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( ・∀・) 夢都市のようです (゚、゚トソン
1
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 15:07:09 ID:pjD1kZAc0
(; ∀ )「あ゛ぁ…ぶ……はっ」
冷たい苦しい沼の中。
息を吸おうとしても咥内に入ってくるのは臭い泥ばかりで。
こんなことはなら、いっそう死んでしまった方がマシだと思った。
(; ∀ )「ぶぁはっぐっふぅ…ぅ」
これは夢だ。そんなことわかってる。いつものように…いつものように冷静にここから這い上がればいい。
けれど、何故かいつもなら自由に動く手足は、恐怖に弄ばれ言うことを聞いてくれなかった。
霞む視界で見上げた空は星一つない暗闇で、黒い空の真ん中には青白く光る鋭い三日月が
こちらをにんまりと見下ろしている。
ああ、苦しい、クルシイ。
2
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 15:12:10 ID:pjD1kZAc0
(; ∀ )「はぁっ…は、ぅ゛、ん゛」
何故僕はこんな場所で溺れているのだろう。
何故僕らがあんな目に合わなければならないのだろう。
がぼり、と大量の泥が喉の奥に流れ込んできて、息が詰まった。
これは夢だというのに、苦しくてたまらない。冷たくてたまらい。
意識が遠のいていく中、もう殆ど暗い影に覆われていた視界の中を、一線の銀色の光が走った。
とたん、今まで体に纏わり付いて重くのしかかっていた泥がサァッと消え去り、
喉の奥に詰まっていたはずの物も、酸素の足りない息苦しさも、まるで幻の様に消える。
3
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 15:17:30 ID:pjD1kZAc0
(; ∀ )「…ッハァ!」
一瞬何が起こったのか把握できず、慌てて自由になった手足でその場を這い回る。
けれどすぐに、もうどこにも泥の沼がないことに気が付いた。
それどころか、手足にも着ている服にも、体のどこにも泥は付いていない。
安心してドキドキと五月蝿くなっていた心臓を落ち着かせ、両手を地に付けたまま顔を上げる。
そこには―――
.
4
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 15:22:27 ID:pjD1kZAc0
(;・∀・)
( #゚;;)
.
5
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 15:27:22 ID:pjD1kZAc0
――夢とは、
・睡眠中あたかも現実の経験であるかのように感じる、
一連の観念や心像のこと。睡眠中にもつ幻覚のこと。
・将来実現させたいと思っていること。願望。
(Wikipedia引用)
( ・∀・) 夢都市のようです (゚、゚トソン
.
6
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 15:32:56 ID:pjD1kZAc0
【20XX年5月10日
またあの場所に行った。銀色と黒で構成された入り組んだ駅。
今回は前よりも人通りが少なかったけれど、
誰かから逃げなくちゃならないのは変わらなかった。
いつものホームのいつもの車両に乗り込んで、その「誰か」を撒いた。
外の風景は相変わらずぐちゃぐちゃ。
私の乗り込んだ車両の人数も、顔が見えないのも変わらない。
今回は、次の駅に着いたところで目が覚めた。
夢占いのサイトによれば、駅は人生の岐路を示し、電車は現実からの逃亡を示し、
追跡者から逃げ切ることが出来るのは悩みの解決を示す…、らしい。
らしいけど、やはりこういうネットの情報はあまり
あてにしないほうがいい、と聞いたことがある。
実際、私の悩みが解決する兆しなんて、欠片も感じない。
眠っている間のただの映像に、そんなものが隠されているなんて
私には到底思えない。】
(゚、゚トソン パタン
(-、-トソン フー…
7
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 15:37:17 ID:pjD1kZAc0
日々漠然と、何の感動もなく生きている。
第一話「腐敗する夢」
.
8
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 15:42:01 ID:pjD1kZAc0
(゚、゚トソン「おはようございます」
朝。平日。トソンは誰もいないリビングに挨拶をすると、テレビをつけて適当なチャンネルにあわせた。
そして画面の右上に出た時刻を見て、今日も学校に行くのは諦めることにする。
現在時刻は午前八時半。トソンの家から彼女が属する高校までは、自転車で二十分かかる。
どう考えても今から家を出て走ったところで、遅刻は確定だった。
さっさと郵便受けから新聞を取り出し、今日こそは学校に行こうと思って着ていたセーラーを脱いで、
その下に着ていたTシャツと短パンになる。
ソファーの上にそれを適当に放ると、トソンはトーストにマーガリンを塗っただけの簡単な朝食を食べながら、
ぼんやりと広げた新聞の一面を眺めた。
灰色の紙の束には、いつもどおり、特に関心を寄せるようなことは書かれていなかった。
でも何もないというわけでもない。そこには、この国や世界のありとあらゆる話題が踊っているのだ。
暗い話から明るい話。地域の小話から世界的事件。世の中は今日も激動に満ちている。
9
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 15:47:21 ID:pjD1kZAc0
(゚、゚トソン(某国が謝罪と賠償を某メーカーに要求)
(゚、゚トソン(五歳の男の子を母親の恋人が虐待)
(゚、゚トソン(溝に詰まった野良犬をレスキュー隊が救助)
(゚、゚トソン(意識不明患者今月に入って四人目、原因は未だ不明)
(゚、゚トソン「ふーん」
アナウンサーが時折噛みながら読み上げるニュースを、右から左へ聞き流し、二枚目のトーストを齧る。
いつもよりも焦げてしまったトーストは、なんだかザリザリして喉に詰まって、口の中がカラカラになりそうだった。
そういえば今日はまだ何も飲んでいないことを思い出し、牛乳を取りに台所へ向かう。
冷蔵庫のドアポケットに入ったそれを掴んで持ち上げると、思っていたよりも軽い手応えに眉を顰めた。
,_
(゚、゚トソン(なくなってる……)
10
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 15:52:42 ID:pjD1kZAc0
世界は激動に満ちている、らしい。
でもそんなことは、トソンにとっては道端の石ころと同じくらい関心のないことだった。
はっきり言って、世の中の出来事なんて、直接関わりあわなければ起こっていないも同然なのだ。
どこか遠い場所で羽ばたいた蝶が起した風が、この辺りで台風になるという話くらい、眉唾物で実感が沸かない話。
トソンにとっては、牛乳がない事のほうがよっぽど重要なくらいの話で。
ぶっちゃけ、「ドーテモイイ」。
(゚、゚トソン(牛乳……買いに行きますか)
○ ○ ○
11
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 15:57:05 ID:pjD1kZAc0
平日の九時過ぎという時間帯、トソンの住む住宅街は静まり返っている。
主婦は家事に追われ家の中に引っ込んでいるし、男達や子供達は会社や学校に出払っているからだ。
それは彼らにとっては当たり前のことだ。その当たり前からちょっと外れたところに、トソンは立っている。
牛乳の入ったコンビニ袋をガサガサと揺らしながら、トソンはぼんやりと街の様子を眺めながら家に帰っていた。
ここのところは夏日が続いたいたから、外に出るのは少し憂鬱だったのだが。
気温は思ったよりも暑いということはなく、天気もいいからトソンは散歩気分でゆっくり歩く。
ぽかぽかと気持ちのいい日差しに、目を細めて空を見上げた。
今頃学校では皆授業を受けている頃だろうか。
(゚、゚トソン(皆何やってるんですかねー)
トソンは学年が上がった時に貰った時間割表の事を思い出そうとしたが、
もう随分と目にしていないそれは、ぼんやりとしか思い浮かべることが出来なかった。
なんだか、一時間目から体育だったような気がするし、数Iと数Aの二時間ぶっとおしだった気もする。
どっちにしろ嫌な時間割には違いない。
12
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 16:02:11 ID:pjD1kZAc0
(゚、゚トソン(今日で何日目でしたっけ、学校行ってないの)
(゚、゚トソン(そろそろ行かないとやばいですかねえ)
袋を持っていない、空いてる方の手の指を折って、学校に行っていない日数を数える。
確か最後に顔を出したのが、担任から電話を貰った次の日だったから。
(゚、゚トソン(三週間か)
(゚、゚トソン(うん、まだ大丈夫大丈夫)
(゚、゚トソン(ごーるでんうぃーくを挟んでますし)
(゚、゚トソン(たぶん)
もしかしたらそろそろ親に連絡を入れられるかもしれない。
そうなると流石にちょっとまずい。そうならないようにやっぱり明日くらいは顔を出しておいたほうがいいだろう。
明日こそはちゃんと起きようと意気込みながら、ちょうど公園の横を通ったとき。
(゚、゚トソン「あれ…?」
トソンは今この時間ならこんなところに居るはずのない人間を、公園のベンチの上に見つけた。
13
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 16:07:02 ID:pjD1kZAc0
( ><)
昼寝(というには少し時間が早いが)をしているのだろうか。
犇めく住宅の隙間にひっそりとある小さな公園に一つだけあるベンチ。
その上で、小学生と思しき男の子が、膝に本と猫を乗せて、首をこっくりこっくりさせていた。
男の子以外、公園には誰もいない。トソンは少しだけ気になって、
公園に入ると男の子を起さないように近寄った。
隣には黒いランドセルが置いてあり、これは明らかに。
(゚、゚トソン(サボり、ですね)
(゚、゚トソン(いっけないんだー)
(゚、゚トソン(なんて、私も人のこと言えませんけど)
平日のこんな時間に、いるべき場所にいない小学生。
そんな彼に少し親近感を覚えたトソンは、男の子を起さないように気をつけながら、隣に腰かけた。
そして、トソンがベンチに座ったのを気配で感じたのか、男の子の膝で眠っていた猫がパチリと目を開けた。
猫は、男の子の膝の上に座ったままトソンを見上げる。
(*‘ω‘ *)「…………」
(゚、゚トソン(目ちっさ……猫なのに)
14
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 16:12:27 ID:pjD1kZAc0
若干ふくよかな白くて真ん丸い猫は、じっとトソンのことを見上げ、それからくぁっと口を開けてあくびをする。
綺麗なピンク色の口の中に、鋭い白い歯が並んでいるのを覗き込みながら、トソンはふと頬を緩めた。
可愛いなあと思う。
猫といえば、猫目という呼称まで与えられるほど特徴的な、あの釣り上がった大きな瞳だ。
でもトソンは、猫の瞳見つめられると、いつもなんだか何でもこちらのことを見透かされているような、
なんとも居心地の悪い気持ちになってしまって、あまり猫目が好きではなかった。
けれど、この猫みたいなつぶらな瞳なら、とても見ていて落ち着く。素直に可愛いなあと思えた。
ついでにこのままあの甘い声で「ニャ〜」と鳴いてくれれば完璧なのだけれど。
(*‘ω‘ *)
(゚、゚トソン
(*‘ω‘ *)「……ぽっ!」
(゚、゚;トソン「?」
15
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 16:17:13 ID:pjD1kZAc0
そんなことを考えながら、じっと猫の仕草を愛でていたら、猫がこちらをじっと見つめてきた。
トソンも見つめ返す。
すると、猫は突然期待から大きく外れた、凡そ猫らしくない妙な声で鳴き始めた。
(*‘ω‘ *)「ぽっぽ! ぽっぽ!」
(゚、゚;トソン(ええええ、何この変な鳴き方)
(*‘ω‘ *)「ぽぽっ! ぽっぽっぽ!」
。
( ><)゜....zzZ
( ><) ハッ
( ><)「え、え、ぽっぽちゃん、いきなりどうしたんですか?」
案外大きな猫の声に、今まで穏やかに眠っていた男の子は、ハッと目を覚ますと、
寝起きのまだどこかとろんとした目で、困ったように膝の上でトソンに向かって鳴き続ける猫を抱きかかえた。
(*‘ω‘ *)「ぽっぽ! ぽっ!」
(゚、゚;トソン(この鳴き方…猫に見えるけど本当は猫じゃない…とか?)
16
:
名も無きAAのようです
:2012/05/03(木) 16:22:11 ID:pjD1kZAc0
( ><)「鳴いてるだけじゃわかんないんです! いったい何に向かって鳴いて……」
(;><)そ「うわっ」
(;><)「お姉さん誰なんです!?」
(゚、゚;トソン(今まで気が付いてなかったのか)
男の子は猫の視線を辿ってようやくトソンに気が付いたらしく、彼女に気が付くとビクリと驚いて身を退いた。
その際、反対側に置いてあったランドセルがドサリとベンチから落ちたが、男の子はそれに気が付かずに、
ベンチの端まで猫を抱えてずり下がった。ちなみに膝に乗った本は器用なことにそのままである。
(゚、゚トソン「あ、えっと、私は怪しい者では」
(;><)「じっ、じゃあ絶対怪しい人なんです!」
(゚、゚;トソン「えぇ!? 何で!?」
(;><)「自分でそういう人は怪しい人だって相場が決まってるんです!」
(゚、゚トソン「ああ、言われてみれば……」
(゚、゚;トソン「っていやいやこういうノリは本当に怪しくないほうが多いですよ」
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