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( ゚∀゚)ジョルジュはスタンド使いのようです。
1
:
◆N91v81g8eE
:2013/04/30(火) 16:26:09 ID:lYpVEdIM0
( ω )「ねえ、ジョジョ」
_
( ∀ )「そのあだ名やめろっての。なんだ?」
( ω )「どうしてキミは、そんなに『人助け』が好きなんだお?」
_
( ∀ )「どうしてって言われてもなぁ……お前、肉は好きか?」
( ω )「肉? もちろん好きだお!」
_
( ∀ )「それはなんでだ?」
(; ω )「なんでって……そんなの、好きだから好きなんだお」
_
( ∀ )「だろ? 一緒なんだよ。
オレはオレがそうしたいから、お節介でも大きなお世話でも」
_
( ∀ )「オレの中にある、揺るぎない『心の正義』を全うして生きていたいんだ」
197
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/03(日) 17:49:08 ID:OHldUJIc0
先ほど会ったばかり。
名前も知らない、まともな素性もわからない。
ただ、自分の力になってくれそう
そんな、ちんけな理由で信じていたから。
期待を裏切らず、予想違わず、彼女はやってくれた。
彼に対する必殺の攻げ……。
(;゚Д゚)「!?」
? _
(*゚-゚)(;゚∀゚)・∀・)「えっ……」
?
(*゚-゚)ノパ⊿゚)「んー、良い感じ良い感じ」
なんてことはなかった。
青年もジョルジュも、波紋使いがどのような攻撃手段をするのか知らない。
だから、一体何を繰り出すのか……身構えていたのだが。
水。
本当に、それはただのどこにでも流れている水。
自然界から作り出される賜り物を、人類の英知の結晶で飲料水と化した、あの水道水。
ヒートは、自分の前方にぶちまけた。ただ、それだけ。
198
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/03(日) 17:52:29 ID:OHldUJIc0
_
(*゚ー゚)(;゚∀゚)・∀・)(おいおい、本当にそれだけじゃねーだろうな……?)
ジョルジュがチラリと視界の端から見た時は、それは間違いなく『異常』だった。
ヒートの手のひらには、『水の球』があったのだ。
どういう仕掛けかわからないが、きっとそれが『波紋』の能力。
何か細工をした、とっておきの武器にでもなったのかと、彼は思っていたのだ。
でも、現実は違う。
グリーン・ベイビィ・ドールズの範囲外から、それを投げつけた。
目測を誤ったのか、それは本体スタンド使いには届かず。
奇妙な形で、砂に混じって弾けて染みこんでいった。それだけ。
期待以上もなにも、期待外れのことしか起こっていない。
(,,゚Д゚)「なんだぁ? そりゃあ……」
_
(*゚ー゚)(;゚∀゚)・∀・)(くそっ……)
意識が逸れて、油断するかと思った。
しかし、むしろ青年は後ずさり――――すなわち、ジョルジュの方向へ向かって歩いた。
能力は増すし、ヒートからの距離も取れる。最善の行動である。
(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「なんだもなにも、『攻撃』だよ、『攻撃』。見りゃわかんない?」
さも当たり前のような顔で、呆れながらもヒートは言った。
199
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/03(日) 17:54:53 ID:OHldUJIc0
(,,゚Д゚)(攻撃だと? ばかな……)
青年は当然、それをハッタリだと仮定する。
たかが水だぞ?
それを、俺に対して害のある行動だと、何故言い張れる?
後ずさりをやめ、青年はロッドを構える。
(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「……ま、わかるわけないか。『普通は』ね」
コォォォ……
こちらの女の方が、きっと安全だ。何か言っているが、これも虚勢だ。
波紋など、ただの手品みたいなもんでしかないんだな?
そう思った。
ジョルジュは距離を保ちつつやれば、簡単に始末できる。
だから、こちらから行かせてもら――――。
(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「さて、『乾く前に』やっちゃうよ」
と言いつつ、ヒートはしゃがみこんだ。
そして、自身の前方に投げ込んだ、今にもすぐ蒸発してしまうそうな水たまりに手を突っ込む。
遅れて、普段聞くことはないような、波紋の広がる音がその場全員の、耳に届いた。
200
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/03(日) 17:57:47 ID:OHldUJIc0
(,,゚Д゚)「なにを……」
_
(*゚ー゚)(;゚∀゚)・∀・)(しているんだ……!?)
(;゚Д゚)「こ、こいつはァァア〜〜〜〜〜〜ッッ!?」
(*゚ヮ゚)ノパ⊿゚)「よっ、と!」
担ぐような仕草をした。
『何を?』
問われた場合、きっと誰もが的確な答えは出せまい。
凡人なら言葉を無くす。
スタント使いなら『スタンド能力だ』と答えるしかない。
けれど、彼女は違う。だからこそ、言葉に詰まる。
砂に吸着したと思われた水。
規則性のない弾け方をし、波状が広がり、白砂の色を染める。
彼女は、『それごと持ち上げた』のだ。
本当にそのまま。水は水で形を維持しながら、砂を体に吸い寄せたまま。
不可能である『液体の拾得』をする、ヒートの顔はやけに誇らしげだった。
201
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/03(日) 18:01:10 ID:OHldUJIc0
(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「無理に近づくのもあぶねーし、これが『妥当』かな」
(*゚o゚)ノパ⊿゚)「そんじゃあ、名前も知らない面だけは良いお兄さん! これでバイバイな!」
片足を踏み込み、腰をねじり、腕を旋回する。
手に持ったその奇妙な物体は水平の状態で、固体かのように従って動いていた。
(*゚Д゚)ノパ⊿゚)「そーぉ……れっ!!」
身体に溜まった反発力を、捻転しながら全て解放し、それを手に持っていた『物体』に
伝えるように……放った!
放物線ではなく、直線を描くように。高速で回転しながら、それは目にも留まらぬ速さで飛んでいく!
(;゚Д(##)「うぎぇっ〜〜〜〜ッ!?」
感じたこともない痛みが、青年の顔に叩きつけられた。
削る様な、ひっぱたかれるような、押し込まれるような、切られるような。
様々な痛みを、避けなくては、と頭で反応している間にぶつけられる。
無様な声をあげ、吹っ飛びながら青年は失神し、戦意を失った。
_
:::o゚) ( ゚∀゚)・∀・)「おっ?」
スゥッ……
:::ヮ^)ノシ ノパ⊿゚)「ふぅ〜〜、これでお終い、っと」
202
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/03(日) 18:04:52 ID:OHldUJIc0
手のひらをはたき、人仕事を終えてヒートは満足した表情。
それを見る、何も出来なかったジョルジュは、疑問を浮かべていた。
_
( ゚∀゚)・∀・)(この人、なんなんだ? 『波紋』ってのは一体?)
能力への疑惑はありつつも、それでも彼は心で感じ取っていた。
彼女は間違いなく、『敵ではなく味方』だと。
もっといろいろと質問をしてみよう。
補修なんかより、よっぽど有意義な勉強時間になりそうだ。
見たこともない新たな能力『波紋』に興味が湧いたジョルジュは、ピンチの後だったというのに
その心を躍らせながらゆっくりと立ち上がり、『戦士』へと声をかけることにしたのだった。
(,, Д(##)
『グリーン・ベイビィ・ドールズ』
本体名 ― 呟影団員 赤城 康一
リ タ イ ア
未知の力、波紋による特殊攻撃により再起不能。
スタンドとは、精神のエネルギーが実体化したもの。
彼は幼女が好きだった。
/└────────┬┐
. < To Be Continued... | |
\┌────────┴┘
203
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/03(日) 18:06:53 ID:OHldUJIc0
スタンド名 グリーン・ベイビィ・ドールズ
使用者 (,,゚Д゚) 赤城 康一
スタンド像 (*゚ー゚)
破壊力 E スピード E 射程距離 B 持続力 A 精密機動性 D 成長性 -(彼の意志により不能)
遠隔型スタンド
対象のDNAを奪って、スタンドに認識(食事)させると発動。唾でも髪でも、なんでもいい。
何人でも付加可能。背中に勝手におんぶする(ダッコと言い続ける幼女がスタンド)
その状態で彼に近づくにつれて、身体、精神、共に年齢が若返る。
最高範囲は半径50mほど。ゼロ距離になると、赤子レベルになる。
204
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/03(日) 18:07:46 ID:OHldUJIc0
今回のは、7月分更新のつもりです。
8月中に、また更新できるよう尽力します。
205
:
名も無きAAのようです
:2014/08/03(日) 18:16:39 ID:PXihx2O20
おつ!
波紋万能ですな
206
:
名も無きAAのようです
:2014/08/03(日) 20:48:12 ID:vpdIYKT20
おつ
207
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 17:34:41 ID:e8RsuaEE0
すべり込みセーフ
208
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 17:35:39 ID:e8RsuaEE0
ノパ⊿゚)「ふーん、じゃあ別にあんたは目的があって、呟影団に喧嘩売ってるわけじゃないんだ」
_
( ゚∀゚)「まー、確かに明確に何かある、ってわけじゃあないッスけど……
料理が好きだから料理人になるように、サッカーが好きだからサッカー選手になるように
悪が許せないから、オレぁ呟影団をぶっ潰そうとしてるんスよ」
ノパ⊿゚)「ま、いいんじゃない。別に、家族を殺されたとか、友達が病院送りにされたとか。
くらーい過去と、つよーい憎しみを持っているヒーローだけが、正義をかざして良いワケじゃあないしね」
とある休日。
青年――(,,゚Д゚)――に殴られた傷が再生しきる頃。
河原で、二人は会話を弾ませていた。
ジョルジュは、前回の戦闘時に手助けしてくれた同高校の先輩……素直ヒートと連絡先を交換することにした。
その日にすぐさま話すには、ジョルジュ自身にも、彼女自身にも良くないと日を改めての交流。
広くて人がそこそこ居る場所が良いだろう。と、休日なら大抵やっている少年野球の絶好の場。
河川敷の傍にある自然公園で、今度の休みに落ち合おうと決めたのだ。
思ったより早く到着してしまったジョルジュは、何とはなしに昨日のメッセージのやりとりを眺める。
209
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 17:39:33 ID:e8RsuaEE0
_
( ゚∀゚)【受験勉強とか大丈夫なんスか?】
ノパ⊿゚)【大丈夫。うちは代々、文武両道貫いてるから】
_
( ゚∀゚)【由緒正しい家系なんです?】
ノパ⊿゚)【さー、どうだろ。純粋な日本人だけの家系じゃないし】
_
( ゚∀゚)【え、そうなんスか?】
ノパ⊿゚)【爺ちゃんがイタリアの人らしいよ。ツェ……なんとかって名前だったかな。
若いうちに死んでるから、喋ったことないけど】
_
( ゚∀゚)【へー。だから先輩、背丈も高いしスタイル良いんスね】
ノパ⊿゚)【お、セクハラか? これ警察に見せていいかな?】
_
(;゚∀゚)【ちょっと待ってくださいよォ〜〜〜!?】
ノパ⊿゚)【まーそれはいいや。じゃあ、明日な】
_
( ゚∀゚)【はい。また明日ッスね】
210
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 17:42:59 ID:e8RsuaEE0
ノパ⊿゚)「おまたー」
ちょうど読み終えた頃で、ジョルジュはヒートと再会した。
小物アクセサリーは制服時のままらしく、ベルトやリストバンドを装着している。
ゆったりではなく、ぴっちりしたTシャツの上にデニムジャケットを羽織っていた。
袖口には丸い玉……鉄球のような形のボタン。
ホットパンツとニーハイにスニーカーと、アクティブスタイルの彼女はやけに眩しく見えた。
第七話「スターホワイト」
河原の芝生に腰を下ろし、用意していたペットボトルの炭酸飲料をジョルジュは渡す。
ノパ⊿゚)「気が利くじゃん」
_
( ゚∀゚)「いちおー、呼びだしたのはオレっスからね」
言いながらジョルジュも、同じ飲み物のキャップを開けて口に含んだ。
弾ける刺激が、口に広がり鼻に広がり、目すら刺激してくる。
独特の甘みをもっと楽しみたい欲求と、耐えがたい炭酸の絶妙な関係を、容器を傾けることで断ち切った。
211
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 17:46:54 ID:e8RsuaEE0
_
(*゚∀゚)「くはー! やっぱ炭酸はうめーなぁ!」
ノパ⊿゚)「そんな一気にガーッとは飲めないね、あたし」
細い指で器用にキャップを回し、ヒートは口に含んだ。
ノパ⊿゚)「あたしは良いとして、そういえばあんたも勉強大丈夫なの?
補講の帰りとか言ってたじゃん」
_
( ゚∀゚)「やー。まあ大丈夫ッスよ。多分。
……おっと、そーいえば明日の英語の宿題忘れてたな……。
回収係の空条さんに怒られちまう」
ノパ⊿゚)「おいおい、知らないよ〜?」
何気ない会話を交わす中。
ふいにヒートは話を切り出した。
『何故、ジョルジュは呟影団と戦っているのか。』
ヒートが抱く、率直な疑問だった。
それに対し、ジョルジュは自分の意見を正直に話す。
その上で、彼も思っている疑問をぶつけてみることにした。
212
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 17:49:18 ID:e8RsuaEE0
_
( ゚∀゚)「先輩、ぶっちゃけもう巻き込んでいる状態で言うのもなんですけど……」
ノパ⊿゚)「うん」
_
( ゚∀゚)「先輩は、『味方』になってくれるんスか?
それとも、金輪際関わらないとか?」
ノパ⊿゚)「……」
ノハ-⊿-)「この『波紋呼吸法』ってさ、別にうちで商売としてやってるわけじゃないんだよね。
誰かに教えるわけでもなく、そういう家系だから絶やさずに継いでいっている。
聴いた話だとどっかには、回転を使う似たような特異技術もあるらしいけど……それはさておき」
ノパ⊿゚)「まあ、役には立つから。警察官とかボディガードとか、そーいうのになる人も、もちろん多い」
ノパ⊿゚)「あたしは別に、そういうのになりたいっていう立派な志は持ってない」
_
( ゚∀゚)「……」
ノパ⊿゚)「でも」
ノパ⊿゚)「でも、これを『正しいこと』のために使いたいと思っている。
その為に、あたしの親はこの力を授けて鍛えてくれた。
だから、あたしも頑張って会得した。戦える人間、『戦士』になるために」
213
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 17:52:42 ID:e8RsuaEE0
ノパ⊿゚)「あんたがどういう人間か、まだ完璧にはわかんないけど……。
あたしは、あんたが『正しいこと』をする『光』なんじゃないか、って漠然と感じてる。
そして、間違いなく呟影団は『悪しきこと』をする『闇』……結論は出てる」
ノパ⊿゚)「力を貸すよ、ジョルジュ」
_
( ゚∀゚)「へっ、話がなげーんスよ。先輩」
ジョルジュは照れながら、手を差し出した。
ヒートは躊躇することなく応じる。その迷いのなさが、彼にとっては至上の喜びだった。
一人じゃない。
そうなっただけで、心が軽くなったのだ。
_
( ゚∀゚)「ところで先輩、その波紋ってスタンドは見えても、触れるんスか?」
ノパ⊿゚)「根源は一緒だからね。波紋を帯びている内は触れるし見えるよ。
もちろん、スタンドにだって通る」
_
( ゚∀゚)「つーか、そもそも波紋って?」
ノパ⊿゚)「呼吸から生み出される、生命エネルギーって話したでしょ。
基本的には、生きてる物や水気のあるものに伝達しやすい特性を持ってるんだ
痛み和らげたり、くっついたり離れたり。応用効きすぎて、一言じゃ説明は無理かな」
214
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 17:56:24 ID:e8RsuaEE0
_
( ゚∀゚)「じゃなくて、なんでそんなものが?」
ノパ⊿゚)「あんた達のスタンドだってそうでしょ。
『なんであるのか』なんて聞かれて、すぐ答えられる人なんている?」
_
( ゚∀゚)「確かに」
ノパ⊿゚)「この波紋は、大昔にだけど吸血鬼と戦うために編み出された技法らしいけどね」
_
(;゚∀゚)「き、吸血鬼ィ!? なんスかそのオカルト!」
ノパ⊿゚)「もちろん、今はもうそんなの居ないよ。けど、文献とかには残ってる。
過去には現実として、あったことみたい。吸血鬼を超えた究極生物の話とか……
まるで作り物みたいなお話がそりゃもうたくさんだよ」
_
( ゚∀゚)「すげぇんスね……」
_
( ゚∀゚)「……」
_
( ゚∀゚)「!」
_
( ゚∀゚)「そうだ」
ノパ⊿゚)「ん?」
_
( ゚∀゚)「その波紋の呼吸って、もしかしてオレにも出来るんスかね?」
215
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 17:59:48 ID:e8RsuaEE0
.
――――。
次の日のことだった。
フィット気味の半袖パーカーと両腕にリストバンド。
薄い生地の短いプリーツスカートとスパッツ。に動きやすいカラフルな運動靴。
艶やかな髪を縛り、一本に結いあげている年ごろの女の子が、涼しげな顔でランニングをしていた。
コンクリートの地面を蹴り、河川敷の見晴らしの良い道路を駆けていく。
それなりのスピードを保っているのに、彼女の額には汗一つ流れていない。
手を抜いている様子もないのが、なんとも不思議な光景だ。
とある地点に差し掛かると、その娘は片足を踏ん張ってから軌道変更を行う。
緩やかに長い坂を下り、一般道へ。
信号を抜け、住宅街を越え、時計を見て昼前ということを確認し、前を見据えて更に進んでいく。
少し人気のなくなった通りへ出ると、彼女は足を止めた。
ノパ⊿゚)「ふー……」
216
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 18:04:18 ID:e8RsuaEE0
軽く息を吐き、温かくなった筋肉の動きを確かめる。
そして、腰に手を当てて徐に振り向きつつ、声を発した。
ノパ⊿゚)「どーしたの、もうヘバった?」
涼やかな声をかけられた相手は、それはそれは疲弊していた。
運動用のぴっちりしたウェアは、色を濃くし皮膚のように張り付いている。
通気性の良いハーフパンツから伸びる両足にすら、玉のような汗が流れていた。
_
(; ∀ )「……ぜぇ……ぜぇ……」
ノパ⊿゚)「言い返す余裕もないの?」
_
(; ∀ )(ほとんどトップスピードで、マラソンコース並の距離をなんで走れるんだこの人……)
波紋の呼吸によるものらしいが、幽波紋使い(スタンドつかい)でしかないジョルジュには余りにも酷なメニューだった。
そもそも、何故彼らはこんなことをしているかというと。
――――前日のこと。
ノパ⊿゚)「んじゃ、いくよ」
_
( ゚∀゚)「おう!」
217
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 18:09:12 ID:e8RsuaEE0
ノパ⊿゚)「ほいっと!」 ズブォッ!
_
(;゚Д゚)「!!!???!?」
ヒートは合図と共に、小指のみを立たせた拳でジョルジュの胸元を突いた。
比喩などではなく、それはまさに『突き』で、手が見えなくなるほどまで身体にめり込んでいる。
_
(; Д )「……ァ……」
ノパ⊿゚)「あれ? ミスった? 滑っちゃった……わけじゃないんだけど」
ヒート曰く、波紋法を会得するもっとも簡単な手順らしい。
ツボを刺激することで、強制的に呼吸を波紋を生み出す特殊型に変化させる……はずだった。
しかし、当のジョルジュは苦しそうに悶えるだけ。
普通なら、そのまま絞り出した空気を再度吸い込む際に、波紋が生み出されるらしい。
とはいえ、現代においてヒートの家系にしか伝わっていない波紋法。
真実なのかどうか、それは文献の中でしかわからないことだった。
ノパ⊿゚)「……まー、波紋と幽波紋は似て非なるものだし。
もしかしたら出来るかも、って思っただけなんだよね。
大丈夫? 水飲む? グミあげようか? あ、ごめん持ってないや」
_
(; Д )(無責任にもほどがあんだろ……)
_
(;゚Д゚)「ん?」 コヒュ……
218
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 18:13:19 ID:e8RsuaEE0
_
(;゚∀゚)「あれ、でもなんかちょっとだけ楽になってきたかも」コヒュウゥ
ノパ⊿゚)「お、本当? やっぱ素養自体はあるのかもね」
_
( ゚∀゚)「続ければ、ちゃんと身に着いたりするんスか?」
ノパ⊿゚)「んー、どこまでいくかはわかんないけど。
多分、多少なりとも使えるようにはなるかもね」
_
( ゚∀゚)「おっしゃ! じゃあ、まずは特訓スね! どうすりゃいいッスか!?」
ノパ⊿゚) =3「調子の良い奴だね。まー、とにもかくにも呼吸だからね。
じゃ、まずは……」
――――――――。
……と言うわけで、ランニングをしていたのだった。
いくら波紋の片鱗を身に着けたとはいえ、長岡ジョルジュは一般的な高校生。
スタンド能力なんて奇妙な特徴を持ってはいるが、それでも身体能力は平均的。
ここぞという時にしか出せない、瞬発型の疾駆速度を平常的に続けるパワーなんて……ない!
料理人が片手で卵を割るかのように、簡単そうな顔をして遂行しているヒートの方こそが『異常』なのだ。
219
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 18:18:32 ID:e8RsuaEE0
ノパ⊿゚)「まーいきなりはキツかったか。じゃあ、最後に階段ダッシュして今日はアガリにしようか」
ヒートは簡単そうに指をさした。
住宅街の中にある、人通りの少ない道。
そこの途中から、伸びているのは石造りの長い長い……いや、高い高い階段。
一歩を上るのに、しっかりと太ももを意識しないと難しいほどの段差。
先にあるのは、小さなお寺だ。地元の人でも、余り寄りつかない質素で簡素なものがあるだけ。
ゆえに、トレーニングには最適ともいえる。
_
(; ∀ )(殺す気か……)
とはいえ、教えてくださいと頼み込んだのはジョルジュ。
自分から飛び込んだ以上、抗議をするのは間違っている。
難しいこと、ほとんど他へは広げてない技術を善意で教えてくれている。
そのことに、感謝をすべき当然の立場。
口が裂けても『ふざけんな、こんなのやんねーぞこのアマ!』と言える条件は揃っていない。
ノパ⊿゚)「飲み物ぐらい奢るからさ。ほんじゃ、いくよーん」
_
(;゚∀゚)「……あー、わかりましたよ! いってやりますよッ!!」
これで最後だ。(今日のところは)
そう思うと、不思議と絞り出せる活力が湧いてくる。
ふらふらの足腰をグッと踏み込んでジョルジュはヒートの数段後を、死にかけのバッタのようについていった。
220
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 18:22:39 ID:e8RsuaEE0
_
(; ∀ )(暑い……しんどい……)
呼吸のリズムがある。
吸って吐いての律動。
平静でのそれと、動揺のそれとでは全く異なる。
筋肉を動かすために使用されたエネルギーを補給するため、一生懸命呼吸をする。
波紋の呼吸は、常に一定の間隔がある。
それを乱さなければ、筋肉疲労もしない。エネルギーも消費されても生み出される。
だから、『呼吸を乱すな』とヒートはジョルジュに教えていた。
未熟であっても、多少なりとも楽になるはずだから。
_
(;゚∀゚)(無理無理無理無理ィ……こんな死にそうな状態で、難儀な呼吸なんて出来るかっての!)
体が熱い。
振っていた腕が脱力する。
膝が抜けそうだ。
くそう。
もう少し冷えさえすれば多少は……
_
(;゚∀゚)「!」
221
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 18:25:50 ID:e8RsuaEE0
ひんやりとした空気だった。
ほんのりと感じる、至高の冷気。
高さが増えたことによる風か。
まるで、クーラーの良く効いた部屋の扉を開けた直後のように。
スニーカーの上から伸びている足首に、心地よい冷たさが纏ってきた。
_
(;゚∀゚)「おほー! これならもうちょっとだけ頑張れるぜ!」
声が出るぐらいには気持ち良かった。
だから、階段を二歩、三歩とガンガン進んでいく。
進むにつれて冷たさは増していく。だからイケる。
_
(;゚∀゚)「おっしゃ、スパートかけるぜ!」
ノハ;゚⊿゚)「ジョルジュ!!!」
思い切り踏み込んだ瞬間だった。
何故か、ヒートの叫び声が聞こえた。
理由はわかってる。頭で判断するよりも、もっと早く本能が、脊髄が知っていた。
身体が宙に浮いていたのだ。
飛んだわけではない。物理的に当然の結果による浮遊。
222
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 18:28:19 ID:e8RsuaEE0
階段を踏んだ時に、体重がかかりきる前に『滑った』から。
高低差の激しいこの場で、そんなまま滑ると、重心の関係上後ろに倒れる。
だから、浮く。当たり前だ。
それをヒートは心配……いや『知っていた』?
_
(;゚∀゚)「うぉおおお!?」
下を見る。余りにも高い。高すぎる。
このまま落ちれば最低怪我、それ以上もありうる!
_
(;゚∀゚)・∀・)「キャッチ・ザ・ハンド!!」
ズキュン!
けれど彼は一般的な高校生ではない。
持ちうる幸運を手にしている。
スタンド能力。
彼の持つ精神的肉体的特徴は、この窮地を救ってくれるのだ。
_
(;゚∀゚)・∀・)つ「吸いつけ!!」
223
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 18:32:38 ID:e8RsuaEE0
左手をかざし、解離した階段へ再び着地する。
視界内であれば、彼はその左手にある『吸引』の力を使って移動できるのだ。
_
(;゚∀゚)・∀・)「……なんだこれ……?」
足を付けた瞬間に気付いた。
…………『凍っている』。
石造りの、もう冬はとうに過ぎ去った、かんかん日和のこの日本で!
『階段が凍っている』のだ! だから転ぶ!
_
(;゚∀゚)・∀・)「どういう……」
ノハ;゚⊿゚)「ジョルジュ! こっちにこい!」
_
(;゚∀゚)・∀・)「え?」
声をかけられ、前を見た。
……その時には、彼も知った。
224
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 18:38:18 ID:e8RsuaEE0
足をつけていた、凍っている箇所。
『浸食している』! 接地しているスニーカーごと!
増しているのだ、『凍る現状』が!
だからヒートは焦って声を出した。手を差し伸べて、近くへ来るよう促した。
_
(;゚∀゚)・∀・)「くっ!」
ジョルジュはそれに応える。
前に進もうにも、これでは無理だ。
なので、一度あえて今度は自分から、中空へ飛ぶ。
微妙に距離を作り、そこから吸引能力を発動させた。
石階段に触れず、真っ直ぐヒートの場所へ飛んでいく。
ノパ⊿゚)「うおっと!」
_
(*゚∀゚)・∀・)「うほぅっ!?」
眼前で止まるつもりだったが、少し目測を誤った。
身体ごと、ヒートの柔らかな胸に突っ込んでしまったのだ。
沈むように弾むような反動を感じながら、汗をかいていないので洗剤の匂いがジョルジュの鼻を刺激する。
225
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 18:42:17 ID:e8RsuaEE0
_
(*゚∀゚)・∀・)「す、すんマセン」
ノパ?゚)「大丈夫か?」
_
(*゚∀゚)・∀・)「え、ええ。とりあえずは」
ヒートの近くに来て初めてわかった。
彼女は凍ることへの浸食影響を受けていない。
足元から連続的に波紋を流しているのだ。
自らの身体には、その凍結している箇所が実質触れていない。だから無事なのである。
ノパ?゚)「一帯には波紋流してるから、あんたも足付けて大丈夫だよ」
_
( ゚∀゚)・∀・)「了解ッス」
ノパ?゚)「……さて」
_
( ゚∀゚)・∀・)「ええ」
ノパ?゚)「この『異常事態』だけど、あんた心当たりは?」
_
( ゚∀゚)・∀・)「経験や知識に関しての話でしたら、この凍結状態は知りません」
_
( -∀゚)・∀・)9m「ただ、こんな奇妙なことをされる『謂れ』ならよぉ〜〜〜っく知ってますよ」
226
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 18:44:29 ID:e8RsuaEE0
ノパ⊿゚)「……呟影団か」
_
( ゚∀゚)・∀・)「前に倒した七天柱の一人が言ってました。
『部下がやられた報復をしにきた』って。
つまりはそーいうことなんじゃあないッスかね」
ノパ⊿゚)=3「つまりなんだ、やっぱ当たり前だけど、とーぜんこれは」
_
( ゚∀゚)・∀・)「『スタンド攻撃』ッスね」
ノパ⊿゚)「やれやれ。わかっちゃいたけど、いきなり来るもんなのね」
_
( ゚∀゚)・∀・)「そういうもんッス」
ノパ⊿゚)「りょーかい。わかったよ。じゃー、ジョルジュ。
このなんだかわからん、スタンド使い。とっととやっちゃいますか」
_
( ゚∀゚)・∀・)「オッケーっす。やっちゃりましょう」
二人は拳を突き合わせ、階段の先に居るであろう敵を見据え駆け上がっていった。
息を切らさずに息を合わせ、それは気持ち良いくらいの速度であった。
――――。
そして、その二人が目指す『目的地』
街の全景が見えるほどの高さである、頂上のお寺。
階段の最上段で、見下ろしている一つの影があった。
227
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 18:46:27 ID:e8RsuaEE0
決して大きくはない。
休日にも関わらず、学生服姿の女性。
風になびく長い長い髪の毛が特徴的だった。
川 ゚ -゚)「……」
川 ゚ -゚)「長岡……ジョルジュ……」
/└────────┬┐
. < To Be Continued... | |
\┌────────┴┘
228
:
◆N91v81g8eE
:2014/08/31(日) 18:47:07 ID:e8RsuaEE0
予定だと9月はまだしも、10月が少し心配です。
めげずに頑張ります。
229
:
名も無きAAのようです
:2014/08/31(日) 19:35:09 ID:.cYaEtuY0
おつおつ
230
:
名も無きAAのようです
:2014/08/31(日) 21:22:35 ID:.bKy7Ny.0
乙!いつも楽しみにしてますよ!
231
:
名も無きAAのようです
:2014/10/11(土) 17:46:37 ID:CRMlx8nE0
10月ェ・・・
232
:
名も無きAAのようです
:2014/11/21(金) 02:05:51 ID:ORlkvE8Q0
あ
234
:
名も無きAAのようです
:2014/12/18(木) 20:47:39 ID:Ou2yIlCo0
あ
235
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:10:26 ID:tmMWZ58E0
八話「スターホワイト ②」
_
( ゚∀゚)・∀・)「……! 先輩ッ!」
ノパ⊿゚)「おっと!」
ヒートは横へ飛んだ。
後方へ飛ぶと、急勾配ゆえに落下する。
前方に飛ぶには立地が悪い。
結果、波紋を帯びた足は氷地を横向きに蹴り飛ばし、回避運動を可能とさせた。
何故、こんなことをしたのか。理由は簡単だ。『攻撃された』から。
上方に見える階段ではなく、まるで空間から出現するように無数の氷柱が真っ直ぐ飛んできた。
だから、ヒートは回避した。
群をなす氷柱は円柱の様にして射出されたから、大きく動かざるを得ない。
階段のような、狭い空間でヒートは如何に動いたか!
ノパ⊿゚)「ほっ! よっ!」
それは飛んだと同時に、片手で着地。
波紋を帯びることによって接地面と吸着するという、常人にはできない曲芸技だ。
236
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:11:13 ID:tmMWZ58E0
しかし、それではそのまま転がってしまう。
階段わきにある草地では、ろくに踏ん張ることも出来ないだろう。
だから、ヒートは使った。『弾く波紋』を!
流れる首に巻いたストールが、突如伸びるように固まったかと思うと、光を帯びて反発!
地面を拒否するかのようなエネルギーが迸り、彼女は元の位置へと戻れたのだ!
_
( ゚∀゚)・∀・)つ「まるで雑技団ッスね」
吸い付く能力のあるジョルジュは、問題なく安全圏に跳躍した後、階段へ戻った。
空間移動に関しては長けている彼だからこそ、余裕な台詞が吐ける。
ノパ⊿゚)「まーね。それよか、あんま離れるなよ。波紋の力が抜けると、すぐ凍るみてーだぜ」
言いながら、手を見せた。
さきほど、回避する時に着いた手だ。
凍っている。ほんの少しだが、霜が降りていたのだ。
ノパ⊿゚)「弾く波紋なら良いけど、くっつく波紋じゃ防御は出来ないからね……。
困ったもんだ。迂闊に触れやしない」
_
( ゚∀゚)・∀・)「一気にぶっ飛びてェとこッスけど、あの氷柱を全部防ぐ自信はねーし……
やれやれ。困ったもんスね」
ノパ⊿゚)「だったら、もうちょっと困った顔をしろっての」
237
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:11:57 ID:tmMWZ58E0
_
( ゚∀゚)・∀・)「ふぃ〜ッ! 手厳しい。これでも悩んでんスよ。これでも」
ノパ⊿゚)「あんたがバカとは思えないけど、その底知れない余裕は気になるね。どうしてだい?」
_
( ゚∀゚)・∀・)「ま、慣れってヤツっすよ。オレも伊達に『スタンド使い』じゃあねえ、ってことッス」
ノパ⊿゚)「ふーん……。そーゆうことなら、頼りにしとくよ」
_
( ゚∀゚) -=三 ・∀・)「頼りにしてくださいよ。これでもオレのスタンドは!」
ギャンッ!
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
=つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
=つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
( ・∀・) =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
=つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
=つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
『モラモラモラモラモラモラァッ!!!』
_
( ゚∀゚)m9・∀・)「スピードだけなら、一級品なんスからね」
ビッ!
息をつくように、ジョルジュはスタンド……『キャッチ・ザ・ハンド』にラッシュをさせた。
話しながらも飛んできていた、無数の『氷の刃』を一瞬にしてたたき折る。
固くなっている手の甲で、ひとつ残らず塵へと化す……言うように、速度はまさに目にも留まらぬものだった。
238
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:13:03 ID:tmMWZ58E0
ノハ-⊿゚)「……最初からそーしろよ」
_
( ゚∀゚)・∀・)「はっはっは。何か小細工があるかと思ったんスよ。
でも、どーってこたぁねえ。ただの『氷』じゃあないッスか。
だから、今回は触ったんスよ」
言いつつ、ジョルジュは両手を脇に挟んだ。
触れた所が微妙に凍ったから。凍傷や霜焼けになる直前程度のものだから、それでいい。
ノパ⊿゚)「他に攻撃もないみたいだし……どうやら、不利ってわけでもなさそうだね」
_
( ゚∀゚)・∀・)「みてーッスね。このまま根競べするより、さっさと『ケリ』をつけましょうや!」
ノパ⊿゚)「言われなくても!」
他に手はない。
対策も出来ている。
ならば、突き進むのみ!
止まらない攻撃の驟雨を、お互いがお互いの『能力』を活かすことで切り抜けていく。
その状況に対し、ただ一人だけ……顔に出さない程度に苛立ちを覚える人間がいた。
川 ゚ -゚)(……なるほど。これが『波紋』とやらか……やれやれ。厄介だな)
239
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:14:27 ID:tmMWZ58E0
登頂部にある、小さな無人のお寺の前。
賽銭箱前の石段に腰をかけ、『スタンド』に意識を集中している女生徒は、無表情で爪を噛んでいた。
川 ゚ -゚)(一筋縄じゃいかないのはわかっていたが。なまじ多様性がある分、スタンドよりも面倒だな。
全容も見えないから、猶更だ)
川 ゚ -゚)(さて、どう対処したものか……)
女生徒はゆっくりと立ち上がった。
構えは取らず、ただ立ち尽くす。力を入れない楽な状態で。
耳を澄まさなくても、それはもう聞こえた。
一人は男、一人は女。
汗を流し、息を切らせて男は登り切り、対する女は気温のように涼しげな顔をして対峙した。
_
(; ∀ )・∀・)「ぜー……ぜー……」
ノパ⊿゚)「あんたが、この氷のスタンド使い……だね?」
ゴ
ゴ
ゴ
川 ゚ -゚)「……」
ゴ
ゴ
ゴ
・
・
・
240
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:15:08 ID:tmMWZ58E0
ノパ⊿゚)「……」
_
(; ∀ )・∀・) =3 =3
川 ゚ -゚)「……もし」
ノパ⊿゚)「!」
川 ゚ -゚)「もしも、だが。ここで……私が『そうじゃない』と答えたとしたら……どうする?」
ノハ;゚⊿゚)「は? なにを言って……」
川 ゚ -゚)「もしかしたら、今喋っている私はただの囮で……キミたちを陽動させるためだけにいるブラフだとしたら?」
ノパ⊿゚)「……」
川 ゚ -゚)「随分と殺気立っているが、先述のような状況だとするなら、キミたちは善良な一般市民を無条件で殴り伏せる輩となるが……」
ノパ⊿゚)「なにが言いたい……?」
川 ゚ -゚)「言いたいのではない。聞きたいんだ。質問をしているんだよ、私は。
質問を質問で返すのは、人間としてコミュニケーションが取れていないぞ」
ノパ⊿゚)「……調子狂うな。まあいい。答えてやる」
ノパ⊿゚)「言うように、もしあんたが一般市民だとしたら困りものだ。
あたしだって、無関係な人を殴る趣味はない。巻き込まれた……としたとしても、出来るならしたくない」
241
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:16:28 ID:tmMWZ58E0
川 ゚ -゚)「……ふむ」
ノパ⊿゚)「けれど、あたしも確信のない行動はしないつもりだ。
状況と、行動と、現実を見た上で、熟慮をしながら結果を導く」
川 ゚ -゚)「なるほど」
ノパ⊿゚)「突然、下がった気温。近づくにつれて、徐々に増すその現象。
なにより、話しかけてきた内容を考えたって、どう考えても……あんたこそが『敵』だ。
間違いない」
川 ゚ -゚)「……わかった」
ノパ⊿゚)「だから」
川 - )「次のキミの台詞は……」
ノパ⊿゚)川 ゚ -゚)「『なんの気兼ねもなく、あんたをぶっ飛ばせる!!』」
川 ゚ -゚)「だろう?」
ノハ;゚⊿゚)「……!」(こいつ……あたしの言葉を読んで……!?)
ハッ!
川 ゚ -゚)「ありがとう。だから聞きたかったんだ。
キミがどういう人間か、これで大体わかった。やれやれ。
思ったよりは、単純で助かった……と言うべきかな」
川 ゚ -゚)「むしろ問題は……」
_
( ゚∀゚)・∀・)「……おン?」
242
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:17:10 ID:tmMWZ58E0
川 ゚ -゚)「『わかっていても、対処が難しい相手』の方だ。
だろう? 長岡ジョルジュくん……!」
女子生徒はゆっくりと、胸ポケットからボールペンを取り出した。
そして、真っ黒な手袋で覆われた手を、包み込むように握りしめる。
同時に、氷が形成された。
ピキピキと、何かを作るように伸びていく。
完成したのは、鋭い刃。
かつて、インドで使われていた武器『ジャマハダル』(アルファベットの『A』に似た形の剣)のような、凶悪な凶器へと早変わりしたのだ!
_
(;゚∀゚)・∀・)「お……おいおい……あ、あんた……もしかして……」
ノパ⊿゚)「? どうした、ジョルジュ……
初恋の人がいつの間にか彼氏作って街中を歩いてるのを見つけたよーな顔して……」
ド ド ド ド ド ド ド ド
_
(;゚∀゚)・∀・)「い、いや……その……なんつーんスかね……先輩。オレ……知ってるんスよ。あいつ」
ド ド ド ド ド ド ド ド
ノパ⊿゚)「は? まさか本当に」
ド ド ド ド ド ド ド ド
_
(;゚∀゚)・∀・)「いやいや。そこまでではないけど、それでもよぉ〜〜〜っく知ってるんですよ!
だって、『同じ学校に通うクラスメート』なんスからねぇ……ッ!!」
ド ド ド ド ド ド ド ド
243
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:18:05 ID:tmMWZ58E0
ズズズズ……
川 ゚ -゚):::ー゚)「そう。私の名前は」
_
( ゚∀゚)・∀・)「あいつは……」
ズキューン!
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「『空条 素直(くうじょう しろな)』だ。友人には親しみを込めて『クー』と呼ばれている。
そして、この子は『スターホワイト』……『七天柱』に選ばれるほどのスタンドだよ。以後お見知りおきを」
見えた。
スタンドの像が。
『空条』と名乗る少女の背中から、まるで作り出されるように顕現する。
手には長い柄と幅広の刃を備えた槍を持ち
全身を覆う装甲はまるで鎧のような形状と、固さを保つ鈍い輝きを持っている。
けれど、スタンド名の如く真っ白なそのボディは凍りに覆われているせいか、神秘的な煌びやかさも備えていた。
羽飾りのついた頭部と優しげな笑みを蓄える表情……まるで、戦乙女のようだった。
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「特に恨みがあるわけではないが、『命令』なんでね。
どうしても、キミ……いや、キミ達を倒さないといけないらしい。
部下(ギコ)の落とし前という名目もあるが」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「そういうわけで、お互い恨みも何もなくてスッキリしたものだな。
存分に張り合おうじゃあないか!」
244
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:18:50 ID:tmMWZ58E0
飛び出してきた。
空条は、紛れも無く前進してきたのだ。『スタンド使い本人が』、だ!
ジョルジュがそうであるように、また他のスタンド使いがそうでもあるように。
通常ならば、考えられないあまりにも奇怪染みた攻撃手段。
命が惜しくないのか。はたまた戦闘慣れしていない愚者なのか。
答えはもちろん……どれも『NO』!
_
( ゚∀゚)・∀・)「!?」
ノパ⊿゚)「!!」
射出されるようにスターホワイトも攻撃態勢にはいる。
長い槍を構え、正確に急所を穿つ……敵を倒すことを心得ている所作でジョルジュへ襲い掛かった。
そして同時に!
空条はヒートに斬撃を浴びせていてた。
これも迷いなく、牽制ではない殺気の篭った動きである。
_
(;゚∀゚)・∀・)(おいおいお〜〜〜い……? 器用にも程があんだろーがよぉ……)
ノパ⊿゚)(まさかこの子……もしかすると……いや、間違いなく)
川 ゚ -゚)「ふむ。やはり波紋使いといえど……人間なのだな」
爪゚ー゚)「……」
奇妙な行動に驚き、遠くない距離とはいえ分散されてしまったジョルジュとヒートは同じ結論に至った。
この空条という女生徒は……
『自身の動きとスタンドの動きを同時に成せる』のだ、と。
245
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:20:05 ID:tmMWZ58E0
_
( ゚∀゚)・∀・)(そりゃ、オレも頑張ればキャッチ・ザ・ハンドと別行動ぐれぇ出来るけどよぉ……
そんなことすりゃ、必ずどっちかが疎かになる。精密さも落ちる。
スタンドが傷つけばダメージはオレに還ってくるしな……つまりは、普通ならありえねぇ)
ノパ⊿゚)(遠隔操作型でもない。自動追尾型でもない。間違いなく、あのスタンドは『あの子の意思で動いて』いる)
_
( ゚∀゚)・∀・)(……やれやれ。モナーの野郎といい『七天柱』ってのは、予想通りやっかいなスタンド使いなわけか
つっても、パワーやリーチならまだしも、スピードならオレのが上……それならやれる自信は……)
ノパ⊿゚)(ともあれ、あたしの相手はスタンド使い本人……やれないことはない。勝算は……)
_
( ゚∀゚)・∀・)ノパ⊿゚)(『ある!』)
川 ゚ -゚)「やれやれだな。双方とも、やけに光の篭った眼をしている。
そういう人は『やるときはやる』から嫌いなんだ……」
スターホワイトが槍を回転させてから構えを取る。
投擲のような姿勢に入ると、助走をつけずに、けれど力強く射槍した。
_
( ゚∀゚) ・∀・)つ「!」
長物相手では、弾くのは難しい。そもそも、キャッチ・ザ・ハンドはパワーの強いスタンドでもない。
持つのは危険だ。凍ってしまう。
様々な思慮を加えたうえで、攻撃対象にされたジョルジュは能力で回避した。
246
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:20:49 ID:tmMWZ58E0
爪゚ー゚)
_
(;゚∀゚) ・∀・)「!?」
速い。
判断した時には、すでに自分の射程距離内にスターホワイトは存在していた。
投げつけた槍が地面に刺さり、さらに凍結範囲を広げていくよりも早く引っこ抜くと
ジョルジュの体めがけて、斜めに一閃、穂先を浴びせていた。
辛くも回避する。
_
( ゚∀゚) ・∀・)『モラモラァッ!!』
回避の合間に、隙を見てジョルジュもキャッチ・ザ・ハンドのパンチで反撃していく。
だが、当たらない。
いや、正確には『外されている』!
プリズムのように、空間に形成された氷が微妙に、けれど確実に拳をそらしているのだ!
_
(;゚∀゚) ・∀・)つ(おいおい、なんだぁ? この応用性……範囲、スピード……化け物染みてんぞ)
そして気づく。
攻防の応酬をするうえで、どんどんとヒートとの距離が離されていることに!
_
(;゚∀゚) ・∀・)つ(まずいぜ……。離れると、先輩の波紋が届かなくなる……!
スタンドは別にして、オレ自身が足を取られちまったら機動力も落ちる……
つまり、『負けは必至』! どうにかしねえと!)カッコヨク キメタ バカリ ダッテ ノニ ヨォ
247
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:21:47 ID:tmMWZ58E0
考える。けれど、救いを求めるようにジョルジュは、ヒートを見た。
何かやってくれるんじゃ? 何かしてくれているんじゃ?
そう思って、意識を外さない程度に視線を移す。
ノパ⊿゚)「ふっ!」
刺突をかわしながら、ヒートはスカーフをからませた。
そのまま波紋を流し込んで、一発KO!
……というわけにはいかないのだ。
川 ゚ -゚)「……ほう。なるほどな」
ノハ;゚⊿゚)「……ッ!」
スピード。その違いだけだった。
波紋伝達率100%のスカーフには、間違いなく波紋は流れている。
けれど、届かない。
液体に対し、波紋はよくなじむ。
対し、固体には上手くなじまない。だから遅れる。
到達する前に新しい氷が生まれ、結果的に波紋は鈍化されたのだ。
届くより早く氷が這ってしまっては、100%の力は伝わることは無い。
空条の操るスターホワイトの能力は『氷』だ。
氷を生み出し、操る力。
遠隔操作ではないそれは、条件達成によりパワーがあがるタイプではない。
248
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:23:02 ID:tmMWZ58E0
純粋に、スタンドに近ければ近いほどパワーがあがる。
更にスターホワイトの範囲は広く、凍結のみならば30mは効果を発するのだ。
スタンド像としての力ならば、もっと距離は近くなるが……。
今のジョルジュと交戦している程度の距離は、彼女にとって決して遠いわけではない。
ゆえに、スタンドの能力は! 十全ではなくとも、十分に発揮できるのだ!
ノハ;゚⊿゚)(やべぇ。波紋を流し続けるにしたって限度はあるぞ……
この女のスタンドパワーはどれだけ持つ? どれぐらい長い?
持久戦で勝負できるのか?)
ノパ⊿゚)(い、いや……違う。そんなつもりは……『どっちでもあった』のか!
こいつは最初に奇襲をかけてきた……そして近くまで来たのにも関わらず逃げもしなかった!
つまり……結局はこいつ……どっちもできる『糞ナマイキな器用女』ってわけかぁ〜〜!?)
だったら、分は悪い。
ヒートは武術にもある程度、たしなみはある。
稽古だけではなく、昔から実戦も多くやってきた。
だからこそ、目の前の空条に驚いている。
こいつも……同じなのか、と。
凍ったスカーフを破り、次の手を打つ。
腰のベルトの裏に、無数に挿してある針を取り出す。
そこには植物の蔓が巻かれており、波紋を帯びたまま投擲できる代物だ。
249
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:24:08 ID:tmMWZ58E0
ノパ⊿゚)「!」
わかっていたのか、はたまた勘なのか。
わからないが……バレていた。
ヒートがそれを取り出したと同時に、針は穿たれた。氷の刃が飛んできたことで。
とっさに流れていた波紋で防いだものの蔓はボロボロと崩れ、それはもう単なる金属でしかない。
急いで針を投げ捨てる。
その動作をする間、空条はさらに一歩、前に踏み込む。
いつの間にか生み出していた、左手に握る氷の柱をヒートの脳天めがけて振り下ろした!
ノハ;゚⊿゚)
寸でのところでヒートは回避した。
しかし、回避方法が悪かった。
絡まって凍ったスカーフを破りながら、なおかつ後ろ手に跳躍した。繊細な防衛手段を行う余裕がなかったから。
川 ゚ -゚)「これはどうする?」
表情一つ変えず、空条は追撃を放つ。
刺さった柱から手を離し、右手の刃も砕く。
そして指の間に、無数に持っているのは、小さな氷の棒手裏剣。
空中ならば回避はできまい。
それは、まぎれもなく事実で、実際ヒートも投擲された数えるのも面倒なほどの氷刃。
ノハ;゚⊿゚)「〜〜〜〜〜ぁあーッッ! もう!」
250
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:25:23 ID:tmMWZ58E0
一瞬で考え、対処。
焦りつつも乱れない波紋の呼吸法で生み出されたエネルギーを手に帯びたまま、スカーフをつかむ。それも両手で。
そして力任せに引きちぎった!
細々とした繊維が空中に舞い散っていくが、それは単なる糸片ではない。
ノパ⊿゚)「バリアーだ!」
一つ一つ、すべてに波紋が流れている!
飛んできた氷を相殺するように、それぞれが独立したまま防壁となるのだ!
滑るように、弾かれるように氷の手裏剣は無効化される。
それを見て、空条は
川 ゚ -゚)「面白いな」
と余裕たっぷりに感心していた。
ノハ;゚⊿゚)(呆れるくれぇ、とんでもねえヤツだなこりゃ。
『何かやった』ら、『何か返して』きやがる。しかも、一辺倒じゃあない。
多彩な戦法を持っている、『強者』のする戦術だ!)
着地。
ヒートは考えた。
このままでは『まずい』と。
251
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:26:28 ID:tmMWZ58E0
見るに、持久力も瞬発力も、適応力すら勝っているとは言い難い。
近づくに近づけず、離れるに離れられず。
いったい、どのように攻めれば突破口が開けるのか。
昔から波紋の鍛錬をし、街のごろつきや武芸者との戦闘経験があるヒートですら、困惑する現状。
チラリと、一瞬だけ目線を外した。
_
( ゚∀゚) ・∀・)「!」
ノパ⊿゚)「!」
目があった。
スタンドを前に、同様に苦戦しているジョルジュと。
それだけで、二人はわかったのだ。
付き合いの長さではない、お互いがお互い戦いの場に身を置くものとしての直感として!
川 ゚ -゚)「!」
爪゚ー゚)「!」
揃って、使い手もスタンドも戸惑う。
目の前の敵が、突如として攻めから一転、後退を始めたからだ。
川 ゚ -゚)(ふむ。この状況でその行動……逃げの一手……というわけか?
いや、違うな。彼らの目は、死んでない。むしろ『熱』を灯したまま……。
ということは、これは『戦略的撤退』……退かせるのはむしろ『マズイ』か)
252
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:27:52 ID:tmMWZ58E0
川 ゚ -゚)「させない。」
走り出す。
手に持った氷を刃に変えて、ヒートに投げ放つ。
それも無数に、数に際限なく、まさに『殺すつもり』で!
ノハ;゚⊿゚)
ヒートは呼吸を整えた。
しかし、破かれたスカーフは面積が少なすぎる。
防ぎ切れるかわからない。
が、それでも彼女は実行した。
ノハ;゚⊿゚)「くっぅぉおおお!!」
糸で弾き、拳でいなし、頬や足にを凍傷と裂傷を負いながら、致命傷を回避する。
_
(;゚∀゚)・∀・)「ふぃ〜〜。見てて冷や冷やするッスね」
ノパ⊿゚)「上手いこと言える余裕ぐれーはあるようだな」
そして、合流した。
ジョルジュは、身体にダメージはない。
確かに鉄壁の防御と多彩な攻撃を持つが、キャッチ・ザ・ハンドで『負ける』ことはなかったのだ。
能力を駆使しつつ、しっかり防ぎ切り背走できたわけである。
だが、彼自身もわかってはいるのだ。
『負ける』ことはなくても『勝つ』ことが、このままではできない……と。
故に、協力を仰ぐ。昨日今日知り合ったばかりの、無二の戦友へ!
253
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:28:52 ID:tmMWZ58E0
_
( ゚∀゚)・∀・)「先輩、このままじゃ」
ノパ⊿゚)「わかりきったことを言わなくていいよ。それより、次の手を考えるんだ」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)
空条は冷めた表情で攻撃を続けている。
スタンドが傍に来たことで、意識を両断しなくてすむからか精巧さが増した。
また、素手よりもスタンドのパワーが強いのは当然なので、飛んでくる氷刃の威力も強くなっている。
突如として空中から巨大な針が飛び出してくることもある。
それでも、二人は捌きつづけた。
ヒートが波紋で軌道をずらし、ジョルジュのスタンドで距離を稼ぐ。
防御と移動を一体とすることで、なんとか時間を作ることが出来ているのだ!
ノパ⊿゚)「ジョルジュ、あいつのスタンド能力だけど……」
_
( ゚∀゚)・∀・)「ええ。ちょっぴりだけど、わかってきましたよ。あいつの『能力』が」
ジョルジュは手の甲を見た。
凍っていた場所は、赤く霜焼けになっている。
_
( ゚∀゚)・∀・)「先輩も、もう感づいてたんじゃあないですか?
あいつのスタンド能力は『氷』だって」
ノパ⊿゚)「ああ。波紋で弾けている時点で、そういう類ってわかってはいたよ。
多分だろうが……いや、確信を持って言える。
スターホワイトは『凍結』ではなく『氷』のスタンドだ」
254
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:30:02 ID:tmMWZ58E0
冷えているから気づきにくかったのだが、二人は対峙したからこそ理解できている。
スターホワイトの力は、別に何かを『凍結』させるわけではない。
つまり、『温度の低下』というのは『氷の副産物』なのだ。
だからこそ、防げている。
もし仮に、『凍結』が副産物ではなく主能力だったならば、彼らは階段の時点で完封されていたことであろう。
・ ・ ・
凍りつく能力ではなく……『氷付く能力』。それが二人の結論だ。
_
( ゚∀゚)・∀・)「とすれば、勝算はある。」 コンドコソ ネ
ノパ⊿゚)「ほう、言ってみなよ」
_
( ゚∀゚)・∀・)「そのためには、先輩の力が必要不可欠なんスよ……。
あのスタンドは……いや、『空条素直』は『強敵』だ。
残念ながら、オレ一人じゃ勝てっこない」
_
( ゚∀゚)・∀・)「だから頼んます。先輩で、本体の方をなんとかしてください」
ノパ⊿゚)「はっ。なんとかってなんだよ、なんとかって」
_
( ゚∀゚)・∀・)「隙を作ってください。そうすれば、オレがなんとかします」
ノハ-⊿゚)「随分とざっくりした作戦じゃあないの。そんなんで勝てるとでも?」
_
( ゚∀゚)・∀・)「勝てるから、言ってんスよぉッ!」
先の鋭い、まさに相手を行動不能にするためだけの氷が大量に降ってきた。
防御行動をするには、あまりにも暴力的な数。キャッチ・ザ・ハンドで防ぐには多すぎた。
具体的な案も決まらず、二人は再び分断。
255
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:31:05 ID:tmMWZ58E0
川 ゚ -゚)爪゚ー゚) ザッザッザッ
迫ってくる空条の面持は、冷たく。
これ以上の猶予を与えるつもりもない。今回作った、この状況で勝負をつける。
そんな決意を、瞳に秘めていた!
_
( ゚∀゚)・∀・)「……」
川 ゚ -゚)「?」
ノパ⊿゚)「!?」
その時とったジョルジュの行動は、二人を困惑させる。
空条から、ジョルジュは距離を取った。
横軸方向ではなく、真正面にまっすぐ退避。それはわかる。
だが、その行動に対して彼は短く簡潔な指示を出す。
『このまま仕掛けるぞ』
そう、隣の戦友へ。
ジョルジュは波紋の呼吸をもたない。
『幽波紋』は『波紋』とは似て非なるもの。現在、彼は氷への防御の手段を持たない。
だが。だからこそ、これで終わらせるつもりにしたのだ。
_
( -∀-)・∀・)スゥ-……ハァ……
_
( ゚∀゚)・∀・)つ「いくぜ、キャッチ・ザ・ハンド……ッ!」
スッ
256
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:32:09 ID:tmMWZ58E0
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
=つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
_ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
(#゚∀゚)(# ・∀・) =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
=つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
=つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
『モォラモラモラモラモラモラモラァッッ!!』
この、彼のもっとも得意とする『ラッシュ』にすべてを賭けてッ!!
257
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:33:42 ID:tmMWZ58E0
川;゚ -゚)「……!」
初めて空条の表情が曇った。
その行動はあまりにも突然で、対処をするには時間を要するから。
川;゚ -゚)(突きのスピードが……思っているより速い……!)
氷を生み出して、氷結を狙う……その速度を上回っている。
拳の動きを逸らすこともできるが、確実性を持てない。それほどに速い!
なおかつ、ジョルジュは拳だけではない。今度は、足も動かしているのだ。
突進しながら高速の突きを繰り出しているわけだ。
つまり、このままでは攻撃を食らう!
決して耐久力に優れているわけではない。あの高速ラッシュを受けて立っていられる自信もない。
ここで迎撃をしなければ負ける。
空条の思考に決定的な判断を生み出させるには十分な、ジョルジュの捨身策であった。
そう、これは彼の持てる最大最速のラッシュ。
これを防ぎきられたらもう打つ手はないぜ、と果敢に語りかけてくるような気迫。
もちろん、それは受け手の空条にも伝わっていた!
川 ゚ -゚)(……やるならば、こちらも一か八かだ……。
こいつが、こんな高速ラッシュを隠していたとは予想外だが……。
逆を言えば、これを凌げれば長岡ジョルジュの無効化は出来る……)
258
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:34:51 ID:tmMWZ58E0
川 ゚ -゚)「だったら!」
ノハ;゚⊿゚)「!?」
空条は冷静だった。ヒートを強く睨んだのだ。
頭の回転の早さは、余裕を生む。
ジョルジュへの対応を一度置き去りにし、この一瞬で懸命の速度を発揮し駆け寄っていた。
だからこそ、そちらの迎撃に力を尽くす。
ジョルジュは助走の分だけまだ距離はある。スタンドの射程距離にさえ入らなければ問題はない。
距離感とスピードを見るに、約7秒。そのわずかな時間さえ満たさなければ、攻撃を食らう前に倒しきれる。
ヒートは違う。射程距離が読めない上、奇妙な波紋という力……。
未知数なのはこちら。ゆえに、先に封じ、次にジョルジュを倒す! それで終わり!!
川 ゚ -゚)「スターホワイトッッ!!!」
スタンドを傍に近づけ、パワーを上げる。
握る拳に携える刃を投げつけ、スタンド自身からも無数の氷柱を発生させた。
隙を作らない。合間を埋め尽くすような、無数の冷気。
壁のように、まっすぐ攻撃が飛んでいく!
259
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:36:00 ID:tmMWZ58E0
ノハ;゚⊿゚)(……!!)
焦った。
手が思いつかなかったから。
どうする。防ぐ? 避ける? 突き抜ける?
……最善策考えるより先に、身体が動いていた。
ノハ;゚⊿゚)「くぅおおおおお!!」
ヒートは、滑っていた。
足先から入り込み、視線の確保の為にわずかに持ち上げた頭部以外は、天を仰いでいる。
ほぼ倒れこむレベルな決死のスライディング!
ノハ;゚⊿゚)(接触面積を最低限にして! 足に波紋も伝わらせて、くぐりぬける!!)
全身に弾く波紋を纏ったところで、この近距離ではスタンドパワーに押し負ける。
ゆえに、氷柱に触れる部分を足先だけにすることで、被害を最小限に抑えるのだ!
……しかし波紋で防ぐとはいえ、それでも数に負け出来た無数の切り傷から、血が流れていた。
川 ゚ -゚)「だが、それだけでは届かないよ」
空条は既に次の手に入っていた。
防がれる、避けられる、突き抜ける。
どうであれ、一撃では終わるわけがない。
だからこそ、スタンドを動かしていた。
260
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:37:19 ID:tmMWZ58E0
爪゚ー゚)
スターホワイトは、柔らかく微笑みながら、手にもつ槍を振りかぶっていた。
そう、今のヒートの姿勢はまさに絶好の的。
上部から攻撃を仕掛けるのであれば、全身がすべて有効範囲になるちょうど良い角度。
それを狙っていた。
だから、読めていた。
もちろん、ヒート自身も!
ノハ;゚ー゚)「ッ!」
額に脂汗を流しながらも、普段より数倍動く鼓動の中でも、ヒートは尚、不敵に微笑んだ。
瞬時に体を起こす。
そこまではいい。
けれど、足が追い付いていない。腰が低いまま。
胡坐をかく形で、ヒートは笑っていたのだ。
川;゚ -゚)「!?」
空条は対照的に驚いた。
余裕は消える。かき消される。焦りで満たされる。
あまりに奇妙なその動きにッ!
261
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:38:58 ID:tmMWZ58E0
ヒートは、そのままだった。
ノハ;゚⊿゚)「そう、わかるよ。あんたが今思っているのは……」
身体の勢いや構造など無視した、完全に理を無視したアクションを起こしていたのだ。
それは……
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ノハ;゚⊿゚)川;゚ -゚)「(す、座ったままの姿勢でジャンプした……のか!?)だ!」
川;゚ -゚)
ハッ!
今までの攻撃的な部分とは違う、また不可思議な行動は驚愕以外の何も生み出さない。
だから、外した。
弧を描くような跳躍は、正確性のない槍の一突きをかわして確実に接近した。
川;゚ -゚)「くっ!!」
追撃をしようとしたが、もうそれですべては終わっていた。
ヒートは、腰に巻いていたベルトを外して波紋で進展。そして空条の身体に設置させた。
王手である。
だが、ヒートの口から出た言葉は『波紋疾走』ではなかった。
ノパ⊿゚)「あとは頼んだよ、ジョルジュ」
262
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:42:09 ID:tmMWZ58E0
川;゚ -゚)「なっ!?」
そう。
そこには、もうジョルジュが居たのだ。
スタンドの振るパワーとスピードの叩き込める射程距離内に!
間はたったの5秒。空条の見立てより、2秒も早い到達であった!
_
( ゚∀゚) ・∀・)「空条。おめーの敗因は、単純(シンプル)だぜ。
オレに対する攻撃の手を、ほんのちょっぴり緩めたこと。
先輩の行動に対処しきれなかったこと。
自分の力を過信しすぎたこと……そう、つまり」
_
( ゚∀゚) ・∀・)つ「オレ達より弱いから負けるんだぜ〜〜〜〜ッッ!?」
川;゚ -゚)爪゚ー゚)「くっ……!!」
最後のあがきに、スタンドを呼び寄せる。
敗北が浮かんだせいか、その動きは遅く、パワーがなく……。
精神を具現化する『スタンド』のあり方が、まさに見て取れた。
……空条の意識は、そこで途切れた。
263
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:42:57 ID:tmMWZ58E0
爪 д )
スタンド名 『スターホワイト』
本体名 ― 七天柱・空条 素名(くうじょう しろな)
力量差に精神を折られたのち、波紋を流されて完全敗北。
/└────────┬┐
. < To Be Continued... | |
\┌────────┴┘
264
:
名も無きAAのようです
:2016/07/24(日) 22:44:08 ID://.tibrg0
きてるー!
265
:
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:44:10 ID:tmMWZ58E0
ああ、更新しなくては。書かなくては、と思い続けて2年近く経ってしまっていました。
少しずつでも時間を作って、最後までやりきりたいです。
266
:
名も無きAAのようです
:2016/07/24(日) 22:44:35 ID:RM.dcgDo0
乙
待ちわびてたぞ
267
:
スタンドパラメータ
◆N91v81g8eE
:2016/07/24(日) 22:49:19 ID:tmMWZ58E0
スタンド名 スターホワイト
使用者 川 ゚ -゚) 空条 素直[くうじょう しろな](七天柱)
スタンド像 爪゚ー゚)
破壊力 B スピード B 射程距離 B 持続力 B 精密機動性 B 成長性 B
氷を生み出し、操るスタンド
温度を低下させて凍らせる、のではなく凍らせて温度を奪うので
炎系のスタンドとは相性が悪い。
自身の手は常に厚手の手袋やインナーを身につけており、ないと寒さで自身にもダメージを負う。
ある程度体温調整は出来るので、春夏秋冬常に同じ服装でいられるのが、ひそかに気に入っている。
スタンドの能力より、本体とスタンドを同時に扱えることが真の強みでもあるが
意識を両方に向けないといけないので、集中が削がれると途端に崩れる。
268
:
名も無きAAのようです
:2016/07/24(日) 22:54:29 ID://.tibrg0
おつー!
269
:
名も無きAAのようです
:2016/07/25(月) 01:00:49 ID:Fy4RIQFo0
やはり面白い
270
:
名も無きAAのようです
:2016/09/30(金) 08:28:16 ID:WXzULkH60
書いてもほぼ何の反応もないんだからそりゃやる気もなくなるよな
271
:
名も無きAAのようです
:2016/09/30(金) 10:37:55 ID:a2ZYRRoA0
めちゃめちゃ面白いんだけどな
272
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:51:08 ID:dmdlaOJ.0
九話 「長岡ジョルジュ」という人間
川 ゚ -゚)「……」じぃ〜〜〜〜〜
_
( ゚∀゚)
_
(;゚∀゚)
_
(;-∀-) =3
ミ
それでも、空条 素直(くうじょう しろな)は、凝視続けた。
同じクラス、同じ授業を受けるクラスメートの長岡ジョルジュが
例えその、名前や能力と裏腹な熱い視線に気づき、呆れ面をしようと構いなく。
ただ、彼女は知りたかったのだ。
長岡ジョルジュが、一体どんな人間なのかを。
273
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:52:04 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)(身長は178cm 体重は72kg。見た目はやせ気味の体形。
分厚い筋肉というより、引き締まった肉体(ボディ)の持ち主……)
川 ゚ -゚)(運動神経は良く、かつては色々な部活に引っ張りだこで、性格も明るく人気者……。
頭も悪いわけではなく、良好と言える方……家族は父母のみの一人息子。
最近、日曜日になると朝早くから父親に釣りへ誘われ睡眠妨害されるのが、小さな悩み……)
川 ゚ -゚)「……ふむ」
パタン、と空条は小さな手帳を閉じた。
そこには、彼女が自分なりの情報網を使って得た、ジョルジュの「人間性」が書きしたためられている。
なぜ、彼女がそこまでして彼を知りたいのか。
それには、数日前に受けた「情け」に理由があった。
――――――
――――
――
274
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:52:57 ID:dmdlaOJ.0
川 - )「…………う」
川 ゚ -゚)「……!」
ハッ!
目を開くと、そこは木製建造物の屋根裏だった。
ところどころ、湿気によって変色している梁が見える。
川 ゚ -゚)「……」
ゆっくりと起き上がる。
額は、じんわりと汗でぬれていた。
普段からスタンドで体温調節を行っているので、夏季であろうと空条は厚着をしている。
しかし、それは先ほどまで出来ていなかった。
胸の奥に、ズンとくる重たい鈍さのある痛みが残っている。
その原因は、きっと波紋とやらの力だろう。
得体のしれないものが、身体に残っているのは気色が悪い。
重たい頭で考えるが、それはきっと仕方のないこと……。
自分は、負けたのだから。
275
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:53:50 ID:dmdlaOJ.0
ぼんやりとする直前までの記憶が鮮明になる。
_
( ゚∀゚) ・∀・)つ
目の前にまで近づいていた、ジョルジュのスタンド。
拳は、睫毛すら削り取れるほどのスピードで放たれていた。
だが……けれども。
彼は『攻撃をしなかった』のだ。
直前でラッシュを止め、そして波紋使いに決着を委ねた。
川 ゚ -゚)
ギリッ
手に握りしめたまま気絶していたペンを、空条は力任せに折った。
その心にあるのは、彼への憎悪。
何故、あの瞬間に攻撃を止めたのか。
余裕の表れだったのか、女は殴らないという甘さなのか。
理由はなんであろうと、空条にとってそれは屈辱以外の何物でもない。
ポケットに忍ばせていた携帯電話に『ボス』から送られた『短い文』を読むと、彼女は立ち上がった。
276
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:55:00 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)(……許せん)
・ ・ ・ ・
解雇通告を受けて、彼女はもう戦う理由も関わる道理もなくなっていた。
長岡ジョルジュとはただのクラスメートとして、後は過ごすだけでよかった。
けれども、空条はそんなのでは『心』が納得できなかったのだ。
――
――――
――――――
_
( ゚∀゚)「……」
川 ゚ -゚)「……」
_
( ゚∀゚)「あのなー、空条サンよぉ〜〜〜……」
川 ゚ -゚)「なんだ」
_
( ゚∀゚)「一応聞きたいんだが、お前はオレの『敵』なんだよな?」
277
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:55:44 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)「ついこの前まではな」
_
( ゚∀゚)「そんじゃあ、さらに質問を重ねさせてもらうけどよぉ〜〜……」
_
(;゚∀゚)「なんで、まるで『仲良し』みてぇに、こうして昼飯を共にしてるんだよ?」
それはとある昼下がりだった。
ジョルジュは、いつものように離れの運動場で昼食を展開しようとしていた。
誰とも関わらないように、一人でひっそりと昼休みを過ごす絶好の場所。
今日は、その『いつも』ではなかった。
同じ学校に通い、同じクラスで同じ授業を受ける、同級生が目の前にいる。
相手は、ほんのちょっと前に激しい戦闘を繰り広げた相手。
空条 素直という名の女生徒は、ジョルジュの前で自作の可愛らしいサイズをした
手製と思われる弁当箱を広げつつあった。
川 ゚ -゚)「質問の意味がわからないな。別に、私はキミと仲良しになった覚えはない」
_
(;゚∀゚)「ものの例えだろーがよ! そーじゃなくって!」
川 ゚ -゚)=3「まどろっこしいなキミは。いったい、何がそんな疑問なのだ。おかしな奴め」
_
(;゚∀゚)「えぇ〜〜〜〜!? それ、お前が言うのォ〜〜〜〜!?」
278
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:56:26 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)「……まぁ、冗談はさておき。疑問内容は、大方わかってはいるがな」
_
( ゚∀゚)「え?」(というか冗談なのか、今の)
川 ゚ -゚)「『敵意があるはずなのに、なぜ攻撃を仕掛けてこないのか』」
_
( ゚∀゚)「おっ?」
川 ゚ -゚)「『七天柱ではないなら、どうして付きまとうのか』」
_
( ゚∀゚)「……」
川 ゚ -゚)「『思っていることが、どうしてそこまでわかるのか』」
_
( ゚∀゚)(ホントだぜ)
川 - --)「『遠くで、同じく昼食を過ごそうとしているヒート先輩は、なぜ近づいてこないのか』」
_
(;゚∀゚)「えっ?」
木の陰]パ⊿゚) そ
木の陰]パ⊿゚)
木の陰]⊿゚)))
スス……
279
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:57:25 ID:dmdlaOJ.0
_
(;゚∀゚)「ちょっとちょっとちょっと、せんぱいぃ〜〜〜〜〜!?」
_
(;゚∀゚) ピロン♪
_
(;゚∀゚)「え? LINEの通知……」
ノパ⊿゚)【ま、仲良くどうぞ】
_
(;゚∀゚)「おいおいおいおいおいぃ〜〜〜〜〜!?
何を勘違いしてくれちゃってんの、この人ぉーーーー!?」
川 ゚ -゚)「そして、何より」
川 ゚ -゚)「『あんたは、『呟影団』の『ボス』を、どこまで知っているんだ』」
_
( ゚∀゚)「!」
川 ゚ -゚)「そう思っているのだろう」
280
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:58:05 ID:dmdlaOJ.0
_
( ゚∀゚)「……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
川 ゚ -゚)「……」
281
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 20:58:56 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚) =3
_
( ゚∀゚)「え?」
にらみ合うお互いだったが、空条の溜息によってその雰囲気は崩される。
川 ゚ -゚)「何を聞いても無駄だよ。残念ながら、私はその疑問に答えられない」
_
( ゚∀゚)「はぁ〜〜〜〜? そんなわけねーだろう」
_
( ゚∀゚)「そこら辺のチンピラを捕まえて、質問してるわけじゃあねーんだぜ?
あんたらの『ボス』が選び、信頼を置いている幹部が『七天柱』なんだろ?
だったら、知らぬ存ぜぬで通るわきゃあねーよなぁ?
まさか、顔も知りません。とか言いだすんじゃあねーだろーな?」
川 ゚ -゚)「そう、質問の嵐をふきかけなさんな」
にじり寄りながら、吐息すら聞こえそうな距離でジョルジュは質問をする。
対する空条は、何も動じないように、手製のサラダを箸で一つまみしながら、淡々と答える
川 ゚ -゚)「知らぬ存ぜぬわけでもないよ。ただ、全容を知らされていないのも、確かだ」
川 ゚ -゚)「私は『ボス』のスタンド像は知っているが、スタンド能力までわからない」
282
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:00:05 ID:dmdlaOJ.0
_
( ゚∀゚)「どーいうことよ?」
川 ゚ -゚)「そのままの意味だ。わからないんだ」
_
( ゚∀゚)「わからないって……会ったことあるんだろ?」
川 ゚ -゚)「もちろんだ。だが、幼い頃の、時期も地名も明確でない風景が脳裏にあるように
忘れた……いや、まるで『奪われた』かのように、記憶が曖昧なんだ。つい最近のことなのにな」
_
( ゚∀゚)「それが『スタンド能力』か? 負けた相手の記憶を無くすとか……」
川 ゚ -゚)「わからないよ。とはいえ、戦ったような記憶はある。
そんなちゃちな能力で『スターホワイト』が負けるとは思えない。
きっと、別の団員の能力かなにかだろう。」
_
( ゚∀゚)「なるほどなぁ……。管理できてんのかできてないのか、よくわかんねぇな」
川 ゚ -゚)「……そもそも、の話をしよう」
川 ゚ -゚)「呟影団は、ご存じのとおり『悪』を重ねる集団だ。
秩序がないことが秩序とされている無法者の集まり……。
その中心にいるのが『ボス』。そして、それを支える『七天柱』なわけだが……」
川 ゚ -゚)「呟影団に入団する条件を、聞いたことは?」
_
( ゚∀゚)「いや、ねえよ。興味もない」
283
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:00:52 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)「だろうな。とはいえ、難しいものでもないし、確定的なものでもない」
川 ゚ -゚)「単純に『ボス』が気に入ったかどうか。それだけなんだ」
_
( ゚∀゚)「なんだそりゃ。そんなので、よく成り立つもんだ。
ませた小学生だって、損得勘定で動くこともあんだぜ。
そんな不安定な信頼関係程度で、なんだって『団』なんてものになるんだよ」
川 ゚ -゚)「不安定なんかじゃあないんだ。そこには『絶対』がある」
_
( ゚∀゚)「それは?」
川 ゚ -゚)「『恐怖』だよ」
_
( ゚∀゚)「……。」
川 ゚ -゚)「誰だって、人間であるならば感情があるだろう。
けれど、『ボス』は違う。感情より、もっと深い部分……『本能』を掴む」
川 ゚ -゚)「車に轢かれかけた子供が、排気音を無意識に恐れてしまうように。
『究極の恐怖』が、我々団員を制圧し、統制し、秩序を構築しているんだ。
そして、その『恐怖』を生み出す根源こそが、『ボス』のもつ『圧倒的な力量』なのだよ」
_
( ゚∀゚)(……そーいや、モナーも似たようなこと言ってたな)
284
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:01:37 ID:dmdlaOJ.0
_
( ゚∀゚)「けどよ、ちょっと待てよ。じゃあ、空条。
おめーは、『団』を離れて大丈夫なのかよ。
『ボス』とやらは、少なくとも幹部のおめーに対し思うことあるんじゃあねーのかよ?」
川 ゚ -゚)「『圧倒的な力量』を持つと言ったろう。
ボスが欲しいのは、『強者』なんだ。『敗者』は『弱者』。必要ないらしい。
解雇通告も、携帯電話に『お疲れ様』と書かれただけだ」
_
( ゚∀゚)(……『恐怖』を植え付ける際に、屈服させたはずだろう。
結局、『弱者』が必要ないというより……『見損なった』から、捨てられた。
っていう方が正しいのか、これは)
_
( ゚∀゚)「しっかし、まあ聞けば聞くほど、ふわぁ〜〜っとした集団だなぁ。オイ。
入るのは楽だし、抜けても後腐れもない。そんなもんでいいのかねぇ」
川 ゚ -゚)「団を抜けることが、デメリットなしなわけではないよ。
元々、仲間だったものが、ある日を境に『部外者』になるんだ。
団員は団員内で結ばれているが、一度肩書きを失えば他人……。
あとは、呟影団の見境なさを考えれば、わかるんじゃあないか?」
_
( ゚∀゚)「……なるほどな」
川 ゚ -゚)「それより、私からも聞きたいことがある。凄く単純な質問なのだが……」
川 ゚ -゚)「どうしてキミは『ヒーロー』に憧れているんだ?」
_
( ゚∀゚)「あぁ? なんだよ、急に」
285
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:02:46 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)「気になるんだ。だって、そうだろう。
『ヒーロー』なんて、小さい頃に憧れて忘れる刹那的な感情だ。
現実的には不可能だって、気づいた時点で目指すのをやめるはずだろう」
川 ゚ -゚)「それでも、キミは目指している。他人の願いを、無垢ともいえる感情だけで
『スタンド』が、もし無くても、きっとキミは同じことをしているだろう」
川 ゚ -゚)「それは何故なんだ?」
_
( ゚∀゚)「……」
_
( ゚∀゚)「質問を質問で返す0点満点なことを言うけどよぉ……空条」
_
( ゚∀゚)「逆に、お前はなんで呟影団に入ってたんだ?」
_
( ゚∀゚)「教室の隅で、おとなしく毎日空を眺めながら、当たり前のように日常を過ごす。
お昼のお手製弁当を誰に自慢することなく、極端に友達づきあいもしない。
クラスに一人はいる、無害な優等生みてーなお前が……なんでだ?」
川 ゚ -゚)「…………別に、答えは簡単だよ」
川 ゚ -゚)「怖かったんだ」
川 ゚ -゚)「朧気な記憶になってしまっているが……ボスは確かに、とても凶悪だった。
そんな人間と知り合い、そして不幸にも認められた。
だから、従っていたんだ。悪いことは悪いこと……頭ではわかっていてもな」
286
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:03:57 ID:dmdlaOJ.0
_
( ゚∀゚)「そーかい」
川 - )「正直に言えば……だが。大きな集団に守られていることに、安心感を覚えていたのも事実だ。
私は、言うように優等生のような生活をしていたが……不満がなかったわけでもない。
不器用が故に、思い通りに進められなかったこともある。
世間的には悪行だが……少しばかり、胸の蟠りが剥がれていく思いがあったよ」
_
( ゚∀゚)「……」
川 ゚ -゚)=3「こんなに話させたんだ。そろそろ答えを聞かせてくれてもいいんじゃあないか?」
_
( -∀゚)「……いや、話さない」
川 ゚ -゚)「は?」
_
( ゚∀゚)「オレぁよ、言うように正義のヒーローに憧れているぜ。
そんでもって、お前はまだ『敵』だ。
敵となれ合うようなヒーローなんて、居ねえだろ」
川;゚ -゚)「しかし!」
ジョルジュは空条の声を無視するように、すっかり空になった弁当箱をしまい、立ち上がる。
躊躇なく振り向くと、聞こえるように背中越しに言った。
_
( ゚∀゚)「オレにとっては、お前は『悪の心』があんだよ。
だから……『敵』だ」
川 ゚ -゚)「……」
287
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:04:51 ID:dmdlaOJ.0
まだ食べかけの弁当箱を膝に乗せたまま、空条は静かに……さざ波のように怒った。
川#゚ -゚)(……何を勝手に決めつけているんだ、あの男は!)
凍り付いた箸を握りしめて破壊しつつ、空条は誓った。
徹底的に、付け回してやろう……と!
――――――
――――
――
(=゚ω゚)「え? ヒーローを目指している理由?
そんなの知らないよぅ」
(*゚∀゚)「お節介は会ったときから、そうだったぜ」
ξ゚⊿゚)ξ「人助けが趣味みたいなもん、ってみんな言ってるわ」
(*’e’)=3「きみ、可愛いね。LINEやってる? 一年生? 何組?」
288
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:05:50 ID:dmdlaOJ.0
一通り、知っている人間に当たってみたが確信は得られなかった。
別に、そこまでこだわる理由でもない気はする。
戦って、負けた相手のことをよく知る必要なんてない。
もう呟影団と関係も今はない。一般的に見れば、敵にはなっていないはずだ。
それでも、私が『悪』という烙印を押されたことだけが、どうにも気になった。
質問をした長岡の知り合いは、一部を除いてみんなして怪訝な顔をしていた。
『呟影団に喧嘩を売ったバカ野郎』というレッテルが貼られていたからだ。
それもそうだろう。
悪の集団に、挑むような一般人なんて、そういるまい。
当事者であった私が言うのもアレではあるが、本当に大馬鹿だと思う。
みんな、自分の身が可愛いのだ。
それは当たり前だろう。
誰だって、死にたくない。
痛い思いなんてしたくない。
辛いことなんて、したくない。
楽できる方法があるなら、実践したい。
それは『当然の願い』だろう。
だから、みんなして怪訝な顔をしていたんだ。
『あいつに関わると、自分も害を被るかもしれない』
そう思って。
289
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:06:36 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)(果たして、『悪』とやらの定義はなんなのだろうな)
悪と戦ってくれるはずの人を、まるで悪者扱いするなんて。
おかしなものだ。
――――。
川 ゚ -゚)《なあ、長岡くん》
_
(;-∀-)「……」
川 ゚ -゚)《キミはキミが守ろうとしている人たちから、守られていないじゃあないか。
七天柱を二人も除団させておいて、その仕打ちはあんまりだと思わないか?》
_
(;゚∀-)(あのなぁ〜〜〜〜〜〜空条よぉ〜〜〜〜〜)
川 ゚ -゚)《それでいいのか、キミの正義は。何が目的なんだ、その信念は何処から来ているんだ》
_
(;゚∀゚)・∀・)《授業中にスタンド使って話しかけてくんじゃあねーよ!!!》
英語の授業の時間だった。
ジョルジュは、大声で叫んでいる。もちろんだが、口は動かしては居ない。
そんなことをすれば、先生に当てられてしまい翻訳をお願いされてしまうことだろう。
ゆえに、スタンドを通して会話しているのだ。
スタンドの声や音は、スタンド使い(波紋使いも含む)にしか聞こえることはない。
授業に集中できない、という不利な点を除いたら絶好の会話方法であろう。
290
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:07:24 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)《おやおや。そういうキミこそ、話しているじゃあないか》
無表情なスターホワイトが、ジョルジュの前の椅子に腰をかけて語りかけてくる。
前席の男子生徒はもちろんスタンド使いではない。せいぜい、何か背中にわずかな重みを感じる程度だろう。
_
(;゚∀゚)・∀・)《オメーが静かにしねーからだろーがよぉ〜〜〜〜!!》
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)《別にうるさくはしていないじゃないか。
先生にも生徒にだって聞こえてはおるまい》
_
(;゚∀゚)・∀・)《そういう問題じゃねーよ! お前が話しかけてくるから、全然集中できねえじゃねーか!》
<゚Д゚=>「はい長岡、ここ訳してみて」
ジョルジュの妙にそわそわする動きが気になったのだろうか。
予想通りの結末が訪れる。
_
(;゚∀゚)・∀・)《ほれみろ! 当てられちまっただろ!! どうしてくれんだよ!!
まったく聞いてないから、どこかもわからねーだろ!!》
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)《28ページの三行目、ファニー君の会話の部分だよ》
_
(;゚∀゚)・∀・)《え?》
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)《訳は『いともたやすく行われるえげつない行為》だ》
_
(;゚∀゚)「えと……いともたやすく行われるえげつない行為、です」
<゚Д゚=>「うん。オッケー。なんだ、ちゃんと聞いてたんだな」
_
(;゚∀゚)・∀・)(げぇ〜〜〜! マジであってんじゃんよぉ〜〜〜〜
流石はスタンドと両立させて戦えるヤツだぜ……恐れ入る……)
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)《どうだ。感謝の気持ちがあるなら、この前の質問の答えを……》
_
(;゚∀゚)・∀・)《頼むから、授業くらいは普通に受けさせてくれよぉ〜〜〜〜!!》
291
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:08:13 ID:dmdlaOJ.0
出来るだけ無表情に、ジョルジュは空条と会話をする。
そんな彼を見つめる少女が一人。
ツン(本名 津井出 麗)である。
ξ゚⊿゚)ξ(……)
ξ゚⊿゚)ξ(ジョルジュのヤツ、何一人で焦ってんだろ?)
ξ゚⊿゚)ξ(それにしても……)
ξ゚⊿゚)ξ(なんか今日は変に耳鳴りがするわね……。
声みたいなのが聞こえるし……。疲れているのかしら)
時同じく、三年生の教室ではヒートが幽波紋(スタンド)の揺らぎを感じ取っていた。
ノハ;゚⊿゚)(……ん? なんか遠くで、えらい響く声がすんな……スタンド能力か?)
――――
――
―
292
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:09:02 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚) スタスタ
_
( ゚∀゚) スタスタ
_
( ゚∀゚) ピタッ
川 ゚ -゚) ピタッ
_
(;-∀-)「……」
川 ゚ -゚)「……」
_
(;゚∀゚)「あのなぁ、空条」
川 ゚ -゚)「なんだ」
_
(;゚∀゚)「オレ、今なにしようとしてるか、わかってる?」
川 ゚ -゚)「ああ、もちろんだ」
_
(;゚∀゚)「じゃあ、言ってみろよ!!」
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚) =3
川 ゚ -゚)「キミはこれから、ちょいと用事が入ったせいで、どうしても下校時刻と同時に
帰宅を強いられてしまった、我がクラスの図書委員(ξ゚⊿゚)ξ)の代わりに
図書室へ行き、部活動でもなんでもない、交代要員として呼び出される義務すら
ないというのに、何故か、わざわざ、図書委員活動に勤しんでいる。
ちなみに、今は返本作業中だ。」
293
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:10:32 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)「……これでいいか?」
_
(;゚∀゚)「わかってんなら、さっさと帰れよな、オメーはよ!!
関係ねえじゃあねーか!!」
川 ゚ -゚)「ある」
_
(;゚∀゚)「あぁ!?」
川 ゚ -゚) じぃっ……
_
( ゚∀゚)「……!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
川 ゚ -゚)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
294
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:11:39 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)「何度も言うが……気になるのだ。知りたいんだ。キミの行動理念を。
私はただ『納得』したいだけ……。長岡ジョルジュという人間が
どういうものなのか……。それを知りたい……それだけだ」
_
( ゚∀゚)「……」
_
( -∀-)=3
_
( ゚∀゚)「あのなぁ、空条。
オメーは多分賢いんだろうから、色々考えちまうんだろうけど……」
うんざりだ。
それを、ジェスチャー混じりにジョルジュが話しかけたその時だった。
_
( ゚∀゚)「……?」
手を見ると、そこには丸い穴と赤い液体が噴き出ていた。
なんだ、これは……?
そう思う間が、出来きないほど一瞬。
それはまさに瞬く間の出来事。
長岡ジョルジュの掌は、まるで弾丸にでも撃ち抜かれたように抉りこまれていたのだ。
295
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:13:25 ID:dmdlaOJ.0
_
(;゚∀゚)「な……ッ!!」
_
(;゚∀゚)「なにィーーーーー!!??」
川 ゚ -゚)「……『スタンド攻撃』……!?」
溢れ出る血液を、少しでも抑えるべく強く傷口を握りしめる。
脂汗を流しながら、ジョルジュは周りを見渡した。
他の人は、誰一人としていないその空間……。
ジョルジュと空条素直を除いては、他の気配を感じられない……。
普段は勉強にだって使うであろう図書室には、無人の机と大量の本が詰まった棚が並んでいる。
ただ、それだけ。
・ ・ ・ ・ ・
それなのに……!
_
(;゚∀゚)(『撃たれた』……!!)
ジョルジュはそう確信した。
材質まではわからない。だがしかし、それはどうみても弾丸の跡。
一瞬だけ、ジョルジュの脳裏に拳を交えたことのある、銃のスタンド使いが浮かんだ。
_
(;゚∀゚)(だが……ちげぇ! これは違う……明らかに何かが……!)
直感でだが、わかっていた。
スタンドによる弾ではない……それは、決定的に『物理的な』傷。
296
:
◆N91v81g8eE
:2017/02/13(月) 21:14:23 ID:dmdlaOJ.0
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)(……しかし……何故だ……?)
空条も既に戦闘態勢に入っていた。
スタンド『スターホワイト』を出して、辺りを見回していたのだ。
その時に、既に気づいていた。
もし、もしもだが……ジョルジュの直感通りに、銃で撃たれたとするなら……
_
(;゚∀゚)・∀・)(『弾』があるはずだ……だが……)
ないのだ。
キャッチ・ザ・ハンドを出したジョルジュも、同様に目を凝らしている。
けれど、どこにもない。
返ってくるのは静寂だけ。
荒い息と、緊張で激しく高鳴る鼓動。そればかりが自分を支配する。
_
(;゚∀゚)・∀・)「……おい、空条」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「なんだ」
_
(;゚∀゚)・∀・)「オレの後ろに来い」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「…………? なぜ?」
_
(;゚∀゚)・∀・)「そこに居たら、オメーが見えねぇじゃあねーか」
川 ゚ -゚)爪゚ー゚)「?? だから、何故そんなことをする必要がある?」
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