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マト ー)メ M・Mのようです

345名も無きAAのようです:2014/01/18(土) 19:40:44 ID:un0.uF.U0


  その時、僕は思っていた。

  もしかしたら、と。
  もしかしたらこのまま僕の父のことも彼女の記憶のことも何もかも、ずっと見つからないままなんじゃないかと。
  もしかしたら見つからないままの方が良いんじゃないか、なんて。 

  はっきりと自覚していたわけではなかったし、また当時の僕は決して認めようとはしなかったが、そんな思いを抱いていた。
  思ってしまっていた。


  かつて変わり者の哲学者はこう言った。
  「地獄とは他人である」と。
  本来的に自由であるはずの人間は、けれども常に他人に拘束され続け、自分で選択したわけでもないのに何か大きな世界や状況に組み込まれている。

  だから僕の、あるいは僕と彼女の思いなど素知らぬ風に因果の歯車は回り続ける。
  終わりへと近付いていく。

  思えばいつだってそうだ。
  どんな時だって、僕達には心の準備をする時間とかゆっくり検討する余裕なんて与えられない。
  生きているのだから当たり前のことだ。
  物語は進み続けているのだから。
  それが生きるということなのだから。


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