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( ・∀・) 夢都市のようです (゚、゚トソン

56名も無きAAのようです:2012/05/06(日) 21:30:15 ID:QHk5lOM.0

トソンは好奇心に胸を膨らませるが、輝きはあまりに高いところにありすぎる。
その正体を知ることを諦め、トソンは渋々先に進むことにした。

ガラスの扉をくぐれば、その先には白い、幅の広いエスカレーター。
普通のエスカレーターが十機ほど並んだぐらいの幅のエスカレーターに手摺はなく、
まるで階段がぐるぐると回っているように見える。
そして、エスカレーターが登りきった先にあるのは、駅の構内と同じデザインの、銀と黒で装飾された電車。

トソンは迷うことなく電車の中に乗り込むと、誰も座っていない紺色の座席の真ん中に腰掛けて、車内を見回した。
車内にはトソンの他に数人乗客が居たが、皆が皆一様に俯き、
顔はぐちゃぐちゃとした影に覆われ霞んでみることは出来ない。
アナウンスもない、おしゃべりもない、静かな車内に座って、電車が発車するのを待っている。

もしかしたら今回は乗客の顔を見ることが出来るかもしれない、
と少し期待していたトソンは、ちょっとがっかりしてしまった。
ここからはどうやら、いつもと同じという事らしい。

しばらくすると、電車はふしゅーという音をたてて扉を閉め、ゆっくりと走り出した。

最初のうちは真っ暗だった、トソンの向かいの窓の外が、パッと光を取り戻し明るくなる。
けれどそこに風景というものは存在しない。
あるのは、まるで雑誌や写真集や落書きを切り刻み、ぐるぐると回る洗濯機に放り込んだような景色だった。


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