
後ろに立っている。
それに気づかせたのは獣の直感だった。
「俺を失望させやがった罪はよ」
風圧が砂埃を巻き上げるほどの威を伴って、その空間へと巨大な拳を叩きつける。
恐ろしく高い密度の筋肉から、化け物じみた速度と、破壊的な質量をもって。
それをハインリッヒは、先ほどまでの余裕を取り戻したかのように片腕で一本で止めていた。
从#゚∀从「重いんだぜぇ?」
283
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 02:42:10 ID:i/8EQN6I0
ミルナは確信していた。
やはりこいつは、とんでもない化物だと。
だが動揺はなく、油断もない。
ただ荒ぶる感情に身を任せ、無心で獲物を仕留めるだけだ。
爪を振るって五体を刻み、牙をその首筋にねじ込んで。
この巨躯からでは到底不可能と思わせるほどの速度で、素早く身を反転させ、逆の腕で殴りつける。
ミ#゚дメ#彡「……!」
从#゚∀从「手加減は、いらねぇんだけどよ?」
それをも、止めた。
同じように片腕で、手首に細い白魚のような指を突き刺しながら巻きつけて。
284
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 02:51:59 ID:i/8EQN6I0
今日はこのへんにしといてやる。
こっからはそんなに続きません。
あともうちょいでシオン編を書きはじめられるよ……
また来ます〜^
285
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 05:26:17 ID:R4d6WohsO
おぉきてた。乙
286
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 08:11:19 ID:i/8EQN6I0
来週から職場復帰するから書く時間でーんでんなくなるかと思います
コレ一切進まねぇなぁとか思ったら、シルクロードの傭兵というやつの方を書いてるかも知れません
287
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 08:12:41 ID:lGdtnyfU0
乙
288
:
名も無きAAのようです
:2014/01/30(木) 21:39:55 ID:JDtLW3OgC
突然の更新来てた、傭兵のほうも読むよ
289
:
名も無きAAのようです
:2014/01/31(金) 13:16:59 ID:zc25EHbU0
おつ
傭兵は小説家になろうので合ってる?
290
:
名も無きAAのようです
:2014/01/31(金) 15:30:07 ID:izXUEZRU0
b 迷走中なのでそっ閉じしてもらえれば…
291
:
名も無きAAのようです
:2014/01/31(金) 17:41:43 ID:Kkl61jYsO
乙
こういう圧倒的な強者同士の戦闘は燃えるな
292
:
名も無きAAのようです
:2014/02/07(金) 13:59:36 ID:oDvBqj.kO
支援
293
:
名も無きAAのようです
:2014/02/09(日) 11:57:23 ID:d912bTt.0
キン㌦でロードス島伝説に手を出したところ簡単にハマってしまいました
しばらく全巻読みふけってファンタジーのおべんきょをしたいと思います
今後に向けてモチベーションは高いものの今は書く時間がないのでまた暇をみて
294
:
名も無きAAのようです
:2014/02/17(月) 20:04:23 ID:jYKeMjso0
続き気になるけど気長に待つよー
295
:
名も無きAAのようです
:2014/04/06(日) 13:53:35 ID:de3/CFxA0
元気?
そろそろお願いしますよ
296
:
名も無きAAのようです
:2014/04/06(日) 23:27:37 ID:O2IJWpM20
しばらく初スマホにうつつを抜かしたりしておりましたがそろそろ飽きてきました
最近PCを10年前のオンボロFMVからエイリアンウェアに新調してウキウキですので、
休日はまたぼちぼち引きこもって書いていきたいと思います……今しばしお待ちを
297
:
名も無きAAのようです
:2014/04/07(月) 02:20:22 ID:tTF4gBlA0
FMV!?まだ生きていたのか・・・
期待して待ってる
298
:
名も無きAAのようです
:2014/04/07(月) 21:56:33 ID:eam9COnk0
まだー?
299
:
名も無きAAのようです
:2014/04/07(月) 22:16:24 ID:kfJSPq9.0
期待がんばれ
300
:
名も無きAAのようです
:2014/04/08(火) 02:36:24 ID:TGScZ78kO
ω・)マダカナー
301
:
名も無きAAのようです
:2014/04/08(火) 08:02:59 ID:W0LndRgU0
>>295
お前うるさいよ黙れ
302
:
名も無きAAのようです
:2014/04/09(水) 06:44:55 ID:VlBwyAVg0
たのしみたのしみ
303
:
名も無きAAのようです
:2014/06/18(水) 03:41:37 ID:BWEleMSY0
まだかなー(゜ロ゜)
304
:
名も無きAAのようです
:2014/10/05(日) 07:52:58 ID:eiFAfrqk0
待ってるぜー
305
:
名も無きAAのようです
:2014/10/05(日) 11:19:26 ID:KsmjVxBM0
ω・)マダカナー
306
:
名も無きAAのようです
:2014/11/23(日) 04:04:53 ID:v8W5WdkE0
元気かーい
307
:
名も無きAAのようです
:2015/01/08(木) 22:01:57 ID:ZjyyUQREO
もうすぐ1年か…
308
:
名も無きAAのようです
:2015/05/08(金) 00:26:51 ID:xf13qXY.0
作者さん、頑張ってください!
もうずっと次の話待ってます。
というか、せめてハインとミルナどっちが勝つか投下してから休載して!
309
:
名も無きAAのようです
:2015/05/08(金) 20:10:52 ID:53O9cEQU0
俺も待ってます!
310
:
名も無きAAのようです
:2015/08/14(金) 08:09:23 ID:mqg4iSCw0
まだかい
311
:
名も無きAAのようです
:2015/09/17(木) 16:58:39 ID:kM1j7cj20
流石にこの作品は完結望めないかな
残念
312
:
名も無きAAのようです
:2015/09/20(日) 22:06:58 ID:rpVLkbLsO
たったの1年半で何を仰る
313
:
名も無きAAのようです
:2015/09/27(日) 09:07:12 ID:Vvtr0cm.0
もーいーかい
314
:
名も無きAAのようです
:2015/09/28(月) 22:21:43 ID:HO8L5XTE0
だめだよ?
315
:
名も無きAAのようです
:2015/09/29(火) 21:58:03 ID:QOHr0quQ0
えぇっ
316
:
名も無きAAのようです
:2015/09/29(火) 22:19:27 ID:QOHr0quQ0
あげますね
317
:
名も無きAAのようです
:2015/11/12(木) 16:38:44 ID:21bw/oHU0
諦めよう
そもそも現行作品に完結を期待するのが間違いなんだ
318
:
名も無きAAのようです
:2015/11/16(月) 05:18:00 ID:r5itCX7k0
>>317
弱気になんなよ
319
:
名も無きAAのようです
:2016/08/11(木) 03:10:30 ID:Vp0jvDEY0
ハインもミルナもファフニールもモララーも皆クーゲルシュライバーの錆になったことで、脳内完結させました。
320
:
名も無きAAのようです
:2019/01/12(土) 16:37:33 ID:Qabir.yo0
まだまだこれからよ
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