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('A`)百物語のようです2013( )
405
:
名も無きAAのようです
:2013/08/18(日) 23:59:21 ID:4GalDPz60
綺麗な話だけに悲しいな
70本目もらいます
.,、
(i,)
|_|
406
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:00:39 ID:rOAjZfD60
平成XX年県立比府高校同窓会のご案内
拝啓 初夏の候、皆様におかれまして は益々ご健勝のこととお慶び申し上げ ます。
卒業から十年が経ち私達も二十八才となり、皆様も多方面でご活躍されているとご拝察しております。
地元を離れた皆様とは中々お会いできませんので、この機会に里帰りして旧友と酒を酌み交わし昔話で盛り上がりましょう。
また、私たちの活躍を陰ながら喜ばれ ている担任の長岡先生と副担任の朝日先生もご出席頂くこととなっておりますので、皆様お誘い 合わせの上ご出席くださいますようお 願いたします。
平成XX年八月二十二日
敬 具
407
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:02:01 ID:rOAjZfD60
白昼夢のようです
どんよりとくすんだ灰色の空。
それを見上げるわたしを、ガタゴトと運ぶバス。
行き先は、もうすぐ閉店してしまうデパート。
老舗で品揃えも豊富で、学生にとって格好の暇潰しの場所であったそこは、経営不振によって潰れることとなったのだ。
川д川(時代の流れってやつなのかなぁ)
はぁ、とため息をひとつ吐く。
「比府デパート前、比府デパート前。お降りのお客様は停車ボタンを――」
車内にいる人たちはみんな素知らぬ顔をしている。
誰も降りないんだ。
やむなくわたしは、停車ボタンを押すこととなった。
デパートの中は薄暗いような気がした。
灯りのせいではなく、雰囲気のせいであるような気がした。
店員さんの笑みが能面みたいで、壁のあちこちに貼られている「今までありがとう」のポスターが恨めしそうに明るくて。
川д川(こんなところだったっけ)
それとも久々に来たから、そう思っているだけ?
エスカレーターで二階に登りながらわたしはううむ、と唸った。
二階は、少し気取った婦人服とか靴の売り場だ。
一応ここが今日の目的の場所である。
わたしが高校生だった頃は、ここよりも一階の雑貨屋さんや屋上にある喫茶店ばかりに入り浸っていたから、ここに来るのは初めてだった。
川д川(ん、そうでもない……?)
一回だけ。
一回だけ、親友に連れられてここへ来たことがある。
408
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:03:14 ID:rOAjZfD60
川 ゚ 々゚)「さーだこ」
ふと、わたしを呼ぶ声がした。
川 ゚ 々゚)「貞子はやっぱり赤が似合うよ」
派手すぎないかな?
川 ゚ 々゚)「そんなことないよ、貞子は美人なんだからもっと自信持ちなよっ!」
うーん、でも、結婚式だと花嫁さんより目立つ格好はしちゃいけないんだよ?
川 ゚ 々゚)「んー……でも、貞子ならいいよ。きれいな貞子が見たいもの」
…………。
彼女は、わたしが恥ずかしくなるようなことをするりと言う。
自然に、悪意も嫌味も含まずに。
だからあっという間に心を侵してわたしはドキリとする。
胸がぎゅうと締まって、息が止まる。
彼女は、大好きで大切で苦手な人だった。
ミセ*゚ー゚)リ「なにかお探しのものがございますか?」
川д川「あ……」
ニコリと笑みを浮かべる店員さんに、わたしは挙動不審になってしまう。
ああ、どうしよう。
下の階ではこんな風に話しかけられることはなかったのに。
川д川(同窓会の、洋服を)
頭の中のわたしは呟く。
川;д川「な、なんでもないです……」
現実のわたしはおどおどと返す。
そうして無意識のうちに足が売り場から離れて、エスカレーターに乗っていた。
ああ、買えなかった。
二十八にもなって、洋服のひとつも買えないなんて。
409
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:04:31 ID:rOAjZfD60
川д川(慣れてる場所なら平気かと思ったのに)
ガックリと肩を落としながら、わたしはそのまま惰性でエスカレーターに乗り続けた。
三階は生活用品やキッチン用品が置いてある。
時々そこで、彼氏のプレゼントのラッピングを選んでいた覚えがある。
わたしのではなくて、あの子の。
川 ゚ 々゚)「ケーキの箱、どれがいいかなぁ」
ピンクは?
川 ゚ 々゚)「ベタすぎない?」
じゃあ、緑。
川 ゚ 々゚)「やだ、気にくわない」
青は?
川 ゚ 々゚)「あの人が好きだけど、いつもそればっかりだもの」
うーん……。
川 ゚ 々゚)「白でもいいかな」
いいんじゃない?
川 ゚ 々゚)「ほんとは結婚式に取っておこうって思ったんだけど」
もうそんな先のことまで考えてるの?すごいね……。
川*゚ 々゚)「あの人のお嫁さんになりたいんだー」
ふふふ、と笑いながら彼女は嬉しそうにしていた。
その夢は、叶わなかったけど。
410
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:05:49 ID:rOAjZfD60
四階は紳士服とか時計とか、そういう大人の男の人が使うものが売られている。
わたしにはまったく縁がない売り場だけど、やっぱり彼女に連れられてここに来た。
川 ゚ 々゚)「ネクタイって、高いね」
ね、知らなかった。
でもそれ、本当に買うの?お小遣いなくなっちゃうよ?
川 ゚ 々゚)「だいじょーぶ、バイト始めたの」
そうなの?
川 ゚ 々゚)「うん!だからだいじょーぶ!」
そうして、彼女は青色のネクタイをレジへと持っていった。
ラッピングをするのに、さらにお金がかかったけど、それでも彼女はニコニコしていた。
そこまで大事にしている相手なのに、わたしはその相手の顔を知らなかった。
少しそれが妬ましかった。
彼女の隣で笑う男は、どんな奴だったのだろう。
五階は子供服とおもちゃ。
六階はアクセサリー。
七階はレストラン。
だけど立ち入ったことはない。
だって、屋上に行くにはエレベーターが必要で、その階は素通りしてしまうから。
411
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:07:05 ID:rOAjZfD60
屋上は小さな遊園地と、喫茶店。
懐かしいパンダの乗り物やメリーゴーランド、小さな観覧車が、ひとりぼっちで佇んでいた。
川д川(でも、これ乗ってたんだよね)
子供の時に、ではない。
女子高生の時に、だ。
誰もいない隙に二人でパンダレースをしたり、メリーゴーランドに連続乗りしたり、そんなことばかりしていた。
百円玉がなくなって、喫茶店でお茶してお金を崩したこともあった。
大しておいしくもないコーヒーにミルクと砂糖をたくさん入れて、それを飲みながら彼女の話を聞いていた。
わたしはあんまり話すのが得意じゃないから、饒舌な彼女の話を聞いているだけで楽しかった。
話題のほとんどは、名前も顔も知らない彼女の恋人の話であったけど。
川 ゚ 々゚)「あの人が大好きなの」
知ってるよ。
川 ゚ 々゚)「今は教えられないけど、いつか教えてあげる」
うん、ありがとう。
川 ゚ 々゚)「貞子は大事な友達だもんねー!」
うん、友達……。
友達だよ。
川 ゚ 々゚)「ふふ、近々大事な話があるって言ってたの。結婚の話かなぁ」
まだ、学生だよ?
川 ゚ 々゚)「でも二年後には大学生だよ?そうしたら二人暮らしくらいならできるって」
…………。
412
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:08:50 ID:rOAjZfD60
川 ゚ 々゚)「教えても良いよ、って言われたら、一番に貞子に教えるね。だって大好きだから!」
うん、ありがとう……。
川д川(友達、か)
わたしの好きは、特別な好き、だけどあの子の好きは違う。
あの子の好きはあの人のもの。
あの人の好きも、あの子のもの。
川д川(妬ましい)
……不意に衣擦れの音がした。
どこから?
顔をあげて辺りを見渡す。
周りには誰もいない。
川д川「…………」
喫茶店の入り口に注視する。
ガラスの、両開きの扉が、開いていた。
「close」という看板が掛けられているのに。
川д川(そもそも、さっきまで開いてなかったじゃない)
そのことにようやく気がついて、背中に冷たい汗が流れた。
わたしは無意識のうちにゆっくりと喫茶店に近づいていた。
店のなかは真っ暗で様子がさっぱりわからない。
川д川(うさぎの穴みたい)
昔、その子が好きだった童話が脳裏をよぎる。
すると、不安な気持ちが少し和らいだ。
川д川(少しくらいなら)
少しくらいなら、入ってもいいかな。
決断するよりも先に、足は動いていた。
413
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:10:35 ID:rOAjZfD60
薄暗がりのなかできょろきょろと視線を動かす。
いけないことをしている気がして、ドキドキする。
なにか怖いものがあるんじゃないかという不安と、非日常を楽しむ余裕。
それらがごちゃまぜになって、鼓動を早くさせた。
川;д川「わっ!?」
段差に足を取られて、転けそうになる。
その瞬間、ふわりと誰かに体を支えられた。
川д川(え……?)
「お怪我は、ありませんか?」
低くて優しい声。
心地好い、と不覚にも思った。
川;д川「あ、えっと、大丈夫、です!」
「ならよかった。そこは、一段高くなっているんです。気を付けてあがってください」
手が、体から離れていく。
そこでようやくわたしは気付く。
川д川「誰、なの?」
ここは立ち入り禁止のはずなのに。
しかもこんな暗いなかで、なんの苦もなく居る。
ちょっと普通じゃ考えられない気がした。
「失礼、僕は〃〆£¢」
川д川「え……?」
僕は、なに?
そのあとの言葉が、ノイズで掻き消されたようになって、聞こえなかった。
「どうぞこちらへ。コーヒーは嫌いですか?」
いいえ、それなりに、と言うよりも先にわたしはふらふらと歩きだしていた。
川д川(変な気分だ)
414
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:13:45 ID:rOAjZfD60
夢でも見ているようだった。
現実味がなくて、その人の声以外になにも音がなくて。
世界が昔の映画のように、モノクロで霞んでいるような気がした。
川д川(真っ暗な中でそう思うのって変だけど)
ほどなくして、赤茶けたぼんやりとした灯りが見えた。
目を凝らすと、どうやら真ん丸のきのこみたいな、鼈甲色のランプが光源になっているようだった。
わたしの先を歩いていた人影がそのランプに近付く。
細い指が、ランプをトントンと触れるとそれは輝きを増した。
そこはカウンター席であった。
カウンターを挟んだ向かいには、サイフォンとピカピカのコーヒーカップが置かれている。
川д川(不思議)
食玩のジオラマかなにかのようであった。
もっとカウンターは長いはずなのに、わたし一人とその人一人が収まる程度にしか長さがなかったのである。
( "ゞ)「どうぞ、座ってください」
川д川「あ……、はい」
先導していた人は、この喫茶店のマスターだったらしい。
ちょっと渋いウェイターさんのような黒服に身を包んだ長身のその人は、大人の男性という感じで、とってもかっこよかった。
足の長い丸イスに座る。
そういえば、彼女はこのイスが嫌いだった。
彼女はわたしと違って背が低くて、座るのに一苦労していたから、わたしは思わず笑ってしまったなぁ。
川ー川「ふふ」
( "ゞ)「どうかしました?」
川д川「あ、いえ……。高校時代の友達のことを少し思い出して」
( "ゞ)「ほう。青春ですね」
サイフォンのなかにコーヒーの粉を入れながら、彼は言った。
川д川「初恋の、人なんです。女の子なんですけど……」
( "ゞ)「甘酸っぱいですね」
川д川「……そうでもないんです」
( "ゞ)「どうして?」
415
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:15:06 ID:rOAjZfD60
少し躊躇って、わたしは口を開いた。
川д川「失踪しちゃったんです」
( "ゞ)「……どうして?」
川д川「……わからないんです。高校二年生の、夏の頃に」
目を閉じて、わたしはその夏のことを思い出す。
夏休みの最中だった。
ただ、大学受験のことで先生と面談をしなくてはいけなかったから、休みでも学校にくる機会があった。
その日、わたしは面談しに来ていました。
彼女は――、くるうは、もうとっくに別の日に面談をしていたけど、せっかくだからそのあと遊びに行こうと誘ってくれて、それで学校に来てくれたのだ。
彼女の家は、学校から近くて気軽に行けたからそういう風に行動できたのだと思う。
あんな暑い日になにも用事がなかったら、わたしは絶対家で引きこもりたいもの。
それで、空き教室で面談の順番待ちをしてたんです。
暇だからずっとおしゃべりしてました。
このあとどこで遊ぼうかとか、くるうの恋人の話とか……。
くるうの恋人は年上の方でした。
見たことないし、名前も教えてもらえなかったけど、その人のための誕生日プレゼントを買いにいったときに、気付いたんです。
そのうち、教室に副担任の先生が来たんです。
416
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:16:06 ID:rOAjZfD60
(-@∀@)「お、今日も黒髪コンビか」
川 ゚ 々゚)「朝日せんせー!」
川д川「こんにちは、暑いですね」
(-@∀@)「まったくだねー、水分はちゃんととるんだよ二人とも。ところでくるうさんはこないだ面談しただろう?」
川 ゚ 々゚)「だってこのあと貞子と遊ぶもーん」
(-@∀@)「うらやましいよ、先生はこれから理科室の整理をしなきゃいけないっていうのに」
朝日先生は、化学を担当している若い先生でした。
授業はとても分かりやすくて、楽しかったし、柔らかい雰囲気と気さくなところがあったので、けっこう人気の高い先生でした。
もちろん、それはくるうとわたしも例外ではありませんでした。
(-@∀@)「ああそれと、貞子さんはこれから面談だからいってらっしゃい」
川д川「は、はい!」
川 ゚ 々゚)「いってらー。うー、暇になっちゃうなぁ」
(-@∀@)「じゃあそんなくるうさんには、先生と一緒に掃除を手伝ってもらおうか」
川 ゚ 々゚)「えー暑いのにぃ」
(-@∀@)「大丈夫大丈夫、貞子さんが面談から帰ってきたらすぐやめていいから」
川 ゚ 々゚)「はぁーい。じゃあ貞子、面談終わったら理科室に来てね!」
川д川「うん、またあとでねー」
それが最後の会話でした。
417
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:17:37 ID:rOAjZfD60
面談が終わって、理科室に向かいました。
そこには誰もいなかったんですけど、隣の準備室からラジオの音がはっきり聞こえてきて。
開いていた扉から覗いてみたら、朝日先生が一人で段ボールに物を詰めていました。
川д川「先生」
(-@∀@)そ「お?おお、貞子さんか。あー、こっちに来るんだったら足元気を付けるんだよ、今薬品広げちゃってるからさ」
たしかに、床には大小様々な瓶が置かれていました。
ぽつぽつと空いているスペースを駆使して、わたしは先生のそばまで行きました。
川д川「びっくりさせてごめんなさい、くるうは?」
(-@∀@)「あー、さっきジュースを買いに行ったよ。すぐ戻ってくるんじゃないかな?」
その言葉を信じて、わたしは少し朝日先生の手伝いをすることになりました。
床に置いてあった薬品は、全然見たこともないような種類のものばかりでした。
それを一つずつ、新聞紙に包んで朝日先生に渡して段ボールに詰めてもらいました。
川д川「こんなにたくさんあったんですね」
(-@∀@)「そうそう。古い理科室って床下に収納できるようになってるんだよ」
418
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:19:04 ID:rOAjZfD60
川д川「そうなんですか?」
(-@∀@)「ただやっぱり、すぐ目の届くところで管理しなきゃいけないから、今度からは新しく鍵つきの棚を設置してそこに入れることになってるんだ」
段ボールに入れちゃうやつは、みんな古いから捨てちゃう予定だけど、と先生が言いながらガムテープで蓋をしました。
川д川「……くるう、遅いなあ」
(-@∀@)「電話してみたらどうかな?」
しかし、肝心の携帯は、準備室のすみに置かれていた彼女の鞄に入ったままでした。
川д川「どうしたんだろ……」
(;-@∀@)「ちょっと他の先生に聞いてみるから待ってて」
青色の携帯で連絡をとってくれました、だけど誰も彼女のことを見ていませんでした。
川;д川(くるう、)
どこに行っちゃったの……?
川д川「…………」
( "ゞ)「それで行方知らずに?」
彼の言葉にわたしは頷く。
いつのまにかカウンターにのせられていたコーヒーは冷めてしまっていた。
それを飲んで、呟く。
川д川「わからないんです、どうしても。どうして、いなくなってしまったのか」
ひょっとして、わたしのせいじゃないのか。
この十一年間、ずっとそう思って生きてきた。
419
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:20:00 ID:rOAjZfD60
( "ゞ)「あなたのせいではありませんよ」
川д川「…………」
( "ゞ)「悪いのは朝日先生ですから」
え?
思わず声が漏れる。
朝日先生が……?
( "ゞ)「かなりの量の薬品が床に並んでいたんですよね?」
川д川「は、はい」
( "ゞ)「実験用とはいえ薬品を重ねられませんし、棚のように二段三段と置くわけにはいきません。となるとかなりのスペースがいりますよね、その床下の収納は」
川д川「ええ……」
( "ゞ)「そうしたら手足を縛った人くらいは簡単に入るでしょう。上から物を置いてしまえば蓋は開きませんし」
川;д川「っ……」
( "ゞ)「ラジオをつけたのも、床下で暴れても音が誤魔化せるように、とか」
川;д川「なんで、」
( "ゞ)「なんで、って、くるうさんと付き合っていたからじゃないんですかね?」
川;д川「!?」
そういえば。
青い、携帯。
朝日先生も、青が好きで、くるうの恋人も、青が好きで……。
川д川「…………」
するすると謎が紐解かれていく。
目の前の、得体の知れない男性の手によって。
( "ゞ)「詳しくはわかりませんが、交際上のトラブルあたりがベタなところですかね」
川д川「くるう……」
先生。
先生、どうして、殺してしまったの。
そんなことしたら、わたし。
( "ゞ)「あなたの好きなようにしなさい。あなたの人生なのだから」
420
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:20:56 ID:rOAjZfD60
ぼやける声。
頭にじんわり染み込んで、溶けて、馴染んで。
川д川「…………夢?」
気付けば、喫茶店の外にいた。
扉は閉まっている。
チェーンも張られている。
川д川「……夢、だったの?」
もう一度呟く。
夢だけど。
でも、やっぱり。
踵を返し、エレベーターへと向かう。
川д川(朝日先生)
服を買いにいこう。
くるうが似合うといってくれた、赤い服を。
それを着て同窓会に行こう。
だけどその前に、三階に行こう。
(
)
i フッ
|_|
421
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/19(月) 00:25:10 ID:8w2TZKmM0
乙
とりあえず報告を
したらばが落ちたことによる影響は少ないこと、また延長することによりぐだることが想像されること、木曜に一度期間を延長しているから今回は延長なしの方向でお願いします
422
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:26:12 ID:mtmv.fjI0
乙ー
締め方がいいね
>>421
把握っす
423
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:26:35 ID:Yk3KobIk0
乙です。
報告ありがとうございます。
71本目をいただきます。
.,、
(i,)
|_|
424
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 1/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:28:42 ID:Yk3KobIk0
午後8時――
プルルルル,プルルルル
ガチャッ
( ^ω^)『もしもし』
ミセ*゚ー゚)リ「もしもし、わたしミセリちゃん」
ミセ*゚ー゚)リ「今東京都○○市についたよ」
( ^ω^)『……は?』
ミセ*゚ー゚)リ「もうすぐだね。じゃあね」
( ^ω^)『え? ちょっと』
ミセ*゚ー゚)リ「ふふ」
ガチャッ
425
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 2/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:29:42 ID:Yk3KobIk0
午後8時10分――
プルルルル,プルルルル
ガチャッ
( ^ω^)『もしもし』
ミセ*゚ー゚)リ「もしもし、わたしミセリちゃん」
ミセ*゚ー゚)リ「今△△通りにいるよ」
( ^ω^)『……』
ミセ*゚ー゚)リ「もうすぐあなたのいるアパートだね」
ミセ*゚ー゚)リ「楽しみだね、ふふふ」
( ^ω^)『……あの』
( ^ω^)『僕は出張中ですお』
ミセ*;゚ー゚)リ「……え?」
426
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 3/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:30:42 ID:Yk3KobIk0
( ^ω^)『ですから今アパートにはいませんお』
ミセ*;゚ー゚)リ「じゃ、じゃあ今どこに」
( ^ω^)『千葉ですお』
ミセ*;゚ー゚)リ「そんな……待っててね! 千葉ならあと三時間もあればつくから!」
( ^ω^)『いや、それもちょっと』
ミセ*;゚ー゚)リ「なんで!?」
( ^ω^)『それが……今実は成田なのですが』
( ^ω^)『あと1時間したら飛行機でアメリカへ向かわなくちゃならないんです』
ミセ*;゚ー゚)リ「な、なんですと……!?」
427
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:31:13 ID:VsBIKW7w0
ワロタ
428
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 4/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:31:47 ID:Yk3KobIk0
ミセ*;゚ー゚)リ「アメリカの? どこ?」
( ^ω^)『えっと、とりあえずダラスへ』
ミセ*゚ー゚)リ「ダラス……テキサス?」
( ^ω^)『ええ、まあ』
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ行きます」
( ^ω^)『え? 大丈夫なんですかお? 飛行機で11時間かかりますお?』
ミセ*゚ー゚)リ「と、とにかくなんとかします!」
( ^ω^)『はあ』
( ^ω^)『なんかよくわかりませんが、頑張ってくださいお』
ミセ*゚ー゚)リ「はい!」
* * *
429
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 5/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:32:42 ID:Yk3KobIk0
プルルルル,プルルルル
ガチャッ
|゚ノ ^∀^)『はいはーい』
ミセ*;゚ー゚)リ「レモナちゃん! 相談があるの」
|゚ノ ^∀^)『あれ、ミセリちゃん? どうしたの急に』
ミセ*;゚ー゚)リ「実は……いつものようにメリーさんっぽいことしてたのね」
|゚ノ ^∀^)『ああ、あの最後に自分を捨てた人に電話をかけて追っかけるっていう』
ミセ*;゚ー゚)リ「そう。そしたらね、相手が急にアメリカ行くことになっちゃって」
|゚ノ ^∀^)『…………』
ミセ*゚ー゚)リ「だから、どうしたらいいのかわからなくて。レモナちゃん飛行機の乗り方わかるよね?」
|゚ノ ^∀^)『……なんで?』
ミセ*゚ー゚)リ「レモナちゃんフランス人形だし」
|゚ノ ^∀^)『いやそこ関係ないでしょ?』
430
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 6/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:33:46 ID:Yk3KobIk0
|゚ノ ^∀^)『だいたい無理そうならやめればいいじゃん』
ミセ*゚ー゚)リ「やだ!」
|゚ノ ^∀^)『なんで?』
ミセ*゚ー゚)リ「なんか、この呪いずっと続けていたらやみつきになっちゃって」
ミセ*゚ー゚)リ「やめるにやめられないというか、このままだとすっごいむずむずする」
|゚ノ ^∀^)『あー、なーんかわかる』
ミセ*゚ー゚)リ「ほんとに!?」
|゚ノ ^∀^)『うんうん』
|゚ノ ^∀^)『私もいまだに髪の毛伸ばしたり、夜中に寝床に忍び込むのやめられないし』
|゚ノ ^∀^)『まあそのおかげで今お寺なんだけど』
ミセ*゚ー゚)リ「え? レモナちゃんお寺にいるの?」
|゚ノ ^∀^)『うん。なんか人形供養専門のところらしくてさ、当分出られそうにないなー』
431
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 7/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:34:42 ID:Yk3KobIk0
ミセ*゚ー゚)リ「そうなんだ……」
|゚ノ ^∀^)『とにかく、そういうわけなら協力してあげるよ』
ミセ*゚ー゚)リ「いいの!?」
|゚ノ ^∀^)『良いよーもちろん! 私たちのような都市伝説の存在は噂話があってこそだし』
|゚ノ ^∀^)『ミセリちゃんとは長い付き合いだものね』
ミセ*゚ー゚)リ「ありがとう……」
|゚ノ ^∀^)『電話越しでもわかるような泣き方しちゃって』
|゚ノ ^∀^)『とりあえず他の都市伝説仲間で役立ちそうな人、教えておくから』
ミセ*゚ー゚)リ「なんとか、近いうちにアメリカにつきたいんだ。お願い」
* * *
432
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 8/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:35:42 ID:Yk3KobIk0
@@@
@#_、_@ _、_
( ノ`)「それであたしのところに来たと」
ミセ*゚ー゚)リ「お願いします! おばさま!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「あのね、あたしゃもう現役を引退しているんだよ」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「現役時代はそりゃあね、人間相手にブイブイ言わせていたものさ」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「それが最近張りあう相手もいなくなっちまって、めっきり噂も減っちまった」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「あたしら都市伝説の存在は人間の趣味嗜好に左右されるんだよ」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「奴らがはびこるものに関われば活発に動き回れる」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「だけど、奴らが忘れちまった流行に関する存在ならば、その流行とともに忘れさられる」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「そういう運命なのさ」
ミセ*;゚ー゚)リ「……あの、難しいことはよくわからないんですけど」
433
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 8/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:36:42 ID:Yk3KobIk0
ミセ*゚ー゚)リ「私はずっとこの方法で人をびっくりさせてきたんです」
ミセ*゚ー゚)リ「このご時世、確かに私のことを拾ってくれる人は少なくなりました」
ミセ*゚ー゚)リ「でも今でも年に数人くらいは私のことを拾って、引っかかってくれる人がいる」
ミセ*゚ー゚)リ「私からの電話に震えて、おっかなびっくりしてくれる愉快な人間がいる」
ミセ*゚ー゚)リ「そのうちの一人が今日、せっかく電話に出てくれた」
ミセ*゚ー゚)リ「だったらその人を目いっぱい驚かせてあげたい」
ミセ*゚ー゚)リ「今のうちに、完全に忘れ去られてしまううちに、その存在意義を発揮したい」
ミセ*゚ー゚)リ「そういう気持ちが大事ってことじゃないんですか?」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「……」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「……なかなか良いことを言うお人形さんだね」
ミセ*゚ー゚)リ「へ、へへ」
434
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 10/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:37:41 ID:Yk3KobIk0
@@@
@#_、_@
( ノ`)「よし、せっかくだから協力してやろうじゃないか」
ミセ*゚ー゚)リ「え、あ、ありがとうございます!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「勘違いするんじゃないよ。別にあんたの気持に感動したからとかじゃない」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「昔の血が騒いできちまってねえ。まだ、あの速さだけを追っていたあのときの血が」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「人間はどんどん車に乗らなくなっていっちまったからね。それでなくても規制が厳しくなって」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「もう奴らと張り合う機会はすっかりなくなっちまったんだ。こんなときくらい、本気を出させてくれ」
ミセ*゚ー゚)リ「おばさま……」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「さて、カタパルトを用意するよ。手伝ってくれ」
ミセ*゚ー゚)リ「はい! ジェットおばさま!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「そこはババアでいいよ」
* * *
435
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:38:24 ID:AJzT/Cpw0
ミセリかわいいよミセリ
436
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 11/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:38:42 ID:Yk3KobIk0
プルルルル,プルルルル
ガチャッ
( ^ω^)『もしもし』
ミセ*゚ー゚)リ「もしもし! 私ミセリちゃん!」
( ^ω^)『……今どこにいるんだお?』
ミセ*゚ー゚)リ「海よ! 西海岸! サンフランシスコ!
日本時間では午前7時だけど、こっちだと夕方の3時ね。
電話をかけようと思って降りたったの。もうすぐ着くわ!」
(;^ω^)『……』
ミセ*゚ー゚)リ「……?」
(;^ω^)『……ごめんだお!』
ミセ*;゚ー゚)リ「え!? ど、どうしたの?」
437
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 12/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:39:44 ID:Yk3KobIk0
( ^ω^)『実は、実は僕』
( ^ω^)『ダラスは経由するだけなんだお』
ミセ*゚ー゚)リ「……え?」
( ^ω^)『本当の目的地は、ヒューストンなんだお』
ミセ*゚ー゚)リ「ヒューストン……」
( ^ω^)『ヒューストンのジョンソン宇宙センター』
ミセ*;゚ー゚)リ「ね、ねえ。それってまさか……」
( ^ω^)『そのまさかだお』
( ^ω^)『僕は宇宙飛行士なんだお。
今日の午後5時に打ち上げられるロケットに搭乗するんだお』
ミセ*;;゚ー゚)リ「そんな!! そんな急にだなんて!!」
438
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 13/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:40:41 ID:Yk3KobIk0
ミセ*;;゚ー゚)リ「ねえ嫌よ私、宇宙になんてさすがに行けない……」
( ^ω^)『いや……僕の方こそ悪かったんだお。
まさか君がこんなに真剣に僕のことを追ってきてくれるなんて思いもよらなかったんだお』
( ^ω^)『それがわかっていれば、もっと君に構ってあげられれば、ああ』
ミセ*;;゚ー゚)リ「そんな、悲しいこと言わないで……」
ミセ*;゚ー゚)リ「私だってこんなところで諦めたくない、それなのに……」
ミセ*゚ー゚)リ「……そうだわ、諦めてたまるもんですか」
ミセ*゚ー゚)リ「レモナちゃんだって、おばさまだって、みんなが私を支えてくれている」
ミセ*゚ー゚)リ「まだ動けるわ。私にはまだ時間はあるはず」
(;^ω^)『……ミセリちゃん?』
ミセ*゚ー゚)リ「ねえ、宇宙飛行士さん。打ち上げ場所を詳しく教えてくれる?」
(;^ω^)『ど、どうするつもりだお!?』
439
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 14/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:41:42 ID:Yk3KobIk0
ミセ*゚ー゚)リ「ふふ、決まっているでしょ」
ミセ*゚ー゚)リ「私もロケットに乗り込むわ」
(;^ω^)『な、本気で言っているのかお!?』
ミセ*゚ー゚)リ「こっちには立派なジェットがあるのよ? 間に合わせてみせるわ。ねえおばさま」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「おうよ」
( ^ω^)『……? と、とにかく本当に乗り込むにしても、僕はおおざっぱな位置しかわからないお!
そういうのは整備士の領分だし、だからどうにかダメもとで乗り込むしか』
ミセ*゚ー゚)リ「十分よ」
ミセ*゚ー゚)リ「私を舐めないで。いつも超広範囲から本人の住居を正確に特定しているのよ?
そんなバカでかいロケットの場所くらい、すぐに見つけてみせるわ」
( ^ω^)『……わかったお。
ミセリちゃん、ここまできたらもう君を拒まないお。
これから教えるから、必ず乗り込むんだお』
ミセ*゚ー゚)リ「はい!」
* * *
440
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 15/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:42:44 ID:Yk3KobIk0
日本時間で午後1時
プルルルル,プルルルル
ガチャッ
|゚ノ ^∀^)「ミセリ、ミセリ」
|゚ノ ^∀^)「ちぇ、だめか。もうつながんないや」
|゚ノ ^∀^)「あーあ、ミセリちゃんどうなったのかなー」
|゚ノ ^∀^)「テレビでも見ようかしら」
ガチャ
|゚ノ ^∀^)「あ」
|゚ノ ^∀^)「住職おひさー」
( ^ω^)「……また勝手に動き回っていたのかお」
441
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 16/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:43:48 ID:Yk3KobIk0
|゚ノ ^∀^)「だって、動けるんだもの」
( ^ω^)「まったく、君たち付喪神は揃いも揃って厄介者ばっかで困るお。
特に人形からのやつは、ほとんど人と変わらないくらいに動き回るんだから大変だお」
付喪神(つくもがみ)とは、
日本の民間信仰における観念で、
長い年月を経て古くなったり、長く生きた依り代(道具や生き物や自然の物)に、
神や霊魂などが宿ったものの総称で、
荒ぶれば(荒ぶる神・九尾の狐など)禍をもたらし、
和(な)ぎれば(和ぎる神・お狐様など)幸をもたらすとされる。
|゚ノ ^∀^)「大事に使われた証拠ですからー」
|゚ノ ^∀^)「でもちょっと髪伸ばしたくらいでこんなとこ送るのって、やっぱり納得できないな。
私たちだって生きているのに」
( ^ω^)「まあまあ、そんなこと話したってキリないお」
442
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 17/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:44:43 ID:Yk3KobIk0
( ^ω^)「とにかく、そんな人形たちの世話にも、僕はそろそろ疲れたお」
|゚ノ ^∀^)「本当に? それ専門のお寺だったんじゃないの?」
( ^ω^)「そりゃ、最初はそういう人形たちと頑張って和解しようとしていたんだお。
みんな困っているだろうし。でもなんか、最近人形自体あんまり買われなくなったし。
需要もだんだん尻すぼみで、割に合わなくなってきたんだお」
|゚ノ ^∀^)「ふーん、噂話みたいなものね」
( ^ω^)「? まあ、流行といえばそんなものかお」
( ^ω^)「とにかくもう人形は受け入れていないお。
それなのにこの前無理やり供養させに送られてきた人形がまた厄介で。
捨てたのにまだ僕に付きまとってきたんだお。疲れたお」
|゚ノ ^∀^)「そんなのいたの? 大変だったねえ」
( ^ω^)「ほんとだお。でもなんか、すごい素直な良い子で、簡単に騙せたから面白かったお」
(*^ω^)「あれはほんとにもう、傑作で、くくく」
(*^ω^)「ああいうのはなるべく手を汚さずに処分できれば万々歳だお」
|゚ノ ^∀^)「…………」
443
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 18/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:45:43 ID:Yk3KobIk0
|゚ノ ^∀^) ボソ「…………やっぱりあんたか」
(*^ω^)「ん? 何か言ったかお?」
|゚ノ ^∀^)「いえ、別にー」
444
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 19/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:46:43 ID:Yk3KobIk0
(*^ω^)「さてと、今日はもう朝から疲れたお。ソファ座るお」
ドサッ
|゚ノ ^∀^)「豪勢な座り方」
(*^ω^)「お坊さんはもうかるんだおー。テレビでも見るかお」
プチッ
ワーワー、キャー
――――日本時間で午後11時に打ち上げられた木星探査ロケットは無事点火され
文字通り青空を突き抜けはるかな空の旅へと向かって行きました。
調査が無事終われば帰ってくるのは7年後に――
445
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 20/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:47:42 ID:Yk3KobIk0
( ^ω^) ニヤニヤ
|゚ノ ^∀^)「……なんか気持ち悪い顔」
( ^ω^)「そうかお? なんかもう、面白くて……」
|゚ノ ^∀^)「ふーん……あ」
( ^ω^)「どうしたんだお?」
|゚ノ ^∀^)「電話、切り忘れていたわ」
( ^ω^)「電話?」
|゚ノ ^∀^)「うん。よいしょっと」
ガチャンッ
(;^ω^)「……」
(;^ω^)「おい、ちょっと待てお。まさかずっと繋がっていたのかお?」
(;^ω^)「……誰と、話して……」
446
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 21/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:48:42 ID:Yk3KobIk0
プルルルル,プルルルル
( ^ω^)
( ゚ω゚)
(゚ω゚)
447
:
呪いのミセリちゃん人形のようです 22/22
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:49:42 ID:Yk3KobIk0
もう拒んだりしないんでしょ?
〜おわり〜
448
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 00:50:42 ID:Yk3KobIk0
(
)
i フッ
|_|
449
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:54:20 ID:IW9VAKCY0
乙
ブーンは余計なこと言ってしまったな
南無三
450
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:00:01 ID:IW9VAKCY0
投下終わったので報告
.,、
(i,)
|_|
('A`)百物語、のようです おまじないのはなし
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376666020/
(
)
i フッ
|_|
72本目 終わりました
451
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:02:11 ID:mtmv.fjI0
>>448
乙!
ギャグかと思いきや……ってのが怖いな
では、73本目いただきます
.,、
(i,)
|_|
赤い箱、のようです
452
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:02:52 ID:mtmv.fjI0
これは、私が友人の二人と夏休みのある日、廃墟に肝試しへ行った時の話です。
私達は地方の大学に通う二年生で、家が比較的近所だということもあり夏休みの間も
よく私と、友人の流石兄者と長岡ジョルジュとの三人で顔を合わせて遊んでいたのですが
ある日、ジョルジュがこんな話を切り出してきたのです。
_
( ゚∀゚)「なあなあ、赤い箱って知ってる?」
('A`)「赤い箱?」
( ´_ゝ`)「あー、何か聞いたことある。都市伝説系だっけ?」
453
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:03:32 ID:mtmv.fjI0
「赤い箱」と呼ばれる都市伝説。それはこんな内容でした。
とある地方のマンションが経営不振から潰れ、無人の廃墟となったのですが、
数年たった後、その廃墟の中で段ボール箱の中に遺棄された赤ん坊の死体が
見つかるという事件があったのだそうです。
その事件以来その廃墟の何処かに、真っ赤に染まった段ボール箱が落ちていて、
中から赤ん坊の泣き声が聞こえるとか、その段ボール箱の中を覗き込んだ人は
呪われて死んでしまうとかいうものでした。
怪談やオカルトが好きなジョルジュはこの「赤い箱」の情報をどこからか仕入れ調べた結果、
どうやら私達の住む地域からそれほど遠くない場所にその廃墟があるらしいということで
私達三人で行ってみようと話しを持ちかけてきたのです。
454
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:04:48 ID:mtmv.fjI0
_
( ゚∀゚)「そうそう.。何か、数年前赤ん坊の入った段ボール箱が廃墟に捨てられる事件があってさ
当然その段ボール箱は警察に回収されたんだけど
それ以来その廃墟に真っ赤な段ボール箱が落ちてることがあって
その箱の中を覗くと赤ん坊の幽霊に呪われるとかなんとかってやつ」
( ´_ゝ`)「お前そういうのほんと好きな?」
('A`)「で、その都市伝説がどうかした?」
_
( ゚∀゚)「実はさ、その事件の事ちょっと調べてみたらどーも近場らしくてさ」
( ´_ゝ`)「え、マジで?どこら辺?」
_
( ゚∀゚)「何か、草柵の梅猿堀あたりだってさ」
('A`)「あぁ、あの辺ね」
( ´_ゝ`)「確かに近場っちゃ近場だけど……、お前まさか……」
_
( ゚∀゚)「今日の夜行ってみね?」
('A`;)「そうくるか……」
( ´_ゝ`)「まあ、今日は特に予定も無いけどさ」
_
( ゚∀゚)「だろ?行こうぜ。」
そんな感じで、私達は廃墟へ肝試しに行くことになりました。
455
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:05:46 ID:mtmv.fjI0
兄者の運転する車に乗って、少し人里から離れた場所で見つけたその廃墟は
真っ暗な中に佇み、高さは四階建て、屋上には貯水タンク等があるのが外から見てとれ
あたりには雑草が生い茂り建物は荒れ放題、窓や扉はほとんどが抜け落ち
壁には所々スプレーによるラクガキが、床には瓦礫等が散乱している状態で
肝試しをするにはまさにうってつけ、という様相でした。
( ´_ゝ`)「結構雰囲気あるな」
_
( ゚∀゚)「だろ、だろ」
('A`;)「この時点で結構怖いんだけど……」
_
( ゚∀゚)「とりあえず中入ろうぜ?」
( ´_ゝ`)「そうだな。ドクオ大丈夫か?」
('A`)「あ、うん。大丈夫大丈夫。……行こうか」
そうして私達は懐中電灯をそれぞれ一つずつ持ち、廃墟のマンションを探索し始めました。
456
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:06:46 ID:mtmv.fjI0
マンションの内部は広めの玄関ホールがあり、その奥に階段があり
また玄関ホールの入り口と直角になるように突き当たりから廊下が伸び
その廊下に各居住者用のドアが数枚並び、突き当たりにもう一つ玄関ホールがあるという
いわゆる「コの字型」の造りをしていました。
もう一つの玄関ホールには、階段とその隣に管理人室が併設されていたようで、
私達が入った玄関ホールより少し大きめの造りとなっていました。
_
(;゚∀゚)「おっ!?」
('A`;)( ´_ゝ`)「「!?」」
もう一つの玄関ホールに入り軽くあたりを見回していた時でした、
突然私達より少し先を歩いていたジョルジュが大きな声をあげたので、
私と兄者は反射的に身をこわばらせビクリとしました。
457
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:07:32 ID:mtmv.fjI0
('A`;)「な、なに?!」
( ´_ゝ`)「ちょ、ジョルジュ、ビックリさせんなよ」
_
(;゚∀゚)σ「いや、だってあれあれっ!」
そう興奮気味にジョルジュが指差す先に、懐中電灯の灯りを向けると……
( ´_ゝ`)「げっ」
('A`;)「ぅわ……」
そこにはあの都市伝説にあったとおりの、「赤い段ボール箱」が転がっていたのでした。
.
458
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:08:41 ID:mtmv.fjI0
( ´_ゝ`)「えっ、マジか?」
_
(;゚∀゚)「すげぇ!やべぇ!!」
('A`;)「いやいやいや……、えぇ〜……」
三者三様の反応をしながら、私達は誰も動くことができませんでした。
いちよう私達は「赤い箱」の都市伝説を知ったからこそここに来た訳で
ある意味これが目標としていたものではあるのですが
まさか本当にあるとは私を除いた二人も想像していなかったらしく
「どうしようこれ」、といった空気が三人の間に流れていました。
しかしいつまでも固まっているわけにもいかず、やがて……
_
(;゚∀゚)「俺、ちょっと見てくるわ」
少しテンションの落ち着いたジョルジュが歩きだしたのをきっかけに、
私と兄者もそのあとに続きました。
ところが
459
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:10:05 ID:mtmv.fjI0
_
( ゚∀゚)「ん?あれ、これって?」
( ´_ゝ`)「あん?」
_
( ゚∀゚)「プッ、なんだこれw」
('A`;)「どしたの?」
_
( ゚∀゚)「ほら、見てみ」
その言葉に促され、ジョルジュの懐中電灯に照らされた「赤い段ボール箱」に目をやりました。
遠目に見たときには、なにやらおどろおどろしい雰囲気を纏った箱に見えたのですが……
_
( ゚∀゚)「これただのイタズラだわ」
そこにあったのは随分とちゃちな、恐らく壁の落書きに使用されているものと
同じスプレーによって赤く塗られただけの、ただの段ボール箱でした。
('A`;)「ふぅ〜、ビックリした」
( ´_ゝ`)「ま、そりゃそうだわな」
_
( ゚∀゚)「本物だと思ったんだけどな〜、残念残念」
そんな会話をしながらも、私達は互いに安堵の表情を浮かべていました。
460
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:11:08 ID:mtmv.fjI0
_
( ゚∀゚)「どうする、上も行く?」
( ´_ゝ`)「そだな、ここまできたら行っとこうか」
幽霊の正体見たり枯れ尾花。
イタズラの「赤い箱」を見た私達はすっかり恐怖心も薄れてきて、
どうせならこの廃墟を探索しつくしてやろうという気待ちになっていました。
そうして階段を上がり居住者用のドアが数枚並ぶ廊下を通りぬけ
また突き当たりにある階段を上り、居住者用のドアが数枚並ぶ廊下を通りぬけ
また突き当たりにある階段を上る、というように廃墟の中を探索していきました。
最終的に屋上まで出て色々見て回ったりしたのですが、結局なにも無く
私達は、残念半分安心半分で元来た階段を下りて行きました。
( ´_ゝ`)「結局何も無かったな」
_
( ゚∀゚)「なー、もうちょっとなんかあってもよかったのになー」
('A`)「無くていいよ、そんなの」
_
( ゚∀゚)「お前ビビってたもんな」
('A`)「しょーがないじゃん」
そんな、他愛も無い会話をしながら歩いていた時です。
461
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:13:01 ID:mtmv.fjI0
( ´_ゝ`)「……あれ?」
_
( ゚∀゚)「ん?どした?」
( ´_ゝ`)「こっちって入ってきた方の階段だっけ?」
('A`)「いや、多分違う方だと思うけど?」
( ´_ゝ`)「マジか、車逆側じゃん。」
_
( ゚∀゚)「あー、そっか、じゃあもう一回廊下渡んないとか、ダルぅ」
('A`)「そんな距離ないでしょ」
_
( ゚∀゚)「まーなー」
そうして二階から一階へ続く階段がもう少しで終わりを迎えようとしていたときでした。
―――バァン ッ!!
………
……
…
462
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:13:48 ID:mtmv.fjI0
('A`)「え?」
突然の出来事に、私達三人は誰も身動き一つとることができませんでした。
何が起きたのか?
それを理解するのに数秒、いえ数十秒程かかったかもしれません。
_
( ゚∀゚)「え、あれ、って……?」
( ´_ゝ`)「……あぁ。さっきの、箱……だよな?」
先ほどの突然の音、それはあの玄関ホールで見つけたイタズラの「赤い箱」が、
階段を下りている私達から見て左側、一階玄関ホールの壁に叩きつけられた音でした。
463
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:14:38 ID:mtmv.fjI0
('A`;)「……え、だ……誰か、居る?」
私が真っ先に思いついたのはそれでした。
私達からは階段の壁で死角になって見えない位置から、何者かがこの箱を投げた。
誰が?
( ´_ゝ`)「……!」
そんな私の言葉を聞いたからなのか、あるいは不安を打ち消すためか、
兄者は突然勢いよく動いたかと思うと階段を一気に駆け降りました。
( ´_ゝ`)「あ、……れ?」
しかし……
私とジョルジュも兄者に続いて急いで階段を下りたのですが
恐らく箱が飛んできたであろう方角を見ても
あるいは玄関ホールの中を見回してみても、誰もいる気配はありませんでした。
私達が階段で固まっている数十秒の間に、何処かへ隠れしまったのでしょうか?
464
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:15:37 ID:mtmv.fjI0
_
(;゚∀゚)「なぁ、その箱……」
('A`;)「えっ?」
なにやらやけに小さい声で、心無しか震えているような声で
ジョルジュが、ぽつりとつぶやきました。
私と兄者もその声につられて灯りを箱の方に向けます。
そこにあったのは先ほどのイタズラの「赤い箱」
……に 一瞬見えました。
('A`;)「……何か、濡れてる?」
(;´_ゝ`)「っていうか、黒ずんでる?」
私と兄者の感想通り、箱は最初に見たときとは違って、どこかふやけているような、
色も、スプレーで塗ったというより、水が染み込んだような……
465
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:16:37 ID:zhxophf20
霊でも霊じゃなくても廃墟に誰か居るって恐ぇよ支援
466
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:16:40 ID:mtmv.fjI0
『アぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜……』
.
467
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:17:52 ID:mtmv.fjI0
その瞬間 私達は凍りつきました。
それはまるで
猫のような、あるいは烏のような
そう、ちょうど 赤ん坊 のような……
_
(;゚д゚)「―――あぁああああアアアアアッ!!」
ジョルジュが上げた、悲鳴とも雄叫びとも区別のつかない声で
私達は一斉に元来た階段を上り始めました。
何故二階に逃げたのかは分かりません。
さっきまで居た場所だから安心できたのか、あるいはもしあの箱を誰かが投げたのだとして
そいつが潜んでいるかもしれない一階に居たくなかったからなのか。
途中折り返す形で一階と二階とを結ぶ階段を一足飛びで登り終えた私達は、
ぜぇ、ぜぇ、と肩で息をしながら互いの顔を見つめあいました。
たかが一階から二階へ階段を上っただけなのに、皆信じられない程の疲労を感じていました。
468
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:20:04 ID:mtmv.fjI0
_
(;゚д゚)「いっ、いまのっ、・・・いまのって・・・」
(;´_ゝ`)「マジ、か?冗談……だろ?なぁっ!」
(゚A゚;)「なっ、に・・・なっ・・・、なに・・・がっ」
混乱する頭で何かしら言葉を紡ごうとしたのですが・・・
―――バァン ッ!!
_
(;゚д゚)(;´_ゝ`)「「「!!」」」(゚A゚;)
―――バァン ッ!!
―――バァン ッ!!
―――バァン ッ!!
469
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:21:08 ID:mtmv.fjI0
私は恐怖で強張る体を何とか動かし、灯りを階段の踊り場へと向けました。
するとそこには、あの
「箱」が……
(;゚_ゝ゚)「……ッア!」
「箱」を確認した瞬間またもや私達は走り出していました。
今度は廊下を。
目的ははっきりしています、このまま反対側の階段を下りて、
入ってきた玄関ホールから外へ。
それほど長くも無い廊下を一気に渡りきり、階段の二、三段を下りて、
_
(;゚д゚)「来てる?!来てんの?!」
半狂乱で叫ぶジョルジュに対して、兄者は懐中電灯を廊下の奥に向け、目を皿のようにして、
(;゚_ゝ゚)「来てない!!」
その言葉で少しだけ冷静さを取り戻し、急いで階段を降りようとして、
470
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:22:37 ID:mtmv.fjI0
『アぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』
_
(;゚д゚)「あぁ?!」
階段の踊り場に着いたあたりで、突然後ろから聞こえた『それ』に対して、
すぐさま灯りを向けると、
ズズッ……
ズズズッ……
微かに、しかし確実に動いている「赤い箱」を視界にとらえた私達は、
もはや逃げる以外の思考もろくにできぬまま、階段を飛び降り、玄関ホールを潜り抜け
気がつけば兄者の車に飛び乗り、いつの間にか廃墟の影さえ見えぬほど
遠くへと車を走らせていました。
471
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:24:50 ID:mtmv.fjI0
………………
…………
………
…
(;´_ゝ`)「……」
('A`;)「……はぁ〜……」
_
(;‐∀‐)「うわ゛ぁ〜〜〜〜……」
(;´_ゝ`)「……はぁ……」
_
(;‐∀‐)「……ん〜」
('A`;)「……」
_
( ゚∀゚)「……」
(;´_ゝ`)「……」
472
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:25:45 ID:mtmv.fjI0
( ゚∀゚)「………」
_
( ゚∀゚)「……なんか……」
(;´_ゝ`)「ん〜?」
_
( ゚∀゚)「なんか、すごかったわ……」
('A`;)「いや、すごすぎ……」
(;´_ゝ`)「だな〜……」
473
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:26:28 ID:mtmv.fjI0
_
( ゚∀゚)「……」
('A`)「……」
( ´_ゝ`)「……」
_
( ゚∀゚)「…………フヘッ」
(;´_ゝ`)「あん?」
_
( ゚∀゚)「ヘヘヘッw」
('A`)「……ふ」
('∀`)「ふふっ」
( ´_ゝ`)「……」
( ´,_ゝ`)「……ックw」
474
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:27:10 ID:mtmv.fjI0
_
( ゚∀゚)「……」
('A`)「……」
( ´_ゝ`)「……」
_
( ゚∀゚)「まぁ、さっ」
('A`)「ん〜?」
_
( ゚∀゚)「思い出としてはなかなかじゃね?」
( ´_ゝ`)「お前なぁ」
('A`)「……」
('A`)「まぁ……」
( ´_ゝ`)「ん?」
('∀`)「……一回くらいなら?」
(;´_ゝ`)「お前もか」
_
( ゚∀゚)「……あ、ところでさ」
('A`)「うん?」
_
( ゚∀゚)「なんか『黒い箱』って都市伝説があるらしいんだけど」
( ´_ゝ`)「おいこら」
475
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:28:15 ID:mtmv.fjI0
―――――そうして私達は、何事も無く無事家へと帰りつきました。
大人になった今でも私達三人は親友同士で、良く遊びにも出かけますし、あの日の出来事も、
たまに、本当にたまには誰ともなく話し始める時があります。
そう、別に三人ともあの後何かおかしなことが起こった訳でもなく、病気もしなければ
事故にも会わず、家族の誰かに不幸があった訳でもなく……
ただ
雨の日になると
やたらと 視界の端に
「赤い段ボール箱」が チラつくこと以外は……。
476
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:29:22 ID:mtmv.fjI0
─ ̄ ─_─ ̄ ─_ ─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─
─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_ ─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
─_ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
─ ̄─ ̄_─ ̄_ ̄─_ ─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─  ̄ ─ ̄ ─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
『 アぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜……』
─_ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
─ ̄ ─_─ ̄ ─_ ─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─
─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_ ─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
─ ̄─ ̄_─ ̄_ ̄─_ ─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─  ̄ ─ ̄ ─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
.
477
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:30:29 ID:mtmv.fjI0
(
)
i フッ
|_|
73本目、終わりです。有難う御座いました
478
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:30:55 ID:zhxophf20
夜中に赤子の声って本当に恐いですよね、乙です!!
いつか覗いてしまいそうで本当に恐い
即興作品ですが、74本目いただきます
.,、
(i,)
|_|
479
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:31:48 ID:IW9VAKCY0
乙
鳴き声と音がこわい
480
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:32:40 ID:zhxophf20
(´<_` )×××いいひとのようです
(゚、゚;トソン「父様、痛くない?」
(;´-_ゝ-`)「お前こそ、重いのではないかい?」
10歳程の小娘が、三十路程の男の左肩を支えて歩いている。
小娘が男を「父様」と呼ぶからに、どうやら親子のようだ。
男は目が見えないらしく、右手に持った杖で前方を探っていた。
そして足を痛めているのか、歩き方もどこかぎこちない。
(;´-_ゝ-`)「もう私の事は放っておきなさい」
(゚、゚;トソン「父様は細いから重くないよ」
小娘は気丈に振る舞うが、自分よりはるかに背の高い男――しかも盲目――を支えている疲労は隠せていない。
481
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:33:04 ID:4KUtpT.IO
乙ー!赤子の声こえええ
482
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:34:33 ID:zhxophf20
(;´-_ゝ-`)「そう言うが、さっきから息が荒いではないか」
(゚、゚;トソン「そ、それは暑いからだよ……」
(;´-_ゝ-`)「ならば、早く私を放して一人で行きなさい。
このままではお前迄倒れてしまう」
( 、 ;トソン「父様を置いていくなんて嫌っ!」
仲の良い親子と言うのはいいものだ、特にどちらかが障害を持っているなら一層いいものだ。
盲の父を健気に支えようとする小娘、その小娘の負担にならまいとする盲。
本当に、都合がいい。
(´<_` )「……あの」
(゚、゚;トソン「!?」
(;´-_ゝ-`)「?」
二人の後ろから遠慮がちに声をかけると、小娘は面白いほどびくついた。
(´<_` )「良ければ、私の小屋で休みませんか?」
(゚、゚;トソン「……聞こえていたの?」
暑さか羞恥か、小娘の頬が赤い。
483
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:35:16 ID:VsBIKW7w0
乙!くそみそかと思って読んだらホラーだった…
484
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:37:46 ID:zhxophf20
(´<_` )「差し出がましい真似ですが、二人とも私の所で休みませんか?」
近くにありますし、と付け加える。
(゚、゚;トソン「…………」
小娘が警戒した目を向けるのは想定の範囲内だ。
易々と誘いに乗っていいのだろうかと、しかし足を痛めている盲目の父を休ませたい、そんな考えが顔に出ている。
( ´-_ゝ-`)「……私は外でいいので、娘は屋根のある所で休ませて頂けますか?」
盲の口からは、予想通りの言葉が出た。
(゚、゚;トソン「と、父様!」
(´<_` )「そんなに広くない小屋ですが、二人増えても大丈夫ですよ」
――どうせ、すぐに居なくなるのだから――
危うく出そうになった言葉を飲み込む。
(゚ぺ;トソン
不安そうな表情の小娘とは逆に、盲は感謝の言葉を述べる。
( ´-_ゝ-`)「…………ありがとうございます」
(´<_` )「お嬢さん一人では辛いでしょう」
485
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:38:51 ID:zhxophf20
小娘が支えている側の反対の肩を支える。
本当に細い男だ、とそんな感想が浮かぶ。
( ´-_ゝ-`)「すみません……」
(´<_` )「貴方達のように困っている人は放っていけないんですよ」
( 、 ;トソン「……いい人ですね」
吐き捨てるように呟く小娘を、盲は「こら」と嗜める。
(´<_` )「気にしていないですよ、用心深くていい娘さんじゃないですか」
( ´-_ゝ-`)「……貴方も、いい人ですね」
確かに「いい人」ならこの二人を放っておけずに、小屋で食べ物や寝床を提供するだろう。
だだの、「いい人」ならば。
小屋に着き、二人に食事を振る舞おうとした。
小娘はよほど疲れていたのか、食事を採る前に父親の膝に頭を乗せてすやすやと眠っている。
あれ程警戒していた割には、よく寝れるものだと内心飽きれる。
(-、- トソン
( ´-_ゝ-`)「お礼も言わずに、すみません……」
486
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:40:21 ID:zhxophf20
盲は手探りで小娘の頭を撫でながら、口元に小さな笑みを浮かべる。
(´<_` )「親孝行な娘さんですね」
( ´-_ゝ-`)「私が不甲斐ないばかりに、妻や子供達には迷惑をかけどおしです」
(´<_` )「“達“?」
素朴な疑問を口にする。
( ´-_ゝ-`)「今年で七つになる男の子が居るんですよ。
妻が私に似た顔立ちだと言っていました」
盲の言う妻や子が今この場に居ないのは、別の場所に居るか、旅に出ず家に居るか、それともあの世か。
( ´-_ゝ-`)「娘は息子が可愛くてしょうがなくて、いつも菓子を与えすぎるそうです。
口の周りを餡で汚すけれど、幸せそうな顔で菓子を食べるそうですよ」
穏やかな笑みを浮かべ子供達の話をする男に、違和感を覚える。
(´<_` )「……」
――どうして、旅に?――
口に出そうとするが、やめておく。
長い付き合いにはならないのだから、相手を深く知る必要がない。
487
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:41:35 ID:zhxophf20
(´<_` )「さぁ、食事をどうぞ」
食べ易いようにした握り飯を差し出す。
(;´-_ゝ-`)「そ、そこまでは……私は休ませて貰えるだけで十分ですよ」
(´<_` )「食べないと、体がもちませんよ。
それに痛めた足を治すなら、栄養は必要では?」
(;´-_ゝ-`)「…………ありがとうございます」
おっかなびっくりとした様子で、差し出した握り飯を受け取る。
( ´-_ゝ-`)「あなたは、本当にいい人ですね」
(´<_` )「しっかり食べて、ゆっくり休んで下さいね」
その方が、自分も都合がいいのだから。
盲が寝て暫く経ったのを確認し、動き出す。
外から射し込む月光を便りに、紐を手に盲の元へ行く。
小娘は起きる気配がしない、起きたとしても所詮小娘が勝てるはずがない。
(´<_` )「あんたがいい人で助かったよ」
眠っている盲の胴体に馬乗りになり、首に紐を巻き付け、呟く。
盲が起きようとしないのは、飲ませた茶に薬を混ぜたから当然である。
あとは力を込めて、紐を強く強く引けば良い。
488
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:42:37 ID:zhxophf20
男なら着物が血で汚れないように絞殺し、文字通り全てを奪う。
連れに女が居れば、よほど醜くない限り、犯して殺す。
殺して、犯して、奪う、そんな生活をずぅっと続けていた。
この世は所詮弱肉強食、罪悪感や後悔もこれっぽっちも無い。
( _ゝ )「本当にいい人ですね」
(゚<_゚ ;)「!?」
細い手が首に絡む、嫌に冷たい手をしている。
盲の手を離そうとするが、後ろから何かに押さえつけられる。
(゚、゚ トソン「貴方がいい人で助かったよ」
小娘がその華奢な体から出せる筈の無い力で、羽交い締めにしてくる。
どんなにもがいても、小娘が離れそうにない。
( _ゝ )「貴方は困っている我々に声をかけてくれました」
(゚、゚ トソン「父様の肩を支えてくれた」
( _ゝ )「小屋で休ませてくれました」
(゚、゚ トソン「薬の入った食事をくれた」
( _ゝ )「娘を陵辱しようと考えていました」
(゚、゚ トソン「父様を殺そうと企んでいた」
489
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:44:15 ID:zhxophf20
首を絞める手に力はないが、冷たすぎて気持ちが悪い。
先程から盲の首を紐で締めているはずが、全く反応がない。
(´<_` lli)「ば、馬鹿を言うな!
そんな事を考える奴のどこが「いい人」なんだ!!」
( _ゝ )「あなたはいいひとですよ、とぉってもいいひとです」
(゚、゚ トソン「今迄沢山の人たちを食い物にしたいい人だもの」
( _ゝ )「貴方の目玉を私に下さい、いい人でしょう?」
だから、と親子は嗤う。
( トェェイ) 「「死んで」」( トェェイ トソン
盲の指が、首の皮膚を突き破った。
490
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:44:57 ID:zhxophf20
峠の団子屋で家族が団欒している。
(゚、゚*トソン「はい、あーん」
【+ 】ゞ゚*)「あーん」
小娘が大きな匣を背負った童に口を開けさせ、団子を入れる。
(^、^*トソン「おいしいかい?」
【+ 】ゞ^*)「うんっ」
ミセ*^ー^)リ
満面の笑みで問えば、同じような笑みで返事をする。
普段は弟を甘やかせば小言いう母も、楽しそうに二人を見ている。
( ´・_ゝ・`)「本当、トソンはオサムが大好きだな」
盲だった父親が、日の光に眩しそうに目を細めながら茶を飲んでいる。
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇねぇ、その目玉の持ち主はどんな奴だったの?」
母親がじゃれあっている子供達をよそに、興味津々に訊いてくる。
( ´・_ゝ・`)「本当にいい人だったよ」
父親は茶を一口飲み、どうでもよさそうに続ける。
( ´・_ゝ・`)「死んでいい、外道だ」
『(´<_` )死んでいいひとのようです』 おわり
491
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:46:00 ID:zhxophf20
(
)
i フッ
|_|
74本目、終わりました。
ご清聴ありがとうございます。
乙の間に割り込んでしまって、申し訳ないです。
492
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:47:40 ID:IW9VAKCY0
乙
えげつないなぁ・・・・・・
493
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:48:58 ID:r4HgRmEU0
独特なふいんきで面白かった乙
あとひとつ前のはパァン!がどこぞのムカデ人間のせいでケツがなってるように見えて笑いが止まらんかったwwww
494
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 01:51:29 ID:Yk3KobIk0
乙
怖いけど惹きこまれた。
75本目をいただきます。
.,、
(i,)
|_|
一度お蔵入りしようと思った作品けど、投下します。
495
:
( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 1/14
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 01:52:48 ID:Yk3KobIk0
かつて阿波国の富豪の家に娘がいた。
この娘は大変器量が良かったが、ある秘密があった。
あるとき、娘の美貌に魅入られた若者が 婿に入った。
いざ寝床に入ったところ、女が奇妙な行動に出た。
娘は若者の頭から足先まで全身を嘗め始めた。
その舌はざらざらとしており、まるで獣に嘗め回されているようであった。
若者は気味悪がり、たちまち逃げ出した。
( ・∀・)「これが、俺がじいちゃんから聞いた徳島の怪談だ」
( ゚∋゚)「え、これ怪談だったのか」
( ・∀・)「おう」
( ゚∋゚)「それって普通に女の性癖だったんじゃないの」
( ・∀・)「そうだろうけど、昔は奇人がいたたりすると妖怪扱いしていたからな。
その一種だろうなー」
( ゚∋゚)「ふーん、まあ確かに夜中に突然体べたべた嘗められたら気持ち悪いわな。
なあジョルジュ、嫌だよなー」
_
( ゚∀゚)「いや……」
_
( ゚∀゚)「ちんこ立った」
496
:
( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 2/14
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 01:53:48 ID:Yk3KobIk0
( ・∀・)「……」
( ゚∋゚)「……」
_
( ゚∀゚)「もっと詳しい話を聞かせてくれよ」
( ・∀・)「興味津々だな……
とはいえ怪談に詳しいもなにも」
( ・∀・)「あ、いや、確か祠があるとか言ってたかな」
_
( ゚∀゚)「祠?」
「何があったかはわからないんだけど、その豪族の跡地らしい場所に、祠があって、そこで供養されてるんだ。
まあそんな奇人だったし、処罰でもされて殺されちゃったとかそういうのがあるんじゃないかな。
で、その魂押さえ込めるために祠作ったと」
_
( ゚∀゚)「ほうほう。
じゃあその祠いじったりしたら祟られたりするかな」
( ・∀・)「そうだなー、あんまりいじらない方がいいよなそういうの」
_
( ゚∀゚)「取憑かれたりとか」
497
:
( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 3/14
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 01:54:48 ID:Yk3KobIk0
(;・∀・)「……お前何考えてるんだ?」
(;゚∋゚)「なんか凄い邪悪な顔してるぞ」
_
( ゚∀゚)「ふふふ、いいことを思いついたんだ」
かくかくしかじか。
(;・∀・)「えーと、つまり」
(;゚∋゚)「嘗女を怒らせて」
(;・∀・)「女に取憑かせて」
(;゚∋゚)「嘗めさせる」
_
( ゚∀゚)b グッ
(;・∀・)「ど変態が」
(;゚∋゚)「罰当たりにもほどがあるだろう」
498
:
( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 4/14
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 01:55:48 ID:Yk3KobIk0
(;・∀・)「ていうか沖縄ので懲りなかったのかよ」
(;゚∋゚)「38本目参照な」
友人たちが如何様に私を評価しようとも関係なかった。
すでに頭の中では画期的なアイデアが構成されている。
( ・∀・)「だいたい徳島なんてそんなに行く用事なくね?」
_
( ゚∀゚)「いやそれがあるんだよ、たまたま、偶然」
_
( ゚∀゚)「大学の友達が急に本場の阿波踊りを見たいとか言い出しててな、しかもそいつ女なんだよ」
(;・∀・)「なんだそりゃ」
( ゚∋゚)「もしお化け怒らせて、女じゃなくてお前にでも取憑いたらどうすんだよ」
_
( ゚∀゚)「それむしろ好都合じゃね!? 正当に嘗め放題じゃん。
もし嫌がられても妖怪のせいにすればいいんでしょ? うっは興奮してきたwwwwww」
( ゚∋゚)「ダメだこいつ」
499
:
( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 5/14
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 01:56:47 ID:Yk3KobIk0
彼はそういうが、決してダメではない。
私は自分の体を嘗めさせることにこそ魅力を感じている。
自分から女性を襲いにいくなど、言語道断。私は紳士なのだ。
やがて私は彼から、祠のある場所を教えてもらった。
程ほどの山の中腹、道は広いが、周りは森。
なんと都合がいいのだろう、私は思考を巡らせた。
計画は練られていく。
まずは女と連絡を取る。
面白い心霊スポットがあるから寄らないか?
すぐに肯定の返事がきた。どうやら元々その手の話題が好きだったらしい。
私は飛行機と、現地のレンタカーをチェックした。
移動は主にこのレンタカーを使うつもりだ。免許は春のうちに獲得しておいた。
これならば山の中まで楽に移動できる。
そしてあわよくば、上手く取憑いてくれたなら、
車の中で、何物にも邪魔されず。
私は計画の筋を何度も確認し、ほくそ笑んでいた。
○ ● ○
500
:
( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 6/14
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 01:57:48 ID:Yk3KobIk0
あっという間に当日がやってきた。
空港で彼女と出会う。
川 ゚ -゚)「おはようジョルジュ」
彼女の名前はクーといった。
クーは正直なところ、少し変わっている。
表情はなんだかぎこちないし、何を考えているかもわからない。
今日の旅行にしたって、阿波踊りを見たいなどと不思議なことを宣った結果であった。
しかし別に私は気にしない。
私はクーの清潔そうな髪と、清楚な服と、その豊かな膨らみを見る。
すぐに頬が緩み、幸せな感覚に包まれる。
そう、彼女の性格が変わっていようと私にとっては問題のないことなのだ。
私は紳士なのだから。
501
:
( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 7/14
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 01:58:48 ID:Yk3KobIk0
お祭りを堪能し、阿波踊りを見たり真似たりして興じた。
夜は更けているが、上気した雰囲気が二人を包んでいる。
二人は見合い、そして昂った気持ちのまま次の目的地へと向かうことにした。
友達に教えてもらった道を正確に辿る。
山道ではほとんど車と出会わなかった。
人気もない、ただ夏の暑さと、わずかの風の音があるばかり。
少し開けた、山の中腹。
すぐに祠はみつかった。
石でできた、小さな小屋のような、箱。何か食べ物も置かれているようだ。
川 ゚ -゚)「ほほう、これが嘗女とやらの祠か」
彼女はそそくさと祠へと向かう。
顔には出さなかったが、よほど興味があったのだろう。
祠の前でしゃがんで、しげしげと眺めている。
502
:
( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 8/14
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 01:59:46 ID:Yk3KobIk0
私も彼女のとなりに立ち、祠を見やった。
こいつをどうすれば取憑いてくれるだろうか。
蹴飛ばしたり殴ったりすればいいか。
そんなに暴力的でなくともちょっとひっかけばすむか。
とりあえず何かしらいじってみよう。
私はそう思い、祠に手をかけようとした。
そのとき、不意に足元から手が伸びてきた。
クーの手だ。
_
(;゚∀゚)「え」
私に何か言わせるまもなく、彼女は私に凭れかかってきた。
まるで獣のように滑らかな身の熟しだ。
そのまま腰の辺りを押され、流されるように茂みへと入っていく。
503
:
( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 9/14
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 02:00:31 ID:Yk3KobIk0
これは、ひょっとして、もう
巨木の前でようやく彼女は押すのを止めてくれた。
酷く背を丸めており、顔は見えない。
私は巨木に背を向けていた。
_
(;゚∀゚)「あの、クーさん」
返事はない。
代わりに、クーが急に立ち上がる。
ようやく見えたその目は、まるで焦点があっていないぼんやりとしたものであった。
私が反応しないうちに彼女は、私の顔の横に自らの顔を寄せる。
そしてそのまま、私の頬を嘗めた。
私の心臓は高鳴った。
間違いない、彼女は嘗女に取憑かせているのだ。
彼女の舌は頬から耳、首元へと動いていく。
ちろちろと、探るような動き。
彼女の温い吐息がかかる。肌の上を広がり、胸の奥が熱くなる。
504
:
( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 10/14
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/19(月) 02:01:16 ID:Yk3KobIk0
私は彼女に押し倒される形となった。
なおも彼女は一心不乱に舌を動かしている。
彼女の白い体が、私の体の上で踊る。
髪が乱れようとも彼女は気にしていない。いや、もうとっくに正気ではないのだろう。
首元から胸、腹へと、幸せな感触が移っていく。
彼女はわざわざ服を捲ってまで嘗めてくれる。軽装なのでさぞやりやすいことだろう。
私はこの野性的な営みをあるがままに受け入れることにした。
きっとこれは動物霊か何かなのだろう。
彼女の息遣いや身のこなしは獣そのものであった。
体臭からしても、とても人間の発するものとは思えない土の香りがした。
身も心もすっかり獣となっているに違いない。
動物が相手と親しくなるときのスキンシップ。
それが今、彼女の体を介して行われている、ただそれだけのことなのだ。
私は目を閉じていた。
感覚によりいっそう集中するために。
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