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( ^ω^)百物語のようです2013( ω )
1
:
◆Rsp62tAaew
:2013/06/28(金) 14:17:25 ID:PjQGMrTo0
( ^ω^)おいすー。ここは夏の祭り、百物語専用スレだお!
祭り開催まではルールの確認等自由に使ってほしいお!
( ^ω^)とりあえず今決まっているルールは
以下の通りだお!
・開催日は八月九日(金)から十八日(日)まで
※ただし投下できるのは金土日のみ。投下期間以外の本スレは作品の感想などご自由に使用してください
・作品はホラーでなくても幽霊、妖怪、人外などが出るならギャグでもなんでも可
・レス制限は一作品30レスまで。それ以上は個別スレ建てをお願いします。
・ながらはNG。個別スレを建ててそこでやるのは可。
※個別スレ参加の場合
レス制限無し。
スレ立て
↓
百物語スレにて投下開始報告、URLを貼る
↓
投下終了後、百物語スレにて投下終了報告(その際、前の人の数字を引き継いで話数宣言)
・1人何話でも投下可!
※連続投下→次に投下する人がいないか確認を取り、無ければOK
※作品の投下間隔についてはルールはありませんが少し間を開けることを推奨します
・イラストでの参加も可!一話としてカウントします。
※ただし作品への支援絵は作品としてカウントしない
・開催時間は18時から翌朝7時まで
・話が終わったら本スレ(自分でスレを立てた人はそのスレでも可)で蝋燭のAAを貼る
前回百物語のスレ
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1344607128/
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1345353530/
( ^ω^)他に変更点、疑問点ある方はなんでもいってほしいお!
725
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 10:34:05 ID:wH1UYk0k0
二本目は逆読みしてみたんだが
あれ?逆読みしてたの俺だけ?
726
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 11:30:58 ID:Ifpu.QAQ0
>>725
おお…おおお…逆読みかなるほど
727
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 13:18:39 ID:9ekxQQ5c0
逆読みの発想はなかった
これはすごい
728
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 14:35:24 ID:JgiDJQs60
おおおおおおおお、逆読みか!!
729
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 15:28:52 ID:Citpydo60
逆読み気づかんかった
730
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 15:30:28 ID:n9X2ib9I0
ああーそういうことだったのか……すげえな
731
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 18:14:08 ID:jazxlJFgO
たしかに逆読みの方が自然に感じられるな
すげえ
732
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 20:52:01 ID:Ip9XxCJg0
え、どういうことまだわからん
733
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 20:54:31 ID:FJl8TdCY0
>>732
一番下の行から上に向かって読んでみ
734
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 21:05:32 ID:RN85R2RI0
去年の感想書くって人wktk
こっちのスレでもいいと思うけどな俺は
735
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 01:04:23 ID:.88FuADA0
ワシもええと思うで!
736
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/15(木) 01:08:16 ID:2cf1SXow0
ワイもいいと思うで!
737
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 07:47:10 ID:BedaMfJ60
今日は投下あるかな
738
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 11:43:03 ID:2adOIj820
去年の感想って言っても一個だけなんだけどいいだろうか……
去年の中で一番すきな作品
読み返すとなにげにここ怖いと思うんだよ
きちんとたいらげたのかなーと思うと……
( ´_ゝ`)「あっ…」
男がちょっと目を瞑るはずが3時間。時計はAM5時を指す。
目の前にあるラップが捲られた皿々、男の肩に掛けられた毛布が弟者の帰りを知らせていた。
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1101.jpg
(擬人化注意、背景は写真)
739
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 17:56:14 ID:X1OBwq2o0
次って28本目でおk?
740
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 17:59:35 ID:2fTnC5RcO
29本目じゃないか?
>>685
が28本目で
>>738
乙乙
読み返したくなった
741
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:02:58 ID:X1OBwq2o0
さんくす。じゃあ18時なったから投下させてもらいます。
29本目。
金縛りのようです。
.,、
(i,)
|_|
これは、私の実体験です。
あれは8月も中頃、寝苦しい夜だった。
ふ、と目が醒める。
背中が汗でじっとりと濡れているのがわかる。
徐々に意識がはっきりしてきたら徐に喉が乾いてきた、起きるのは面倒くさいが水を取りに行こう。
だが、身体が動かない。
(-、-;トソン(ああ、また金縛りか…)
私はよく金縛りにあってた。
金縛りなんて霊的なものは関係なく、ただの脳のうんたらかんたらと言われている。
霊自体も見たことなく、金縛りをあまり怖いと思ったことはなかった。
(-、゚トソン(早く動くようにならないかしら…)
金縛りになったらいつも瞳だけしか動かせないから暇になる。
キョロキョロと瞳だけ動かし真っ暗の部屋の中を探る。
そういえば何時だろうか、時計を探しあっちこっちに視線を動かす。
742
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:03:40 ID:X1OBwq2o0
( ω )
(゚、゚;トソン(!?)
天井、自分の真上に人がいた。
暗くて顔はわからない。
男…?しかしなんであんなところに…?
何かわからない恐怖を感じ、嫌な汗が一気に吹き出た。
(゚、゚;トソン(め、目がとじれな…)
恐怖から目を閉じようと試みるが、私の意思とは正反対に瞳はしっかりと何かを捕らえて逃がさない。
何かは私が見ているのに気づいたのか、じりじりと顔をこちらに近づけてきた。
病院臭い、消毒液の臭いがする。
( 、 ;トソン(やだ、こわい、たすけて、だれか、だれか…)
あまりの恐怖に、私はいつの間にか意識を手放していた。
743
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:04:20 ID:X1OBwq2o0
翌朝、目を覚ましたら天井には何もいなかった。
(゚、゚トソン(もしかしたら夢だったのかも)
そう思い新聞を取りに玄関へ向かう。
すると、玄関先に謎の染みができていた。
水だ。水溜まりが何故か玄関にできている。
(゚、゚;トソン(雨なんかここ数日降っていないのに…)
君が悪い、そうとしか言いようがなかった。
突然ポケットが震える、どうやら着信らしい。
慌てて出てみると母からの電話のようだった。
744
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:05:02 ID:X1OBwq2o0
祖父が急死したらしい。
数年前から病を患い祖父は入院していたようだ。
大学、就職と長いこと地元に帰らなかった私はその事実を始めて知った。
祖父は肺に水が溜まる病気だったらしいのだが、死後調べたところ何故か前日にあった水がすっかり消えていたらしい。
もしかしたら、あの晩現れたのは…。
水溜まりを作っていったのは…。
私は毎年祖父の墓参りする度、そんなことを思うのです。
(
)
i フッ
|_|
745
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:05:58 ID:X1OBwq2o0
短い上に怖くないですがお粗末様でした。
たまには文章書くのもたのしいね。
746
:
◆WX8wcWYomk
:2013/08/15(木) 18:06:41 ID:uBXZcgJ20
お疲れ様です
ではそれがしも30本目を頂きます
( ^ω^)大塚係長の陰謀のようです
〜百物語特別仕様〜
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1370050226/l50
.,、
(i,)
|_|
747
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:08:30 ID:2fTnC5RcO
乙乙
じいちゃん……
748
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:16:13 ID:uBXZcgJ20
( ^ω^)大塚係長の陰謀のようです
〜百物語特別仕様〜
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1370050226/109-117
30本目、投下終了です
(
)
i フッ
|_|
749
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:16:36 ID:2fTnC5RcO
三十一本目
.,、
(i,)
|_|
(,,゚Д゚)書きためが消えるようです
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1102.jpg
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1103.jpg
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1104.jpg
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1105.jpg
貞子はこの後モララーと付き合いました
(
)
i フッ
|_|
まぜこぜブーンの仮タイトルその4でした
750
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:20:55 ID:2cf1SXow0
十物語のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376558035/
投下開始しました
.,、
(i,)
|_|
751
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:26:49 ID:nQUWkTsY0
>>749
クッソワロタ
しかも貞子はモララーと付き合ったってギコ踏んだり蹴ったりww
752
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:27:44 ID:.05/kBZY0
>>749
最後の躍動感やべぇ
753
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:47:46 ID:apKHnwqk0
>>749
ギコつれぇwwグズだからってそりゃねーわwwww
つかこの絵はお前…穴本の人か…
754
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:48:50 ID:0OIhKpFgO
乙、悪霊とかでなくじいちゃんでよかったね
それとこのあと別の誰かが指摘するだろうかから今書いとく
28本目のほうが正解だと思うよ
27本目はゴスロリに除霊されて('A`)が消えるまでで1作品だと思う
755
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:51:03 ID:IpPUIiRg0
川 ゚ -゚)お迎えのようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376560156/
蝋燭お借りする
756
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:51:54 ID:2cf1SXow0
>>754
いやゴスロリは数え間違いして27っていってるだけで本当は28だから本数はあってるよ
というわけで三十二本目いただきまし
十物語のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376558035/
(
)
i フッ
|_|
757
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 19:22:33 ID:GRBf0qeY0
支援絵描いたお
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1108.jpg
三本目( ^ω^)猫又のようです
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1107.jpg
二十二本目バケネコアーカイブのようです
ブーンがちょっとうほっな人に見えなくもない構図になってしまったごめん
758
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 19:24:12 ID:0OIhKpFgO
>>756
おまいよく見てるな、27本目が2作品あるな
759
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/15(木) 19:34:30 ID:2cf1SXow0
>>758
(一応こういう者ですし)
760
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 19:40:18 ID:ckX67nQ.0
>>757
可愛すぎワロタ
761
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 19:44:55 ID:2fTnC5RcO
>>757
うほっ 猫又の尻尾が二本あって芸が細かいな
バケネコかわいい
762
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:16:04 ID:XO268j/o0
三十三本目、いきます
.,、
(i,)
|_|
逃げてなどいないようです
763
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:18:19 ID:XO268j/o0
なあ兄者、知っているか。
カッターを持った女の子の話だ。
もう十年は前の話だったかな。
今も昔もやることは同じらしくてな。一人の女の子が、クラスの女子からいじめを受けていたらしい。
朝来れば下駄箱はゴミだらけ、机の上に仏花、教科書やノートは落書きだらけ、休み時間にはトイレで水をぶっかけられる。
清々しいほどわかりやすい行為だな。
そんな行為が一年くらい続いた頃か。
いじめられた女の子は、とうとう自殺を決意したらしい。
だが、自殺っていうのは逃げることだ。いじめっ子から逃げる為に、自分を殺すんだ。
女の子は、その「逃げる」って行為が、負けたような気がして嫌だったんだな。
764
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:20:06 ID:XO268j/o0
女の子は家にあったカッターナイフで手首を切って死んだ。
一度では死ねなかったんだろう。何度も何度も切り付けて、女の子は死んだ。
いじめっ子は、女の子が死んだと聞いても特に何も思うことは無かった。
朝死んだ猫を見かけたと聞いて、ああそう、と相槌を打つ程度と言えば分かりやすいかな。
彼女の訃報を聞いた日の晩、いじめっ子達は揃って死んでいた。
全員自宅で、全身をめった刺しにされて死んでいた。
一つ一つの傷は、言うほど深くは無かった。だが顔の原型が分からなくなるまで刺されていれば、まあ死ぬのも納得できるだろう。
一晩に五人もの女子中学生が死んだこの怪事件は、凶器が発見されないままだった。
結局事件は犯人も見つからず、永遠に迷宮入りだ。
( ´_ゝ`)「なあ、弟者」
765
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:21:21 ID:XO268j/o0
なんだ、兄者。
( ´_ゝ`)「その事件の犯人ってのは、自殺した女の子なんだろう」
どうしてそう思う?
( ´_ゝ`)「人の怨念ってのは案外強く残るらしくてな。
それだけ強い想いを持っていたんなら、死んだ後復讐しに化けて出てもおかしくない」
非科学的なことを嫌う兄者がそんなことを言うなんて珍しいな。
( ´_ゝ`)「今回だけは特別だ。ところで弟者、」
766
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:22:30 ID:XO268j/o0
( ´_ゝ`)「そろそろ、頸動脈をぶっ刺してくれないか。痛くて痛くてもう嫌になるんだ、さっさと殺してくれ」
兄者がそう言うなら。
767
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:23:36 ID:XO268j/o0
ぶつっ
768
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:25:25 ID:XO268j/o0
『――昨夜、17歳の男子高校生が、双子の弟に数十か所を刃物で刺されて死亡する事件が起きました。
弟の流石弟者容疑者は、遺体と共にその場に気絶しており、目が覚めると錯乱状態になったそうです。
「俺が殺した」「殺したくなかったのに、体が勝手に動いた」との供述を繰り返し、精神面に異常があると見て精神病院へ入院しているとのことです。
被害者と容疑者を知る人々からは「本当に仲が良かった」「信じられない」などと、
常より目立った喧嘩も無く、本当に仲が良い兄弟という認識であったが故に、驚きを隠せないという声が多く上がりました。
なお凶器に使ったというカッターナイフは未だ見つかっておらず、
警察は「本人の精神状態が安定するまで真実の解明は難航するだろう」と意見を示しています。
では、次のニュースです――』
769
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:28:29 ID:XO268j/o0
許さない。
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
わ たし は に げ てな ん か な い
770
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:29:39 ID:XO268j/o0
つ は ま の
ぎ
え
お
(
)
i フッ
|_|
771
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:33:47 ID:IpPUIiRg0
おつ いつまで経っても満足しないんだろうな、怖い
三十四本目頂いた
川 ゚ -゚)お迎えのようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376560156/
772
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:38:33 ID:Mv.L0B1s0
弟者は自殺した女の子について「逃げた」つったから取り憑かれたのか…
女の子の「逃げ」に対する妄執を思うとぞっとするな
乙
773
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:41:55 ID:bzN4gqik0
お前らの解説でようやく理解したわ……
774
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:50:33 ID:uf2s4vaE0
よーしじゃあお兄さん三十五本目もらっちゃうぞー
.,、
(i,)
|_|
ノパ⊿゚)の本当にあった田舎の怖い話のようです
775
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:52:09 ID:uf2s4vaE0
これは私が本当に体験したお話です。
それは太陽が本格的に熱波で日本を滅ぼそうとしているとしか思えない、
あるクッッソ暑いお盆の日の夕方のことでした。
ノパ⊿゚)〜♪ テクテク
周囲を山に囲まれた農村地帯にある親戚宅に遊びに来た私は、
夕飯までの時間つぶしに暗くなり始めたその辺をぶらぶら歩いていました。
いくら猛暑とはいってもヒートアイランド現象などとは無縁の自然にあふれたこの地域では、
夕方にもなれば暑さもやわらいで、時折心地良い風が辺りを吹き抜けていくので、とても快適な夕暮れどきの散歩でした。
地方都市の割と都市部に住んでいる私には、農村ののどかな風景は心弾むものなのです。
昼間は軽く殺意さえ湧いた蝉の声も、こうなると夏の夕闇を飾るアクセントに感じられるのだから不思議です。
('、`*川 サクサク
ノパ⊿゚)(おー、ホントに頭に手ぬぐい巻きつけてる。あれ名前なんていったっけな)
ふと横を見れば、道の脇の畑では、ほっかむりをしたおばあさんが何やら畑仕事をなさっているところでした。
顔には深くシワが刻まれているものの足腰はしっかりしており、いかにも健康的といった様子でした。
776
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:53:49 ID:uf2s4vaE0
/ ,' 3 スタスタ
すると、道の向こうの方からひとりのおじいさんが歩いてきました。
そのおじいさんも目元や表情はやわらかく優しげでしたが、
これまた見た目の歳の割には堂々とした足取りで、お年寄りの力強さを表しているかのようでした。
/ ,' 3「おーい、トソンさんや」
('、`*川「ほいほい、なんですね?」
おじいさんはおばあさんのいる畑ばたで立ち止まると、おばあさんに声をかけました。
/ ,' 3「へぇ(もう)墓行ったっけ、死んでいいでよ」
ノパД゚)
.
777
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:54:40 ID:uf2s4vaE0
('、`*川「おや、そかね」
ノパД゚)
(゚Д゚ノハ
ノパД゚ノハ
.
778
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:55:22 ID:uf2s4vaE0
後で聞いてみると、アレはこの辺りの方言だったそうです。
「はかいった」=「捗った」、「しんでいい」=「しなくてもいい」、みたいな意味になるそうです。
つまり
/ ,' 3「へぇ(もう)墓行ったっけ、死んでいいでよ」
を標準語に直すと、
/ ,' 3「もうかなり作業が進んだので、今日のところはもう作業をしなくてもいいよ」
という感じのセリフになるみたいです。
ノパ⊿゚)「いやまったく、日本語というのは奥が深いですね!」
(
)
i フッ
|_|
ノパ⊿゚)「実際に体験した話なんてこんなもんだよ!!」
779
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:58:07 ID:V0h7Eisw0
オチwwwwww
780
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 21:01:25 ID:V0h7Eisw0
てっきりじいさんが死んだことに気付いてないばあさんに
とっくに死んでるって事実を告げたのかと思ったらこれだよww
不覚にも笑ったわw
乙ー
781
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:04:57 ID:TB6qx7aU0
乙乙
方言って面白い。
36本目、いただきます。
.,、
(i,)
|_|
782
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 1/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:06:30 ID:TB6qx7aU0
海の上に夕日が浮かんでいる。
(*゚∀゚)「きれいだねー」
横で小さな女の子が言う。
名前はつー。見た目は小学校の中学年くらいか。
(,,゚Д゚)「……」
俺はつーの横顔をずっと見ていた。
背丈のために、見下ろす形になっていたが。
頬が赤く火照っているのは、夕日のせいでもあり、
そもそもつーの頬がやや赤みを帯びているからでもあった。
彼女は顔が丸く、背の小さな女の子だった。
どこにでもいる女の子。
ただ、足の先がぼやけて消えているだけ。
(*゚∀゚)「おじさん、おじさん」
つーが俺に声をかける。
783
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 2/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:08:01 ID:TB6qx7aU0
(*゚∀゚)「今度は何して遊ぶ? お石で遊ぶ?」
(,,゚Д゚)「元気がいいな」
(*゚∀゚)「うん! 久しぶりに人と会ったから!」
無邪気な笑顔を見る。
この笑顔を見てどうして、この子が自殺を促しているなどと思えるのだろうか。
★ ★ ★
(,,゚Д゚)「自殺の名所?」
あの日、俺は旧友であるフサから唐突にその話を聞いた。
ミ,,゚Д゚彡「そうらしいんだ。俺らが良く遊んでいたあの海岸、少し小高い場所があっただろ?」
(,,゚Д゚)「ああ、あったな。ネズミ落としって言うんだっけ。落ちたらもう登れなさそうなところ」
ミ,,゚Д゚彡「あそこで自殺が多発したらしい」
そうか、前から危ないって言われていたものな、そう言おうとして、俺は違和感に気付いた。
(,,゚Д゚)「自殺?」
784
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 3/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:09:33 ID:TB6qx7aU0
ミ,,゚Д゚彡「そう、自殺」
どういうことだろう。
俺が学校に通っていたころは、少なくともまだ自殺者などいなかったはず。
せいぜいひとつの事故があっただけだ。
俺の怪訝そうな顔をみたからか、フサは軽く頷いた。
ミ,,゚Д゚彡「俺らのいた頃のじゃないよ。俺らがいなくなってから、自殺者が現れたらしい。
で、すっかり不気味な場所として有名になっちゃったんだとさ」
(,,゚Д゚)「そうか……あのあとまたあったのか。
学校も潰れているしな。廃校と自殺の名所、そりゃあ有名になるわけだ。
しかし廃校したのならとっとと撤去すればいいのにな」
俺がぼやくと、フサもまったくだと言うように顔を顰めてくれた。
ミ,,゚Д゚彡「その事情もまあわかっている。あの頃は不景気だったし、それに……
こういっちゃなんだけど、撤去しない方がいいこともある」
フサの言い淀み方で、俺はすぐに察した。
(,,゚Д゚)「……金か」
ミ,,゚Д゚彡「そうだと思うよ。実際全国的に有名になってきているわけだし」
人の死が金を呼ぶ、それで地元が潤う。嫌な話だ。
785
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 4/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:11:03 ID:TB6qx7aU0
ミ,,゚Д゚彡「そこで今回の依頼だ」
フサは煙草を灰皿にこすりつける。
煙が一瞬広がり、細い線となって消えた。
ミ,,゚Д゚彡「自殺の名所になっている原因を探れと」
(,,゚Д゚)「……いったい誰がそんな依頼を?」
俺は興味本位から質問した。
フサは時折依頼を受けて、霊現象の調査・解決をしている。
多少霊感があるだけなのだが、どうもこの仕事はお金になるらしく、長々とゴーストバスターズの真似ごとをしているとのことだ。
別に何か衝撃波でも出してお化けを吹きとばしたり、そういうことはできない。
できるのはお化けの悩みを聴く、それだけ。
ミ,,゚Д゚彡「依頼をしてきたのは新しい村長だよ。前まであそこを牛耳っていた地主の一族が絶えたから、村長が変わったんだ」
それで、村をもっと発展させたい、もっと明るく、ぱーっと。古いものもぶっ壊したい」
廃校も壊したいけど既得権益がある。だからまず霊現象から解決したい。こういうわけさ」
786
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 5/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:12:42 ID:TB6qx7aU0
(,,゚Д゚)「はー、なるほどね。良いんじゃないの、俺も辛気臭いよりその方がいいや」
ミ,,゚Д゚彡「じゃあ協力してくれるよな?」
(,,゚Д゚)「ああ、そういうことか。またか」
俺には別に霊感は無い。でも腐れ縁ということもあり、フサの携わった依頼の手伝いを良くしていた。
まったく霊感が無いからこそ、下手に反抗もされずに無事でいるらしい。
☆ ☆ ☆
俺の前にいるつーには足は無い。どうみても、幽霊だ。
俺のことを霊感なしと判断したのフサである。あいつの読みは違ったんだろうか。
(*゚∀゚)「おじさん、あそこ言ってみようよ」
つーはそう声を上げると、指を指した。件の崖がある。
(,,゚Д゚)「……」
俺は自分の顔がこわばるのを感じた。
まさか自分をつれていこうとしているのか。
787
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 6/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:14:36 ID:TB6qx7aU0
(*゚∀゚)「どうしたの?」
つーいつの間にか足元に来ていた。さっきまで岩場の方でしゃがんでいたのに。
やはりこの子は幽霊なのだと感じ、微かに寒気を感じた。
★ ★ ★
俺の仕事は某情報誌のライターだった。
いまどきは情報誌だけで生きていけるわけではない。ネットに記事を書いていたりもする。
政治や社会問題を扱う仕事は競争が激しい。
しかしライターになりたいやつは誰だって、そのような問題に接し、世の中の役に立つような情報を発信したいと思うはずだ。
もちろん俺だってその一人だった。
でも時期も機会も悪く、与えられたのは胡散臭い会社の胡散臭い記事の仕事だった。
配属された時、ちょうど幽霊特集を組む仕事に回された。
心の中では嘲っていたものの、仕事とあらば仕方が無い。
お化けの話のネタのために、小学校時代からの旧友だったフサに相談した。
本当は余計に借りをつくりたくはなかったのだが。
788
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 7/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:15:36 ID:TB6qx7aU0
崖の話を聞いてから、俺はフサに言われた通り、まずは村長と接触した。
村長は若く、力に満ち溢れた青年だった。
古い因習をたたき壊すにはこれくらいやる気に満ちていないとならないのだろう。
(`・ω・´)「それで、ギコさん。聴きたいこととは?」
ちなみにフサは俺のことを自分の調査の部下などと紹介していたらしい。
話はスムーズにいくが、あまり気持ちのいい身分ではなかった。
(,,゚Д゚)「心霊調査のためにはまず、その心霊が現れる理由を知らなくてはなりません。
幽霊というのは何かこの世に未練があるから現れるんです。ですので、その未練とは何なのか知りたい」
全てフサの受け売りである。
(,,゚Д゚)「何か昔、幽霊と関係あるような事件とか、ありませんでしたか」
(`・ω・´)「事件、ですか……自殺がまず最初に騒がれたのが15年前なんですよね。
15年前、あの近くの小学校がまだやってましてね、そこにいたつーという女の子が身を投げて」
☆ ☆ ☆
(*゚∀゚)「あの丘の下にね、ほら穴があるの」
つーは説明してくれた。
789
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 8/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:17:08 ID:TB6qx7aU0
(,,゚Д゚)「そこに俺を連れていくのか?」
(*゚∀゚)「うん。連れていったほうがいいって」
(,,゚Д゚)「いい?」
(*゚∀゚)「きこえるの」
誰かが呼んでいるのか。
岩場が歩きにくかったが、足のないつーは空中に浮かんで、すーっと進んでいく。
俺もなんとかついていく。
革靴にはつらい。
★ ★ ★
(`・ω・´)「15年前に、心当たりでもあるんですか」
(,,;゚Д゚)「いえ……実は私もそこの小学校にいたのですが」
(`・ω・´)「なんと、ではまさかあの自殺も」
(,,;゚Д゚)「いいえ、その頃は高校生でしたし、もう引っ越していました」
790
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 9/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:18:35 ID:TB6qx7aU0
(`・ω・´)「引っ越し……?」
村長が首を傾げた。
自殺があってから離れるのはわかる、その前に引っ越すのはどういうことなのだ。
そう疑問を抱いた顔だった。
(,,゚Д゚)「実は、仲の良かった子が亡くなったんです」
そういえば、俺はふと思い出した。
むしろどうして今まで忘れていたのだろう。
(,,゚Д゚)「その子、あの岩場で発見されたんです」
気付いたことを言いながら、俺は自分の心臓が少しだけ鼓動を速めるのを感じた。
まさか彼女が関係あるというのか。
(`・ω・´)「気になりますね。いったいどうして岩場で発見されたんですか?」
(,,゚Д゚)「改修中の川に、落ちたんですよ……それで海まで流れていって」
海流に乗って偶然岩場へ。沖にいってしまわなくてよかった」
ギコくん……
はっとして、振り返る。
村役場の応接室、何もない。何も聞こえるはずない。
791
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 10/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:20:02 ID:TB6qx7aU0
(`・ω・´)「大丈夫ですか?」
村長が心配そうに声をかけてくれた。
(,,;゚Д゚)「え、ええ。ちょっと。こんな話題をするもんですから」
自分には霊感は無いはず。危険なこともないはず。
あのとき死んだ、しぃになんて会わないはず。
☆ ☆ ☆
ほら穴は薄暗かった。
ぎりぎり差し込んでいる太陽の光も、もうじき消えてしまう。
深い青に入口は閉ざされてしまうだろう。
彼女はいた。
あの頃と変わらない、小学生の姿のまま。
「ギコくん」
声は確かに聞こえた。あの応接室のときよりもはっきりと。
暗いせいだろうか、青白く見えるのは。
もともと肌の白い子どもであったが、殊更にそう見える。
792
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 21:21:01 ID:IpPUIiRg0
ぞくぞくしてきた
793
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 11/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:21:32 ID:TB6qx7aU0
(,,゚Д゚)「しぃ」
俺はあのときと同じように名前を呼んだ。
★ ★ ★
俺は役場の外に出て電話をかけた。相手はフサだ。
電話には出ない。あいつはいったい何を考えているんだ。
俺は焦った。嫌な予感がした。
もし岩場にいる幽霊がしぃだというのなら、彼女は自分を狙っているに違いないのだから。
二回目、三回目、連続してコールする。
舌打ちして、それからはっとして、あたりを見回す。
すると時代錯誤のような公衆電話がひとつ見つかった。
一回目のコールでけりがついた。
ミ,,゚Д゚彡「……あ、ギコか」
しまったーとでもいうような冗談めいた声がする。
(,,゚Д゚)「なんで俺の電話にでねえんだよ」
ミ,,゚Д゚彡「いやー、びびってるかなーって思って」
フサの口調からよくわかる。あいつはわかっていたのだ。
この事件の裏側にしぃがいることを。
794
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 12/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:23:01 ID:TB6qx7aU0
(,,#゚Д゚)「ふざけんなよこら」
ミ,,゚Д゚彡「いやいや、別にふざけているわけじゃないよ」
逆に、正直に言ったところで君はそこにいかないでしょ」
俺は黙った。
ミ,,゚Д゚彡「心当たり、あるんでしょ」
図星だった。
何も言い返すことは無い。
ミ,,゚Д゚彡「だから、行きなって。大丈夫、君の体力なら生きていけるはず」
(,,゚Д゚)「なんでそう言えるんだよ」
ミ,,゚Д゚彡「100%見た目だけで判断してるよ」
(,,#゚Д゚)「てめえ」
何を言う前に、電話は切られてしまい、もう二度と繋がることはなかった。
☆ ☆ ☆
しぃ。
あの日、俺は彼女に会っていた。まだ雨が降り出す前だ。
795
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 13/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:24:33 ID:TB6qx7aU0
俺たちは小学校三年生だったか、それくらいだった。
川で遊んでいたんだ。暑かったから。
それで、雲行きが怪しかったから、陸に上がろうとしたんだ。
でも、そこで風が吹いて、しぃの帽子が飛んでいった。
しぃはそれを追って、また川に入って、そして突然転んだ。
それっきり、浮かんでこなかった。
(,, Д )「俺は、すぐあがるだろうと思って、一回だけ名前を呼んで、みていた。
でもお前は出てこなかった。もう、俺は怖くて怖くて」
(,, Д )「すぐに大人でもなんでも呼べばよかったんだ。そうすれば助かったかもしれない。
だけど俺は足がすくんで動けなくて。たまたま自転車で通りかかったおっちゃんに、あぶねえぞーって声を掛けられて」
(,, Д )「それでタガが外れたように、駆け出した。聴いたことない大きな音も鳴ってて、怖くて逃げた。
家に帰って、布団にこもって、ガタガタ震えていた。
きっと助かる、きっと、俺は悪くない、そう言って」
(*゚ー゚)「見捨てたんだ」
最後の言葉はしぃが紡いだ。薄暗くてよく見えないが、口元が微笑んでいるように見えた。
796
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 14/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:26:02 ID:TB6qx7aU0
(,, Д )「しぃ……」
俺は今、目の前でまた彼女を見ている。
彼女もまた足が無い。
★ ★ ★
フサとしぃは家が近所だったはずだ。
それでずいぶんと仲良かったのを覚えている。
しぃが死んで、葬式場でずっとフサは泣いていた。
俺はその姿を見て、居た堪れなくなって、中学生になったころになって、ようやくフサに打ち明けた。
ミ,,゚Д゚彡「見殺しにしたのか。臆病者め」
フサは俺のことをそう評していた。
でも、そこで猛り狂うにはもう時間が経ち過ぎていたようだ。
ミ,,゚Д゚彡「おまけに行動も遅い、どんくさい、面倒な奴め」
俺はその言葉を悔しく聴いていたことを覚えている。
ミ,,゚Д゚彡「それじゃあ約束してくれ、これからはなんでも俺の言うことを聴くって」
それがフサとの腐れ縁だった。
797
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 15/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:27:32 ID:TB6qx7aU0
そうだ、そのはずだ。まさかフサが俺を自殺に追い込もうなどとするはずはない。
俺は一瞬頭に浮かんだ疑問を、そうして理屈で跳ね返した。
あいつにはきっと、俺としぃが会った方がいいと考えたんだ。
それはたぶん、しぃを供養するため。
☆ ☆ ☆
しぃがすーっと、近づいてくる。
岩場も水辺も関係ない。宙を浮いてくる。
すでに日は沈んでいる。
あたりは暗く、星の光はほら穴を照らすには明らかに弱かった。
しぃは、髪が少しだけ長いようだ。濡れていて、ふわりと浮かない分、伸びているように見えた。
(*゚ー゚)「ギコくん」
もう一度、しぃが言う。徐々に俺に近づきながら。
俺は眼を開いていた。
何があろうとも閉じるつもりはない。だってあのとき見捨ててしまったのは本当なのだから。
しぃの体が後数十センチ、数センチ、数ミリ……
798
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 16/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:29:02 ID:TB6qx7aU0
背筋に悪寒が走る。
いったいどうして、しぃが自分を殺さないと断言できる。どこにそんな確証がある。
フサを信じるのか。でも、俺は。
感触はなかった。
でもしぃの体はもう、俺の体に触れていた。見た目では、そうだ。感覚がないだけなのだ。
★ ★ ★
岩場についた。すでに夕暮になろうとしている。
波の音が静かだ。今日の天気は穏やか。雨は降らないで済むだろう。
岩場に女の子が見えた。
今は夏休みだ。子どもがいても不思議ではない。
でも、どうしてこんなに不安になるのだろう。
女の子がこちらを向いた。手を振っている。
(*゚∀゚)「待ってたよ、おじさん」
女の子の名前はつーと言った。
☆ ☆ ☆
799
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 17/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:30:42 ID:TB6qx7aU0
(*゚ー゚)「間違ってるよ」
しぃはあまりにも小さかった。
当時でも小さかったのだから、今ではなおさら。
俺のお腹のあたりから、しぃの声がした。
消え入るような、か細い声。
俺はしぃの頭の上だけを見ていた。
つむじが見える。濡れ髪なので、はっきりと。
(*゚ー゚)「私はギコくんをびっくりさせようとしていたの」
しぃは静かに話しだした。
(*゚ー゚)「転んだのは本当だけど、あのあとすぐに起き上がったら恥ずかしいだけだった。
だから、ちょっと我慢して、それでギコくんが近づいてきたらびっくりさせようと思ったの」
しぃが淡々と話を続けていく。
(*゚ー゚)「だけど来なくて、しょうがないなあって思って、顔を上げようとしたら、急にすごい力がかかって」
800
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 18/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:32:28 ID:TB6qx7aU0
(,,゚Д゚)「鉄砲水っていうんだ」
あの時のことを俺は思い出した。
聴いたことのない大きな音が鳴っていた。
あれが鉄砲水が来ることのサインだと知った時、すでに俺はこの村にはいなかった。
(,,゚Д゚)「そのときは、知らなかった」
(*゚ー゚)「いいよ」
顔は見えないが、しぃの声は笑っているように感じた。
(*゚ー゚)「死んじゃうとね、だんだんと難しいこと考えられなくなるの。
寂しいって感じたら、ほんとにそれしか考えられなくなって」
(*゚∀゚)「あたしはそれで、姉ちゃんに呼ばれたんだ」
つーが横から言う。
ギコはそちらを見やる。
相変わらず、つーは笑っていた。
しかしその体はずいぶんと薄くなっている。
(,,゚Д゚)「妹、いたんだな」
少しだけ似ている。頬の赤いところとか。
(*゚ー゚)「うん」
801
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 19/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:34:25 ID:TB6qx7aU0
(*゚∀゚)「あたしが死んじゃってから、なんだかやたらと飛び込む奴がいたけど、
姉ちゃんに呼ばれたのはあたしだけだよ」
これだけ明るいつーが自殺すれば、何か怪しいものがこの丘にあると思われたのだろう。
真相はそんなところなのだろう。
(*゚∀゚)「姉ちゃん。あたしこそ姉ちゃんが心配で、それだけが気がかりでここにいたんだ。
でももう大丈夫みたいだな」
その言葉が聞こえた。
そしていつの間にか、霧が晴れるようにして、つーはいなくなっていた。
未練がなくなれば幽霊は消える。いつぞやのフサの言葉を思い出した。
(*゚ー゚)「ギコくん」
しぃの声。
(*゚ー゚)「ありがとう」
それが最期の言葉だった。
顔を向けた時には、もうしぃの姿も無くなっていた。
最初からいなかったようでもあった。
波の音だけが静かに、ほら穴に響いていた。
802
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 20/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:35:33 ID:TB6qx7aU0
後日、フサに会った。
ミ,,゚Д゚彡「ありがとー」
ずいぶんと調子のよさそうな声で礼を言われた。
俺からはとても話す気になれない。
ミ,,゚Д゚彡「しぃの幽霊が人を呼ばないようにしているのはなんとなく感じたんだ。
それでも人が来ちゃう。いったん名所と名付けられたら、なかなか払拭できないんだから困るよ」
(,,゚Д゚)「……本当にな」
ミ,,゚Д゚彡「お、ようやくしゃべったね。ひどい声だね」
(,,゚Д゚)「うるせえな」
ミ,,゚Д゚彡「その歳になって喉をからすほどなんて、よっぽど」
俺は手振りだけでフサを止めた。
もういい。反論するのも疲れた。喉も痛い。
俺とフサはあのほら穴に来ていた。
花を供えるためだ。
これからは自殺者が来ないように、村が盛り上がってくれればいい。
波の音がまた聞える。
昔と変わらない。人の思いをすべて包み込むように、音を響かせて。
余談だが、事故現場に献花をするのは、まだ自覚のない霊魂に死んでいることを自覚させるためらしい。
もう未練など断ち切ってしまえと伝えるために。
〜おわり〜
803
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 20/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:36:23 ID:TB6qx7aU0
(
)
i フッ
|_|
804
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 21:41:30 ID:IpPUIiRg0
おつ
恨んでなくてよかった
805
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 21:46:27 ID:bzN4gqik0
切なぁ……乙。
806
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:18:00 ID:IpPUIiRg0
三十七本目、頂こう
807
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:18:56 ID:IpPUIiRg0
.,、
(i,)
|_|
808
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:19:55 ID:IpPUIiRg0
ζ(゚ー゚*ζ引っぱるようです
.
809
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:20:51 ID:IpPUIiRg0
『それ』を初めて認識したのは、ひと月ほど前だろうか。
っζ(゚ー゚*ζ
ζ(゚ー゚*ζ「……ん?」
最初は視界の隅に何かがよぎる、というものだった。
だから本当のところは、いつ頃からあったのか分からない。
次に気付いたのは、通学途中。
ζ(゚ー゚*ζc
゛
ζ(゚ー゚*ζ「?」
後ろから髪を引っ張られ、振り向いた。
誰も、いない。
ζ(゚ー゚*ζ(……気のせい?)
次はカバン。
ζ(゚д゚;ζ「きゃっ!」
从 ゚∀从「どした?」
ζ(゚、゚;ζ「誰かが手を掴んだの!」
从 ゚∀从「はあ? カバンの中でどーやって掴むってんだよ」
ζ(゚、゚*ζ「……」
ζ(゚、゚*ζ(でも、本当に誰かが掴んだんだもの)
.
810
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:21:45 ID:IpPUIiRg0
家で、学校で、道で、段々と『それ』は場所も頻度も増えていく。
授業中も、掃除をしている時も、ご飯の時も。
引っ張るだけ、撫でるだけだが、気味が悪い。
暫くして、休みの日に友人と遊ぶ約束をして、待ち合わせ場所に向かっている時だった。
信号が青になる。
ζ(゚ー゚*ζ....
!?ζ(゚ー゚;ζヾ⊂
横断歩道の途中で、強く髪を引っ張られた。
ζ(゚、゚;ζ「いっ、」
あまりの勢いに、耐え切れず尻餅をつく。
――その目の前、ほんの数センチ先を、車が走り抜けた。
ζ(゚- ゚;ζ「……うぇ」
ぞっとした。もし、引っ張られてなかったら。
ぱぱ、と短くクラクションが鳴る。
慌てて立ち上がり、横断歩道を渡りきった。
.
811
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:22:38 ID:IpPUIiRg0
ζ(゚ー゚*ζ(もしかして、助けてくれたのかな)
そう思うと、何だかほっとした。
『あれ』は自分を守る為に、傍に居てくれるのかもしれない。
気味悪く思っていたのが申し訳ないくらいだ。
相変わらず髪を引っ張られながら(手や足を掴まれたりもするけど、これがダントツで多い)
『それ』と共に生活を送っていた。
最近は頻度はあがっていない。ただちょっと、力が強くなってきた気がするけど。
.
812
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:23:59 ID:IpPUIiRg0
ζ(゚ー゚*ζ「ふう」
お風呂からあがって、髪にドライヤーをかける。
終ったら保湿とブラシ。
明日は何だったかな、そうだ数学の宿題あったんだ。
П〜♪
ケータイが鳴る。
ドライヤー片手に、もう片方の手を伸ばして、
ζ(゚ー゚*ζ「あっ」
ベッドからケータイが転がり落ちる。
滑るようにベッドの端から降りて、ケータイに手を伸ばす。
瞬間。
風が頭の上を薙いだ気がした。
首を捻ってみると。
大きな手が、あった。
ぎらりと輝く鋭い爪。
『それ』は中途半端に開いていた。
まるで何かを握り損ねた、とでもいうように。
.
813
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:25:01 ID:IpPUIiRg0
ζ(゚- ゚;ζ
ち、と確かな舌打ちを残して(そうとしか聞こえなかった)、手は消えた。
けむくじゃらで、爪が尖ってて、そして、指と指の間には。
あれは、ああ、
――髪に繋がった、しゃれこうべ、だった。
.
814
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:25:44 ID:IpPUIiRg0
(
)
i フッ
|_|
815
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:27:58 ID:bzN4gqik0
おうふ……結局しゃれこうべはデレを連れてこうとしてたのか
乙乙
816
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:42:19 ID:TB6qx7aU0
乙
38本目、いただきます。
.,、
(i,)
|_|
817
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです1/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:43:30 ID:TB6qx7aU0
乳の親(ちーのうや)
外見は優しい顔立ちの女性で、洗いざらしのような黒髪を長く垂らしており、乳房が非常に大きい。
国頭村や大宜味村には、小児を葬るための童墓(わらべばか)という墓があるが、
ここには乳の親がいて、葬られた子供に乳を飲ませて養うと信じられている。
そのために6歳以下の子供が死ぬと、乳の親に頼むために重箱を盛って祀るという。
一方で今帰仁村などでは、童墓や水中にいる乳の親が、まだ生きている子供を奪い去るといわれる。
幼児に鏡を見せると、水面を鏡と思って水面に行きたがり、
その挙句に乳の親に引きずり込まれるので、鏡を見せるべきではないとされている。
( ・∀・)「こんな妖怪もいるんだって、じいちゃんが教えてくれたんだ」
( ゚∋゚)「へー、なんか良い奴なのか悪い奴なのかよくわからんな」
( ・∀・)「沖縄の妖怪は特にそういうのが多いよ。人の善悪では判断しきれないようなの。
諸島だしいろんな文化とも触れていたから、独特な話が派生したんだろうな」
( ゚∋゚)「なるほどね。ん? どうしたジョルジュ」
_
( ゚∀゚)「いや……誤解じゃなければ乳房が大きいと聞えたような」
818
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです2/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:44:27 ID:TB6qx7aU0
( ・∀・)「ああ、特別に大きいと伝えられているらしいけど」
_
( ゚∀゚)「ほほう」
(;・∀・)「……」
(;゚∋゚)「おい、落ちつけよジョルジュ。妖怪だぞ?」
_
( ゚∀゚)「ふふ、私は紳士なのでな。形さえ良ければ差別はしない」
大学一年の夏休み、三人は沖縄に旅行に来ていた。
高校生活では味わえなかった長期の暇な時間、有意義に使わなければもったいない。
そういう意気込みで唐突に旅行に来たものの、現実には男三人のむさいものとなっていた。
沖縄についたのはお昼過ぎ。それから軽く食事して、ホテルに移動し、荷物を下ろした。
そこでこれからどうするか話し合っていたのだが、妙に疲れていて乗り気になれず、
お寺出身のモララーが中心となり、いつの間にか妖怪談義に興ずるようになっていたのである。
_
( ゚∀゚)「あー、お墓に行けば見えないかな」
(;゚∋゚)「なんという罰当たりな」
_
( ゚∀゚)「いいじゃん、女っ気のない旅なんだし、肝試しみたいで夏っぽいだろ?
でも簡単には会えないだろうなー子どもとか連れてないし」
(;゚∋゚)「目的が不純過ぎてなんも言えねえ……」
( ・∀・)「あ、妖怪に会いやすくなる方法ならあるよ」
819
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです3/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:45:27 ID:TB6qx7aU0
モララーは自分の鞄の中からお札を取り出した。
( ・∀・)「じいちゃん特製の呪いのお札だ。妖怪を呼び寄せる力があるらしい。
とはいえ本気で呪い殺すものでもなく、旅行が盛り上がるかなーってことで持たされたんだけど」
_
( ゚∀゚)「おおー! なんてぴったりな! これ持ってれば飛び出してくるに違いない」
(;゚∋゚)「モンスターじゃないんだぞ」
( ・∀・)「まあまあ、本人楽しそうなんだから、いいじゃない」
気分を良くしたジョルジュは寝ていた身体を弾ませて立ちあがる。
_
( ゚∀゚)「じゃ、ちょっと墓探してくるわ」
( ・∀・)「夜までには戻れよー」
( ゚∋゚)「こっちは明日以降の予定組んでおくから」
_
( ゚∀゚)「おー」
ジョルジュは元気に返事をして、煙草とライターをポケットに入れた。
呪いのお札も折り曲げていいとのことだったので、ポケットに詰め込んだ。ご利益が薄れるものでもないしいいのだろう。
それからサンダルに履き替えて、部屋の外へ出ていく。
夏の暑さと潮の香りが、南国らしい空気を醸し出していた。
820
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです4/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:46:27 ID:TB6qx7aU0
ホテルの入り口の傍に枝を広げた大きな木があった。ぱっと見ではいくつもの細い木が絡まっているようにも見える。
ガジュマルの木という名前ということをホテルに到着したばかりの頃モララーに教えてもらっていた。
熱帯地方に生息する樹木であり、幸せを運ぶと言われているそうだ。
お墓探しは適当に道行く人に聞いた。やはり最初は不思議がられたが、観光客慣れしているのか気軽に教えてくれた。
もっともさすがにそこまで熱心に妖怪に会おうとしているわけでもなかった。
お墓への散歩がてら、沖縄の雰囲気を浴びて楽しみたいというのがジョルジュの本音であった。
養鶏場の角を曲がったところで潮の香りが一層強くなった。
ここが海沿いの街であることを自覚する。ここは岩場だが、海水浴場も近くにあったはずだ。
あまりにも混んでいて味気なければ、車を借りて沖縄を回ればいい。
どうにしたって、観光シーズンなんだから女子と触れ合える機会はあるだろう。
だいたい元々は大学で知り合いたての女子も連れてこられるはずだったのだ。
それが急用で来れなくなり、しかたないから高校時代の友人を連れてきた。部屋で待っている二人には悪い話だ。
しかし、だからといってずっと悶々としているわけにもいかない。
この散歩が終わったらさっさと気持ちを切り替えて楽しまなきゃなあと、ジョルジュはぼんやり考えていた。
たまには真面目に考えるのも悪くない。
もちろんこの状況に大きな乳房が加われば文句なしなのだけど。
そんなわけで足取りは軽い。
821
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです5/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:47:41 ID:TB6qx7aU0
海からかなり近い場所に、お寺と墓地があった。
海難事故等で亡くなった名前知れずな方々のお墓もあるらしい。
そういや水に子どもを誘いこんだりするんだっけかなと思いだし、期待を込めてお札をひらひらさせてみる。
そのままお墓をぐるっと回ってみたものの、何かが起こる気配も無い。
モララーは境内の椅子に腰を下ろした。呪いのお札はすでにいくつも折り目があり、虚しさを感じさせた。
良く見れば文字の並びが綺麗すぎる気がする。もしかしてプリンターを使ったんじゃないだろうか。
異様に薄っぺらいのも単なるコピー用紙だからか。
ジョルジュは弱々しく息を吐いた。本当に軽く吐いたのに、そのお札は手元を離れて飛ばされてしまった。
これじゃ妖怪も出てこないだろうなと、頼りなさげに空中を漂うそれを目で追いかけながら思う。
すると、お札が人の前に落ちるのが見えた。
自分以外に境内に誰かいたかなと首を傾げた。
ノパ⊿゚)「にーにー、落ちたよー!」
見知らぬ少女はさっと屈んでお札を取ると、ジョルジュに元気よく声を掛けた。
ぼさぼさの赤い髪型が象徴的な、肌の浅黒い子どもだった。
822
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( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです6/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:48:27 ID:TB6qx7aU0
ジョルジュはつい本能的に、少女のボディラインをチェックした。
が、すぐに目を閉じて頭を振る。さすがに子ども相手にはまずい。ロリに走るつもりはない。
目を開けたらいつの間にか子どもが目の前に来ていて驚いた。
緑色の衣服が目に映る。
ノパ⊿゚)「一緒に魚を捕ろうよー!」
_
( ゚∀゚)「へ?」
言葉を前に、小さな手によって袖が握られ、ぐいぐいと引っ張られた。
境内を後にして、道を進んでいく。
少女は海へと向かっていった。
_
( ゚∀゚)「岩場で魚捕るの? 危ないぞー」
ジョルジュの声にも子どもはまったく関心を示さなかった。
岩場について、海へと出っ張ったところで立ち止まる。
少女は目を輝かせてジョルジュを振り返った。
ノパ⊿゚)「わーがとってくるから、やーは見ててねー」
そう言うと間髪いれずに、少女は走り出してしまう。
転んだら危ない、そうジョルジュが思う前に、さっさと少女は服を着たまま、姿勢正しく海へと飛び込んでしまった。
_
(;゚∀゚)「……え、素潜りなの?」
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( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです7/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:49:26 ID:TB6qx7aU0
唖然としていること、数秒。
今度は海からしぶきがあがって、何かが飛び出してきた。
それは空中を回転しながら弧を描いてくる。
びたーんっと気持ちのいい音を響かせてジョルジュの横に叩きつけられたそれは、まぎれもなく魚であった。
_
(;゚∀゚)「……捕ったのね」
海水を滴らせながら跳ねている、腹の赤い不思議な魚を眺めつつ、ジョルジュは呟いた。
そしてこうも思う。これはどう考えても普通じゃない。
あの子もまた妖怪の類なのではないだろうか。
そうか、きっと呪いのお札の効力であの子が出てきてしまったんだ。
だったらあれがちーのうや? でも乳房は別に大きくないよな。
子どもだしな、成長でもするのかな。あれ、妖怪って成長するの?
わからないことだらけである。
とにかくすぐに殺しにかかってくるような妖怪ではないことだけは確かだ。
今も海の上に上半身を出して、ジョルジュに向けて手を振っていた。
とりあえず妖怪と会えたのならば好都合だ。ジョルジュはポジティブに考えることにした。
上手くいえばちーのうやと会わせてくれるかもなあと思いながら。
日が傾くまで時間が過ぎた。
よほど魚が好きなのだろう。
モララーに聞けばどんな妖怪か教えてくれるだろうな。
824
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( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです8/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:50:27 ID:TB6qx7aU0
しかし時間がかかり過ぎだ。
ジョルジュは既にわずらわしさを感じていた。
そろそろこの場から退却したいのだが、どうしたものか。
ノパ⊿゚)「はー、疲れたー!」
少女は岩を上ってジョルジュの元へと歩いてきた。
全身水浸しのまま、にーっと楽しそうに笑っている。
その足取りは元気であり、跳ねているようにも見え、とても疲れたようには見えなかった。
少女はジョルジュの隣であぐらをかいた。
良く見れば衣服は葉っぱを重ね合わせて作られているようだ。
小さな艶やかな葉であり、どうもどこかで見たような気がした。
ノパ⊿゚)「食べよー」
少女はさっと魚に手を出した。
未だに跳ねまわろうとする魚を強引に手で抑え込む。
随分と力があるように見て取れた。
しかし食べるということは、そのままかじりつきでもするんだろうか。
うろことか痛くないのかなと思いつつ、ジョルジュは眺めていた。
ノパ⊿゚)「ではー」
少女は魚の左側面を上にする。
片手で魚を抑え、もう片方の手を高く上に伸ばす。
人差し指がぴんと伸ばされ、一瞬それが一本の棒のように見えて、そして……
振り下ろされた指の先が勢いよく魚の左目に差し込まれた。
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