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('A`)百物語のようです2013( )

414名も無きAAのようです:2013/08/19(月) 00:13:45 ID:rOAjZfD60
夢でも見ているようだった。
現実味がなくて、その人の声以外になにも音がなくて。
世界が昔の映画のように、モノクロで霞んでいるような気がした。

川д川(真っ暗な中でそう思うのって変だけど)

ほどなくして、赤茶けたぼんやりとした灯りが見えた。
目を凝らすと、どうやら真ん丸のきのこみたいな、鼈甲色のランプが光源になっているようだった。

わたしの先を歩いていた人影がそのランプに近付く。
細い指が、ランプをトントンと触れるとそれは輝きを増した。

そこはカウンター席であった。
カウンターを挟んだ向かいには、サイフォンとピカピカのコーヒーカップが置かれている。

川д川(不思議)

食玩のジオラマかなにかのようであった。
もっとカウンターは長いはずなのに、わたし一人とその人一人が収まる程度にしか長さがなかったのである。

( "ゞ)「どうぞ、座ってください」

川д川「あ……、はい」

先導していた人は、この喫茶店のマスターだったらしい。
ちょっと渋いウェイターさんのような黒服に身を包んだ長身のその人は、大人の男性という感じで、とってもかっこよかった。

足の長い丸イスに座る。
そういえば、彼女はこのイスが嫌いだった。
彼女はわたしと違って背が低くて、座るのに一苦労していたから、わたしは思わず笑ってしまったなぁ。

川ー川「ふふ」

( "ゞ)「どうかしました?」

川д川「あ、いえ……。高校時代の友達のことを少し思い出して」

( "ゞ)「ほう。青春ですね」

サイフォンのなかにコーヒーの粉を入れながら、彼は言った。

川д川「初恋の、人なんです。女の子なんですけど……」

( "ゞ)「甘酸っぱいですね」

川д川「……そうでもないんです」

( "ゞ)「どうして?」


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