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マト ー)メ M・Mのようです

1名も無きAAのようです:2013/09/28(土) 06:36:56 ID:a0hWVy360


  僕が彼女に出逢ったのは、あの暑い夏が終わり、秋の足音が聞こえ始めた頃だった。

  僕は今でも夏が過ぎ秋が訪れる度に彼女と出逢ってからのあの数週間の出来事を思い出す。
  もう記憶は所々曖昧になってしまっていて、細部は日記という記録に頼るしかないのだけれど、それでも目を閉じれば彼女の笑顔は浮かんでくるのだ。
  あの最後の時と同じように。


  誰かに友人を紹介しようとする時、何から話し始めるのだろうか。
  彼女について語ろうと思った際に僕は何から話せば良いだろうか。
 
  自分との関係性?――彼女と僕は赤の他人だった。
  その人の職業?――誤解を恐れずに言えば彼女は無職だった。 
  年齡や経歴?――それすら彼女にはなかった。
  なら名前?――そんなものでさえ、僕と出逢った時の彼女にはなかったのだ。  

  あの日、僕が出逢った少女は掛け値なく何者でもない誰かだった。
  誰でもない、彼女だった。
  何の記録も残っていないとしても彼女は確かにそこにいた。


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