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ミセ*゚ー゚)リ 怪異の由々しき問題集のようです

136名も無きAAのようです:2013/04/19(金) 02:28:44 ID:otC/LjQw0


 「永らへば このうき世こそ 悲しけれ」


【歌意】
生き長らえたならば、このような儚く辛い無情の世は本当にもの悲しい気持ちになることだよ。
(遠回しに「こんな悲しい気持ちになるなら長生きなんてしない方が良い」という意味にも取れる)

【語法文法】
『永らへ』はハ行下二段活用の「ながらふ(永らふ・存ふ)」の未然形か終止形。
ここでは次に接続助詞『ば』が来ているので未然形。この『ば』は未然形か已然形にしか付かない。
未然形接続と已然形接続で意味が変わり、未然形に接続した場合は順接仮定条件「〜たらば、〜ならば」という風に訳す。
『この』は古文では「此の」。現代語では連体詞だが古文では代名詞の「此」に格助詞の「の」が加わったものである。
「このような」「あの」「それ以来(ずっと)」という風に訳せるが、ここでは現代と同じ感じで訳した。
次の『うき世』は掛詞で、「憂き世」と「浮き世」の二重に意味がある。「散ればこそ いとど桜は めでたけれ うき世に何か 久しかるべき」と同じ。
それに続く『こそ』は係り結びを作る係助詞。この場合は強意を表し、已然形で結ぶ。
『悲し』は形容詞シク活用の「かなし」の已然形。本来は終止形になるべき部分だが係り結びの法則により已然形に変化している。
「かなし」はこの場合「悲しく思う」だが「愛し」の場合は「愛おしい」「心が打たれる」ような意味になるので平仮名の場合は判別する必要がある。

【特記】
参考にした歌は「ながらへば またこの頃や しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき」という藤原清輔朝臣の一首。
及び、「月見れば 千々にものこそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど」。
ちなみにこの歌では『永らへば』という風に順接仮定条件を使っているので単純に「今まで生き長らえてきて私は悲しい」ということではない。
「ここまで生きた私は悲しい、そしてあなたも生き続けたならばきっとこの世を悲しく思うことだろう」のような自分以外の誰かを意識した歌である。
幾度となく傷付き、何度となく後悔するでしょう――それでもあなたは生き続けますか?


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