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( ^ω^)ヴィップワースのようです
1
:
名も無きAAのようです
:2013/10/20(日) 22:13:35 ID:mGY.ofts0
【 まとめ様 - Boon Romanさん 】
ttp://boonmtmt.sakura.ne.jp/matome/sakuhin/vipwirth.html
前スレ ( ^ω^)ブーン系創作板過去ログ(第9話〜第11話まで)
ttp://jbbs.livedoor.jp/internet/13029/storage/1339772726.html
前々スレ ( ^ω^)ブーン系創作板過去ログ(第5話〜第8話後 幕間2話まで)
ttp://jbbs.livedoor.jp/internet/13029/storage/1326485180.html
前々々スレ ( ^ω^)ブーン系小説板(第0話〜第5話途中まで)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/37256/1307375951/
127
:
名も無きAAのようです
:2013/11/01(金) 23:42:22 ID:QBm8LrjU0
「おい! こいつを殺さないと―――」
一人がそう言って、剣を手に少しずつ間合いを詰める。
だがまだ幼さの残る顔立ちをした使用人の一人は、気色ばむ他の連中を手で制す。
その瞳にありありと浮かぶのは憐憫、哀れな捨て犬へと向けられるその眼差しだ。
「……見なかったことに。
俺たちは、ここで誰とも会っていない」
少年のような男は、そう言った。
心底、哀れな男だと感じられたのだろう、ふとそう思った。
隣の男の言葉に慌てふためいているのは、昨晩自分のもとに書簡を届けに来た従者。
「それじゃ俺達がッ……お、おい待て!」
128
:
名も無きAAのようです
:2013/11/01(金) 23:43:28 ID:QBm8LrjU0
ランクリフの耳にそんな事が入れば、彼らも部下たちと同じ目に遭うのだろうとは分かっていた。
だが、憐れみをかけられるぐらいならば、自ら死を選ぶ。
そう思って背を向け歩き出したデミタスだったが、それに迫ってくる気配は、いつまで経っても感じられなかった。
(メ´-_ゝ-`;)「……」
足は自然と、丘の方へと引き返していた。
・
・
・
129
:
名も無きAAのようです
:2013/11/01(金) 23:44:51 ID:QBm8LrjU0
―― 夜分【慰霊の丘】――
不思議と、もう疲れも何も感じない身体だった。
いつの間にか死んでしまったのだろうかと思うほど、限界を超えたはずの身は、自由に動く。
無数の碑が立つ丘の上に辿り着いて、周囲全てを見渡してみる。
装備を剥ぎ取られて裸にさせられていたり、あちこちに多方向から剣傷を受けた部下たちの姿があった。
流された多くの血は、もうずいぶんと雨が降っているというのに、濃い赤色がまだ洗い落とされていない。
自分のために踏みとどまって戦ってくれた二人がいた場所には、折り重なるほどの死体。
仲間の死体は連れ帰らぬくせに、敵全員の首から上を、ギレオルの兵たちは持ち去ったようだ。
部下たちの頭部を眺めるのか、はたしてそれを甚振るのか。
狂信者ならば、それくらいしてもおかしくはないだろう。
130
:
名も無きAAのようです
:2013/11/01(金) 23:46:23 ID:QBm8LrjU0
(メ´・_ゝ・`;)「……聞いていたか? お前たち……」
聞こえていなかったのならば幸いだが、きっとあの世では、それを知る事も出来るのだろう。
自分たちの命は、保身の為に使い捨てられたこと。
交渉の道具として、いつの間にやら戦っているはずの相手に譲渡されていたこと。
知ればきっと、あいつらは罵詈雑言の限りを吐き捨てるだろう―――だが、そうされるべきは自分か。
ざく。
(メ´・_ゝ・`;)「……馬鹿だったな。
きっと、甘い餌に浮ついて……変化を求めていたのは……」
ざく。
(メ´・_ゝ・`;)「……一番に、俺自身なんだろう……」
そこらにある剣を拾っては、仲間たちの亡骸の近くに突き刺していく。
131
:
名も無きAAのようです
:2013/11/01(金) 23:47:43 ID:QBm8LrjU0
闇に雨降る慰霊の丘に、デミタスは一本一本、新たな碑を加えていった。
黙々と、一心不乱に、まるで取り憑かれたかのように。
やがて、36本の剣をそこに新たな碑として加えた。
この場所で犬死にさせてしまった仲間の分と、あとの一本は、自分のものだ。
輝かしい日々を誓った栄光の丘は、今では思い出の残骸だけが眠る場所。
自分の最期にも、やはりここが相応しい。
許してくれよ。
一度呟いて、デミタスは足元に落ちていた短剣を拾った。
(メ´・_ゝ・`;)「……待ってろ」
ぎゅう。
132
:
名も無きAAのようです
:2013/11/01(金) 23:48:51 ID:QBm8LrjU0
握りしめた短剣の刃先を、腹部の鎧の隙間へと差し入れた。
ぷつ、と肌が破れると、筋を切り裂きながら、ずぶずぶと刃が押し入る。
自らの血の生ぬるさが、今では手の甲を覆っている。
前かがみになりながらその場で両膝を地べたに突くと、けだもののように、唸った。
「ぐっ……ううぅッ!!」
あと少し―――一気に両腕に力を込めれば、自分も死ねる。
あいつらの元に、逝く事ができる。
さぁ、あとちょっとだ。
(メ#´゚_ゝ゚`;)「ぐうッ、ぅ―――うおおおおぉォォォーーーッ!!」
・
・
・
133
:
名も無きAAのようです
:2013/11/01(金) 23:50:40 ID:QBm8LrjU0
黒の僧衣をまとう男の視線は、自ら命を捨てようとするデミタスへと注がれていた。
「………」
雨の音に紛れ、彼はいつの間にかその場所に立っていたのだ。
デミタス自身はその男の存在に気づきながらも、どうでもよかった。
決死の形相で自分の腹を切り裂こうとするデミタスの表情。
僧衣の男の目には、彼が強い悔恨を抱いていると、所作からだけでもそう感じられた事だろう。
痛みによるものではない苦悶と、目から伝い落ちるのは大きな雨粒。
だが、そこで踏みとどまらせているものがあるのだなと、汲み取ったようだ。
134
:
名も無きAAのようです
:2013/11/01(金) 23:52:37 ID:QBm8LrjU0
(メ´;_ゝ;`)「―――ぐっ、うぅッ……はァッ―――」
―――死ねなかった。
仲間の命に救われて、敵に情けをかけられて。
自ら果てようと刃を握っても、それでもこうして―――生きてしまっている。
これまで自分の元に集って、命を張ってくれた仲間たちの顔がよぎってしまった。
彼らの誇りを、矜持を、栄光を、希望を、命を、全てを失わせた。
その最も愚かな選択をさせてしまったというのが、自分なのに。
それでも死の間際になって、どうしても彼らの背中が浮かんでしまうのだ。
(メ´;_ゝ;`)「………」
デミタスの手から、短刀を握る力が失われた時、背に声がかけられた。
135
:
名も無きAAのようです
:2013/11/01(金) 23:54:13 ID:QBm8LrjU0
「君も、被害者だ」
見たことの無い男―――僧服、こいつも、神とやらを有り難がる連中か。
元々の引き金こそ宗教観の軋轢が一因であるというのに、今は心底どうでもよく思えた。
(メ´;_ゝ;`)「失せろ」
枯れた喉奥から、辛うじて声を絞り出す。
それでも、男はこの場から立ち去ろうとする様子を見せなかった。
むしろ、何かを言い含むような表情で、ただ静かにデミタスを見下ろしている。
デミタスにとっては、それがどうしようもなく邪魔なだけだ。
死ぬことも出来ず、戦う力も失って、その理由さえもはや見いだせない。
ずっとこの場所で、鎮魂の雨に打たれながら、ひざまづいていたい気分だった。
「忌まわしき、かな」
136
:
名も無きAAのようです
:2013/11/01(金) 23:55:35 ID:QBm8LrjU0
(メ´;_ゝ;`)「二度は……言わんぞ」
「……仲間を失った、部下を失った。
ほとんど、すべてのものが失われた」
その黒衣の男の言葉に、自分が馬鹿にされていると感じるよりも、
部下が辱められる事への屈辱を感じて、立ち上がったデミタスは向き直った。
僧衣の胸ぐらを掴んで引き寄せると、その男はまるで枯れ木のように軽く、
片腕でどこまでも投げ飛ばせそうなほどの小柄だった。
「多くの人が尊い、愛する人を、失った。
違わんだろう……?
それは一体―――誰のせいだと思うかね」
(メ#´ _ゝ `)「……貴様ッ!」
137
:
名も無きAAのようです
:2013/11/01(金) 23:56:41 ID:QBm8LrjU0
このまま宙吊りに釣り上げて、この男を殴ってやろう。
そう思いつつも、腕からはすぐに力が抜けていってしまった。
無駄なことなのだ、どうしようと―――今となっては。
「君たちの命を差し出すよう持ちかけたのは、ランクリフ=アズクバル」
(メ´ _ゝ `)「………」
いまさら、それほど驚きはしない。
多分そうなのだろうと思う自分も、どこかにいたからだ。
だがそれを知っているこの男は、何を言いたいのか――。
「そんな彼が信じた聖ラウンジは、より多くの人に救済を―――だったか。
はてさて、信じるものは救われる……だったか?」
138
:
名も無きAAのようです
:2013/11/01(金) 23:58:19 ID:QBm8LrjU0
「神という偶像を崇拝し、祈りという行いを強いては、人の心を手繰り弄ぶ。
彼らこそが虚飾で満ちた存在であり……そしてそれが、強い力をもっているからこそ、たちが悪い」
そこだけ同意見だったが、決して口にはしなかった。
神などという不確かな存在のために頭がおかしくなり、無為に命を散らせるやつら。
そんな馬鹿どものために命を張って戦った挙句、仲間たちは死んでいった――――死なせてしまった。
「ランクリフの屋敷には今、私の同志たちが向かっている。
君たちという盾を失ったのだ―――半刻も持ちこたえられはしないだろう」
領主殺しは死に値する重罪だ。
畏れることなくやってのけることもそうだが、そんな戦力を持つこの男は、何者か。
考えるよりも早く、その情報を自分に打ち明けた事に対して、またも怒りを感じた。
139
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 00:01:05 ID:IlHjHw3s0
(メ´ _ゝ `)「何のつもりで……貴様も、俺に情けを……!」
「それは違う」
若いような、年老いたような、不思議な男だった。
だがその瞳に、強い力だけは宿っているようにも感じる。
無表情ながら、どこか不敵に微笑んでいるようにも。
身に纏う雰囲気は、およそ僧衣に似つかわしくない、胡散臭さを感じた。
「グラシークの北に、本当の神が眠っている。
エルシャダイ―――そこが、私達の聖地だ」
(メ´ _ゝ `)「貴様の妄言に付き合うつもりなど、ない」
140
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 00:02:33 ID:IlHjHw3s0
「いいや、妄言などではないよ。
実存する神だ……聖ラウンジのように、人々の偽りが創り上げたものではない。
いたずらに人を惑わせる禍々しき教典を広めた聖ラウンジも、彼らが各地に巻いた闘争の種火も。
何もかもが―――それによって終わるのだ」
妄言ではないのならば、本気で言っているということか。
思わず釣り上がった口元を見て、黒衣の男もそう言いたげな様子に気付いたろう。
こいつもまた、狂っていやがる。
しかし、でまかせばかりを並べ立てているようにも見えない。
まるで事実として見てきたかのように、言い知れない強さが語調には篭められていた。
「もうじき、君の仲間たちを亡き者とした神を笠に着た争いも、永劫に消え去る」
(メ´ _ゝ `)「………」
141
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 00:03:54 ID:IlHjHw3s0
この男の話している言葉の意味を理解しようという気持ちなど、さらさらなかった。
だがなんとなく、話の流れから自分にかけようとしている言葉は、ある程度予期できた。
煽っているのだ、自分を。
「私と共に、来る気はないかね」
( ´∀`)
一瞬、雨空を駆けた稲光の下に照らされるこの男の表情が、どうしようもなく醜悪なものに見えた。
きっとそれは気のせいではないだろう、だがそいつが、この自分に向かって手を差し伸べている。
お前に戦う意味を与えてやる、そうとでも言いたげに。
142
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 00:05:33 ID:IlHjHw3s0
( ´∀`)「虚飾の神を祀り、力や富を貪っては……争いの火種を生み出す。
かような汚らわしきあの黒の羊どもを、私たちが焼き払う。
その盾として、矛として、今一度剣を取ってほしい」
再び剣を振るう為の力を。
戦う為の舞台を、整えてくれるというなら。
輝かしく、今では思い出と残るだけの日々。
取り戻すことは出来ないと知りながら――――だからこそ戦おうと思った。
当たり散らすようにして、その狂者どもの戦列に加わる。
何を信じて、何を得るため、何をして生きていけばいいのか。
それすらをも見失った自分には、力を与えてくれる狂人の元で、混沌の渦に身を堕とすのも一興に思えたからだ。
143
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 00:07:04 ID:IlHjHw3s0
復讐の、再起。
そんな上品な理想は持たない、なぜなら空っぽの抜け殻なのだ。
戦うことに、理由を求めていたのだろう。
胸に開けられた巨大な風穴を塞ぐのではなく。
開いている事に気づかぬように、疎ましき己を忘れ去るためにと。
( ´∀`)「その志を、共にするならばこの手を取りなさい」
(メ´ _ゝ `)「………」
デミタスがその手を取ったのは、決して志からではなかった。
あるいは利用されるのを知りつつも、彼はそうするだろうと考えていたのかも知れない。
だがデミタスにとっては彼、旧ラウンジ聖教の主教、”モナー=アークテリクス”が、
これから何をしようとも、いかなる黒い思想を抱こうとも―――その時は、どうでも良かった。
( ´∀`)「そうか……我らが神の名を、君にも――――」
144
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 00:08:34 ID:IlHjHw3s0
*
その後、大陸北西部を治めるギレオル=クライセン。
そしてランクリフ=アズクバルの両名が、遺書を残して服毒自殺を図ったという。
御堂聖騎士団が結成されると、急速に軍備を拡大させていく旧ラウンジ聖教の勢いを危惧して、
時の聖ラウンジ司教アルト=デ=レインは、北西一帯に居を構えるモナー=アークテリクスの元に
双方の不可侵条約を提案する書面を送った事がある。
しかし結局は、締結の合致には至らなかったそうだ。
それからしばらくの後、義理の娘一人を残して、アルト司教は病に倒れた。
*
145
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 00:10:23 ID:IlHjHw3s0
― エルシャダイ 【本殿】―
巨大なカーテンの前に立ったその場所で、何気なしに言葉をかけた。
向こう側に眠っているのは、多くの者達が目覚めの刻を待ち望むもの。
確かに、この場所は神々しいようにも感じられた。
だが決して、”これ”が救いをもたらすような存在ではないとも、知っている。
お前なら、どう思う。
死に場所を探している訳でも、戦うことに理由を持つ訳でもない。
意味もなく、忘我して、ただ喪失感という隙間を片時埋めたいがために。
信頼してくれる部下たちに接する時にも、へどが吐きそうな任務の時にも。
冷えきった自分の心だけが、勝手に否定してくれた。
あの時と今のお前は違うのだと、陰惨な仕事に手を染める自分に、仮面を被せてくれる。
どこかで俺を見ている奴らに対して、顔向けも出来ないこちらとしては大助かりだ。
(´・_ゝ・`)「どうしようもなく、下らない」
146
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 00:11:02 ID:mXehpqso0
支援
147
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 00:11:39 ID:IlHjHw3s0
周囲に立ち込める空気が膨らんでは、まるで押しつぶされるような。
異形の強圧、その威圧感に飲み込まれる事なく、心の中で投げかけた。
お前は、何の為に生きる。
きっと俺たち人間のように、全てにおいて理由など求めることはないのだろう。
瑣末な事でくよくよと頭を悩ませる、ちっぽけな生き物だとせせら笑うのだろう。
(´・_ゝ・`)「ファフニール。
お前なら、きっとそう言うんだろうな」
出来る事なら、一度会話を交わしてみたいものだと思った。
148
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 00:12:29 ID:IlHjHw3s0
( ^ω^)ヴィップワースのようです
幕間
「栄光の丘」
-了-
.
149
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 00:26:09 ID:pC6LCt2.0
乙
150
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 00:29:45 ID:4N7J/rLk0
乙乙
151
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 00:56:22 ID:M4SWQjs6O
ω;`)デミタス…
152
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 01:08:52 ID:IlHjHw3s0
_ゝ;`)うっ
153
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 03:47:30 ID:zossKlsA0
・゚・(つД`)・゚・
154
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 13:22:12 ID:IlHjHw3s0
酒を飲みながら無職を謳歌するのが忙しく、そういう実生活の都合で
次回の投下は年内投下は危ういかも知れないです……
書きながらなぜか俺が嗚咽した総合短編のすあまも見てやってねw
155
:
名も無きAAのようです
:2013/11/02(土) 14:56:50 ID:M4SWQjs6O
作者どんどんうまくなっていっとるww
156
:
名も無きAAのようです
:2013/11/03(日) 02:16:29 ID:5nAz8BwA0
おつ
色んな人の人生が重いな
157
:
名も無きAAのようです
:2013/11/03(日) 08:25:48 ID:hGnYcb6g0
すあま良かった。
淡々と話が進むけど、ちゃんと脳内に情景も浮かぶ。
君の文体凄く好き。
こっちも好きだけど、ビップワースが完結したら、すあまみたいなのも書いて欲しい。是非読みたい。
158
:
名も無きAAのようです
:2013/11/03(日) 14:21:46 ID:Xppk02nM0
多謝……多謝……
朋友……朋友……!
まずは終わらせられるように頑張りたいと思います
そして群像劇ものは次は絶対かかないぞ
159
:
名も無きAAのようです
:2013/11/03(日) 17:37:22 ID:bCr1w4RcC
('A`)と川 ゚ -゚)のやつも忘れないでね
160
:
名も無きAAのようです
:2013/11/03(日) 23:58:09 ID:5u5hixAIO
ω・`)まだまだ描かれてないの多いね。
ω・)ヒロユキの真相・龍族の生態・ロマの消息・モララーの目的・聖ヤルオ神の善悪・シオンの怨・エクスト絡み・アラマキの意向・別大陸・ショボンの家族…
161
:
名も無きAAのようです
:2013/11/04(月) 01:16:15 ID:lxjDAdms0
/)
///)
/,.=゙''"/
/ i f ,.r='"-‐'つ____ こまけぇこたぁいいんだよ!!
/ / _,.-‐'~/⌒ ⌒\
/ ,i ,二ニ⊃( ●). (●)\
/ ノ il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
,イ「ト、 ,!,!| |r┬-| |
/ iトヾヽ_/ィ"\ `ー'´ /
>>160
なんて言えません、停滞していてグサリとくるものがいくつか…
とりあえず致命的なミスを犯してなければ、今後繋がって、消化していけるかなと
ほぼ登場人物はできったので、ちゃんと動かしてやらないといけませんね
162
:
名も無きAAのようです
:2013/11/05(火) 18:43:27 ID:9RVRQTcgO
ω`)すみません、最初からのファンなもので…
163
:
名も無きAAのようです
:2013/11/05(火) 22:24:33 ID:C/E3khyQ0
>>162
ずーっと、壁から覗いてらっしゃいましたよねw
自分ではさほど気にしてなかった部分も、他の人から見たら違うんだなと
( ゚д゚ )ハッとさせられる思いですので、こういうご指摘非常にありがたいです!
次は間隔開くと思いますので、また忘れた頃に見てやって頂ければ・・・
164
:
名も無きAAのようです
:2013/11/10(日) 03:46:43 ID:LlwKK6iU0
時々別府の方も覗いてるんだぜ
がんばってくれよ
165
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 02:54:18 ID:On.hHc8M0
( ^ω^)ヴィップワースのようです
幕間
「夜(1)」
.
166
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 02:57:04 ID:On.hHc8M0
自身でも気づかぬ内に、時折その場に足を止めては、考えに耽(ふけ)った。
こうして、昔のように思念に囚われる機会が増えたのはつい最近になってからの話だ。
今でも思い出す。
何を成すために生まれてきたのか。
そうやって、自らの存在意義に疑問を投げかけ続けていたあの頃を。
不死者は、夜を往く。
(きらびやかな街も……少し離れた場所では、こんなもんかねぇ)
視線を脇目に振ると、朽ちかけた亡骸が視界の端に引っかかった。
167
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 02:58:47 ID:On.hHc8M0
首を矢で射られた老馬の死骸に倒れこむ亡骸は、腹を貫かれて最期を迎えたようだ。
死が訪れる間際の恐怖か、あるいは痛みか。
眼は大きく開け広げられ、口元は苦悶に歪み固められていた。
だが、気に留めることはなく、歩みを止めることもない。
捕食者にとっては、人間の命への価値観などその程度。
路傍の石ころも同じ光景だ。
多くの眷属たちによる祝福の中で、夜の闇に生まれ落ちた。
その瞬間からすでに超越者としての定めにあった、この自分にとっては。
人間など及ぶべくもない、それほどに、個として圧倒的過ぎた。
168
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:00:05 ID:On.hHc8M0
だからこそ、かつての自分は嘆いたのだろう。
自身を脅かすものなど無く、まして、力を育む必要すらない。
玉座にありつづけるだけの怠惰な日々の、なんと退屈なことか、と。
その時から、無味乾燥した日常を離れる決意は膨れ上がった。
すぐに行動へ移すと、気まぐれに人の世へと紛れて、身を隠した。
そこには―――発見があった。
自らが飽き果てるほども食らってきた、人間という生き物。
下等な存在と見下し続けてきたはずのそいつらが、実に面白い種であるということを。
(ホントに弱い……弱い、生き物)
通り過ぎる間際で、路傍の石に一瞥した。
169
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:01:30 ID:On.hHc8M0
くだらない。
虫や、鳥獣などと変わりない。
並以上の力を持った妖魔であれば、人間に対してはおしなべてその程度の認識か。
ならば自分はかつて、尚更のことそう思っていたのだろう。
(……だが)
そんな認識も、今や捨て去らねばならない過去のものだった。
か弱い分際にありながら、時として、人とは種の限界をも越えた力を揮(ふる)う。
170
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:03:09 ID:On.hHc8M0
未知なる力を、人は秘めている。
その扉から、連中の力を引き出す鍵。
形状はどのようなものであり、どこにあるのか。
多くの期待をはらんだ疑問は、尽きることがない。
そう、あの男との戦いを経てから、人間にはますます興味が湧いていた。
容易く吹き消える命であるからこそ、人は、人ならではの強さを持っているのではないか。
侮りがたく、ともすれば好敵手にも相応しい存在ではないのか―――と。
そうと気づいてからは、いつしか、浮かぶ疑問はすり替わっていた。
自分が生きている事への意味から、人間たちが持つ強さの理由のほうに。
なぜだか、長年のもやもやの答えも、そこから生まれそうな気がした。
171
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:07:22 ID:On.hHc8M0
人の世に、仇なし続けること。
(それが……いいんじゃねぇか―――)
人を食い散らかすばかりが、自らが在るべき理由ではないはずだ。
そこで、彼らと戦い続けることではないのか。
それにこそ、自分の求めてきた答えは埋もれているのかも知れない。
―――不意に、きぃきぃと蝙蝠たちの鳴き声が聞こえた。
それらは、一羽たりとて夜空に羽ばたいていく事はない。
枝にぶら下がる彼らが煌々とした瞳を向ける先には、王の姿があるからだ。
遍く夜の支配者に拝謁賜った彼らは、微動だにせずその闊歩を送り出してくれた。
从 ゚∀从「そう思うだろ、お前たちも」
172
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:09:12 ID:On.hHc8M0
ヴィップを発った後、気まぐれに訪れた農村をぶらりとうろついてみた。
何一つも刺激がなく、得るものもなかった事から、すぐに村は後にした。
そして今は、ひたすらに西を目指している。
気まぐれに当て所のない旅をする事は、これまでにもままあったことだ。
ただ今回は直感に身を任せて、それに従うようにして歩き続けた。
この先で何やらきな臭く面白い事が起こりそうだと、勘が囁いたからだ。
少しだけ、胸は期待に膨らんでいた。
あの男、あの連中のように、自分を楽しませてくれる人間が現れるのではないかと。
猛々しく名乗りを上げながら、最後にはたった一人、実力で自分を倒してのけた。
今にして思えば、かつて自分を破った男ほどには、練達した剣の使い手ではなかったはずだ。
それでも決着の直前、あの時にも似た興奮が確かに去来したのだ。
173
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:10:23 ID:On.hHc8M0
ある日の、どこかの戦場での出来事だったか。
幾多の人間を血で染め上げて、また自らも無数の剣に貫かれながら、感じていた。
胸の奥から突如噴き出した高揚が、朱と紅に染まる頬の上から、熱い風を撫で付ける感覚を。
死を覚悟して撃ちこんでくる者たちの戦列を打ち崩しながら、湧き上がったのは征服感。
目の前で幾つもの命を散らしながらも、だが同時に訪れたのは、知った事のない感情だった。
もしかすると、死ぬのではないか。
次の瞬間には、二度と目覚めが訪れることのない一撃が来るのではないか。
だが臆しているわけではなく―――むしろ、それに満たされていた。
さほど執着もなかったはずの生と死が入り乱れさなかでは、初めての恐怖と喜びとがせめぎ合って。
互いの全存在を賭けて戦う事への喜びに目覚めた時、確かに自分は吠えていた。
それこそ自身にとって、この世に生まれ落ちて二度目に上げた産声なのだ。
174
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:11:57 ID:On.hHc8M0
破滅する事への願望があるわけではない。
ただ、散りゆくその瞬間にこそ、命は一際の光彩を放つ。
その時人間は、自身の想像を遥かに凌駕した力を見せてくれる。
そんな戦いの中でこそ、自分は生きていると思える。
生と死の狭間で無為に永らえ続けるだけの命に、価値を見出す事が出来る。
人が死を免れようと抗うさまに、愉悦を感じているのだろうかと考えた事もあった。
だがあの連中との戦いを経て、やはりそうではないのだと結論付けることにした。
極限の緊張感の中、生涯最後となろう一撃を放つ瞬間、人は全てを賭けてくる。
そこから生を拾うため、どうでもいいほどに短い余生を繋ぎ止めるため。
もしかすると、もっと下らないもののためかも知れないが。
それらの強い命を吹き消す度に、充足を得る。
自分もまた、高みへと昇っていけるような気がした。
175
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:13:00 ID:On.hHc8M0
互いの生死を分かつ刹那を迎える瞬間。
その時の自分の表情には、きっと自然に笑みがこぼれているのだろう。
恐怖や、絶望。
あるいは―――死。
そんな、自分にはないものを与えてくれるのではないかと、期待を寄せてしまう。
从 ゚∀从(そういや……あいつは、まだ生きてやがんのかな)
初めて人間に倒された時は驚愕のあまり、ただ忘我したものだった。
176
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:14:04 ID:On.hHc8M0
衝動に駆られて夜道で襲った、たった一人の人間に返り討ちにあうなどと。
面と出くわした吸血鬼始祖を、仕事帰りついでで斬れるような男など、一体何人いることか。
だが二度目の敗北では、屈辱や、怒りなどといった感情をも超えていた。
人という種に、その戦いに、賛辞すら送りたいと。
何が、お前たちを強くさせるのか。
戦いのさなか、思惑の中ではとうにあの男は這いつくばっていたはずだ。
そうして、他の弱い人間同様に命乞いをするだろうとばかり思っていた。
だが、一度は死に瀕する程の痛みと恐怖を与えても、なお立ち向かってきた。
たじろぐこともなく、ひるむこともなく。
やはり、昏き生涯に唯一熱を与えてくれる存在。
だからこそ、その人間達を間近で観察する事が趣味となってしまったのか。
気づけば、頭上の月は満ちていた。
177
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:16:03 ID:On.hHc8M0
从 ゚∀从「仲間……ねぇ」
弱く、もろい肉体。
儚く、あっけない命。
それでも、自分と互角に渡り合えるものは、確かに居た。
その力の源流が、どこから湧き出ていたのか。
そしてそれは、あのブーンたちと同じものなのだろうか。
知るすべは、やはり自らを戦いに投じ続ける道しかないのだろう。
そうして、薄っすらと月明かりが差すあぜ道のでこぼこを、ゆっくりと踏みしめた。
ただ生き続けるだけの日々、安々と吹き消えはしない命としての軽さ。
そんな自分のような種に、生の実感を与えてくれる人間と、出会いに行くために。
彼らの曖昧な力は、自らを昂ぶらせて止まないのだ。
178
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:16:51 ID:On.hHc8M0
从 ゚∀从「………」
ふと、鋭敏な感覚が一人の男の気配を捉える。
双眸に宿す昏く沈んだ光が、まっすぐにその方向へと向けられた。
一人の男が、歩いてくるのが解った。
( )
不意に、欲求が湧き上がる。
定宿を持たない自分には、久方ぶりの旅はある種の開放感をもたらしめたようだった。
血への渇望だ。
179
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:19:13 ID:On.hHc8M0
从 ゚∀从(そういえば……マドマギアじゃあ人間の食い物を口にしてばかりだったっけな)
人の社会に溶け込む術は身につけている。
空腹感を満たすのには、彼らの食事でもって補うこともできた。
だがそれだけでは、渇く。
疼きを止めるには、至らないのだ。
ざっ、と一歩を踏み出すと、視線の先に立つ男を正面から睨めつける。
( )(………)
180
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:20:32 ID:On.hHc8M0
男の姿は、半分だけ月明かりに照らされている。
遠目からでは目を凝らしても、その表情までは浮かび上がらなかった。
从 ゚∀从(どれ……久しぶりに)
”食事”を思い立った自分がその場で足を止めたのを、向こうから来る男も気付いたようだった。
咄嗟に、良からぬ気配だと感じ取れたか。
そして、その勘は正しい。
数ある人にとっての天敵の中で、最も悪い部類に属するものと鉢合わせたのだ。
それこそが、男の不運。
181
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:21:38 ID:On.hHc8M0
踵を返して逃げようとも、あるいは素知らぬ振りをして通りすぎようとも。
瞳に真紅を宿したヴァンパイア・ロードからは、死を免れる術などない。
从 ゚∀从「………?」
だが、様子がおかしい。
( )
男の元へと押し寄せる、殺気の奔流。
たとえ種は違えど、それに気づかぬはずはない。
182
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:22:20 ID:On.hHc8M0
今も、男はその場に立ち尽くしていた。
こちらの様子を伺うかのように、動きを見せる気配もなく。
あるいは呆れるほどに感覚の鈍い男か。
だが、そうでないとしたらどうだ。
閃きにも似た考えが浮かんだ時、男はそっと歩み出る。
やがて月明かりのもとで、その疵面が露わになった。
( ゚д メ )
183
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:23:48 ID:On.hHc8M0
黒ずんだ麻袋を背負い、袖の破れた武道着に身を包むのは、傷が片目を覆う男。
一目に頑強そうなその男は、恐らく剛胆であり、限りなく自信に満ちあふれていた。
夜に閉ざされた街道を一人歩く黒衣の女の姿を、訝しむでもなく。
自然体と言ってもいいだろう。
表情が強張るでもなく、警戒に身構えるでもなく。
ましてや心にさざ波一つ立てるでもなく、ただこちらを見下ろしていた。
落ち着き払った立ち居振る舞い。
まるで、うつろう大気のようにも空虚な男だ。
だが瞳の光には、猛禽以上の鋭さを宿している。
敗北の代償に、己の命を差し出すような鉄火場にも慣れている男だと解った。
184
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:25:26 ID:On.hHc8M0
この疼きが、物語る。
目の前の男の強さは、きっとこの200年を見渡しても存在しなかったと。
人の身でありながら―――人ならざる力を感じるほどにも。
その面構えをしっかりと確認すると、顎を引きながら口元に笑みを浮かばせた。
从 ゚∀从「………よう!」
鋼のような密度に固められた、上腕。
野生動物のそれに劣らぬであろう、健脚。
生命力と強さに満ち溢れたその男の肉体を目の当たりにした時、溢れだした。
吸血鬼の本能を抑えつけるほどの、際限なき闘争への欲求が。
もはやそれを留める事は出来そうにない。
185
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:27:16 ID:On.hHc8M0
( ゚дメ )「……人、ではないな」
从 ゚∀从「あ・た・り♪」
( ゚дメ )「道を譲るつもりもないんだろう?」
从 ゚∀从「それも当たりさぁ。
あっ、そうそう、俺はハインリッヒってんだ」
( -дメ )「知らん名だな」
その場にどさりと麻袋を放り捨て、男は深くに腰を落とした。
こちらの殺気を掻き消すほどの闘気が途端に流れ込むと、蝙蝠たちはざわめき始める。
186
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:28:21 ID:On.hHc8M0
男の手の中には武器などなかった。
ただ空を手に、徒手で吸血鬼始祖と渡りあうつもりなのだ。
だが、それがいい。
それでもきっと、渡り合うだろうと思えた。
从 ゚∀从「かっかっか。
さて―――」
片足を踏み込むと、10歩の距離を一度に詰めるほどの勢いで飛び出す。
背を包む外套の端が、瞬時に急激な風を受けてはためく。
何一つ脇目をふる事なく、地に沿うようにただその男の元へと疾駆した。
187
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:30:32 ID:On.hHc8M0
( ゚дメ )「ミルナだ。
――――来い」
出会いは、いつも唐突に訪れる。
今日という日は、きっと最高のものになりそうだ。
さぁ、お前の戦いを見せてくれ。
从*゚∀从「ちょっぴり……味見させてもらおっかなぁぁぁッ!!」
夜空に舞い踊る黒い翼は、自身の歓喜で翻っていた。
188
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:31:56 ID:On.hHc8M0
( ^ω^)ヴィップワースのようです
幕間
「夜(1)」
-続-
.
189
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:35:01 ID:On.hHc8M0
本編から逃れてちびちび書いてたら形になってしまったので、年内最後の投下でした。
Nexus7を購入予定なので、しばらくは読者として快適なブーン系ライフを送れそうです。
よいお年を!
190
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 03:36:25 ID:a412PFGs0
相変わらず夜中に
この二人の対戦はヤバすぎるな
おつ! よいお年をー
191
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 08:58:17 ID:HrAoYGJM0
乙
192
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 13:29:38 ID:nzlpC4B.O
乙!
193
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 17:16:03 ID:YoRuDodsO
ω・;)乙。どっちが強いのだろうとは思っていたが…。ハインガンバレ。
194
:
名も無きAAのようです
:2013/12/29(日) 21:57:59 ID:G21/Ij6w0
夢の対決だ
195
:
名も無きAAのようです
:2013/12/30(月) 14:27:47 ID:RkBLmpQw0
おつ
196
:
名も無きAAのようです
:2014/01/08(水) 19:57:58 ID:npfp8pSY0
ふとした閃きでようやく完結までの納得いく構想が湧いたったw
本当は20話記念で投下した回以降の話が核になるかと
色々話を繋げなきゃないんだけど、長編書く時間が取れないので2024年度中には……
197
:
名も無きAAのようです
:2014/01/08(水) 20:26:07 ID:RosdeIGMC
あと10年もかかるのかよ、間違いなく最長連載記録になるな
198
:
名も無きAAのようです
:2014/01/08(水) 20:44:54 ID:L3TbxrVc0
10年くらい短いもんよ
199
:
名も無きAAのようです
:2014/01/09(木) 01:19:18 ID:Jgwi3bJ.O
ω・)てか構想できてなかったのかwww
200
:
名も無きAAのようです
:2014/01/18(土) 21:48:59 ID:Jtx7saTgC
55%分なら今日、明日にでも投下可能ときいて
投下前の支援
201
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 01:01:15 ID:DpHggIRM0
あと25%っすわぁ
コーヒー買ってくる
202
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:17:59 ID:DpHggIRM0
比類なき速度。
筋肉、目線の動きに注視する。
――見てからでは、間に合わないと悟った。
从*゚∀从「ひゃあぁぁッ!!」
ひん、と耳元を風が抜けていく。
頬の肉すらこそぎ落とされるような錯覚に、事実、それだけの威力を持つと確信した。
刃と違わぬ威力を、この細身から容易く生み出しているのだ。
力を組み上げる動力が、そしてその容量自体が、人のそれとは比較にならない。
瞬時に必殺の一撃を繰り出せるだけの肉体の芯の強さだけではない。
的確に急所を捉える目の良さも、動物並の反射神経も、身体の柔軟性も常軌を逸している。
203
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:22:57 ID:DpHggIRM0
もしも人が人としてここまでの高みに立てるのならば、男闘虎塾など、とうに看板を降ろさなねばならないところだ。
だがこいつはただの化物。
常識など通用しない、人という枠組みの埒外に存在している。
かような女の見た目に惑わされるようなことなど、決してあってはならない相手だった。
拳、手刀、肘鉄。
叩き落とし、払いのけ、身をかわした。
( ゚д メ )「……ッ!」
204
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:24:38 ID:DpHggIRM0
そこでだらりと両腕を下げた化物が、下から舐めるように顔を覗きこんでいた。
一息に三発の致命打を繰り出した今のですら、ほんの小手調べといったところか。
そして、どうやら俺は奴のお眼鏡にかなったとみえる。
从* ゚∀从「へぇッ?」
だが、連撃はまだ終わっていない。
油断を誘って貫手が眼窩を狙いすましてきた一瞬、身を捻りながら拳を合わせる。
頭蓋の一部を破砕した感触。
それはひどく鈍い、不気味な音。
一切の加減を省いた”鉄撃”は、相手が人であるならば命にまで届く。
そんな会心の一打に手応えを得ながらも、微塵も気は抜けなかった。
从 ∀从「――かっ、かかっ」
205
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:26:45 ID:DpHggIRM0
頭蓋を砕く音を鳴り響かせてさえ、この化物は平然としていた。
衝撃に一度顔を背けた後に向き直り、それでも、笑みを浮かべて。
この不死身は――――厄介だった。
从 -∀从「んっ……いやぁ、スゲェ偶然なんだけどな」
从 ゚∀从「お前みたいな奴とヤリあってみてさぁ。
俺の意外な弱点が判明しちまった事に、今は驚いてる」
( ゚д メ )「………」
首を鳴らしておどけるような仕草を見せながら、今も纏う、つかみ所のない殺気。
206
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:28:07 ID:DpHggIRM0
中身は化物であるというのに、一見すれば外っつらは人間臭い。
それが人間の言葉を理解しているのだから、面倒な奴だった。
いつか、座学の師に聞いた事がある。
知能の高い化物は巧みに人を欺き、自らを擬態させるための皮を被る。
そこから、移ろいやすく崩れやすい人の心をも壊しにくるのだと。
恐らくこの見た目にほだされ、油断して殺された人間は数え切れないほどに登るのだろう。
ためらう感情も持たず、残虐に、それを嗤いながら実行できる相手だと思えた。
从 -∀从「斬られりゃすぐくっつくけどよぉ、殴られんのって……案外痛ぇのな」
207
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:29:23 ID:DpHggIRM0
痛みや怒りに任せて攻撃を仕掛けてくれればまだ楽なほうだ。
だが、全てはこいつ自身の単なる気まぐれなのだろう。
言動と行動の不一致、それこそが恐ろしい。
化物なりの感情というものを、人が想い描くものに当てはめてはならないのだ。
それを覗きこんでいる時、きっと向こうからもこちらを伺っている。
从 ゚∀从「ったく……治りも遅ぇし、こりゃあちっとばかし相性悪ぃや」
( ゚дメ )「ほぉ」
だからこそ、耳を貸すつもりは毛頭ない。
間合いなど関係なく、どこからでも死に至る打撃を仕掛けてくるのだろう、今にも。
つぶさに動きを観察しては、その瞬間を待ち伏せる。
208
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:30:40 ID:DpHggIRM0
手元に引き寄せられて掴まれれば、そこで勝負は終わる。
難なく首をへし折られて、俺は死ぬだろう。
全面に出て肉弾戦に応じる風を装いながら、その実、奴の攻撃を誘って迎え撃ち続けるしかない。
从 ゚∀从「けどよぉ――もっとだ。
もっと、見せろよ」
身体能力においては、この自分をして互角といえるかどうかも疑わしいが。
それでも、血反吐を吐きながら叩き上げ、精神をすり減らすと共に磨きぬいてきたこの肉体。
その場所に宿る武だけは、決して裏切らない。
从 *゚∀从「お前も結構――イイ線いってッからよぉッ!」
209
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:31:46 ID:DpHggIRM0
( ゚дメ )(そら来た)
切れ味は刀、重さは鉄槌。
飛び上がると同時、そんな右の足刀が空を切り裂く。
微かでも初動を見切るのが遅れていれば、首から上はそこらの茂みへと転がされていただろう。
それを下がるのではなく、逆に高めから放たれた軌道を読み切っては、潜り抜けた。
すかさずに地を踏みしめ叩き込んだ”裡門(りもん)”は、奴の痩身を吹き飛ばすのに余りある威力だったようだ。
从 * ∀从「ごッ―――オボォッ!!」
転がりながら吹き飛んでいく奴の表情には、未だ貼り付いた笑みが離れない。
それはきっと、余裕とは違う。
むしろ自分自身が痛めつけられる、その過程すらをも楽しんでいるのだ。
210
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:33:00 ID:DpHggIRM0
( ゚дメ )(戦闘、狂か)
自分の口からそれが出そうになって、思わず舌打ちした。
同族嫌悪というやつか。
俺もまた、拳を交える事を楽しんでいたような男だった。
今でこそ、遠い昔のことのように思えるものの。
だがそんな日々を過ごす内、武はこの身に宿っていった。
いつしか、日常生活の何気ない仕草よりも馴染んでしまっていた。
そしてそれが今、奴によって放たれる致命打の数々を確実に打開してくれている。
この瞬間を生き続けるための術を、呼吸を、間合いの取り方を。
死なないための戦い――細胞の一つ一つが、俺にそれを教えてくれている。
211
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:36:45 ID:DpHggIRM0
( ゚дメ )「同撃で叩きこんだはずだがな。
俺の裡門をして、数秒とは恐れ入る」
从 * ∀从「……くく。
あ、あはっ」
力、速度こそ冷や汗ものだが、女の化物はまるで素人同然の動きだった。
裏を返せば、つけ込むべき隙はそこにしかないという事だ。
打撃だけでは討ち果たせない、この不死身の肉体。
命を持たぬ存在――不死の妖魔。
だからこそ、やりようはある。
”螺旋の力”が持つ強い生命力は、それに対して絶大な威力をもたらしめるからだ。
いやいやに座学で学んできた知識が、ここに来て役立ってくれた。
そんなものは必要ないと喚き散らしていたあの頃の自分を恥じては、拳をより固く結んだ。
212
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:38:59 ID:DpHggIRM0
( -дメ )「大した化物だ」
(−――それでも、俺以上と言えるのかな―――)
浮かんだ雑念を構えと共に振り払って、上体を深くへと落とす。
偉大な師や、共に励まし合い支えあった門弟たち。
極限を追い求めて苛め抜き、それに応えてくれた自らの肉体に、今は感謝だけを贈ろう。
ひとたび外してしまえば以降は警戒される。
ゆえに、一撃必殺をもってこいつを葬る以外にない。
言うは容易い。
行うは、獣道。
213
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:40:11 ID:DpHggIRM0
从 *゚∀从「あはは、クソがッ……これ、いってぇなァッ!」
( ゚дメ )(通ずる……か?)
数刻は意識が混濁するような一撃をものともせず、翼のような外套をはためかせ、再び襲い来る。
見れば、先ほど砕いたはずの頭蓋も元通りの形を保っていた。
今この時すら、身に受けた傷を修復させているというのか。
( ゚дメ )(……いいや、押し通す)
化物との立ち会いは、この夜が初めてではない。
今ほどに危うい状況をも、生き抜いてきたと自負があった。
忌々しくも、感慨深いあの夜がよぎる。
214
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:42:17 ID:DpHggIRM0
自らの命を省みぬ明日なき戦いの末に、俺を呪って死んでいった。
傲然と月に吠える奴の姿は気高さを伴って――未だ、俺の脳裏を過ぎて離れない。
奴は不死身ではなかったが、その牙も爪も、ひたすらに恐ろしかった。
だがあの時も、今も。
俺に言わせれば、どれも同じ夜。
从 *゚∀从「そろそろ俺にも殴らせろよ」
215
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:43:58 ID:DpHggIRM0
月の見える夜は、何故だかあいつの事ばかりを思い浮かべる。
あいつはずるく、臆病で、今の俺のように狡猾な戦い方を嫌っていたのではないか。
あの魔狼ならば、俺のようにちまちまと死なないような戦いをするのではなく、
きっと胴体を刺し貫かれてでも、奴の首元をごっそりと噛み千切っていただろう。
奴には、守るべきものがあったのだろうか。
なかったからこそ、俺のような人間に討ち取られたのかも知れない。
あるいは、俺はあいつに―――
216
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:45:37 ID:DpHggIRM0
( ^ω^)ヴィップワースのようです
幕間
「夜(2)」
.
217
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:46:39 ID:DpHggIRM0
从*゚∀从「よけんなよ?」
再度、雑念を遮断する。
右の瞳から伝達された情報が直接体に叩きこまれると、奴の拳を自然にいなしていた。
( ゚дメ )「その馬鹿力じゃあ、お断りだな」
幾万もの反復の末に染み付いた動作が、身体を支配する。
その場で打ち下ろした両足が、地を沈み込ませる。
凶悪なまでの破壊力を持つ力場を生み出すと、組み上げた力を、あとはそのままぶつけてやるだけだ。
体を開いてその先に伸ばした右腕の指先から、そっと押し出した。
218
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:47:49 ID:DpHggIRM0
从 ゚∀从「……あン?」
ぴとり、身に寄せられた掌。
それが何の苦痛ももたらさない事に、化物は一寸顔をしかめた。
だが、すぐに理解る。
これはほんの僅かな初動に過ぎないという事を。
( -дメ )(――――”崩撃”)
どんっ。
从)))゚゚∀゚゚)))从「カ―――」
219
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:48:56 ID:DpHggIRM0
腹部に撃ち込まれた勁は、すぐに全身にまで衝撃を伝播させ、浸透させていく。
岩間から染み出す清水のようなちっぽけな力の流れは、やがて堰を切った濁流へと姿を変えゆく。
一拍の間を置いて、爆発的な力の流れに抗えぬまま、化物の身は弾き出された。
普通ならばこの時点で吐瀉物をまき散らしてぶっ倒れているはずだけに、やはりあらゆる攻撃が効果薄か。
夜天に吸い込まれていく化物の顔は、まだ嗤っていた。
从; ∀从「―――ァッ……ハッ!」
だが、こいつにとっての苦痛は更に続くのだ。
途切れさせる事無く、力の流れを繋ぎ止める。
220
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:49:57 ID:DpHggIRM0
流るる水のような一連の動作。
その全ては、一つの技を作り上げるためにのみ集約されている。
次いで、浮雲の如く―――。
( ゚дメ )「……ふッ!」
広く、深く踏み出した一歩。
化物が吹き飛んでいく勢いよりも疾く、その脇を抜けた。
地面に倒れこむ事などさせはしない。
从; ∀从「な、ん……ッ!」
221
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:50:58 ID:DpHggIRM0
(#゚дメ )(――――”雲身”)
すでに必殺の下準備は終えられた。
不動たる山々。
その頂きに架かる浮雲を掴んで集めるほどにも困難であったこの技―――
今では、こんな化物相手にも通用するレベルにまで練り上げるに至った。
それを考えると、鍛錬に打ち込む日々の中で身体に刻んだ、古傷の一つでさえも愛おしい。
大地に根付いた下半身。
突き出した俺の肩と背には、骨の軋むほどの衝撃が重くのしかかる。
そこへ、奴の背骨がめきめきとへし折れる音が、感触と共に伝わった。
222
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:51:55 ID:DpHggIRM0
从; ∀从「―――――ッ!?」
(# ゚дメ )(技なき力は無力なり)
絶息して詰まらせた声なきうめきが耳元に響く。
行き着く先を見失った力の流れは、今、奴の体内でうねりを作り出していた。
終着点は、外だ。
荒れ狂う力の全てを、体外へと押し出してやる。
(#゚дメ )(力なき技も、また無力)
背骨を反り返らせる奴の全身を、土をえぐりながら、まだ中空へと押し留める。
223
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:53:24 ID:DpHggIRM0
己の肉体に言い聞かせた。
今の自分は、天体儀のようにまるい、まるい球であるのだと。
淀みなく、滑らかな円の動きを、頭の中で掴みとる。
力強く、揺るぎない真円を肉体で描いた先、奴と再び目が合った。
驚くべき耐久力。
そして、この状況からでも反撃を仕掛けてこようとする精神性。
こいつの異常なまでの闘争への意欲は――化物にしておくのは惜しい。
しかしこちらは既に、最速に届いた。
从#゚∀从「―――のッ……やッ……!」
224
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名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:55:37 ID:DpHggIRM0
夜天に溶け込む奴の黒い外套が、翼を広げた生き物のように視界を覆い尽くす。
背骨をへし折ったばかりだというのに、瞳を赤く輝かせながら、口元には変わらず笑みを零して。
それでも、円の動きで最速を掴んだ俺の動きに、奴の振りかぶった拳は追いつけない。
とんっ。
(#゚дメ )(即ち――――技は、力の中に在り)
真正面を捉えた。
土手っ腹にあてがわれたこの両の掌には、猛(たけ)き虎。
―――否。
(#-дメ )「”白虎”」
225
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名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:57:22 ID:DpHggIRM0
その毛並みが月にはよく映える、白き魔狼の牙が宿っている。
(#゚дメ )「”双掌”ッ!!」
从; ∀从「…………!?」
指先に模られた三角形。
足元から全身へと伝播する莫大な筋肉負荷を、弛緩させ、受け流した。
その全てを、再び体内へと打ち込む巨大な勁力へと換えて、解き放つ。
崩拳(ぽんけん)、穿林(せんりん)、白虎(びゃっこ)。
それら極限まで磨きぬいた三つの技からなる、肉体に致命的内傷を及ぼす技だ。
226
:
名も無きAAのようです
:2014/01/19(日) 14:59:02 ID:DpHggIRM0
奴の体内に浸透している力のうねりは勁力に感応し、胸から背中にかけて指向性を持ち、抜けていく。
その入滅の余波が引き連れるものは、全身の血液が沸騰し、逆流し、肉体が四散するかのような感覚。
恐らくは、死ぬほうがマシだと思えるほどの痛み。
そしてあいにくと、こいつは死ねない身体なのだ。
从;゚∀从「………ッ」
ぱくぱくと、何事かを口にしようとしていた。
さしもの化物と言えど、呼吸のままならないほどの苦痛は初めての事か。
化物も息をするかどうかなど知りはしないが。
だがその瞳には、驚嘆の色がありありと浮かんで見えた。
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