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Ammo→Re!!のようです

214名も無きAAのようです:2013/10/27(日) 20:48:14 ID:bxfQ0Rt.0
エレベーターの扉が開いて最初に聞こえてきたのは、雑踏の中で奏でられる喧噪だった。
オアシズの一階は、この船が街であることを再認識するのに十分な景色を見せてくれる。
遥か頭上のガラス張りの天井から見える黒雲。
視界の両脇に山なりになって聳え立ち、奇怪な谷の底を髣髴とさせる。

そして、谷の底は明るかった。
片側一車線の船内車両専用の道路が船首から船尾にかけて走り、その上に小さな橋が架けられている。
床は弾力性のあるアスファルト色のタータンが敷き詰められ、歩行者の安全を考えた設計となっている。
最上階まで聳え立つビルの根元もここにあり、人が最も多く集中する階でもある。

街中は黄昏時の活気に満ち、微弱な揺れがなければここが洋上だと忘れてしまうほどだ。
また、オアシズの住民の多くが暮らしているのが、この一階だ。
生活に必要な品のほとんど全て、例えば食料品や衣料品、生活嗜好品がここで揃えられる。
床に直接書かれた案内を辿れば、大型スーパーマーケットに到着するのは簡単だった。

陸と比べて鮮度が悪く物価が高いのは仕方がなかったが、オアシズで栽培された野菜は鮮度と価格が標準的な物となっている。
オアシズ産の野菜は屋内で育てられているため、虫がつかず、色と味が薄く種類が少ないのが特徴だ。
美味いか不味いかで言えば、不味い物に分類される。
その為、デレシアがブーンのために買ったのは、ポートエレンで入荷したばかりの青果だった。

最終的に購入したのはリンゴやトマト、完熟トマトソースの缶詰にピザの生地、そして酒などだ。
やっと固形物を食べられるとあって、ブーンは大喜びだった。
自動扉を潜って店内から出てきたデレシアとブーンは両手に買い物袋を下げ、ヒートは大きなボストンバックを持っていた。
袋の中には、数日分の食材と雑貨品が詰まっている。

ノパ⊿゚)「結構買ったな」

ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫よ、育ちざかりがいるんだから。
      ね、ブーンちゃん」

袋一杯のリンゴを手に持つブーンが、笑顔で応じた。

(*∪´ω`)「お!」

船内車両は道路に埋められた回路を辿って、定められた道を走行するように出来ている。
車間は一定距離を保ち、人が飛び出してもセンサーが車両を停止させる。
使用の際にはオアシズ乗船の際に受け取ったカードをかざし、使用者をシステムに登録するだけでいい。
荷物を運ぶにはこの上なく便利な乗り物だが、広い道路のある一階でしか使用出来ない。

スーパーマーケットの目の前に停められたセダン型の車両に近づき、カードをドアに押し当てた。
ドアに沿って付けられた青色のLEDが仄かに発光し、使用可能な状態になったことを知らせる。

ζ(゚ー゚*ζ「車に乗りましょう」

この荷物の量ならば使うまでもないが、追跡者を試して情報を収集することにしたのだ。
ヒートにも知らせなかったのは、万が一にも悟られないようにするためだ。
この行動によって一体何が動くのか。
それを観察する必要がある。

ζ(゚ー゚*ζ「折角だから、少し遠回りして帰りましょうか」


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