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ホテル・サイドニアのようです
1
:
名も無きAAのようです
:2011/09/12(月) 23:43:56 ID:v7OA74xM0
お邪魔しまーす
335
:
名も無きAAのようです
:2012/09/22(土) 10:19:03 ID:cDz6jFU.O
よしゃああああああああ!
期待age
336
:
名も無きAAのようです
:2012/09/23(日) 00:20:02 ID:jKLspBSgO
乙!
337
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 02:13:08 ID:Ye8YRezw0
ねーちゃん明日って今さ!
338
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 02:22:49 ID:Ye8YRezw0
―― キャリア(保菌者)。
それは同時に死の追跡者の異名も持っている。
元は地球の中南東で30年以上前に開発されたものだが、
たちまち国際的に使用を禁止された、ウイルスと電子技術の複合物である。
・構成ウイルスの一つは動物の体温を感知し、付着する性質を持つ。
ウイルス自体は体表に留まり続けるので体内で病気を起こすことはない。
ただしそれが体温を持っている限り、二度と離れることもない。
剥がすには、温度を持たないこと、つまり死者になる必要がある。
・構成ウイルスの一つは匂いを感知する。
その嗅覚は犬よりも鋭く、たとえ100マイル離れた状況であっても、
正常に動作して、その対象物の方角を指し示す。
・構成ウイルスの一つは電子端末と連動する。
専用プログラムを介すことによって、菌周辺の状況を中継させられる。
保菌者の、すなわち視力と聴力を共有することが出来る。
・構成ウイルスの一つはやはり電子端末と連動する。
これは死体にのみ効力を発揮し、同上のプログラムと
組み合わせることによって、その死体を動かすことができる。
とはいえそれを生きた人間のように優雅に操作することは不可能。
リモートコントロールでは、ゾンビのようにしか立ち振舞わせられない。
また、当然のようにオート操作も可能であり、そちらの方が扱いやすい。
.
339
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 02:24:59 ID:Ye8YRezw0
キャリアはこの4つの人口ウイルスが大きな役目を果たす。
具体的な使用法は、まず死体を用意してキャリアをそこに培養する。
ただし嗅覚ウイルスは、追跡対象者の体毛などで繁殖させてから移す。
充分な時間を掛けて死体を保菌者にしてから、プログラムを起動する。
すると動き出す保菌者はひたすら対象者を追跡することになる。
一度でも対象者に触れることに成功すれば、それの居場所をプログラム
上にいつまでも表示させられる。また、その対象者が死亡した場合、
別の嗅覚ウイルスを注ぐことで保菌者に仕立て上げられる。
キャリアは過去の内戦において遺憾なく効力を発揮してきたが、
死体を用意する、ゾンビを増殖させるという観点から、
完成から三年も経たず使用が禁止された。
無垢な子どもを殺し、死体が新鮮なうちに保菌者に
作り上げるという常套手段は、国際的な問題になったものだ。
(;'A`)「……くそったれが!」
ドクオはそれがキャリアと察知した瞬間は、脱兎のように駆け出した。
キャリアの移動速度は人間以下だが、代わりに凶悪な追跡能力を持っている。
(#'A`)「あの野郎っ……!」
ドクオは走りながら吐き捨てるように言い放った。
こうなった以上、アジトには二度と立ち入れないだろう。
340
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 02:26:06 ID:Ye8YRezw0
ひた、ひた、ひた、、、、
从;;;;;∀从
――保菌者ハインリッヒは、虚ろな目と顔つきのまま、
ドクオの後を追い続ける。麻痺毒を塗ったナイフを手にし、
がくがくと身体を揺らしつつ、静かな裏道を確実に歩いていった。
(´<_` )「ははは、この情けない後ろ姿!」
弟者はタブレットを通じて、ドクオの逃げる様子を楽しんでいる。
ドクオは角を曲がり見えなくなるが、心配することはない、
キャリアには燃料も限界もないのだ。すぐににじり寄れる。
唯一の懸念は追跡中にトラップに掛かることくらいである。
しかしこの状況と時間の中で仕掛けを打てるわけもない。
それにこちらは、幾らでも死体を増やすことが出来るのだ。
(´<_` )「おっと……そろそろデルタを呼ぶことにするか」
無論のこと、拷問後のデルタの死体にも感染させるつもりであった。
.
341
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 02:34:18 ID:Ye8YRezw0
ドクオは体力の限界まで走るつもりはなかった。
キャリアのことは仕組みと歴史くらいしか詳しく知らないが、
数ある弱点は把握していた。だが、この状況下で限られてくるのは、
从;;;;;∀从 ヒタ、ヒタ、ヒタ、、、
(;'A`)「(落とし穴などの仕掛けはこうなった以上打てないっ……。
非爆発の火炎で焼くのもこの村では難しいだろう……。
つまり、俺が選べる道は……)」
塀で囲まれた細道を走っていたが、ドクオは段差を利用して
その塀に乗ると、驚異のバランス間隔で体勢を崩すことなく移動しだした。
そして丈夫そうな樹木を見つけると、それの幹に掴まり、
腕力と跳躍力を活かしてどんどん頂辺まで登り詰めていった。
たん、たん、たんと軽快な音を立てていく。
从;;;;;∀从「………」
高度な運動を行えない保菌者は、高い処に登られれば為す術はない。
手にしたナイフだけではまさか樹木も切り落とせまい。
結局、ハインリッヒはドクオの居る木の傍で足踏みを強いられた。
342
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 02:35:58 ID:Ye8YRezw0
('A`)「(だが、所詮その場凌ぎ……ずっとここに居れば
いずれ援軍が駆けつけてくるだろう。
本質的な問題の解決にはならない。)」
ドクオはちらりと見下げると、死人形と化したハインリッヒと目が合った。
从;;∀゚从
('A`)「………」
手当たり次第に枝を折り取って、ハインリッヒの身体が崩れ切るまで
投げ落とし続けるという方法が脳裏にちらと過ぎったが、すぐに却下した。
のみならず、弾数の限られる拳銃の使用などもほぼ無意味といえよう。
キャリアには生きた人間のような明確な弱点は存在しない。
強いて挙げるなら四肢の関節だろうが、肝心な脚を狙うには
位置が悪すぎるし、なにより死体を嬲るというのは胸糞が悪すぎる。
落ち着いてからカメラのシャッターを何度も切り、惨状の様子を収めた。
343
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 02:40:59 ID:Ye8YRezw0
根本的解決になり得ないが、まだ逃げたほうがいいような気がしてくる。
ドクオはこの前に拾った縄をポーチから取り出すと、それを足元の
幹にひきとけ結びすると、結んでいないもう一方の縄を握り締め、
脚力をつけて、飛んだ。そうやって別の木に移ると、
すぐさま縄を回収し、その木の幹と幹とを縫ってハインリッヒから逃げだした。
从;;;;;∀从 ヒタ、ヒタ、ヒタ
(;'A`)「(くそ、これだけじゃ何ともならねぇ……)」
ドクオは自分の乗っている樹木、さらに周辺の雑木も確認してみた。
空は夕焼けに赤く染まり始めている。この光のなかなら、探し出せるかも
と、ふたたびロープアクションで別の木に移っていった。
目当てのものを発見したのは四本目のときだった。
ドクオが探していたもの、それは多量に分泌している樹液だった。
その幹に腰掛けると、素早く樹液を露出した肌に塗りたくった。
天然の脂でコーティングすることで、保菌者の接触を避けようという魂胆だった。
無論これは完全な対策とは言い難い。顔の全部分に塗るほどの
量はなかったし、重点的にコーティングした腕でさえ、握られるなどの
強い接触を受けたらキャリアに感染する。
キャリアに感染したら最後、ドクオの居場所はプログラムを操作する
弟者に半永久的に知られ、ドクオの死はゾンビ化を意味することになる。
344
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 02:46:07 ID:Ye8YRezw0
('A`)「(……やるしか、ねえのか)」
ウシャン・メットをかぶり直すと、ドクオは若い枝を毟った。
みずみずしい弾力を持つ鮮やかな樹葉を手に、
そして扇さながらに顔を隠すと、
えいやっと飛び降りた。
(;'A`)「おおお!」
从;;;;;∀从
下で待ち伏せているハインリッヒに襲撃するためだ。
落下速度を活かして蹴りを加えようとする。
長ズボンと靴により下半身はプロテクトされている。
(;'A`)「おらあ!」
狙いは見事なものだった。予定通りに首に一撃を加えた。
踵落としじみた攻撃によって、ハインリッヒは為すすべもなく崩れ落ちた。
その際に腐敗した肉体ならではの死後硬直の感触が、ドクオの脚全体に伝わった。
首を負傷したハインリッヒは、しばらくそのままの体勢だった。
身体ぜんたいに痙攣を起こし、立ち上がろうともしない。
その姿が、ドクオの目にひどく焼き付いた。
345
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 02:50:20 ID:Ye8YRezw0
.
(´<_` )「おやおや、死体を足蹴にするか。酷い男だねぇ……」
弟者は含み笑いをすると、タブレットを手早く操作し、ハインリッヒを
無理やり起き上がらせた。そうしてドクオの方へ向かわせた。
从;;;;;∀从 ヒタ、ヒタ
( A )
(#'A`)「てめぇ絶対許さねえぞ弟者ァアアアアアアッ!!!」
良心も罪悪感もかなぐり捨て、ハインリッヒに殴りかかった。
.
346
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 02:54:01 ID:Ye8YRezw0
(´<_` )「吹っ切れないでくれよ、つまらないじゃないか」
高みの見物の弟者は、画面に映し出されるドクオの乱打を
観察しながら愚痴をこぼした。ドクオのは乱打といっても、
いつの間にか手にしていた太い古枝を中心とした攻撃の連続で、
キャリアの弱点とも言える関節……それも、腰のあたりを集中したものだった。
(#'A`)「くそっ、くそっ、くそォ!」
常人より反応速度の遅い保菌者を一方的に殴ることは容易い。
罪悪というものを完全に捨てきればこその話であるが。
それよりドクオは、ハインリッヒの手のナイフにも注意を払わないと
いけなかった。動きの怠慢になったハインリッヒの左腕――ナイフの
持つ方をあらん限りの力を込め、古枝で殴打した。
从;;;;;∀从 ガッアッアッ……
ナイフを吹き飛ばす魂胆だったが、しかしそれは握られたままだった。
(;'A`)「!?」
ハインリッヒの左腕は完全に伸びきった。そうして、ドクオの目には
そのナイフが綺麗な弧を描いて振り下ろされようとする瞬間が映った。
347
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 02:57:43 ID:Ye8YRezw0
バックステップで逃れようとする。だが、意外なことに
そのナイフの切っ先はドクオの身体を狙ったものではなかった。
――ざくり。と肉を切り裂く嫌な音がしたかと思うと、
その傷跡からやけに濁った血が噴水のように吹き出た。
(´<_` )「ははは……」
从;;;;;∀从
ハインリッヒの手首の先が、皮のみで繋がれてぷらぷらと頼りなく
揺れている。刃はハインリッヒの右手首、厳密にはそこの
動脈を狙って、振り下ろされたものだった。
(´<_` )「ナイフはねぇ、お前を捕えるためだけじゃない。
このシャワーを浴びせるためでもあったのさ……。
お味はどうかな? ハインの愛液はお気に召したかい?」
(;'A`)「………!」
弟者の目論見はこの上なく成功した。ハインリッヒから吹き出た
血は、ドクオの顔面に万遍なく注がれたのだった。
348
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:06:58 ID:Ye8YRezw0
弟者は確認し、ぞっとするような笑みを浮かべた。
ドクオは保菌者に完璧に"接触"してしまった。
画面上では、ドクオの位置がきらびやかに映し出された。
( A )
残されたドクオの行動は、満身創痍のハインリッヒを
身体が崩れるほどに痛めつけることのみであった。
右手首から放たれた血はハインリッヒ自身にも付着し、
あわれな緋色のドレスを形作っている。
从;;;;;o从
それでもなおドクオに接触しようとするハインリッヒを、
自信の手で葬らねばならない。ドクオは生気のない瞳で、淡々とおこなっていく。
(´<_` )「なんて惨い野郎なんだ。笑えてくるぜ」
.
349
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:09:28 ID:Ye8YRezw0
見物する弟者の居る、その裁判館の一室にベガーがやってきた。
それと共に、縄で囚われたデルタも。
(´<_` )「おお、ついに来たか」
弟者は目をぎらつかせてデルタをみやった。
言いつけ通りに西部開拓時代さながらに、後ろ手にされた挙句に
木の板で拵えた手枷をはめ、足首と喉に巻きつけた縄
によって自由を奪われたその姿は、奴隷と呼ぶにふさわしい。
下がれ、の一言でベガーが部屋を後にした。
そこに残ったのは、奴隷のようなデルタと、流石兄弟のみであった。
判事らしく黒のスーツを乙に着こなして、嫌味なくらいに優雅な弟者と
頭から足までカウボーイルックを決めている兄者、
そして、それらとは対照的に薄汚れたシャツとジーンズのデルタ。
立場を一挙に伝えるめいめいの服装であった。
( "ゞ)「………」
( ´_ゝ`)
(´<_` )「間近に会えて嬉しいよデルタ。とりあえず楽にしたまえよ。
その格好で、座れることが出来るんならな……」
弟者は立ち上がると、デルタの方へ歩み寄っていった。
扉の近くには兄者がやはり立ちふさがっている。
デルタが逃げることは、まず不可能といってよかった。
350
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:15:10 ID:Ye8YRezw0
弟者は片膝をついて、デルタと対等の目線になると、
(´<_` )「すでに調べはついている。君は我々の優しさを裏切り、
ドクオに情報を提供したことはねぇ……」
( "ゞ)「………」
やれやれ、といった口ぶりの弟者を、デルタは睨み続ける。
すると弟者は一度口元に笑みを浮かべてから、デルタの顔面を
一殴りした。鼻に狙いに定めただけあって、弟者の拳に
鼻骨の砕ける爽快な感覚が走った。
( ";;;゙)「ぐあっ……」
そのままデルタは倒れ込んだ。
潰れた鼻からは血が吹き出て、鼻水と共に顔中を汚していく。
その鮮血は床にぽたり、ぽたりと垂れていった。
( ";;;゙)「うう……」
(´<_` )「君にはプライドがないようだね。原住民だったお前を、
寛大な我々が仲間に入れてやったというのに、
お前はこの私さえ裏切ってドクオの犬に成り下がるとは」
弟者は立ち上がると、芋虫のように悶えているデルタを踏みつけた。
靴裏をデルタの頬に無理やり擦りつけている。
351
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:19:41 ID:Ye8YRezw0
( ";;;゙)「……!」
(´<_` )「だがチャンスをくれてやろう。ドクオのことを
洗い浚いに吐けば、寛大な心で許してやろうじゃないか」
弟者は踏みつけをやめると、再び屈んで、倒れたままのデルタを
膝立たせた。目と目が合った瞬間ににこりと微笑んで、猫撫で声のまま、
(´<_` )「ハンターの高潔なプライドを取り戻すのだ……。
あるいは人間らしさを! やはり我々の側に戻るとすれば、
まだ君にも救いが生まれるというものだよ」
( ";;;゙)「ぷ、ぷらい……」
(´<_` )「ん? なにかね?」
( ";;;゙)「プライドなんざ……とうに捨ててる……だが、
だが……貴様には、にどと従わない……!」
(´<_` )「………」
弟者の表情から笑みはさっと消えた。
立ち上がってデルタを見下ろすと、唾を吐いてため息をついた。
(´<_` )「常に、愚かな奴は愚かなことしか考えられないものだな」
.
352
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:22:08 ID:Ye8YRezw0
.
( ";;;゙)「――ぐふゥッ!!」
デルタのみぞおちに容赦ない蹴りが加わった。たちまち鋭い痛覚と、
革靴の先が腹部にめり込んだ衝撃がデルタを苦しめた。
涎を吹いて倒れ落ち、引きつけを起こしたように痙攣をした。
(; ";;;゙)「うぐ、ぐ……!」
(´<_` )「これは申し訳ない。ゴミかと思って蹴飛ばすつもりだったよ。
ああ、いいや、ゴミだったなぁ貴様は。ろくな考え事もプライドもない、
貧相で下品な面構え。卑しいったらありゃしない……」
(; ";;;゙)「あ、あ、……」
みぞおちの痛みは尚やまない。深く呼吸をしても、神経が引き裂かれた
ような感覚が癒えることもなく、ましてや弟者に反撃など出来ようもない。
(´<_` )「絶望ってのを見せてやろうか」
(´<_` )「こんな村で育たなければよかったなぁって
後悔させてから殺してやるよ……ハハハ、ッハッハッハ!」
353
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:25:39 ID:Ye8YRezw0
( ";;;゙)「……後、悔……」
はぁはぁと荒い息遣いをしていたデルタだったが、ようやく
痛みに慣れだしてきた。鼻は見るも無残に潰れ、塞がりかけた鼻腔は
凝固した血によって機能しない。顎が強ばったようで動かしづらいが、
少なくとも喋ることは身体が許してくれた。
( ";;;゙)「ハーモニーに生まれて……後悔…だと」
(´<_` )「そうじゃないのかね。ハーモニーなんぞで暮らさなければ
少なくともこうして、苦しみ死ぬことはなかったのだからねぇ」
( ";;;゙)「ふん。なら……ありえねぇ話だ……」
デルタの顔ががたがたと痙攣した、それは彼にとっての笑いだった。
( ";;;゙)「俺には……ハーモニーの、、楽しかった思い出が、ある。
どんなに…苦しもうが……俺の、記憶、は……あせないんだ。
いつも、ずぅっと……この村を、愛す……」
(´<_` )「ふぅん」
すると再び、弟者はデルタのみぞおちを狙って蹴りを加えた。
( ";;;゙)「あがっ……!」
(´<_` )「馬鹿が。それごと踏み躙ってやるっつってんだよ……!」
.
354
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:30:51 ID:Ye8YRezw0
弟者は背を向けると、拷問道具の一式揃ったキャビネットを弄りながら、
(´<_` )「俺は過去、なんども拷問をしては殺してきた。数え切れない
ほどの経験から言うが、お前も御多分に漏れず、後悔して死んでいく」
さそり毒の入った注射器を手に取って、針の先端をためつすがめつし、
(´<_` )「死の恐怖、耐え難い苦痛……これらを目の当たりにすれば、
虚勢なんぞ糞の役にも立たない。そして命乞いするには
遅すぎたと知ったとき、どいつもこいつも同じ表情をする」
(´<_` )「そいつのくだらない人生を表現したような哀れな表情さ。
糞みたいな人生が凝縮された、情けなさの極みって奴よォ!」
( ";;;゙)「………」
身を捩りながら、デルタは体勢を直した。力の入りきらない
下半身を鞭打って、足枷から不自由を貰いながらも、立ち上がった。
(´<_` )「おやおや、そんなに元気があるなら楽しめそうだねぇ」
( ";;;゙)「(俺は……絶望などしない)」
(´<_` )「弱者の意地って奴だな。ふふ、私も昔は弱者だったものだよ」
( ´_ゝ`)
.
355
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:33:32 ID:Ye8YRezw0
(´<_` )「だが、きみにはチャンスも無ければ頭脳もない。
まことに残念だがね、情報を吐かないのなら死ぬ。
それが運命というものだ」
( ";;;゙)「(あれは、弟者のタブレットコンピュータ……!)」
デルタはふらふらした足取りのまま、弟者のデスクへ向かおうとした。
そんな思惑を知ってか知らずか、弟者はデルタの脛に一撃を加え、転ばせた。
まともに受身も取れず、デルタはまたも倒れ込んだ。
それでもやはり、立ち上がろうと身を奮い立たせる。
(´<_` )「おーおー、頑張るねぇ」
( ";;;゙)「(まだだ、まだ……)」
(´<_` )「そんな君にはとっておきの贈り物だ」
弟者はそういうと、動こうとするデルタの首筋にサソリ毒を注射した。
暴れないうちに手早く液体を流し込むと、硬直しだしたデルタに、
(´<_` )「おおっと安心してくれ、これはただのサソリ毒の一種さ。
のたうち回るくらいには危険なシロモノだが、これで
死ねるなんてありえないから安心してくれよ?」
( ";;;゙)「………!」
(´<_` )「ははは」
更にデルタの尻を蹴飛ばし、前のめりに倒しては空笑いをする。
356
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:34:52 ID:Ye8YRezw0
( ";;;゙)「(あと……少し……!)」
錯乱しかけたようにデルタは呻いた。
目的を悟られないように道化を演じることは慣れたことであった。
膝で這いずるように前進する。意外な重労働に呼吸が荒くなって、
呻きも次第々々に真実的になっていった。背中には弟者の嘲笑めいた
視線を強く感じている。蹴られた鳩尾は未だ鈍痛に悩まされている。
けれどどうしたことか、今は意外な程に冷静で、身体もほのかに暖かい。
( ";;;゙)「(あきら……めん)」
そのとき、弟者が新たな道具を探しに意識をデルタから逸した。
今だ、今しかない。デルタはあらん限りの力を込めて、まず膝立ちになると、
次によろめきつつもまったく立ち上がった。痛む膝に、不自由な足首。
毒が回っているのか、身体中の筋肉が燃えるように熱くなっていく。
目当てのタブレット・コンピュータは射程圏内に入っているか
否かの瀬戸際だった。だが、だが、今なんだ、今しかないんだ。
( ";;;゙)「(う……うう……)」
.
357
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:38:07 ID:Ye8YRezw0
デルタは限界を捨てて、おこなった。
( ";;;゙)「ぉおおおおおおッ!!!」
(´<_` )「!?」
弟者が振り向いたとき、デルタは無様な体勢でジャンプをしていた。
方向は弟者のデスクで、目標はタブレットコンピュータだと察知した
ときにはもう、デルタの身体はデスクにぶつかった。
(´<_` #)「……貴様ァッ!」
弟者が駆けつける。その三秒足らずの間に、デルタは衝撃で床に
落ちたタブレットを壊そうと躍起になっていた。タブレットの隅の一つに
砕く勢いで噛み付いている。罅割れた液晶にデルタの鼻血が入り込む。
(´<_` #)「乙な真似しやがると」
ついた弟者はデルタの髪を鷲掴みにすると、そのまま持ち上げた。
それでもタブレットを噛んだままであった。弟者はデスクの角に
デルタをそのまま叩きつける。三度、デルタのひたいを
打ち付けたところで呻きつつもようやく口を離した。
歯が何本も液晶に突き刺さった状態で落下した。
タブレットが破壊されたことは、誰の目にも明らかなことだった。
358
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:39:18 ID:Ye8YRezw0
( ";;;゙)「あが……あ……」
(´<_` #)「屑の分際で……」
弟者はアイスピックを取り出すと、怒りを抑えきれぬ様子で、
(´<_` #)「てめぇの腐った脳味噌かき乱してやらァ!!」
( ";;;゙)「やりたか……やぇ……おれぁもう…しあわせだ」
(´<_` )「んだと……!」
デルタはふっと目を閉じた。気にも留めていないようだが、既に
身体中を蠍毒が駆け巡って、顔は青ざめているし四肢の末端は腫れ上がっている。
顎が震えだす上に舌がうまく回らない。
まともに喋ることを身体が許してくれない。
359
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:40:37 ID:Ye8YRezw0
デルタは言葉では伝えない。行動と態度で弟者を嘲ろうとする。
一矢報いてやったことを、何もできない弱者ではなかったことを。
( ´_ゝ`)
権力に決して屈してやらないことを。
どれだけの苦痛をこれからうけようとも、
ハーモニーの暖かい記憶と夢を背負って死んでやるということを。
( ";;;゙)「は……は……ハ」
(´<_` )「……笑えなくしてやる」
弟者は冷徹に言い放った。
アイスピックを逆手に持つと、デルタの縛られた片手に狙いを定めた。
これから一本一本、串刺しにするつもりであった。
360
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:43:40 ID:Ye8YRezw0
.
( ";;;゙)「は……あ……は、はは」
デルタの脳裏に浮かぶのは、楽しかった頃の記憶だけ。
村を開拓する両親に連れてこられた少年時代、初めて
馬に乗ったときに転んだあのとき、しばらくして慣れた頃、
村中のみんなが褒めてくれたものだ。酒の飲める歳になったとき、
大人にバーを連れ回され、酔いながら村の歌を大合唱したもんだっけ。
いつしか立派なカウボーイになろうと決めた。ハーモニーを愛してしまった。
そうして、悪者を退治して村を守ろうと。守りたかった。守るつもりだ。
( ";;;゙)「…ふ……ふふ」
(´<_` )「悲鳴をあげなァ」
無防備なデルタの指を貫こうと、弟者がアイスピックを振り下ろした……
……そのときだった。空気を素早く切り裂く音が走ったかと思うと、
デルタの身体が無機質にのけぞった。そののち、呻きもなく吐血した。
361
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:47:45 ID:Ye8YRezw0
.
(´<_` )「!?」
( ";;;゙)
デルタを確認した。口から煙を上げ、満足気な笑みのまま硬直している。
身体を揺らすと尋常ではない量の鮮血が口から漏れた。
すでに、デルタは絶命していた。そう、
( ´_ゝ`)
兄者の放った銃弾によって、一瞬のうちに死を迎えたのだった。
(´<_` )「 兄 者 ………どうして」
困惑する弟者の問いには答えない。早業でホルスターに
銃を仕舞ったのち、またも無反応な人形になってしまった。
(´<_` ;)「お前……」
( ´_ゝ`)
.
362
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:50:15 ID:Ye8YRezw0
(´<_` )「………」
弟者は暫らく兄者を睨みつけた。だが兄者の目線は空虚を
定めたままで、なにを語るつもりもないことが容易に伺い知れた。
何分かの沈黙のうち、弟者はそっぽを向きながら、
(´<_` )「ドクオのところに向かえ。タブレットが壊れた以上、
キャリア一匹だけに任せてはおけん。階下の連中を
引き連れて、さっさと雑木林へ走れ。捕まえてくるんだ」
兄者がやはり無表情のまま、扉を開けて出ていった。
残された弟者は、立ち消えた兄者の後ろ姿を目で追い続けていた。
あとに残されたのは、呆然とした弟者と、
眠ったように死んだデルタだけであった。……
・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・
363
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:52:30 ID:Ye8YRezw0
ハーモニーの夜。狂態を眺めて月の笑う夜。
( A )
ドクオが居た。雑木林の外れ……保菌者と化したハインリッヒと
格闘したその付近で、彼は腐葉土に触れている。
――ハインリッヒとの格闘は、しかしドクオの一方的な
攻撃に終始していた。痛覚もなく明確な弱点も存在しないハインリッヒの、
その四肢と関節とに集中的に打撃を加えるだけの作業だった。
死者を徹底的に殴り、蹴った。
彼女の持っていたナイフを使用もした。
ハインリッヒの身体が身体として機能しなくなる頃になって、
ドクオは素早く腐葉土を掘り返し、彼女をそこに落とした。
そうして土をかけ直し、墓標代わりに細長い石を突き立てたのだった。
( )
ドクオは傍の木の陰に身を隠していた。
俯いたまま、息を殺していた。
それから少し経った頃、小走りに駆けてくる何者かの気配を感じた。
ドクオはそっと影から顔を出し、それの確認をした。
364
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:54:13 ID:Ye8YRezw0
||;‘‐‘||レ「はぁっはぁっはぁっ……!」
やって来たのはノーナンバーズのメンバーの一人、
エノーラに違いなかった。息遣いも荒いが表情はそれ以上に
苦悶に充ちていた。ドクオはそれを訝しげに思いつつも、
('A`)「来るな!」
||;‘‐‘||レ「!?………どうして?」
事実、エノーラはそれ以上足を踏み込むと、飛散したキャリアが
身体に付着するおそれがあった。ただしドクオにはそのことを
説明する気力もなければ、もとより時間もなかった。
('A`)「何であれ絶対近づくな。要件がないなら去るんだ」
しかしエノーラはドクオの予想とは裏腹に、反抗的な口調で返した。
||‘‐‘||レ「なんでよ?」
.
365
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:57:07 ID:Ye8YRezw0
('A`)「……説明する時間はない」
||#‘‐‘||レ「デルタはどこッ!?」
聞く耳を持たず、いきなりエノーラは感情的に問い詰めた。
状況を理解してしまった、
ドクオはこの状況にどう対処すべきか迷ったが、極めて穏やかに、
('A`)「頼む。全て後で話すから……このままだと、
そのデルタの意思ごと無駄にしてしまいかねない」
||#‘‐‘||レ「だからなんでよッ!? そうやって大雑把な
考えだからデルタが連れ去られたんじゃないの!?」
(;'A`)「………!」
||#‘‐‘||レ「デルタをどうにかしてよ!」
(;'A`)「いいか、絶対に俺に近づくなよ。……はっきり言おう。
デルタは既に殺されたと思って間違いはない」
||;‘‐‘||レ「!?」
('A`)「流石兄弟はもう容赦しない。こうなった以上、
終わるまで、振り返ってはいけないんだ……俺は悲しまない…」
||#‘‐‘||レ「そんなこと! 仲間が、仲間が居なくなったのに……!」
366
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 03:59:22 ID:Ye8YRezw0
(#'A`)「仲間が死んだからって立ち止まるつもりはねぇ!」
煮え切らないエノーラに、ドクオはついに荒々しい口調になって、
(#'A`)「ここで悔やんでどうすんだよ。いいか、俺の意思を言っておく。
はじめこの村に来たとき、俺は自分の目標しか考えてなかった!
ハーモニーのことなど二の次だったさ! だがな、今は違う。
俺はこの村を救ってみせる! ハンターぶちのめしてやる!
それが今の一番の目的だッ! 嘘偽りなくな!」
||‘‐‘||レ「……で、でも」
('A`)「絶対にこの村に笑顔を取り戻すから、今は耐えてほしい。
さあ、アジトに戻って明日の準備をしてくれ。お願いだ」
そういうと、ドクオは隠れ蓑に
していた樹木に登って、姿を隠してしまった。
||‘‐‘||レ「……わかった」
.
367
:
ラスト投下
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/23(日) 04:01:45 ID:Ye8YRezw0
.
冷静になったのかどうか、エノーラは表情を普段に戻すと、
ドクオの居るであろう方角に向けて、弾丸を投げた。
('A`) オットット
||‘‐‘||レ「じゃ……そういうことで」
感情をつとめて無にし、エノーラは闇夜に消えていった。
('A`)「ああ、みんなも頑張ってくれ……」
独り言のようにドクオはぽつりと呟いた。それから直ぐに
気を引き締めた。深呼吸を繰り返し、ホルスターの銃と
弾数とを確認し、次なる敵に備え、
( A )「(絶対に許さねえぞハンターども。てめぇらの思い通りにはさせねぇ)」
ハインリッヒがまったく動かなくなった今、弟者は
追撃の手を用意するに決まっている。それが第二のキャリアか
ハンターの集団かそれとも兄者か、どれも可能性は考えられるが、
いずれにせよ正念場であることは間違いなかった。
('A`)「(明日がくれば、どちらにせよ全てが終わる、
この夜が、おれにとっての正念場……!)」
.
368
:
名も無きAAのようです
:2012/09/23(日) 04:03:40 ID:Ye8YRezw0
今日はここまで。
次もわりかし早く投下できると思います。
よい朝を。
369
:
名も無きAAのようです
:2012/09/23(日) 05:07:29 ID:6RnQAgZI0
おつ
兄者…
370
:
名も無きAAのようです
:2012/09/23(日) 05:13:30 ID:bKIDx/C20
オモロー
371
:
名も無きAAのようです
:2012/09/24(月) 00:06:47 ID:4HeJDXrkO
乙
この作品の兄者好きだわ
372
:
名も無きAAのようです
:2012/09/24(月) 00:18:21 ID:vaKELzrQ0
ドクオもなかなか器用なやつだな
373
:
名も無きAAのようです
:2012/09/24(月) 01:23:52 ID:7V71zeBI0
うおおおお乙!
兄者やってくれるって信じてた
374
:
名も無きAAのようです
:2012/09/24(月) 14:26:27 ID:Lo0WV0R.O
逆転の一手がどんなものなのか楽しみ
このドクオさんは顔以外のスペック高くて頼りになるわ
375
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/25(火) 07:52:35 ID:I35Ua3yA0
みんなレスありがとう、俺のモチベに繋がりますわ。
明日からieslというよくわからん学期がまた始まるからちょっと
更新ペースが遅くなるかもという報告。ちなみに現在8レス。
以下駄文
この頃の執筆ペースのはやさには自分でも驚いている。処女作を書いていた
あの当時並で、気分もどこかリフレッシュしているみたいだ。
で、やっとその訳に気付いたんだが、このハーモニー編って処女作の
綺麗な街とどこか似通った部分のあるストーリーなんだよね。だからこう、
なんというか無意識のうちにリメイクするような情熱を傾けていたのだろう、と俺は思う。
あの作品を今の俺が書いたらどうなるって感じで、自分自身に挑戦しているのかも知れんなあ。
こんなにハーモニー編が長くなったのもそれのせいかも。ってはなし。
376
:
名も無きAAのようです
:2012/09/25(火) 09:56:34 ID:487wW8L6O
別に長くなっても構わないけどホテル・サイドニアも忘れんなよ!主にタイトル的な意味で!
リアルに支障出ない程度に頑張って!
377
:
名も無きAAのようです
:2012/09/25(火) 18:13:20 ID:ypxqqbQk0
続き楽しみにしてるお
無理せずがんばって
378
:
名も無きAAのようです
:2012/09/25(火) 20:02:20 ID:OKx1neug0
米国の大学生なんかな?
ハーモニー編の全体に漂う緊張感がすごく好き。
今後の展開が楽しみだし筆が早いのは喜ばしいな
379
:
名も無きAAのようです
:2012/09/25(火) 22:17:51 ID:9WVde25U0
まとめで読んでたけどもう次が来てた!やった!
いつも楽しく読んでます
380
:
名も無きAAのようです
:2012/09/26(水) 13:34:24 ID:mf.vScxU0
乙乙
のんびり待ってるぜ
381
:
名も無きAAのようです
:2012/09/26(水) 18:35:03 ID:bLNopvMwO
全ブーン系の中でも宇宙船SIXが一番好き
しかしサイドニアは更に素晴らしいので是非とも完結させて頂きたい
382
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/28(金) 15:04:57 ID:u0nYxWd60
ううっ! わしゃァ幸せもんじゃけぇ!
暖かいレスみんな本当にありがとう、ぐっときたぜ。
年内にはドクオをホテル・サイドニアに帰してやりたいと思っていたり。
さて、この週末にちょっとですが投下をします。
よろしかったらお付き合いくださいなー。
383
:
名も無きAAのようです
:2012/09/29(土) 09:47:25 ID:JR/MmAOIO
よっしゃよっしゃ 全裸待機しとく
384
:
名も無きAAのようです
:2012/09/29(土) 11:46:53 ID:7dJqCxwc0
おっしゃー全力期待じゃけぇ!
385
:
名も無きAAのようです
:2012/09/29(土) 14:52:56 ID:41EEJbZQ0
なんということだ、投下ミス発覚。しかもけっこう重大な。
>>305
と
>>306
の間の抜けを今から投下します。
ちなみにこの時間のwifiはサックなんで、こっちでいう朝に本投下しちゃいます。
386
:
>>305と>>306の間
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/29(土) 14:56:13 ID:41EEJbZQ0
それから、シラヒーゲを加えた御一行は、シラヒーゲの
ダンサー談話をBGMにふたたび個人倉庫の解除作業をおこなった。
さすがに二度目となれば落ち着いて行動出来、扉はなんなく開かれた。
(’e’)「や〜っと開いたか」
川 ゚ -゚)「(このなかに……私の望んでいたものが……)」
( ´W`)「……でな、リアーナのアンブレラのカバーがこれまた……」
・・ ・・・
・・ ・・
・・ ・
”彼ら”は気がつかない。
陰から身じろぎせずに観察している連中を。
ファッカーが電話をした後に、手榴弾をバッグから取り出す、
その狂気じみた犯罪光景を。……
.
387
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 00:46:06 ID:AtOTda9o0
そして本投下じゃい!
新聞の深き谷にも光射すそれぞれの朝ホテルサイドニア
太陽の位置が少し遠ければ陽光もまた他人の優しさ
しみじみと酔えば恋しきわが故郷汚れ染めたるカード眺めつ
388
:
リプライズ投下
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 00:48:22 ID:AtOTda9o0
(#'A`)「仲間が死んだからって立ち止まるつもりはねぇ!」
煮え切らないエノーラに、ドクオはついに荒々しい口調になって、
(#'A`)「ここで悔やんでどうすんだよ。いいか、俺の意思を言っておく。
はじめこの村に来たとき、俺は自分の目標しか考えてなかった!
ハーモニーのことなど二の次だったさ! だがな、今は違う。
俺はこの村を救ってみせる! ハンターぶちのめしてやる!
それが今の一番の目的だッ! 嘘偽りなくな!」
||‘‐‘||レ「……で、でも」
('A`)「絶対にこの村に笑顔を取り戻すから、今は耐えてほしい。
さあ、アジトに戻って明日の準備をしてくれ。お願いだ」
そういうと、ドクオは隠れ蓑に
していた樹木に登って、姿を隠してしまった。
||‘‐‘||レ「……わかった」
.
389
:
リプライズ投下
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 00:50:11 ID:AtOTda9o0
冷静になったのかどうか、エノーラは表情を普段に戻すと、
ドクオの居るであろう方角に向けて、弾丸のカートリッジを投げた。
('A`) オットット
||‘‐‘||レ「じゃ……そういうことで」
感情をつとめて無にし、エノーラは闇夜に消えていった。
('A`)「ああ、みんなも頑張ってくれ……」
独り言のようにドクオはぽつりと呟いた。それから直ぐに
気を引き締めた。深呼吸を繰り返し、ホルスターの銃と
弾数とを確認し、次なる敵に備え、
( A )「(絶対に許さねえぞハンターども。てめぇらの思い通りにはさせねぇ)」
ハインリッヒがまったく動かなくなった今、弟者は
追撃の手を用意するに決まっている。それが第二のキャリアか
ハンターの集団かそれとも兄者か、どれも可能性は考えられるが、
いずれにせよ正念場であることは間違いなかった。
('A`)「(明日がくれば、どちらにせよ全てが終わる、
この夜だけは乗り切ってみせる。なんとしても……!)」
.
390
:
リプライズ投下
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 00:54:02 ID:AtOTda9o0
・・ ・・
・・ ・・・
さて、
ドクオが身を隠してから10分足らずの後にそれは起こった。
その異変はまず、隣の木の叫びだった。
その木はヒステリックな音を立てながら、震え始めた。
どんっ。どんっ。どんっ。
('A`)「!?」
等間隔に太鼓の音のようなものが聞こえたかと思うと、
それに呼応するように隣の木の揺れが徐々に徐々に増していった。
どん。どん。どん。
ドクオはとっさに周囲を確認する。音源は村外れの監視塔から
らしかったが、そこから丸く赤い光が音と同じタイミングで
明滅していた。どん、どん、どん。それからたちまち、
揺れていた木は激しくしなりだして、ぶちぶちと裂けるような音を立てた。
まもなく、支えを失ったかのようにその木は倒れてしまった。
その巨木の倒れた衝撃で葉っぱは舞い上がり、ドクオの顔にいくつも触れた。
ドクオは察知した。銃によって木が折られている。
大型銃によって緻密に暴力的に木を倒している奴が居る。
391
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 00:56:50 ID:AtOTda9o0
人間離れしたその射撃技術を、ドクオは無論のこと覚えていた。
(;'A`)「(兄者が、、狙ってきた……!)」
そして弾丸は二本目を狙いだしてきた。
またも聞こえる等間隔の音。どん、どん、どん。
その標的は、紛れもなくドクオの隠れ蓑だった。
(;'A`)「(うぐぉ……!)」
撃たれる度に、葉が枝が幹が振動した。見下ろすと、
砕けた木片がぱらぱらと腐葉土に落ちていく。
――どん、どん、どん。どん、どん、どん。
足場が、人を支えきれないほどに震えた。傾いてゆく。
ドクオは力任せに幹を掴んだが、視界はついにぐらんと揺れた。
木が、倒れだした。周囲にある無数の葉は
せわしなく動き、シンバルに似た音を立てて騒ぎ出した。
そうしてドクオは為すすべもなく、そのまま地面のほうに向かっていった。
392
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 00:59:26 ID:AtOTda9o0
巨木が大地に崩れ落ちるその衝撃と音は、
ドクオの身体をまんべんなく揺らし、鼓膜を刺激した。
(;'A`)「くっ」
そして乱暴な着地のとき、ドクオは思わず受身を取ってしまった。
しかしそれは大きな間違いだった。兄者のような観察者からすれば、
樹木に潜んでいたかいなかったかは、その動きで読み取れてしまうのだから。
案の定、わずかな音と動きを立ててしまったために、ハンター側に
ドクオの存在は完全に察知されたようであった。銃撃は途端に止んだ。
(;'A`)「(野郎ども勘づいたか……しかし、わざわざ木を倒す手段に
出たのはどうしてだろう。俺の所在はプログラムによって
知ることが出来るのに……単なる威嚇か、それとも……?)」
そうこう考えているうちに、複数人の足音が忍んできた。
重なった葉の間から様子を覗くと、それは紛れもなくハンター達であった。
ただしどれも雰囲気でただの下っ端ということが読み取れた。
.
393
:
名も無きAAのようです
:2012/09/30(日) 01:02:22 ID:lihvIRU60
きたあああああああああ
394
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 01:16:39 ID:AtOTda9o0
ドクオはそっと銃を手にかけ、思案を重ねてみる。
連中が自分を追い詰めていることは承知だが、それにしては
すこし、連中から焦りを感じられる。キャリアという凶悪な追跡能力
を扱えるなら他にも方法はいくらでもありそうだが。
ドクオは知る由もないが、キャリアをプログラムしたコンピュータは
現在壊れてしまっている。もちろん別の端末に再度インストールすれば
いいだけの話で弟者も実行しているさなかであった。
そのために、ライフルという飛び道具を全面に押し出した捕獲を
しているのだが、ドクオにはまだ、その真実にたどり着けない。
ただひとつ言えるのは、全てが
チャンスでありピンチであるということ。
(::::::A`)
ドクオは呼吸を整えてからまず、やって来た下級ハンターの人数を
把握した。視界に入る分では5人であった。それから銃口の狙いを定める。
一番先頭を歩くハンターの、足元を狙い……
……撃った。とたんに「ぎゃん!」と犬みたいな叫び声が耳に届く。
それを契機にドクオは飛び出した。ハンターは対応しきれない。
だがドクオは一瞬で加速し、足を負傷したハンターの懐に入り込んだ。
そうして鳩尾を躊躇なく殴り込んだ。
「ぐうっ!」と絞るような声を上げて前のめりに倒れ込もうとする。
その辺りになって周りのハンターが状況に追いついて、怒声を上げながら
銃を抜き出したが、負傷したハンターが邪魔でドクオを狙うことが出来ない。
もとより、ドクオを殺害を許されないハンター達
にとって銃などあまり役に立つ代物ではなかったが。
395
:
名も無きAAのようです
:2012/09/30(日) 01:25:20 ID:c4OR/G620
来てれぅー
支援
396
:
名も無きAAのようです
:2012/09/30(日) 01:47:56 ID:bT0XvDj60
やったれドックン
397
:
名も無きAAのようです
:2012/09/30(日) 01:48:15 ID:s8Lru0Dw0
tes
398
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 01:49:20 ID:s8Lru0Dw0
('A`)「おら!」
密着していたハンターを突き飛ばした、複数の声が聞こえる方へ。
すかさず銃を構えて別方向に居るハンターに向け、更に発射する。
兄者の狙撃時点で自身を殺す気はないと察知しているだけに、ドクオ
の自信あふれる喧嘩はとどまるところを知らなかった。
なにより、鬱憤が溜りに溜まっていたのであろう、拳銃で
怯ませてから懐に入っては打撃という戦術には容赦というものがなかった。
怒りに身を任せた一人が拳銃を乱射した。しかしそのときにはもう
ドクオは別のハンターの陰に隠れ、銃弾を回避している。
至近距離の発砲は肉壁にされたハンターを死に至らしめた。
「ああ…」と我に返ったときにはもう弾切れで、その隙を突いて
ドクオが突進してくる。真っ向から格闘するかリロードするかの
瀬戸際のときにはもう、ドクオのアッパーが彼の脳を思い切り揺らした。
失神しかけたそいつの襟元をドクオは掴んで、背負い投げの要領で
掲げたかと思うと、腰の引けた別のハンターにそいつを投げつける。
ふたたびドクオは走り出し、とどめにとタックルと頭突きを与えた。
半ば暴走状態のドクオだったが、脳だけはきっちりとフル回転を続けている。
残党の数と戦闘不能者を数えつつも、細かな殴打と蹴りで対応をしていた。
残りは二人だった。しかしそこでドクオの快進撃は止まることになる。
その二人はドクオの真正面と背後にそれぞれ陣取ってい、加えて
じりじりと銃の照準を定めていた。
('A`)「けっ……」
ドクオは蟹走りで照準から逸れると、壁を背にして振り返った。
――しかしその瞬間に頭に衝撃を受けた。動きに対応したハンターの
一人が古枝でドクオの後頭部に一撃をくわえたのだった。
399
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 01:53:17 ID:s8Lru0Dw0
(メ'A`)「………」
ドクオの身体がぐらりと傾いで壁にもたれ掛かった。舌なめずりを
するそのハンターが、二撃を与えようと棍棒めいた古枝を振り上げた。
その瞬間、ドクオは唾を吐いた。唾がそいつの鼻にかかった。
とっさの屈辱に一瞬ひるむ彼に、ドクオは前蹴りを放った。
会心の一撃だった。腹を突き上げられたそいつは倒れかけた。
すかさずドクオは彼の股間を蹴撃した。悲しげに沈んでいった。
残りの一人に目を向けると、そいつは電話をしている最中だった。
慌てふためいた敬語で、上層部に何か応援を要請しているのが把握できる。
むろんドクオは容赦せず近づくと、ストレートを加えて失神させた。
(メ'A`)「けっ」
ドクオはそいつの持っていた携帯電話を奪い、更にホルスターから
拳銃を抜き取った。逃げよう。逃げ道を探らなくては、
――しかし、背後から静かな足音が、聞こえてきた。
(メ'A`)「!?」
ドクオは知っている。その気配の主を。
紛れもなく、奴が辿りついたのだ。
( ´_ゝ`)
.
400
:
名も無きAAのようです
:2012/09/30(日) 01:59:06 ID:bT0XvDj60
どうする
401
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 01:59:31 ID:s8Lru0Dw0
(メ'A`)「……くそ」
ドクオはたちまち銃を構えた。正面突破で太刀打ち
できる相手ではないことをドクオは身をもって知っているが、
この状況では闇に紛れて逃げることは不可能ということも承知であった。
兄者は構わず、少しずつ近づいてくる。ドクオもすり足で
うしろうしろへと離れようとしたが、距離は確実に詰められようとしていた。
( ´_ゝ`)
(メ'A`)
――さきに動いたのはドクオだった。定めていた照準から銃弾を
発射する。……だが、その弾は、途中で、逸れて、壁に、音を立ててめり込んだ。
ドクオは困惑したがすぐさまに理解をした。兄者がいつの間にか
拳銃をこちらに向けているばかりか、その銃口から煙が吹いている。
つまり、ドクオの撃った弾に対応して射撃し、弾道を変えたのであろう。
(;'A`)「………!」
人間技ではない。ドクオは戦慄した。
一流のガンマンともなれば、敵の撃ってくるタイミングが読めると
聞いたことがあるが、それを踏まえても信じ難い出来事だった。
402
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:02:21 ID:s8Lru0Dw0
この男から逃げられるのであろうか。
さきの出来事から言っても、兄者はドクオを本気で"捕獲"に来ている。
殺しにかかっていない。本来ならそこが付け目になるが、こと兄者に
そんな常識が通用するか、ドクオには判断しかねた。
(;'A`)「………」
ドクオはふたたび銃弾を放とうとした。しかしそれは叶わなかった。
さきに兄者の弾が発射され、ドクオの手の拳銃を吹き飛ばした。
指先に激痛が走り、手の付け根が折れそうになる。
その後の静寂に兄者が歩みをはやめた。
くそっ。そう言いさしながらドクオは弾けるように逃げ出した。
充分に背後の兄者をケアしつつ、全力疾走で闇夜に紛れようとする。
兄者も駆け足になって追いかけ始める。ドクオは横目で確認したが、
やはり銃殺される心配はないようだった。
403
:
名も無きAAのようです
:2012/09/30(日) 02:06:20 ID:bT0XvDj60
チートだ!こんなもん!
404
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:08:32 ID:s8Lru0Dw0
――ただし、いつの間にか兄者の手にはロープが握られていた。
一方の先がゆるく輪をつくった、ロデオ用の投げ縄であった。
そうしてそれを走り去るドクオの背中めがけて投げつけた。
ひゅる、ひゅる、ひゅると風切る音を立てながら、投げ縄は
ドクオの浮いた右脚へ確実に向かっていった。ドクオは音から何が
迫ってきているかを察知し、縄に捕まる寸前で方向転換をし、それを回避した。
(;'A`)「ぐうぉおおおお!!」
( ´_ゝ`)
とっさの足さばきでアキレス腱に負担がかかった。
しかしドクオは躊躇せず、脚力を酷使して逃げ切ろうとする。
対し兄者は投げ縄の一環で追跡に遅れを取ることになった。
ふたたび追いかけるも、距離は先より伸びていく。
(;'A`)「………!!」
無我夢中に足を動かす。体力配分など考えなかった。
足場は次第に茂みや樹木が多くなり、森のほうへ向かっているのがわかった。
膝の負担が重くなる。急な斜面ではないが、ふくらはぎが痛んでくる。
ズボンが目に見えて汚れていく。若干ぬかるんでい、スピードが出しづらい。
405
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:12:21 ID:s8Lru0Dw0
背後で発砲音がした。かと思うと、前方の老いた木の枝が吹き飛んで、
ドクオの眼前に立ちふさがった。枝はためらわず突破するには大きすぎるが、
わざわざ避けるほどのものでもなかった。その思考で、一瞬だけ足の動きが緩んだ。
その緩みは、たちまちドクオに疲労感をもたらした。
息遣いも急激に荒くなって、膝ががくがくと笑い出した。
もう限界か。ドクオは逃げることを諦めた。覚悟を決めなければ。
迫ってくる兄者の足音は、次第次第にはっきり聞こるようになった。
(;'A`)「――!」
ドクオは枝の手前で急ブレーキを掛けると、逆方向――
駆け上ってくる兄者にむかって突撃をした。高低差はドクオに
利を与え、ドクオのタックルは程よい威力をもった。
(;'A`)「こなくそぉ!!」
( ´_ゝ`)
来る魔は急にとまれない。いきなりの反転をしたドクオには、
兄者も止まらざるを得なかった。しかし足を止めるその瀬戸際に、
ドクオの身体と兄者の身体とがぶつかった。
兄者が後方に飛ばされる……しかし、転ぶことはなく片膝で着地した。
ドクオは反撃の隙も与えず追撃の体勢をととのえた。
.
406
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:15:36 ID:s8Lru0Dw0
('A`)「……うらぁ!」
尽きかけた体力を振り絞って、ドクオは右ストレートを見舞おうとした。
兄者の顔面めがけて放たれたものだが、スウェーの要領で避けられる。
( ´_ゝ`)
(#'A`)「ち!」
疲労しているのに力を込めすぎたせいか、ドクオの身体のバランスが崩れかけた。
その瞬間に兄者がさらに接近してくる。ドクオは腰に力を入れて
体勢を無理やり立て直すと、その反動を利用してさらに裏拳を放つ。
いきなりの一撃だけに狙いはまったく定まっていなかったが、
兄者のこぶしに運良くヒットした。偶然によるものだったが、兄者の
殴打を食い止めたらしい。兄者はすかさずバックステップで間合いをとった。
(;'A`)「はぁ……はぁ……」
じりじりと互いを見つめる時間が続いた。
月光のみの暗い森の中では、ふたりの吐息以外に聞こえるものはなかった。
ドクオの体力は限界を迎えようとしていた。
普段の精密な格闘術も、常人以上の反射神経も披露できそうにない。
407
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:18:33 ID:s8Lru0Dw0
それでも、やるしかない。
ドクオはふたたびタックルを食らわそうとした。
だが集中力の欠いたそれには先刻の威力も速度も無く、
ただの高低差に身を任せたようなものだった。
兄者は激突する前に肘をまげ、拳を腰まで下げ、
( ´_ゝ`)
(#'A゚)「……ッ!?」
カミソリのようなアッパーカットを打った。兄者の右拳は
紛れもなくドクオの顎にクリーンヒットし、彼の脳に衝撃をくわえた。
(;'A`)「………!」
否でも応でもドクオは動くことができなくなった。
視界がぐらんぐらんと揺れ、あらゆる構えも取れやしない、
兄者を睨みつけることも、立ち続けることも、、、
そうして、意識も彼方へきえていった。
・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・
・・ ・・・・・・
・・ ・・・・・・・
408
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:22:59 ID:s8Lru0Dw0
・ ・ ・
(´<_` )「……ふん。ようやく起きたか」
(;'A`)「う……ぐぐ……?」
( ´_ゝ`)
ドクオは目を覚ました。薄らんだ視界は白く輝いたが、
見覚えのある白色灯だと気がつき始めた。頭がまだ痛むため
見回すことはできないが、そこは以前きたことのある裁判館の一室で
間違いはなかった。ただし今回は傍聴席には誰もいない。
―― 裁判館 1F
流石兄弟と、椅子と共に縄に縛られたドクオのたった三人だけであった。
(´<_` )「随分と手間取らせてくれたもんだ」
いつもの余裕さを見せず、弟者はぽつと呟いた。
ドクオの荷物を見やっては苦々しい表情をした。
('A`)「また此処かい……こんどは何を裁くつもりだ」
(´<_` )「さぁな」
.
409
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:27:57 ID:s8Lru0Dw0
(´<_` )「単刀直入に言うぞ、ドクオ。
いい加減に我々と手を組め」
('A`)「………」
広大な裁判室のなか、弟者は淡々と言葉を続ける。
(´<_` )「知っているだろう? キャリアに触れられた以上
お前がどこに行こうとも私には手に取るようにわかる。
よしんば逃げられたとしても、発掘箇所は筒抜けなんだ」
(´<_` )「その意味は理解できるだろう? それならば我々の
傘下に加わった方が、はるかに救われるというものだ」
('A`)「……たしかにな」
ドクオは逡巡した。傘下に加わることについてなどではない。
自身の信念を一端は無視をして、時間稼ぎのために
賛同の振りをするべきか否かについてであった。
だが、だがしかし――
ドクオにはもう、抵抗しがたい怒りが胸に宿っていた。
この目の前の男にひと時でも、屈するなど考えられぬことであった。
410
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:31:28 ID:s8Lru0Dw0
('A`)「ひとつ聞かせてくれ。デルタはどうなった」
(´<_` )「………。不慮の事故で亡くなったよ、
隠し通すことも出来んから言うがね。これは真実さ」
('A`)「そうかい」
('A`)「失せやがれ糞野郎」
(´<_` )「フン……」
弟者はつかつかと歩み寄り、ドクオの頬を思い切りビンタをする。
弾けるような音が走り去ると、ドクオは口から鮮血を一筋垂らした。
ドクオはきっと弟者を睨みつける。両者の表情は共にけわしい。
(´<_` )「今日の私は機嫌が悪い。言葉には慎んでもらおうか」
(´<_` )「ン? そうだろう? 未来の私の部下なのだから」
('A`)「はぁ? 誰が部下だって?」
不敵の目で弟者を睨め上げた。
弟者は笑いもせず怒りもせず、表情を変えぬままであった。
411
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:35:03 ID:s8Lru0Dw0
この状況でむやみに牙を剥くことは、けっして正しい選択肢とはいえなかった。
ただドクオには、名状し難い負の感情がこみ上げてくる。
理屈は充分理解していたが、ここで弱みを晒すことは彼の信念が許さない。
通さなくてはならない意地があった。
(´<_` )「命が無ければ、通すプライドも無意味なものだ」
( ´_ゝ`)
(´<_` )「愚かにも意地を張って苦しんでいく奴は何人も見ている。
……妥協しなければならないところで、強気に走ってしまう。
そうやって死ぬ愚か者どもさ。ちょうど、今のお前のようにな」
('A`)「お前らに屈したら、俺の全てがぶち壊しになるんだよ」
弟者は鼻で笑うと、ドクオを椅子ごと蹴り倒した。
蹴りと背凭れとの衝撃がドクオに苦痛を与えた。
森での疲労がそれに拍車をかけた。
しかしその体勢のままドクオは弟者を睨もうとする。
(´<_` )「お前も大概に阿呆だな。少しは才覚があると見込んでいたが?
そこで妥協して命拾いしろというのがわからんのか?」
('A`)「アホはおめーだ。他人の気持ちも読み取れねえ無能が」
412
:
名も無きAAのようです
:2012/09/30(日) 02:37:42 ID:c4OR/G620
ドクオさんマジかっけぇッス
413
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:40:31 ID:s8Lru0Dw0
('A`)「コイツを見りゃわかるさ、お前が部下をどう扱ってるかってな」
そういってドクオは兄者のほうへ顔を向けた。
傍聴席との仕切りに腰を預けている兄者は、そんなふうに話題を
振られてもドクオに一瞥さえくれなかった。
相変わらず、無言で虚空を見つめていた。
( ´_ゝ`)
('A`)「てめえら兄弟に何かあったか知らねぇし知る気もねえ。
だが、ただ一つ言えんのはてめぇが部下を操り人形としか
思ってねえ無能上司ってことだけよ」
(´<_` )「………!」
弟者はやはり無表情のままだが、殺気を隠しきれずにいた。
('A`)「支配の項目もまるで落第点だ。お前、恐怖と暴力で無理やり
相手を手懐けるんだろ? それで人の上に立てたつもりか?」
(´<_` )
('A`)「俺には一人だけ部下がいる。けどそいつを恐怖で
縛ったことなんざねえよ。俺はそいつを信頼しているし、
そいつもきっと……いや、ぜったいに俺を信頼している。
弟者。お前には分かりゃしねえ話だろうがな」
(´<_` )「クックック……」
―― ゴリッ.....
414
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:43:49 ID:s8Lru0Dw0
.
('A゚)そ 「うぐッ!?」
(´<_` )「言いたいことはそれだけか?」
ドクオの縛られた手に――正確には左手の指に激痛が走った。
弟者はドクオの指を足で踏みつけていた。力を込めて、
潰れてもおかしくないほどに圧迫を加えている。
ぎりぎりと音を立てながら、弟者は抑揚のない声で、
(´<_` )「だから? 信頼がどうだとか、結局なにを伝えたいのだ」
(´<_` )「この状況を見れば分かるだろう。支配という言葉その意味を」
('A`;)「〜〜っ!!」
弟者は足の力に強弱をつけながら、見下してそういった。
対してドクオは苦悶の表情だった。指が折れてしまいかねない。
いや、このままの状態が続けば、あとはもう時間の問題であった。
(´<_` )「てめぇの信頼するセントジョーンズとやらは
いまのお前を救ってくれるのか? ああん?」
('A`;)「……う、る、、、せぇ」
.
415
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:47:12 ID:s8Lru0Dw0
(´<_` )「ははは、どうあれ無理だろうさ。彼はとっくに死んだからな」
('A`;)「………!」
(´<_` )「ククク……てめぇの目論見とともに木っ端微塵、さ」
弟者はそこでようやくドクオへの虐待を止めた。
腰を屈むと、苦痛でゆがみきったドクオの顔を存分に眺めながら、
(´<_` )「お前の希望とやらも潰れちまったんだよ。わかるだろう?
だから俺はお前に妥協しろといっている……
さ あ 、 服 従 し て お く れ …………!」
ドクオの額から脂汗がぽたりと垂れた。
どくんどくんと、心臓が裂けそうなほどに脈打っている。
脳裏を過るのはクー・スナオリャと、そしてセントジョーンズの姿だった。
(´<_` )「共に世界を築こう」
極めて穏やかな猫撫で声になって、
(´<_` )「私とキミなら、ハンター組合なんぞ敵じゃァないさ」
416
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:52:58 ID:s8Lru0Dw0
( ´_ゝ`)
( A )「下克上なら一人でやってろよ」
(´<_` )「………」
ぜぇぜぇと息づきながら言い放った。
弟者の沈黙を遮るために、ドクオは続けて、
( A )「俺はただ自分の…夢を切り開く、だけ……
なんどもいうが妥協は……あっちゃならない。。。
……てめぇが、ジョーンズが死んだと、いうなら……
あいつが俺の信頼抱いて、、、死んだなら尚更……
ぜってぇに諦めるわけにゃいけねぇんだよ、わかったかコラ……」
(´<_` )「ふうん、強情だな。この世の仕組みを分からせてやる」
そういうと弟者は兄者に向かって「戻せ」と命令した。
兄者が鷹揚に椅子を立ち上がらせる、そうして
ドクオの目にした光景は、弟者がナックルダスターを
胸ポケットから取り出すその動作であった。
417
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:56:44 ID:s8Lru0Dw0
そうして弟者はそれを自身の拳にはめ込んだ。
ドクオは舌打ちをすると同時に、強化された拳が頬にぶちあたった。
( A ;)「ぐっ……!」
口のなかで血の味が弾けるように広がり、強烈な鈍痛も響きはじめた。
(´<_` )「ふん……」
さらに続けて二発、三発とドクオの顔を集中的に殴打した。
ドクオは声を立てずにそれを耐えようとしたが、三発目には
悲痛な叫びを漏らした。耐えられないというよりも、
顔の筋肉が言うことを聞かなくなったような気分だった。
( A ;)「うッ……ぐふ……、ぐゥ……!」
(´<_` )「お次はこういうのはどうだいドクオ」
弟者は拳でのいたぶりを中断すると、
背後に回ってドクオの手のほうを確認した。
そうしてまだ痛みのひかない彼の小指を手に取ると、
(゚A゚;)「うぐぁ……ッ!」
ゆっくりゆっくり力を込めて、逆方向に曲げていった。
418
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 02:59:04 ID:s8Lru0Dw0
―― ぎり、ぎり、ぎり、ぎり……。
腱が裂けそうになる。小指の付け根は悲鳴をあげはじめる。
歯はがちがちと音を立て、その度に口内にたまった血が鉄の匂いを発した。
(゚A゚;)「や……やめ……!」
(´<_` )「他に言うことがあるだろう。ン?」
弟者は躊躇しない。
ばかりか、笑いながら力に緩急を加えた。
脂汗がドクオの傷だらけの顔に溢れていった。
(゚A゚;)「ぎ……うぎぎ……!」
(´<_` )「こんなのはまだ序の口だというのに……。
やはりお前も命乞いをするんだろうよ、ははは」
ドクオの目に涙がたまり始めた辺りになって、弟者は一端中断をした。
しかしドクオは息を整えると、震え声のまま、
('A`;)「てめぇなんかに……だれが……」
(´<_` )「……ほぉ?」
.
419
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 03:00:51 ID:s8Lru0Dw0
('A`;)「死んでも……逆らってやるぜ……このやろう!
てめぇのような、腐った……権力みてぇのにはよぉ……!」
( ´_ゝ`)
(´<_` )「そうかい、そうかい。ならば何かを失って頂こう」
弟者はやけに冷めた口調でつぶやくと、
自身のホルスターからリボルバーを引き抜いて、
(´<_` )「指を一本一本撃ち抜いてあげようじゃないか。
貴様の反抗心が、崩れ落ちるまでな」
( A ;)「………!」
思わず目を瞑った。歯軋りを立ててしまう。
しかし後悔は不思議と無かった。
目の前の男にだけは、何があろうと屈したくないのだ。
相対する弟者は優雅に、リボルバーの黒光りする銃身を見つめると、
シリンダーを回転させては点検をした。本気で撃つつもりらしい。
忍び笑いをしつつ、
(´<_` )「明日からは、まともな発掘も出来なくなりそうだねぇ……」
( A ;)「(くそが、くそが、くそがっ……!)」
420
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 03:02:58 ID:s8Lru0Dw0
弟者は弾の確認を済ませると、銃口をドクオの無抵抗の
小指にあてがった。しかし、
そのあたりになって弟者の背後で靴音がした。
弟者が不審に思い振り返ると、そこには兄者が立っていた。
( ´_ゝ`)
(´<_` )「……誰か動いていいと言ったか?」
弟者は苛立った声で咎めた。弟者は片膝立ちをやめて兄者と
同じ目線になると、それでも反応のない兄者に向かって、
(´<_` #)「誰が持ち場を離れろと言ったァ!? ああ!? 命令なく
歩くんじゃねぇッ!! 人形で居ろと言ったろうがッ!」
( ´_ゝ`)
ここに来て、ドクオも兄者の言わんとすることが理解できた。
つまりドクオへの過度な拷問に苦言を呈したがっているらしい。
(´<_` #)「……なんなんだよお前っ……兄者、兄者ァ……
意思を持つなとさんざ言ったじゃねぇか!」
( ´_ゝ`)
兄者は何も言わない。頭も振らない。
ただただ瞳の底には、言い知れぬ悲しみと激情とが秘められていた。
421
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 03:06:03 ID:s8Lru0Dw0
(´<_` #)「デルタのときもッ勝手な真似して楽しみ奪いやがって!
そしてお次はドクオもってか!? ふざけんなよッ!
正義気取りだかなんだか知らねえがよぉッ!!」
( ´_ゝ`)
弟者は物言わぬ兄者の頬に平手打ちをした。怒りに任せて
何度も何度も叩いた。兄者の唇が切れて血が顎に滴った。
(´<_` #)「………!」
( A ;)「おい、兄者おま」
しかしドクオの言葉はそこで遮られた。目にも止まらぬ兄者の早撃ちで
ドクオの脚近くの虚空を撃ち抜いた。発砲音とその残響だけが空間を支配する。
( ´_ゝ`)
(´<_` #)「何の真似だよ……俺に逆らいてえってか……」
422
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 03:08:24 ID:s8Lru0Dw0
.
( ´_ゝ`)
(´<_` #)「……くそが」
弟者は背を向いてつかつかと離れはじめた。
そうして壁に目を向けたまま、
(´<_` )「……ドクオをぶち込んでこい」
間を置かずに怒鳴って、
(´<_` #)「駐在所にだッ! さっさとやれェ!!!」
( ´_ゝ`)
( A ;)「………」
兄者はドクオと椅子とを繋いでいる縄を解くと、そのまま
ドクオを担いで扉へと向かっていった。ドクオはまったくの抵抗も
せず、生気を失ったようにぐったりとしている。
兄者が裁判館を離れ、広場の方へと歩いていく。
その姿を、弟者はやはりじっと見つめていた。
やがて、ぽつりと、
(´<_` )「なぜだ……兄者……」
.
423
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 03:11:59 ID:s8Lru0Dw0
・・ ・・
・・ ・・・
―― 同時刻 ノーナンバーズのアジト。
N| "゚'` {"゚`lリ「――明日、さ」
(((`・ω・´;)))
(*゚∀゚)「そうさね……」
||;‘‐‘||レ「………」
灯りのない古びたバーで、四人のメンバーは静かに語っていた。
デルタを失い、ドクオも囚われてしまった。
(*゚∀゚)「信じられないさね、明日がくるってのは……」
つーは髪の毛を弄りながら、落ち着かない様子で、
(*゚∀゚)「明日が、明日が……なんていうんだろうね、
こーんなこわくてちょっと気持ちよさそうなのってのも」
(((`・ω・´;)))
N| "゚'` {"゚`lリ「そうだな、俺も未来をどんな気持ちで受け止めていいのか判らない」
阿部は抑揚のない声で、
N| "゚'` {"゚`lリ「明日になれば、どんな形でも決着がつく。ドクオはそう言った」
424
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 03:17:17 ID:s8Lru0Dw0
N| "゚'` {"゚`lリ「俺達はやるしかない。仲間を失っても、
やるしかないのさ。ドクオは言っていたな、
"俺なんて俺のプランの歯車でしかない"って。
――死ぬつもりでやろう。デルタや、ドクオのように」
(*゚∀゚)「……そうさね」
(*゚∀゚)「そんじゃあたし、ほかの人に声かけしてくるさね」
つーはフラフラした足取りで外に向かっていった。
「気をつけろよ」の阿部の注意も、聞こえていなかったかも知れない。
(`・ω・´;)「神様オナシャス! 僕たちを……!」
||;‘‐‘||レ「私も……つーと一緒に」
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ、充分に注意してくれよな。
(ようやく、この村に転機が訪れるのか……。
そして俺にとって、俺の人生にとっても……)」
阿部は頭の中で昔の恋人を思い浮かべながら、
N| "゚'` {"゚`lリ「(正樹……俺には、復讐もお前も忘れられそうにねぇぜ……)」
.
425
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 03:19:01 ID:s8Lru0Dw0
(`・ω・´;)「なんでもしますから……なんでもしますから……」ブツブツ
N| "゚'` {"゚`lリ「(明日のためだけに、俺はここにやって来たんだからな……!)」
―― シェリフの駐在所。
( ´_ゝ`)
('A`;)「うぐっ……!」
兄者によって牢屋に放り込まれた。
ハーモニーに来て初日のあの牢屋と同じであった。
ただし今回はとても静かな夜だった。
怯えたように兄者を見つめる門番と、
物言わず牢内に倒れ込んだドクオ。
そして、やはり口を聞かない不気味なカウボーイの兄者。
.
426
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 03:21:14 ID:s8Lru0Dw0
「お疲れさまです」と門番が強ばった声で、去り際の兄者に挨拶をする。
そのときドクオはなんとか首を動かして様子を眺めようとした。
当然、兄者は何も応えない。立ち止まるつもりもないらしい、
ドクオは何かを言いたかったが、彼はそのまま闇夜に消えてしまった。
('A`;)「………」
弟者に弄ばれた小指が未だに強く痛んだ。
おそらく腱が損傷したに違いなかった。
だが、それよりも大事なものがドクオにはあった。
命とプライド、そしてプラン。
今夜はその全てを失いかねない危険性を
孕んでいたが、奇跡的になにもかもを守りきることに成功した。
427
:
ラスト投下
◆tOPTGOuTpU
:2012/09/30(日) 03:23:10 ID:s8Lru0Dw0
.
('A`#)「オリバー……ジャーブロ……!」
怒りを込めて、弟者の本名を呟いた。
看守はそれを聞いていたが、なにも言わずに俯いている。
牢屋の冷えた床の感触、その硬さを背中に感じながら、
解けない縄を手首と足首に感じながら、
('A`#)「(明日だ……明日、てめぇを……!
俺は負けねえぞ……! 何があっても、絶対……!
てめぇには屈しねえからな……!)」
月が狂態を見て笑う。
血と殺意に舞ったこの夜は、いままったく終わった。
そうして明日、その日が、その始まりが告げられようとしていた。……
.
428
:
名も無きAAのようです
:2012/09/30(日) 03:25:11 ID:s8Lru0Dw0
今日はここで終わりです。途中時間があいて申し訳ない、
あまりにも寮のwifiが酷かったんでスタバのにつなげてますた。
ではよい夜を。
429
:
名も無きAAのようです
:2012/09/30(日) 03:34:59 ID:c4OR/G620
乙
弟者は兄者の感じてることが本当にわかんないんだな…
430
:
名も無きAAのようです
:2012/09/30(日) 04:00:44 ID:t9BFCbSA0
おつ!
読んでて凄いドキドキした
431
:
名も無きAAのようです
:2012/09/30(日) 13:20:59 ID:NORimOss0
朝から一気読みしたよ。面白いね。乙。
432
:
名も無きAAのようです
:2012/10/01(月) 13:43:05 ID:spFzvw.6O
乙
ハラハラする
指が無くなった時を想像して思ったが
この世界の義肢技術はどんぐらいなんだろ
433
:
名も無きAAのようです
:2012/10/01(月) 19:29:06 ID:zTluCLbk0
うあああああ乙!!
ドクオさんマジかっけぇっす!
何も語らないのに兄者の心情思うと辛い…
434
:
◆tOPTGOuTpU
:2012/10/03(水) 13:32:30 ID:g65Ui6Ng0
レスどうもどうも。活力が湧いてきます。
ところで今週末は多分投下できそうにないです。
来週末かなぁ、いま現在は20レスくらい。
と、これだけも何なので、設定みたいのを垂れ流そうと思う。
作者でさえアヤフヤになった用語などの再確認などなど。
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