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ホテル・サイドニアのようです

1 名も無きAAのようです :2011/09/12(月) 23:43:56 ID:v7OA74xM0
お邪魔しまーす

2 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/12(月) 23:54:32 ID:v7OA74xM0
まとめさん
ttp://nanabatu.web.fc2.com/boon/hotel_sidenia.html
ホーム
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/37256/1273675586/

こちらがいいらしいので移転するぜよ
投下します推敲しながら


新聞の深き谷にも光射すそれぞれの朝ホテルサイドニア

太陽の位置が少し遠ければ陽光もまた他人の優しさ

しみじみと酔えば恋しきわが故郷汚れ染めたるカード眺めつ

3 名も無きAAのようです :2011/09/13(火) 00:00:36 ID:xYq4DhQ.0
おっ

4 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:01:01 ID:tAQZJbO.0







      「このトンネル完成の暁に、俺たち奴隷は口封じに殺される」

5 名も無きAAのようです :2011/09/13(火) 00:01:04 ID:ZXJ63.eA0
がんばれー支援

6 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:03:21 ID:tAQZJbO.0



<ヽ;´・ω・`>「……どうするダニ」

( `ハ´)「どうしようもないアル。なるようになるしかないアル」

<ヽ;´・ω・`>「……外の世界も見ないでカニ?」

監視の目の届かない作業場で、ふたりは手を休めずに、

<ヽ;´・ω・`>「ぼく、中華料理も食べてないダニ!」

( `ハ´)「ニボ……」

<ヽ;´・ω・`>「シナーが作るんダニ、それ……」


( `ハ´)「でも、料理なんて何もわからんアル……」

<ヽ´・ω・`>「外に出てから、勉強すればいいダニ!」


<ヽ´・ω・`>「シナーは悔しくないカニ!? どうして、どうして僕らだけ言いように
      使われて、何にもできないんダニ!! それで……それで殺されるなんて……!」



<ヽ´;ω;`>「ぼくは悔しいダニよ……シナー」

7 名も無きAAのようです :2011/09/13(火) 00:04:03 ID:AU9D2S9IO
待ってましたっ!

8 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:06:52 ID:tAQZJbO.0
こうして、ニボーンの思いはシナーに伝わり、噂に怯えていた他の奴隷たちも味方につけた。
やれることはやろう。反抗できるところは、とことん反抗してやろうじゃないか、と。

シナーたちは考える。
生き残っている奴隷はおおよそ60人。
これらを外に出してから殺し、処理をするのは面倒なことに違いない。
それよりも、トンネルに最近作られた用途不明の巨大な穴、あそこで殺処分するだろう、と。


そして予想は日を追うごとに、確信を深めていく。

長老格の奴隷は、「おそらくガスで殺し、そのまま埋め立てるんだろう」と皆に話した。


<ヽ´・ω・`>「抜け穴を作ることは出来ないかに」

( `ハ´)「それは無理アル。監視だってバカじゃないアル」


それから何日、何週間、何ヶ月と過ぎていった。やがて、奴隷たちはあることに気がつき始めた。
もし長老の言うように、穴部屋をガス室のように使うのであれば、パイプやら機材やら、
なにかの道具や機能はそろそろ付けられてもいいはずだと。

しかし、穴部屋はぽっかりと空洞を作っているだけである。
今の技術なら兵器でガスを送り込めるだろう、と長老は言う。
しかし、シナーは違うだろうと薄々感じていた。

9 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:08:23 ID:tAQZJbO.0


発掘作業に使うダイナマイト、サンドクラウン(ミルククラウンのような現象を、地面に起こす道具)
の使用を許されるようになったこの頃、殺処分する手段はガスではないと思い始めたのである。

穴部屋の真上に、奴隷立ち入り禁止の簡易機材室が作られたという情報で、ついにシナーは確信した。


( `ハ´)「私達はきっと、生き埋めにされるアル。真上で爆発を起こし、そのままグチャグチャになるアル」

<ヽ´・ω・`>「……!」


しかしニボーンも、そうだろうと薄々は感じていた。
サンドクラウンをいくつか使うだけで、ことがすべて終わってしまうのだから。


なんとかしよう。
奴隷たちはそう決起したが、しかし実際には何も出来ずじまいだった。



ある日、シナーは気になる光景を目にした。とある現場で、監視が奴隷から物を奪っていたのだ。

10 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:11:17 ID:tAQZJbO.0

『そのエビをこっちに寄越せッ!!』

監視の下品な声とともに、奴隷が殴られて這い蹲った。


( `ハ´)「エビ……」



掘り進めるうちに稀に、奇妙な形をした、岩でも鉄でもないナニかが出土されることがある。
監視がそれをエビとよんで、ニヤニヤしながらポケットに入れていく光景を、何度か見てきた。
理由は謎だが、監視――いや、外を知る人間にとって、それは値千金のものらしかった。



( `ハ´)「(きっと私らの、ビスケットなんかよりよっぽど大切なものアル)」


その奇妙な形をした"エビ"を、小さいながらもシナーは一つだけ持っていた。
面白そうなものだと、10年以上も離さずに大事に取っておいた。これがエビで、監視の欲しいもの。


( `ハ´)「………」


・・
・・・
・・・・

その夜は奴隷たちにとって、絶望としかいえない闇が覆っていた。

11 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:14:08 ID:tAQZJbO.0

このトンネルに二十年近く付き合っていれば、もう肌で感じられる。
奴隷のする作業は今日をもって、全て終了したのだった。
今は監視や、監視以外の外の人間がトンネル内になにやら手を加えている。


「もう、終わりだ……」

タコ部屋で、ひとりの奴隷が泣きながらそういった。ニボーンも反論をしない。
ニボーンにとっても今日は最悪の一日だった。長老がついに倒れ、その息も絶え絶えの
彼を死骸置き場まで運ばねばならなかったのだから。

さらにはニボーンに八つ当たりをする者までいた。決起をするといって、この様はなんだ。
変に期待を持たせるな。お前が頑張ろうなんていうから、俺もその気になってしまった。……
ニボーンはその言葉の刃にはただ黙って耐え忍んで、

<ヽ´;ω;`>「……抜け穴も作れないダニ、監視は常にジュウを持って、もう……」


( `ハ´)「……ちょっと、監視に話つけてくるアル」

その発言に、たちまちどよめきが起こった。監視に交渉するなど、出来るわけがないだろう。
よもや脅しなんて効くはずもない。奴隷は一方的に射殺されるだけだ。

<ヽ´;ω;`>「シナー……?」

( `ハ´)「平気アルよニボ。お守りがついてるアル」

そういって、お守り――エビを、ニボーンに見せてシナーは部屋を出た。

12 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:15:35 ID:tAQZJbO.0


シナーは人通りの少ないトンネルを注意深く歩き続け、目的の監視と出会った。
その監視を選んだ理由は、監視たちの中でもっともエビに貪欲であったこと、そして権力者らしい装いだったからである。


( `ハ´)「私たち奴隷は大量にエビを隠し持っているアル。これとか、ほんの一部アル」

そういってシナーは監視の足元に、お守りを放り投げる。目の色を変える監視を睨みながら、


( `ハ´)「私たちがエビを隠し続けた場所はまだ教えられないアル。ひとつ条件が必要アル」


( `ハ´)「それは私たちを殺処分するとき、上の爆破を最大限に緩めることアル」


( `ハ´)「つまり、私たちを助けるアル。そうすれば外に出してくれたとき、教えるアル」


( `ハ´)「私たちを殺して探そうとしても無駄アル。エビのほんの一部は、あの穴の奥底に隠しているアル」


( `ハ´)「私達を秘密裏に逃がすよろし。私達は国に迷惑かけない。手段わからないアル」


( `ハ´)「明日、ダイナマイトのカヤク量を調節するだけでよろし。これだけ、これだけでお前は幸せアル」

13 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:18:53 ID:tAQZJbO.0


そして、翌日。
奴隷たちは予想通り、穴部屋へと連れていかれた。
ほとんどは諦めきった表情をしていたが、中にはその連行に抵抗するものも居た。
そんな奴隷は強引に別室に連れて行かれたが、まず射殺されたとみて間違いない。


「お前たちはここで待機していろ」


残った奴隷を全て穴部屋に押し込んだ後に、監視が無常な響きでそういった。
扉は閉められ、まったくの密室となったその中で、奴隷たちは己の死を悟った。
そんな中で、ニボーンは目に涙を浮かべていた。この未来を予測できたのに、
結局なにも出来なかった。外の世界も見れない、美味しい食べ物も食べられない。


<ヽ´;ω;`>



( `ハ´)



そして、頭上で、爆破音が轟いた。

14 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:22:35 ID:tAQZJbO.0


それと弾けるような悲鳴と叫び声が部屋中を覆った。
炸裂したさまざまな音に呼応するかのように、天井は重々しく揺れ、ぱらぱらと砂が振り出した。



(;`ハ´) !


さすがにシナーもこの時ばかりは肝を冷やした。交渉はうまくいったはずだ、
それに死ぬことも怖くない、そう考えていたのに、身がすくむ思いがした。


<;´-ω-`> !?





<;´-ω-`> 



<;´-ω・`> チラッ


しかしこの部屋は崩れなかった。シナーの交渉が功を奏したわけのだった。

15 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:25:27 ID:tAQZJbO.0


<;´・ω・`>「助かっ……た……?」


(;`ハ´)「……アル」


他の奴隷達も顔を見合わせる。
しかし安心しきってはいなかった。
今の爆破が失敗しただけで、追撃が来るだろうと考えたからである。

だが、それから奴隷達は頭上を注視し続けたが、何も様子は変わらなかった。
何分、何時間と待っても、追撃する気配は見られないし、音も漏れ聞こえなかった。

不安と期待の入り混じった感情が、奴隷たちの脳内に満たされていく。


ニボーンや他の奴隷達は、シナーが何かを知っているのではと彼を問いただした。
しかし、シナーは何をたずねても、知らないと押し通し、昨夜の交渉の成果を隠し切った。

それから何十時間と経ったころだろうか。


扉が静かに開いて、例の強欲な監視が銃剣を背負った姿で現れた。

(;`ハ´)「………」

ついにきた。シナーは息を呑んだ。

16 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:28:18 ID:tAQZJbO.0
         

監視「両手を頭の上に乗せて整列をしろ。号令をしたら部屋を出ろ」

そういって、脇に連れた二人の部下とともに銃剣で奴隷達を威嚇した。
監視たちのその姿に、ふたたび奴隷は落胆したが、ただ一人シナーだけは希望を見出した。

なんとかなるかもしれない。シナーはニボーンの手を取って、列の真ん中に滑り込んだ。
そうして号令が響き、ざっざっざ……と規則正しい足音が鳴り響いた。
シナーが部屋を出る寸前に、監視は言葉を放った。いわく、

「ほんとうにあるんだろうな?」

(;`ハ´)「奥底を掘り進めれば分かるアル」


そう返すと、監視たちはたちまちバラけた。
部下一人が列を先導し、もうひとりの部下と監視は穴部屋に留まって採掘をし始めた。


しめた、とシナーは勝ち誇った。表情にそれを出さないよう、トンネルのなかを歩き続ける。
あとは時間の問題だ。シナーは不安そうなニボーンの手を握って安心させ、時が過ぎるのを待った。


監視の部下が大仰な扉をおもむろに開き、外の光が漏れてきた。
夕方独特の、目に刺すような紅い太陽光だった。

17 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:32:59 ID:tAQZJbO.0

(;`ハ´)「おお……」
<;´・ω・`>「………」


風が吹いた。レゴリスが空に舞い、真っ赤な地面にぱらぱらと落ちていった。
太陽が眩しくてよく見えないが、出た先は枯れた大地が
延々と拡がっていって、しかしその先には鉄柵が張られているらしかった。


もう一陣、風が吹いたとき、ニダーは心が浮き立つのを感じた。

( `ハ´)「(なんて気持ちいいアル……)」

風に自由を感じたシナーは、そのときに「いける」と確信した。
後ろの扉からは、いつしか監視たちが追いかけてくるはずだろう。
シナーはニボーンの手をふたたび握った。そして全ての奴隷たちに聞こえるよう、



( `ハ´)「走るアル!!」



その一声で、奴隷達は、弾けた。弾けるように、いっせいに彼方めがけて走り出したのだった。

18 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:39:04 ID:tAQZJbO.0

突然の怒涛の走りこみに、監視は戸惑ったが、すぐさま銃剣を構えて「とまれ!
とまらんと撃つぞ!」と威嚇をした。しかし、いったん自由を感じた彼らに
そんな牽制など無意味で、誰一人として怯える者はいなかった。

それからまもなく、ターン……ターン……と乾いた銃声が響いて、
その音ひとつひとつに呼応するように、どさどさと地面に崩れ落ちる肉塊の音が耳に届いた。


シナーはニボーンと中心を陣取っていたので、弾の標的にはならなかった。
後続の奴隷がひとりずつ確実に倒れていくたびにニボーンは恐怖の表情で振り返ったが、


( #`ハ´)「グズグズするなアル!」


シナーが一喝し、無理やりにでも走らせた。

<;´・ω・`>「あ……ああ……あああ…」

返事ともとれない返事をニボーンがする。シナーは無視し、とにかくひたすらに走った。
背後から感じる殺意は薄れなかった。監視が無線で応援を呼びかける声がかすかに聞こえる。


シナーはただひたすら走った。
仲間を肉壁として利用した罪悪感など、今は感じられなかった。

19 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:44:43 ID:tAQZJbO.0


監視の応援が駆けつけた頃には、もう奴隷たちはほとんど鉄柵の前に居た。
必死によじ登る先発組を背後からシナーは眺めた。拷問用に使う電流など
はないようだったが、油断は出来なかった。

内部と外部を隔てるその鉄柵の天辺には鋭利な刃がずらりと並んでいて、
よじのぼる奴隷は、慌てれば慌てるほどその切れ味の犠牲になった。
死には至らないものの、決して浅くない傷が身体の至るところにつけられていった。
鮮血は夕日に混じって見えにくいが、独特の生臭さが次第々々に強まっていく。

シナーは鉄柵の向こうを観察した。今まで走ってきたフィールドと違い、
たとえば植木や茂みなどの緑が散らばっていて、外界の無限の可能性を感じさせるものだった。

すぐ後ろから、シナーは怒涛の響きを聞いた。監視たちだ。振り返ったが
まだ姿は見えない。しかしここでグズグズしていては無残に撃ち殺されるだけだろう。

シナーはやはりニボーンの手を取って、それから奴隷たちを押しのけて
先に鉄柵をよじ登った。順番は守らないと、とごねるニボーンをシナーは無理にでも
押し上げた。嫌がっていたニボーンも、そうなれば登るしかなくなった。
それからすぐにシナーも続いた。刃に注意して身体を捻らす辺りで、
監視たちの「撃て!」という号令が届いてたちまちに虐殺が始まった。

とうぜんシナーも射程範囲に入ってい、右太ももが撃ち抜かれたがその衝撃で
鉄柵の向こう側に吹き飛ばされ、しかも運よく茂みのほうに落ちることが出来た。

20 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:53:20 ID:tAQZJbO.0
鋭く、そして重い苦痛が右脚全体に染み込んだ。流血の感触もする。


(;`ハ´)「(ぐぅ……! 走れないアル……立ち上がれも……)」

<;´・ω・`>「シナー! 立ち上がって! ほら!」


そうしたら、ニボーンが肩を貸してくれた。何をしているアルか、とシナーは慌てた。
鈍足のコンビなど、真っ先に銃弾の餌食になってしまう。シナーはあらん限りの力で怒鳴った。


( #`ハ´)「さっさと行けアル! お前も死にたいか!?」

<;´・ω・`>「生きたいダニ! でも……お前だけはおいてけないダニ!」


それでもシナーは手を振り解こうとしたが、ニボーンは構わず連れて行こうとする。
ぐずぐずしている暇はないのに。そう考えていたシナーだったが、しかし
不思議なことに、撃たれる気配がなかった。剣草の隙間から鉄柵の向こうを見ると、
監視たちは死んだ奴隷達を片付けていた。そうして、ニボーンの姿を横目に薄笑っていた。

(;`ハ´)「(なにアルか……不気味アル…)」

<;´・ω・`>「立ち……上がってよ、シナー!」

そうして、やむなくシナーもニボーンの肩を借りて進みだしたのだった。

21 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 00:58:50 ID:tAQZJbO.0

先発組の姿が見えなかった。血の跡は点々と残っていた。
しかし少し進んで、先発組の無残な姿を発見した。シナーたちは戦慄する。
皆が皆、下半身を失って朽ちていたのだった。なかには必死に腕だけで前進するものも居た。
が、ある地点に辿り着いたところで、いきなり地面が爆音を立て、
土やその者を空に舞い上がらせ、そして地面に叩きつけた。その奴隷は命を落とした。


<;´・ω・`>「……な、なにあれ……」

(;`ハ´)「………」


二人は立ち止まった。待ち構える得体の知れない兵器には、臆するしかなかった。
太陽は少しずつ地平線に沈んでいこうとしていた。シナーは焦った。
この光がなくなれば、本格的に自分たちは窮してしまうと察知した。

(;`ハ´)「……進むアル」
<;´・ω・`>「でも…」

(;`ハ´)「どの道、もう戻れないアルよ……このまま死ぬくらいなら、足動かすアル」

シナーはそう説得し、ニボーンを動かした。が、なにも無策でそう言ったわけではなかった。
先発組の一人が進んだ跡の、その上を慎重に歩いていったのだ。
ある場所を踏むと死んでしまう。地雷の特製を、シナーはなんとなしに理解していた。

22 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 01:07:19 ID:tAQZJbO.0


<;´・ω・`>「……ここまでだね」

ニボーンはそう呟いた。先発組の亡骸が眼前に横たわっていた。

<;´・ω・`>「こっから先は、もう……」

(;`ハ´)「……そいつを、死体を持つアル」

<;´・ω・`>「?」
(;`ハ´)「それを小刻みに…投げながら進むアル。そうすれば……」


ニボーンは返事をしないで、言われたとおりの方法で進んでいった。


<;´・ω・`>「シナーは……冷静だに」

(;`ハ´)「別に…」

<;´・ω・`>「僕たちに交渉のこと教えなかったのも、ほかのヤツらを
        的にして進むためカニ?」


(;`ハ´)「……仕方なかったんアル」

23 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 01:14:56 ID:tAQZJbO.0

<;´・ω・`>「そうまで生きたいなら、僕も……もっと頑張らなくちゃいけないダニ。
       でもやっぱり、なんだかんだいってシナーも外、出たかったんカニ」

(;`ハ´)「死にたくないだけアル……お前、私をひどいヤツと思ってるか?」

<;´・ω・`>「ぜんぜん。どうせ、僕らは死ぬ運命ダニ。それより、
        シナーのおかげで僕もいま生きてるダニ。感謝してる」

(;`ハ´)「ふん……お前が一番…外に出たがってたから」

完全に夜の帳のおりた大地を、ふたりは少しずつ進んでいく。

<;´・ω・`>「僕は汚れてるダニ。……死んだ同胞のことで、悲しみがわかないダニ。
       ただ……生きられてよかった、って」

(;`ハ´)「………」


(;`ハ´)「外にいったら、料理の勉強するアル……"チュウカリョウリ"、作るアル」
<;´・ω・`>「ふぅん…」

(;`ハ´)「お前が食べるアル。絶対アル」

<;´・ω・`>「へへ。やっとその気になったかに」

24 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 01:22:40 ID:tAQZJbO.0

シナーたちはそれまでに二回、地雷の被害を受けかけた。
先陣を切らせる同胞の亡骸も、とうの昔に腕だけしか残っていない。
それに、いくら身代わりを使っているといっても、爆風の被害を完全に防げるわけではない。
ふたりは確実に疲弊し、傷ついていた。
そしてその腕さえ爆風で飛ばされて消えたときには、
ニボーンもシナーと同じほどに動けなくなっていた。むしろ、止血の出来た分、
シナーのほうが体力を残していた。


<;´・ω・`>「……シナー……」

(;`ハ´)「なにアルか」

<;´・ω・`>「色々考えたんだけどさ。ぼく、外にいけないダニ」

(;`ハ´)「……?! なに言ってるアルか!」

<;´・ω・`>「もう身体もぼろぼろだし……それにさ、僕……外出ても
       することがさ、ないんダニ。シナーの料理食べたいなんて夢はさ、
       僕じゃなくても……ほかのヤツらが……

(;`ハ´)「ふざけるな! お前が生きるつもりだから、私も生きようとしたアル!
       それを今さら……泣き言なんて許さんアル!

       なんのために、なんのために同胞を犠牲にしたと思ってるアル!?
       二人で行きたかったからだ! ふたりで外の世界を見たかったからアル!!」

<;´・ω・`>「シナー……」

25 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 01:29:26 ID:tAQZJbO.0


<;´-ω・`>「ありがとう、シナー……。シナーが同胞を犠牲にして、ぼくを助けて
       くれたとき……ひどいとも思ったけど、それでも……やっぱり、嬉しかったに。
       ぼくは汚れてるだに。ただ生きれればいいなんて、そんな……汚い、にんげんだに」

(;`ハ´)「生きたいと思うんは当然アル。私だって、この状況になって命が惜しいアル。
      それに私は同胞を捨てたことを悪いとも思ってないネ!
      生きるためなら、なんでもするアル! 汚かろうが、それで充分アル!」

<ヽ´-ω-`>「安心したダニ、シナー。…うん。君は僕がいなくても、やってけるダニ」

(;`ハ´)「おい……」

<ヽ´-ω-`>「外の世界はきみが見てくれ、シナー……。ぼくは、ここで終わりにするだに。
      食べたかったダニ、きみの中華料理。……でも、でもやっぱり、
      シナーがいなきゃ、ぼくの夢は叶わないから……!」


<ヽ´-ω-`>「僕を使って、外にいってくれ」

そういい残すと、シナーの制止を振り切ってニボーンは駆け出した。
最期の力を振り絞って、なるべく足跡が残るように、力強く大地を踏みしめていった。


(;`ハ´)「やめるアル!! ……とまれニボ…とまれェ!!!」

26 名も無きAAのようです :2011/09/13(火) 01:30:51 ID:xYq4DhQ.0
あああああああああああ

27 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 01:35:20 ID:tAQZJbO.0


<ヽ´-ω-`>「心が…軽いだに! ぼくは、いつまでも走れ……」

(;`ハ´)「ニボ!! ニボーン!!!」


そして、爆発した。闇夜が一瞬だけ明かりに照らされた。
爆風は遠くのシナーにも届いた。
そして、ニボーンの気配も消えた。
シナーは駆けた。ニボーンの残した足跡を頼りに、爆心地へと走った。


(;`ハ´)「ニボ……!!」

シナーは上半身だけになったニボーンを抱きかかえた。
身体が半分になった人間は、思いのほか軽かった。ニボーンが微笑む。


<ヽ´-,,,>「僕を使って、外に出てくれダニ……投げてくれ」

(;`ハ´)「そ、そんなこと……」

<ヽ´-,,,>「お前も僕のようになりたいかに!? さっさと、生きろ…生きるんだに」

それだけ言うと、ニボーンは息絶えた。最期まで微笑みを残し続けていた。
シナーは悲しみに暮れたが、しかし、
しばらくするとニボーンの言いつけどおりに、彼の身体を利用し、進みはじめた。

28 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 01:40:06 ID:tAQZJbO.0

そうしてシナーは、ニボーンの遺体が完全に消失した辺りになって、駐屯所に辿り着いた。
あくびをする夜警の背後に回って殴打すると、完全に意識がなくなるまでそれを痛め続けた。
シナーは夜警から衣服を剥ぎ取り、更に駐屯所から車を食料も奪い、
ようやく、この長き地獄から抜け出すことが出来たのだった。……



しかし外の世界に生き延びることが出来ても、不遇は変わらなかった。
たしかに外は凄まじいテクノロジーを有していたが、その反面、戸籍も過去もない
人間には大変厳しい。すぐさまシナーは裏の世界に身を隠すことになり、
中華料理を作るという夢は、まるで叶えることが出来ずにいた。

血の跡と臭いとが消えない世界。
ヴィップグラードの裏社会を、シナーは命だけは落とさまいと活躍し続けた。
ときには盃をわけた兄弟分を見捨てたし、裏切ったりもした。死んだニボーン以外に、
信じられるものなどいなかった。影で料理の勉強をし続け、しかし腕を披露することもできなかった。

転機が訪れたのは、その裏社会に「ハンター」なるものが台頭してきた頃である。



( ゚∀゚)『今日からお前らの頭になる、ジョルジュ長岡だ。
     てめえらはたった今から! 俺たちハンター組合の手となり足となる。わかったな?』

29 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 01:46:50 ID:tAQZJbO.0

ねずみの横切る小汚い部屋で、
ハンター組合の長、ジョルジュ長岡は高らかに戦闘員を見下した。
シナーを含め、多くの元チンピラは唖然としたが、そのうちの一人がジョルジュに向かって、


( #'∀')「そりゃァねえんじゃねえのジョルジュとやらよお!
      俺たちァ、地球の頃から代々名を馳せる"ヘキサファミリー"のモンだぜ!?
     
      ハンター…だぁ? おめぇらみてぇな新参モンが……!」
( `ハ´)「………!」カチャ


( ゚∀゚)「ン?」

すぐさま、シナーはハンター達が動くより先に、やるべきことをした。
新たな長にたてつくガナーに向かって、銃弾を発したのだった。
サイレンサーのつけられた拳銃で、歯向かったガナーはなすすべもなく崩れ落ちた。
驚愕する周りをよそにシナーは膝をついて、


( `ハ´)「たいへん……失礼したアル、うちのバカが粗相して申し訳ないアルよ、ボス」


( #'∀')「て、ってめえ……シナァァ……!」


( ゚∀゚)「………ほう」

30 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 01:51:33 ID:tAQZJbO.0

( ゚ 」゚)「へへぇ。年寄りってのは変わり身遅いのが相場だと思ったんですがね」

( ゚∀゚)「いやいや、爺さんほど生き延びる術を知ってるってもんだぜぇ」


( `ハ´)「………」

( #'∀')「が……が……ッ」

吐血もし、痙攣しはじめるガナーをジョルジュ一瞥すると、立ちすくみ戸惑っている戦闘員に、


( ゚∀゚)「おい何突っ立ってる? さっさとこいつをバラしてここを掃除しろ!」

( `ハ´)「……それも私が」

( ゚∀゚)「いーねえきみぃ。んじゃ、とりあえずこの場は頼むわ。おまえ、なんて名前だ?」

( `ハ´)「シナーといいます」

( ゚∀゚)「よゥしシナー。この事務所はお前が取り仕切れ。当面は所長に任命してやる」


( `ハ´)「有難き幸せアル。……おい、さっさとこれを掃除するアルよお前ら!」

31 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 01:55:57 ID:tAQZJbO.0

それから巧い具合に新たなトップにゴマをすり、シナーは生き場所を獲得した。
周りの目など気になるはずもない。シナーはあの地獄を抜けたときから、
這い蹲ってでも生き延びてやると誓ったのだから。

しかしそんなシナーに、軽々とポストを与えてやるジョルジュ達でもなかった。
事務所長からは一向に地位は向上しない。会うたびにシナーに「いい子だなあ」と
言ってはいたが、それは裏を返せばプライドのない彼に対する嘲りだった。

そんな状況でも、シナーは必死に尽力した。その甲斐あってか、ハンター組合が
サービスエリアを設立するという話になって、そこをシナーに任せるという段取りになった。


( ゚∀゚)「発掘員の寄るような飲食店だ。店名は何でもいいが……カリヨンとでもしとくか。
     そこをお前が一人で取り仕切るんだ。盗聴器と録音機材はもうセットしてある、
     
     実のなりそうなタネをタレこめ。いいな? ついでにロイヤリティは80%だ」

( `ハ´)「承ったアル。……死ぬ気で奉公します…」


ついに、念願かなった飲食店を持つことが出来た。
上の支持と調達の関係で中華料理を提供することは無理だったが、それでもシナーはカリヨンをまわした。
想像以上につらい飲食の仕事と、客を裏切るような行為はたちまちシナーの表情から笑顔を落とした。

しかし。

32 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 01:59:36 ID:tAQZJbO.0










('∀`)「おやっさん! 今日も来たわ! グリーンカレーひとつね!」

33 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:01:26 ID:tAQZJbO.0


('A`*)「うんめぇええ!! ここのカレーはほんっとうめえよシナーさん!」


('A`*)ハムッハフハフ……ハフ!


('A`)「ごちそうさま! 頑張って発掘シテクル!」

(’e’)「ごっそさんでーす」


('A`)「また明日来ますわw」


( `ハ´)「………」


カランカラン




( `ハ´)「………ありがとー、ございました」

34 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:06:09 ID:tAQZJbO.0

閉店後に残された、録音機から目ぼしい話を客のステータスと合わせて組合へ送信する作業。
シナーはいつも、ドクオの情報だけはジョルジュ達に渡すことはせず握りつぶしていた。
それはドクオに好意を抱いていたのかは分からなかった。ただ、シャッターを閉めるとき、
シナーは晴れやかな気分になって、また明日も頑張ろうと思ったのだった。
カリヨンの経営や調理も板についてきた頃だった。


( ゚ 」゚)「シナー、あなたは何か隠し事をしてはいないですかね?」

( `ハ´)「……いいえ。包み隠さず情報は渡してますアル」

ジョルジュの片腕がいきなり視察をし、シナーを揺さぶりにかけた。


( ゚ 」゚)「真ですか? 発掘員のことはどんなことでも送信してますか? よく考えてこたえなさい」


( `ハ´)


( `ハ´)「はい」


( ゚ 」゚)「そうですか。それは失礼しましたねえ。それじゃ明日も元気にフライパンでも振るってください。
     ………それではよい夜を」


( `ハ´)「(……まずいアル。なにか、とんでもない間違いを……)」

35 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:10:37 ID:tAQZJbO.0

予感はすぐに的中した。その視察から一週間も経たぬうちに、
ジョルジュがカリヨンに現れそしてシナーに暴力を行使した。
その片腕は視察時に独自の盗聴器を取り付け、ドクオを隠したことがたちまちばれたのだった。



(;`ハ´)「ぐ……ぐぇ……かんべんしてくださいアル……」

( ゚∀゚)「おい、顔や腕は狙うな。みぞおち攻めろ! そうだッそこだー! もう一発ゥ!」


消灯したカリヨンで、血のない陰惨な暴力が振るわれた。



(; ハ )「……ゆ、許してください……アル……」


( ゚∀゚)「手間ー取らせやがって……おれはこう見えても激務なんだぜ? シナーさんよぉ」

部下に「もっとやれ」と手で指示し、


( ゚∀゚)「お前は従順だからここを任せてやったのに……おい、なんだよこの裏切りは! 裏切り!!」

36 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:15:51 ID:tAQZJbO.0

( ゚∀゚)「お前が握っパしたドクオってのぁ……なかなかの大物なんだよな。
     まさに俺が求めてたエモノなんだよ。それをお前はよー……そらッ! スネいけ!」

部下がシナーに制裁を言われたとおりに加える。シナーが呻く。

( ゚∀゚)「こいつのネタでどうするつもりだったんだ? 成果の横取りか? 全部渡せや」

(; ハ )「ち、違います……マーパーツも、持ってないアルよ」

( ゚∀゚)「じゃあ何だ? いいお客さんだから庇ってやったとでも?
     お前よー……この店は俺らのモンなんだ。
     いくらてめえが店のオヤジ風吹かせてもよー……俺らが"絶対"なんだよ!」

(; ハ )「はい、それは……間違いありません」

( ゚∀゚)「てめえみたいな腹ん中で舌出すクソは今すぐにでも殺してぇが……チャンスやるよ、チャンス。
     さいわいドクオのほうはお前を信頼してるようだしな。ドクオがなにかネタ吹いたら、
     今度アタリをつけたら、無線でソッコー知らせろ。そうしたら許してやる」


(; ハ )「………」

( ゚∀゚)「シナー……お前たしかー、中華料理やりたいんだったなぁ?
     やらしたるよシナー。俺は年上には優しいんだ……へへへ。
     だから教えてくれるよな? シナーさん。なあー?」


(; ハ )「はい……教えるアル、包み隠さず教えます」

37 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:21:00 ID:tAQZJbO.0

そして、

(  ハ )】「……ドクオと助手が、エデンで発掘するアル」

ハンター『よし分かった。すぐにポイントをつける。明日にゃァ、横取りしてやれる』


ガチャ



(; ハ )「………」



(; ハ )「(また、人を捨てたアル)」



(; ハ )「でも……これで、中華を……中華料理を」




.

38 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:23:10 ID:tAQZJbO.0


それから、シナーは逃げるように店を畳んで、言われたとおりにヴィップグラードの
賃貸で中華の店を持つことが許された。隣のハンターの事務所のために開かれたような店だった。
客もほとんどゴロツキかチンピラのような者しかいない。
トンネルから抜け出して20年余年。念願の中華店を、「弐帽」と名をつけて。



( `ハ´)「(マーボー、アオナ、炒飯、どれも作りたかった、他のも、フカも……)」


( `ハ´)「(でも……でも……)」



食わせてやりたいヤツは、もう居なかった。
ニボーンもドクオも、自分の料理を食べさせたかった男達は皆、切り捨ててしまった。


( `ハ´)「(……これじゃ、なんのために……)」




( ;ハ;)「なんのためにっ……! いままで……生きてきたアルか!」




                  .

39 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:26:04 ID:tAQZJbO.0


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・



( `ハ´)「……そして私は、…ふらりと、このホテルへ」


ストリッパーはその告解を、真剣な面持ちで聞き続けていた。

( ・U・  )「………」


( ・U・; )「(この懺悔は、きっちりした懺悔室で聞きたかったものだ。
        ……仕切り板もなしにこれは重い、こんな懺悔はされたこともないな……)」



( ・U・  )「…それでは、悔い改め、これまでの過ちを二度と犯さないため、共に祈りましょう」


( ・U・  )「(トカジトンネル……か。大韓中華大使館の傍だろうが、そんなシェルターが
        あったこと自体は、もうあの国だ、何をしてようがそういうものだろうと呆れるしかない。
        だが、ハンター組合。やはりあの組織は、火星にとっての癌といわざるをえんな)」

40 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:31:00 ID:tAQZJbO.0

( ・U・  )「祈りは無事に主のもとへ届きました。
        あなたの罪は消えることはありません。しかし、あなたはそれでも
        生き続けなければなりません。清く正しく心を持って、これからを真剣に生きるのです」

( `ハ´)「はい……」


( `ハ´)「牧師さん、もうひとつ祈ってほしいことがあるヨ」

( ・U・  )「なんでしょう」



( `ハ´)「あの悪魔に目をつけられた、ドクオ・ウツタールの無事を祈ってほしいアル。
      ジョルジュはこれからドクオの成果を盗もうとするに違いないネ。
      そして命も狙うかもしれないアル。だから、祈ってほしいアルよ」


そういうと、シナーはどっと疲れたように倒れこみ、そして土下座をした。


(;`ハ´)「絶対にっ! 助けてくれアルと!!!」


シナーの叫びは、チャペルの外にも漏れ届き、やがて夜の闇にまぎれていった。……

41 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:34:32 ID:tAQZJbO.0





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42 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:39:04 ID:tAQZJbO.0

・・ ・・
・・ ・・・


シナーの叫び声は聞こえなかった。チャペルとあなたのダブルルームは階層が違ったが、
たとえ同じだったとしてもあなたの耳には届かなかったことだろう。あなたはデレと行為を
すませ、しばらく余韻に浸ったのちの後処理をしていたのだから。

テッシュを何枚も取ってはデレの性器にあてて拭き取ってやり、
散らばるゴミはベッド脇のゴミ箱に放ってはまた、ティッシュを慣れた手つきで取り出す。
はじめは何枚か重ねたティッシュで「下拭き」と「荒拭き」。次にウェットタイプで
「本拭き」を施したのち、また普通のもので「ツヤ出し」と「総仕上げ」。
計五回のペーパー活用法をデレの下腹部に丹念に行った。
そんな本人はタオルで汗をぬぐっている。


ζ(゚ー゚*ζ「ふぅー……」

デレはうわの空のまま、タオルを動かしては身体から離したりする。
慣れたもので、あなたの涙ぐましい努力にはいちいち反応や声をあげたりもしない。
それどころかサイドテーブルに目を向けると、灰皿とタバコ、
それにライターを手元に寄せると、余韻を喫煙で味付けした。


~~-yζ(゚、゚*ζ

43 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:43:38 ID:tAQZJbO.0


あなたはそして現状に満足をする。後始末も任され、挙句に煙草まで吸われると、
被虐心があなたの心臓を刺激し、打ち震えるようなビートを贈ってくるからだ。
行為では自分がリードしていたのに、いざ終わってみればこの立場。
あなたはそんな現状に快感を覚えてしまう。

デレにはそんなフェチズムを打ち明けたことはないが、肌でなんとなしに感じ取っていることだろう。


~~−yζ(゚ー゚*ζ「今日ってそんな気分じゃなかったのに……」

いそいそと細かく動き回るあなた。

~~−yζ(゚ー゚*ζ「キスするともう止まんなくなっちゃうね」


そうしてやっと始末も終って、あなたはベッドに身を沈めた。

仕事が思うように見つからない。見つかったとしても続かない。
それで資産を持つデレに頼るような生活を送っている。
このホテルの宿泊費だって決して安くないのに、あなたはここで寝泊りを続けている。

そのまま、気だるく時間がたゆたった。ベッドルームは紫煙と物憂い空気とで満たされた。
やがて「どっちが先に行く?」と訊かれたので、デレが先に行っていいよと答える。
デレがシャワーに向かっていよいよ退屈になった。

なんとなしにラジオのチューニングを会わせると、軽快な古典ロックをBGMに男性の語りが流れてきた。

44 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:45:11 ID:tAQZJbO.0


『……から・・・出来ればイエローサブマリンくらいまでをお送り出来れば、と
 思いますお!  懐かしさと禍々しさが同居してるアルバムだよなあ・・・・ ザザッ
 このアルバム前後で、ロックの色彩ががらっと変わったな
 66年くらいまでは、ファズやディストーションが効いたリフがサイケロックの特徴だったけど
 この年からはエフェクターの多様化や、音響音楽化、いろいろな楽器が投入……』


「………」


運ばれる情報や音は耳に任せ、あなたは眠たげな目でビールを注いでそれを味わっていた。
サイケデリックなロックが流れ、やがて絵本を閉じるように曲は終わりを告げた。
ちょうど終わる頃に、デレが濡れた髪のまま戻ってきて、一緒にラジオに耳を傾けた。


ζ(゚ー゚*ζ「ビートルズ特集なんだぁ。へえ」


ζ(゚ー゚*ζ「ビートルズってもうクラシックだし、あんまり詳しくないんだけどさ……
      ひとつだけ好きな逸話があってね、それがね……」



『このアルバムはあのビーチ・ボーイズの名盤 「ペットサウンズ」に影響を受けたものであります。
そしてこのペットサウンズ、ラバーソウルに衝撃を 受けて作られたものだとか・・・・・』

45 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:47:38 ID:tAQZJbO.0

ラジオDJの言葉に、デレは頷いた。

ζ(゚ー゚*ζ「そう。それそれ。わたしね、それって凄い……すごく、大事で素晴らしいことだなって」


海を越えたイギリスのロックバンドとアメリカのロックバンド。
彼らはお互いに相手の奏でる音楽に衝撃を受け、負けるものかと自身の向上に努め、
歴史的な名盤を次々に発表していったのだった。


『……のアルバムをつくろうとして、精神を病んじまった・・・。
芸術の残酷さってやつかな。でもその成果は、凡人にはひたすら美しい。
ポールをして神曲と呼ばしめた曲、ブライアンのためにかけさせてくれ。 』


「God Only Knows」が流れる。
陶酔するようなフレンチホルンの音が印象的な崇高なイントロ、
悟ったようなやさしいリードボーカルがメロディーに甘く乗っている。

子守唄をきく幼児のような顔をするあなたに、デレは語りかけた。

ζ(゚ー゚*ζ「だから今のあなたにハリがないのも、相手が居ないから、じゃないのかなと思うの。
      もちろん私は恋人だしいつも一緒にいるけど、対抗するような相手じゃないでしょぅ……
      なにかライバルを……そうでなくても、目標とする人物をさ、探すとうまく行くんじゃない?」

46 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:49:43 ID:tAQZJbO.0

ζ(゚ー゚*ζ「男ってそういう生き物でしょ? 張り合いがないとうまく行かないっていう。
      対抗心とか向上心がないと、流れなんて出来ないのよ……。
      何からしたらいいか分からないなら、まずはいろんな人を知ってみたら、どう??」


そうだなあ、とあなたは答えた。デレからタオルを借りて、顔の汗をぬぐった。
ラジオはCMに突入した。そのうちにシャワーをさっさと済ませてしまおう。
あなたは浴室で温水を浴びながら、尊敬できる人物などを考え始めた。

そういえば、このホテルに寝泊りしているドクオ・ウツタールは成果を挙げているのだろうか。
ふいにそんなことが気になった。尊敬できるかはまだ分からないにしろ、
妙に気になる人物だと、あなたは常々思っているのだから。……





・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・・

47 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:51:32 ID:tAQZJbO.0


翌朝。シナーも帰路にたった後で、ドクオは日の光を浴びながらホテルに戻ってきた。

('A`)「ふっ。この俺が朝帰りとはな」

むろん色気のある話でもなく、セントジョーンズと一緒に車の中で寝泊りし、
いい加減に勘弁ならんとひとりバイクを走らせてきただけであった。

遠くからはモノリスにしか映らないホテル・サイドニアも、
近くに寄れば品格のある空気が感じられる。いつもの駐輪場にバイクをとめ、
ふわふわのウシャン・メットをはずすと、その格式ある内部に入っていった。


ロビーで従業員たちがドクオへ挨拶をし、そのうちの一人であるコンシェールが、

(゚、゚トソン 「おはようございます。ドクオ様。ご朝食はいつものようにラウンジでございますか?」

('A`)「あ、はい」


('A`)キョロキョロ


(*'∀`)「(ヒーにゃん見っけ)」

48 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:53:02 ID:tAQZJbO.0


(゚、゚トソン 「うわ、なんだその笑顔……)」

(-、-トソン 「それではラウンジへどうぞ。朝の伴奏はこれから始まりますよ」

('A`)「あ、はい、あざっす」







(゚、゚トソン 「(お得意さんにこんなこと思うのもなんだけど、まさにもてない男って感じ…)」

(゚、゚トソン 「(考古学じゃ有名な人らしいし、クーさまがインタビューをしたがっていたから、
      ちょっと警戒もしちゃったりしたけど……

(^、^トソン 「(あのひでールックスなら安心ね!!!)」

49 ラスト投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 02:56:53 ID:tAQZJbO.0

ドクオが向かったと同時に、ラウンジのピアニストが演奏をはじめた。
今朝は「クープランの墓」のメヌエットらしく、流れるような鍵盤音が静かに響く。


('A`)「いいねえ」

ドクオはソファに腰掛け、テーブルに置かれた新聞を手に取る。
研究に関して役立つような記事は載っていなかったが、丹念に読んでいく。

('A`)「でっかい記事は地球関係ばっかしだな。……ふぅん、またクーデター。
    大韓中華ももう終わりだな。ん? クー・スナオリャのコラムか。
    どんだけ掛け持ちしてんだよこの人……」


内容はグルメの紹介で、今回のコラムでは「ズッパ・ディ・ベルドゥーラ」の特集だった。
イタリア人のお袋の味のようなものだというこのスープは、野菜の残り屑で作るようなお手軽なものだという。

材料は玉ねぎに人参、ジャガイモやセロリ。それにベーコンを賽の目に切って
炒めてからじっくり煮込んで塩胡椒の味付け、仕上げにパルメザンスープという具合らしかった。
他にもトマトを入れるタイプもあるらしいが、クーは素朴な味を大事にしたいと書き、それで文を締めている。


('A`)「なんだそりゃ……ルーの入れ忘れたカレーじゃねえのか!?」


ひとり驚愕しているうちに、朝食が銀盆に乗って運ばれてきた。
それも、大好きなヒートが笑顔で運んでくれている。

50 名も無きAAのようです :2011/09/13(火) 02:59:06 ID:xYq4DhQ.0
あぁ…

51 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/13(火) 03:03:09 ID:tAQZJbO.0

今日の投下は以上です。長丁場の投下は肩にくるな。
作中のラジオはムジカシベリアのサンプリングです。かえってきてほしー!
次回はいつになるか分かりませんが、長くなるかな。それではありがとうございました。


追伸。
凄くいい雰囲気のホテルカリフォルニアの動画を貼るぜ。名曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=kv6Vy4Hr30s
それと、作中に出てきたGod Only Knows
http://www.youtube.com/watch?v=BC_UILNwWrc

52 名も無きAAのようです :2011/09/13(火) 03:04:07 ID:xYq4DhQ.0
お疲れ様ー 次回が楽しみだ

53 名も無きAAのようです :2011/09/13(火) 08:05:25 ID:V8WQUw6.O
あのひでールックスなら安心ね!!!

54 名も無きAAのようです :2011/09/13(火) 18:58:35 ID:5r6dbl2k0
移住おっつおっつ
こっちでもよろしく

55 名も無きAAのようです :2011/09/14(水) 03:20:44 ID:B3Z6zUeYO
投下乙!トソンひどすぎワラタ

56 名も無きAAのようです :2011/09/14(水) 23:25:28 ID:PWV8YchMO
追いついた乙
こうみるとドクオって凄いのな、ひでー顔だけど

57 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/18(日) 17:51:52 ID:eFbNPWEw0
みんなよろしくな。で、近いうちに投下する。
あんま展開進んでないし箸休めみたいな感じになりそうだけどね。
ちなみにvip投下とか考え中。次の次くらいからしてみようかなあ。
とりあえず、次の投下は明日の夜くらいに出来ればいいかなー。

以下、個人的な今作のイメージ曲
http://www.youtube.com/watch?v=vEW_PJN2JZs
この小汚さと上品さが同居している感じがタマンネ

58 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/19(月) 23:40:36 ID:livsz/B20
ようし、さっそくだが投下する。相変わらずの推敲しながら

59 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/19(月) 23:41:25 ID:livsz/B20
http://nanabatu.web.fc2.com/boon/hotel_sidenia.html
まとめさん

60 名も無きAAのようです :2011/09/19(月) 23:48:19 ID:HTdymsO.0
がんばれ支援

61 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/19(月) 23:48:44 ID:livsz/B20
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62 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/19(月) 23:50:12 ID:livsz/B20


翌朝。シナーも帰路にたった後で、ドクオは日の光を浴びながらホテルに戻ってきた。

('A`)「ふっ。この俺が朝帰りとはな」

むろん色気のある話でもなく、セントジョーンズと一緒に車の中で寝泊りし、
いい加減に勘弁ならんとひとりバイクを走らせてきただけのことであった。

遠くからはモノリスにしか映らないホテル・サイドニアも、
近くに寄れば品格のある空気が感じられる。いつもの駐輪場にバイクをとめ、
ふわふわのウシャン・メットを外して、その格式ある内部に入っていった。


ロビーで従業員たちがドクオへ挨拶をし、そのうちの一人であるコンシェールが、

(゚、゚トソン 「おはようございます。ドクオ様。ご朝食はいつものようにラウンジでございますか?」

('A`)「あ、はい」



('A`)キョロキョロ




(*'∀`)「(ヒーにゃん見っけ)」

63 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/19(月) 23:52:33 ID:livsz/B20



(゚、゚トソン 「(うわ、なんだその笑顔……)」

(-、-トソン 「それではラウンジへどうぞ。朝の伴奏はこれから始まりますよ」

('A`)「あ、はい、あざっす」







(゚、゚トソン 「(お得意さんにこんなこと思うのもなんだけど、まさにもてない男って感じ…)」

(゚、゚トソン 「(考古学じゃ有名な人らしいし、クーさまがインタビューをしたがっていたから、
      ちょっと警戒もしちゃったりしたけど……

(^、^トソン 「(あのひでールックスなら安心ね!!!)」

                     

                          .

64 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/19(月) 23:57:04 ID:livsz/B20

ドクオが向かったと同時に、ラウンジのピアニストは演奏をはじめたらしい。
今朝は「クープランの墓」のメヌエットらしく、流れるような鍵盤音が静かに響いてゆく。


('A`)「いいねえ」

ドクオはソファに腰掛け、テーブルに置かれた新聞を手に取った。
研究に関して役立つような記事は載っていなかったが、丹念に読んでいく。

('A`)「でっかい記事は地球関係ばっかしだな。……ふぅん、またクーデター。
    大韓中華ももう終わりだな。……ん? クー・スナオリャのコラムか。
    どんだけ掛け持ちしてんだよこの人……」


内容はグルメの紹介で、今回のコラムでは「ズッパ・ディ・ベルドゥーラ」の特集だった。
イタリア人のお袋の味のようなものだというこのスープは、野菜の残り屑で作るようなお手軽なものだという。

材料は玉ねぎに人参、ジャガイモやセロリ。それにベーコンを賽の目に切って
炒めてからじっくり煮込んで、塩胡椒の味付けを。仕上げにパルメザンスープという具合らしかった。
他にもトマトを入れるタイプもあるというが、クーは素朴な味を大事にしたいと書き、それで締めている。


('A`)「なんだそりゃ……ルーの入れ忘れたカレーじゃねえのか!?」


ひとり驚愕しているうちに、朝食が銀盆に乗って運ばれてきた。
大好きなヒートが笑顔で運んでくれていた。

65 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 00:02:30 ID:Fb3BboeE0


ノパ⊿゚)「ドクオさぁあん! 料理お持ちしましたよぉお!!!」

(*'∀`)「ォオン! ヒートちゅわぁん!!」


テンションも気持ち悪さもたちまちMAXになるドクオに
ヒートはさすが接客のプロというべきか、まるで顔色や態度を変えずに、

ノパ⊿゚)「今日はッ! ウェルシュラビットにベーコンエッグ・ソフト!
    それにトマトフライとベイグド・ビーンズのスープ! 仕上げにドニアンティーでございッ!!」

(*'∀`)「ひゅううううぅうぅう! 今日は、ブリティッシュ・ブレックファストなんだね!!」


メヌエットの流れる優雅なひとときのロビーだが、その一角は妙な熱気の二人が叫ぶように会話している。
周りの客は迷惑に感じると思いきや、いつものことだと気にしなかったり、
大半はおかしな人間には触れない精神でスルーをしていたりする。

そもそもドクオはこのホテルでは、クールで理知的な立ち振る舞いを自負しているが、
ことヒートがやってきたときには何もかも忘れたように暴走をしてしまう。
その気味悪さに本人が気づかず、翌朝には静かに紅茶を傾けては新聞を読む佇まいなので、
ホテルの常連客にとっては、滑稽を通り越して奇怪な存在だったりする。

異様なテンションは進行し続け、料理の盆をテーブルに置くだけでも一大行事さながらだった。

66 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 00:09:03 ID:Fb3BboeE0

朝食の中からドクオは黄金いろに焦げたトーストを手に取った。
それはいかにもウェルシュ・ラビットで、ドクオの好物のひとつでもあった。


(*'∀`)「ウェルシュラビット!! うーんいい焼き加減じゃん!
    もしかしてヒーちゃんの熱で焼いたんじゃないのォ!?」

ノパ⊿゚)「うっ……え、あー……はーいそうでぇす!!」

気色悪い言葉のアッパーがヒートの羞恥心を直撃する。

(*'∀`)「このベーコンエッグも! トマトフライも! もしやー……(おっとっと」

('A`)「(ちょっと…はしゃぎ過ぎたかな。こっからはクールにクールに。じっくり攻略しねぇとな)」



('A`)「ウェルシュ・ラビット……ウェールズの兎。イングランド人のジョークは面白いが、辛辣だね…」

ノハ;゚⊿゚)「(うわぁだから何じゃいその落差は! 悪い人じゃないだろうけど、この人はちょっと……)」


('A`) キリッ

ノパ⊿゚)「ですよねー!! ほんと辛辣!!」

ノパ⊿゚)「(でも……こんだけ気持ちわるいなら、いっそ悪い人であってほしかったあ!!)」

67 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 00:15:25 ID:Fb3BboeE0

困り果てるヒートをよそに、ドクオはそのウェルシュ・ラビットを頬張った。
味わうたび、焦げたトースト特有の香ばしい咀嚼音が鳴った。

ウェルシュ・ラビットとは、チェダーチーズをたっぷり乗せたチーズトーストなのだが、
味付けにはマスタードやウスターソース、はてはビールと意外にも刺激が詰まっている。
そして、名前とは裏腹にウサギ肉などまるで使われてはいない。

('A`)「これは……美味だねヒートちゃん」

ノパ⊿゚)「そうですね!! まずいって評判のイングランド料理ですけど、これは……!」

('A`)「いやこれはウェールズ料理だよ。イングランドよりはまだマシな味付けする国さ」

ノパ⊿゚)「あ……それは失礼しました!! でも、さっきイングランドって」

('A`)「イングランド人がこの料理をウェールズのウサギって名付けたんだよね。
    イギリスじゃ貧しい人間はウサギ肉を食べてたんだけど、それさえ食べられない
    極貧のウェールズ人は、このチーズトーストをウサギ肉と思い込んで食べてやがる……てね」

ノパ⊿゚)「へぇー……そうだったんだあ!!」

('A`)+「(キマったかな? ギャップからのトリビア戦略?)」

ノパ⊿゚)「(物知りなんだけぁ分かったけぇ、見つめんでほしい……)」

68 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 00:23:04 ID:Fb3BboeE0


ノパ⊿゚)「ってことはウェルシュラビットって悪口なんですかッ!!??」

('A`)「現地の人は別名で呼んでたらしいよ。ウェールズ語で"ローストしたチーズ"って意味でね。
   まあ今はウェルシュラビットと、ふつうに言っているらしいけどね……」

と解説し終わって、そのチーズトーストを食べきったドクオは次に別の品へと移ろうとしていた。

ノパ⊿゚)「それでは! 私は仕事があるので行っきまぁああっす!!」

('A`)「いってらっしゃあああい!!」






('A`) モグモグ



('A`)「(ヒーちゃんの、俺の好感度どれくらいだろ……?)」モグモグ


('A`)「(あの子は他の女とは違う、から…俺のことキモがらないはず!! ……から、
    ……好感度…まあ、80%くらいか?)」モグモグ


('A`)「フヒヒ」

69 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 00:31:34 ID:Fb3BboeE0


('A`)「ん? メールがきた」

ポケットからクールホン(携帯電話)を取り出すと、さっそく新着内容を確認した。
それは研究所からの連絡で、提出したエビの検査結果だった。

('A`)「こんな時間に結果報告たぁ、ほんとこの研究所はブラックだぜふぅはははー」



('A`)「っ!?」


('A`)「つ、ついに……!」

内容はドクオの精神を駆り立てるものであった。


('A`)「(全てのエビから、加熱した形跡が発見……。焼痕も、特定部位に強く発現している……)」


('A`)「やはりあれは貝塚だったか……!」

ドクオはすぐさま立ち上がった。

70 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 00:43:40 ID:Fb3BboeE0

・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・


(+e+)。「ぬわんですかぁドクオすわぁあん……」


急いで朝食を済ませると、ドクオはさっそく
バイクにまたがって車中泊しているセントジョーンズを叩き起こした。
寝ぼけ眼でまともな受け答えをできないセントジョーンズに、ドクオは饒舌になって、

('A`)「だ・か・ら! あのエビから加熱痕跡が見つかったんだよ。それも特に、強く
   出ているのはどれも側面で、真っ平らな部分なんだ。……俺の言ってることがわかるかジョーンズ?
   つまり古代人は、バーベキューみたいに"ナナバツガイ"を焼いて、それで食していたんだよ!」

(+e+)..。「ふーん……」


('A`)「だから、あのボイドの近くに加熱調理した跡があるかもしれねぇ、それで……ん?」


(+e+) zzz……


('A`)「……。ただでさえ駄目駄目なジョーンズが睡眠という翼を持ってうんたらかんたら」

71 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 00:52:41 ID:Fb3BboeE0


   ドゴォッ!
グヘェ ∵.・(’e(○=('A`) 起きろー! 寝たら死ぬぞー! 主に俺が殴る意味で!


(’e(#)「起、起きましたぁあ」

('A`)「もう一度言うぞ。古代火星人が火を扱っていた可能性が出てきた。
   場所は例のボイド近くに違いない。加熱調理した跡……以下カマドと呼ぶ、は
   おそらく鉄板状の石器で、平べったい形をしている。わかったか?」

(’e(#)「り、了解でぇっす。……でも、加熱調理なら焚き火オンリーの可能性はあるんじゃないすかあ?」


('A`)「前半の話を聞いてなかったのか? 特定の面だけに加熱跡が出てたんだよ。
   それに放射熱の跡は確認されていないしな。バーベキューのような感じで食べてたんだよ貝類を!」

(’e(#)「なぁるほど。……じゃあ、味付けなんかも分かっちゃったりしそうっすねぇ」

('A`)「ん……味付けか」

(’e(#)「判明してないんですかあ?」

('A`)「無茶言うなよ。いかに現代科学といえど、何十億年前の化石から調味料をほいほい検知できるか。
   まあ、塩化ナトリウムくらいならごくわずかに反応も出そうだが、それはまだ報告されてない」

(’e(#)「ぼかぁガーリックバターで食いたいですけどね! うへへぇえ」


('A`)「もう一発殴ってやろうか? 次は右頬差し出してみろこのやろー」

72 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 01:04:13 ID:Fb3BboeE0

セントジョーンズはバギーから飛び出し、ドクオもそれを追い、ぶらぶら散歩がはじまった。

(’e’)「だいたいなんか、そんな俺を叩き起こして言うことっすかぁ〜?
      ドクオさんなら分かりきってたことなんじゃいのぉ??」

('A`)「仮説が証明されたら嬉しいだろうがよ。これだけで定説をひっくり返せる世紀の論文が書ける」

(’e’)「だったら書けばぁー?」

('A`)「これだけじゃ無闇に乱獲を進めさすだけだっつってんだろ!!」

(’e’)「…まじだり〜起こすとかアリエネ…。騒ぎすぎだよこの魔法使い……(ボソ」


('A`)



('A`)「ジョーンズ。お前ちょっと……小遣いやるから、そこ、突っ立ってろ」

(’e’*)「まじっすか! 小遣いっすか!! 眠気もさめさめ! 立ちます立ちます!!」


ドクオは無言でバイクに跨り、遠くまで発進させる。


('A`)

ある程度の距離をとったところで停止し、セントジョーンズのほうを振り返った。

73 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 01:12:06 ID:Fb3BboeE0


('A`) ドルンドルルンドルン.....


(’e’)「ん?」


('A`) ブルンブブンブルルルルゥン!!!


(;’e’)「うわぁ〜〜〜〜〜〜 こ来ないでぇ〜〜〜〜!」


三(;’e’) サッ



(;’e’)「はぁ……はぁ……はぁ〜。マ、マジキチだよアイツ……ん?」




('A`) ドルンドルルンドルルン.....




(;’e’)「うわぁ〜〜〜〜〜〜」


('A`) ブォオオオオォオオオン!!!

74 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 01:14:41 ID:Fb3BboeE0


三(;’e’)ササッ!


……ォオン...


(;’e’)「(やべぇ……あの男、"ガチ"だ。マジで轢いちまっていいって感じだったッ!
       ヤツの顔からッ! 『諸行無常』ってのを"見た"ぜッ!!)」



('A`) ドルドルドル.....


(;’e’)「(あるいはそう……『凄み』や『覚悟』があった……!
       まじで"轢いちまったときの後処理"を覚悟してそうな! そんな凄みッ!!)」



(゚A゚)「突っ立ってろッつったろうがよぉおお!!」バルバルバルバルバラ!!!



(;’e’)「ごめ゙ーーん!! ドクオさぁ〜〜ん! ドクオさまぁ〜〜〜!!
      もう悪口言わないから! 言いませんからぁ!! 許しでぇえ〜〜」

75 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 01:20:45 ID:Fb3BboeE0

・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・

こうして、ふたりはバギーにのって例の発掘場所――エデンへ向かうことになった。


ブルルル……

('A`)「魔法使いのなにがイケねぇんだ……なあ、ジョーンズ? 世間はおかしいぜ」

(’e’;)「あ、そ、そうっすね〜」

('A`)「世の中にゃあ事情で30路過ぎてもピュアでなくちゃいけねぇ人たちが多くいるんだぜ……
   それも本人の事情さ。忙しさや、顔面、障害があってだなぁ…!」

(’e’;)「………!」

('A`)「世間がおかしいんだ! そしてバカにされ萎縮し、ますます魔法使いは……!」

(’e’;)「あ、あのードクオさぁん。今回のブツはどんなもんか検討つきますかぁ?」


セントジョーンズは運転しながら、とりあえず話題を逸らした。

('A`)「ん、そうだな。火星で適当な大きさに加工できる岩石っつうと、結構数を絞れる……」

76 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 01:26:21 ID:Fb3BboeE0

('A`)「まあ薪や火種はさすがに風化しちまってんだろうが、カマド自体はまだ埋まっているはずだ。
    そこから放射熱の跡、さらにナナバツガイのDNAでも採取されりゃぁ完璧よ」

(’e’)「なるほど! さすがドクオさんっす!……ところで何で今日、オートバイクを積んだんです?」

このバギーの荷台には、ドクオのバイクが亀甲縛りでしっかりと固定されている。
セントジョーンズがドクオに命令され、ひぃひぃふぅふぅ言いながら乗せたものだった。

('A`)「んー? そりゃおめぇ、手近なもんで苦しみ与えるためよ」

(’e’)「(罰かよ!)」


('A`)「おれぁ寝るぜジョーンズ。着いたら起こしとくれや」

そう残すとドクオは座席を傾け、
ふわふわのウシャン・メットを取り出し顔に載せて寝息を立てだした。

(’e’)「……人には寝るなっつったくせに……まったく」

セントジョーンズはため息ついて、カーステレオを操作した。
といっても情報や音楽を聴くためではない。ただこのエンジン音とドクオの吐息に
聴覚が支配されるのがたまらなかっただけで、言ってみれば雑音目的のものだった。

それに、そのラジオ番組は案の定つまらないもので、セントジョーンズはすぐに
運転に集中してしまうのだった。……

77 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 01:27:53 ID:Fb3BboeE0


♪BGM「Carmina Burana ~ O Fortuna」


(^o^) さぁ〜! 今日も軽快なBGMと共にやってきました「ダレトク情報」!!
   この番組はご存じの通り、「そんなもん知ってどうすんの?」という
   まさに誰得な情報を垂れ流すだけの番組でございます!

(^o^) あまりの不人気っぷりにスポンサーは居ません!!
   経費削減でスタッフがどんどんハンバーグ工場送りになっております!
   アシスタントの娘もいつの間にか居なくなっていたという……これも誰得情報ですね!! ハイ!

(^o^) ちなみに進行役の私、名前はオワタ・ジンセーです。
    これも誰得 情報ですね! いやー、ほんと誰得だなァ! 誰得だなあ! 誰もフォローしてくれないね!



\(^o^)/ そんなわけで、さっそく行ってみましょうダレトク情報!!!



                        .

78 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 01:34:17 ID:Fb3BboeE0

(^o^)b まずお送りするのは火星の基本的な内情についてです!
    今さらも今さら! いやー、僕の誰得っぷりも磨きがかかってきてます!

(^o^) 火星は一応、全ての地域をもってひとつの国家として扱われています!
    だから言語も通貨も法律も、ぜーんぶの地域で通用しちゃうわけですね。
    一応、条例や独自通貨もあるんですが……ま、大丈夫でしょ!

(^o^) 通貨といえば、地球じゃ相変わらず為替チャートでバカやってる人多いですよねー!
    僕の父もそう! 為替取引でヘマしすぎて俺らや家を売っ払ってもまた大損こいて!
    最終的にロシアンルーレットに負けておっ死んだっていう……いやー、誰得誰得!
    おっと、ちなみに火星の通貨「ヴィップ」は常に「円」と価値が同等になっています。

(^o^) では話を進めましょう! 火星では地球の国家はどう扱われるかといえば……
    もちろん他国扱いです! そのため色んな国家の大使館、自治区があるんですが、
    展開にはなんら影響しないので無視しちゃってください! だーれーとーくー!

(^o^) またまた余談! 火星で人が住める地域って実は結構少なくて、全土の三割ほどです!
    もちろん開拓は常に行われているんですけど! やっぱり酸素が薄い場所とか
    海川などがあるとねぇー。南半球は特に開拓が進んでいないです!

(^o^) 火星じゃ有名なオリンポス火山も一般人なんかは立ち寄れません!
    アタシ〜オリンポスの頂上で星空みたーいとかいうバカ女は弾けて死にます! ざまあ

79 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 01:39:06 ID:Fb3BboeE0


(^o^) さぁ〜て、お次の誰得情報は「登場人物の簡単なプロフィール」です!!

(^o^) 何の、どの登場人物のプロフィールかって? そんなもの、私も知らんです!
    人権侵害を犯してまでの、並々ならぬ執着でゲットした素晴らしい誰得情報をたっぷりとお楽しみください!

(^o^) つまり、選別理由は適当なので、あしからず!


――――――――――――――― ―――――――――――――――


('A`) ドクオ・ウツタール(31)
経歴 キモヤベイ工科大学付属高→キモヤベイ工科大学→タンポポ大学(編入)
   +火星移住→タンポポ大学院→モテナイ大学院研究所所属特定発掘員

(’e’)  セントジョーンズ・ワート(25)
経歴 エーフラック経済大学中退→火星移住→フリーター→フリー発掘員

川 ゚ -゚) クー・スナオリャ(27)
経歴 シガー・ロス音楽院→ソロのヴァイオリニスト→ライター業開始、
   火星移住→c-wang所属ライター

( ゚∀゚) ジョルジュ・ナガオカ(32)
経歴 タンポポ大学→タンポポ大学院→フリー発掘員→ハンター組合結成、理事長

80 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 01:44:04 ID:Fb3BboeE0

(゚、゚トソン トソン・ミヤコスン(24)
経歴 リリー短期大学→火星移住→ヒマワリ就職学校受付→ホテル・サイドニア
 ホテル・サイドニアのコンシェール。控えめな美人というルックスでホテルの顔になっているが、
本性は荒っぽいし陰険。ちなみにレズである。クーがすきな理由は見た目がストライクなのと、
火星に来てばかりで友達が居なかった頃、心の支えにしていたのがクーの記事だったため。
好物はオムライス。レトルトはNG。

ノパ⊿゚) ヒート・ヴォルケエノゥ・サカズキー(23)
経歴 ニューシベリア高校→ニューシベリア研究局→ホテル・サイドニア
 ホテル・サイドニアのコンシェール。愛らしい見た目でファンが多く、ドクオもその一人である。
実はニューシベリア出身だが、キャラに合っていないとよく言われているため、あまり公言していない。
ミドルネームが漢臭すぎるのが悩みの種。喧嘩はホテルで一番強いともっぱらの評判。
好物はアザラシ丼。


( ゚д゚ ) ミルナルド・ジェームス・コットン(41)
経歴 カーレッジ大学→パチンコ屋警備員→火星移住+警備会社支部→ホテル・サイドニア
 ホテル・サイドニアの夜警。のらりくらりと求人をあたっている内に、今の職に就いた。
なにごとも平穏無事であってほしいという博愛主義者。ギャンブル、酒、タバコが好き。
騒動の発端のクー・スナオリャに怒っている。
好物はサービスエリアのアメリカンドッグ。

( ´-ω-) ショボーンビッチ・サイハテリヤ(29)
経歴 シベリア中学→火星移住、ニューシベリア高校→ヲッカ販売所→飲食店「ヒマワリ」
   →食事処「ニコライ」→BAR「ハラショー」
 ホテル・サイドニア内のバー「ハラショー」の店主。沈痛な面持ちでシェイカーを振っているが、
それなりに収入は確保している。色んな場所で修行をしたため、料理の腕は確か。
生粋のシベリアンで、ヲッカを愛してやまない。いつかドクオと話したいと思っている。
得意料理は同志スターリン風サラダ。

81 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 01:45:37 ID:Fb3BboeE0

――――――――――――――― ―――――――――――――――

(^o^) 


(^o^) ……というわけでね、まさに誰得な個人情報のオンパレードでした!
    しかも法に触れてるけど、もう人生終わってんだ、どうでもいいぜ!

(^o^) 続報があれば随時追加するよ! その前に打ち切られてなきゃな!


(^o^) さて、そろそろ御開きの時間がやってまいりました。
    今日も誰得情報をみんな、楽しんでいただけたかな!

(^o^) いつ打ち切りになるか分からないこの番組だけど、絶対また見てくれよな!

(^o^)/ バーイバーイ!   (放送終了)


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・


(’e’)「……ん? 放送終ってる」

セントジョーンズがその番組で感じたのは、雑音とその後の無音のみであった。

82 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 01:48:12 ID:Fb3BboeE0

そして、

(’e’)「着きましたよドクオさぁん」


―― エデン ――



背伸びをするドクオと、その後ろで機材をバギーから取り出しているセントジョーンズ。
セントジョーンズは息を荒げるが、ドクオは目的地を見上げては訝しい顔をした。


('A`)「また荒らされてなきゃあいいが……」

(’e’;)「んー? 権利思案ってどうなってんです?」

('A`)「まだ有効さ。でもゴロツキなんぞに権利を主張しても無駄だからな


('A`)「例の三人組とかまたヤンチャしてないかは……見てみねぇとわからねえ」

83 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 01:51:53 ID:Fb3BboeE0

だが、発掘現場はドクオの予想通り、めちゃくちゃに荒らされていた。
ただでさえ、無機対象ダイナマイトでクレーターめいた凹みになっているのに、
そこから更に、虫食いのような掘り跡が無数に出来ていた。
土砂の処理は行われていないようで、見た目は小汚いというしかなく、
ドクオの立てた「権利思案」の看板は、根元から倒された上に、汚れに汚れきっていた。


(’e’;)「ひっでぇ……!」

('A`)「チッ……くそったれが」


ドクオは仕方ないとかぶりを振ると、メッターを握って作動させた。
feet設定のボタン操作をするドクオだったが、セントジョーンズはその現場に足を踏み入れて、



(’e’#)「くそハンターどもがぁあああ!!!」


('A`)「……叫んだって何もならねえ。無駄な労力は使うなよジョーンズ」

(’e’#)「だって、これ……ほんとに、もう……!」

('A`)「気持ちはわかるが……落ち着け。まだブツがここに残ってんのを祈るだけだ」

ドクオは静かに現場に入り、メッターを頼りに発掘作業を開始した。……

84 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 01:54:56 ID:Fb3BboeE0


しかし、その祈りもむなしく、何も出てこない有様だった。
むしろ作業をすればするほど荒らされ具合の酷さがわかってくるだけだけで、
さすがのドクオも苦い顔をし続けてばかりいた。
セントジョーンズに至っては、砂を蹴飛ばしては文句ばかりだった。


(’e’;)「あーもう! 何にも出てこない」

('A`)「……まったくだ。エビは奪われちゃあいねえだろうが、肝心のカマドは……」


(’e’;)「こんな状況じゃ……正しいのか間違ってんのかもわかんないすね」

('A`)「そうだな」

セントジョーンズはキっとした顔で振り返った。

(’e’)「あのっ! ほんと! 悔しくないんすか!?」

('A`)「ん?」

(’e’)「ちょっとほんと……一大事なのに、淡白すぎやしないっすかね!?」


指を指されると、ドクオはやれやれと手を振って、そうして、


('A`)「何いってんだ……ブチ切れ寸前に決まってんだろ……!」

                  .

85 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 01:58:58 ID:Fb3BboeE0

('A`)「キレる対象がねえから……こうやって対策練って、んじゃねえかァ」

(’e’)「ヒュー♪ 対策っすか?」

('A`)「考えを取り直して、カマド場所は違ったと……物証や地形から納得させるか……
    が、これはあんまり現実的じゃねえ。もうひとつは泣き寝入り。これは愚の骨頂。

    最後の対策は、くそったれ共からカマドを取り返してやることだ」

(’e’)「んんー……ハンターとやりあいまくりっすか?」

('A`)「さぁな。だが、これをしでかした奴らの居場所を探るのは……俺のオハコだぜ?」

(’e’)「ほ、ほほー」

ハンターとの出入りを本格的に語るドクオとは対照的に、セントジョーンズはすこし弱気になっていった。


('A`)「……でな、タイヤ図鑑なんてのは古生物学者にとっちゃ………

                  ―――――!?」



(’e’)「えっ? ………ええ!?」

そのときだった。耳を潜めてみると、現場の下の方――ちょうどバギーの停車位置の辺りで、
奇妙な物音がしているのが確認できたのだった。

(;'A`)「クソが! 今度はコソドロかよ!?」

86 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 02:02:46 ID:Fb3BboeE0

ふたりが急いで丘の下へ戻ろうとすると、今度はエンジン音が鳴り響いた。そして、


(;’e’)「ああ! バギーが……盗られてますっ!」

所有者の意思もむなしく発進するバギーと、荒土に捨て置かれたドクオのオートバイク、
そしてそのバギーと並列するように走るサイレントカーの姿、この三つが目に入った。

(;'A`)「くそっ……気づけなかった……バカか俺は!」

(;’e’)「とまれえええ!! うおおおおおっとまれええ!!」


しかしその叫びはこだまするばかりで、二台の車は、そのまま地平線の向こうへ走り去っていった。


(;’e’)「うわあああああああ〜〜〜!! ローンが〜〜〜〜!!!」


(;'A`)「ハンター村、ハーモニーの連中か」

(;’e’)「わ、わかるんですか?」

(;'A`)「見えたナンバーがちょうど、その辺りのモンなのさ。……こいつは困ったな」

87 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 02:09:33 ID:Fb3BboeE0


降り終えて近づくと、
ドクオはおもむろにオートバイクを起き上がらせた。

(;’e’)「す……すぐに追いかけましょう!!」

('A`)「……このバイクを置いていったのは何故だと思う? 
    俺らに追いかけさせるため……誘導させるためだろう」

ドクオはキーをまわし、ふわふわのウシャン・メットを被った。


(;’e’)「じゃあ……どうするんですか!?」

('A`)「とりあえず追うしかねぇ……が。
    ハーモニーの連中ともなったら、それなりの覚悟を決めにゃあならんぜ」


後ろにセントジョーンズを乗せ、発進させるも、すぐにオートバイクの異変に気づいた。


('A`)「くそっ『スクエアーサイン』だ! 追い抜けやしねえぜ!」

スクエアーサインとは交通省からのお達しにより作られた、規制速度以上を
出すことを出来なくする端子ソフトである。ありがたいことに、刺されてから48時間は抜くことが出来ない。

88 ラスト投下 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 02:16:02 ID:Fb3BboeE0

(;’e’)「どうするんですかぁ〜〜!!?」

('A`)「ついてくしかねぇだろ、地を這うよう探偵のようによ!
   ……そこまでして、ほんとーに『ハーモニー』だったら……」

(’e’)「道場破りですか!?」

バイクに乗ったまま、ふたりは会話を続けた。ありがたいことに
スクエアーサインの示す速度制限のせいで、お互いの言葉は漏れなく聞くことが出来た。


('A`)「そうだな。これで立派な動機が出来たって考えるか……。
    『流石兄弟』ってのが、ヤワなのを期待するのみだな」

(’e’)「さすが……きょうだい?」


('A`)「『ハーモニー』を牛耳っているのが、その二人組のハンターらしいぜ。
    もしその二人が本気で俺たちを殺しにかかっていたら……まず、俺らは落とすぜ命を」


ドクオは前を追いながら、粘つくような嫌な感覚を払拭しようとした。
だが、それはうまくいかない。オートバイクが進めば進むだけ、死の香りは濃くなる一方であった。


              [ Welcome To The HARMONY ]
   

あるであろう町看板の謳い文句が、ふと脳裏を過った。……

89 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 02:18:34 ID:Fb3BboeE0
以上投下終了。お疲れい! 寝るぜ
次回からはハンター村編です。

90 名も無きAAのようです :2011/09/20(火) 02:21:48 ID:Fb3BboeE0
酉けし。隠れてレモネードでも飲むか

91 名も無きAAのようです :2011/09/20(火) 10:58:07 ID:Q3rZXgjUO
作者乙。

どっくんの変態と理知の緩急がたまらない。
原作(?)は知らないけど、楽しんで読めてるよ。
次の更新楽しみにしてる!

つ レモネード

92 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/20(火) 20:27:04 ID:Fb3BboeE0
ありがてぇ つcU
原作は構成をマネただけだし、観なくても大丈夫だよ。オススメだけどね。
次の更新分は書きたかった展開だし、タイピングにも力が入るぜ。
ガンバってきますわ。

93 名も無きAAのようです :2011/09/22(木) 00:20:42 ID:Y//0bvWAO
楽しみだ

94 投下予告 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/25(日) 18:39:21 ID:HrvULwOY0


――ホテル・サイドニア ラウンジ


('∀`)「ヒートちゅわぁん。ここで問題だよー、片手で拍手してごらぁ〜〜ん」


ノパ⊿゚)「えっ(なんじゃそりゃ)」


('∀`)「やってごら〜ん片手で拍手ゥ。できないのー?」


ノパ⊿゚)「(意味わからんけえ、でもやらんと…)」


('∀`)ニヤニヤ


ノハ;゚⊿゚)「うう……」


コウデスカ?ワカリマセン!!
ノハ;>⊿<)=〇)'Д`)・;' <これを待っていた!
     バシーン!


今夜九時くらいから投下だよぉー

95 名も無きAAのようです :2011/09/25(日) 18:40:41 ID:xWk9un82O
キタ――(゚∀゚)――!!

96 投下予告 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/25(日) 21:23:45 ID:HrvULwOY0
ちょいと諸事情で10:30からくらいになりそう汗
あと、スレ立てに成功したらvipでやります

97 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/25(日) 22:33:06 ID:HrvULwOY0
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1316957478/l50

98 名も無きAAのようです :2011/09/25(日) 22:54:48 ID:vNKUgHw60
支援

99 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/26(月) 02:02:43 ID:LPUGFzAA0
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1316957478/l50
ふぅー投下完了。この展開中はvip投下がメインかな。

100 名も無きAAのようです :2011/09/26(月) 05:48:23 ID:PLt67CeM0
こっちで投下したほうがいいよ
VIPなんてオワコン

101 名も無きAAのようです :2011/09/26(月) 07:24:10 ID:/GWG.VOg0
仕事のせいで読めなかった(;つД`)

102 名も無きAAのようです :2011/09/26(月) 15:56:32 ID:4CTecsjYO
きてたのか乙

103 名も無きAAのようです :2011/09/26(月) 16:15:01 ID:TJf3L9NQ0
なんだよ見逃したよおつ

104 名も無きAAのようです :2011/09/26(月) 17:31:01 ID:80Kf45jw0
ドクオキメェ
さっそく読むぜー

105 名も無きAAのようです :2011/09/27(火) 22:31:34 ID:RY43C8fM0
続きが気になり時間を忘れ読みふけり
展開と文章の上手さに唸りながら投下分まで読み終えると続きが存在していない……
大好きな現行を読んでいる読者にとってそれはどんな恐怖と絶望なのだろう……

だから帰ってきたときマジに嬉しかったっす。ありがてえ、頑張ってくだしあ

106 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/29(木) 19:24:08 ID:I/SXFRSg0
こうして私はセリアAのスター選手に憧れるよりも……
「完結できる作者」に憧れるようになったのだ!

皆さん暖かい支援と乙と声援ほんとうにありがとうございます。
現行執筆の励みになります。まだ8レスしか書いていないけど。
授業が始まり卒研や再履などで忙しくなってきたこの頃。すこし
投下のペースが落ちるかもしれません。また、休止することも、もしかしたら
あるかもしれませんが、そのときは小まめに現状報告や執筆状況を伝えてゆきたいと思っています。

>>100
この前のvip投下は平和に進められたし、一応現状維持ということで。
ケースバイケースで、臨機応変に対応するわね!

107 ◆tOPTGOuTpU :2011/09/29(木) 19:25:20 ID:I/SXFRSg0
セリエAだったわ

108 名も無きAAのようです :2011/10/19(水) 11:24:55 ID:fbKs70rAO
期待

109 ◆tOPTGOuTpU :2011/10/23(日) 01:18:59 ID:AlNHozuI0
 ,,,,,,,,
 [;;;;;;,]
 ('A`) 



('A`)「近所に、ホテルRAPE32ってとんでもねー名前のホテルがあったんだよ。
    子供の頃だったけど、広辞苑でレイプの綴りは余裕で知っていたからドキドキしたもんだ。
    直接的すぎる表現、荒々しくもセクシー、まさに"大人の世界"って奴だな。

    エクシブくらいしか知らん俺には、まったく、カルチャーショックにも
    ほどがあったもんだぜ。投下は明日の夜8時くらいからする。
    そんな大人の世界だったんだがな、あるとき気づいたんだよね。
    RAPE32じゃなかったわ、ROPE32だった…んだよ……。

    やっぱりラブホテルではあったんだけどさ、いずれにせよ、俺にゃ関係のない話さ」

110 名も無きAAのようです :2011/10/24(月) 23:26:11 ID:.OrzwfWk0
おいおい今何時だと思ってんだい

111 名も無きAAのようです :2011/10/26(水) 07:05:27 ID:Jx8gfT0.O
ラブホ真拳

112 名も無きAAのようです :2011/10/28(金) 08:07:00 ID:FZ.euyFsO
なんだもうとっくに投下してたのか

113 ◆tOPTGOuTpU :2011/10/29(土) 19:09:06 ID:0uUuZJcY0
ここに報告し忘れたけど投下したのさ!
http://nanabatu.web.fc2.com/boon/hotel_sidenia.html

次はけっこう掛かるかもわからんね。またまたvipで投下すると思うが。

114 ◆Ai.p5y3NWQ :2011/11/24(木) 00:19:02 ID:hSAnXJT20
久しぶりに来ました
続き楽しみにしてます

115 ◆tOPTGOuTpU :2011/11/24(木) 20:45:36 ID:ov02vaPk0
ありがとうございます! うう、わしゃあ幸せモンじゃけえ!


進行報告:5レス
卒論の中間発表が近いんで、書いたり投下したりはそれ以降になります

116 名も無きAAのようです :2011/11/25(金) 16:33:15 ID:G/TkETHAO
ラーメン喰って待ってるんだから

117 ◆tOPTGOuTpU :2011/12/05(月) 00:08:31 ID:26LMhKx60
まずは、焼豚を箸で撫でましょう。そして心の中でつぶやくのです
「116さん、ありがとう。と」


そろそろ書き始める。今週末に投下できたらいいな

118 名も無きAAのようです :2011/12/08(木) 19:33:54 ID:w6Okxu3s0
短いですが、週末に投下しますヾ(@⌒ー⌒@)ノ
よかったら見に来てね!!

119 名も無きAAのようです :2011/12/08(木) 20:30:40 ID:UtiN9pM.0
mjd
wktk

120 名も無きAAのようです :2011/12/10(土) 21:57:23 ID:27yGrFNM0
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1323521767/l50
よってらっさいみてらっさい

121 名も無きAAのようです :2012/01/04(水) 10:18:16 ID:EJAu061YO
あけおめ

122 名も無きAAのようです :2012/01/07(土) 20:47:00 ID:7F4j.paU0
ことよろっす!

123 名も無きAAのようです :2012/01/19(木) 21:18:01 ID:QyrmT/7o0
投下しまする

124 ◆tOPTGOuTpU :2012/01/19(木) 21:26:37 ID:QyrmT/7o0
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1326975927/l50

寄っといで見といで

125 名も無きAAのようです :2012/01/20(金) 09:57:37 ID:u3tUmPVsO
乙!!!!!!

126 名も無きAAのようです :2012/01/20(金) 10:38:18 ID:MjpryyKcO
待ってたよ。乙

127 おれ :2012/02/14(火) 18:39:46 ID:nkTlvtFM0
やーっと学業関連が収まりつきそう
そろそろ続きかく

128 名も無きAAのようです :2012/02/20(月) 20:32:17 ID:HWEiDKZc0
投下するお! なんか忍法帳がリセットされてたのでここでやりまっす

129 名も無きAAのようです :2012/02/20(月) 20:35:07 ID:wJ2i1o/QO
きたか

130 名も無きAAのようです :2012/02/20(月) 20:37:15 ID:HWEiDKZc0
あ、10時くらいになりそうじゃのぉ

131 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 21:59:12 ID:HWEiDKZc0


新聞の深き谷にも光射すそれぞれの朝ホテルサイドニア

太陽の位置が少し遠ければ陽光もまた他人の優しさ

しみじみと酔えば恋しきわが故郷汚れ染めたるカード眺めつ


まとめさん
ttp://nanabatu.web.fc2.com/boon/hotel_sidenia.html
マイホーム
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/37256/1273675586/

推敲しながら投下します

132 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:01:37 ID:HWEiDKZc0
.

『時に兄者よ。俺たちはこのまま流されて生きていくだけなのか?』

 『いったいどうした弟者。藪から棒に』

『俺たちは底辺のまま終わってしまうのかな?』

 『さあな。だが食ってく分には困らんだろ?』

『なあ兄者。俺たちは碌に教育も受けず、裕福な家にも生まれず、
 世界がどうなってくのか知らないまま……労働を強いられている』

 『……それがどうした』

『兄者。俺は図書館で世界のことを調べ回ったさ。そして労働で
 その実態を得た。……反抗してやりたいんだ。この世間を相手に』

 『反抗って、どうやって? 俺たちは金も無いし権力もないぞ』

『簡単さ』


『兄者。……俺と一緒に、悪の道を走ってくれ』


                      .

133 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:02:27 ID:HWEiDKZc0
.


 

        図書館によって真実を得た。
   
        勤労によって反抗心を得た。





       あとはただ、人生設計をするだけだ。





                      .

134 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:03:47 ID:HWEiDKZc0
.



( ´_ゝ`)『弟者! 用意したぞマフィア衣装一式wwwww
       これで俺たちも今から一流の悪になれるぞ!』


(´<_`;)『せっかくの軍資金をそんなコスプレに……』


( ´_ゝ`)『何事も形からだろーが!』


(´<_` )『やれやれ。ほれ、俺も用意したぞサムコルトだ』

そういって弟者は兄者に黒光りする拳銃を手渡した。
形から入る兄者は、その凶器のデザインにうっとりする。


( ´_ゝ`)『まさに悪……だな。もう戻れねーぜ俺たち』


(´<_` )『もとより進む以外考えてないさ。そうだろ? 兄者』

135 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:05:20 ID:HWEiDKZc0

( ´_ゝ`)『しゃーねぇなぁあって感じだは。冗談だけど』

(´<_` )『おいおい、もっとやる気を持とうぜ!
       この狂った世界を清く正しくだな……』


( ´_ゝ`)『俺にはそんな高尚な信念はない! だがな、ま、
       流れ星のように燃え尽きるまでやってやるぜ』

(´<_` )『ありがとう兄者。だが臭いぞ』


( ´_ゝ`)『うるせぇ。ありがとうかあ、もしこの道が正しければ
       生き甲斐を与えてくれた弟者に今度は俺が言わなくちゃな』

(´<_` )『正しい道のはずだ。俺たち兄弟の行く先は全て』

( ´_ゝ`)『うむ……』


( ´_ゝ`)b『流石だな。俺ら!』d(´<_` )

136 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:07:34 ID:HWEiDKZc0


(´<_` )『さあ、初仕事だ。さっそくだがマフィア襲撃するぞ』

( ´_ゝ`)『えーっと……ブレイディ・チームか。何だいこいつらは』

(´<_` )『ガキ相手にヤク売るクズ連中さ。裁きに行く』


そうして兄弟はスーツを羽織り、
兄者はコルト銃を、弟者はタブレット端末を片手に
白昼堂々と標的のチームに制裁を加えにいった。


****


( ´_ゝ`)『おらおらおらおるぁ!! 巨大権力のくせに逆らうんじゃねえぞ』


そして、頭皮から血が溢れ出ている黒人マフィア構成員の頬に銃口を押し付ける。
兄者は髪の毛をひっぺがす勢いでそいつの顔を持ち上げながらそう言い放った。

137 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:12:19 ID:HWEiDKZc0


飛び散ったガラス破片、引っ繰り返しになったデスク、
だらしなく開かれたその引き出しと、踏まれに踏まれた書類の束。
血まみれのまま壁の四隅に積まれた構成員。
壁には真新しい銃痕が点々と作られ、それらから焦げた臭いがした。


( ´_ゝ`)『ヒィヤッハァアア!!!』


ブレイディ・チームのボスであるビルは、まったく呆然としていた。
とつじょ乱入してきた二人組のチンピラから襲撃を食らい、反撃しようと
四苦八苦している頃にはもう、血の臭いと硝煙とがフロアに漂ったのだ。


ビルは混乱していた。何故かコメカミに銃口を突きつけられている。
そうしてパソコンを差し出され、脅している方のチンピラが悠然と、


(´<_` )『さあボス。被害がデカくならないうちに
       早いとこ、コカのルートを教えてくれませんかね?』



.

138 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:13:57 ID:HWEiDKZc0


( ´_ゝ`)『喚くんじゃねえぞ、オラッ!』


(´<_` )『ほら、ボス。データベース開いてくださいよ』

ビルは催促をする方のチンピラをガンづけて、

『誰なんだよお前らは! どこの組の連中だ!?』

(´<_` )『どこの組か、だって?』


『アイアランドの鉄砲玉か? それともル・ペンの……』

弟者がビルの頬にツバを吐きかけた。

(´<_` )『見当はずれなことばかり宣いやがって……
       俺たちは何者でもねえよ』

139 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:17:27 ID:HWEiDKZc0

(´<_` )『家族もいねえ、コネもねえ、金もねえ。
       お前らと違って守る物がねえ種類の人間よ』

『なァんだ……結局金が欲しいだけのハイエナか!』

ビルが鼻でせせらった。

『狂犬どもが、俺たちを……』

(´<_` )『もういい』


「あばよ」と弟者は告げ、引き金をひいた。鈍い衝撃が拳銃越しに伝わった
かと思うと、目の前のビルの頭がトマトのように弾けた。机にも壁にも
パソコンにも弟者のスーツにも暖かい血が散りじりになっていった。

( ´_ゝ`)『おうおう弟者。やっちまったら駄目なんじゃないのか?』

息のある構成員を縄で縛り付けながら、兄者が笑ってそういった。

(´<_` )『壊滅できただけでも及第点さ』

パソコンを弄りながら弟者は事も無げに呟いた。

140 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:20:18 ID:HWEiDKZc0
.

( ´_ゝ`)『そうなのか?』

(´<_` )『ああ。近辺のチームと情勢も判ったしな。
       とりあえずこいつらの財布掻払って、出ていこうぜ』


去り際に弟者はビルの血で「FUCK the Brady Bill!」と壁に記した。
息絶えたビルの頭蓋を掴んで、その死に顔を写真に収め、
今度は血文字をバックにシャッターを押す。


(;´_ゝ`)『おいおい何やってんだ、どんな趣味だよお前』

(´<_` )『これをあるチーム名で投稿してやるのさ。面白いことになるぜ。
       おっと。その三下共も殺しとかなきゃな」


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・

141 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:24:57 ID:HWEiDKZc0


無鉄砲な襲撃は功を奏することになった。抗争の激化するシアトルに
ぽんと投げ込まれたブレイディ・チームの襲撃情報は、更なる
泥沼をマフィアに陥れるものであった。火薬庫でキャンプファイヤーを
開始したような有様で、爆発と混乱とがシアトルを駆け抜けていった。

誰も流石兄弟のことなど知らなかった。彼ら兄弟が波に乗り出して
いくのは、シアトルを紛争地帯のように仕立て上げてからである。


(´<_` )『狩りの時間だぜ、兄者』

( ´_ゝ`)『おうおう、腕がなるぜ』


始めは間隙を縫うように殺し合いを勝ち上がっていった。
そして巨大チームへの煽り文句を残し、ふたたび影に潜んでは隙を伺う。

兄者は元々腕っ節が強かった上に、こと銃に関しては天賦の才を持っていた。
昼にはスナイパーとして教科書ビルからマフィアの後頭部を打ち抜き、
夜になれば少人数のマフィアと挑んでは拳を振るった。

142 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:33:51 ID:HWEiDKZc0

弟者は専ら情報収集に奔走した。兄者が連れてきたぼろぼろの
チンピラを拷問して重要情報やトップのシモの情報を聞いたりが大半
だったが、汚職警官に擦り寄って情報を買うことも屡々だった。

暴力と情報とを操りだし、軌道に乗り始めた頃になって、
ようやく世間は流石兄弟という存在を知り始めた。
この時点では「悪魔兄弟」だの「ディアブロ兄弟」と呼称されている。

また、名が知れ渡り出した段階では、
阿部の言うように「イカれた兄弟」というのが市民の概ねの感想だった。


「イカれた兄弟」の転機は、左翼側のメディアのインタビューに応じたときである。
兄者は貧困社会の現状を苦々しげに語り、弟者は既存権力への反抗を訴えた。


( ´_ゝ`)『富民層の連中は火星移住に目が行って、何も知らんだろう。
       いや、元々お前らは下の人間に目を向けなかったさ。

       俺達はな! お前たちの食い残したライビタを青いポリバケツから
       漁って、お前たちに供給する麻薬を死にもの狂いで運んで!
       俺達兄弟は食いつないできたんだ!』


(´<_` )『俺たちは自分たちのために戦乱を起こしたんじゃない』


(´<_` )『俺達は弱者の代表として、この腐敗した世界に小石を投じたんだ』

                   .

143 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:41:14 ID:HWEiDKZc0


(´<_` )『火星移住で既にセレブ共は続々と消えている。やがて
       地球に残されるのは俺達のようなゴミばかりになる。

       今ここで! 既存体制をブッ壊さなければ!
       もう我々に希望は生まれないのだ!!』 


わざわざメディアを通じて考えを訴えたのは、世論を味方につけたかった
のもあるが、何より政治家に自分たちの便利な道具ぶりを
アピールすることが第一だった。


始めは兄者はそれに反対した。
流れ弾のような、持たざる者の俺達兄弟だけでやることに意義があるのだと。

しかし弟者は、自分たちだけではやれることに限界があると反論した。
権力に擦り寄るのは確かに不本意だが、のちにそいつらも食い散らかしてしまえばいい、と。

弟者の目論見は正しかった。メディアに登場したその翌日には、
新興政党の大物政治家から使者と資本とを渡されたのである。

弟者は早速、その政治家の弱みを探りはじめた。

144 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:47:48 ID:HWEiDKZc0

メディアに登場したことによって、流石兄弟のファンも登場した。
彼らの仲間になりたいと志願する者の存在だ。

兄弟は、その志願者の来歴をじっくりと観察し、敵対組織の者でない
と確信を得たら、すぐに仲間として歓迎することにした。
これも兄者は当初は反対していたが、参入者の熱意に触れると意見をころっと変えた。


( ´_ゝ`)『いやあ! 仲間ってのはいいなw』

( ・−・ )『シーンです!よろしくお願いします、兄者さん!』

彼は自分たちと同じく、貧民街の出の者だった。

( ´_ゝ`)『ああ! 俺達はファミリーだ! 仲間だ! 家族だ!』




(´<_` )『ああ。"流石ファミリー"さ』



                .

145 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:52:00 ID:HWEiDKZc0


――真夜中のシアトル。その路地。


川;` ゥ´)『や、やめてくんな! あたいにも貞操ってもんが……』

(゚皿゚メ)『イヒヒ……』

今まさに、口から涎を垂らした男が拳銃を片手に女に迫ろうとしている。
女はその男に財布を差し出して逃げようとしたが、
男にとって金銭など目当てではなかった。ただ己の欲を処理したいだけである。

女は気がついていないだろうが、男の左腕には注射痕が点々と作られている。
今宵も強烈なドラッグをガンギメて、さながらゾンビのように
徘徊しては理性抜きの行動に出ていたのだった。

(゚皿゚メ)『す、す、スケ……スケベしようやぁッ!』

川;` ゥ´)『な、なぁ頼むよ! こんな……イヤだよ』

月の照らす夜道のことだった。しかしその瞬間。
 サイレンサーつきの銃声がアスファルトに響いた。

146 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:53:55 ID:HWEiDKZc0

川;` ゥ´)『ピャ……ピャ?』

いきなりゾンビのような男が血を流して倒れた。起き上がる気配はない。
後頭部から流血するその生々しい様子が、街灯に照らされている。

男は背後から銃で打たれたのだと理解したのは、
近づいてくる二人組の男の会話が耳に入ってきてからだった。

(´<_` )『流石だな兄者。躊躇ってものがない』

( ´_ゝ`)『レイパーほど死に値すべき人間は居ないってことだ。
       それより弟者、どうなんだい?』


二人の男が死体に近付いた。弟者と呼ばれた方は、こくんと頷いて、
「間違いない。ゴア組のティッパーだ」と静かに呟いた。

( ´_ゝ`)『そうか。よかったな弟者』

(´<_` )『うむ。徘徊しているのは本当だったらしい。
       自分の持ち込んだヤクで隙を見せるとは、愚かな奴だ』

147 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 22:57:34 ID:HWEiDKZc0

川;` ゥ´)『え、あ……あの』

女は状況をまるで把握出来ていなかった。
ただ、この兄弟はメディアを騒がせた「流石兄弟」とは判った。

(´<_` )『なんだ女。まだ居たのか?』

ちらりと横を見やると、弟者は感情のこもっていない声で、

(´<_` )『とっとと失せな。俺たちゃァ正義気取りで
       あんたを助けたわけじゃねえんだよ』

( ´_ゝ`)『まあまあ弟者。こんな状況じゃ立ち竦むのも無理はない』


川;` ゥ´)『あ……あの……』

( ´_ゝ`)『なに?』

息を整えながら、女はゆっくりと声を出した。

川;` ゥ´)『もしかして……流石兄弟……なのかい?』

148 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 23:00:11 ID:HWEiDKZc0


(´<_` )『だとしたらどうする? 通報でもするのか?』

口の端を歪めて笑うと、弟者は拳銃を取り出して女に突き付けた。

(´<_` )『余計な詮索をするな。なんならマフィアらしく
       一市民の哀れな死骸を今ここで作ってやろうか?』


( ´_ゝ`)『流石だな弟者。脅しに躊躇がない』

しかし女の口からは意外な言葉が飛び出してきた。

川*` ゥ´)『よかったら……あたいを仲間に入れてくれないかい!?』


(´<_` )『……は?』


川*´ ゥ`)『あたいはね! この前のアンタたちの意見に感動したんだピャ!
       あとね! あたいはね掃除洗濯家事全般できるよ! 頼むよ〜!』


(´<_` )『………』

( ´_ゝ`)『意外な展開だな、弟者よ』

149 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 23:13:28 ID:HWEiDKZc0


( ´_ゝ`)『だが、そうなら俺が答えてやろう。
       歓迎するぞ女!』

(´<_`; )『お、おい……』


川*´ ゥ`)『ピャアア! やったピャー!!』


(´<_`; )『安易に決めるな! 俺達には敵が多いんだぞ?』

( ´_ゝ`)『だってファミリーなら女房も必要だろ?』


川*´ ゥ`)『ラザニエが得意料理だッピャ!』

( ´_ゝ`)『俺の好物じゃないか! ますます気に入ったぞ』

川*´ ゥ`)『ヒール・サトーと申しますぅ……不束者ですけどよろしくですう』

150 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 23:15:38 ID:HWEiDKZc0

こうしてヒールは流石ファミリーの女房役として仲間入りを果たした。
しかし、この入団には弟者は納得しきれず、帰り道の路地に兄者へ向かって、


(´<_` )『兄者。こういった仲間入りのさせ方はよくない。
       会って五分もたってない、素性の知れない女などなあ』

川*´ ゥ`)『ハリウッドの下町出身ですピャ』

( ´_ゝ`)『だってよ兄者。いいじゃないか。俺は信頼できると思うぜ』

川*` ゥ´)『あたいもあたいを信頼してるよ! なんちてガハハ!』

(´<_`; )『……わかったよ』

(´<_` )『ただし、アジトに戻ったら素性は洗い浚い聞くからな?』

川*` ゥ´)『どんとこーい!』

( ´_ゝ`)『はっはっは! イキがいいなヒールは!』

151 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 23:19:35 ID:HWEiDKZc0


川*` ゥ´)『アレンはジェントルマンだよねぇ』

さっそく本名で呼び捨ててくるヒールだが、兄者は気にする様子もなく、

( ´_ゝ`)『俺は女に優しくするって決めてんのよ』

川*` ゥ´)『なんで?』

(´<_` )『くだらん理由だったな』

( ´_ゝ`)『くだらなくねーよ! 女に優しくすれば、優しくすればなあ……!』


兄者の理想論が夜のシアトルの一角で開始された。
ヒールが同意をしたり茶々を入れたり、そして大笑いをする。
横で弟者は苦笑しながら兄者に突っ込みを入れて、話を的確に盛り上げた。……


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・

152 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 23:24:32 ID:HWEiDKZc0


流石ファミリーは日に日に拡大していった。
時と共に流石ファミリーの名は売れ、次第に権威さえ付随するようになった。

弟者は流石ファミリーの成長と保護とに力を入れ続けた。
バックの政党から信頼を確保しつつ、裏で支配する工作を練っていくし、
擦り寄ってくる弱小マフィアチームを選別しつつ傘下に取り込んだ。


一方、兄者は抗争の切り込み隊長として活躍し続けた。
兄者の銃の腕も飛躍的に鍛えられ、シアトルでは
右に出る者は居ないほどのガンマンに成長したのである。


そんな兄者を流石ファミリーの喧嘩組が支え続け、弟者のサポート
に下回り組が動き回る。ヒールはアジトで家事をしたり、
時にはガードマンとして活躍したりと、名実共に流石ファミリーの女房役となった。


激動の日々が続いた。
しかし、ある夜のこと。
兄者が浮かない顔をして弟者のオフィスをノックした。

153 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 23:26:34 ID:HWEiDKZc0


( ´_ゝ`)『弟者……』

(´<_` )『なんだい兄者。悪いが今忙しいんだ』

オフィスのデスクで、パソコンで
作業をしながら弟者はぶっきらぼうに言い放った。


( ´_ゝ`)『……明日お前。マフィアの談合に出るんだって?』

(´<_` )『ああ』

( ´_ゝ`)『その談合にはシアトルの……俺達が今まで嫌悪してきた、
       旧マフィアのドンもやってくるらしいな?』

(´<_` )『それがどうした』

弟者は立ち上がると、棚からいくつかの書類を手に取りそれを捲った。


( ´_ゝ`)『弟者、おかしくないか……それ?』

            .

154 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 23:37:49 ID:HWEiDKZc0


(´<_` )『なにが?』

ここでようやく弟者は兄者に目を向けた。

( ´_ゝ`)『俺達がこの道に進んだのは、そういう連中を倒すためだった
       はずじゃないのか? それを談合で麻薬ルートの取引だなんて……』

兄者は苦々しげな表情をした。兄者の疑問はそれだけではない。
このオフィス――いや、流石ファミリーのアジトもそうだった。

安いアパートだったアジトは、いつしか都心の一頭地の豪邸に変わった。
その新アジトには応接室がいくつも作られ、観葉植物や剥製が彩っている。

何よりも兄者がおかしいと感じたのは、その応接室にやってくる人間たちだった。
その人間たちこそまさに、『貧民を虐げた、既存体制の老害たる存在』だったのだ。


(´<_` )『……ファミリーの拡大のためだ』

( ´_ゝ`)『俺達の目的はどうなったんだよ!?』

155 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 23:40:56 ID:HWEiDKZc0


(´<_` )『………』

ヴィンテージのストライプスーツに着込んだ弟者は、
明らかな怒りを持って、食いかかってくる兄者を睨んでいた。

( ´_ゝ`)『腐敗した社会に一石を投じるために、流れ星のように
       燃え尽きてやろうってのが始まりだったんじゃないのか?
 
       それが今やどうだ? 俺達が、その腐敗権力の一部に……』

(´<_`#)『理想ばかり語んなよッ!!』

弟者がいきなり怒鳴った。空気が震える。
兄者は目を見開いて、我が弟の激昂ぶりを見つめた。

(´<_`#)『燃え尽きるだと……? この巨大化したファミリーで、
       今更そんなこと出来るわけねえだろうが!』

( ´_ゝ`)『お、弟者……』

(´<_`#)『特攻隊気分で襲撃なんて、もう出来ねえんだよ!
       ……兄者、お前はファミリーを路頭に迷わす気か?
       俺達にはなぁ、もう"責任"が生まれているんだよッ!』

156 名も無きAAのようです :2012/02/20(月) 23:42:02 ID:/luJ9EGAO
待ってました!今から追い付きまする。
セントジョーンズの活躍がいつ来るのか楽しみにしてますす。

157 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 23:42:33 ID:HWEiDKZc0

( ;´_ゝ`)『……責任』

兄者はその二文字を噛み締めるように口にした。
責任。弟者の脳内にはその概念が鎮座しているのだ。

(´<_`#)『そうだよ……! トップの、トップとしての責任だよ。
       兄者は知らんだろう? このアジトの襲撃を食い止める
       だけでもどれだけの人づてと金が居るかを……。
       この書類の一つも読んだことがないんだろうッ!?』

手にもった書類をデスクに叩きつけ、それでも言い足りないとばかりに、

(´<_` )『無理なんだよ! 持たざる者には限界があるんだよ!
       だから俺はッ……のし上がるためにプライドを捨てたんだ!
       ファミリーのためにだ、兄者のためにだ……
       当初の、目的のためにだ!!』

( ;´_ゝ`)『す、すまなかった』

ボルサリーノ帽のつばを触りながら、兄者は気まずそうな顔をした。

( ;´_ゝ`)『確かに……それは……仕方のない、ことなのかもな』

158 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 23:45:50 ID:HWEiDKZc0


( ´_ゝ`)『………』

(´<_` )『怒鳴って、悪かった』

黒革の椅子に体重を預けると、弟者は暗い顔になって、

(´<_` )『俺自身……矛盾は、感じていた。
       だけどこれは必要悪だと……そう信じているんだよ』

( ´_ゝ`)『ああ……俺も、お前を信じることにする』



兄者は「すまなかった」ともう一度詫びを入れると、部屋を後にした。
ぼんやりしたまま階段を静かに降りる。するとリビングで、シーンとヒールが
ホログラム射撃訓練に明け暮れていた。兄者はその背後に回って、


( ´_ゝ`)『……ふふ。へったくそだなぁお前らw』


( ・−・ )『あ、兄者の兄貴ィ!』

川*` ゥ´)『あんね! あたいたちもアンタみたいになりたいんだピャ!』

159 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 23:49:37 ID:HWEiDKZc0

( ´_ゝ`)『はは! そうかそうか。(兄者の兄貴っておい)』

( ´_ゝ`)『貸してみな。200ヤードからはな……
       こうやって、ちょっとずらしめで、撃つんだよ!』


( ・−・ )『うわっスゲー! ドンピシャリだッ!』

川*` ゥ´)『アレン唯一の長所だピャ! それくらいはねー』

( ;´_ゝ`)『唯一だとてめッコラ! もっとあるっつーの!』


********


それからも、流石ファミリーは順調に規模を拡大していく。

弟者の手腕により、兄者の戦闘力により、
シアトルきってのマフィア・ファミリーへと成長していったのである。

弟者が火星進出を狙ったのは、そう遠くない話であり、そして……


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・

160 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 23:54:04 ID:HWEiDKZc0
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161 名も無きAAのようです :2012/02/20(月) 23:55:07 ID:o4l0cZyMO
兄弟のすれ違いが・・・・

162 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/20(月) 23:56:47 ID:HWEiDKZc0


―― ハーモニー。早朝。



( ´_ゝ`)


夢から醒めた。過去の記憶を、地球時代を思い返していた。
頭を振るい、今日の業務の内容に考えを定める。

寝室の弟者を起こして、朝食のハムエッグを作り、
それを使用人らと共に食卓へ並べていく。




そして虚無の一日がまた始まる。


               
               .

163 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:00:34 ID:1tLvvKhc0


流石兄弟は「バイフック」へ向かった。
道行くハンター連中は兄弟とすれ違う度に恭しくお辞儀をする。
弟者はさもそれが当然であるかのような顔をし、兄者は無表情のまま
それらを素通りしていく。

バイフックでは判事やシェリフ、役職者との会合のために利用されている。
弟者をトップに据え、それらをサポートする複数の役人という組織図である。


( ´_ゝ`)


兄者は壁にもたれ掛かって、その話し合いを眺めていた。
弟者は会議の中心として議題を持ち出しては会議を進行させる。
その円卓へ、しきりに水やウィスキーを運んでは空のグラスを
片付けるマスターの表情は、ハインリッヒを失ったショックからか大変に暗かった。




会議もそろそろ終わりという時間になって、スイングドアが
豪快に開かれ、憮然とした表情の来客者が現れた。兄者はちらりと目を向ける。

              .

164 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:05:05 ID:1tLvvKhc0


(メ#ФωФ)「………!」

来訪者はロマネスクだった。顔中に出来た生傷が、
憤怒の表情で歪みきって、いっそう醜さを引き立てている。

それらの傷は全て弟者の指示したリンチによってつけられたものだった。
ハインリッヒに誘惑され、みすみすドクオを取り逃したという名目で制裁されたのだ。

しかし、ロマネスクが事の真相を知り、そしてハインリッヒがもうこの村には
居ないということまでも教わった。もう、発狂しそうな怒りを抑えきれず、
何もかも投げ捨てる勢いで弟者の元へ向かっていったのである。

物々しいその雰囲気に、店中の人間は只事ではないと緊張を走らせたが、


(´<_` )「なんだお前か」

弟者は興味なさげに呟いて、腕時計のネジを締め直した。

(メ#ФωФ)「……ハインちゃんはどこに行った?」

(´<_` )「はぁ?」

165 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:06:59 ID:1tLvvKhc0


(メ#ФωФ)「ハインちゃんはどこなんだって聞いてんだよ!!」

叫びながらロマネスクはガンベルトから拳銃を取り出した。
店中の人間がざわりと声を上げる。ロマネスクの銃口は、弟者に向けられた。


( ´_ゝ`)


(´<_` )「……この村の掟。先に銃を取り出した方が罪に問われる」


(メ#ФωФ)「んなことどうでもいいんだよォ!!
       ハインはどこだよっ……ハインはどこだ!!
 
       ハインリッヒを……ハインを返せェエエエ!!!」




――そしてバイフックで、銃声が破裂した。



              .

166 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:10:48 ID:1tLvvKhc0


(メ#ФωФ)「………」


(メ#ФωФ)「……う、うぅ……」


(´<_` )「やれやれ」


(メ# ω)「ハイン……ちゃ……」




( ´_ゝ`)



ロマネスクは声を震わせ、涙を目に溜めながら崩れ落ちた。
兄者はいつの間にか拳銃を手にしていた。その銃口から立つ煙を眺めている。
そしてロマネスクは抵抗する暇も与えられず、絶命に至った。

(´<_` )「これで正当防衛っと。兄者、その犯罪者を捨ててこい」

兄者は頷くと、店からボディーバッグを借りてそれにロマネスクの死体を詰めた。
暖かい血が手に掛かり、橙色のボディーバッグも大部分が鮮血に染まった。


兄者がボディーバッグを背負って店を出る間際、バイフックの店主は
「ハインは本当にどこに行ったのですか?」と弟者に訪ねた。
しかし弟者は何も答えず、ウィスキーを味わってはにやつくばかりだった。

167 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:14:13 ID:1tLvvKhc0

兄者は村外れの平原に着いた。そこはハーモニーにとっての墓所であった。
幾度となく掘られ埋められてい、緑は生えず、黄土色の土が不自然な凹凸を作っている。
そしてその凸の部分には大体が墓碑代わりの木の棒が刺さっていた。


( ´_ゝ`)


兄者は捨て置かれたシャベルを持って、墓穴を新たに一つ作った。
そしてロマネスク入りのボディーバッグをそこに落とすと、土砂で覆い隠す。

盛り上がった部分に木の棒を刺すと、兄者はその墓所を後にした。



*****



バイフックへ戻る途中、大通りの片隅で男二人に絡まれている
女性を発見した。男は兄者と同じくハンタールックをしていて、
女の方もカウガールの服装をしている。



           .

168 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:14:13 ID:1tLvvKhc0

兄者は村外れの平原に着いた。そこはハーモニーにとっての墓所であった。
幾度となく掘られ埋められてい、緑は生えず、黄土色の土が不自然な凹凸を作っている。
そしてその凸の部分には大体が墓碑代わりの木の棒が刺さっていた。


( ´_ゝ`)


兄者は捨て置かれたシャベルを持って、墓穴を新たに一つ作った。
そしてロマネスク入りのボディーバッグをそこに落とすと、土砂で覆い隠す。

盛り上がった部分に木の棒を刺すと、兄者はその墓所を後にした。



*****



バイフックへ戻る途中、大通りの片隅で男二人に絡まれている
女性を発見した。男は兄者と同じくハンタールックをしていて、
女の方もカウガールの服装をしている。



           .

169 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:15:03 ID:1tLvvKhc0
多重投稿しちまった、どっちか無視してね

170 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:17:24 ID:1tLvvKhc0


||;‘‐‘||レ「……嫌ですっ…イヤ! 嫌なんで……」


エノーラは今日もまた、ハンターにからかいのようなナンパを受けていた。

いつものことだが、まるで慣れない。
エノーラにとってはまさに反吐の出るような時間だった。
しかし、ときどき、


( ´_ゝ`)


兄者が無言の制圧を放って、ハンターどもを追い払ってくれるのだ。

今日もそうだった。ハンター二人はバツの悪そうな顔をして、
そそくさとどこかへ逃げていく。兄者はガンベルトを指で撫でていた。

||‘‐‘||レ「あ、ありがとございます」



( ´_ゝ`)


       .

171 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:19:10 ID:1tLvvKhc0

兄者は何も語らず、何も答えない。

だからエノーラにはその真意がまるで読めない。
けれども兄者のおかげで幾分か助けられているのも事実だった。


||‘‐‘||レ「これからお仕事なんですか?」

エノーラは世間話を兄者に持ちかけた。兄者はいつものように無言だが、
しかしエノーラの足元に散らばった蒔の一本々々を拾い上げてくれた。

||‘‐‘||レ「あ、そんな……ごめんなさい」

その蒔を全てエノーラに手渡すと、兄者はやはり何も言わずに去っていった。

エノーラはその後ろ姿に小さくお辞儀をした。

ハンターなんて大嫌いだ。どこか行ってしまえと心の中でつぶやき続けている。
だが唯一、兄者にだけは好意を抱いていた。

そして感謝をする度に、ノーナンバーズの皆に申し訳なさを感じていた。

・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・

172 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:22:13 ID:1tLvvKhc0



――ふたたび場所と時とが変わって、ホテル・サイドニア。


(’e’)「頼むっ……今日こそァここにぃ!」


セントジョーンズは祈るような
気持ちで、ホテル・サイドニアの玄関に立った。


( ^ω^)「おはようございますお、お客様」

新人らしいドアマンに連れられ、セントジョーンズはロビーにやってきた。

いつも通りのホテル・サイドニアだ。
いつかは自分もここで長期滞在したいとは思っている。

しかし今は、レセプションにもエレベーターにも
目を向けることなく一目散にラウンジの方へ小走りで向かった。


               .

173 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:26:00 ID:1tLvvKhc0

― 昼前のティー・ラウンジ。



川 ゚ -゚)


クー・スナオリャはドニアンティーを
味わいながら、ラウンジのシルヴィアン調のソファに腰を預けていた。

カップから口を離して、軽くため息をついた。
それから窓の向こうに広がる火星のだだっ広い荒野を眺め、
ぼんやりと天井の農耕画を見上げた。


川 ゚ -゚)「ふぅ……」

クーには課題がいくつも残されていた。

連載中のコラムのネタ。――また締切に追われそうだ。

忌まわしきハンターの殲滅。――そしてその手掛かりの入手について。

ホテルサイドニアの正体を暴く。――その手掛かりが意外に見つからない。

174 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:30:06 ID:1tLvvKhc0


川 ゚ -゚)「………」


そのどれもがクーの精神や神経を圧迫していた。
膨大な宿題に追われつつ音楽院の
受験勉強に取り組んだ、あの学生時代を思い出す。


……さしあたっての課題は連載のコラムだろうが、ペンを走らす気にはなれない。
ある人から受け取った、ハンターの悪行の証拠――といっても、それ単体では
充分な威力を発揮し得ない――のことで頭がいっぱいだった。



(゚、゚*トソン「あ、あのっ……ドニアンの! お代わりは、大丈夫ですかぁ?」

川 ゚ -゚)「ん。では貰おうか」

(>、<*トソン「はい! 頑張って作っちゃいます☆」


小走りで厨房へ駆けるコンシェールの背中を、
クーは目で追い続けながら「このホテルのIRをくれないかなぁ」などと考えた。
ホテル・サイドニアは非公開株式のため、まともな情報がプレスにさえ届かないのだ。

175 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:33:46 ID:1tLvvKhc0


(’e’)「あ、あの〜」

川 ゚ -゚)「……?」

すると、妙な小男がへらへら笑いながら話しかけてきた。

(’e’*)「ク、クー・スナオリャさんですよねぇ〜!?」



***** *****


セントジョーンズは心のなかで小躍りした。
ようやく探し求めた、クー・スナオリャに出会えたのだから!



川 ゚ -゚)「なにか?」

(’e’*)「あーっとですねー……」


間近で見るクー・スナオリャは格別に綺麗だった。
透き通るような白い肌に、整った鼻梁とフェイスライン。
全てを見通すかのような幻惑的な瞳、
そしてそのじっとりした目線が、自分に向けられている。

176 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:35:39 ID:1tLvvKhc0


(’e’*)「あ〜……その〜……」


(’e’*)「ぼかぁセントジョーンズって言います! よろしくっす!」


川 ゚ -゚)


(’e’*)


川 ゚ -゚)


(’e’*)



(゚ -゚ 川 プイッ「そう・・・」


(’e’;)「(無関心!? ……ていうか、あ……ああ……)」



(゚ -゚ 川




(’e’;)「(や、や、……やっちゃったぁ〜おれ!)」

.

177 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:43:14 ID:1tLvvKhc0

見つめ合うと、素直にお喋りできないもんである。
それも目当ての人物(おまけに超のつく美人)、初対面ともなれば尚更だ。

セントジョーンズにとってはテヘペロもいいとこなミスである。
しかし、これはクーにはどう映ったかというと、


(゚ -゚ 川「申し訳ないがナンパ師には興味がないので」

(’e’;)「あっあ、あ! いや!」


(’e’;)「違います! ナンパとかじゃないです!!
     用があってぇ、クーさんに話しかけたんす!!」

(゚ -゚ 川「私はあなたに用がない」

(’e’;)「うわぁ〜〜!(やっちまったぁ!)」


(゚、゚#トソン「お客様、当ホテルの品位を乱すような行為は謹んでいただけないかと」

(;’e’)「あっ! ちが! 違うんすよこれはぁー、ワケがぁー」

(゚、゚#トソン「いずれにしろクー様からはお離れくださいねェお客様!」


(゚ -゚ 川「………」


(;’e’)「あの、あの、……あうあう」

178 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:47:34 ID:1tLvvKhc0


(;’e’)
「あ……あ……その……」


やってしまった。これではただのナンパに失敗した哀れな小市民だ。
おまけに怒り狂ったコンシェールからは慇懃無礼な言葉の洪水が飛び出てくる。


(^、^#トソン「反対側のピアノ側の席をご用意させていただきますねェ」



ここは一旦離れるべきか、と考えた
辺りになって、ドクオの後ろ姿が脳内に浮かび上がった。

ドクオは今……無謀な挑戦を行い、命さえ落としかねない状況だ。

もしここで自分が引き下がれば……時間のロスが生まれてしまえば……



(;’e’)



絶対に、許されない結果が待つことになる。



 
               .

179 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:52:12 ID:1tLvvKhc0
.
          



       ('A`)『お前に任せたぞ、セントジョーンズ!』  






バイクに乗る間際の、ハンター村へ単身向かう間際の、
そのドクオの言葉が頭のなかをこだました。そして、



(; >e<)「すみませんでしたクー・スナオリャさん!!!」



セントジョーンズは考えるより先に、まずその場で土下座をした。

真紅のカーペットに額を擦りつけ、がむしゃらに謝った。              

    .

180 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 00:56:40 ID:1tLvvKhc0
.

(; >e<)「さっきの無礼は許してくださいぃ! 僕はほんとに用があって!
     あなたに会いにきたんです! ドクオさんが、ドクオさんがぁ!」

床に手をつけながら、セントジョーンズは叫ぶように続けた。
周囲が、好奇の目でセントジョーンズの姿を見下ろす。
だが、セントジョーンズには、意地よりも大切な使命があったのだ。

あの小煩い暴力ブサメンからもらった、大事な使命が!


川 ゚ -゚)「ドクオ?」

(゚、゚;トソン「お、お客様? あの……」

川 ゚ -゚)「トソンさん、大丈夫ですから。……ええっと、セントジョーンズくん?
     とりあえず、顔を上げてくれないかな??」


(; >e<)「話を聞いてくださるまではぁっ!」

川 ゚ -゚)「聞くよ、聞くさ勿論。……ドクオって、このホテルに泊まっている考古学者の?」

ここでクーが興味を示してくれた。
ようやくセントジョーンズは頭を上げ、


(’e’;)「そうです。そのドクオさんが今大変なことになってるんす!」

181 ラスト投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 01:04:49 ID:1tLvvKhc0


川 ゚ -゚)「大変、とは?」

(’e’;)「ドクオさんは今ッ! ハンター村に一人で向かってるんです!
     サポートしないといけないんです! そのためには、
     クーさんの手を借りないといけないんですよぉ!!」

川 ゚ -゚)「……はぁ」

クーから見れば雲をつかむような話であった。
なぜ考古学者が危険極まりない「ハーモニー」に突撃したのか。
そしてなぜ、私の力が必要だというのか。

しかしセントジョーンズという男の、必死な形相から嘘ではないことは伺えた。
何より、ライターとしての興味が湧いてくる内容であった。

川 ゚ -゚)「詳しく一から話を聞こう。トソンさん、ドニアンをもう一つ」


川 ゚ -゚)「……それとセントジョーンズくん。悪いが、一応身分の証明できるものは?」


(’e’;)「あ、はい! 発掘許可証が! 二種です!」

川 ゚ -゚)「なるほど。たしかにドクオ氏の助手らしいね?」



こうして、セントジョーンズは関門であるクー・スナオリャへの取り付けに成功した。
身分証明が出来たことが、なによりクーの警戒心を溶かしてくれた。



持っててよかった、第二種発掘許可証!


       
           .

182 ◆tOPTGOuTpU :2012/02/21(火) 01:06:35 ID:1tLvvKhc0
今日はここまでにします。
短めで申し訳ない。
今度は100レスくらいぶつけるお。

それでは、よい夜を

183 名も無きAAのようです :2012/02/21(火) 18:15:50 ID:MQoWnud.0
待っとる!

184 名も無きAAのようです :2012/02/21(火) 18:37:37 ID:.iEVCr0c0

次回も楽しみにしてる

185 名も無きAAのようです :2012/02/21(火) 22:17:35 ID:PXDJZtswO
兄者…

186 名も無きAAのようです :2012/02/22(水) 07:59:44 ID:Zsr4qVwMO


187 名も無きAAのようです :2012/02/22(水) 13:14:01 ID:1sIXnTvk0
乙乙
セントジョーンズいいやつ

188 名も無きAAのようです :2012/02/23(木) 17:44:13 ID:cIzwFm0QO
乙!

189 名も無きAAのようです :2012/02/25(土) 23:13:07 ID:nPLK/Sr60
相変わらず面白い

190 名も無きAAのようです :2012/02/27(月) 21:36:55 ID:PqVMXc/kO
読み応えがあって素敵

191 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/01(木) 01:30:23 ID:E9OTpzFA0
みんなありがとう。そのレスのどれもが俺のやる気の原動力になります。
で、進行状況は現在30レスくらい。かなり書けたと思う。
100レスうんぬんはまだ厳しいけどね。

ところで今考えていることについて。

SS速報板ってあるじゃん。あそこにこの現行を投下するのはどうかなって。
あそこ見てきたけど、ブーン系もなくはないんだよね。数は少ないけどさ。
だからちょっと、やってみるのもどうなのかなぁって。
願わくばシベリアのように受け入れてくれるといいんだけど。
やるだけの価値はあると思う。感触を確かめたいというか。
だから次は、もしかしたらSS速報板でやってみるかも。
その後はまだ決めかねている。vipに行くか、こっちに戻るか。続投するか。

というわけで、わざわざageて宣言します。
ぼろぼろになって帰ってきたら、慰めてやってね!

192 名も無きAAのようです :2012/03/03(土) 22:19:50 ID:7W2X0TnMO
SS速報は過疎だし冷めてるけど根強い読者がつくイメージ
やるなら野次馬しにいくぞー

193 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/06(火) 01:01:58 ID:O//ZDSNY0
ありがとー
私生活が落ち着いたら移行してみます
定期的な投下が求められそう? なので

194 名も無きAAのようです :2012/03/13(火) 18:55:33 ID:waZVsEx.0
投下します

195 名も無きAAのようです :2012/03/13(火) 22:07:03 ID:zcRrW41c0
期待

196 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 22:25:33 ID:waZVsEx.0
投下量しょぼいけど、頑張っかんね
SS速報はルールよくわからんから明日から本気出すってことで
とりあえず今日はここに投下

197 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 22:54:15 ID:waZVsEx.0

なぜ考古学者が危険極まりない「ハーモニー」に突撃したのか。

そしてなぜ、私の力が必要だというのか。

しかしセントジョーンズという男の、必死な形相から嘘ではないことは伺えた。

何より、ライターとしての興味が湧いてくる内容であった。


川 ゚ -゚)「詳しく一から話を聞こう。トソンさん、ドニアンをもう一つ」


川 ゚ -゚)「……それとセントジョーンズくん。悪いが、一応身分の証明できるものは?」


(’e’;)「あ、はい! 発掘許可証が! 二種です!」

川 ゚ -゚)「なるほど。たしかにドクオ氏の助手らしいね?」



こうして、セントジョーンズは関門であるクー・スナオリャへの取り付けに成功した。
身分証明が出来たことが、なによりクーの警戒心を溶かしてくれた。



持っててよかった、第二種発掘許可証!


       
           .

198 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 22:55:34 ID:waZVsEx.0
.

















.

199 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 22:57:54 ID:waZVsEx.0



――また、ふたたび。時と場所とが戻って、昼下がりの「ハーモニー」。



(´<_` )「我々は監査に会いに行くが……」


( ´_ゝ`)



正門前に停車した白のベンツに、流石兄弟が乗り込もうとしている。
それを部下達が膝を付きながら取り囲んでいた。まさに主人と召使いの構図であった。


(´<_` )「くれぐれも面倒ごとは起こすなよ?」


その言葉に、部下たちは一斉に頭を下げながら「了解しました!」と合唱する。

200 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 23:01:38 ID:waZVsEx.0

( "ゞ)


流石兄弟を乗せたベンツが荒野を走り出す。
それをデルタは舐めるように眺め続けた。

ベンツが地平線の彼方に去って、ハンターが各々に姿勢を崩したり
職場に戻ろうとする喧騒の中、デルタただ一人だけは膝をついたまま、

門の向こう――見えなくなったベンツを
いつまでも求めるように、目を凝らし続けた。


( "ゞ)「………」

やがてデルタは腰を上げ、そしてずんぐりむっくり体型の一人のハンターに
目を向ける。そいつは欠伸を噛み殺しもせず、馬鹿みたいに口を開けていた。

( "ゞ)「……よし」


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・

201 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 23:07:26 ID:waZVsEx.0

それからわずか一時間後。
ハーモニーに建てられた木造住居の二階にて、



('A`)「おい……騒ぐなよ?」

(;´$`)「う、うぐ……」

('A`)「騒ぐなと言っている。実力行使してやろうか?」


その部屋では、判事風の男がドクオに背後を取られ、コメカミに銃口を
押し当てられ、更に声が出せないように喉越しに声帯を圧迫されていた。

男――判事のスクラフィはなんとかその脅迫から逃れるために、
喉に巻き付いたドクオの左腕を剥がそうとそれを両手の爪で
引っ掻いたりたりしたが、まるで効果が現れなかった。

ばかりか、抵抗すればするほどドクオの腕の力は強くなっていく。

ドクオが撃鉄の音を鳴らすと、スクラフィはすぐさま両手を上げた。

202 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 23:09:59 ID:waZVsEx.0

(;´$`)「頼むっ……命だけは助けっくれ……
       いうことをきく、きくから……」

('A`)「………」

しかしドクオがほんの少し腕の力をゆるめると、

('A`(;´$`)「だっ誰かァー! たす、助けっ……!」


いきなり助けを求めはじめた。

ドクオはそれ以上声が出せないよう、いままで以上に強く首を圧迫し、
そしてこめかみに当てた銃口を下にずらし、

スクラフィの右小指に向けて射撃した。


(;゚$`)「ギッ!? っ……あっ……ぁぁぁ……!」


木目の床に鮮血が滴った。スクラフィの身体は小刻みに震えたかと
思えば、硬直し、また苦痛で震え始めた。

('A`)「まだ叫びたいか? 次はどこを撃ってほしい?」

ドクオは耳元にそっと囁いた。

203 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 23:16:29 ID:waZVsEx.0


(;゚$`)「っ……! ……!!」

首元のドクオの腕によって、叫ぶことはおろか
まともに息をすることも出来ずにいた。恐怖と痛みが
スクラフィの心と身体を完全に支配し切った。

右小指は焼けたような痛覚に充ちた。心臓の鼓動が信じられないほど
大きくなり、その間隔にあわせて流血していっているようであった。……

ドクオは錯乱状態のスクラフィをしばらく見やると、
そっと拳銃をしまってからその小指に簡易の止血を施した。
それさえスクラフィは気づかずにいる。

ドクオはふたたび銃を握って、もう一度小声で、

('A`)「死にたくなければ言うことを聞け……俺をその倉庫へ案内しろ。
    言うとおりにすれば殺しはしない……」

(;゚$`)「うぅ……うううっ!」


('A`)「流石兄弟を裏切るのが怖いか? だがなお前にはそれ以外の道はない。
    俺を拒否すればお前は死ぬんだからな。今この場で」

204 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 23:19:37 ID:waZVsEx.0


('A`)「お前のこれから唯一の生きる道を教えてやろう。
    俺をその倉庫へ案内し、俺の発掘ツール及びデータを渡す。
    それだけだ。理解出来たらさっそく行動に移してもらおうか?」


(;゚$`)「………っ………!」

スクラフィはそれから、小さく頷いた。


・・・ ・・・・・
・・・ ・・・・
・・・ ・・・
・・・ ・・


夜明け前のノーナンバーズのアジトでのことだった。
ジンの焼け付くような感覚を味わっているドクオに、デルタが近づいて、

( "ゞ)「それ以上飲むな。チャンスは明日しかない」

('A`)「んあ?」

( "ゞ)「明日、お前には奇跡的なチャンスが訪れる」

205 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 23:22:56 ID:waZVsEx.0


(*゚∀゚)「どーしたんさデルタッ! しかめっ面しちゃってさ!」

( "ゞ)「ついでにお前も聞いておけ、明日ミッションを行う」

('A`)「「ミッション?」」(゚∀゚*)


('A`)「それは一体どんな?」

グラスの中のジンを惜しそうに見つめて、しかし興味深げにデルタに訪ねた。

( "ゞ)「いいか。俺は雑用で重要な仕事は任せられないにしろ、
    一応はハンターの側に立っている。だから内情は知ることが出来る。
   
    トップの会議の時間帯、倉庫番のシフトなどをな」

('A`)「なるほど」

( "ゞ)「明日の正午から流石兄弟はマーポールの監査と会うために
    このハーモニーから離れる。その離れた間には、倉庫番の
    交代の時間がやってくる。俺の知る限り、もっとも間抜けた倉庫番に変わる」

(*゚∀゚)「あー、あいつ? スクラフィ?」

( "ゞ)「そうだ」

206 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 23:24:43 ID:waZVsEx.0


(*゚∀゚)「知ってるかいドクオ! スクラフィの馬鹿っぷりをさwwwww
     あいつったら靴磨きさせんのに水磨きとワックス塗りの区別がつかないんさ!」

('A`)「そ、そりゃ馬鹿な奴だな。……つまりデルタ、こういうことか?
    その時間帯に倉庫の物を盗める可能性があると?」

( "ゞ)「ああ」

(*`・ω・´)「な〜にやってんだお前ら。俺も仲間に入れてくれよぉ〜」

べろべろに酔っ払ったシャキンがマジキチスマイルで三人に近づいてきた。


( "ゞ)「ついでだ。お前も聞いておけ。……阿部! エノーラ!」


( "ゞ)「全員の力を合わせなくちゃならないミッションだ」

207 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 23:31:42 ID:waZVsEx.0


倉庫は裁判館の近くに建てられている。ドクオは脅しをかけるのは
近くの宿舎の、スクラフィの着替えの最中
……デルタの手解きによって侵入した後になる。

しかし脅迫に成功しても、宿舎と倉庫との間の往来を歩く間際に
他のハンターに見つかったら全てが水の泡になってしまう。

よって、



(*>∀<)「きゃぁ〜〜〜!!! いや〜ん!!」




つーとエノーラがメインストリート側で小火騒ぎを起こし、
(普段の給仕の仕事のミスを装い、)



(`・ω・´)b「(いいですよ!)」

('A`) コクン

宿舎の対面に位置する路地裏からシャキンがタイミングを見計らいドクオに
合図を送り、それからドクオがスクラフィを連れて宿舎を後にする。……

208 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 23:34:19 ID:waZVsEx.0


スクラフィがそれでも路地で抵抗しようとすれば、


N| "゚'` {"゚`lリ


宿舎の影に潜んだ阿部が、搾乳の仕事を抜け出してきたその彼が、
ドクオの手助けになるように飛び出してくる算段であった。



('A`)「進め。……よし、鍵を開けろ」

(;´$`)「………!」


わずかに地面に垂れたスクラフィの血痕も、
阿部とシャキンとが後で拭いてくれることだろう。
ドクオはこの作られた真空地帯の中で、倉庫に侵入することが出来た。

('A`)「……中に入れ」

209 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 23:38:09 ID:waZVsEx.0


ドクオは倉庫をじりじり進みながら、ミッションの現時点での成功に
喜びを感じていた。しかし、まだまだ課題は残されている。

こんなことも考えた。ノーナンバーズのメンバーが居なかったら、
セントジョーンズの仕事が成功できなかったら。

きっと何もできないままであっただろう。
つくづく無謀な賭けをしたものだと苦笑しかけた。

だが、ハンターに発掘品を奪われて泣き寝入りなど、絶対にごめんであった。


(;´$`)「……ここに、ある」

(;´$`)「だがお前の発掘物は弟者の鍵が無ければ」

('A`)「さしあたってはこの中にある俺の発掘ツールだけでいい。
    メッターはあるか? カメラは、その中のデータは?」

(;´$`)「ある……と思う」

('A`)「それでいい」

210 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 23:44:20 ID:waZVsEx.0


スクラフィが番号錠を拙い動作で解錠していく。
その後頭部に銃口を向け、脅しをかけ続ける。

ドクオはスクラフィが落ち着きを取り戻し、緊張までも
弛緩しているのを感じていた。

おそらく、発掘品が奪われないことに安堵したのだろう。
これ程度のミスなら、流石兄弟も許してくれると考えているに違いない。


金庫が開いた。ドクオの発掘ツールがそこに眠っていた。
スクラフィからメッターとカメラを渡される。

ドクオはさっそくその発掘カメラを確認した。カメラの中の
写真のデータは抜き取られていた。
学術的機能には気概は加えられていなかったが、

('A`)「データはないのか?」

(;´$`)「さぁ……知らないよ!」

('A`)「………」

ドクオはもう一度、発掘カメラに目を落とした。
バッテリーの残量は充分で、送信機能も問題はない。

211 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 23:49:23 ID:waZVsEx.0


('A`)「そうか……」

(;´$`)「や、やめてくれ! データは俺の管轄外なんだッ!
       こっから先は俺も知らねえ! ほんとなんだってば!!」


('A`)


ドクオはスクラフィににじり寄った。スクラフィが小さく「ヒッ!」と
声を挙げたが、構わずに……スクラフィのホルスターから拳銃を奪って、


('A`)


そのまま倉庫から出ていった。


(;´$`)「……え?」

スクラフィは呆然としながら、その後ろ姿を眺め続けた。……

212 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/13(火) 23:56:22 ID:waZVsEx.0



"一仕事"を終えると、ドクオと阿部とシャキンはアジトへ戻った。
といってもシャキンは本来の残業に取り掛かろうとすぐに出ていったが、


N| "゚'` {"゚`lリ「うまくいったようだな」

('A`)「ああ」

('A`)「発達した文明と学問の中、古生物学者が
何を使うかに、
    よっぽど頭を働かせなかったらしい」



N| "゚'` {"゚`lリ「けど、これが失敗したらどうするつもりだったんだ?」

('A`)「相当妥協したプランになってたさ。ふふ」


ドクオはカメラを弄んだ。そして、阿部の持ち込んだ本日の新聞に目を通す。

213 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:02:32 ID:x215COcw0


N| "゚'` {"゚`lリ「クーのコラムかい?」

('A`)「合図を送るようにセントジョーンズの方から伝えたんだ。
    もし了承してくれたなら、コラムに特定の一文を入れてくれって」


('A`)「………」


('A`)「……あった」

N| "゚'` {"゚`lリ「動いてくれるのか?」

('∀`)「ああ! セントジョーンズの奴。成功させやがったな!」


アジトの
なかでドクオは歓喜の声を挙げた。

本日のミッションでの功労品のおかげで、あの憎き流石兄弟……
いや、ハンター組合全体に決定的なダメージを与えることが出来る。

ドクオの反撃は、これ以上ない形で成功することになった。

214 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:14:06 ID:x215COcw0


発掘用のカメラ。これの存在意義は、偽証の殲滅のために存在する。
学者それぞれに支給され、その写真データにはその学者の名前が不変に埋め込まれることになる。

更に、日付と場所を入力することで、


('A`)「バックアップとして、研究室にデータが自動送信される」

N| "゚'` {"゚`lリ「それで、ちゃんと送信は出来たかい?」


共に「ハーモニーの現状」を写真に収めた阿部が、すこし不安げに聞いてきた。



('A`)「大丈夫。元々の写真データ取られた以外は何も変わってなかった。
    ……俺が仲間になることを皮算用して、変にイジりたくはなかったんだろう。

   それにさ、そのデータもロック掛かってるからそう簡単には見られないしな」

('A`)「しかしハンターの技術じゃ解析されるのも遠い日ではない。
    早いとこ、そのデータも回収しないといけなくなっちまった……」

215 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:17:51 ID:x215COcw0











                .

216 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:20:30 ID:x215COcw0


―――― 日の暮れたハーモニー。 裁判館の1F。



(´<_`# )「この無能がァッ!!」


弟者が怒号をあげた。
そして床に転がっているスクラフィを、さらに蹴り上げた。


(;´$`)


真紅のカーペットの上で、ごろんとスクラフィの身体が半回転する。
両手両足を縄で縛られているため、一切の抵抗ができない状態だった。



(´<_`# )「発掘カメラを……発掘カメラを渡しただとォ!?」

(;´$`)「す、すみませ……」


ふたたび弟者が蹴りをいれる。弟者のローファーの靴底はもう、
スクラフィの血で汚れに汚れていた。

217 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:22:33 ID:x215COcw0



( ´_ゝ`)


兄者を含め、弟者の取り巻きは
壁を背にその制裁する様子を眺めるばかりだった。

誰もカメラの性能について記憶していなかった。
兄者を除くそれぞれの判事やハンターは、自身がスクラフィの立場だったら
果たしてカメラを渡していただろうかと思案を巡らせているに違いない。

当の弟者はひたすらスクラフィに暴力を加えていた。
腹立ち紛れの所業だった。スクラフィの顔面をなんども踏みつけて、
それでもまだやり足りないとばかりに、花瓶を振り下ろしたりもした。



(´<_`# )「ふざけやがってっ……! ふざけやがって!!」


肩で息をしながら、弟者は怒りの言葉を吐き続けた。

スクラフィが完全に気絶すると、仕方ないとばかりに携帯タブレットを取り出し、


(´<_`; )「
作戦変更だ。"別ルート"を展開するしかない」

218 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:24:34 ID:x215COcw0


別ルートとは、いかにも「ドクオがどうしても誘いに応じない」
ときのためのプランであった。もし頑なにハンター側に入らないのならば、
ドクオの研究室に刺客を送り込んで、研究資料を無理やり奪還し、
その研究内容を把握した後に、ドクオを始末するという妥協案である。

ハインリッヒに語っていた案であったが、あまり使いたいものではなかった。
なぜならそれは、弟者に屈服しない者を自身の手で確立させてしまうからである。



(´<_`; )


しかし、写真を……このハーモニーの非人道的な現状を外部に
漏らされたのなら、もはやこの妥協案に頼るしかない。
既に、モテナイ大学院のそばにスタンバイしている刺客に電話口から、


(´<_`; )「おいお前ら。大至急その研究室を襲撃しろ!
       多少の殺傷ならある程度揉み消してやる!
       ――今からだ!! たった今からやれ!」

219 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:26:18 ID:x215COcw0


だが、刺客のリーダーからの返答は「無理です」という一言だった。


(´<_`# )「無理だと? ふざけるな!! 緊急事態なんだ!
       皆殺ししても許す! 奨励もくれてやる!
       サーバーを壊すだけだ!! さっさとやれッ!!」


激昂する弟者の耳に届いてきたのは、俄に信じられない情報であった。


(´<_`; )「…………なんだと?」


(´<_`; )「そんな……そんなことが?」


―― ―――
―― ――――
―― ―――――


('A`)「セントジョーンズを通じて、所長に言っておいた。
    研究センターの警備レベルをホワイトハウス並にしてくれとな。

220 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:28:04 ID:x215COcw0


('A`)「警備アンドロイド、警備員を可能な限り導入してくれ、と。
    俺が……ハンター村に居る間、そうしてくれと頼んだんだ」


('A`)「そしてセントジョーンズが先回りをして、そのデータを
    別の機関へ転送するように仕向ける。……ハンターの手の及ばない場所にだ」

('A`)「クー・スナオリャが、そのデータを基に
   ……記事を書き、そして……」


というのが、夜中にドクオが説明した計画の流れだった。

懸念材料は山ほどにあった。まずその前に殺されること。
カメラが壊されること。そして、セントジョーンズが失敗すること。
あまりにも不確定要素が多すぎて、いくつもの妥協案を練ってきたが……

('A`)「だが、うまくいった」

スクラフィの背広の裏に取り付けた盗聴器を聞きながら、ドクオはにんまりした。

221 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:31:18 ID:x215COcw0



('A`)「無理に奪還しようとしても無駄だ。別の場所にデータは転送されてるから。
    そもそも、研究センターに乗り込めば即逮捕させてやるぜ?」

ドクオは阿部と顔を見合わせた。そして、乾杯をする。


―― ―――
―― ――――
―― ―――――


(´<_`; )「………ッ!」


刺客に「見つからないうちに逃げろ」と指示を出してから、
弟者は冷や汗を流して、計画の破綻する音を脳で感じていた。


(´<_` )「馬鹿な……」


次々と、こちら側の隙を突くような行動をしてくる。
弟者としては、信じられない思いで一杯だった。

222 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:33:42 ID:x215COcw0


(´<_` )「どうして……こちらの隙をこうも……」


あの学者ぶぜいめが。弟者は唇を噛んだ。
そして「ハーモニーの写真データ」も、こうなっては
予め別の場所に転送されている可能性が高い。

こちらの打つ手を確実に潰すために。



―― ―――
―― ――――
―― ―――――


N| "゚'` {"゚`lリ「だが、写真はともかく大学院襲撃はどうして読めたんだい?」

阿部はウイスキーに舌鼓をうつドクオに、そんな疑問を投げかけた。


('A`)「ハンター側が優秀な古生物学者たる俺を勧誘することは分かっていた。
    だが、俺は死んでも誘いに乗らないだろう? だから奴らは
    仕方なく妥協として、俺の研究データを根こそぎ奪う……
    俺が、絶対に勧誘されないと知ったあとでな」

223 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:35:50 ID:x215COcw0

('A`)「はじめにバイフックで弟者がまんまと誘いの言葉を
   かけてきたとき、しめたと思ったもんだぜ。あの時点では
   俺が仲間になると本気で考えていたみたいだからな。
   つまり待ち構えたくせに油断しているとすぐに判った。

   あいにく俺はハンターごときに手を貸すつもりはねぇ。
   それを奴らが知る頃にはもう、研究センターは強固に守られているって算段だ」


('A`)「たとえ俺を殺したところで、俺の長年の研究データが
    全て奪われることはない……。そういう意味じゃ、入村する前で
    俺の勝ちは決まっていたもんだ。奴らに渡さずに済むんだからな」


N| "゚'` {"゚`lリ「お前はほんと、いい男だぜ。間違いなくな」


それからアジトにやってきた残りのメンバー、
シャキン、エノーラ、つーがやってきた。ドクオはガッツポーズをしてみせた。


だがドクオは笑顔を振りまきながら、一つの懸念を感じていた。

224 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:38:32 ID:x215COcw0


―― ―――
―― ――――
―― ―――――


(´<_` )「………」

弟者は兄者のガンベルトからコルト銃を抜き取ると、それで
スクラフィの頭蓋を吹き飛ばした。断末魔など耳に入らない。

そうして反動の残滓を感じながら、返り血を浴びながら、
弟者は考えをめぐらし続ける。


( ´_ゝ`)


(´<_` )「これは……俺のミスなのか?」


研究センターの襲撃失敗はともかく、
発掘カメラの件について、弟者は疑問を感じていた。

なぜ自分はあの発掘カメラという危険な道具を杜撰に管理していたのか。

答えは単純で、ドクオにそれの奪還は不可能と踏んでいたから。

225 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:41:09 ID:x215COcw0


(´<_` )「いかに知識豊富な学者といえども……こちらの、
       我々の管理体制やシフトを知れるはずがないだろう」

倉庫番のなかで最も「愚かな奴」がドクオの私物を守り、
そして俺が村を離れているタイミング……この隙を、
ハーモニーにきて三日目のドクオが知る手立てはない。自力では。

それにあの学者は無謀に見えて、ある程度の勝算は得ようとするタイプだ。
無鉄砲にスクラフィのバカを脅したら、それがたまたま最高のタイミングだった、
そんな奇跡に縋っていたわけではないだろう。

(´<_` )「俺らのなかに内通者がいるな……」

弟者は小声で結論を導いた。
それも、信念もへったくれもない……原住民の人間が疑わしい。
具体的にいえば、"デルタ"など。弟者はあたりをつけた。


しかし、写真を撮られた今、疑わしき者を洗い尽くすには時間が足りなさすぎる。

226 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:44:18 ID:x215COcw0


(´<_` )「………」

ドクオに交渉するという案がふいに浮かんだ。
奪ったモノをドクオに返す代わりに、口止めをするという……。


(´<_` )「ふざけるな……!」


弟者は自身でそれを否定した。そうして、裁判館のロビーを
血走った目で見回した。たちまち敬礼をするハンター達。

そうだ、こちらには手足などいくらでもある。
そして、「ハインリッヒ」が。

(´<_` )「おいお前ら、"キャリア"の準備は出来たか?」


手下に尋ねると、そいつは「勿論です」と最良の返答をした。


(´<_` )「よし」

227 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:48:25 ID:x215COcw0


(´<_` )「妥協などするものか……! あの学者ごときに!
       確実に、確実に手駒にしてやる!」

弟者は忍び笑いをする。
そうとも。カメラを振りかざしたところで、殺人現場までは撮ってはいまい。
ハーモニーの全てが崩壊する決定的瞬間はまだ、得てはいないだろう。
こちらにはハンター組合と、マーポールのバックがあるのだ。


(´<_` )「俺に反撃など、無意味だと身体に教えこませてやる……!」




            

・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・
・・ ・・・・・・

228 ラスト投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:50:18 ID:x215COcw0


・・ ・・・・・・

・・ ・・・・・・・
・・ ・・・・・・・・



『兄者よ、火星進出をすることにしたぞ』

  『そうか』

『我々流石ファミリーの力を持って、新たな地を支配してやろう!』

  『そうだな……』

『浮かない顔だな兄者?』

  『そんなことはないさ。期待している』

『……これは、俺達にとって最良の選択なんだ。分かってくれよ』

  『ああ、分かっているとも』

  『お前を、信じ続けているからな』

229 ◆tOPTGOuTpU :2012/03/14(水) 00:51:19 ID:x215COcw0
投下おわりんぐ
よい夜を

230 名も無きAAのようです :2012/03/14(水) 01:07:20 ID:AY5IT0FE0

いい夢見ろよ

231 名も無きAAのようです :2012/03/14(水) 11:50:16 ID:TLX64P0UO
おつおつ!

大分ハーモニー編終盤にきたな。

232 名も無きAAのようです :2012/03/14(水) 21:45:56 ID:NjfveyGYO
乙乙

233 名も無きAAのようです :2012/03/15(木) 10:58:00 ID:IthaAWiQO

全面戦争だの

234 名も無きAAのようです :2012/03/15(木) 12:14:22 ID:gDwJADPQO
乙!

235 名も無きAAのようです :2012/03/15(木) 19:45:51 ID:IO1P84B.O
乙!ドクオさんかっけぇ

236 名も無きAAのようです :2012/05/16(水) 11:36:44 ID:p.mDnUssO


237 名も無きAAのようです :2012/05/25(金) 10:48:37 ID:xZnkkpqIO
くそーくそー
投下さえくれば人生が充実するのにー
くそーくそー

238 ◆tOPTGOuTpU :2012/05/30(水) 21:48:41 ID:ouYSl9i.0
さいきん無駄に忙しくって書けなかったぜぃ
6/3は俺の作者記念日だからそれまでには投下したいなぁ、出来るかなぁって考えています

239 名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 12:11:43 ID:DVjW92BI0
うっひょょょょ!!、

240 名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 17:04:10 ID:LVTMt4WMO
jmwtjgpjmtgpmaaaaa

241 ◆tOPTGOuTpU :2012/06/02(土) 22:12:42 ID:RLVYFWI60
ぐっ・・・待ってくれた人達・・・すまねえっ・・・!
明日だとどうしてもレス数が白けるほどに少なくなってしまう・・・
一週間後に投下します、記念日だからと、、、いや、記念日だからこそ、
数レス程度の投下は許されないっ・・・!
あと一週間っ・・・申し訳ないっ・・・!

242 ◆tOPTGOuTpU :2012/06/02(土) 22:13:55 ID:RLVYFWI60
ageちまつた、
一週間後までになんとか30レス以上は拵えるっ・・・!

243 名も無きAAのようです :2012/06/02(土) 22:20:25 ID:30xY0s/.0
がんばれ 待っている・・・!

244 名も無きAAのようです :2012/06/02(土) 23:46:24 ID:CWWqyWP2O
期待しまくってやんよ

245 名も無きAAのようです :2012/06/21(木) 08:04:40 ID:UcLF5ALkO
ざわ・・・

246 名も無きAAのようです :2012/06/24(日) 00:25:15 ID:QstiEkWg0
パソコンをまcに換えたんだが全然仕様がわからんのです・・・

247 名も無きAAのようです :2012/08/07(火) 09:46:23 ID:rNBh9ZVwO
おおい

248 名も無きAAのようです :2012/08/28(火) 12:09:53 ID:RlErClzAO
おーい

249 名も無きAAのようです :2012/09/07(金) 02:58:36 ID:O4QE5unU0
正直遅れに遅れスマンカッタ
言い訳は投下後にしよう。

250 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 13:53:16 ID:qtzFmzVM0


新聞の深き谷にも光射すそれぞれの朝ホテルサイドニア

太陽の位置が少し遠ければ陽光もまた他人の優しさ

しみじみと酔えば恋しきわが故郷汚れ染めたるカード眺めつ


まとめさん
ttp://nanabatu.web.fc2.com/boon/hotel_sidenia.html

久々の投下なんで、ストーリー忘れてる人いるかな? 実は俺もそうなんだ。

251 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 13:54:14 ID:qtzFmzVM0


・・ ・・・・・・

・・ ・・・・・・・
・・ ・・・・・・・・



『兄者よ、火星進出をすることにしたぞ』

  『そうか』

『我々流石ファミリーの力を持って、新たな地を支配してやろう!』

  『そうだな……』

『浮かない顔だな兄者?』

  『そんなことはないさ。期待している』

『……これは、俺達にとって最良の選択なんだ。分かってくれよ』

  『ああ、分かっているとも』

  『お前を、信じ続けているからな』

252 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:02:27 ID:qtzFmzVM0




 

        図書館によって真実を得た。
   
        勤労によって反抗心を得た。





       あとはただ、人生設計をするだけだ。

253 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:07:20 ID:qtzFmzVM0
.


―― サンフラワ内 「ホテル・フーリッシュ」


( ゚∀゚)『おう楽にしとけよお前ら』


( ´_ゝ`)『は、はぁ……』

(´<_` )『ありがとうございます』


( ゚∀゚)『ええっと、アレン・ニコラスにオリバー・トーマスの
     ジャーブロ兄弟……流石ファミリーの創始者か。

     噂はこの火星にも行き届いてるぜ?
     とんだ凄腕らしいじゃアねーか』

(´<_` )『お褒めの言葉ありがとうございます。ナガオカさん』

( ゚∀゚)『ジョルジュさんでいいよ。……ほら楽にしろったらァ〜』

( ´_ゝ`)『あ、はい……』

254 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:11:18 ID:qtzFmzVM0
.

( ゚∀゚)『シアトルねェー……』


ホテル・フーリッシュの南米風の一室で、三人の男が酒を交わしていた。
ジョルジュの背後の大窓にはもう闇しか映っていない。
暖色調のランプだけが部屋を照らしている。

今回が初顔合せであり、ジョルジュは頻りにファイルに
目をやりながら流石兄弟の顔を確認している。

その度に兄者は、居心地の悪さを感じてしょうがなかった。
逆らえない者に評価の目を向けられるのは性分ではない。
そもそもが、目上の人間自体に慣れていない。

反対に弟者はこういった場には慣れているようで、ジョルジュの
グラスが空になる度に、甲斐甲斐しくお酌をしていた。


( ゚∀゚)『兄貴の方が27で……弟は25か、俺と同い年だぜオリバー』

(´<_` )『それは光栄ですね。兄者がなんとも羨ましい』

( ;´_ゝ`)『………』

255 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:13:31 ID:qtzFmzVM0
.

( ゚∀゚)『それじゃさっそく本題に入るか』

弟者のついだ赤ワインにオレンジジュースを乱暴に注ぎながら、
ジョルジュはへらへらと話をし始めた。

( ゚∀゚)『俺ら"ハンター"もまあ大体はおんなじ。マフィアみたいなもんよ。
     違うのがシノギにもう一種類増えたってだけかな』

( ゚∀゚)『同じなのはヤク・オンナ・バクチの三種の神器な。
     ここらはお前らも手馴れたもんなんだろう?』

(´<_` )『そうですね。我々は特にヤクに重点を置いてきましたが』

( ゚∀゚)『扱ってたのは?』

(´<_` )『ベロセットにシンセメスク、それにドレンクロムも少々』


( ゚∀゚)『ん。うちも似たようなもんだ。仕入れは?』

(´<_` )『マクダウェルからです』

256 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:15:51 ID:qtzFmzVM0

( ゚∀゚)『いいねいいね。頼りになる。うちはヤクはまだ素人裸足でな』

( ゚∀゚)『そんで新たなシノギってのが"発掘"だ。コレがデカい』

(´<_` )『いわゆる、"マーパーツ"ですか』

( ゚∀゚)『そう。俺はな、大学で学んだからちぃっとばかし
知識があんのよ。発掘のノウハウやらなんやらをな。
     だから非学術系のグループの中じゃァかなりやれてる方でな』

( ゚∀゚)『たとえばオンナはうちの系列のBランだとワンプ12k。
     そんで俺ら本部に入ってくるのは6kなんだが、これを
     フル稼働させても週100万が限界なんだよな』

( ゚∀゚)『対して発掘は利サヤがデカすぎる。一回の投資に10万かけて
     その百敗が返ってくることもザラだ。エビだとなぁ、
     プアでも600万はするし、プリスティンともなりゃァこのビル買えるぜ』

( ´_ゝ`)『すごい……いや、それは本当に凄いですね』

( ゚∀゚)『だろう? うちは現状エビに資金源を頼ってるもんでな。
     ただし圧力も相当なもんでな、今はマーポール[火星警察]へのバラ蒔きと
     他のサポートに四苦八苦ってもんだ』

257 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:17:15 ID:qtzFmzVM0


(´<_` )『一発がデカくとも持続力がないですからね』

( ゚∀゚)『そうそう。オンナはもうやめようかなってくらいだよ。
     タイから来たパッタヤー組が質からノウハウまで一級すぎるし
     せっかく上質な女取り込んでも、それがそのまま利に直結するわけじゃねえ』

(´<_` )『なるほど……』

( ゚∀゚)『そう。商いに力を入れすぎて俺らハンター組合は
     抗争への一手が足りないって現状さ、いずれ不足するに違いねえ。
     お前らには研修みてーのが終わり次第……ぶっ殺しチームに回ってもらう。
     戦争が終結する頃には、お前らの玉座もきちんと用意してやるさ』


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・

258 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:19:32 ID:qtzFmzVM0
.

(´<_` )『ジョルジュってのも、大したことのない奴だな』

帰りの車内、助手席に座る弟者が出し抜けにそんなことを言った。
運転中の兄者はその言葉の真意が掴めずに、「はぁ」なんてつぶやく。


(´<_` )『商いのことなんざ、言われるまでもねえことだよ。
       結局は抗争についてのこの紙束で済んだのに、
       ぐだぐだぐだぐだ組合のことばかり……。
       紙四五枚で済むことだろうに』


(´<_` )『まぁ、マーパーツの相場については参考になったかな。
       又聞きより第一人者からのがよっぽど情報が強い。
       ……とはいえ、それ以外はなんの参考にもなりゃしねえ』

( ´_ゝ`)『ジョルジュさんはもう俺らの上司なんだぜ?』

(´<_` )『なんだよ兄者。兄者こそ日和ってんじゃないのか。
       俺らに上司? そんなものは仮初だよ、ジョルジュなんて
       しょせん、担いであげてる神輿に過ぎんだろう』

259 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:26:28 ID:qtzFmzVM0

( ´_ゝ`)『……そうだった、すまんな』

(´<_` )『俺は忘れてないから。兄者に言われたことを』

シアトルのアジトで口論になったあの夜を、弟者は思い返しながら、


(´<_` )『食い散らかそうぜ。この火星を』


( ´_ゝ`)『そうだな』


歯切れ悪く光るフォボスに照らされながら、セダンが荒野を
駆け抜けていく。路肩の向こうに広がる火星の赤土は
地球人には見慣れないものである。

不安がないとは言い切れない。

けれども、ふたりには野心があった。宇宙の闇に似た性質の、
何もかもを取り込んでやろうという狂気めいた野心が。

260 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:32:09 ID:qtzFmzVM0

・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・


―― 火星の新アジト(小さなプレハブ)


川*` ゥ´)『あ! 二人ともおかえりなさいッピャ!』

( ´_ゝ`)『おうおう、アレン様のお帰りだ貴様ら』

(´<_` )『お前達、今日はもう休んでおけ。明日は早い』


セダンをプレハブ脇に駐車して玄関を開けた兄弟は、
それぞれ違ったテンションと思惑とで、ロビーに屯した構成員達を気遣った。

弟者の言葉を受けた各々は「了解です!」と敬礼しながらぞろぞろと
寝室小屋へ向かっていく。その出ていく間際に頭を下げるのも忘れない。

そう、明日は早い。ジョルジュには、今日と明日だけで
サイドニアの地理と状況とを把握して即戦力になれと命令されたのである。
もちろん観光などではない。悪事のために下調べに過ぎなかった。

261 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:35:20 ID:qtzFmzVM0


さて、ジョルジュの命令通り、流石ファミリーはその翌日から
火星の情報収集に徹することになった。やはりそれは弟者の指示により、
大きく分けて二つのチームに分けられた上で徹底したものになった。

兄者は戦闘構成員と共にドヤ街や渓谷を歩き回り、弟者率いる本部
にそれの映像や音声、その地域の人口や状況をまめに送信する。

二日目三日目までは楽しい作業だったが、やがて緊張と重責とに
苛まされるようになっていった。地球と大きく違うところは、
なまじ開拓地であるためにあらゆるアウトローがバイタリティや
野心に溢れ、繁華街を歩くだけで流石ファミリーのような新参者は
目をつけられ、情報収集のしづらい面であろう。

小競り合いになりかけ、頭に血の昇った鉄砲玉連中を
宥めつつ影に隠れようなど、兄者にとっては苦痛で
しかなかったが、暴走などもとより許されていないのだ。

ハンター組合の古参に頼み込み、そして頭を下げることになった。
まるでそこらへんの企業人と同じじゃないかと
兄者は空笑いし、シーンやヒールにも賛同された。



.

262 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:40:18 ID:qtzFmzVM0

路地裏でバケツに座りながら、兄者は
よく部下に向かってこんなふうな問いをした。

( ´_ゝ`)『お前、母親は生きてるか?』

『一応は……』と曖昧に答える部下
を見上げながら、兄者はどこか寂しい調子で、


( ´_ゝ`)『お前がヤァ公になっちまって、悲しんでるかい?』

すると部下は空笑いをしながら、『あの婆売女は俺の名前も
忘れてるでしょうよ。俺がどうなろうと、誰も心配しやしないでしょうね』

( ´_ゝ`)『ははは、ギャングになろうって奴は大体そんな境遇だな』

( ´_ゝ`)『俺の両親はそっこーくたばってな。地域も地域だし貧乏だし
       俺は食ってくためにヤクの運びをやらざるを得なかったわけだ。

       一番割を食ったのは勉強の出来た弟者でさ。奨学金も
       出ないからアイツは大学に行こうにも行けなかったんだ』

263 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:46:32 ID:qtzFmzVM0


( ´_ゝ`)『社会のゴミ溜めに生み捨てられたような兄弟でさ、
       その社会に怒りの一撃を加えてやりたかったんだ。
       弟者がそれを口にしてくれたのさ。……俺はな、
       アンダードッグらしく野垂死ぬまで足掻きたかっただけだ。

       だが……なのに、今の俺って、俺達は何なんだろうな』

( ´_ゝ`)『いや……分かってるさ。これも壮大な弟者の計画の
       一つで、必要なものなんだ。だがなぁ、辛いよなぁ……』

兄者はオフィスワーカーの営業めく自身に嫌気がさしていた。
偵察のためにニューシベリアのような極寒の地で身体も休めぬ
まま働かされ、その情報を日報としてまとめあげる。そんな日々。

耐え抜いたのは、弟者の「いつか食い散らかす」
という言葉を信じ続けてきたからでもあった。


まもなくして弟者は別の仕事……幽霊会社を立ち上げ、
それを後ろ盾にドラッグの売り捌きを円滑させる、
本部直々の重要な仕事を任されるようになった。

264 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:48:56 ID:qtzFmzVM0


それのサポートとして学のある者が選ばれ、
無い者は今の偵察作業の続行を命じられた。

兄者やシーンのような体力のある連中ならまだしも、ヒールなどは
学が無いというだけでこの過酷な作業を継続する羽目になった。
そのためか日に日に痩せていき、炎天下では直ぐにダウンするような有様だったが、
弟者側はこっちだって大変なんだと一蹴し、休暇を認めなかった。

川;` ゥ´)『ア、アレン……ごめんっぴゃ』

不衛生な肥溜めの傍の壁にもたれ掛かりながら、ヒールはしきりに謝った。

( ´_ゝ`)『今日はもう安め。宿を取ってやるから』

川;` ゥ´)『だめっぴゃ……そんなことしたら偵察の意味が……』

( ´_ゝ`)『………』


( ´_ゝ`)『そうだな……』



            .

265 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:50:51 ID:qtzFmzVM0


 兄者はヒールが倒れて以来、たびたび弟者に直談判を
試みたが、返事は常にNOだった。まだサイドニアの全体の
半分にも満たない程度しか独自の地図を完成させていない。
そんな状況で人員を減らすなど、彼の選択肢にはないのであろう、


(´<_` )『兄者は理解してないようだな、今の俺達の
       立場って奴を。傘下に入ったばかりの組の立場をよ』


( ´_ゝ`)『………』

立場ってなんだよ、そんなものを鼻で笑って殴りかかるのが
俺達だったんじゃないかと、兄者は言いたくなったがぐっとこらえて、


(´<_` )『最近ジョルジュから認められたらしくてな。
       ホテル・サイドニアでの会合に出席を許されたんだ。
       この時期に手を抜くなんてどだい有り得ねえよ』

266 名も無きAAのようです :2012/09/10(月) 14:53:25 ID:xB7fM5rUO
見間違いかと思った
嬉しいぜ

267 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 14:55:35 ID:qtzFmzVM0


兄者はかぶりを振ると、もういいとばかりに無言で部屋を出ていった。

乱暴な扉の立てる音の後の静寂。弟者はぽつりと、


(´<_` )『なんだアイツ……これだから、喧嘩馬鹿は』





翌日に判明したのは、ヒールはただの疲労ではなく、この頃
火星に蔓延する新型のインフルエンザにかかっていたということだった。

通常の住民なら予め、それも地球に居たころから予防接種を受けている
くらいに対策のたやすい種類だったが、ヒールのような貧民街出の
人間にとって、この病気はあまりにも危険なものであった。


細々した暇が出来るたび、兄者は病床に伏しているヒールの傍に座った。
ヒールはすっかり弱りきって、医療技術の届ききっていない火星の
僻地では回復も見込みもなく、何かを話すことさえ困難な状態になっていた。
      

そしてある日、そう、あの日。その朝に兄者はやって来た。


( ´_ゝ`)『なあヒール、ほんのすこしでいい。耳を傾けてくれ』

268 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 15:01:02 ID:qtzFmzVM0


( ´_ゝ`)『お前が居たときから因縁付けられてたアーガス組、
       あれな。俺、殴り込みにいってやろうかと思ってるんだよ』

川 ` ゥ´)『………』

( ´_ゝ`)『連中よぉ、ヤクを売り捌いてるんだがそれはいいんだ……
       売る相手を間違えてなけりゃな。知ってるか? 奴らさ、
       極貧民やガキだけに売るんだぜ? 最近のサブプライム保証なんて
       よくわかんねーもんを啜るためによ』

兄者の口調はだんだん激しくなっていく。しかしそれは、どこか嬉しげでもあり、

( ´_ゝ`)『ヒール! 俺は今まで道を見失っていたようだ。
       忘れていたよ、俺は何かに縛られるために生まれたんじゃない。
       その縛っている見えないお化けを殺すのが目標だったんだ』

( ´_ゝ`)『俺はそれで死ねるなら本望だし、俺達仲間もそう言っている。
       ヒール、俺がまだ心を死なせてないってとこを見せてやる』

川 ` ゥ´)『………』

( ´_ゝ`)『ン?……ああ、弟者のことか。……そうだな、怒られるだろうさ。
       どこぞのファミリーとおっぱじめるなんて、今のあいつには
       有り得ないことだろうさ。……ん、でもまぁ、あいつも俺と同じだ。
       いつか俺のこのスピリットを理解してくれる』

兄者は布団の隙間からヒールの手を握って、

( ´_ゝ`)『俺たちの炎は消えてないんだ。シアトルでも出来たことさ、余裕だよ』

269 名も無きAAのようです :2012/09/10(月) 15:12:09 ID:ihpFnqOw0
兄者……

270 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 15:12:40 ID:qtzFmzVM0

・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・


(´<_` )『――どういうことだ? 偵察チームが出ない?』

『はい、メールも送ったんですが開封さえされてないようで……』

(´<_` )『仕方ない。兄者に掛けるとしよう。兄者なら出るだろう』

デスクの並んだ事務所の一角、まさに流石ファミリーのデスクチームの
活動拠点では、その日、偵察チームと連絡が取れないことで話し合っていた。

弟者が兄者に電話を掛ける際、背広の一人が、

『繋がらないようでしたら偵察チーム抜きで出席するのは?』

(´<_` )『それは仁義に反するってもんだ。初顔合せで
       弱みなんか晒してたまるかよ』

ところが何度も電話をしても、兄者は一向に取ろうとしなかった。

(´<_` )『………』

ここで弟者は、ようやく事の重大性に気づき始めた。

271 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 15:15:35 ID:qtzFmzVM0


(´<_` )『……どうなっている……どうなっているというんだ』

『やはり出ませんか』という部下の言葉に頷いて、

(´<_` )『嫌な予感がする。偵察チームの事務所に向かうぞ』


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・

( ´_ゝ`)『みんな、覚悟はいいか?』

薄暗い酒場……それも、アーガス組フラットの斜向かいの処で、
偵察チームの面々は息を潜めていた。兄者が鷹揚に問いかけると、
残りの者は武者震いが止まらないという顔つきのまま目をぎらつかせた。


( ´_ゝ`)『いや、本来なら覚悟うんぬんなんていらんのだがな。
       ただ本能に従うだけなんだ、自然体に連中ブッ潰すだけさ。
       ……俺が言いたいのは、後の責任さ。喧嘩おっぱじめたせいで
       弟者やらが怒り狂うって、それに覚悟しろよって話だ』

乾いた笑い声が各々の口から漏れる。

272 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 15:20:46 ID:qtzFmzVM0


( ´_ゝ`)『なぁーに、シアトルのときと同じさ。連中が気に食わねえから
       事務所壊してやる。そんだけ。俺らにしてみりゃ日常茶飯事の喧嘩だ』

そこで鉄砲玉の一人が『それにアーガスなんてチンケなもんです。バック
なんてありゃしねぇ。ボンブもスニッフ(手榴弾)もいりませんや』

( ´_ゝ`)『ま、そんなとこらしいな。さてさて、準備はいいか?
       今までのナメてくれた分を熨斗つけて返してやろうや』


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・

(´<_` )『くそ、こりゃ時間のロスだ。兄者の野郎、なにを……』

部下の運転するセダンの後部座席で、弟者は苦々しげに愚痴た。
今日は兄弟の盃を交わす大事な日なのだ。時間など幾らあっても
足りないほどに切迫していた。


『やはり今日の予定を言っておくべきだったのでは?』

(´<_` )『いや、どうせ初顔合せなんて兄者は嫌な顔するだけさ。
       それなら当日に知らせた方がいいなって、わざわざ今日は
       偵察チーム自体をオフにしてやったっつうのに……』

273 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 15:23:46 ID:qtzFmzVM0


『はぁ、なるほど。でしたら彼ら旅行にでもいってるんじゃないんですか?』

(´<_` )『旅行ねぇ。兄者にそんな一般的な趣味は無かろうよ。
       ……嫌な予感がする。念のためにアーガスの方に連絡入れる
       算段はとっていてくれ。あっちの事務所に顔出すつもりはないんだが』

『かしこまりました』

弟者は窓に目を向けながら、そのどこまでも広がる赤い荒野を見やりながら、

(´<_` )『なにせアーガス組との盃交わしだ。武器密輸の
       エキスパートなんて火薬樽みてぇな連中だよ。ハハハ、
       石橋を壊すほどに叩かねえと今日はやっていけねぇ……』


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・

兄者はフラットを改築したようなその事務所の前に立っている。
手には一丁のリボルバーのみ。そして的確に一発ずつフラットの
覗き穴に弾を打ち込んでいく。狂気じみたその行動に周囲のアトモスフィア
が沸騰し、怒号や悲鳴がフラット内外から飛び交いはじめる。

( ´_ゝ`)『出てこいやアーガスよォ!! ちょいと殺し合いしようや!!
       それとも出来ねぇか? 生き血すする蛭にゃぁよオッ!!?』

274 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 15:28:54 ID:qtzFmzVM0


( ´_ゝ`)『おおっと』

その間際、フラットの奥側から銃弾が兄者の右耳先を掠めた。
慌てて兄者は傍の樹に身を隠し、煉瓦にめり込んだその銃弾
と威力から銃種を測定した。資源の乏しい火星にとって
そうとう高価な銃であることは容易に予測できた。兄者は
そのとき、脳裏によぎる何か得体の知れない闇を感じたが、
彼は同じく興奮している鉄砲玉の連中に、

( ´_ゝ`)『驚いた。あいつら、存外にも隠し玉を持ってたらしいな』

( ´_ゝ`)『しかし構わねえ。鉛玉もスチーム弾も全部頂いちゃうとしよう』

リロードを手早く済ませると、最後の掛け声として、

( ´_ゝ`)『いくぞ野郎ども! たまった鬱憤だ、滅茶苦茶にしてやろうぜ!!
       ヒールにゃ戦利品の土産話もうんと豪勢にしちまおう!!』


兄者を先頭にし、流石ファミリーは法律の意味もない
アーガス組フラットの敷地内に、血と勝利とを求めて入っていった。……


・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・
・・ ・・・・・・
・・ ・・・・・・・

275 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 15:34:03 ID:qtzFmzVM0
.







 ―――― ―――――――


  ――――――― ――――


   ――――――― ――――

 
    ――――――― ――――



                      .

276 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 15:37:55 ID:qtzFmzVM0

――嫌な予感がする。たかが電話の不通から始まった弟者の
危機感は皮肉にも、これ以上ない最悪の形で実現してしまった。

偵察チームがいつか暴発する。能がない分、ネクタイ締めて
九時五時なんて生活じみた真似は出来ようもないし、その上ストレス
の発散といえば暴力の道以外は知らない連中だ。弟者は事あるごとに、
そう、兄者から抗議を受ける度に、腹心の部下に冷笑を交えて説明した。

だからこそ、近いうちに――アーガスとの契を結んだ後に
ジョルジュ率いる本部の指示する抗争に参加させるつもりであった。
ほんの少し、あと二日三日の猶予があれば解消される問題の筈だった。

弟者にとっては。


偵察チームの、この今朝からのシュプレヒコールめいた
背信は、ヒールの重体からの焦燥感に駆り立てられた部分も大きかったが、
弟者には関係のないこと。


ただ残された事実は、兄と弟との思想の違いは決定的であったこと。
煩悩な後処理と謝罪の連続。そして内部分裂を完全に把握できなかった、
弟者の管理の不手際であろう。

そしてそれにより、プライドをへし折られた弟者の屈辱と怒りとだった。

277 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 15:39:32 ID:qtzFmzVM0


(´<_` )『……何か言いたいことがあるんだろう? だから、
       こんなことをやっちまった。そうなのだろう?
       だがな、黙っておけよ。でなきゃ俺はまた手を上げそうだ』


( ´_ゝ`)『………』


兄弟以外は出払った――というより、もう今は誰もいない
偵察チームの事務所で、弟者は淡々と怒りを言葉と張り手でぶつけていた。


(´<_` )『知らなかった、で済まされない問題なんだよ。
       お前だって分かるだろうが? その安っぽい脳味噌でも
       その程度はよ。お前を慕ってきた人間はどうなった?
       ああ、さえずるんじゃねえぞ? お前の発言は虫唾が走らぁ』

偵察チームの生き残りだった者たち――事務所に運ばれたが結局は
血と土塗れのまま、回復することなく死んでいった鉄砲玉達が
事務所の隅に積み上がっている。いずれは異臭を撒き散らしながら
火星の乾いた強風に吹かれ、土壌に養分を与えていくのであろう。

278 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 15:44:17 ID:qtzFmzVM0

( ´_ゝ`)『………』

無論のこと、知らなかった、でアーガス組が異様なほど武器を
所有していた致命的な現実を揉み消すことなど出来ようもない。

それに加えて兄者以外の面々が手榴弾で吹き飛ばされ、
精密ライフルで的確に眉間を打ち抜かれ、次々に命を落としていったことも。

神経毒の応用ガスで仲間の数人が発狂し、見境いなくナイフを
振り回したあの狂気の光景を、兄者はいつまでも鮮明に覚えていることだろう。

止めるために四肢を撃ち抜いたのに、それでも足掻いて
ゾンビじみた殺人を遂行しようとする、あの鉄砲玉たちを。

普段は熱っぽく兄者を慕ってきたシーンが、口に泡を垂らして
血の涙を流し狂い無様に倒れる様子は、さながら地獄の一番地のようだった。


奇跡としか言い様がないのは、兄者一人だけが軽い損傷で済み、
さらにアーガス組の人間を全て殲滅できたことであろう。これによって
弟者も助かった部分が多々あったが、それよりも、そもそもこんな抗争
さえ無ければ、という憤怒の方がとうぜん凄まじかった。


( ´_ゝ`)『………』

279 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 15:47:48 ID:qtzFmzVM0


そう。偵察チームとアーガス組は共倒れになった。
唯一生き残ったのは兄者であった。主導者の兄者だけが生延びてしまった。


(´<_` )『流れ星のように消えていく……か。お前が
       昔っから言ってた戯言だが、これで判ったろう。
       そんな殊勝な考えは思い違いも甚だしいものなんだってな。

       ほんと笑えてくるぜ。能もねーロマンチストがよ。
       しかもこんな奴が実の兄だったなんて……』

( ´_ゝ`)『それは……ほんとうに……』

(´<_` )『喋るなっつったろうが』

兄者の言い訳をぴしゃりと跳ね除けると、弟者は項垂れている実の兄に、

(´<_` )『愚か者の行動は常に愚かなものだな。えっ? そうだろ?
       てめぇらが言葉や意思を持たなければ起き得なかった問題だ。

       ああ、俺の言いたいことわかるな?
       "二度と喋ったり意思を持つな"だよ。
       てめえのすること考えごとなんて糞の役にも立ちはしねぇ』

兄者は黙ったまま膝をつくと、そのまま土下座をした。

280 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 15:53:16 ID:qtzFmzVM0


(´<_` )『兄者よ、兄者よ。誠意だけで済まされる問題じゃないんだ。
       本来ならギロチンかけても許されはしない。……だが、
       兄者、なァ兄者よ。兄者は本当なら優秀な人材なんだ。
       現にただ一人生き残れた、その身体能力と強運は素晴らしいよ。
       ただ兄者には、自分の考えなんていう糞を脳味噌に詰めてただけさ。

       ……俺のようなブレインが兄者には常に必要ってことだ。
       だから兄者、特別に……ああそうさ、許してやろうじゃぁないか。
       ただ兄者は愚かなだけだった、今まで自分の考えを持ってたことが
       間違っていただけだ。これからは何も考えず、俺の指示に従え……』

(´<_` )『従うんだ、殺人人形になれということだ』

兄者は土下座のまま、反論も何もしない。その兄者の後頭部を足で踏みつけ、

(´<_` )『俺はまだ仕事が残ってる。兄者のばぁかな考えで起こった、
       アーガス組との一件でなぁ。お前は一晩中、そのままの姿勢でいろ。
       明日、拾いに来てやるから』

くるりと引き返し、ドアに手をかけたところで、『ああ、そうそう』と最後に、

(´<_` )『ヒールは死んだよ。さっき独りで、あの病室で、な。
       可哀想に、大好きだった兄者に看取られず、孤独に息絶えちまった。
       兄者が馬鹿なことやらかなければなぁ……せめて幸せに逝けたものを』

281 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 16:06:59 ID:qtzFmzVM0


( ´_ゝ`)『………』


兄者は陽の沈みきった闇のなか、床に額をつけたままだった。
眼だけは感情的に湿っぽくなりつつも、身体はいっさい硬直し、
ただ、弟者の迎えが来るまで、その姿勢であり続けた。

ほんの一度の暴発が、最悪の結果を残した。
その事実と弟者の言葉、そしてヒールの死は、兄者からあらゆるものを奪い去った。

そして二日後、弟者とその部下に拾われた兄者からは、
生気というものが完全に失われていた。

魂の存在を命の定義に肯定するのであれば、元偵察チームの
面々は、この瞬間、まったく崩壊しきった。

流れ星になりたがった男は、その道中で炎を果たし尽くしたのだった。……


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・

流石ファミリーの名は、それからの弟者の提案により消滅した。
完全にハンター組合の一員になると、ただでさえ少数になった
元流石ファミリーの面々は、各地に分散され、連携も許されなくなった。
同地に居る流石兄弟のみが、そのファミリーの名残を残すのみとなった。

282 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 16:09:13 ID:qtzFmzVM0

弟者の働きはジョルジュを唸らせるものだった。
沈静化してゆくギャングの交戦で、ひときわ高い支配力を
手にしたハンター組合は、その多大な権力の一部を惜しみなく
弟者の立場に分け与えたものである。

そうして、ハンター組合が買い付けた村……ハーモニーの
村長の座に、弟者は収まることになった。傀儡の兄者を
ボディーガードとして働かせ、自身は力を行使することに専念した。

権力への執着。兄者の理想からくる歯止めも今は無く、
弟者による恐怖政治はハーモニーに暗い影を落としていった。

独裁者のように立ち振舞う弟者に歯向かう者は容赦なく処刑か鉱山送り
にされる。レジスタンスも唯一、ノーナンバーズを残すのみになった。

しかし、そんな絶望の村ハーモニーも、ドクオという反抗心と
探究心を兼ね揃えた学者がやって来てから、劇的に変わっていくのだった。

283 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 16:12:23 ID:qtzFmzVM0


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・

翌朝。目覚めた弟者はたちまち仕事の準備に取り掛かった。
裁判館の自身の部屋に、部下を数人呼び寄せると、


(´<_` )「あの古生物学者を何としても生け捕りにする。
       どんなことをしても、だ」

「by hook or by crook, we will」と言い切ると口元に凄みある笑いを浮かべ、

(´<_` )「しかしだ。残念なことに我らが同志の一人、愚かな愚かな
       スクラフィがドクオに反撃の一手を与えてしまった。
       これからの我々は、生半可な捕物をしてはならぬということだ」

(´<_` )「学者のカメラ。あれは非常に危険なものだ。具体的には
       法を大きく逸脱した光景を撮られてはならぬということ。
       そこでワンカー、貴様は先日死んだロマネスクとやらの
       墓を暴いて、ドクオに撮られたかを確認してこい。
       兄者、場所を案内しろ」

弟者が顎でしゃくると、ワンカーと兄者の二人が静かに部屋から出ていった。

284 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 16:15:03 ID:qtzFmzVM0

(´<_` )「続いてはベガー。お前はドクオの内通者を探り当てろ。
       どうもドクオの行動はこちらの様子を、少なくとも
       管理体制は見抜いてる節がある。お前は疑わしい者を
       リストアップするんだ。確信した場合は"キャリア"を使っても構わん」

かしこまりました、と敬礼したハンターが同じく部屋をあとにする。
残った一人に、弟者は指示を出す。

(´<_` )「最後に。ファッカー、貴様は証拠の隠滅に駆け回れ。
       つまりドクオに決定的瞬間を撮られたときのことを
       考え、その情報の転送先を叩き潰すことだ。
       ……いいや、難しくはない。前もって準備はしている。

       ドクオの部下のセントジョーンズとかいう小男、奴を追う。
       あの学者、このことを予期してセントジョーンズを安全な
       場所を往復させているんだが、ようやく居場所を掴めてきたよ」

(´<_` )「サンフラワだ。何者かのオートバイに跨って、そちらに
       移動したらしい。サンフラワといえばドクオの馴染みの場所。
       おそらく奴の個人倉庫やスパコンがそこにあるのだろう。
       追跡して、奪い取ってやれ」

285 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 16:18:15 ID:qtzFmzVM0

畏まったままのファッカーに、弟者は更に続けて、

(´<_` )「俺は昨日の大学院襲撃の後処理をせねばならん……。
       厄介なことに完全に揉み消すのは難しそうだ。
       だが、お前がきちんとドクオの個人施設を潰せばチャラ、だ」


(´<_` )「では、検討を祈る。さあ、出撃してこい」




・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
                         

―― ホテル・サイドニアからサンフラワまでの道中。


(’e’)「ドクオのバイクより、ずっとはやぁ〜〜い!!」


クー・スナオリャのオートバイの後部座席で、セントジョーンズははしゃいでいた。

286 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 16:21:13 ID:qtzFmzVM0

といっても、もちろん遊んでいるわけではない。
事情を説明し、クーと共にサンフラワまで向かっているだけである。
あの小煩いブサメンの言いつけはきちんと守っている、その上で、
ボディスーツ越しのクーの腰に手を巻きつけて、歓声をあげているだけ。

(’e’)「ひゃ〜! 風がンギモッヂィイイ〜〜〜!!」

川 ゚ -゚)「………(うるさいな、こいつ……)」


清々しいほどの晴天のなか風を切るように走っている。
確かに心地よい体感であろうが、絶叫するには過ぎている。

川 ゚ -゚)「それで、本当にドクオのPCのなかに写真はあるんだろうね?」

いつまでも叫び続ける喧しい後ろの小男に、クーは確認をとった。

川 ゚ -゚)「ハンターを殲滅できる、決定的な証拠はあるのだろう?」

(’e’)「……え? ああ、そりゃァありまさぁ。あー、多分っすね」

川 ゚ -゚)「多分じゃ困るんだがな……」

287 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 16:25:07 ID:qtzFmzVM0


そういえばと、セントジョーンズはクーに前々からの疑問をぶつけた。

(’e’)「ところでですねぇクーさん。ちょっとした質問いいっすか?」

川 ゚ -゚)「ん? なんだ」


(’e’)「なーんでまたハンター組合潰しに躍起になってるんすか?
     そりゃアイツらムカつきますけどさ、クーさんっていや
     超人気のライターじゃないっすか。何も危険なことしなくても
     普通に食っていけるっしょ??」

川 ゚ -゚)「なんだ、そんなことか」

アクセルを全開にしながら、クーは怪しい微笑みを浮かべ、

川 ゚ -゚)「あのねぇセントジョーンズくん。女がこうやって
     ぶっ潰すとか鼻息荒いときは、大体は情けない感情に起因するんだ。
     ま、具体的にいえば愛しただの振られただの、そんなのだよ」

(’e’)「へ?」


川 ゚ -゚)「不幸なことに、ジョルジュって男が好きでねぇ。
     でもジョルジュの行動は許せない。だからこの
     溜まった怒りや鬱憤を彼の矯正のためにぶつけてるだけに過ぎない」

288 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 16:29:05 ID:qtzFmzVM0


(;’e’)「えぇえええええ!!??」

驚きのあまりずり落ちそうになるセントジョーンズに、
クーは慌てた口調で付け加えた。ちらちら後ろを見やりつつ、
 
川 ゚ -゚)「いや、今のは嘘だ、冗談だ。……ま、私の
     行動原理はなかなか明かせるものじゃない」


(;’e’)「ひぃー、ひぃー」

しかしセントジョーンズはその言葉を聞かず、ラマーズ呼吸に終始している。

川 ゚ -゚)「いや、冗談だって。本当に冗談だから、決して本気にしないでくれ」

(;’e’)「ひぃーっひぃーっ……」

川:゚ -゚)「サイドニアン・ジョークだってば、ねえったら
     ……ただのジョークだよ、参ったな」




                    .

289 ラスト投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/10(月) 16:32:56 ID:qtzFmzVM0

さて、それでも走り続けるクーのオートバイを、
遠くの岩場から眺めている数人のハンターがいた。

前方に注意を向かざるを得ないクー達は気づかない。
明らかなハンターと視認できる、れいのカウボーイルックの連中に。

そのうちの一人、ファッカーという名の男は電話を取り出して、


「やはり間違いないですね。セントジョーンズの野郎、サンフラワに
 向かってます。それとクー・スナオリャも一緒ですよ……。
 ええ、ええ、そうです。あのライターの……これで奴のネタは明かされましたねぇ」


ファッカーはそれから数回確認を取ると、追跡の準備をし始めた。            



                  .

290 名も無きAAのようです :2012/09/10(月) 16:35:49 ID:qtzFmzVM0

今日はここで終わり。本当なら6月3日に投下するつもりだった。
私生活がゴタゴタし過ぎたっていう言い訳なのだけれど。

それではよい夜を。

291 名も無きAAのようです :2012/09/10(月) 16:40:03 ID:kmR5J28UO
空もこれも話忘れたが好きだぜ!待ってたぜ!読み返すぜ!乙だぜ!

292 名も無きAAのようです :2012/09/10(月) 16:53:00 ID:xB7fM5rUO


293 名も無きAAのようです :2012/09/10(月) 17:11:54 ID:NEfsR8rc0
兄者つらい
乙でした!

294 名も無きAAのようです :2012/09/14(金) 14:33:11 ID:5PKKGFjs0
自分の今までの過去スレ読み返してたら俺ってすんげえホラ吹き野郎なんだな
次回作予定はどれもデタラメだし投下予告日は守らないし、結局Macは封印したし
どこどこへ移るよっていっても腰を上げない。我ながらクソ野郎だと感心したわ

明日投下します

295 名も無きAAのようです :2012/09/14(金) 18:51:03 ID:mC7r2KlQO
把握

296 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 06:52:59 ID:RefQ7DNI0
わし今アメリカに住んでて、シベリアのip確認してもらえば分かると思うけど、
そのせいかいい時間での投下が難しくってそこが悩ましい感じですな。
ゴールデンタイムの投下するにゃ朝早起きしなくっちゃならんし、今日は寝坊したから
こんな時間ってことなんだけど、まあそう言う感じでひとつ。

>>291
空かあ、もう完璧に話忘れたから投下するにはまたすっごい時間掛かりそうですが、
それでも待って頂ければという感じでございます。。。


では投下、よっといでよんどいで

297 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 06:56:02 ID:RefQ7DNI0
・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
                         

―― ホテル・サイドニアからサンフラワまでの道中。


(’e’)「ドクオのバイクより、ずっとはやぁ〜〜い!!」


クー・スナオリャのオートバイの後部座席で、セントジョーンズははしゃいでいた。

                  

……といっても、もちろん遊んでいるわけではない。
事情を説明し、クーと共にサンフラワまで向かっているだけである。
あの小煩いブサメンの言いつけはきちんと守っている、その上で、
ボディスーツ越しのクーの腰に手を巻きつけて、歓声をあげているだけ。

298 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 07:03:20 ID:RefQ7DNI0
.




(’e’)「ひゃ〜! 風がンギモッヂィイイ〜〜〜!!」

川 ゚ -゚)「………(うるさいな、こいつ……)」


清々しいほどの晴天のなか風を切るように走っている。
確かに心地よい体感であろうが、絶叫するには過ぎている。


川 ゚ -゚)「それで、本当にドクオのPCのなかに写真はあるんだろうね?」


いつまでも叫び続ける喧しい後ろの小男に、クーは確認をとった。


川 ゚ -゚)「ハンターを殲滅できる、決定的な証拠はあるのだろう?」

(’e’)「……え? ああ、そりゃァありまさぁ。あー、多分っすね」



川 ゚ -゚)「多分じゃ困るんだがな……」

299 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 07:04:46 ID:RefQ7DNI0

(;’e’)「えぇえええええ!!??」

驚きのあまりずり落ちそうになるセントジョーンズに、
クーは慌てた口調で付け加えた。ちらちら後ろを見やりつつ、
 
川 ゚ -゚)「いや、今のは嘘だ、冗談だ。……ま、私の
     行動原理はなかなか明かせるものじゃない」


(;’e’)「ひぃー、ひぃー」

しかしセントジョーンズはその言葉を聞かず、ラマーズ呼吸に終始している。

川 ゚ -゚)「いや、冗談だって。これは本当に冗談だから、本気にしないでくれ」

(;’e’)「ひぃーっひぃーっ……」

川:゚ -゚)「サイドニアン・ジョークだってば
     ……ただのジョークだよ、ねえったら」




                    .

300 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 07:06:06 ID:RefQ7DNI0

さて、それでも走り続けるクーのオートバイを、
遠くの岩場から眺めている数人のハンターがいた。


そのうちの一人、ファッカーという名の男は電話を取り出して、


「やはり間違いないですね。セントジョーンズの野郎、サンフラワに
 向かってます。それとクー・スナオリャも一緒ですよ……。
 ええ、ええ、そうです。あのライターの……これで奴のネタは明かされましたねぇ」


ファッカーはそれから数回確認を取ると、追跡の準備をし始めた。            




・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・

                  .

301 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 07:08:13 ID:RefQ7DNI0


            @ニ,ニニニニ,ニニ
              | ̄ ̄ ̄|
              |..:..:..:..:..::|  _ _,,.. .-‐ ''' "´]
      __ .      ̄ ̄ ̄~ [_ _,,.. .-‐ '''" ~|
      | |  |             |``|.          |
: : : : : : : : :l__,l、._|             |  |        |
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  ー、 `'ー-、_: : : : : : : : : : : : : : : : :i|  |        |
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302 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 07:12:45 ID:RefQ7DNI0

―― サンフラワ。ビル街から離れた番地。


昼下がりのサンフラワはしかし、敷地内に足踏み入れれば
一気に陽光が影薄くなるようなダウナーな空気が漂っていた。

とりわけ歓楽街の方に行けば、道端に寝転ぶバックパッカーや
ゲイバーのポン引き、勝手に他人様の車を洗車しては駄賃を請求する
乞食と、堅気を寄せ付けない人間模様がそこかしこに見られた。


門出のテーマに因んだ街づくりといっても、道を踏み外せば
二度と元の世界に戻れないような新世界の落とし穴に飲み込まれる。

例えば、あなたのように何かサクセスを求めてこの街に訪れる若者のうち、
何人かは同性愛に花開いて"しまい"、場末のゲイバーで昼間ッから
酒浸りになったり、YMCAで先輩に性教育されたり、もっと悪くなれば
嵩んだ借金返済のために路地裏で自分を売る羽目になった奴もいるという。


しかし、ダンサー、ロッカー志望の若者が爆発的な名声や富を
得たという話も枚挙に暇ないので、ほいほいサンフラワにやってくる若い連中は絶えない。


エンターテイメントとジェンダー・テロリズムは切っても切れないというのは
人類古来の歴史から証明されているが、この非地球の一街がここまで極端に反映している
というのは、人間の愚かさが火星の大地に花開いたとしか言い様がない。

303 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 07:21:52 ID:RefQ7DNI0
.


川 ゚ -゚)「此処は相変わらずだな。熱気と諦念の混じりきった空気……うん、
     ほんとうに素晴らしい。人間観察にここまで適した街もないだろう」

(’e’)「はい? はい? はいぃ?」

川 ゚ -゚)「このとっ散らかったような人間模様さ。今がまさに開拓時代
     なんだ、って気づかせてくれる。そんなところだと私は思うのだ」

(’e’)「えーっと、道はこっちです」

川 ゚ -゚)「……ああ」


はてさて、セントジョーンズとクーはサンフラワの繁華街を進んでいた。

オートバイクを治安のいいビジネス街に駐車し、このだだっ広いサンフラワ
を歩いているのだが、(美女を連れて見せびらかしたがる)セントジョーンズはともかく、
クーはしきりに超小型カメラで周囲の風景を隠し撮りしたり、
その度に感想を漏らしたりと、観光も兼ねている様子であった。

――少なくとも、背後から一定の距離を保って
監視をしているファッカーらには気がついていない。



往来で擦れ違う艶やかな踊り子に見とれるセントジョーンズ、こいつは
どこまで俗物なんだとため息をつくクーの二人は、道中、屋台で買った
カエルの素揚げに塩降って堪能しつつ、ドクオの個人倉庫に向かっていった。

304 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 07:32:22 ID:RefQ7DNI0

個人倉庫、というよりは事務所といった方が正しいのかも知れない。

そのプレハブの中には研究用PCやエビの保管庫、くわえて万年床に冷蔵庫
といった造りなので、ドクオはホテル・サイドニアに夢中になる前は
ここでよくgdgdしていたものだ。ちなみに、プレハブは外観は粗末だが、
セキュリティレベルはそこらの公共施設以上に設定されているので、


(’e’)「えーっとパスは、ちょと待ってねぇん…鞄の中n……あッやば!」

川;゚ -゚)「おいなんか鳴ったぞ! このサイレンはどう止めるんだ!?」

(;’e’)「ん、ん〜っと、、、う、うわぁ〜〜」



( ´W`)「おやおや、これはドクオさんの助手さんではないですか」


プレハブの入口で慌てふためいている二人に、ドクオの知り合いがやって来た。

(;’e’)「あ、え〜っとこんちゃっす!!」

( ´W`)「このサイレンはこのリモコンでぽちっとナでですねぇ……」

どこまでものんびりした様子で、シラヒーゲは緊急ブザーを停止させた。


川 ゚ -゚)「ほっ……。ありがとうございます」

305 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 07:39:02 ID:RefQ7DNI0

川 ゚ -゚)「私はクー・スナオリャといいます。今彼の助っ人として来ました」

( ´W`)「ン? これはこれは……珍しい方も来るもんですね。
     わたしはシラヒーゲといいまして、ふがないギークですな」


シラヒーゲはクーの姿にやはり驚きつつも、ふたりに説明するように、

( ´W`)「私はドクオさんに頼まれて此処を監視していたんですよ。
     いやはや、ドクオさんは我らフリークの間では伝説のヒキメン……
     神、いわゆるゴッド――のお願いともあればこそ、ですねえ。
     とはいえ、私だけでなく、何人かで交代して見張っていたのですが」


そういうと、斜向かいの喫茶店テラスの方を振り返り、何人かを指差した。
ドクオと似た臭いを放つ三人ほどのギークらが手を振り返す。

( ´W`)「私ら、腕っ節は滅法ですがこれでも顔はそれなりに利きますので、
     たとえば今からゲイダンサーや手品師見習いなんて呼べますので。
     いやはや、神、いわゆるゴッドのためでしたら、タイのコンテスト
     で一位とったニューハーフも召喚できますぞ、ふふは」


川 ゚ -゚)「興味がないとは言いませんが、またの機会にお願いします」

(’e’;)「どうせならもっと筋肉もりもりの呼べばいいのに……ドクオさぁん……」

( ´W`)「いやはや、私ら、こう見えてもドクオ殿とは心が繋がっていますから」

306 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 07:46:42 ID:RefQ7DNI0

―― それからしばらく経った頃の、ハーモニー。裁判館2F。


デスクワークに追われていた弟者は、
たびたび掛かってくる部下からの電話に指示を出し続けていた。



( ´_ゝ`)



部屋の隅で身動ぎ一つしない兄者。
それを無視して電話し続ける弟者。
どんよりした部屋の中、弟者は電話越しの提案に対し、


(´<_` )「――だからキャリアはファッカーの確認が取れ次第と
       言っているだろう。ドクオのカメラを忘れているのか?
       ……ああそうだ、そこは間違いないのだから。……
       ともかく、今はドクオを捜す意味はない」

(´<_` )「私は忙しいんだ。……ったく、どいつもこいつも愚か者ばかり。
       部下らがせめてまともだったら、こんな思いはしないんだがなぁ」

嫌味を言いつつ、弟者は兄者を見てせせら笑う。
兄者はそれでも目線一つ変えない。これは単なる日常である。

307 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 07:53:43 ID:RefQ7DNI0


(´<_` )「それで、やはりデルタが怪しいか……ふん、だろうな。
       原住民ってのはやはり駄目だな。街を裏切り
       我々に擦り寄り、そんでドクオにも擦り寄ったか。ははは、
       根っこが卑しいとはこのことだ……反吐が出るよ、まったく」


(´<_` )「ああ、捕らえてこっちに持ってこい。西部開拓時代さながらの奴隷ぽく
       首に縄つけて手錠つけてやれ。……直々に、 嬲 っ て や る」


(´<_` )「はは、この街の支配者だからな。この私が。
       下々の躾のためにも、デルタとかいう腐れ犬を俺が殺してやろう」



( ´_ゝ`)



(´<_` )「楽しみに待ってるぜ? さあ、捕らえてこい」

そういって、弟者は電話を切ると、兄者に拷問道具を持ってこさせた。

308 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 07:57:38 ID:RefQ7DNI0


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・


公衆便所の掃除夫をさせられる。それは構わないのだが、
我慢がならないのは、その直属の上司がハンターであることだろう。


「今日は終わりだ」と言い放つ班長は紛れもなくハンターの一員で、
さらにその上には流石兄弟が管理しているというのは、
いかに温厚な阿部といえども、ストレスを溜めないわけにはいかなかった。


N| "゚'` {"゚`lリ「………」



阿部は作業着を脱ぎ、鮨詰め状態の更衣室で、誰とも会話せず
もとのブルーベリーのような青いツナギの格好に着替えた。
そのさなか周りの同僚を盗み見るのだが、誰も彼も変わらず、目の生気を
失っていた。もとよりそんなやつれた連中に阿部は欲情などしないのだが。

更衣室を抜け、渋々ながらも上司に頭を下げて仕事場を離れた。


遅滞した毎日。

レジスタンスをまとめ上げたのは、もとは復讐のためだったが、
いつの間にか傷を舐め合いお互いを慰める、悲しい寄り添いになってしまった。

そう、ドクオが来るまでは。

309 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:09:58 ID:RefQ7DNI0

ハーモニーの大通りを歩いている。擦れ違う町民は誰もが
目を伏せていた。対してハンター達はというと、下品な笑い声を
立てながらどうどうと道の真ん中を闊歩している。


(`・ω・´)「ん? 阿部さん」

N| "゚'` {"゚`lリ「おお……」


馬宿舎の前でシャキンと出会った。

(`・ω・´)「今日、飲みます?(会合ですか?)」

N| "゚'` {"゚`lリ「そうだな」

阿部はデルタに起きた出来事をシャキンに
話そうか迷ったが、この場はふさわしくないと判断した。

なにより、口にすれば自身の怒りが抑えきれなくなりそうだ。


(`・ω・´)「僕は今から仕事なんで、終わり次第ってことで」

N| "゚'` {"゚`lリ「よろしく頼む」


そういって阿部とシャキンは別れた。時間にして30秒も掛かっていない。

310 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:12:21 ID:RefQ7DNI0

まっすぐは向かわず、ぼろい宿舎の自身の部屋
に戻ってから、そろそろとアジトの方へ忍び歩きする。

その頃になると、もう阿部はデルタのことで頭が一杯になった。




――弟者様のお呼びだ。

黙々と床拭きをしていたデルタに、ハンターの冷酷な声が降り注いだ。
その様子を窓から目撃した阿部は、デルタの表情から全てを察した。

今日、デルタは殺されるのだと。

諦めとも笑いともつかない表情をしたデルタは、
そのハンターに従い、手錠を掛けられても抵抗をしなかった。


N| "゚'` {"゚`lリ「………」


阿部はデルタのことを痛いくらいに知っている。
この街のためだけに、道化になってでもハンターに擦り寄ったことも。
いつでも希望を絶やさなかったことも。


酒で愉快になる度に町の唄をはにかみつつ歌う、その安らいだ表情も歌声も。

311 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:14:08 ID:RefQ7DNI0


地下のアジトへ下ると、カウンターにデルタを見たような気がした。


( "ゞ)


N| "゚'` {"゚`lリ「あ……」


無論それは幻想だった。今のデルタは裁判館で
拷問のような取り調べを受けているのだろうから。

だが、そうと気がついてもデルタの幻想は消えない。
普段の気難しそうな表情が柔らかくなって、鼻歌をうたっている。


N| "゚'` {"゚`lリ「ああ……」


よくエノーラと一緒に歌っていたな、……昨日もか。と阿部がぼんやり
考えるうち、そのデルタの幻想は蜃気楼のように揺らいで消えた。

耳に届いていたはずの音色も失せ、静寂だけが支配する空間。

阿部はカウンターの内側に回ると、おぼつかない手つきで
古びたグラスに安ウイスキーを注いだ。かたかたとボトルと
グラスの触れ合う音がし、その周辺にはウイスキーの飛沫が飛んだ。

312 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:16:09 ID:RefQ7DNI0


N| "゚'` {"゚`lリ

しかし、阿部はしかし、それを口に持っていこうとしたが、
途中で停止した。いくばくかの時が流れたのち、


N| "゚'` {"゚`lリ「―――ッ!」


彼はそのグラスをあらん限りの力で壁に叩きつけた。
ガラスの砕けた音が地下のアジトに篭った。



あせたコンクリート造りの壁には染みが出来、その周りを
粉々になったグラスがきらきらと輝いている。
壁と床の合間にウイスキーがたまり、
もう、むせるようなピートの強い臭いを発している。

阿部はいやに静かな様子でそこに向かうと、今度は
ひたすらに壁を殴り続けた。

どん、どん、と鈍い音が絶え間なく続く。



N| "゚'` {"゚`lリ「くそ……くそっ!」



拳骨が傷んで、壁に血が付こうとも、彼はそれを一向にやめなかった。

313 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:20:14 ID:RefQ7DNI0
.





     ('A`)「―――やめてくれ、阿部さん」


山積みになったダンボールの上に今までだまって
座っていたドクオが、苦々しい口調で彼の行動を遮った。


N| "゚'` {"゚`lリ「………」

阿部はその場で立ち尽くすと、しばらく無言になった。
が、ドクオのほうへ振り返ったときには、漢らしい笑顔になって、


N| "゚'` {"゚`lリ「ああ、取り乱して済まなかった」

('A`)「何があった」

N| "゚'` {"゚`lリ「………」


阿部の表情が、ほんのわずかに曇った。

314 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:21:58 ID:RefQ7DNI0

そしてそれから、また諦めたような笑い顔になって、


N| "゚'` {"゚`lリ「俺としたことが、希望は絶えてないってことを忘れちまってた
          ようでな。……そうさ、ドクオ、お前といういい男がいたんだ」

('A`)「………」

N| "゚'` {"゚`lリ「絶望ってよりは自分を恥じたってとこかな。
          こうしてノーナンバーズをまとめあげても、
          仲間一人救う余裕がねぇってのは……」

ドクオの表情がさっと険しくなり、

('A`)「誰か、やられたのか?」

N| "゚'` {"゚`lリ「……この村を愛して愛してたまらない、そのためなら
          どんな屈辱も耐えてみせよう……そんなデルタが、
          そんなデルタがな、裁判館へ拉致された」



('A`)「!?」


               .

315 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:24:36 ID:RefQ7DNI0

N| "゚'` {"゚`lリ「助けに……なんて、行けねえよな。つくづく自分が
          嫌になるぜ。こうしてる間にも、奴は、デルタは……」

('A`)「………!」


ドクオは下唇を噛んだ。気持ちは阿部と同じだった。
出来ることなら助けにいってやりたい。

だが、それが不可能ごとなのは、この村で
苦難を強いられているドクオ自身が、痛いほどに知っていた。


N| "゚'` {"゚`lリ「つーが売春宿から帰ってくるのもあとちょっと、
          あいつは泣き叫ぶだろうが、もっと問題はエノーラさ……」


と、阿部はメンバーの反応について口にしだしたが、
ドクオはそれを聞いていなかった。ドクオは地上へのはしごを
見上げながら、昨晩のデルタとの会話を思い出していた。……



・・ ・・・
・・ ・・


クーからの暗号、カメラ奪還に浮かれた夜は、
アジトで、ドクオも翌日に酔いが回らない程度に酒を嗜んだ。

カウンターでちびりちびり舐めるようにバカーディを
味わっていたドクオの隣にデルタが腰掛けた。

('A`)『よっ』

( "ゞ)『……ここ、座るぞ』

316 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:27:07 ID:RefQ7DNI0


その前日に奇跡的なチャンスを伝えてくれたデルタに対し、
ドクオは改めて礼を言うと、デルタは気難しそうな顔を崩さず、


( "ゞ)『ミッションを成功させたのはお前……それに、それは俺のためでもある』

('A`)『この村を救うってことか?』

( "ゞ)『そういうことだ』

デルタはそう言い切ると、ドクオの飲みさしのバカーディに口をつけて、



( "ゞ)『俺は村を救うためならどんなことでもする。だから、
    この村を開放してくれそうなお前にも、どんなこともしてみせよう』

('A`)『そりゃ、ありがたい話だ』

( "ゞ)『そして、お前がハーモニーを見捨てたら、俺はお前を殺す』

('A`)『あらゆる意味でありえねえな』



ドクオの即座な切り返しに、デルタは含み笑いした。

317 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:30:41 ID:RefQ7DNI0

壁際でシャキンとエノーラが語り合っている様子を横目に、


( "ゞ)『ところでお前、夢はあるのか? だとするとあれか、
    この前言ってた新説の発表とやらがそうなのか?』

('A`)『へ、夢?』


唐突な質問にドクオは面食らったが、うーんと唸ってから、


('A`)『俺、考古学者を名乗ってるけど、正式には古生物学者なんだよ』

( "ゞ)『………?』

('A`)『考古学ってのはあれだ、人間と失われた文化とを扱っている。
    つまりだ、火星には古代人なんて居ないってのが定説だろ?
    だからそのまま古生物学者って名乗ると、俺の夢も否定することになるんだ
    ま、周りの連中にゃキートンが好きなんだって誤魔化してるんだが』



('A`)『俺の夢はさ、火星人の存在を証明すること! そして遺産を保護することだよ。
    そのためならどんなことだってやるぜ、ああ、この村に乗り込むくらいにゃな』


( "ゞ)『……でかい夢だ、いい夢だな。俺と同じくらいに』


デルタはふたたびドクオのグラスから酔いを拝借すると、ゆっくりした口調で、

( "ゞ)『言うまでもない。俺の夢はこのハーモニーに幸せを取り戻すこと。
    そのためなら、なんだってする。お前みたいにな』

('A`)『……いい夢だな』

318 名も無きAAのようです :2012/09/16(日) 08:33:20 ID:9nuXUeSg0
おお…デルタ…

319 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:34:17 ID:RefQ7DNI0

グラスの氷がとける。
からんと、眠ったような音が弾ける。

N| "゚'` {"゚`lリ『ああ、ふたりの夢が叶うのを願うぜ』

水で濁ったグラスを下げ、新しく酒を注ぎながら阿部は同調した。
そこから先の計画について三人で細かく話し合ったが、
やがてそれも終わる頃、やはりデルタはいきなり、


( "ゞ)『プライドも何もいらないんだ』

('A`)『ん?』

( "ゞ)『ただハーモニーの幸せが欲しい、奪われた笑顔を返してほしい』

('A`)『ああ……わかってる』

( "ゞ)『ほんとうに分かっているのか?』


硬質な響きが、その問いかけに混じった。


( "ゞ)『俺が言いたいこと、それは俺を遠慮なく手駒にしてくれってことだ』

('A`)『………』

ドクオはそれには答えかねた。何故ならこれ以上デルタの情報に頼ることは、
デルタという内通者の存在を浮き彫りにさせる。いや、この現状でさえ
疑わしき者として処罰されてもおかしくはない。ドクオはそれを懸念していたが、


( "ゞ)『遠慮するな。これは俺の本望だ、夢のためなら、死ねる。
    覚悟は奴らが来たときからしている。お前も、夢のためなら
    命を賭けられる奴、そうなんだろう?』


('A`)『そりゃそうさ。だが……』

              .

320 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:39:55 ID:RefQ7DNI0
.



( "ゞ)『その躊躇いが無意味と言っている。……そうか、お前。この熱意を
    まだ理解しきってないみたいだな。……よぅし、いいだろう、
    エノーラッ! ドクオに”Isn't It Lovely?"を聴かせるぞ!』

||‘‐‘||レ『待ってましたっ!』

(;'A`)『えっ』


そういってデルタはエノーラと共にハーモニーの村歌を歌い出した。……

酔っているのか、どこか調子っ外れな姿だったが、
村歌はしかし、子守唄のように心地よいものだった。

そしてうたい終わったときのデルタのはにかんだ表情は、
ドクオの目にはまるで純粋な子どものように映った。


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・


ドクオはその後、アジトを離れた。エノーラの家の
傍で発見した乱雑な裏通りに身を隠して息をひそめる。


('A`)


ときおり裁判館の方角を向いては、抑えきれぬ怒りを心に焼き付けた。

隙間風が砂埃を背負って舞っていった。
静寂したその狭い道にはその音しか聞こえない。

321 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:42:39 ID:RefQ7DNI0
だが、


―― ひた、ひた、ひた


誰かが、この裏道を通り始めた。
足音からして、どうやらその者は裸足らしい。

('A`)「――っ!」


ドクオはとっさに身構え、カメラを片手にした。

それから小さな鏡を胸ポケットから取り出すと、隠れた姿勢のまま、
その足音の主の姿を確認しようとした。


(;'A`)「(………えっ?)」


しかしその者の正体は、そしてその様子は、
ドクオを驚愕させるには充分なものだった。


(;'A`)「(そんな……そんなまさか!)」

                  

                .

322 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:44:22 ID:RefQ7DNI0


―― 十数分前。



(´<_` )「……そうか! おお、よくやったぞ同志よ……!」

( ´_ゝ`)


裁判館で、弟者は電話をしつつ喜びの表情だった。



(´<_` )「まあ、それは仕方ない。……が、きちんとやれよ?
       ふむ……明日までには完全な報告書として提出しろ」


(´<_` )「馬鹿か? そのコンピュータから取り出せる情報、それと
       クー・スナオリャ及びセントジョーンズ・ワート
       その他諸々の死体の損傷を明かせと言っている。
       今は忙しい、ファッカー、お前が急場しのぎしろ」


要領の得ない部下だと馬鹿にしつつも、
電話を切った際の弟者は凄みのある笑顔を見せていた。

323 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:48:37 ID:RefQ7DNI0


これで遠慮なくキャリアを始動できる。
今まで躊躇っていたのはなんのことはない、キャリアを
ドクオに撮られるという致命的なミスを避けていたからであった。

(´<_` )「ククク……てめえの後ろ盾は御陀仏なんだ」


しかしもう、気兼ねなく扱える。予めキャリアの用意は、
手元のタブレット型コンピュータにプログラミングしておいてあった。

弟者はそのプログラムを開始し、そこから映し出される
映像を目視して正常に動いていることを確認した。


その辺りになってベガー……内通者を探り当てる者……が一室に入ってきた。

ベガーはこの昼にはデルタの身柄を確保し、牢屋にぶち込んでいたのだが、
そろそろ尋問を始めることを弟者に提案した。


( ´_ゝ`)


(´<_` )「まあ、しばし待て。いまは楽しい気分なのさ。
       キャリアで充分にドクオを恐怖させてから
       メインディッシュのデルタと洒落込みたい……」

324 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:52:02 ID:RefQ7DNI0


―― キャリア(保菌者)。

それは同時に死の追跡者の異名も持っている。
元は地球の中南東で30年以上前に開発されたものだが、
たちまち国際的に使用を禁止された、ウイルスと電子技術の複合物である。



・構成ウイルスの一つは動物の体温を感知し、付着する性質を持つ。
ウイルス自体は体表に留まり続けるので体内で病気を起こすことはない。
ただしそれが体温を持っている限り、二度と離れることもない。
剥がすには、温度を持たないこと、つまり死者になる必要がある。

・構成ウイルスの一つは匂いを感知する。
その嗅覚は犬よりも鋭く、たとえ100マイル離れた状況であっても、
正常に動作して、その対象物の方角を指し示す。

・構成ウイルスの一つは電子端末と連動する。
専用プログラムを介すことによって、菌周辺の状況を中継させられる。
保菌者の、すなわち視力と聴力を共有することが出来る。

・構成ウイルスの一つはやはり電子端末と連動する。
これは死体にのみ効力を発揮し、同上のプログラムと
組み合わせることによって、その死体を動かすことができる。
とはいえそれを生きた人間のように優雅に操作することは不可能。
リモートコントロールでは、ゾンビのようにしか立ち振舞わせられない。
また、当然のようにオート操作も可能であり、そちらの方が便利である。


                       .

325 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:55:21 ID:RefQ7DNI0

キャリアはこの4つの人口ウイルスが大きな役目を果たす。
具体的な使用法は、まず死体を用意してキャリアをそこに培養する。
ただし嗅覚ウイルスは、追跡対象者の体毛などで繁殖させてから移す。

充分な時間を掛けて死体を保菌者にしてから、プログラムを起動する。
すると動き出す保菌者はひたすら対象者を追跡することになる。

一度でも対象者に触れることに成功すれば、それの居場所を
永遠に感知できる。また、その対象者が死亡した場合、
別の嗅覚ウイルスを注ぐことで保菌者に仕立て上げられる。


キャリアは過去の内戦において遺憾なく効力を発揮してきたが、
死体を用意する、ゾンビを増殖させるという観点から、
完成から三年も経たず使用が禁止された。

無垢な子どもを殺し、死体が新鮮なうちに保菌者に
作り上げるという常套手段は、国際的な問題になったものだ。



(;'A`)「……くそったれが!」

ドクオはそれがキャリアと察知した瞬間は、脱兎のように駆け出した。
キャリアの移動速度は決して速くはない。だが、凶悪な追跡能力を持っている。


(#'A`)「あの野郎っ……!」

ドクオは走りながら吐き捨てるように言い放った。
こうなった以上、アジトには二度と立ち入れないだろう。

326 ラスト投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 08:58:15 ID:RefQ7DNI0


ひた、ひた、ひた、、、、


从;;;;;∀从


――保菌者ハインリッヒは、虚ろな目と顔つきのまま、
ドクオの後を追い続ける。麻痺毒を塗ったナイフを手にし、
がくがくと身体を揺らしつつ、静かな裏道を確実に歩いていった。



(´<_` )「ははは、この情けない後ろ姿!」

弟者はタブレットを通じて、ドクオの逃げる様子を楽しんでいる。

ドクオは角を曲がり見えなくなるが、心配することはない、
キャリアには燃料も限界もないのだ。すぐににじり寄れる。

唯一の懸念は追跡中にトラップに掛かることくらいである。
しかしこの状況と時間の中で仕掛けを打てるわけもない。

それにこちらは、幾らでも死体を増やすことが出来るのだ。


(´<_` )「おっと……そろそろデルタを呼ぶことにするか」


無論のこと、拷問後のデルタの死体にも感染させるつもりであった。


                .

327 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/16(日) 09:00:16 ID:RefQ7DNI0
今日はこれで終了です、よい一日を!

328 名も無きAAのようです :2012/09/16(日) 09:14:15 ID:xZhWT73sO
キャリアぱねえ

乙です

329 名も無きAAのようです :2012/09/16(日) 11:16:25 ID:dhs2fThk0
おお、更新早い!嬉しい

弟者の下衆野郎おおおお
乙!

330 名も無きAAのようです :2012/09/16(日) 15:04:12 ID:s8Cf6Ffk0
楽しみすぎる!!!!


331 名も無きAAのようです :2012/09/17(月) 11:21:10 ID:4PDe9VCwO
セントとクーが気になるな


332 名も無きAAのようです :2012/09/19(水) 14:05:47 ID:Ed9ehwZM0
トータルリコールのリメイクが面白かった
あの映像美は創作意欲を湧かせますな

333 名も無きAAのようです :2012/09/22(土) 08:28:24 ID:gltim3n.0
あとtedもよかったな

そういうわけで明日投下してやるぜえ

334 名も無きAAのようです :2012/09/22(土) 08:43:36 ID:WxIb6hkoO
OK.全裸でスタンバってる

335 名も無きAAのようです :2012/09/22(土) 10:19:03 ID:cDz6jFU.O
よしゃああああああああ!
期待age

336 名も無きAAのようです :2012/09/23(日) 00:20:02 ID:jKLspBSgO
乙!

337 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 02:13:08 ID:Ye8YRezw0
ねーちゃん明日って今さ!

338 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 02:22:49 ID:Ye8YRezw0
―― キャリア(保菌者)。

それは同時に死の追跡者の異名も持っている。
元は地球の中南東で30年以上前に開発されたものだが、
たちまち国際的に使用を禁止された、ウイルスと電子技術の複合物である。



・構成ウイルスの一つは動物の体温を感知し、付着する性質を持つ。
ウイルス自体は体表に留まり続けるので体内で病気を起こすことはない。
ただしそれが体温を持っている限り、二度と離れることもない。
剥がすには、温度を持たないこと、つまり死者になる必要がある。

・構成ウイルスの一つは匂いを感知する。
その嗅覚は犬よりも鋭く、たとえ100マイル離れた状況であっても、
正常に動作して、その対象物の方角を指し示す。

・構成ウイルスの一つは電子端末と連動する。
専用プログラムを介すことによって、菌周辺の状況を中継させられる。
保菌者の、すなわち視力と聴力を共有することが出来る。

・構成ウイルスの一つはやはり電子端末と連動する。
これは死体にのみ効力を発揮し、同上のプログラムと
組み合わせることによって、その死体を動かすことができる。
とはいえそれを生きた人間のように優雅に操作することは不可能。
リモートコントロールでは、ゾンビのようにしか立ち振舞わせられない。
また、当然のようにオート操作も可能であり、そちらの方が扱いやすい。


                       .

339 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 02:24:59 ID:Ye8YRezw0
キャリアはこの4つの人口ウイルスが大きな役目を果たす。
具体的な使用法は、まず死体を用意してキャリアをそこに培養する。
ただし嗅覚ウイルスは、追跡対象者の体毛などで繁殖させてから移す。

充分な時間を掛けて死体を保菌者にしてから、プログラムを起動する。
すると動き出す保菌者はひたすら対象者を追跡することになる。

一度でも対象者に触れることに成功すれば、それの居場所をプログラム
上にいつまでも表示させられる。また、その対象者が死亡した場合、
別の嗅覚ウイルスを注ぐことで保菌者に仕立て上げられる。


キャリアは過去の内戦において遺憾なく効力を発揮してきたが、
死体を用意する、ゾンビを増殖させるという観点から、
完成から三年も経たず使用が禁止された。

無垢な子どもを殺し、死体が新鮮なうちに保菌者に
作り上げるという常套手段は、国際的な問題になったものだ。



(;'A`)「……くそったれが!」

ドクオはそれがキャリアと察知した瞬間は、脱兎のように駆け出した。
キャリアの移動速度は人間以下だが、代わりに凶悪な追跡能力を持っている。


(#'A`)「あの野郎っ……!」

ドクオは走りながら吐き捨てるように言い放った。
こうなった以上、アジトには二度と立ち入れないだろう。

340 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 02:26:06 ID:Ye8YRezw0


ひた、ひた、ひた、、、、


从;;;;;∀从


――保菌者ハインリッヒは、虚ろな目と顔つきのまま、
ドクオの後を追い続ける。麻痺毒を塗ったナイフを手にし、
がくがくと身体を揺らしつつ、静かな裏道を確実に歩いていった。



(´<_` )「ははは、この情けない後ろ姿!」

弟者はタブレットを通じて、ドクオの逃げる様子を楽しんでいる。

ドクオは角を曲がり見えなくなるが、心配することはない、
キャリアには燃料も限界もないのだ。すぐににじり寄れる。

唯一の懸念は追跡中にトラップに掛かることくらいである。
しかしこの状況と時間の中で仕掛けを打てるわけもない。

それにこちらは、幾らでも死体を増やすことが出来るのだ。


(´<_` )「おっと……そろそろデルタを呼ぶことにするか」


無論のこと、拷問後のデルタの死体にも感染させるつもりであった。


                .

341 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 02:34:18 ID:Ye8YRezw0


ドクオは体力の限界まで走るつもりはなかった。
キャリアのことは仕組みと歴史くらいしか詳しく知らないが、
数ある弱点は把握していた。だが、この状況下で限られてくるのは、


从;;;;;∀从 ヒタ、ヒタ、ヒタ、、、


(;'A`)「(落とし穴などの仕掛けはこうなった以上打てないっ……。
     非爆発の火炎で焼くのもこの村では難しいだろう……。
     つまり、俺が選べる道は……)」

塀で囲まれた細道を走っていたが、ドクオは段差を利用して
その塀に乗ると、驚異のバランス間隔で体勢を崩すことなく移動しだした。

そして丈夫そうな樹木を見つけると、それの幹に掴まり、
腕力と跳躍力を活かしてどんどん頂辺まで登り詰めていった。
たん、たん、たんと軽快な音を立てていく。


从;;;;;∀从「………」


高度な運動を行えない保菌者は、高い処に登られれば為す術はない。
手にしたナイフだけではまさか樹木も切り落とせまい。

結局、ハインリッヒはドクオの居る木の傍で足踏みを強いられた。

342 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 02:35:58 ID:Ye8YRezw0

('A`)「(だが、所詮その場凌ぎ……ずっとここに居れば
    いずれ援軍が駆けつけてくるだろう。
    本質的な問題の解決にはならない。)」


ドクオはちらりと見下げると、死人形と化したハインリッヒと目が合った。



从;;∀゚从

('A`)「………」



手当たり次第に枝を折り取って、ハインリッヒの身体が崩れ切るまで
投げ落とし続けるという方法が脳裏にちらと過ぎったが、すぐに却下した。
のみならず、弾数の限られる拳銃の使用などもほぼ無意味といえよう。
キャリアには生きた人間のような明確な弱点は存在しない。


強いて挙げるなら四肢の関節だろうが、肝心な脚を狙うには
位置が悪すぎるし、なにより死体を嬲るというのは胸糞が悪すぎる。


落ち着いてからカメラのシャッターを何度も切り、惨状の様子を収めた。

343 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 02:40:59 ID:Ye8YRezw0

根本的解決になり得ないが、まだ逃げたほうがいいような気がしてくる。
ドクオはこの前に拾った縄をポーチから取り出すと、それを足元の
幹にひきとけ結びすると、結んでいないもう一方の縄を握り締め、

脚力をつけて、飛んだ。そうやって別の木に移ると、
すぐさま縄を回収し、その木の幹と幹とを縫ってハインリッヒから逃げだした。


从;;;;;∀从 ヒタ、ヒタ、ヒタ


(;'A`)「(くそ、これだけじゃ何ともならねぇ……)」


ドクオは自分の乗っている樹木、さらに周辺の雑木も確認してみた。
空は夕焼けに赤く染まり始めている。この光のなかなら、探し出せるかも
と、ふたたびロープアクションで別の木に移っていった。


目当てのものを発見したのは四本目のときだった。

ドクオが探していたもの、それは多量に分泌している樹液だった。
その幹に腰掛けると、素早く樹液を露出した肌に塗りたくった。
天然の脂でコーティングすることで、保菌者の接触を避けようという魂胆だった。

無論これは完全な対策とは言い難い。顔の全部分に塗るほどの
量はなかったし、重点的にコーティングした腕でさえ、握られるなどの
強い接触を受けたらキャリアに感染する。


キャリアに感染したら最後、ドクオの居場所はプログラムを操作する
弟者に半永久的に知られ、ドクオの死はゾンビ化を意味することになる。

344 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 02:46:07 ID:Ye8YRezw0


('A`)「(……やるしか、ねえのか)」

ウシャン・メットをかぶり直すと、ドクオは若い枝を毟った。
みずみずしい弾力を持つ鮮やかな樹葉を手に、
そして扇さながらに顔を隠すと、

えいやっと飛び降りた。


(;'A`)「おおお!」

从;;;;;∀从


下で待ち伏せているハインリッヒに襲撃するためだ。
落下速度を活かして蹴りを加えようとする。
長ズボンと靴により下半身はプロテクトされている。


(;'A`)「おらあ!」

狙いは見事なものだった。予定通りに首に一撃を加えた。
踵落としじみた攻撃によって、ハインリッヒは為すすべもなく崩れ落ちた。
その際に腐敗した肉体ならではの死後硬直の感触が、ドクオの脚全体に伝わった。

首を負傷したハインリッヒは、しばらくそのままの体勢だった。
身体ぜんたいに痙攣を起こし、立ち上がろうともしない。

その姿が、ドクオの目にひどく焼き付いた。

345 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 02:50:20 ID:Ye8YRezw0
.


(´<_` )「おやおや、死体を足蹴にするか。酷い男だねぇ……」

弟者は含み笑いをすると、タブレットを手早く操作し、ハインリッヒを
無理やり起き上がらせた。そうしてドクオの方へ向かわせた。



从;;;;;∀从 ヒタ、ヒタ




( A )





(#'A`)「てめぇ絶対許さねえぞ弟者ァアアアアアアッ!!!」




良心も罪悪感もかなぐり捨て、ハインリッヒに殴りかかった。

            .

346 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 02:54:01 ID:Ye8YRezw0

(´<_` )「吹っ切れないでくれよ、つまらないじゃないか」

高みの見物の弟者は、画面に映し出されるドクオの乱打を
観察しながら愚痴をこぼした。ドクオのは乱打といっても、
いつの間にか手にしていた太い古枝を中心とした攻撃の連続で、
キャリアの弱点とも言える関節……それも、腰のあたりを集中したものだった。


(#'A`)「くそっ、くそっ、くそォ!」

常人より反応速度の遅い保菌者を一方的に殴ることは容易い。
罪悪というものを完全に捨てきればこその話であるが。


それよりドクオは、ハインリッヒの手のナイフにも注意を払わないと
いけなかった。動きの怠慢になったハインリッヒの左腕――ナイフの
持つ方をあらん限りの力を込め、古枝で殴打した。

从;;;;;∀从 ガッアッアッ……


ナイフを吹き飛ばす魂胆だったが、しかしそれは握られたままだった。

(;'A`)「!?」


ハインリッヒの左腕は完全に伸びきった。そうして、ドクオの目には
そのナイフが綺麗な弧を描いて振り下ろされようとする瞬間が映った。

347 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 02:57:43 ID:Ye8YRezw0

バックステップで逃れようとする。だが、意外なことに
そのナイフの切っ先はドクオの身体を狙ったものではなかった。


――ざくり。と肉を切り裂く嫌な音がしたかと思うと、
その傷跡からやけに濁った血が噴水のように吹き出た。


(´<_` )「ははは……」


从;;;;;∀从

ハインリッヒの手首の先が、皮のみで繋がれてぷらぷらと頼りなく
揺れている。刃はハインリッヒの右手首、厳密にはそこの
動脈を狙って、振り下ろされたものだった。





(´<_` )「ナイフはねぇ、お前を捕えるためだけじゃない。
       このシャワーを浴びせるためでもあったのさ……。
       お味はどうかな? ハインの愛液はお気に召したかい?」


(;'A`)「………!」



弟者の目論見はこの上なく成功した。ハインリッヒから吹き出た
血は、ドクオの顔面に万遍なく注がれたのだった。

348 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:06:58 ID:Ye8YRezw0


弟者は確認し、ぞっとするような笑みを浮かべた。
ドクオは保菌者に完璧に"接触"してしまった。
画面上では、ドクオの位置がきらびやかに映し出された。


( A )


残されたドクオの行動は、満身創痍のハインリッヒを
身体が崩れるほどに痛めつけることのみであった。
右手首から放たれた血はハインリッヒ自身にも付着し、
あわれな緋色のドレスを形作っている。


从;;;;;o从


それでもなおドクオに接触しようとするハインリッヒを、
自信の手で葬らねばならない。ドクオは生気のない瞳で、淡々とおこなっていく。


(´<_` )「なんて惨い野郎なんだ。笑えてくるぜ」


                       .

349 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:09:28 ID:Ye8YRezw0


見物する弟者の居る、その裁判館の一室にベガーがやってきた。
それと共に、縄で囚われたデルタも。


(´<_` )「おお、ついに来たか」


弟者は目をぎらつかせてデルタをみやった。

言いつけ通りに西部開拓時代さながらに、後ろ手にされた挙句に
木の板で拵えた手枷をはめ、足首と喉に巻きつけた縄
によって自由を奪われたその姿は、奴隷と呼ぶにふさわしい。

下がれ、の一言でベガーが部屋を後にした。
そこに残ったのは、奴隷のようなデルタと、流石兄弟のみであった。

判事らしく黒のスーツを乙に着こなして、嫌味なくらいに優雅な弟者と
頭から足までカウボーイルックを決めている兄者、
そして、それらとは対照的に薄汚れたシャツとジーンズのデルタ。
立場を一挙に伝えるめいめいの服装であった。


( "ゞ)「………」


( ´_ゝ`)


(´<_` )「間近に会えて嬉しいよデルタ。とりあえず楽にしたまえよ。
       その格好で、座れることが出来るんならな……」


弟者は立ち上がると、デルタの方へ歩み寄っていった。
扉の近くには兄者がやはり立ちふさがっている。
デルタが逃げることは、まず不可能といってよかった。

350 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:15:10 ID:Ye8YRezw0

弟者は片膝をついて、デルタと対等の目線になると、

(´<_` )「すでに調べはついている。君は我々の優しさを裏切り、
       ドクオに情報を提供したことはねぇ……」

( "ゞ)「………」

やれやれ、といった口ぶりの弟者を、デルタは睨み続ける。

すると弟者は一度口元に笑みを浮かべてから、デルタの顔面を
一殴りした。鼻に狙いに定めただけあって、弟者の拳に
鼻骨の砕ける爽快な感覚が走った。

( ";;;゙)「ぐあっ……」

そのままデルタは倒れ込んだ。
潰れた鼻からは血が吹き出て、鼻水と共に顔中を汚していく。
その鮮血は床にぽたり、ぽたりと垂れていった。


( ";;;゙)「うう……」

(´<_` )「君にはプライドがないようだね。原住民だったお前を、
       寛大な我々が仲間に入れてやったというのに、
       お前はこの私さえ裏切ってドクオの犬に成り下がるとは」


弟者は立ち上がると、芋虫のように悶えているデルタを踏みつけた。
靴裏をデルタの頬に無理やり擦りつけている。

351 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:19:41 ID:Ye8YRezw0


( ";;;゙)「……!」

(´<_` )「だがチャンスをくれてやろう。ドクオのことを
       洗い浚いに吐けば、寛大な心で許してやろうじゃないか」

弟者は踏みつけをやめると、再び屈んで、倒れたままのデルタを
膝立たせた。目と目が合った瞬間ににこりと微笑んで、猫撫で声のまま、

(´<_` )「ハンターの高潔なプライドを取り戻すのだ……。
       あるいは人間らしさを! やはり我々の側に戻るとすれば、
       まだ君にも救いが生まれるというものだよ」

( ";;;゙)「ぷ、ぷらい……」

(´<_` )「ん? なにかね?」

( ";;;゙)「プライドなんざ……とうに捨ててる……だが、
      だが……貴様には、にどと従わない……!」

(´<_` )「………」

弟者の表情から笑みはさっと消えた。
立ち上がってデルタを見下ろすと、唾を吐いてため息をついた。


(´<_` )「常に、愚かな奴は愚かなことしか考えられないものだな」


                  .

352 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:22:08 ID:Ye8YRezw0
.



( ";;;゙)「――ぐふゥッ!!」


デルタのみぞおちに容赦ない蹴りが加わった。たちまち鋭い痛覚と、
革靴の先が腹部にめり込んだ衝撃がデルタを苦しめた。

涎を吹いて倒れ落ち、引きつけを起こしたように痙攣をした。

(; ";;;゙)「うぐ、ぐ……!」


(´<_` )「これは申し訳ない。ゴミかと思って蹴飛ばすつもりだったよ。
       ああ、いいや、ゴミだったなぁ貴様は。ろくな考え事もプライドもない、
       貧相で下品な面構え。卑しいったらありゃしない……」

(; ";;;゙)「あ、あ、……」


みぞおちの痛みは尚やまない。深く呼吸をしても、神経が引き裂かれた
ような感覚が癒えることもなく、ましてや弟者に反撃など出来ようもない。


(´<_` )「絶望ってのを見せてやろうか」


(´<_` )「こんな村で育たなければよかったなぁって
       後悔させてから殺してやるよ……ハハハ、ッハッハッハ!」

353 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:25:39 ID:Ye8YRezw0
      
 ( ";;;゙)「……後、悔……」

はぁはぁと荒い息遣いをしていたデルタだったが、ようやく
痛みに慣れだしてきた。鼻は見るも無残に潰れ、塞がりかけた鼻腔は
凝固した血によって機能しない。顎が強ばったようで動かしづらいが、
少なくとも喋ることは身体が許してくれた。


( ";;;゙)「ハーモニーに生まれて……後悔…だと」

(´<_` )「そうじゃないのかね。ハーモニーなんぞで暮らさなければ
       少なくともこうして、苦しみ死ぬことはなかったのだからねぇ」

( ";;;゙)「ふん。なら……ありえねぇ話だ……」

デルタの顔ががたがたと痙攣した、それは彼にとっての笑いだった。


( ";;;゙)「俺には……ハーモニーの、、楽しかった思い出が、ある。
      どんなに…苦しもうが……俺の、記憶、は……あせないんだ。
      いつも、ずぅっと……この村を、愛す……」

(´<_` )「ふぅん」


すると再び、弟者はデルタのみぞおちを狙って蹴りを加えた。

( ";;;゙)「あがっ……!」



(´<_` )「馬鹿が。それごと踏み躙ってやるっつってんだよ……!」



                        .

354 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:30:51 ID:Ye8YRezw0


弟者は背を向けると、拷問道具の一式揃ったキャビネットを弄りながら、


(´<_` )「俺は過去、なんども拷問をしては殺してきた。数え切れない
       ほどの経験から言うが、お前も御多分に漏れず、後悔して死んでいく」

さそり毒の入った注射器を手に取って、針の先端をためつすがめつし、

(´<_` )「死の恐怖、耐え難い苦痛……これらを目の当たりにすれば、
       虚勢なんぞ糞の役にも立たない。そして命乞いするには
       遅すぎたと知ったとき、どいつもこいつも同じ表情をする」

(´<_` )「そいつのくだらない人生を表現したような哀れな表情さ。
       糞みたいな人生が凝縮された、情けなさの極みって奴よォ!」

( ";;;゙)「………」


身を捩りながら、デルタは体勢を直した。力の入りきらない
下半身を鞭打って、足枷から不自由を貰いながらも、立ち上がった。


(´<_` )「おやおや、そんなに元気があるなら楽しめそうだねぇ」


( ";;;゙)「(俺は……絶望などしない)」


(´<_` )「弱者の意地って奴だな。ふふ、私も昔は弱者だったものだよ」



( ´_ゝ`)


                 .

355 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:33:32 ID:Ye8YRezw0

(´<_` )「だが、きみにはチャンスも無ければ頭脳もない。
       まことに残念だがね、情報を吐かないのなら死ぬ。
       それが運命というものだ」

( ";;;゙)「(あれは、弟者のタブレットコンピュータ……!)」


デルタはふらふらした足取りのまま、弟者のデスクへ向かおうとした。
そんな思惑を知ってか知らずか、弟者はデルタの脛に一撃を加え、転ばせた。

まともに受身も取れず、デルタはまたも倒れ込んだ。
それでもやはり、立ち上がろうと身を奮い立たせる。


(´<_` )「おーおー、頑張るねぇ」

( ";;;゙)「(まだだ、まだ……)」

(´<_` )「そんな君にはとっておきの贈り物だ」

弟者はそういうと、動こうとするデルタの首筋にサソリ毒を注射した。
暴れないうちに手早く液体を流し込むと、硬直しだしたデルタに、


(´<_` )「おおっと安心してくれ、これはただのサソリ毒の一種さ。
       のたうち回るくらいには危険なシロモノだが、これで
       死ねるなんてありえないから安心してくれよ?」

( ";;;゙)「………!」

(´<_` )「ははは」

更にデルタの尻を蹴飛ばし、前のめりに倒しては空笑いをする。

356 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:34:52 ID:Ye8YRezw0


( ";;;゙)「(あと……少し……!)」

錯乱しかけたようにデルタは呻いた。
目的を悟られないように道化を演じることは慣れたことであった。

膝で這いずるように前進する。意外な重労働に呼吸が荒くなって、
呻きも次第々々に真実的になっていった。背中には弟者の嘲笑めいた
視線を強く感じている。蹴られた鳩尾は未だ鈍痛に悩まされている。
けれどどうしたことか、今は意外な程に冷静で、身体もほのかに暖かい。


( ";;;゙)「(あきら……めん)」

そのとき、弟者が新たな道具を探しに意識をデルタから逸した。
今だ、今しかない。デルタはあらん限りの力を込めて、まず膝立ちになると、
次によろめきつつもまったく立ち上がった。痛む膝に、不自由な足首。
毒が回っているのか、身体中の筋肉が燃えるように熱くなっていく。

目当てのタブレット・コンピュータは射程圏内に入っているか
否かの瀬戸際だった。だが、だが、今なんだ、今しかないんだ。



( ";;;゙)「(う……うう……)」


                     .

357 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:38:07 ID:Ye8YRezw0


デルタは限界を捨てて、おこなった。


( ";;;゙)「ぉおおおおおおッ!!!」

(´<_` )「!?」


弟者が振り向いたとき、デルタは無様な体勢でジャンプをしていた。
方向は弟者のデスクで、目標はタブレットコンピュータだと察知した
ときにはもう、デルタの身体はデスクにぶつかった。



(´<_` #)「……貴様ァッ!」


弟者が駆けつける。その三秒足らずの間に、デルタは衝撃で床に
落ちたタブレットを壊そうと躍起になっていた。タブレットの隅の一つに
砕く勢いで噛み付いている。罅割れた液晶にデルタの鼻血が入り込む。


(´<_` #)「乙な真似しやがると」


ついた弟者はデルタの髪を鷲掴みにすると、そのまま持ち上げた。

それでもタブレットを噛んだままであった。弟者はデスクの角に
デルタをそのまま叩きつける。三度、デルタのひたいを
打ち付けたところで呻きつつもようやく口を離した。
歯が何本も液晶に突き刺さった状態で落下した。


タブレットが破壊されたことは、誰の目にも明らかなことだった。

358 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:39:18 ID:Ye8YRezw0


( ";;;゙)「あが……あ……」

(´<_` #)「屑の分際で……」


弟者はアイスピックを取り出すと、怒りを抑えきれぬ様子で、


(´<_` #)「てめぇの腐った脳味噌かき乱してやらァ!!」



( ";;;゙)「やりたか……やぇ……おれぁもう…しあわせだ」


(´<_` )「んだと……!」


デルタはふっと目を閉じた。気にも留めていないようだが、既に
身体中を蠍毒が駆け巡って、顔は青ざめているし四肢の末端は腫れ上がっている。

顎が震えだす上に舌がうまく回らない。
まともに喋ることを身体が許してくれない。

359 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:40:37 ID:Ye8YRezw0

デルタは言葉では伝えない。行動と態度で弟者を嘲ろうとする。
一矢報いてやったことを、何もできない弱者ではなかったことを。



( ´_ゝ`)



権力に決して屈してやらないことを。
どれだけの苦痛をこれからうけようとも、
ハーモニーの暖かい記憶と夢を背負って死んでやるということを。


( ";;;゙)「は……は……ハ」



(´<_` )「……笑えなくしてやる」


弟者は冷徹に言い放った。

アイスピックを逆手に持つと、デルタの縛られた片手に狙いを定めた。
これから一本一本、串刺しにするつもりであった。

360 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:43:40 ID:Ye8YRezw0
.



( ";;;゙)「は……あ……は、はは」


デルタの脳裏に浮かぶのは、楽しかった頃の記憶だけ。

村を開拓する両親に連れてこられた少年時代、初めて

馬に乗ったときに転んだあのとき、しばらくして慣れた頃、

村中のみんなが褒めてくれたものだ。酒の飲める歳になったとき、

大人にバーを連れ回され、酔いながら村の歌を大合唱したもんだっけ。

いつしか立派なカウボーイになろうと決めた。ハーモニーを愛してしまった。

そうして、悪者を退治して村を守ろうと。守りたかった。守るつもりだ。



( ";;;゙)「…ふ……ふふ」


(´<_` )「悲鳴をあげなァ」


無防備なデルタの指を貫こうと、弟者がアイスピックを振り下ろした……

……そのときだった。空気を素早く切り裂く音が走ったかと思うと、
デルタの身体が無機質にのけぞった。そののち、呻きもなく吐血した。

361 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:47:45 ID:Ye8YRezw0
.


(´<_` )「!?」

( ";;;゙)


デルタを確認した。口から煙を上げ、満足気な笑みのまま硬直している。
身体を揺らすと尋常ではない量の鮮血が口から漏れた。
すでに、デルタは絶命していた。そう、



( ´_ゝ`)



兄者の放った銃弾によって、一瞬のうちに死を迎えたのだった。



(´<_` )「 兄 者 ………どうして」


困惑する弟者の問いには答えない。早業でホルスターに
銃を仕舞ったのち、またも無反応な人形になってしまった。


(´<_` ;)「お前……」


( ´_ゝ`)

                  .

362 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:50:15 ID:Ye8YRezw0



(´<_` )「………」

弟者は暫らく兄者を睨みつけた。だが兄者の目線は空虚を
定めたままで、なにを語るつもりもないことが容易に伺い知れた。

何分かの沈黙のうち、弟者はそっぽを向きながら、


(´<_` )「ドクオのところに向かえ。タブレットが壊れた以上、
       キャリア一匹だけに任せてはおけん。階下の連中を
       引き連れて、さっさと雑木林へ走れ。捕まえてくるんだ」



兄者がやはり無表情のまま、扉を開けて出ていった。


残された弟者は、立ち消えた兄者の後ろ姿を目で追い続けていた。


あとに残されたのは、呆然とした弟者と、
眠ったように死んだデルタだけであった。……


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・

363 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:52:30 ID:Ye8YRezw0

ハーモニーの夜。狂態を眺めて月の笑う夜。


( A )


ドクオが居た。雑木林の外れ……保菌者と化したハインリッヒと
格闘したその付近で、彼は腐葉土に触れている。


――ハインリッヒとの格闘は、しかしドクオの一方的な
攻撃に終始していた。痛覚もなく明確な弱点も存在しないハインリッヒの、
その四肢と関節とに集中的に打撃を加えるだけの作業だった。

死者を徹底的に殴り、蹴った。
彼女の持っていたナイフを使用もした。

ハインリッヒの身体が身体として機能しなくなる頃になって、
ドクオは素早く腐葉土を掘り返し、彼女をそこに落とした。
そうして土をかけ直し、墓標代わりに細長い石を突き立てたのだった。


( )


ドクオは傍の木の陰に身を隠していた。
俯いたまま、息を殺していた。



それから少し経った頃、小走りに駆けてくる何者かの気配を感じた。
ドクオはそっと影から顔を出し、それの確認をした。

364 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:54:13 ID:Ye8YRezw0


||;‘‐‘||レ「はぁっはぁっはぁっ……!」


やって来たのはノーナンバーズのメンバーの一人、
エノーラに違いなかった。息遣いも荒いが表情はそれ以上に
苦悶に充ちていた。ドクオはそれを訝しげに思いつつも、


('A`)「来るな!」

||;‘‐‘||レ「!?………どうして?」



事実、エノーラはそれ以上足を踏み込むと、飛散したキャリアが
身体に付着するおそれがあった。ただしドクオにはそのことを
説明する気力もなければ、もとより時間もなかった。


('A`)「何であれ絶対近づくな。要件がないなら去るんだ」


しかしエノーラはドクオの予想とは裏腹に、反抗的な口調で返した。


||‘‐‘||レ「なんでよ?」

        .

365 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:57:07 ID:Ye8YRezw0


('A`)「……説明する時間はない」

||#‘‐‘||レ「デルタはどこッ!?」

聞く耳を持たず、いきなりエノーラは感情的に問い詰めた。
状況を理解してしまった、
ドクオはこの状況にどう対処すべきか迷ったが、極めて穏やかに、

('A`)「頼む。全て後で話すから……このままだと、
    そのデルタの意思ごと無駄にしてしまいかねない」

||#‘‐‘||レ「だからなんでよッ!? そうやって大雑把な
       考えだからデルタが連れ去られたんじゃないの!?」

(;'A`)「………!」

||#‘‐‘||レ「デルタをどうにかしてよ!」



(;'A`)「いいか、絶対に俺に近づくなよ。……はっきり言おう。
    デルタは既に殺されたと思って間違いはない」


||;‘‐‘||レ「!?」


('A`)「流石兄弟はもう容赦しない。こうなった以上、
    終わるまで、振り返ってはいけないんだ……俺は悲しまない…」


||#‘‐‘||レ「そんなこと! 仲間が、仲間が居なくなったのに……!」

366 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 03:59:22 ID:Ye8YRezw0

(#'A`)「仲間が死んだからって立ち止まるつもりはねぇ!」


煮え切らないエノーラに、ドクオはついに荒々しい口調になって、


(#'A`)「ここで悔やんでどうすんだよ。いいか、俺の意思を言っておく。

    はじめこの村に来たとき、俺は自分の目標しか考えてなかった!
    ハーモニーのことなど二の次だったさ! だがな、今は違う。
    俺はこの村を救ってみせる! ハンターぶちのめしてやる!
    それが今の一番の目的だッ! 嘘偽りなくな!」


||‘‐‘||レ「……で、でも」


('A`)「絶対にこの村に笑顔を取り戻すから、今は耐えてほしい。
    さあ、アジトに戻って明日の準備をしてくれ。お願いだ」


そういうと、ドクオは隠れ蓑に
していた樹木に登って、姿を隠してしまった。



||‘‐‘||レ「……わかった」

                 .

367 ラスト投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/23(日) 04:01:45 ID:Ye8YRezw0
.

冷静になったのかどうか、エノーラは表情を普段に戻すと、
ドクオの居るであろう方角に向けて、弾丸を投げた。


('A`) オットット

||‘‐‘||レ「じゃ……そういうことで」


感情をつとめて無にし、エノーラは闇夜に消えていった。


('A`)「ああ、みんなも頑張ってくれ……」


独り言のようにドクオはぽつりと呟いた。それから直ぐに
気を引き締めた。深呼吸を繰り返し、ホルスターの銃と
弾数とを確認し、次なる敵に備え、



( A )「(絶対に許さねえぞハンターども。てめぇらの思い通りにはさせねぇ)」


ハインリッヒがまったく動かなくなった今、弟者は
追撃の手を用意するに決まっている。それが第二のキャリアか
ハンターの集団かそれとも兄者か、どれも可能性は考えられるが、
いずれにせよ正念場であることは間違いなかった。



('A`)「(明日がくれば、どちらにせよ全てが終わる、
    この夜が、おれにとっての正念場……!)」


                 .

368 名も無きAAのようです :2012/09/23(日) 04:03:40 ID:Ye8YRezw0
今日はここまで。
次もわりかし早く投下できると思います。
よい朝を。

369 名も無きAAのようです :2012/09/23(日) 05:07:29 ID:6RnQAgZI0
おつ
兄者…

370 名も無きAAのようです :2012/09/23(日) 05:13:30 ID:bKIDx/C20
オモロー

371 名も無きAAのようです :2012/09/24(月) 00:06:47 ID:4HeJDXrkO

この作品の兄者好きだわ

372 名も無きAAのようです :2012/09/24(月) 00:18:21 ID:vaKELzrQ0
ドクオもなかなか器用なやつだな

373 名も無きAAのようです :2012/09/24(月) 01:23:52 ID:7V71zeBI0
うおおおお乙!
兄者やってくれるって信じてた

374 名も無きAAのようです :2012/09/24(月) 14:26:27 ID:Lo0WV0R.O
逆転の一手がどんなものなのか楽しみ
このドクオさんは顔以外のスペック高くて頼りになるわ

375 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/25(火) 07:52:35 ID:I35Ua3yA0
みんなレスありがとう、俺のモチベに繋がりますわ。
明日からieslというよくわからん学期がまた始まるからちょっと
更新ペースが遅くなるかもという報告。ちなみに現在8レス。

以下駄文

この頃の執筆ペースのはやさには自分でも驚いている。処女作を書いていた
あの当時並で、気分もどこかリフレッシュしているみたいだ。
で、やっとその訳に気付いたんだが、このハーモニー編って処女作の
綺麗な街とどこか似通った部分のあるストーリーなんだよね。だからこう、
なんというか無意識のうちにリメイクするような情熱を傾けていたのだろう、と俺は思う。
あの作品を今の俺が書いたらどうなるって感じで、自分自身に挑戦しているのかも知れんなあ。
こんなにハーモニー編が長くなったのもそれのせいかも。ってはなし。

376 名も無きAAのようです :2012/09/25(火) 09:56:34 ID:487wW8L6O
別に長くなっても構わないけどホテル・サイドニアも忘れんなよ!主にタイトル的な意味で!
リアルに支障出ない程度に頑張って!

377 名も無きAAのようです :2012/09/25(火) 18:13:20 ID:ypxqqbQk0
続き楽しみにしてるお
無理せずがんばって

378 名も無きAAのようです :2012/09/25(火) 20:02:20 ID:OKx1neug0
米国の大学生なんかな?
ハーモニー編の全体に漂う緊張感がすごく好き。
今後の展開が楽しみだし筆が早いのは喜ばしいな

379 名も無きAAのようです :2012/09/25(火) 22:17:51 ID:9WVde25U0
まとめで読んでたけどもう次が来てた!やった!
いつも楽しく読んでます

380 名も無きAAのようです :2012/09/26(水) 13:34:24 ID:mf.vScxU0
乙乙
のんびり待ってるぜ

381 名も無きAAのようです :2012/09/26(水) 18:35:03 ID:bLNopvMwO
全ブーン系の中でも宇宙船SIXが一番好き
しかしサイドニアは更に素晴らしいので是非とも完結させて頂きたい

382 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/28(金) 15:04:57 ID:u0nYxWd60
ううっ! わしゃァ幸せもんじゃけぇ!
暖かいレスみんな本当にありがとう、ぐっときたぜ。
年内にはドクオをホテル・サイドニアに帰してやりたいと思っていたり。

さて、この週末にちょっとですが投下をします。
よろしかったらお付き合いくださいなー。

383 名も無きAAのようです :2012/09/29(土) 09:47:25 ID:JR/MmAOIO
よっしゃよっしゃ 全裸待機しとく

384 名も無きAAのようです :2012/09/29(土) 11:46:53 ID:7dJqCxwc0
おっしゃー全力期待じゃけぇ!

385 名も無きAAのようです :2012/09/29(土) 14:52:56 ID:41EEJbZQ0
なんということだ、投下ミス発覚。しかもけっこう重大な。
>>305>>306の間の抜けを今から投下します。
ちなみにこの時間のwifiはサックなんで、こっちでいう朝に本投下しちゃいます。

386 >>305と>>306の間 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/29(土) 14:56:13 ID:41EEJbZQ0
それから、シラヒーゲを加えた御一行は、シラヒーゲの
ダンサー談話をBGMにふたたび個人倉庫の解除作業をおこなった。


さすがに二度目となれば落ち着いて行動出来、扉はなんなく開かれた。

(’e’)「や〜っと開いたか」

川 ゚ -゚)「(このなかに……私の望んでいたものが……)」

( ´W`)「……でな、リアーナのアンブレラのカバーがこれまた……」



・・ ・・・
・・ ・・
・・ ・

”彼ら”は気がつかない。

陰から身じろぎせずに観察している連中を。

ファッカーが電話をした後に、手榴弾をバッグから取り出す、

その狂気じみた犯罪光景を。……


                  .

387 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 00:46:06 ID:AtOTda9o0
そして本投下じゃい!


新聞の深き谷にも光射すそれぞれの朝ホテルサイドニア

太陽の位置が少し遠ければ陽光もまた他人の優しさ

しみじみと酔えば恋しきわが故郷汚れ染めたるカード眺めつ

388 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 00:48:22 ID:AtOTda9o0


(#'A`)「仲間が死んだからって立ち止まるつもりはねぇ!」


煮え切らないエノーラに、ドクオはついに荒々しい口調になって、


(#'A`)「ここで悔やんでどうすんだよ。いいか、俺の意思を言っておく。

    はじめこの村に来たとき、俺は自分の目標しか考えてなかった!
    ハーモニーのことなど二の次だったさ! だがな、今は違う。
    俺はこの村を救ってみせる! ハンターぶちのめしてやる!
    それが今の一番の目的だッ! 嘘偽りなくな!」


||‘‐‘||レ「……で、でも」


('A`)「絶対にこの村に笑顔を取り戻すから、今は耐えてほしい。
    さあ、アジトに戻って明日の準備をしてくれ。お願いだ」


そういうと、ドクオは隠れ蓑に
していた樹木に登って、姿を隠してしまった。



||‘‐‘||レ「……わかった」

                 .

389 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 00:50:11 ID:AtOTda9o0

冷静になったのかどうか、エノーラは表情を普段に戻すと、
ドクオの居るであろう方角に向けて、弾丸のカートリッジを投げた。


('A`) オットット

||‘‐‘||レ「じゃ……そういうことで」


感情をつとめて無にし、エノーラは闇夜に消えていった。


('A`)「ああ、みんなも頑張ってくれ……」


独り言のようにドクオはぽつりと呟いた。それから直ぐに
気を引き締めた。深呼吸を繰り返し、ホルスターの銃と
弾数とを確認し、次なる敵に備え、



( A )「(絶対に許さねえぞハンターども。てめぇらの思い通りにはさせねぇ)」


ハインリッヒがまったく動かなくなった今、弟者は
追撃の手を用意するに決まっている。それが第二のキャリアか
ハンターの集団かそれとも兄者か、どれも可能性は考えられるが、
いずれにせよ正念場であることは間違いなかった。



('A`)「(明日がくれば、どちらにせよ全てが終わる、
    この夜だけは乗り切ってみせる。なんとしても……!)」


                 .

390 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 00:54:02 ID:AtOTda9o0


・・ ・・
・・ ・・・

さて、
ドクオが身を隠してから10分足らずの後にそれは起こった。
その異変はまず、隣の木の叫びだった。
その木はヒステリックな音を立てながら、震え始めた。


どんっ。どんっ。どんっ。


('A`)「!?」

等間隔に太鼓の音のようなものが聞こえたかと思うと、
それに呼応するように隣の木の揺れが徐々に徐々に増していった。


どん。どん。どん。

ドクオはとっさに周囲を確認する。音源は村外れの監視塔から
らしかったが、そこから丸く赤い光が音と同じタイミングで
明滅していた。どん、どん、どん。それからたちまち、
揺れていた木は激しくしなりだして、ぶちぶちと裂けるような音を立てた。
まもなく、支えを失ったかのようにその木は倒れてしまった。
その巨木の倒れた衝撃で葉っぱは舞い上がり、ドクオの顔にいくつも触れた。


 ドクオは察知した。銃によって木が折られている。
大型銃によって緻密に暴力的に木を倒している奴が居る。

391 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 00:56:50 ID:AtOTda9o0


人間離れしたその射撃技術を、ドクオは無論のこと覚えていた。


(;'A`)「(兄者が、、狙ってきた……!)」


そして弾丸は二本目を狙いだしてきた。
またも聞こえる等間隔の音。どん、どん、どん。

その標的は、紛れもなくドクオの隠れ蓑だった。


(;'A`)「(うぐぉ……!)」

撃たれる度に、葉が枝が幹が振動した。見下ろすと、
砕けた木片がぱらぱらと腐葉土に落ちていく。

――どん、どん、どん。どん、どん、どん。

足場が、人を支えきれないほどに震えた。傾いてゆく。
ドクオは力任せに幹を掴んだが、視界はついにぐらんと揺れた。

木が、倒れだした。周囲にある無数の葉は
せわしなく動き、シンバルに似た音を立てて騒ぎ出した。

そうしてドクオは為すすべもなく、そのまま地面のほうに向かっていった。

392 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 00:59:26 ID:AtOTda9o0

巨木が大地に崩れ落ちるその衝撃と音は、
ドクオの身体をまんべんなく揺らし、鼓膜を刺激した。

(;'A`)「くっ」

そして乱暴な着地のとき、ドクオは思わず受身を取ってしまった。
しかしそれは大きな間違いだった。兄者のような観察者からすれば、
樹木に潜んでいたかいなかったかは、その動きで読み取れてしまうのだから。


案の定、わずかな音と動きを立ててしまったために、ハンター側に
ドクオの存在は完全に察知されたようであった。銃撃は途端に止んだ。



(;'A`)「(野郎ども勘づいたか……しかし、わざわざ木を倒す手段に
     出たのはどうしてだろう。俺の所在はプログラムによって
     知ることが出来るのに……単なる威嚇か、それとも……?)」



そうこう考えているうちに、複数人の足音が忍んできた。
重なった葉の間から様子を覗くと、それは紛れもなくハンター達であった。
ただしどれも雰囲気でただの下っ端ということが読み取れた。

               .

393 名も無きAAのようです :2012/09/30(日) 01:02:22 ID:lihvIRU60
きたあああああああああ

394 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 01:16:39 ID:AtOTda9o0


ドクオはそっと銃を手にかけ、思案を重ねてみる。
連中が自分を追い詰めていることは承知だが、それにしては
すこし、連中から焦りを感じられる。キャリアという凶悪な追跡能力
を扱えるなら他にも方法はいくらでもありそうだが。

ドクオは知る由もないが、キャリアをプログラムしたコンピュータは
現在壊れてしまっている。もちろん別の端末に再度インストールすれば
いいだけの話で弟者も実行しているさなかであった。
そのために、ライフルという飛び道具を全面に押し出した捕獲を
しているのだが、ドクオにはまだ、その真実にたどり着けない。

ただひとつ言えるのは、全てが
チャンスでありピンチであるということ。



(::::::A`)


ドクオは呼吸を整えてからまず、やって来た下級ハンターの人数を
把握した。視界に入る分では5人であった。それから銃口の狙いを定める。
一番先頭を歩くハンターの、足元を狙い……



……撃った。とたんに「ぎゃん!」と犬みたいな叫び声が耳に届く。
それを契機にドクオは飛び出した。ハンターは対応しきれない。
だがドクオは一瞬で加速し、足を負傷したハンターの懐に入り込んだ。
そうして鳩尾を躊躇なく殴り込んだ。


「ぐうっ!」と絞るような声を上げて前のめりに倒れ込もうとする。
その辺りになって周りのハンターが状況に追いついて、怒声を上げながら
銃を抜き出したが、負傷したハンターが邪魔でドクオを狙うことが出来ない。

もとより、ドクオを殺害を許されないハンター達
にとって銃などあまり役に立つ代物ではなかったが。

395 名も無きAAのようです :2012/09/30(日) 01:25:20 ID:c4OR/G620
来てれぅー
支援

396 名も無きAAのようです :2012/09/30(日) 01:47:56 ID:bT0XvDj60
やったれドックン

397 名も無きAAのようです :2012/09/30(日) 01:48:15 ID:s8Lru0Dw0
tes

398 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 01:49:20 ID:s8Lru0Dw0


('A`)「おら!」

密着していたハンターを突き飛ばした、複数の声が聞こえる方へ。
すかさず銃を構えて別方向に居るハンターに向け、更に発射する。

兄者の狙撃時点で自身を殺す気はないと察知しているだけに、ドクオ
の自信あふれる喧嘩はとどまるところを知らなかった。
なにより、鬱憤が溜りに溜まっていたのであろう、拳銃で
怯ませてから懐に入っては打撃という戦術には容赦というものがなかった。


怒りに身を任せた一人が拳銃を乱射した。しかしそのときにはもう
ドクオは別のハンターの陰に隠れ、銃弾を回避している。
至近距離の発砲は肉壁にされたハンターを死に至らしめた。
「ああ…」と我に返ったときにはもう弾切れで、その隙を突いて
ドクオが突進してくる。真っ向から格闘するかリロードするかの
瀬戸際のときにはもう、ドクオのアッパーが彼の脳を思い切り揺らした。
失神しかけたそいつの襟元をドクオは掴んで、背負い投げの要領で
掲げたかと思うと、腰の引けた別のハンターにそいつを投げつける。
ふたたびドクオは走り出し、とどめにとタックルと頭突きを与えた。

半ば暴走状態のドクオだったが、脳だけはきっちりとフル回転を続けている。
残党の数と戦闘不能者を数えつつも、細かな殴打と蹴りで対応をしていた。

残りは二人だった。しかしそこでドクオの快進撃は止まることになる。
その二人はドクオの真正面と背後にそれぞれ陣取ってい、加えて
じりじりと銃の照準を定めていた。


('A`)「けっ……」

ドクオは蟹走りで照準から逸れると、壁を背にして振り返った。
――しかしその瞬間に頭に衝撃を受けた。動きに対応したハンターの
一人が古枝でドクオの後頭部に一撃をくわえたのだった。

399 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 01:53:17 ID:s8Lru0Dw0


(メ'A`)「………」

ドクオの身体がぐらりと傾いで壁にもたれ掛かった。舌なめずりを
するそのハンターが、二撃を与えようと棍棒めいた古枝を振り上げた。
その瞬間、ドクオは唾を吐いた。唾がそいつの鼻にかかった。
とっさの屈辱に一瞬ひるむ彼に、ドクオは前蹴りを放った。
会心の一撃だった。腹を突き上げられたそいつは倒れかけた。
すかさずドクオは彼の股間を蹴撃した。悲しげに沈んでいった。

残りの一人に目を向けると、そいつは電話をしている最中だった。
慌てふためいた敬語で、上層部に何か応援を要請しているのが把握できる。
むろんドクオは容赦せず近づくと、ストレートを加えて失神させた。


(メ'A`)「けっ」

ドクオはそいつの持っていた携帯電話を奪い、更にホルスターから
拳銃を抜き取った。逃げよう。逃げ道を探らなくては、


――しかし、背後から静かな足音が、聞こえてきた。


(メ'A`)「!?」


ドクオは知っている。その気配の主を。
紛れもなく、奴が辿りついたのだ。




( ´_ゝ`)



                   .

400 名も無きAAのようです :2012/09/30(日) 01:59:06 ID:bT0XvDj60
どうする

401 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 01:59:31 ID:s8Lru0Dw0


(メ'A`)「……くそ」

ドクオはたちまち銃を構えた。正面突破で太刀打ち
できる相手ではないことをドクオは身をもって知っているが、
この状況では闇に紛れて逃げることは不可能ということも承知であった。


兄者は構わず、少しずつ近づいてくる。ドクオもすり足で
うしろうしろへと離れようとしたが、距離は確実に詰められようとしていた。


( ´_ゝ`)


(メ'A`)




――さきに動いたのはドクオだった。定めていた照準から銃弾を
発射する。……だが、その弾は、途中で、逸れて、壁に、音を立ててめり込んだ。
ドクオは困惑したがすぐさまに理解をした。兄者がいつの間にか
拳銃をこちらに向けているばかりか、その銃口から煙が吹いている。
つまり、ドクオの撃った弾に対応して射撃し、弾道を変えたのであろう。



(;'A`)「………!」


人間技ではない。ドクオは戦慄した。
一流のガンマンともなれば、敵の撃ってくるタイミングが読めると
聞いたことがあるが、それを踏まえても信じ難い出来事だった。

402 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:02:21 ID:s8Lru0Dw0


この男から逃げられるのであろうか。
さきの出来事から言っても、兄者はドクオを本気で"捕獲"に来ている。
殺しにかかっていない。本来ならそこが付け目になるが、こと兄者に
そんな常識が通用するか、ドクオには判断しかねた。



(;'A`)「………」


ドクオはふたたび銃弾を放とうとした。しかしそれは叶わなかった。
さきに兄者の弾が発射され、ドクオの手の拳銃を吹き飛ばした。
指先に激痛が走り、手の付け根が折れそうになる。
その後の静寂に兄者が歩みをはやめた。



くそっ。そう言いさしながらドクオは弾けるように逃げ出した。

充分に背後の兄者をケアしつつ、全力疾走で闇夜に紛れようとする。
兄者も駆け足になって追いかけ始める。ドクオは横目で確認したが、
やはり銃殺される心配はないようだった。

403 名も無きAAのようです :2012/09/30(日) 02:06:20 ID:bT0XvDj60
チートだ!こんなもん!

404 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:08:32 ID:s8Lru0Dw0


――ただし、いつの間にか兄者の手にはロープが握られていた。
一方の先がゆるく輪をつくった、ロデオ用の投げ縄であった。
そうしてそれを走り去るドクオの背中めがけて投げつけた。


ひゅる、ひゅる、ひゅると風切る音を立てながら、投げ縄は
ドクオの浮いた右脚へ確実に向かっていった。ドクオは音から何が
迫ってきているかを察知し、縄に捕まる寸前で方向転換をし、それを回避した。


(;'A`)「ぐうぉおおおお!!」


( ´_ゝ`)


とっさの足さばきでアキレス腱に負担がかかった。
しかしドクオは躊躇せず、脚力を酷使して逃げ切ろうとする。

対し兄者は投げ縄の一環で追跡に遅れを取ることになった。
ふたたび追いかけるも、距離は先より伸びていく。


(;'A`)「………!!」


無我夢中に足を動かす。体力配分など考えなかった。
足場は次第に茂みや樹木が多くなり、森のほうへ向かっているのがわかった。
膝の負担が重くなる。急な斜面ではないが、ふくらはぎが痛んでくる。
ズボンが目に見えて汚れていく。若干ぬかるんでい、スピードが出しづらい。

405 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:12:21 ID:s8Lru0Dw0

背後で発砲音がした。かと思うと、前方の老いた木の枝が吹き飛んで、
ドクオの眼前に立ちふさがった。枝はためらわず突破するには大きすぎるが、
わざわざ避けるほどのものでもなかった。その思考で、一瞬だけ足の動きが緩んだ。

その緩みは、たちまちドクオに疲労感をもたらした。
息遣いも急激に荒くなって、膝ががくがくと笑い出した。
もう限界か。ドクオは逃げることを諦めた。覚悟を決めなければ。
迫ってくる兄者の足音は、次第次第にはっきり聞こるようになった。


(;'A`)「――!」


ドクオは枝の手前で急ブレーキを掛けると、逆方向――
駆け上ってくる兄者にむかって突撃をした。高低差はドクオに
利を与え、ドクオのタックルは程よい威力をもった。


(;'A`)「こなくそぉ!!」


( ´_ゝ`)



来る魔は急にとまれない。いきなりの反転をしたドクオには、
兄者も止まらざるを得なかった。しかし足を止めるその瀬戸際に、
ドクオの身体と兄者の身体とがぶつかった。

兄者が後方に飛ばされる……しかし、転ぶことはなく片膝で着地した。
ドクオは反撃の隙も与えず追撃の体勢をととのえた。

                    .

406 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:15:36 ID:s8Lru0Dw0


('A`)「……うらぁ!」

尽きかけた体力を振り絞って、ドクオは右ストレートを見舞おうとした。
兄者の顔面めがけて放たれたものだが、スウェーの要領で避けられる。


( ´_ゝ`)

(#'A`)「ち!」



疲労しているのに力を込めすぎたせいか、ドクオの身体のバランスが崩れかけた。
その瞬間に兄者がさらに接近してくる。ドクオは腰に力を入れて
体勢を無理やり立て直すと、その反動を利用してさらに裏拳を放つ。

いきなりの一撃だけに狙いはまったく定まっていなかったが、
兄者のこぶしに運良くヒットした。偶然によるものだったが、兄者の
殴打を食い止めたらしい。兄者はすかさずバックステップで間合いをとった。


(;'A`)「はぁ……はぁ……」


じりじりと互いを見つめる時間が続いた。
月光のみの暗い森の中では、ふたりの吐息以外に聞こえるものはなかった。
ドクオの体力は限界を迎えようとしていた。
普段の精密な格闘術も、常人以上の反射神経も披露できそうにない。

407 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:18:33 ID:s8Lru0Dw0


それでも、やるしかない。
ドクオはふたたびタックルを食らわそうとした。
だが集中力の欠いたそれには先刻の威力も速度も無く、
ただの高低差に身を任せたようなものだった。

兄者は激突する前に肘をまげ、拳を腰まで下げ、


( ´_ゝ`)

(#'A゚)「……ッ!?」


カミソリのようなアッパーカットを打った。兄者の右拳は
紛れもなくドクオの顎にクリーンヒットし、彼の脳に衝撃をくわえた。


(;'A`)「………!」

否でも応でもドクオは動くことができなくなった。
視界がぐらんぐらんと揺れ、あらゆる構えも取れやしない、
兄者を睨みつけることも、立ち続けることも、、、


そうして、意識も彼方へきえていった。




・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・
・・ ・・・・・・
・・ ・・・・・・・

408 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:22:59 ID:s8Lru0Dw0


          ・      ・      ・


(´<_` )「……ふん。ようやく起きたか」


(;'A`)「う……ぐぐ……?」


( ´_ゝ`)


ドクオは目を覚ました。薄らんだ視界は白く輝いたが、
見覚えのある白色灯だと気がつき始めた。頭がまだ痛むため
見回すことはできないが、そこは以前きたことのある裁判館の一室で
間違いはなかった。ただし今回は傍聴席には誰もいない。


―― 裁判館 1F


流石兄弟と、椅子と共に縄に縛られたドクオのたった三人だけであった。


(´<_` )「随分と手間取らせてくれたもんだ」


いつもの余裕さを見せず、弟者はぽつと呟いた。
ドクオの荷物を見やっては苦々しい表情をした。


('A`)「また此処かい……こんどは何を裁くつもりだ」

(´<_` )「さぁな」


                .

409 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:27:57 ID:s8Lru0Dw0


(´<_` )「単刀直入に言うぞ、ドクオ。
       いい加減に我々と手を組め」

('A`)「………」

広大な裁判室のなか、弟者は淡々と言葉を続ける。


(´<_` )「知っているだろう? キャリアに触れられた以上
       お前がどこに行こうとも私には手に取るようにわかる。
       よしんば逃げられたとしても、発掘箇所は筒抜けなんだ」

(´<_` )「その意味は理解できるだろう? それならば我々の
       傘下に加わった方が、はるかに救われるというものだ」


('A`)「……たしかにな」


ドクオは逡巡した。傘下に加わることについてなどではない。

自身の信念を一端は無視をして、時間稼ぎのために
賛同の振りをするべきか否かについてであった。



だが、だがしかし――


ドクオにはもう、抵抗しがたい怒りが胸に宿っていた。
この目の前の男にひと時でも、屈するなど考えられぬことであった。

410 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:31:28 ID:s8Lru0Dw0


('A`)「ひとつ聞かせてくれ。デルタはどうなった」

(´<_` )「………。不慮の事故で亡くなったよ、
       隠し通すことも出来んから言うがね。これは真実さ」

('A`)「そうかい」





('A`)「失せやがれ糞野郎」


(´<_` )「フン……」

弟者はつかつかと歩み寄り、ドクオの頬を思い切りビンタをする。
弾けるような音が走り去ると、ドクオは口から鮮血を一筋垂らした。
ドクオはきっと弟者を睨みつける。両者の表情は共にけわしい。


(´<_` )「今日の私は機嫌が悪い。言葉には慎んでもらおうか」


(´<_` )「ン? そうだろう? 未来の私の部下なのだから」


('A`)「はぁ? 誰が部下だって?」



不敵の目で弟者を睨め上げた。

弟者は笑いもせず怒りもせず、表情を変えぬままであった。

411 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:35:03 ID:s8Lru0Dw0

この状況でむやみに牙を剥くことは、けっして正しい選択肢とはいえなかった。

ただドクオには、名状し難い負の感情がこみ上げてくる。
理屈は充分理解していたが、ここで弱みを晒すことは彼の信念が許さない。
通さなくてはならない意地があった。


(´<_` )「命が無ければ、通すプライドも無意味なものだ」


( ´_ゝ`)


(´<_` )「愚かにも意地を張って苦しんでいく奴は何人も見ている。
       ……妥協しなければならないところで、強気に走ってしまう。
       そうやって死ぬ愚か者どもさ。ちょうど、今のお前のようにな」


('A`)「お前らに屈したら、俺の全てがぶち壊しになるんだよ」


弟者は鼻で笑うと、ドクオを椅子ごと蹴り倒した。
蹴りと背凭れとの衝撃がドクオに苦痛を与えた。
森での疲労がそれに拍車をかけた。
しかしその体勢のままドクオは弟者を睨もうとする。



(´<_` )「お前も大概に阿呆だな。少しは才覚があると見込んでいたが?
       そこで妥協して命拾いしろというのがわからんのか?」


('A`)「アホはおめーだ。他人の気持ちも読み取れねえ無能が」

412 名も無きAAのようです :2012/09/30(日) 02:37:42 ID:c4OR/G620
ドクオさんマジかっけぇッス

413 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:40:31 ID:s8Lru0Dw0


('A`)「コイツを見りゃわかるさ、お前が部下をどう扱ってるかってな」


そういってドクオは兄者のほうへ顔を向けた。
傍聴席との仕切りに腰を預けている兄者は、そんなふうに話題を
振られてもドクオに一瞥さえくれなかった。
相変わらず、無言で虚空を見つめていた。


( ´_ゝ`)


('A`)「てめえら兄弟に何かあったか知らねぇし知る気もねえ。
    だが、ただ一つ言えんのはてめぇが部下を操り人形としか
    思ってねえ無能上司ってことだけよ」


(´<_` )「………!」


弟者はやはり無表情のままだが、殺気を隠しきれずにいた。


('A`)「支配の項目もまるで落第点だ。お前、恐怖と暴力で無理やり
    相手を手懐けるんだろ? それで人の上に立てたつもりか?」


(´<_` )


('A`)「俺には一人だけ部下がいる。けどそいつを恐怖で
    縛ったことなんざねえよ。俺はそいつを信頼しているし、
    そいつもきっと……いや、ぜったいに俺を信頼している。
    弟者。お前には分かりゃしねえ話だろうがな」

(´<_` )「クックック……」




          ―― ゴリッ.....

414 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:43:49 ID:s8Lru0Dw0
.


('A゚)そ 「うぐッ!?」


(´<_` )「言いたいことはそれだけか?」


ドクオの縛られた手に――正確には左手の指に激痛が走った。
弟者はドクオの指を足で踏みつけていた。力を込めて、
潰れてもおかしくないほどに圧迫を加えている。

ぎりぎりと音を立てながら、弟者は抑揚のない声で、


(´<_` )「だから? 信頼がどうだとか、結局なにを伝えたいのだ」

(´<_` )「この状況を見れば分かるだろう。支配という言葉その意味を」


('A`;)「〜〜っ!!」


弟者は足の力に強弱をつけながら、見下してそういった。
対してドクオは苦悶の表情だった。指が折れてしまいかねない。
いや、このままの状態が続けば、あとはもう時間の問題であった。


(´<_` )「てめぇの信頼するセントジョーンズとやらは
       いまのお前を救ってくれるのか? ああん?」


('A`;)「……う、る、、、せぇ」

                 .

415 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:47:12 ID:s8Lru0Dw0


(´<_` )「ははは、どうあれ無理だろうさ。彼はとっくに死んだからな」

('A`;)「………!」

(´<_` )「ククク……てめぇの目論見とともに木っ端微塵、さ」



弟者はそこでようやくドクオへの虐待を止めた。
腰を屈むと、苦痛でゆがみきったドクオの顔を存分に眺めながら、


(´<_` )「お前の希望とやらも潰れちまったんだよ。わかるだろう?
       だから俺はお前に妥協しろといっている……
        さ あ 、 服 従 し て お く れ …………!」


ドクオの額から脂汗がぽたりと垂れた。
どくんどくんと、心臓が裂けそうなほどに脈打っている。
脳裏を過るのはクー・スナオリャと、そしてセントジョーンズの姿だった。





(´<_` )「共に世界を築こう」

極めて穏やかな猫撫で声になって、

(´<_` )「私とキミなら、ハンター組合なんぞ敵じゃァないさ」

416 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:52:58 ID:s8Lru0Dw0


( ´_ゝ`)



( A )「下克上なら一人でやってろよ」

(´<_` )「………」



ぜぇぜぇと息づきながら言い放った。
弟者の沈黙を遮るために、ドクオは続けて、



( A )「俺はただ自分の…夢を切り開く、だけ……
    なんどもいうが妥協は……あっちゃならない。。。
    ……てめぇが、ジョーンズが死んだと、いうなら……
    あいつが俺の信頼抱いて、、、死んだなら尚更……
    ぜってぇに諦めるわけにゃいけねぇんだよ、わかったかコラ……」


(´<_` )「ふうん、強情だな。この世の仕組みを分からせてやる」


そういうと弟者は兄者に向かって「戻せ」と命令した。

兄者が鷹揚に椅子を立ち上がらせる、そうして
ドクオの目にした光景は、弟者がナックルダスターを
胸ポケットから取り出すその動作であった。

417 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:56:44 ID:s8Lru0Dw0


そうして弟者はそれを自身の拳にはめ込んだ。
ドクオは舌打ちをすると同時に、強化された拳が頬にぶちあたった。


( A ;)「ぐっ……!」

口のなかで血の味が弾けるように広がり、強烈な鈍痛も響きはじめた。


(´<_` )「ふん……」


さらに続けて二発、三発とドクオの顔を集中的に殴打した。
ドクオは声を立てずにそれを耐えようとしたが、三発目には
悲痛な叫びを漏らした。耐えられないというよりも、
顔の筋肉が言うことを聞かなくなったような気分だった。


( A ;)「うッ……ぐふ……、ぐゥ……!」

(´<_` )「お次はこういうのはどうだいドクオ」


弟者は拳でのいたぶりを中断すると、
背後に回ってドクオの手のほうを確認した。
そうしてまだ痛みのひかない彼の小指を手に取ると、


(゚A゚;)「うぐぁ……ッ!」


ゆっくりゆっくり力を込めて、逆方向に曲げていった。

418 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 02:59:04 ID:s8Lru0Dw0


―― ぎり、ぎり、ぎり、ぎり……。
腱が裂けそうになる。小指の付け根は悲鳴をあげはじめる。
歯はがちがちと音を立て、その度に口内にたまった血が鉄の匂いを発した。


(゚A゚;)「や……やめ……!」

(´<_` )「他に言うことがあるだろう。ン?」


弟者は躊躇しない。
ばかりか、笑いながら力に緩急を加えた。
脂汗がドクオの傷だらけの顔に溢れていった。


(゚A゚;)「ぎ……うぎぎ……!」

(´<_` )「こんなのはまだ序の口だというのに……。
       やはりお前も命乞いをするんだろうよ、ははは」


ドクオの目に涙がたまり始めた辺りになって、弟者は一端中断をした。
しかしドクオは息を整えると、震え声のまま、


('A`;)「てめぇなんかに……だれが……」

(´<_` )「……ほぉ?」

              .

419 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 03:00:51 ID:s8Lru0Dw0


('A`;)「死んでも……逆らってやるぜ……このやろう!
    てめぇのような、腐った……権力みてぇのにはよぉ……!」


( ´_ゝ`)


(´<_` )「そうかい、そうかい。ならば何かを失って頂こう」


弟者はやけに冷めた口調でつぶやくと、
自身のホルスターからリボルバーを引き抜いて、


(´<_` )「指を一本一本撃ち抜いてあげようじゃないか。
       貴様の反抗心が、崩れ落ちるまでな」

( A ;)「………!」


思わず目を瞑った。歯軋りを立ててしまう。
しかし後悔は不思議と無かった。
目の前の男にだけは、何があろうと屈したくないのだ。


相対する弟者は優雅に、リボルバーの黒光りする銃身を見つめると、
シリンダーを回転させては点検をした。本気で撃つつもりらしい。

忍び笑いをしつつ、

(´<_` )「明日からは、まともな発掘も出来なくなりそうだねぇ……」

( A ;)「(くそが、くそが、くそがっ……!)」

420 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 03:02:58 ID:s8Lru0Dw0

弟者は弾の確認を済ませると、銃口をドクオの無抵抗の
小指にあてがった。しかし、
そのあたりになって弟者の背後で靴音がした。


弟者が不審に思い振り返ると、そこには兄者が立っていた。


( ´_ゝ`)


(´<_` )「……誰か動いていいと言ったか?」


弟者は苛立った声で咎めた。弟者は片膝立ちをやめて兄者と
同じ目線になると、それでも反応のない兄者に向かって、


(´<_` #)「誰が持ち場を離れろと言ったァ!? ああ!? 命令なく
       歩くんじゃねぇッ!! 人形で居ろと言ったろうがッ!」

( ´_ゝ`)


ここに来て、ドクオも兄者の言わんとすることが理解できた。
つまりドクオへの過度な拷問に苦言を呈したがっているらしい。


(´<_` #)「……なんなんだよお前っ……兄者、兄者ァ……
       意思を持つなとさんざ言ったじゃねぇか!」


( ´_ゝ`)


兄者は何も言わない。頭も振らない。
ただただ瞳の底には、言い知れぬ悲しみと激情とが秘められていた。

421 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 03:06:03 ID:s8Lru0Dw0


(´<_` #)「デルタのときもッ勝手な真似して楽しみ奪いやがって!
       そしてお次はドクオもってか!? ふざけんなよッ!
       正義気取りだかなんだか知らねえがよぉッ!!」


( ´_ゝ`)


弟者は物言わぬ兄者の頬に平手打ちをした。怒りに任せて
何度も何度も叩いた。兄者の唇が切れて血が顎に滴った。


(´<_` #)「………!」


( A ;)「おい、兄者おま」

しかしドクオの言葉はそこで遮られた。目にも止まらぬ兄者の早撃ちで
ドクオの脚近くの虚空を撃ち抜いた。発砲音とその残響だけが空間を支配する。


( ´_ゝ`)


(´<_` #)「何の真似だよ……俺に逆らいてえってか……」

422 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 03:08:24 ID:s8Lru0Dw0
.



( ´_ゝ`)


(´<_` #)「……くそが」


弟者は背を向いてつかつかと離れはじめた。
そうして壁に目を向けたまま、


(´<_` )「……ドクオをぶち込んでこい」

間を置かずに怒鳴って、

(´<_` #)「駐在所にだッ! さっさとやれェ!!!」


( ´_ゝ`)

( A ;)「………」


兄者はドクオと椅子とを繋いでいる縄を解くと、そのまま
ドクオを担いで扉へと向かっていった。ドクオはまったくの抵抗も
せず、生気を失ったようにぐったりとしている。



兄者が裁判館を離れ、広場の方へと歩いていく。
その姿を、弟者はやはりじっと見つめていた。
やがて、ぽつりと、



(´<_` )「なぜだ……兄者……」

                     .

423 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 03:11:59 ID:s8Lru0Dw0
・・ ・・
・・ ・・・

―― 同時刻 ノーナンバーズのアジト。


N| "゚'` {"゚`lリ「――明日、さ」

(((`・ω・´;))) 

(*゚∀゚)「そうさね……」

||;‘‐‘||レ「………」


灯りのない古びたバーで、四人のメンバーは静かに語っていた。
デルタを失い、ドクオも囚われてしまった。

(*゚∀゚)「信じられないさね、明日がくるってのは……」

つーは髪の毛を弄りながら、落ち着かない様子で、

(*゚∀゚)「明日が、明日が……なんていうんだろうね、
     こーんなこわくてちょっと気持ちよさそうなのってのも」

(((`・ω・´;))) 



N| "゚'` {"゚`lリ「そうだな、俺も未来をどんな気持ちで受け止めていいのか判らない」

阿部は抑揚のない声で、

N| "゚'` {"゚`lリ「明日になれば、どんな形でも決着がつく。ドクオはそう言った」

424 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 03:17:17 ID:s8Lru0Dw0

N| "゚'` {"゚`lリ「俺達はやるしかない。仲間を失っても、
          やるしかないのさ。ドクオは言っていたな、
          "俺なんて俺のプランの歯車でしかない"って。

          ――死ぬつもりでやろう。デルタや、ドクオのように」

(*゚∀゚)「……そうさね」

(*゚∀゚)「そんじゃあたし、ほかの人に声かけしてくるさね」

つーはフラフラした足取りで外に向かっていった。
「気をつけろよ」の阿部の注意も、聞こえていなかったかも知れない。


(`・ω・´;)「神様オナシャス! 僕たちを……!」

||;‘‐‘||レ「私も……つーと一緒に」

              
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ、充分に注意してくれよな。

          (ようやく、この村に転機が訪れるのか……。
          そして俺にとって、俺の人生にとっても……)」


阿部は頭の中で昔の恋人を思い浮かべながら、


N| "゚'` {"゚`lリ「(正樹……俺には、復讐もお前も忘れられそうにねぇぜ……)」


                     .

425 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 03:19:01 ID:s8Lru0Dw0


(`・ω・´;)「なんでもしますから……なんでもしますから……」ブツブツ


N| "゚'` {"゚`lリ「(明日のためだけに、俺はここにやって来たんだからな……!)」








―― シェリフの駐在所。



( ´_ゝ`)

('A`;)「うぐっ……!」


兄者によって牢屋に放り込まれた。

ハーモニーに来て初日のあの牢屋と同じであった。
ただし今回はとても静かな夜だった。


怯えたように兄者を見つめる門番と、
物言わず牢内に倒れ込んだドクオ。
そして、やはり口を聞かない不気味なカウボーイの兄者。

        .

426 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 03:21:14 ID:s8Lru0Dw0


「お疲れさまです」と門番が強ばった声で、去り際の兄者に挨拶をする。
そのときドクオはなんとか首を動かして様子を眺めようとした。

当然、兄者は何も応えない。立ち止まるつもりもないらしい、
ドクオは何かを言いたかったが、彼はそのまま闇夜に消えてしまった。



('A`;)「………」



弟者に弄ばれた小指が未だに強く痛んだ。
おそらく腱が損傷したに違いなかった。
だが、それよりも大事なものがドクオにはあった。


命とプライド、そしてプラン。


今夜はその全てを失いかねない危険性を
孕んでいたが、奇跡的になにもかもを守りきることに成功した。

427 ラスト投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/09/30(日) 03:23:10 ID:s8Lru0Dw0
.


('A`#)「オリバー……ジャーブロ……!」


怒りを込めて、弟者の本名を呟いた。
看守はそれを聞いていたが、なにも言わずに俯いている。


牢屋の冷えた床の感触、その硬さを背中に感じながら、
解けない縄を手首と足首に感じながら、


('A`#)「(明日だ……明日、てめぇを……!
     俺は負けねえぞ……! 何があっても、絶対……!
     てめぇには屈しねえからな……!)」




月が狂態を見て笑う。
血と殺意に舞ったこの夜は、いままったく終わった。


そうして明日、その日が、その始まりが告げられようとしていた。……

                      .

428 名も無きAAのようです :2012/09/30(日) 03:25:11 ID:s8Lru0Dw0

今日はここで終わりです。途中時間があいて申し訳ない、
あまりにも寮のwifiが酷かったんでスタバのにつなげてますた。

ではよい夜を。

429 名も無きAAのようです :2012/09/30(日) 03:34:59 ID:c4OR/G620

弟者は兄者の感じてることが本当にわかんないんだな…

430 名も無きAAのようです :2012/09/30(日) 04:00:44 ID:t9BFCbSA0
おつ!
読んでて凄いドキドキした

431 名も無きAAのようです :2012/09/30(日) 13:20:59 ID:NORimOss0
朝から一気読みしたよ。面白いね。乙。

432 名も無きAAのようです :2012/10/01(月) 13:43:05 ID:spFzvw.6O

ハラハラする
指が無くなった時を想像して思ったが
この世界の義肢技術はどんぐらいなんだろ

433 名も無きAAのようです :2012/10/01(月) 19:29:06 ID:zTluCLbk0
うあああああ乙!!
ドクオさんマジかっけぇっす!
何も語らないのに兄者の心情思うと辛い…

434 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/03(水) 13:32:30 ID:g65Ui6Ng0

レスどうもどうも。活力が湧いてきます。
ところで今週末は多分投下できそうにないです。
来週末かなぁ、いま現在は20レスくらい。

と、これだけも何なので、設定みたいのを垂れ流そうと思う。
作者でさえアヤフヤになった用語などの再確認などなど。

435 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/03(水) 13:38:08 ID:g65Ui6Ng0
・火星での人名

 「 (称号) + 登録名 + 姓 + 名」の順に表記される。
登録名+姓が事実名、そこに名を加えて正式名と扱われる。
登録名は火星移住の際に自身で好きに付けられるが、大体は
ファーストネームの略称だったり愛称だったりが多い。

 登録名と名が同じの場合、名をイニシャル表記にする。
(火星で生まれた人間は20歳のときに登録名変更の機会が与えられる。
ただし一般開放は17年前のため、この制度はまだまだ先の話である)。


例:あだ名がドクオのドンクホーテ・タケシ・ウツタール氏は
火星移住の際に「ドクオ・ウツタール」を事実名とした。
正式名は「ドクオ・ウツタール・ドンクホーテ・タケシ」である。

例:ジョン・セドリック・ワート・ジュニア氏はセントジョーンズという
名に憧れていたため、移住時に登録名をそれにした。よって、
「セントジョーンズ・ワート・(ジョン・セドリック)」
ちなみに父と同じ名でなくなった場合はジュニアを消してもよい。

例:登録名を面倒臭がったミルナルド・ジェームス・コットン氏は
「ミルナルド・ジェームス・コットン・(M・J)」の名を持っている。
阿部高和氏も「タカカズ・エイブ・(T)」が火星での正式名である。
(阿部は更に発音表記もしなかったため、エイブ読みにさせられた)。

例:流石兄弟は「兄者」「弟者」を登録名にしなかったため、
「アレン・ジャーブロ・(A・ニコラス)」
「オリヴァー・ジャーブロ・(O・トーマス)」が火星での正式名である。

436 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/03(水) 13:44:35 ID:g65Ui6Ng0


・事実名と正式名について

 もっぱら事実名が日常生活の大部分で活躍する。正式名はパスポート
などにしか使われておらず、自分の名前なのに忘れそうになる人もしばしば。
セントジョーンズとか。


・火星考古学について

 認知されてはいるが、火星人の存在を肯定する学問のため、
とんでも扱いされることも多い。文部省から補助金が降りていない
ため、大学で専門の講座は開かれていないし、大々的な活動もできない。
 ドクオは火星考古学の第一人者だが、そうした問題のために
大学生時代から火星古生物学に籍をおいている。


・マーパーツについて

 火星でごくたまに出土されるオーパーツ的存在。しかし世に出回っている
ものの殆どが紛い物である。そのため、オカルト扱いもしばしば。
多くはネックレスや人工的に加工された石など。


・エビについて

 火星の古生物の化石の俗称。エビに似た生物が大多数をしめるためこう呼ばれる。
やはり偽物も多いが、マーパーツに比べると総数は非常に多い。
とても高価であるため、ハンターの活動の資金源にもなっている。
エビはマーパーツではない。流石兄弟の過去編で混合しちゃったけど
脳内変換してくださいネ。

437 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/03(水) 13:46:53 ID:g65Ui6Ng0

・火星人の最後の地

 火星人の終の棲家。ドクオは火星の何処かに存在すると考えている。
この地を捜すために、マーパーツとエビを集めている最中である。


・火星の重力について

 火星の重力は地球のと比べると非常に弱く、人間が活動する上では
不便であった。そのため、科学者達はどうにかして同等の重力に仕立て上げた。
よく分からないけど、とても凄いことだと思う。


>>432 火星の義肢技術

 見た目が殆ど変わらない上、不自由ない生活を送れるレベルの義肢がある。
ただし火星はインフラが未発達なため、それを施せる病院は非常に少ない。
培養細胞による完全再生についても同様。地球で受けた方がはるかに安価。
 ちなみにニューシベリアは、生身以上の性能を発揮する超技術の義肢を
作り上げたが、あまりにも高性能すぎたため、道徳上の問題で禁止された。

438 名も無きAAのようです :2012/10/03(水) 15:42:36 ID:JDCVYnZ.0
乙乙です!

兄者好きだわ
精神は壊れても心はまだ死んでないってことか

439 名も無きAAのようです :2012/10/07(日) 01:11:19 ID:xBcE0tsQO
やっぱり技術はめちゃくちゃ発展してるんだな
答えてくれてありがとう

440 名も無きAAのようです :2012/10/07(日) 11:54:10 ID:67Z5dTEQO
久しぶりにきたらめちゃ更新してて嬉しい!乙乙!

441 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/10(水) 15:43:37 ID:jjCas4Rk0
どうもどうもー。
質問があったらこれからも遠慮なく。

それと、近いうちに投下します。

442 名も無きAAのようです :2012/10/10(水) 22:07:25 ID:NAu9zDL60
予定通りだな
待ってるぜー

443 名も無きAAのようです :2012/10/11(木) 15:33:36 ID:vbwQ4uyoO
wktkして待ってる

444 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 01:08:22 ID:SARND0eo0
投下するでよ

445 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 01:16:26 ID:SARND0eo0


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・


どれだけ望もうともフォボスが運動を止めること
はないし、太陽は常に顔を覗かせては朝を知らせにやってくる。

普段は埃っぽいハーモニーの往来も、このときだけは
朝露に濡れてしおらしい。がなり声を立てるハンターもいない
早朝のハーモニーは薄青い空の下、閑静な界隈になりきっていた。

太陽の光で空は紅く溶きほぐされたかと
思うと、瞬く間に明るげな青を取り戻していった。

縄で繋がれた馬達は、餌を待ちわびてそわそわと動き始める。
村外れの養鶏所も俄に騒がしくなっていく。



          そう、運命の日はやって来た。



                   .

446 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 01:20:47 ID:SARND0eo0

―― シェリフ駐在所 その牢屋。



(メ'A`)「………」


看守に手足首の縄を解かれ、朝食のトレイを手渡された。

ドクオは物言わずにそのトレイを眺めている。
冷え切ったバターと一摘みの塩、薄く輪切りされた茹でジャガイモ、
その隣のコールスローにミルクの入ったカップ。それで全てらしい。

牢の鍵が締められてから、ドクオは食事を開始した。
不味いコールスローをミルクで無理やり流し込み、
バターと塩をそのまま口に放り込んだ。バターを口内で溶かしながら
ジャガイモの輪切りをどんどん頬張っては嚥下する。
途中、喉が詰まりそうになったら更にミルクを一飲みする。


(メ'A`) モグ モグ


さいごのひと切れを咀嚼しながら、ドクオは鉄格子の外を見た。
広場とその中央の一本杉。そこで処刑されたダミエルの死体は
当たり前だが撤去されていた。キャリアに利用されたのだろうか、
ドクオはそんなことをぼんやりと考えた。

447 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 01:27:39 ID:SARND0eo0


(メ'A`)「………」


そうして計画について思案を重ねた。この状況下では
ドクオ自身は何もできない。プランが成功しない限り、
一生自由にはなれない。ドクオは身震いしそうになったが、気を引き締めた。


(メ'A`)「(成功する……必ず……)」


そのとき、ハーモニーの上空で流星のようなものが光った。……




―― 裁判館 地下射撃場



( ´_ゝ`)



兄者は、映像空間でひたすら射撃をしている。
ときおり距離の設定を変えてはまた銃弾を放つ。
それを何度も、何度も繰り返していた。
両手に拳銃でピンポイントにエネミーの脳天を撃ち抜いていく。

448 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 01:31:13 ID:SARND0eo0


その殆どが満点を記録していた。たまに誤差が生じても、
次の弾ではきちんとエネミーを殺しきるという腕前だった。


( ´_ゝ`)


百人あまりの仮想敵を撃ち殺すと、それで本日のノルマは
達成になった。装置の電源を切って額の汗をタオルで拭いた。

タオルを脇のデスクに置いてから、ふと兄者はシャツの下を
まさぐってロケットを取り出した。開いて、なかの写真を確認する。


シアトル時代の流石ファミリーの宴会写真を縮小したものだった。
兄者の隣で座っているヒールは、大口を開けて笑っている。
そのヒールを挟んで隣にいる弟者は、グラスを片手に微笑んでいた。



( ´_ゝ`)


    .

449 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 01:35:10 ID:SARND0eo0


―― アレンはいつもそうだッピャ、生きるのに全力で。

―― そ、そうかぁ、ははは……。

―― 本当に凄いと思うっピャ。流星のように生きる。
   有言実行してて、カッコイイ! キャー!

―― 褒めてもなんもやんねーぞ?

―― 何言ってるっピャ? いつもアタイはアレンから貰ってるよ?
   アレンの、眩しい眩しい光って奴をね。アレンはみんなの憧れなんだ。



( ´_ゝ`)



兄者は普段からウエスタンシャツに隠して
ロケットを携えていたが、頻繁に写真を眺めたりはしなかった。
ただ今日だけは、ふいに見たくなったのであろう。


そして兄者は気がつかない。
ハーモニーの上空でそのとき、流星らしき光が尾を引いているのを。

            .

450 449の前にこれが ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 01:36:41 ID:SARND0eo0


兄者はなにを思って、それを見つめていたのか。

あるいは、その遠き過去を振り返りながら、
当時の自分や仲間のことを思い出していたのかも知れない。




―― ってわけでな、今夜からはゴアの残党刈りよ。
   奴らも必死で俺を殺しにくるんだろうな、面白くなってくるぜ。

―― アレンは怖くないッピャか?

―― うーん、どうだろうな。怖くないわけじゃあないんだが……なんつうか、
   ああやって命削って戦うとな、生きてるって感じがしてくるんだよ。

―― ………ふーん。

―― っておいおい、呆れたみたいな顔すんじゃねえよ!

―― 逆っピャ。

―― ん? 逆って?

               .

451 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 01:38:42 ID:SARND0eo0

―― 裁判館 2F 弟者の仕事部屋


(´<_` )「……本部に繋がらないだと?」


部下のそんな報告に、弟者は眉をひそめて、


(´<_` )「まあいい、送金は正午辺りに私がやっておこう」


「ありがとうございます」と深々お辞儀する部下をよそに、

(´<_` )「しかし、不通か。そんなことが起こり得るものか……」



……弟者が村長に就任してから、ハーモニーは完全にハンター村と
化したのは有名な話である。そして当然ながら、ハンター組合本部から
庇護を受けている。治安自治権を獲得し、近辺のマーポール
とも癒着できるのは、やはり本部の力によるものであった。

ほかにも空域侵犯拒否エリアの設定、闇オークションのための
富豪たちへのコネクションなど、様々な恩恵を受けている。

そしてハーモニー側は、対価としてロイヤリティを本部に払っている。
今朝もそのつもりだったが、何故だか本部に連絡が取れなくなっていた。

前日のこともあり、ついつい弟者の脳裏に不安がよぎっていく。

452 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 01:45:23 ID:SARND0eo0

(´<_` )「(ドクオが何かをしでかしたのか? いや……流石に
        本部を壊滅させられるわけはないし、電話線を
        叩き切るという問題でもない。……奴はこの件には関係ないか)」

弟者の思考にそのとき、信じたくないような予想がポンと浮かんだ。
それはありえないと自身で打ち消そうとしたが、念のためにと、

(´<_` )「ファッカーに至急連絡をしろ。奴め、途中報告もなしとは
       ふざけた真似をしていやがるが……」

「かしこまりました」

それから弟者はふいに背を向いて窓の向こうを見やった。
清々しい快晴だった。雲一つない、順調な空模様だった。


(´<_` )「……キャリアも用意だけはきちんとしておけ」



弟者はどうにも、胸騒ぎを覚えて仕方がなかった。

前日の兄者の予想だにしなかった行動。

ドクオの何処か余裕を隠し持った態度。

そして今の、連絡が途切れている状態。


(´<_` )「(………)」

453 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 01:48:30 ID:SARND0eo0


すると、電話番が慌てた様子で弟者の部屋に入り込んで、

「モアブ署のマーポール(警察)が至急会いたいと!」


また、不安材料がひとつ。


(´<_` )「……適当に、あしらっておけ」

「しかし……」

(´<_` )「口ごたえするな、 やるんだよ」

「は、はい!」

そういって電話番は飛び出ていった。


(´<_` )「………」



弟者は無言で空を見つめていたが、やがて部下相手に確認する口調で、



(´<_` )「……本部直々の迎撃ミサイル、あれさえあれば
       最悪の手段も乗り越えられる。だろう」

部下の「最終兵器ですからね」という返事に頷いて、

(´<_` )「(……籠城も可能ならば、……いや、しかし……)」

454 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 01:53:07 ID:SARND0eo0



本部直々の迎撃ミサイル。それはハンター組合本部が設置した
防御用兵器で、敵からの攻撃を完全に無力化することに特化している。

ハーモニー近くのの鉱山ふもとに発射台は存在し、組合本部の衛星システム
によって自動防御システムが常時発動している。何らかの誘導体が
空域に侵入してきた場合、無条件でそれを墜落させ、ハーモニーを守護する。

仮にドクオがどんな凶悪な破壊工作軍を連れて来ようが、
飛び道具だけは確実に防ぐことが可能というわけだった。

ちなみにこのミサイル台は、サイドニアでは
組合本部とハーモニーの二箇所にしか存在していない。


迎撃ミサイルは基本を本部の制御室が管轄しているため、
無力化させるには本部自体を壊滅させるか、あるいは電波ジャック
でもして攪乱作戦といった方法が考えられるが、現実的ではない。

現実にドクオには、その二つの方法を取ることは不可能だった。……


            .

455 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:00:04 ID:SARND0eo0


(´<_` )「……ん?」


―― そのときだった。
澄み切った青空の彼方から流星らしきものが見えた。しかし、
目を凝らしてみると、それはただの自然現象でないことがわかる。


(´<_` )「……あれは、ミニ・マスドライバーか?」


ミニ・マスドライバー。発掘調査の補助のために
使われる輸送専用装置であり、物資を発射して目的地に送り込める。
いかにも、ドクオが大学院のセンターに頼んだ代物であった。



それはどんどんと此方へ向かって来る。
落下地点は間違いなくハーモニーの何処かに設定されているのだろう。


(´<_` )「……血迷ったかドクオ、迎撃されることも承知だろうに」


しかし、破壊されることもなくラグビーボール形の巨大カプセルが
近づいてくる。ひゅるひゅると音を立てながら落下運動に入り始めた。

                         .

456 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:01:48 ID:SARND0eo0
.

(´<_` )「な……っ」


おかしい。なぜだ。迎撃ミサイルが……なぜ発動しない?
混乱しながら弟者は、窓の向こうの光景を凝視した。

そうして、墜落されるべき巨大カプセルが、なんの障害もなく着地していった。



(´<_` ;)「な、なんだとぉ!?」


すぐに弟者は振り向いて、

(´<_` ;)「おいどうなっている!? ミサイルはなぜ仕事しない!?」


「わ、私にも……」と唖然とした表情の部下に、弟者は続けて、



(´<_` ;)「すぐにカプセルの方へ人を割け! 俺は今から
       本部へ電話をする!……急げ! ドクオの仕業だ!
       奴はなにかをやりやがったんだ!!」


                   .

457 名も無きAAのようです :2012/10/13(土) 02:04:01 ID:LuypbkqA0
どうなるどうなる

458 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:06:19 ID:SARND0eo0

慌てて飛び出す部下を尻目に、弟者はさっそく本部に連絡を取ろうとした。
しかし、まるで繋がらなかった。番号は間違いなく合っているが、
誰も応対しようとしなかった。どういうことだ、弟者は苛立ちながら受話器を置いた。


そのとき、窓の向こうでは再びミニ・マスドライバーからの発射物
がふたたび見えた。今度は三つであった。しかし、焦る弟者を嘲るように、
そのどれもが村外れに優雅に着陸していった。


迎撃ミサイルなど、まるではじめから無かったかのように。


(´<_` ;)「くそ……! いったい、なにが起こっている…?」


そこでふたたび扉が開いて、兄者とベガーがやって来た。

(´<_` ;)「ベガー! 緊急事態だ、至急この館内の組員に告げろ!
       二手に分かれて片方はカプセルの押収、もう片方は
       村の見回りだッ! そしてドクオを連れてこい!」


(´<_`#)「はやく動けェッ! もたついてんじゃねえ!!」

459 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:09:44 ID:SARND0eo0

怒鳴ってベガーを無理やり働かせた。部屋には兄者と弟者の
流石兄弟だけが残ったが、無論のこと相談も会話もしない。


(´<_` ;)「(どうなっている……どうなっているんだ……!?)」

( ´_ゝ`)


裁判館はみるまに慌ただしくなって、カプセルの落下地点の
把握に四苦八苦しているらしい。弟者は思考に身を沈める。

なぜ迎撃ミサイルが発動しないのか、なぜそのタイミングを
狙ってミニ・マスドライバーが放たれたのか、なぜファッカーや
本部などに連絡が取れないのか。さまざまなピースが回転しては
組み合さろうとする。やがてそのうち弟者は行き着く。

さきほど過ぎった"最悪の可能性"が、真実に近いということに。


(´<_` ;)「(まさか、まさか……そんな、そんな 馬 鹿 な !!
        だとしてもどうやって連絡をつける、奴にそんな
        コネクションがあるというのか、なにか……
        ……おれは何かを、見落としていたのだ……!?)」





そしてそのとき 村の何処かで、けたたましい爆発音が轟いた。……

460 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:14:03 ID:SARND0eo0
.


――― 前日。サンフラワの町外れ。


……ドクオの個人倉庫に立ち入ったセントジョーンズとクー、
それとシラヒーゲの三人は、まずはじめにデスクの上に置かれた
封されていない茶封筒を発見した。セントジョーンズが手にとって、


(’e’)「これはドクオさん直筆のっすね〜。あけますわ」

川 ゚ -゚)「わたしはこれを起動させよう」

といって、クーはスリープ状態のコンピュータに触れた。


( ´W`)「いか臭い部屋ですな、で、とにかくロックみたいにですね、……」


(’e’)「んーと、これは……緊急事態用みたいっすね」


セントジョーンズは、文面に目を落としながらぽつんと呟いた。

まさしくその通りで、ハーモニーに潜入する、もしものときは
マーポールに連絡を入れてくれといった内容のものだった。
日付や理由などを殊更に書き付け、サインにくわえて血印を
押しているのをみるに、ドクオのライフラインであることに疑いなかった。

461 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:18:19 ID:SARND0eo0

(’e’)「………」

文章を読みながらセントジョーンズが黙っているとき、
コンピュータのディスプレイに光が点った。クーとセントジョーンズは
さっと画面を眺めた。発掘カメラの、画像用フォルダが開かれている。


(’e’)「うおお〜」
川 ゚ -゚)「――これが、私たちの武器……!」


そこには既に、ハーモニーで撮られたであろう写真がサムネイルに
なって並んでいる。堅気ではない人間の歩き姿を隠し撮りしたもの、
銃弾の埋め込まれた壁や片腕のない原住民など、まるで昔の内戦地のようであった。


川 ゚ -゚)「で、私がこれらを使って記事にすれば良いのだな」

( ´W`)「ん〜、なんかドクオさんと誰かが写ってますな」

シラヒーゲが一つのファイルをクリックし、拡大した。
その画像は何故か、ドクオといい漢とのツーショットだった。

川;゚ -゚)そ 「阿部さん!? どうしてハーモニーに居るんだ?」

(’e’)「誰ですかぁ、このイイおとこは」

川;゚ -゚)「知り合いだ。誰かを捜すといって、行方不明になっていたんだが……」

462 名も無きAAのようです :2012/10/13(土) 02:19:35 ID:tuWD0ZeQ0
支援
どうなるんだ一体…

463 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:20:45 ID:SARND0eo0


川 ゚ -゚)「……ハーモニーに目当ての人間が居たのか、それとも
     その道中で閉じ込められたか、どちらにせよ……」


( ´W`)「おやぁ、こちらは手紙を撮ったものぽいですな」
(;’e’)「ちょ、おま」


シラヒーゲは勝手に操作をし、別の画像ファイルを拡大した。
彼の言う通り、それは文章を写真におさめたものであった。
それはまさにドクオからの第二の手紙であった。

クーはシラヒーゲの代わりに操作し、画像の比率を上げて
文面をより読み取り易くした。だが、そうして明かされた文章は、
セントジョーンズとクーを混乱させるものであった。


川 ゚ -゚)「……どういうことだ?」

(;’e’)「は、え? ド、ドクオさぁん?!」


その"第二の手紙"の書き出しはこうであった。
丁寧な文字で、ドクオらしい筆記のまま、



” 親愛なるクー・スナオリャへ。これらの画像、及びこれから
 送られる全ての画像は決して、 記 事 に し な い で 頂 き た い。"




      .

464 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:24:44 ID:SARND0eo0


( ´W`)「はて、これじゃ何がなにやら。本末転倒ですな」

川 ゚ -゚)「………」

シラヒーゲの言うとおりだった。"ハーモニーの現状をとらえた
写真あるいはドクオの第一の手紙を基に、クーが記事を作り
公表する"というのが当初の――すなわち、セントジョーンズに
教えた計画のはずであった。だが、第二の手紙はそれを真っ向否定した。

第二を手紙をわざわざ、書置きせずに画像として転送した理由。
それはカメラが使用出来る状況でないと発動できない一手だった、
というのが真相なのだが、当のふたりにはまだ理解できていない。


ともかく、画面をスクロールして全ての文面を読みきった。


( ´W`)「……ほう」

(;’e’)「……はぃい?」

川;゚ -゚)「……そんな、ことを」


(;’e’)「で、出来るんですかぁ? 危険すぎないっすか!?」

セントジョーンズは慌ててクーに振り返って言った。
クーは目を瞬かせながら、


川;゚ -゚)「……そりゃ、あの事件以前から連絡はとっていたし、
     無論のこと私のパソコンにはまだ残されているが……
     だからといって、出来るかと言われたら……それは……」

465 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:27:34 ID:SARND0eo0

三人に静寂が訪れた。だが、







川 ゚ ー゚)「それは――――面白い。やってやろうじゃないか。
      気に入ったよ、ドクオ・ウツタール。その徹底的に
      喧嘩を売るって姿勢、まるで私とそっくりだな」

(;’e’)「クーさぁん! 当初の予定でもいいんじゃないっすかぁ!?」

川 ゚ -゚)「いや、此方の方が揺さぶりの面でも上等だ。画像自体にも
     よるが、決まれば一気にハンター村を壊滅させられよう」


( ´W`)「しっかしギャンブルですなぁこの作戦」

(;’e’)「そうっすよ! 知らぬ存ぜぬだったらどうすんすか!?」

川 ゚ -゚)「そんなことは有り得ない。私を舐めているのかい?
     それに私はね、こういう危険な一手が大好きなんだよ、知ってるだろう?」

                     .

466 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:29:58 ID:SARND0eo0


―― クーがそう言って不敵な笑みを浮かべたときだった。

外から、爆発音がした。

川 ゚ -゚) 「「「!!!???」」」 (´W` )(’e’)

三人は慌てて背後を振り向き、目を大きく見開いた。
壁や扉ががたがたと震えて、異変を如実に知らせていた。
音が残響していく中、ひときわ怯えながら、


(;’e’)「う、う、う、うわぁ〜〜〜〜!!!」
(;´W`)「ぅひぃ〜〜〜!!!」


川;゚ -゚)「……!(爆発音!? しかも……相当近かったぞ)」

そうだった。目先の嬉しいニュースにとらわれ、連中につけ狙われる
危険性を考慮していなかった。唇を噛んでからクーは己を恥じた。

やがて、爆音の余韻がおさまってきた。すると外から騒いだ声が届いてきた。
ただの野次馬かシラヒーゲのお仲間さんが慌てふためいているのかと
思ったが、声の調子はいやにドスが聞いていて、殺気立っている。


「……なんだてめぇらは!」

「…触るんじゃあねえ……!」


明らかに堅気ではない人間の声色と台詞だった。
ここまでくればセントジョーンズですら何が起きたか察せられる。


   ハンター達だ。

          .

467 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:34:23 ID:SARND0eo0

腰を抜かした男達を置いて、クーはそろりそろりと扉へと向かい、
騒ぎの内容に耳を澄ませてみた。すると、どうやらハンター達以外も
混じっているらしく、さらにハンターはなにやら抵抗をしているふうだった。


川;゚ -゚)「………」

抵抗した怒声に混じって、やけに妙な声色の調子も耳に届いてくる。
オカマというか、ゲイバーでよく耳にするような口調であった。
なんだか気の抜けてくるような語りもちらほら聞こえてくる。
更にいえば、おかまらしき人物は複数であるらしい。


――くそったれが! 触んじゃねえ気色悪いッ!! てめぇら
いったい何なんだよ!? 俺らを誰だか分かってんのか! ああ!?
……ええ、とうぜん承知ですとも、ええ、そうよ、ハンター村の
ハンターさんなんでしょう? お話は伺ってよ、あらァそんな顔
しないでったら、ねッ ねッ……………




川 ゚ -゚)「………」

川;゚ -゚)「開けて、みるか」


さしあたっての危機は無さそうだし、クーはドアノブを回して
そうっと外の様子を伺おうとしたが、さっそく火薬の臭いが鼻についた。
顔を顰めたくなるところで、砂埃が扉ごとクーを叩きつけてくる。
それでも目を凝らしてみるが、煙が至るところに立ち込めてい、状況の
完全な把握は不可能であった。一応、会話はより鮮明に聞き取れるように
なったものの、内容は相変わらず罵詈雑言とカン高いゲイトークに一貫している。

468 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:38:09 ID:SARND0eo0

風がやみ、視界も開けた頃になって、ようやくクーは周囲の人間の
姿を把握することが出来た。出来立てのクレーターを挟んださきに、
ハンターらしきならず者達が数名と、見たこともない屈強なゲイ達、
それに先程みかけたシラヒーゲの仲間達であった。もっとも、その
シラヒーゲのギーク友達は全員が同じように腰を抜かしてい、専ら
ゲイたちがハンター連中を縛り上げている。彼らの手には縄とナイフが
あり、前もって準備しておいたことが予測された。とはいえ、
クーには未だに、ことの全容が掴めないのだが。


川 ゚ -゚)「……おや?」

視界の端で何かが動いたので、とっさに
目を向けてみると、一人の老人が此方を眺めていた。


( ,'3 )


そのうち彼はビル陰に隠れ、それきり姿を現すことはなかった。
おおかた爆発音を聞きつけた野次馬だろうと、クーは気にも留めず、
騒動の中心人物達に注意を戻した。

呼吸を整えてから、一歩を踏み出した。意外にしっかりした
足取りで彼らに近づくと、ハンドバッグに手を突ッ込みつつ、


川 ゚ -゚)「何が起きたのか、説明してもらいたい」


「「「「「…………………」」」」」


ゲイもハンターも、ついでにギークもクーに注目を集めた。
たちまち縛り上げられたならず者共が騒ぎ始める。「殺す」だの
「犯してやる」だの聞くに耐えない下品な言葉を並び立てた。

469 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:41:21 ID:SARND0eo0
.

川 ゚ -゚)「(ああ煩い。貴様らの母体を今に壊滅させてやる)」

「あーらア、あなたがクー・スナオリャじゃないかしら。
 ドクオちゃんの言ってたライターの使いって、あなたのことでしたの?」

ふいに声をかけてきたのは、黄色いセーターを着込んだ細いゲイボーイだった。
とはいえきちんと屈強なハンターを地面に押さえ付けているだけあって、
筋力はそれなりにあるらしいが、ともあれ彼は続けて、

「ええ、ええ、返答はいらなくってよ。私たち知ってますもの。
 ドクオちゃんにあなた達を遠くから守りなさいって頼まれたのよ?」

川 ゚ -゚)「ドクオ・ウツタールが……」


クーは混乱したままだったが、とりあえず彼らゲイ・ボーイズがクー達の
命を守ってくれたのは確からしい。クーは警戒心を解いて
かれら正義のヒーローを眺めた。声を掛けてきた細面のハンサムから、
筋肉の塊のようなこわもて、化粧のけばけばしい中年男性と妙なくらいに
ラインナップが充実しているが、あとから聞いてみると、彼らは
寂れたゲイ・バーの売り子だという。おキミ――れいの黄色いセーターの
彼は、お侠な鼻声で「はじめましてね」と挨拶をしつつ、

「とりあえず、こいつらをとっ捕まえるのを手伝ってくれないかしら」

続けて、化粧のけばけばしいハルちゃんという名の筋肉漢が、

「あたしたちだけじゃ抑えるのに手一杯。ぐるぐる巻きにして
 抵抗できないようにしなくっちゃ。いじめてやるったら」

それを機にハンターどもの怒声がより一層激しくなったが、
クーはただ「わかった」と了承し、倉庫内で未だ怯えているであろう
セントジョーンズとシラヒーゲを呼び寄せた。メンバーが集まってから、
話のすべてを聞くつもりでもあった。

470 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:45:02 ID:SARND0eo0


ともあれ、クーは必死にセントジョーンズとシラヒーゲ、それと
シラヒーゲの仲間を呼び寄せて確保の手伝いをさせると、
まるでインタビューをするかのようにゲイたちに話を聞き始めた。

そうしてわかった情報を並べ立てると、


―― ええ、そうなのよ。私たちはドクちゃんに頼まれて
一週間だけ見回りしてたのよ。目的はもちろん彼らの保護よ。
あたしたち、こーんな儚げでもそこらの男より強いったら。

―― そうよぉ。私たちはすぐに気がついたの。あ、この子ったら
悪い虫につかれてるんだわって。だからあなた達を尾行する
ハンターたちを尾行してたのよぉ。こいつらってば、ほんとアホね。

―― あーラ、ママもそう思うの? いくら捕まえられそうになったから
って持ってた手榴弾投げるだなんて、馬鹿の極みよねえ。
ええ、ええ、分かってますとも、危険な仕事ってのは。けれどね、
あのドクちゃんに頼まれたらウンとしか言えないわぁ。だってそうでしょ、
ドクちゃんたちは私たちのダンスや声色を褒めてくださるんですもの。

川 ゚ -゚)「把握した」


つまりドクオは、セントジョーンズやシラヒーゲには知らせずに
彼らの身の安全などを保障しようとしたらしい。それがまさに的中し、
弟者の放った刺客を見事にとっ捕まえられたという。たやすい話だった。

彼らは……ハンター連中は気がつかなかったのだ。

陰から身じろぎせずに観察している連中、ゲイの方々を。

                    .

471 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:47:06 ID:SARND0eo0

(;’e’)
(;´W`)


(;’e’)「ドクオさん……」



「――あとね、もう一つ頼まれたことがあって……」

と、ハルちゃんという筋肉が、縛ったハンターの隣に屈んで、
彼からクールフォン(携帯電話)を取り出そうとした。……そのときである。

そのハンター、ファッカーを捕らえていた縄は縛りが緩かったのであろう。
彼ががむしゃらに暴れだすと、するすると締め付けが弱まっていった。
それに気がついたファッカーは立ち上がって、抑えようとした
セントジョーンズを、その鼻をぶん殴った。

(;’e’)「ぐぇっ!?」

川;゚ -゚)「しまっ……」

後ろから抑えかかろうとするハルちゃんにもエルボーを食らわせ、
彼は颯爽と逃げ出した。慌ててゲイ連中とクーが追いかけるが、
死に物狂いのファッカーの脚を越すことはできなかった。

唯一、余力の残ったクーだけが路地裏に逃げ込んだファッカーの
足取りをおった。とはいえ、走りながらクーは不安を感じていた。
女性である自分に出来ることはあるのだろうか。



川;゚ -゚)「はぁっ……はぁ……」
「くそったれが!」と、先をゆくファッカーの舌打ち。

              .

472 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:50:19 ID:SARND0eo0

ファッカーは再び角を曲がった。しかし、その際に追跡者を
視認していた。自身を追っているのはクー・スナオリャただひとり。
それをファッカーは知ってしまった。

クーの心中に恐怖が芽生える。逃げ込んだその角を曲がれば、
ファッカーが襲いかかってくるのではないか、と。

川;゚ -゚)

しかし、だからといって止めるわけにもいかない。
ここで取り逃せば、弟者にここでの一部始終を知られてしまえば、
最悪の展開が訪れることになるのだ。クーは息を弾ませながらも
意を決した。背後には仲間はもう居ない。全員振り切られてしまったようだ。
やるしかない。何がなんでも、ファッカーに"連絡"をさせてはいけない。
ぜったいに譲歩できないラインだった。そうして、

川;゚ -゚)「………!」


角を、まがった。



川 ゚ -゚)「!?」



そこで待っていたのは、信じられない光景だった。


   ファッカーが、物も言わずに倒れ込んでいる。

             .

473 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:55:02 ID:SARND0eo0


川 ゚ -゚)「(体力切れか?! いや、外傷のようだ……)」

咄嗟に後ずさって、その狭い路地裏を目で確かめる。
狭く不衛生な小道で、レンガ造りの建物に挟まれた典型的な路地裏だ。
そのちょうど道の中央で、ファッカーが俯せになっている。
彼のそばには彼が吐血したらしい痕が残っていた。そうして
奥に目をやってみると、不思議なことに老人が佇んでいた。



( ,'3 )

川 ゚ -゚)「………!?」

川;゚ -゚)「あなたは――いや、あなたが――」


しかし、質問を投げかけたときになって、
ビル風が吹き込んできた。砂埃が舞う。慌てて目を覆い、
それから視界を開けてみると、不思議なその老人はもう消えていた。

あとに残されたのは、呆然としたクーと動かないファッカーのみであった。
ファッカーを叩きのめしたのはその老人だろうか? しかし幾ら疑問を
抱いても、それが導かれる状況ではなかったし、何よりもまず
やるべきことがあった。クーはそうっとファッカーに近寄って
状態を確かめてみる。死んだように見えたが、脈はきちんと動いている。
ほっと息をついてから、その気絶したファッカーのポケットをあさった。

そうしてハンター御用達のクールフォンが手に入った頃になって、
仲間がどたどたと駆けつけてきた。全員で来なかったが、
それは残りのハンターを監視するためであろう。

474 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 02:58:55 ID:SARND0eo0

(;’e’)「だ、大丈夫ですかぁ!?」

鼻血を手で抑えながらセントジョーンズがまず言った。
クーは「ああ」と頷く。そうして、手にしたクールフォンを
振ってみせると、彼らはわぁっと喜んでみせた。
しかし次に気絶したファッカーを目にし、

(;´W`)「クーさんがやったのですか!?」

川 ゚ -゚)「あ、いや……それが……」

(;’e’)「どひえぇ〜〜!」

川 ゚ -゚)「(ああ、もう面倒だ) そうだよ、とにかく手に入ったんだ」

認めると、男達の顔からさっと血の気がひいたが、おキミちゃんだけは
私をみれば女が強いってわかるじゃなアい、なんて笑いながら近づいて、

「ほおんとありがとね、あなたが居なかったら……いいえ、
 元々あなたありきの作戦ですもの、そんなこといってもしようがないわねえ。
 でも、こっからは私の領域ですの、その電話を貸してくださらない?」


と、ばかばかしいくらいの丁寧な口調で言われたので、クーは
クールフォンを彼に手渡すと、おキミちゃんはさっそく発信履歴を
覗いてファッカーの上司たる「オリヴァー・ジャーブロ」の名と番号とを確認した。

475 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:00:29 ID:SARND0eo0

川 ゚ -゚)「? なにをするつもりなんだ?」

「まァ、見ててらっしゃいよ」

どこまでも外れた調子でおキミちゃんは返してくる。クーが
しかめっ面をすると、彼の同僚たるゲイ達がひそひそと、

「彼ったらアクロバティックも声色も玄人はだしなのよ。
 だから……わかるでしょ? 私たちィ静かにしなくっちゃ」

川 ゚ -゚)「……声色? まさか……!」

そのまさかであった。おキミちゃんは喉を一通り撫でさすっては
声色を確かめると、躊躇なく弟者の番号へリダイレクトした。

セントジョーンズ含め、皆が皆、しぃんと静まり返って
おキミちゃんの演技を見守っていた。数回のコールのうちに
弟者が電話に出たようで、訝しがられないうちに矢継ぎ早に、



「ああ、弟者さん! ファッカーです。早速ですが
 クー・スナオリャとセントジョーンズ・ワートを仕留めました」

電話口から、弟者が「おお、そうか。よくやった」と返ってくるが、

「ただし手榴弾を使ったので死体の損傷が激しくて、どうにも……。
 ……え、ああ……報告書。すみません、了解です。はい、はい……
 了解しました、野次馬どもは私たちが、はい、了解です、それでは……」

                .

476 名も無きAAのようです :2012/10/13(土) 03:01:54 ID:LuypbkqA0
なんと…

477 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:04:54 ID:SARND0eo0

声色使いに電話で真似をされればひとたまりもない。
ましてや此処は芸達者な人間のひしめくサンフラワである。
弟者はそこを失念していたらしく、
勘付く様子もなく、忙しいと言葉を残しただけで切ってしまった。


しぃん。ふたたび一同に静寂が訪れる。そこにクーが口火を切って、


川 ゚ -゚)「だ、だましきったのか?」

「ええ、でもその場凌ぎかしらねェ。明日にはバレてしまうわ」

(’e’)「明日ですか?! つーか、電話口で騙してどうすんですか!?」

「それも要領を得ないのよねぇ。ドクちゃんは"闇を引き摺りだす"
とかなんとか格好いいこと言ってたけど、ねぇ」

川 ゚ -゚)「カメラが無力化したと思わせるためにか? 確かに
     その方がスクープショットが取れる可能性は上がるだろうが……」

(;’e’)「つまりそれってドクオさんが危険ってことじゃないですかぁ!?」

川 ゚ -゚)「そういうことになるな」

引っ捕えたハンター達に催眠スプレーをかけながら、そっけなく言い放った。


川 ゚ -゚)「ドクオ・ウツタールはこうなることを予想していたらしいな。
     となると、私達も第二の手紙を従わなければ、全てを台無しにしてしまうだろう。
     ――彼はいま、死に物狂いでハーモニーと刺し違えようとしている。
     私はそれを全力で支援しなくてはならない。そうだね?」

            .

478 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:06:56 ID:SARND0eo0

騒動の片付けを済ませ、ゲイバアの方々と別れてから、
クーとセントジョーンズは再びドクオの個人倉庫に足を踏み入れた。
ふたたびコンピュータを起動し、第二の手紙が撮影された画像ファイル
をクリックする。その文章を眺めながら、




川 ゚ -゚)「……私の腕の見せ所だな。ところで彼は私のこんな性格
     を見込んだ上で計画したのかな? たしかにジョルジュ
     とのインタビューは、このプランと似た所があるんだが」


(’e’)「どうなんでしょうねぇ〜。ところで、本当に大丈夫なんですか?」


川 ゚ -゚)「常識で考えれば。いくら仲違いしたからって連絡先は
     私もハンターも消しはしないさ。学生カップルじゃァないんだから。
     私が送れば、あちらも相応の対応をしてくるのは違いない」


そういって、ふたたび第二の手紙を読み始めた。

479 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:09:29 ID:SARND0eo0


” 親愛なるクー・スナオリャへ。これらの画像、及びこれから
 送られる全ての画像は決して、 記 事 に し な い で 頂 き た い。
 なぜならこれらはハーモニーを潰すための武器に過ぎず、決して
 ハンター組合全体の悪事を暴露するものではないからだ。

  手短に目的を伝えよう。私はこれからも、カメラを利用して
 徹底的にスクープショット、ハーモニーの抱える醜聞を
 このコンピュータに転送し続ける。あなたはそれらを武器に
 ハンター組合、いや、ジョルジュ・ナガオカを直接的に 脅 迫 し て も ら い た い。

  あなたは有名なライターであり、ジョルジュとはホテル・サイドニアで
 一悶着を起こしている。つまりあなたとジョルジュ双方には連絡先が
 まだ残されているということ。なるべくハーモニーから手を切るよう、
 暴露されたくなければハーモニーを解放しろという調子で誘導してもらいたい。

  なるべく迅速に。あなたがこれを確認するのはいつなのか
 承知できないが、時間が経てば経つほど確かにスキャンダルを
 送られる可能性は高くなるだろう。だがその分、私の生存可能性も
 低くなっていくのだ。そこの見極めをしっかりしてほしい。何故なら
 私も自分の命は惜しいからね。

  そしてセントジョーンズ。クーさんとジョルジュの交渉が
 上手くいったら至急、ダディに連絡してミニ・マスドライバーを
 打ち上げるように手配してくれ。直接の火力が無ければ、俺は
 すぐに殺されてしまうだろうから。頼んだぞ、セントジョーンズ。

  あなたとセントジョーンズの無事を願って。"
                  

                  ドクオ・ウツタール

 
                   .

480 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:15:18 ID:SARND0eo0
.


 ドクオの作戦は一点を揺さぶることに終始していた。
すなわち、標的たるハーモニーの上層部――組合本部や、
マーポールをとにかくけしかけて、ハーモニーの力を弱めることにあった。

ドクオはハーモニーに単身で乗り込む前に、ありとあらゆる状況と
その対策を練ろうとしたが、やはり確実なプランニングは出来なかったし、
確固たるものにする時間もなかった。クー・スナオリャとジョルジュの
インタビューの一件を聞いて「これは使えるぞ」と今回の作戦の
第一希望としたわけだが、まさかここまで
上手く行くとは当人も思わなかったに違いない。

ただ、そのホテル・サイドニアのインタビューの一件を
考えれば考えるほど、その実用性が見えてくるのだ。
まず第一に、その一部始終を知るものは限られてくるということ。
そしてクーの持つ、宣伝力や求心力を余すことなく利用できること。
ジョルジュの激怒し易くも狡猾な性格さえ、作戦の視野に入れられること。


無論のこと、弟者はその一件を知る由もない。
クー・スナオリャに勘づき、仲間になることを予想は出来ても、
まさか自身の直接の上司たるジョルジュを揺さぶることなど
想像もできないに違いなかった。ただ、彼女の持つ知名度を
利用してプレスなりを焚きつけるくらいと、弟者はたかをくくっていた。

本部に「切られた」ことは予想できても、
その理由を推察することは不可能であった。

.

481 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:19:09 ID:SARND0eo0


(’e’)「ドクオさぁん……」

必死に脅しの文面を考えているクーを
横目に、セントジョーンズはぼんやりと呟いた。

手榴弾を投げ込まれそうになり、あやうく命を落としかける
ところだったが、それによってセントジョーンズは、
ドクオの陥っている状況というものを肌で感じることが出来た。
どこか惚けていた自身の尻に、火がついたような気がした。

何が何でも、クーには成功してもらいたい。……


そうしてその夜、クーとドクオのもとに信じられないような
スクープが舞い込んできた。いかにも、それはハインリッヒの
死体を無慈悲に操作するキャリアの姿そのものであった。

クーは素早くそれをジョルジュに送りつけ、強気の脅しと
弱者の演技を駆使し、とにかく組合本部を揺さぶった。


組合本部も、キャリアの存在を公にされることだけは
避けたかったのであろう。そっけない返事が夜中に返ってきた。

「組合はハーモニーとの関係を断つ」という結論が、そこには書かれていた。


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・

482 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:20:47 ID:SARND0eo0


―― そして本日に戻り、 渦中のハーモニー。


指定された場所は、アジトの傍の牧場だった。
今は牛も馬も舎で食事を取り、まさにミニ・マスドライバーの
着陸地点としてはうってつけであった。

ドクオはハーモニーに乗り込んでから、ノーナンバーズの
存在を知ったので、アジトから近いというのは全くの幸運だった。
阿部はそれを聞いて思った。運命は、俺達に味方していると。

(;`・ω・´)「き、来た……本当に来た!」

N| "゚'` {"゚`lリ「……ああ、ああ!」

阿部とシャキンは牧場のど真ん中で、空から降りてくる
ミニ・マスドライバーの卵型カプセルを見上げていた。

撃墜することもなく、カプセルは横回転をしながら緩やかに落下した。
風が、青々とした草を薙ぎ立ててはどっと吹き抜けていく。
音も立てずに着陸すると、機械的な音を立ててそのまま静止した。

阿部はとっさに周りを後ろを見、ハンター共が来ていないか確認する。
どうやらまだ来ていないらしく、人っ子ひとりいなかったが、
弟者にはミニ・マスドライバーのことは知られたことだろう、
やがて拳銃を手にしたハンターどもが列挙するに違いない。



.

483 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:22:39 ID:SARND0eo0

N| "゚'` {"゚`lリ「急ごう」

シャキンを急かすと、飛びつくようにカプセルに近づいた。
ボタンを押してロックを解除すると、中から様々な物資が顔をのぞかせた。



サンドクラウン、ジャンピンロープのような発掘用品に
ドクタービスケット、タウリンソイヴィタといった食料、
発炎筒や拡声器などの小道具類が敷き詰められ、
そして、サブマシンガンや麻酔銃、小火器たち。




(;`・ω・´)「やべぇよやべぇよ……」

N| "゚'` {"゚`lリ「………!」

ふたりは鞄にそれらの物資類を詰め込みつつ、カービン銃の
重さや手榴弾の感触を確かめ、ポケットにしまいこんだ。
阿部はぞくぞくとチリ毛立つのを感じた。武器の持つ
怪しい光は、彼の瞳にうつっては吸い込まれていく。



「「なにをしているんだテメェらァアッ!?」」


N| "゚'` {"゚`lリ「「!?」」(`・ω・´;)



そのとき背後からドスのきいた声が届いた。
声の主の名前は分からなくとも、それが複数のハンターなのは承知だった。
といっても、弟者から直接指示を受けた人間ではないらしかった。
緊張よりも無知ゆえの苛立ちが声に出ていた。


阿部とシャキンは、ゆっくり、ゆっくりと振り返った。

484 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:24:19 ID:SARND0eo0


ふたりとも、手に麻酔マシンガンを携えながら。


「「!?」」

三人のハンターだった。明らかに強ばった表情をした。
ショックで未だ動けないその悪党どもに、阿部とシャキンは遠慮ない様子で、







N|# "゚'` {"゚`lリ「「喰らえぇえええッ!!!」」(`・ω・´#)







麻酔弾を乱射した。
だだだだだだ、と小気味よい連打音が牧場に響いた。


白煙が立ち上る。

その中を阿部とシャキンは鞄を肩に、銃を片手に疾走した。

倒れた三人のハンターなど見向きもせずに。……

485 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:26:16 ID:SARND0eo0
.
































.

486 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:27:24 ID:SARND0eo0
.




             「ドクオッ!!!」


(メ'A`)「!?」



独房のなか、ドクオは顔を上げた。そのときに、機関銃の
乱射音も同時に聞こえ、シェリフ駐在所は破壊にみちた。
鉄柵の向こうの騒動も混じって、混沌は強まった。

看守が物も言わずに倒れ、机やそれに乗っていた小道具も
地面に落ち、花瓶も水を立てながら壊れた。
煙がいっそうに舞って、しかしドクオの視野は狭くなった。
だが、


N| "゚'` {"゚`lリ「大丈夫か!? 生きているなっ!?」


(メ'A`)「……阿部さん!」


武器を片手に阿部が襲来してきたようだった。
阿部は鍵を看守からまさぐると、すばやく牢屋を解除した。

487 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:29:42 ID:SARND0eo0


ふらふらと立ち上がったドクオの肩を素早く
抱きかかえると、阿部は駐在所外を見やりながら、


N| "゚'` {"゚`lリ「お前のプランは成功したようだな」


(メ'A`)


N| "゚'` {"゚`lリ「シャキンが暴れてるお陰でここらが手薄でな。
         おかげで簡単にお前を救出できた」


(メ'A`)「………」



そうして、ふたりで広場の方に目を向けた。
それは、まさに阿鼻叫喚のような光景だった。

488 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:31:32 ID:SARND0eo0
.


遠くで絶え間なく聞こえる爆発音――手榴弾が、ハーモニー全体で
投げ使われている。数え切れないほどの発炎筒は煙を立て、
ハーモニーの空を覆い尽くそうとしている。時折、機関銃の音も。

広場はごった返していた。シャキンやつーに物資を手渡された
原住民たちが、それによってハンターに立ち向かったり、
あるいは村の外へ出ようと走り回っている。彼らの走る音が、
地響きのように聞こえてくる。反対にハンターたちは右往左往としている。
銃によって抵抗しようにも、暴徒と化した原住民を抑えることなどできない。

棍棒をもって襲いかかる住民を銃で殺そうとしたその隙に、
後ろから別の原住民が殴りかかり、手も出ないままそのハンターは
地面にキスするという有様で、さらに走り去る連中に足蹴にされていた。


(メ'A`)


ドクオは狂熱に充ちたハーモニーの広場を、じぃっと見続けていた。
誰も駐在所に目を向けようともせず、ただただ出口へと駆けていく。
それらをどうにかして止めようとするハンター達は、
ただ、ただ、滑稽だった。


              .

489 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:32:44 ID:SARND0eo0


叫び声と煙が混じり、さらに手榴弾の爆発音が騒動を後押しする。

前日からつーとエノーラによって、心の準備をするようにと
原住民たちに伝えていたらしい。皆が皆、混乱をしつつも
一つの道を進んでいこうとする。シャキンは特に銃で暴れまわり、
バイフックを襲撃すると更にその二階からハンターを狙撃していた。


(メ'A`)


流れ弾が駐在所に入り込んできた。だが、それさえドクオには
どうでもよかった。阿部から手渡されたエナジードリンクを一気に
飲み干すと、はぁはぁと荒い息遣いになって、








(メ;A;)「成功、したんだ……」



と、ぽつりと呟いた。涙を拭って、表情を戻そうとする。
そんな様子を見ながら阿部は、鞄から拡声器を取り出した。……


               .

490 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:35:32 ID:SARND0eo0



―― 裁判館 2F


たちまち混乱に落とし込まれたハーモニーを、裁判館の
二階の窓から弟者は眺め続けていたが、部下が慌ただしく扉を開けると、


(´<_`;)「全ハンターに騒動の鎮圧を命令しろッ!
       加えて貯蔵したキャリア共もオートで始動させるんだ!」

「しかし、キャリアは……」


まごつく部下の声。遠くから聞こえる手榴弾の爆発音に呼応するように、


(´<_` #)「黙って言う通りにしろ!! 撃ち殺すぞ!」


無理に焚きつけて其奴を働かせる。それから弟者は再度、
本部に電話をしてみたが、やはりの不通だった。弟者は
悟り始めていた。我々は、いや、ハーモニーは本部に切り捨てられたのだと。



(´<_`;)「(理由はスキャンダルか……? しかし、どこの
        メディアも醜聞を伝えていない。なにが、なにが……!)」



                .

491 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:38:09 ID:SARND0eo0
.


( ´_ゝ`)


兄者はいつも通りに起立していた。弟者のデスクの横で
人形らしく、不動のままだった。その視線は窓のさきの
破壊活動に向けられていた。巻き上がる白煙。銃撃音、
罵声、怒声、地鳴りのような音。それを見続けていた。
眺め続けていた。


(´<_`;)「こうなれば、徹底的に……!」


( ´_ゝ`)


弟者は気がつかない。傍に立っている兄者の瞳のいろに。
表情こそ無変化のままだったが、瞳の様子だけは変化していた。
ときおり広場で放たれる爆炎の光が、兄者の瞳を怪しく彩った。


            .

492 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:39:25 ID:SARND0eo0

そのとき、拡声器で拡張された
誰かの訴えが、ハーモニー中に響き渡った。


『俺たちは自分たちのために戦乱を起こしたんじゃない!』

   『俺達は弱者の代表として、この腐敗した世界に小石を投じたんだ!』



( ´_ゝ`)


(´<_`;)「!?」


弟者は慌てて外の様子をふたたび確認した。
兄者もやや遅れて、弟者の傍に立って広場を見下ろす。

ハーモニー中の騒乱はやや落ち着きを取り戻したように、
ホンの少しだけ静まった。その拡声器の主の次の言葉を
待つかのように、皆が皆、興奮をすこし抑えた。

493 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:41:25 ID:SARND0eo0
.

―― その声の主は、シェリフ駐在所の二階に居るらしかった。



  『今ここで! 既存体制をブッ壊さなければ!
       もう我々に希望は生まれないのだッ!!』 



(´<_` #)「誰が、誰がナメた真似を……!」


遥か昔の自分らの訴えを引用し、反乱に花を添えている。
弟者は血眼になって、その声の主を探し出そうとした。
如何にもそれは阿部だったが、流石兄弟は彼の声など覚えていない。

発声源は概ね特定できても、その正体は判らずじまいだった。
しかし、その次に拡声器を持った者の声だけは、聞きなれたものだった。



  『落ち着いて行動をしてほしい! 原住民の方々よ、
   どうか怒りに身を任さずッ 村の外に避難してほしい!!』



( ´_ゝ`)


(´<_`;)「この声は……」





(´<_` #)「ドクオ・ウツタール……!」


                 .

494 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:44:07 ID:SARND0eo0

流石兄弟の視界に、ドクオが現れた。駐在所の二階のテラスから、
身を乗り出して拡声器片手に、避難勧告を続けていた。
その様子を、弟者は歯軋りしながら眺めている。



(メ'A`)『 〜〜〜ッ! 〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!』


近場のハンターがドクオを撃とうとしても、それをまた
別の原住民が阻害する始末で、弟者には屈辱の展開の連続だった。



(´<_`;)「馬鹿にしやがって……!」


( ´_ゝ`)




そうして、一通りの説明を終えたドクオは、今度は裁判館に向き合った。
拡声器
に口を当て、居るであろう流石兄弟へ向けて、


(メ'A`)『よう弟者。お前はどうやら、人を舐めすぎたみたいだな』


(´<_`;)「………」


(メ'A`)『気分はどうだ、この状況でも俺達を愚か者呼ばわりできるかい?』 


(´<_`;)「……貴様ッ……!」

495 ラスト投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/13(土) 03:46:00 ID:SARND0eo0
.





(メ'A`)『―― 覚 悟 し ろ よ 、 流 石 兄 弟 。
    て め ぇ ら の 作 り 上 げ た こ の 偽 り の ハ ー モ ニ ー 、
    ぶ っ 壊 し て や る ぜ 。 た っ た 今 か ら ッ ! !』





(´<_` #)「………ッ」


( ´_ゝ`)





―― なり止まぬ爆発音、白煙に覆われた村。
   武器を手に入れた暴徒は、ハンター達を襲い続ける。……

                  .

496 名も無きAAのようです :2012/10/13(土) 03:47:32 ID:SARND0eo0
投下終了です、次は二週間後くらいかな? それではよい眠りを

497 名も無きAAのようです :2012/10/13(土) 04:01:19 ID:LuypbkqA0
乙 wktkすぎるぜ…
俺も寝る

498 名も無きAAのようです :2012/10/13(土) 04:26:30 ID:.1Ue9zwI0
最高に乙

499 名も無きAAのようです :2012/10/13(土) 04:26:54 ID:b5bJ64iM0
乙!!
楽しみに待ってる!

500 名も無きAAのようです :2012/10/13(土) 09:58:42 ID:XFISi6Y60
おつ
今までさんざんやられたぶんスカッとするな

501 名も無きAAのようです :2012/10/13(土) 10:40:20 ID:CQLAFIVQ0
乙……!!wktk止まらん
やっちまえドクオ!!

502 名も無きAAのようです :2012/10/14(日) 12:54:25 ID:4Y5pI0GMO
華麗に乙

503 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 16:15:43 ID:/iOXtpyE0


キャリア使用の証拠をクー・スナオリャに握られたと
いう痛手は、裏でハンター組合に絶縁されるほどのものだった。

結果的に本部から譲り受けた迎撃ミサイルさえ不能状態になり、
ドクオの放ったミニ・マスドライバーによってもたらされた
武器類によって、ハーモニー原住民は一揆をし始めた。

唐突な展開にハンターはついてゆけず、弟者は鎮圧を各々に命じたが、
今までの怒りに突き動かされた住民達の暴動は収まらなかった。


秩序の崩壊したハーモニー。
統制を乱されたハーモニー。
不協和音を奏るハーモニー。


こうして今も、村の外へ逃げ出す者が居れば、
今までの仕返しとばかりに武器を振りかざす者も、
この期に乗じて空き巣をしでかす輩も居た。

ハンターの中にだって、この状況に諦めを感じて
反旗を翻す不届き者や、逃亡者だって存在している。


オリバー・ジャーブロの作り上げたハーモニーは、
指揮者と団結の心をなくそうとしていた。


                 .

504 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 16:20:30 ID:/iOXtpyE0


・・・ ・・・・
・・・ ・・・・・
・・・ ・・・・・・


―― ヴィップグラードから続く、だらだらした公道。


そこを颯爽と走る一台の白塗りセダン。
スモークガラスをはり、ボンネットにはバッファローの角を
取り付けたその姿は、一目でアウトローの所有車だと決めつけられた。

やはりそれにいま乗っているのは、
運転手を除けばハンターの大物ふたり。
一人は組合の理事長、ジョルジュ・ナガオカ。
もう一人は幹部のリッチー・サイモン。

リッチーはクールフォンで部下と会話をし、
その隣に座っているジョルジュは、苛々しながら煙草を吸っていた。


( ゚∀゚)y-~「………」

( ゚ 」゚)「……なるほど、そうですか。いやいや、その脅しさえ
     通じないというのなら、相当なバックが控えているようで」

( ゚ 」゚)「同様にスリープ・フラワーズも強硬な姿勢でね、
     まったく、これでは何が何やら……組合の権威も地に堕ちたようで、ふふ」

505 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 16:30:04 ID:/iOXtpyE0

( ゚∀゚)y-~

( ゚ 」゚)「了解、了解。では、ごきげんよう」


リッチーは丁寧に電話を切ると、ふうとため息をついて外の
移ろいゆく風景を眺めた。シャープな男らしい顔立ちに、
黒目がちに潤んだバンビの瞳。それが、火星の荒土を捉え続ける。
派手なメイクをした見た目からはとても、ハンターの大御所とも思えない。
せいぜいが時代錯誤のミュージシャンといった風情だったが、それはともかく、


( ゚∀゚)「おい」

ジョルジュは煙草を灰皿にぐしりと押し付けてから、

( ゚∀゚)「なんだよ今の電話ァ。組合がどうとか適当なこと吹いてんじゃねえぞ」

( ゚ 」゚)「事実、だろう? たかが建設会社と花屋を脅しきれないのだから」

打って変わって口調が友人のようになると、リッチーは
ジョルジュのほうへ目を向けた。滲んだアイラインを見せつけながら、

( ゚ 」゚)「おまけにクー・スナオリャにはコケにされ続け、
     ドクオ・ウツタールもその傘下に入ったという……
     随分と情けない話じゃないか。これから落とし前をつけるといっても、
     所詮は僕たちの領土の者たち。……今でも言うが、流石兄弟は、生かすべきだ」

( ゚∀゚)「だまりな。そうも言ってられねえんだよ」

( ゚ 」゚)「僕は殺しなんかしたくないし、見たくもないんだよ。
     ましてやそれが同僚だなんて、とても耐えられそうにない」

506 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 16:31:22 ID:/iOXtpyE0

( ゚∀゚)「てめぇが殺すんだよ……!」

( ゚ 」゚)「………」


ジョルジュは歯をむき出しにしてリッチーを睨みつけた。
が、リッチーの左腕に、また新しい傷が増えているのを発見すると、
露骨に舌打ちをした。あからさまなセルフ・ミューティレーションの
痕は、これからの仕事を拒絶しているように思えたのだった。

( ゚∀゚)「お前がハーモニーの連中を粛清する。わかってんだろぉ?
     今までさんざ、似たようなことをやって来たじゃねえか」

( ゚ 」゚)「覚えてないよ。目覚めが悪くなるんでね、全部忘れることにしている」

リッチーは露出した両腕をスーツを着ることで隠した。
ジョルジュはやれやれとポーズをとってみせると、


( ゚∀゚)「笑わせんなよ、"歩く兵器"のテメェがよ!!
     いいか、この粛清は、次の絶頂、の、ための、犠牲だ……!
     やるんだよォ!! ハーモニーでなァ!! 殺せ……!!」

( ゚ 」゚)「………」

ハンター組合の理事長、そして幹部。その
ふたりは渦中のハーモニーへと向かっていった。……

507 名も無きAAのようです :2012/10/26(金) 16:31:50 ID:r9ibIr9QO
キタ支援

508 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 16:33:33 ID:/iOXtpyE0
.


―― ハーモニー 裏路地


N|#"゚'` {"゚`lリ「おるぁあッ!!」

阿部は叫ぶと、傍のハンターに回し蹴りを食らわせた。
たまらず吹っ飛んだそのハンターは石造りの壁に激突し、
小さくうめき声をあげながら伸びた。阿部はそいつに寄ると、
ホルスターから拳銃を抜き取り、弾丸もついでに頂戴した。

間を置かず、背後から複数人の足音の気配を感じた。
さっと物陰に阿部は潜むと、やって来る者の正体を、銃を構えつつ
見極めようとする。またも周囲で発炎筒が焚かれたらしい、
白煙がその一帯を隠しはじめる。その機に乗じて阿部は
発砲しやすい位置まで歩いていく。声もはっきり聞こえてくる。
ああ、こいつらはハンターどもだな。と判断したところで、


N| "゚'` {"゚`lリ「強烈な一パツ、ぶちこんでやるよ」


銃を乱射する。一発とは名ばかりの連続した狙撃で、
白煙の向こうの連中もたまらず応戦と撃ち始める。一発が阿部の
頬を掠め、ひやりとさせたが、それで終いだった。

白のモヤが取り払われる頃には、ハンターは全滅していた。

しょせんハンターといっても銃撃や戦闘に慣れている者は少ない。
多くはろくに扱えもしないくせに持ち歩いて、威張り散らしている連中だった。

            .

509 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 16:39:34 ID:/iOXtpyE0

そんなハンター達にとって、原住民の反乱を静めるのは難しいことだった。
なにしろようやく手に入れた自由への切符なのだ、原住民はそれこそ
死ぬ気になって抵抗し続ける。窮鼠が猫を噛むというわけでもない。
日々重労働を強いられた原住民の方が、フィジカルの面でも上である。


( `・ω・´)「――お前もしてほしいんだろ、ほらッ」 パンッ……

更に言えば、敵に相対したときの銃を放つスピードも違う。
これはむしろ、覚悟の差というべきだろうが、ともあれ
鎮圧を遂行するものはどんどん減っていった。

しばらくするとハンターには、この機に乗じて盗人を働こうと
いう輩も増え始めた。馬鹿正直に任務を遂行することに呆れ、
火事場泥棒の方が性に合っているのだろうが、
そこを阿部は食い物にしているのだった。


シェリフ駐在所でドクオと別れたのち、阿部はただひとり
こうしてハンターを倒し続けていた。それもこれも、
全てはただひとつのため。復讐。地球から持ち込んできた、復讐のため。


N| "゚'` {"゚`lリ「てめぇらフニャチンどもじゃ満足できねえんだよ……!」

足元に転がるハンターを蹴りつけながら、阿部はしずかに言い放った。



N| "゚'` {"゚`lリ「流石兄弟ィ……! 仇を取らせてもらうぞ……!!」

                .

510 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 16:43:32 ID:/iOXtpyE0


―― 裁判館 2F


( ´_ゝ`)


(´<_`;)「………!」


騒動は収まるところを知らない。鎮圧を命じてしばらく経つが、
むしろ騒ぎは激しくなる一方のように見えた。この裁判館も
手榴弾や弾丸の被害は受けている。強固なセキュリティが無ければ、
いまごろは侵入されていたであろう。

弟者は窓から広場を眺めながら、なんども舌打ちをする。


(´<_`;)「おのれぇ……! ドクオの、野郎ォ……ッ!」


ドクオのあの宣戦布告を思い出すだけで、弟者の胸に憎悪が広がっていく。

なんとしても、この騒動を揉み消し……いや、
それよりもまず、あの生意気な学者の首を刎ねてしまいたかった。
手駒にする気は完全に失せ、代わりに膨大な殺意がふつふつとこみ上げていた。

               .

511 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 16:46:04 ID:/iOXtpyE0

その怒りが、ためらっていた決断を後押しした。
戦火を眺めながら、振り返りもせず、


(´<_` )「……兄者」

( ´_ゝ`)


(´<_` )「この騒ぎを止めてこい……。そして、
       ドクオ・ウツタールを討ち取ってくるのだ」


( ´_ゝ`)


(´<_` )「他の連中は役立たず……兄者、お前が行くしかない。
       ボディーガードの任務は忘れて構わん、行け……」


革の椅子に腰掛けると、弟者は淡々と命令を告げた。



( ´_ゝ`)


そうして兄者は、やはり無言のままだったが、こくりと頷いた。

          .

512 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 16:49:58 ID:/iOXtpyE0

兄者はゆっくりと、弟者のデスクに歩み寄った。
それから胸元からロケットを取り出すと、強ばったような
動作でそれをデスクに置き、訝しんでいる弟者をじぃっと見つめた。


(´<_` )「なんだ、これは……」

弟者はこわごわとロケットを開け、中の写真を確認した。
地球時代の、まだ力も無かった頃を写した一枚。
それを見るや苦々しげに、


(´<_` )「まだこんなものを……」

( ´_ゝ`)


弟者は苛立ちを顔に出しながら立ち上がって、

(´<_` )「何を望んでいるのか知らんがな……
       うだうだせずに行ってこいッ! 緊急事態なんだよ!!」


( ´_ゝ`)


兄者は立ち止まったまま弟者の怒声を聞いていた。
やがて、ほのかに寂しそうな表情を浮かべたが、後ろを向いて
部屋を後にした。扉が静かに閉められる。弟者は、ひとりになった。


.

513 名も無きAAのようです :2012/10/26(金) 16:58:07 ID:r9ibIr9QO
ドクオどうなったんだ 支援

514 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 16:58:08 ID:/iOXtpyE0


(´<_` )「馬鹿な……いまさら、……今更、
       昔に戻れるわけねえだろうが……」


弟者は吐き出すようにいうと、そのロケットを壁に投げつけ、再び椅子に座った。

 すると、突然、言いようのない不安感に襲われた。


(´<_` ;)「………ッ!?」


―― 良いのか。兄者を行かせてしまって。
弟者は、過ぎたことにたいして自問自答をする。


このまま俺は孤独になっていいのか。
本当にそれでいいのか?
兄者を手元から離して、はたして本当によかったのか。
いま、いま俺に大事なことは――――


(´<_` ;)「………」

弟者は不安から逃げるように、兄者の出ていった扉を睨み続ける。

515 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:00:47 ID:/iOXtpyE0
.


黒塗りのその扉を見ているうち、
弟者は無意識に今までの人生を反芻しはじめた。


シアトルの貧民街で生まれ、物心つかぬうちに
両親を失い、兄者と共に食い扶持を求めて彷徨っていた少年時代。


火星移住に浮き立つ世間から背を向けて、ひたすら
勉強し続けていたが、奨学金をもらえずに大学進学を諦めた学生時代。


土木作業員として働く傍ら、汚い作業着のまま図書館に
入り浸っては読書をし、周りから煙たがられても知識を吸収した青年時代。


社会の構造と政府の怠慢に文字通り泣いて怒り、世間への復讐を決めた。
兄者を誘い、外貨為替で儲けた金を使って悪の道に染まったギャング時代。


苦渋に充ちた過去があったからこそ、弟者は死に物狂いで働き続けた。
その情熱はしかし、当時の、憎悪に突き動かされたものとはだんだんずれていった。


あれだけ敵意を向けてきた"権力"の、甘美な味を知ってしまった。
若かった頃とは考えが変わったことを、弟者はとうぜん感じている。

だがそれが何だというのだ。
矛先は変われど、情熱は絶えて、いない。

                  .

516 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:04:04 ID:/iOXtpyE0
.


(´<_` )「………」

それから弟者は、自身の服装に目を向けた。
オーダーメイドのブラックスーツに、眩しいほどに白いフリルシャツ。

シアトルの冷たい雨に濡れて泣いていた、あの見窄らしい少年の
痕跡はどこにも見当たらない。服装一つ取ってみても、自分が
どれだけ成功したか、どれだけ有能かが分かろうというものだ。


(´<_` ;)「くう……!」


弟者は髪をくしゃくしゃかき乱した。
整った髪型が無造作に跳ねていく。

それから手で顔を覆うと、机に突っ伏した。



未来についていくら考えても、悲壮感に塗りたくられる。
どう元通りのハーモニーに戻せばよいのか。
やって来るであろう本部からの刺客に、どう言い繕えばよいのか。

思考をすこし巡らすだけで、膿のたまったような溜息が出てくる。


( <_ ;)「失いたくない……! 絶対に嫌だ……
        せっかく……せっかく成功したのに……!!」




・・・ ・・・
・・・ ・・・・
・・・ ・・・・・

               .

517 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:09:17 ID:/iOXtpyE0
.


砂利道には薬莢やダイナマイトの切れッ端が点々とちらばり、
血痕もあらゆるところで垂れている。スイングドアの向こうは
そのどれもが暗いか、炎によって異常に明るいかのいずれかだった。

ハーモニーは西部開拓時代を思わせる街作りだったが、
それは火器を使用した反乱にはあまりにも脆弱であった。
防火ワニスの耐久性にも限界があるし、
そもそも松明ひとつで建物一つと、その周囲を火の海にさせられる。

逃げ惑う人々の中には、炎に囲まれて死を遂げた者もいたし、
乱闘騒ぎや、露骨すぎる通り魔によって命を落とす者もしばしばだった。





ノーナンバーズが先頭を切ったこの騒動も、騒ぎの種類が変わってきた。
村の外へ逃げる者とそれを阻止するハンター、そのハンターを殺すという
人間同志の阿鼻叫喚から、爆炎と崩壊による災害的なものにシフトしつつある。

混乱したハーモニーの大通りには人々の影は見るまに減っていった。
多くの生き残ったハンターは火事場泥棒に成り下がり、
血の気の多い原住民はそのハンターを狩ろうとする。
肉弾戦は屋内で淡々と行なわれた。


黒煙がハーモニーに立ち込めてくる。火星の強い、乾いた風が
それを吹き飛ばそうとしても、次から次へと溢れてくる有様だった。

518 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:15:30 ID:c0V8jmAk0
.


ドクオは阿部と別れてからすぐ、自身の発掘品が保管されている
であろう、れいの地下倉庫に走ったのだが、パスワードによって足止めを
くらっていた。どうしようかと迷っていたところで、忠誠心を失くした
火事場泥棒的ハンター数人と対峙したので、軽く一捻りしてやった。

(メ'A`)「ったく……これからが正念場ってのに」

足元に倒れたハンター達を踏んづけながら、ドクオは思案を重ねていった。
パスワードか何かに阻害されることは予想していたが、どうしてもこの現場を
確かめておきたかった。この倉庫は地下に位置するので判りづらいが、
外の騒動は着実に静かになってきているふうだった。

時間がない。チャンスも可能性も同じくなくなっていく。
マーポールに一端、押収されてから返品してもらう妥協案も
とうぜん受け入れているが、それでは肝心のモノが手に入らない。


(メ'A`)「……流石兄弟の手に入れた、マーパーツ」

確実な証拠はなかった。しかし、あるような気がしてならない。
ハンター組合の幹部であり、この一帯の発掘品を一挙に獲得できる
立場なのだから、何か学術的に貴重なものを持っていても可笑しくはない。
村の構造的にも、保管しているとしたら此処であろう。


無論、これもまた立派な火事場泥棒だった。

             
.

519 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:19:22 ID:/iOXtpyE0

そのとき、地下へと降りてくる複数の雑な足音を聞いた。
やれやれまた雑魚どもがやってきたぞ。
ドクオは影に隠れながら、奇襲の用意をした。……


・・ ・・・・・・・




―― ハーモニー 大通り


革製の長靴、防弾力を持つ褪せたジーンズ。
腰には二丁の拳銃がガンベルトに支えられている。
やはり防弾の役割を果たす新型ウエスタンシャツ、
真紅のいろをしたネッカチーフは緩く首に巻かれている。
人形と形容される表情のない顔と生気のない瞳、その上には
つばの広い茶色のカウボーイハットが乗っかっている。

典型的なハンターの身なりを纏ったその男は、なにも
見据えていないかのように、ゆっくりと大通りを歩いていた。


( ´_ゝ`)


その男、兄者の通る道の両脇に並ぶ様々な店からは、
一様に煙がスイングドアの隙間から溢れ、ひと気を感じさせない。
バーだった建物からは、素っ頓狂な鍵盤の音が漏れていたが、
それが自動再生なのか死を悟った奏者のものかは明らかではなかった。

( ´_ゝ`)

兄者は歩いていた。弟者に鎮圧を命じられたが、
もう人間らしい人間はほとんど居なかった。時折、路地裏で
動物めいた悲鳴が聞こえるくらいであるが、兄者は気にもせずに歩いていた。

              .

520 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:23:21 ID:/iOXtpyE0
.



( ´_ゝ`)


と、ふと兄者は足を止めた。かと思うと、目にも止まらぬ
速さでベルトからリボルバーを引き抜き、白煙に向かって発射をした。

たった一発、鉛玉を撃ち込んだ。銃声の残響する辺りになって、
その白煙から何かの倒れた音がし、流血が砂利を濡らしていった。

兄者はふたたび歩き出す。血の先からは生暖かい死者の腕が
伸びてい、その手には拳銃が力なく握られている。

この者がハンターか原住民かなど兄者にとってはどうでもよかった。
ただ、兄者は何かを求めるようにあるきつづけた。


( ´_ゝ`)


ざりっ、ざりっ、ざりっ、という足音を立てながら歩き続ける。
彼は運命にひかれるように、ハーモニーの入口へ向かい続けていた。……





―― ハーモニー 外


門から出て、更に進んだ荒野に住民の多くが避難している。
子どもやその母親たちは抱き合いながら、煙を上げ続けるハーモニーを
不安そうに見つめていた。重労働を生業とする連中はやたらに
舌打ちをしながら、悪態をついている。

原住民の皆が皆、此処に来ているというわけでもない。
道中でハンターに射殺されたのも居れば、爆発に巻き込まれた
被害者だっているし、血気盛んな奴になれば未だ村に留まっていることだろう。

521 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:25:29 ID:/iOXtpyE0

モアブ署のマーポールの応援が何台か駆けつけて来、住民
の保護や連絡に手間取っている。そのマーポールの傍で、
ノーナンバーズの一員であるつーは彼らの手伝いをしていた。

(*゚∀゚)「おぉいみんなー! 小さい子からこのバンに
     乗ってってねー、あ、ステファニー、この子もよろしくゥー!!」

前日にこのことを伝えていた住民たちは覚悟を決めていただけあって、
移動や呼びかけにスムーズだったが、それ以外の者はそうでもない。



エノーラは難しい顔をしていたが、思い立ったように、

||‘‐‘||レ「ねえ、つー! わたしちょっと村に戻ってみるね」

(*゚∀゚)「え? ええ!? ちょ、あいつらに任せとこうよ!!
     今もう絶対すごいことなってるって!!」

村に戻って残りの避難民を捜すというエノーラに、つーはやたら驚いたが、

||‘‐‘||レ「だってだって取り残された子がいたらどうすんの!
       もしかしたら泣いてるかもしれないじゃない今もっ!」

522 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:27:58 ID:/iOXtpyE0


(*゚∀゚)「ウーン………」

つーはその提案に煮え切らない様子だったが、エノーラはすでに
腹を括っていた。つーの返事も聞かないで、さっさと村のほうに戻ってしまった。


(*゚∀゚)「エノーラー……死んでもおかしくないんだぞー……?
     もうあそこに残ってるのは、やばい奴ばっかなんだぞー……?」

彼女の背を目で追いかけながら、信じられないとばかりに呟いた。





―― ハーモニー 正門


「そろそろ入りますか?」

見るからに新米であろうマーポールの巡査は、上司に
不安そうな面持ちで訪ねた。上司であろう背広男は、
「ウウム」と唸ったが、しきりにハーモニー内部から発される
爆破音と漂ってくる火薬の臭いに躊躇しているらしかった。

そして上司は周囲の部下の見回しながら、
「オリヴァーの奴さんと、話できれば良かったんだがなァ……」

ホルスターの拳銃を眺めつつ、部下が素っ頓狂に、
「オリヴァー? ああ、ここの主ですか? それはまたどうしてです?」

上司はパトロールカーに凭れかかって、呆れたように笑いながら、
「ここの自治権との関係よ。アポなしの突撃は問題になっちまうのさ」

そうして部下たちも、同様に乾いた笑いを立てた。
「でももう、取り消されたんでしょう? なら強気に攻めましょう!」

                 .

523 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:31:06 ID:/iOXtpyE0
.


風は吹いて、きめ細かな砂を吹き飛ばしては周囲を見えなくする。
更にハーモニーから発せられる白煙も合わされば、正門の近くで
待機していても内部の具体的な様子はわからなかった。

そのときだった。マーポールの職員一同は、誰かの足音を察した。
村の奥からこちらに向かって歩いている。その男の風貌は、
時が経つにつれて鮮明に浮かび上がってきた。


革製の長靴、防弾力を持つ褪せたジーンズ。
腰には二丁の拳銃がガンベルトに支えられている。
やはり防弾の役割を果たす新型ウエスタンシャツ、
真紅のいろをしたネッカチーフは緩く首に巻かれている。
人形と形容される表情のない顔と生気のない瞳、その上には
つばの広い茶色のカウボーイハットが乗っかっている。

典型的なハンターの身なりを纏った、その背の高い男は、なにも
見据えていないかのように、ゆっくりとアーチ型の門に向かって歩いていた。


「とまれ!」
背広を来たマーポールの巡査部長は、警戒しながら言い放った。

しかしその男は、聞こえていないかのように足を動かし続けた。
ようやく立ち止まったのは、ちょうど「Welcome」の書かれた
アーチのそのちょうど下の付近、くぐる瀬戸際のところだった。

               .

524 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:34:14 ID:/iOXtpyE0

男は顔を上げる。


( ´_ゝ`)


たちまちマーポールの巡査らは、ホルスターから拳銃を
抜いて兄者に銃口を向けた。下手な行動をすれば撃つという、
明らかな脅しだった。そんななか、背広の巡査部長は穏やかな声で、

「キミは、ここのハンターかね? それともただの旅人かな?
 すこゥし事情を聞かせてくれないかね、このクルマに乗りつ……」

と、しかし、とつぜん口を噤んでしまった。
感情というものを完全に削ぎ落としたような兄者の表情に、
一種の身の危険を感じたのだった。

こちらへ向かれたふたつの眼球からは、喜怒哀楽のなにも伝わって来ない。
巡査部長は、この目の前のハンターをアンドロイドか何かと疑いたくなった。



( ´_ゝ`)


兄者は、うんともすんとも応えない。首も降らなければ、
ガンベルトに手を掛けるつもりでもないようだった。

一切のコミュニケーションを排していた。

525 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:38:17 ID:/iOXtpyE0

「おい、なんとか言ったらどうだ。事情だけでも教えろっつってんだ」

上司の言葉を引き取るように、若手の巡査が力強くいった。
そうしてまた別の巡査が、啖呵でも切るように、

「お前は完全に包囲されている。逃げようとしたって無駄だ。
 え? そうだろうが、お前もどうせここのハンターなんだろ?
 ここでオリヴァー・ジャーブロと共に村を支配してたんだろうが」

( ´_ゝ`)

「なんとかいえよ、この野郎! 人形だからって歩けるだけかてめえ!」

その巡査の一言に、周囲はどっと笑った。しかし、ただひとり、
上司たる巡査部長は真剣な表情で兄者を見つめ続けている。
何処かで見たことがあるかと思えば、この村の支配者の
オリヴァー・ジャーブロと瓜二つの容貌をしていやがる。
ということは、こいつが噂の凄腕のガンマンなのか。


"お前はあのアレン・ジャーブロか?" と問い詰めたかった。
しかし、思うように口が回らない。そうして気がつけば、
身体も縮こまったように動かない。蛇に睨まれた蛙
の故事そのまま、なんの行動も起こせなかった。



( ´_ゝ`)


  
                     .

526 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:42:02 ID:/iOXtpyE0

一端、署のほうに戻ろう。巡査部長は本気で逃げることを考えた。
しかしそれとは裏腹に、部下である巡査らは完全に兄者を舐めきっていた。
四人がかりで銃を向け、しかも敵は人形のように動かないハンター
ひとりだけという状況ならば、あるいは仕方のないことかも知れない。

人形という単語から、次次に巡査たちは兄者の様子を揶揄しては
同僚の笑いを取っていた。会話機能は付いていないのか、や
人間の言葉はわかるか? などの類。このボディランゲージは
分かるか? と兄者に向けて中指を立てる者も居た。

( ´_ゝ`)

馬鹿にされるなか、恐怖されるなか、やはり兄者は動かなかった。
その瞳は、どれだけ罵倒されようとも色を付けはしないし、
人間の尊厳を傷つけるような侮辱をされても、手を銃に伸ばすことはなかった。


( ´_ゝ`)


やがて巡査の一人が、にやにや笑いながら、

「さぁてテメェは連行してやるよ。それを望んでんだろ?」

「正義の名の下にこの村を救わなきゃならないんでな。
 お前はじっくりと絞ってやる、ははは、口聞けないんだっけか?」

「そりゃ、獄中死するっきゃねーな!」

527 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:46:41 ID:/iOXtpyE0
.




( ´_ゝ`)



―― 正義。その言葉は、重く重く残響した。



( ´_ゝ`)


兄者は、兄者の脳は、ゆっくりと動きはじめた。
全てを拒絶していた彼の思考は、なにかを、
なにかをキッカケにして、今まさに立ち上がろうとしていた。


( ´_ゝ`)


あらゆる言葉が、走馬灯のように耳に響いていく。


                 .

528 名も無きAAのようです :2012/10/26(金) 17:48:30 ID:NGr.VczM0
なんと

529 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:48:56 ID:/iOXtpyE0

『兄者。……俺と一緒に、悪の道を走ってくれ』

『俺達は弱者の代表として、この腐敗した世界に小石を投じたんだ』

『あんね! あたいたちもアンタみたいになりたいんだピャ!』


  ( ´_ゝ`)


『ヒール! 俺は今まで道を見失っていたようだ。
 忘れていたよ、俺は何かに縛られるために生まれたんじゃない
  その縛っている見えないお化けを殺すのが目標だったんだ』

『弱者の意地って奴だな。ふふ、私も昔は弱者だったものだよ』

『やりたか……やれ……おれぁもう…しあわせだ』


 ( ´_ゝ`)


『死んでも……逆らってやるぜ……このやろう!
    てめぇのような、腐った……権力みてぇのにはよぉ……!』

 『―― 覚 悟 し ろ よ 、 流 石 兄 弟 』

 『怖くないわけじゃあないんだが……なんつうか、
   ああやって命削って戦うとな、生きてるって感じがしてくるんだよ』

  『本当に凄いと思うっピャ。流星のように生きる。
    有言実行してて、カッコイイ! キャー!』 

   『いつもアタイはアレンから貰ってるよ?
    アレンの、眩しい眩しい光って奴をね。アレンはみんなの憧れなんだ』



( ´_ゝ`)


          .

530 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:50:22 ID:/iOXtpyE0
.










          ( ´_ゝ`)









.

531 名も無きAAのようです :2012/10/26(金) 17:50:50 ID:VI68emDI0
兄者…

532 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:51:20 ID:/iOXtpyE0
.












          ―― 心の何処かで、鎖の断ち切れるような音がした。











.

533 名も無きAAのようです :2012/10/26(金) 17:52:24 ID:r9ibIr9QO
支援

534 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:54:12 ID:/iOXtpyE0
.


(  _ゝ )


そのとき、無反応を貫いていた兄者が、はじめて行動をおこした。

首をがくっと垂れ下げ、ガラス玉めいた瞳をいきなり伏せたのだった。


馬鹿にし続けていた巡査らも、前触れのないそのアクションに
ぎょっとしたが、すぐさま拳銃を構え直し、口調を取り繕って、

「動くな! 動くんじゃアない、ゆっくりと両手をあげろ!」


―― フフフ、


「おい、聞いているのか!? 撃たれなくなかったら、降伏をしろといっている!」


―― フッフッフ、


「いい加減ダンマリをやめろ! 洗い浚い悪事を吐いてもらうぞッ!」


―― ハッハッハッハ、



「おい、お前……?」

         
           .

535 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 17:56:38 ID:/iOXtpyE0
.











         ( ´_ゝ`)「――ハァーッハッハッハ!!!
               フフフ、フフハ、ハハハ! ハッハッハ!!!」










.

536 名も無きAAのようです :2012/10/26(金) 17:58:28 ID:V8NzhcAk0
兄者……

537 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 18:01:14 ID:/iOXtpyE0
.


「お、おい……」


……おとこは、大声をあげて笑い始めた。ぞっとするような凄みがあった。
衰えていた声帯を急に使ったことで、ノイズの混じったような音質
になっている。調子ッ外れた、人間と思えないような笑い声であった。


巡査らは凍りついた。目を白黒させ、目の前のガンマンを凝視した。
泣き声にも似た、狂気のその笑いが消えゆくまで、警告の一つも出来なかった。


( ´_ゝ`)「ックックック……。正義だとォ……?
       そんなもん、この世の何処にあるというッ!?」


「だ、黙れッ! 黙らねえかぁ!」

負けじと声を張り上げるも、兄者は怯む様子もない。唐突な
変化に、対応しきれない。目の前の人形だったはずのガンマンは、
神かその類かから命を吹き込まれたとしか思えないほどの豹変したのだった。


( ´_ゝ`)「ありゃーしねえんだ……! 正義なんてねぇからこそ、
       俺はここに、いま! 居るんだよ……!」


「これ以上近づくと本当に撃つぞっ!?」

虚勢を貼り続ける部下らに、上司は悲鳴に似た声で、
「逃げろ! いいからこの男に構うな!! 本部に、はやく……!」


しかし、兄者は、

( ´_ゝ`)「正義の代わり、この世には二つのものがある」

            
.

538 名も無きAAのようです :2012/10/26(金) 18:01:22 ID:NGr.VczM0
三段笑い!

539 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 18:05:17 ID:/iOXtpyE0
.


        電光石火で拳銃を引き抜き、一発。


( ´_ゝ`)「支配心と、


    二発、三発、四発、そして五発目、


( ´_ゝ`)「―――――、反抗心、


  巡査らの胸に、紅いひなげしが咲く。


( ´_ゝ`)「――――――――――、そのふたつが、ね」


そう言い切って、兄者が両のガンベルトに拳銃を仕舞いこんだ。

それと同時に、指揮されたように全ての職員らは、血に濡れて倒れこむ。

糸を切られた人形のように。

一陣の風が吹く。兄者はハットを押さえつつ、



( ´_ゝ`)「………さて」

                    

               .

540 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 18:10:08 ID:/iOXtpyE0
.


( ´_ゝ`)「弟者の命令が残っているな」


兄者は振り返って、渦中のハーモニーを遠い目で再確認した。
とはいえ、目に付く人間も居なく、抉れたような地面や
屋根を吹き飛ばされた建物などしかなかった。

―― しかし、悪意は残っている。


( ´_ゝ`)「――― !?」


近くで手榴弾か何かが破裂したのか、建物がいきなり倒壊した。

兄者は咄嗟に身体を翻して熱波や衝撃波を避けると、笑顔になった。
久しぶりの笑みのため、ひくひくと痙攣したようなものだったが、


( ´_ゝ`)「……楽しいステージになったじゃねえか」


目をギラつかせ、リロードを手早く済ませると、



( ´_ゝ`)「さぁてそろそろ、生かせて貰うとするか……死地に!」


再びハーモニーの大通りを歩きはじめた。


               .

541 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 18:15:12 ID:/iOXtpyE0
.


( ´_ゝ`)「………」


大地を一歩一歩踏みしめながら、兄者は自身を確かめた。

自分でも制御できないような高揚感、燃え上がるような感覚。
抑え難い炎のようなものが、魂を突き動かして仕方がなかった。

先刻までの罪の鎖は、雲散してしまったようだ。
魂を冷たく濡らした罪は、消えていったようだ。

身体の末端という末端まで熱を帯びている。
情熱が血流に乗っている。身体を突き動かす。

自分の何もかもが炎を纏っているようだ。
ちょうど、流星が大気圏に突入したように。




( ´_ゝ`)「――そうさ、流れ星のように、だ。忘れていたよ……」




( ´_ゝ`)「見てるかいヒール? 久しぶりに今、輝いているぜ」




                   .

542 ラスト投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/10/26(金) 18:18:45 ID:/iOXtpyE0
.



( ´_ゝ`)「フフ……」



兄者は小さく笑う、無人の大通りを進みながら。


この死地で、どうしても手合わせ願いたい人間が居た。
どんな窮地に陥ろうが、どれだけ苦痛を受けようが、
己を決して曲げずに、どこまでも反抗し続けた男。


( ´_ゝ`)「………」


あの学者の存在もまた、兄者の再燃に一役を買っていた。
燃え上がるような反抗心を持っていた考古学者。
そうしてついには、ハーモニーをひっくり返したあの男。
何度も相対するうち、ついに、感化してしまったようだ。



( ´_ゝ`)「ドクオ・ウツタール……!」




――― ――――――
――― ―――――
――― ――――
――― ―――


               .

543 名も無きAAのようです :2012/10/26(金) 18:19:44 ID:/iOXtpyE0
次回はまたいつか。

544 名も無きAAのようです :2012/10/26(金) 18:21:05 ID:NGr.VczM0
兄者復活ッ!兄者復活ッ!乙ッ!

545 名も無きAAのようです :2012/10/26(金) 18:24:16 ID:TOo8NGyU0
乙乙!
兄者覚醒!!

546 名も無きAAのようです :2012/10/26(金) 18:37:10 ID:r9ibIr9QO


547 名も無きAAのようです :2012/10/26(金) 20:45:10 ID:SMAuQ.N60
兄者ktkr!!
乙!!続きが待ち遠しいわwww

548 名も無きAAのようです :2012/10/27(土) 00:19:54 ID:QGQAFW660
兄者きたあああああああああああああ!!!!
乙!燃える!!

549 名も無きAAのようです :2012/10/27(土) 12:45:04 ID:qpZZq/cAC
兄者かっけー!乙!

550 名も無きAAのようです :2012/10/29(月) 19:08:55 ID:FoGygcxw0
うおおおきてた!乙です
兄者かっけーな……ドクオとの一騎打ち全力wktk!

551 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 21:44:28 ID:n2zj1U6M0
時間が戻る瞬間を始めてみたよ。すげーなサマータイム。
そして投下する

552 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 21:47:47 ID:n2zj1U6M0
.


兄者はゆく。


( ´_ゝ`)

自信に充ちた足取りで、その一歩一歩には意思が感じられた。
兄者の進んでいる大通りは先程と変わりない様子で、戦地の市街
のような濁った緊張感と、薄く灰いろに滲んだ空気が漂っている。

右手の床屋からは轟々とした炎の音と、黒煙が扉から溢れてい、
ものの数分もしないうちに他の建物へ燃え移ることが予想された。


( ´_ゝ`)「……ここの住民にゃ、酷い話だろうが」


それでも兄者は、この状況――死と隣り合わせの戦場に、
興奮を抑えきれない。魂が燃え立ち、神経や筋肉は踊った。




( ´_ゝ`)「こんな楽しいときは無いってくらいさ」



―― そうだ。燃え尽きるまで、生き続けてやる。


                    .

553 名も無きAAのようです :2012/11/04(日) 21:51:00 ID:P6.o3zCQO
おおっと マジですかいこりゃあ 支援支援支援

554 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 21:51:12 ID:n2zj1U6M0


( ´_ゝ`)「……む」

兄者は背後の気配を感じ取って、足をとめた。
聞きなれた女性の声だった。避難を呼びかけている、眩しい訴えだった。

そのまま身じろぎせずに、声のする方を見つめて
いると、砂埃の中から、華奢な体躯のカウガールが現れた。


||‘‐‘;||レ「!?」

( ´_ゝ`)「よう、エノーラじゃないか」


対面した瞬間、エノーラは戦いた。しかし顔には恐怖よりかは
単純な驚きが現れている。ハンターには憎しみが湧いて仕方がないが、
この兄者は無言で色々な手伝いをしてもらっていた。そしていま、
いままで人形のように喋らなかった兄者が、屈託なく挨拶を投げ掛けてきた。

かろうじて喉から絞り出たのは、

||‘‐‘;||レ「あ、……えと、おはようござい、ます」

( ´_ゝ`)「ああ」

兄者は腕組みをし、噛み締めるように頷いた。
エノーラと戦うつもりはもとより無いが、隠れている賊ら
による不意打ちに警戒しているらしい。

( ´_ゝ`)「ここは危険だ、さっさと村の外へ逃げてったらどうだ」

||‘‐‘;||レ「やらないといけないことが……残ってて」

( ´_ゝ`)「なるほど、救助活動ってわけか」

555 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 21:55:48 ID:n2zj1U6M0

そこから数拍、沈黙になった。小さな風がひゅうっと吹いて
砂をあしらった。先に口火を切ったのは、エノーラで、

||‘‐‘;||レ「あなたこそ、何を……してらっしゃるんです?」

( ´_ゝ`)「ん? そうだな、残党狩り……いや、戦いに行く感じか」

||‘‐‘;||レ「あの、もうすぐマーポールの応援が来ますよ……
        門の、あ、でも……すぐに来ます、大人しく避難した方が」

たちまち兄者は乾いた笑いを立てた。

( ´_ゝ`)「大人しく、避難? ハハハ、お断りだよそんなもん」

||‘‐‘;||レ「でも、兄者さん……あなたは、逮捕されるでしょうね」

エノーラの口調から柔らかさが失せた。続けて、

||‘‐‘||レ「ここで避難して自首すれば、あなたも助かる……これが、
       あなたが、これから生きる上で、これが最良と思いませんか?」


( ´_ゝ`)「……思わないね。まったく」

||‘‐‘||レ「どうしてですか!?」

( ´_ゝ`)「そんな道に興味無いんだ、まるでね」


            .

556 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:01:11 ID:n2zj1U6M0

それから兄者はエノーラを一瞥した。
エノーラの姿を確認し直したのだが、兄者は眉を寄せて、


( ´_ゝ`)「そんなことよりお前、ドーグ持ってないのか?」

||‘‐‘||レ「え……道具?」

エノーラはアタフタと返した。

( ´_ゝ`)「武器だよ武器。……お前、何も持たずに丸腰の
       身一つで避難呼びかけてたってのか? こんな戦場で!
       ハハハ、面白い奴だなぁお前。まずは自分の心配しろよな」


愉快そうに兄者は肩を揺らした。戸惑うエノーラは彼の
感情表現を見つめ続けている。やがて兄者は「ふむ」と言うと、

腰のガンベルトをひとつ、解き始めた。実銃の入ったままのそれを
手に持つと、いきなりエノーラに放って寄越し、

( ´_ゝ`)「そのリボルバーだったら女でも片手で大丈夫だろ。
       狙いに自信がないなら、利き腕じゃないほうをこう、
       胸の前に曲げて、銃口を手首に乗せながら撃つといい」

||‘‐‘;||レ「あ、あの……でもこれは、、、」

手の中のリボルバー入りのガンベルトを持ったまま、エノーラは慌てたが、

( ´_ゝ`)「死にたくないんだろ? なら、とっとけよ」

557 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:03:45 ID:n2zj1U6M0

兄者は背を向いて歩こうとしたが、「ああ、そうそう」と付け加え、


( ´_ゝ`)「このメインストリートに救助を待つ奴なんかいない。
       建物内も、お前が助けたいと思いたくねえ連中ばっかだろ。
       裏路地を注意深く歩いていけばいい筈だ。わかったかい」


||‘‐‘||レ「あ、はい。……でも!」


エノーラは兄者の後ろ姿を見ながら叫ぶように、


||‘‐‘;||レ「なんで! 危険に突っ込む真似するんですか!?
        まだ、まともな人生、歩めるのに……なんで……
        死にに行くようなもんじゃないですかッ!!」

( ´_ゝ`)「死ぬために行くんじゃないんだよ」

兄者は振り返ると、涼しい笑顔で、

( ´_ゝ`)「生きるために行くのさ、俺にとってはね!」


そうして、煙の彼方に進んでいった。……


エノーラは知らなかった。正門前で倒れていたマーポール職員を見て、
この村の現状を痛感したが、その犯人は兄者とは別人に考えていた。
だからこそ兄者には逃げてほしいと、なんども訴えていたのだった。
エノーラは感じなかった。兄者の燃え立つような魂の、その熱を。


・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・

558 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:07:11 ID:n2zj1U6M0
.




( ´_ゝ`)「………っ!?」


それから先のメインストリートにて、兄者は不審を感じて立ち止まった。
道を挟んだ建物から取り出したであろう木箱やダンボール、果ては
丸机などが所狭しと道に置かれていた。バリケードのように。

誰が、何のために、こんなことを。
しかしそれを考える必要はなかった。

先程から感じている明確な悪意を顧みれば、意図も分かろうというもの。
その明確な悪意、兄者に向けられた、ドス黒い殺意を考慮に入れれば。


( ´_ゝ`)「てめぇは誰だい……」


兄者は気配の感じる物陰に向かって、声を掛けてみた。
すると反応があり、「クックック」という笑いが漏れ出した。


「……長らく貴様らを追いかけてたが、肉声を聞いたのは始めてさ」

何者かが、邪気に充ちた声で言い続ける。
聞いたことのある声であった。そうだ、あのアナウンスの……。

「ここまで死ぬ気で頑張ってきた、その苦労ってものが報われるよ」

( ´_ゝ`)「それは良かったな」

                  .

559 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:10:35 ID:n2zj1U6M0
.



「いやいや、ははは。貴様らディアボロ兄弟を殺すためならと、
 火星にだって乗り込んだ。そしてこのチャンスを思えば、くそみそなもんよ。
 はてさて! この悪魔兄弟はまたも、俺の同志を葬っちまったわけだ。
 正樹を殺し、そしてついにはデルタまでを殺めちまったんだ貴様ら。
 ――この瞬間を、俺は、たまんねえくらい待ち望んでいたよ!
 そうだ、この場所が貴様の墓となる。死んで、償ってもらおう……」

( ´_ゝ`)「ならば出てきたらどうだ!? 決闘なら受けてやる」



決闘……決闘! その言葉を口にしただけで、
兄者は自身の魂が燃え上がっていくのを感じた。

エノーラに銃を渡したために、残りは一丁だけであったが、
そんなハンデも、あらゆる状況が、兄者に闘志を抱かせる。



―― 復讐戦か。いいねえ、面白い。俺の命を削ってみろよ!

―― 殺意だけじゃ届かないぞ、命を捨てる覚悟が無けりゃ、


( ´_ゝ`)「お前に俺は殺せないッ……! フッフッフ」



「………!」


                 .

560 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:16:31 ID:/Wswjaq.0
.


「ほざいてろ……アレン・ジャーブロ。冥土の土産に
 俺の名を知りたいか? 死にゆく者に名乗るほどでもないんだが、
 いいだろう。俺は、阿部高和という」


その男はゆらりと物陰から現れた。ブルーベリー色の
防弾チョッキを何重にも着込んだ、日系のいい男だった。

流線型のヘルメットを被り、片手にはリボルバーが黒光りする。
カプセルから調達した、可能な限りのフル装備だった。




( ´_ゝ`)「………」


N| "゚'` {"゚`lリ「 や ら な い か」




  ―― 直後、閃光が視界を覆った。

                    .

561 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:20:21 ID:/Wswjaq.0

閃光と同時に、爆音と凄まじい衝撃が兄者の左半身を襲った。


( ´_ゝ`)「!?」

兄者はとっさに受身を取り、状況の把握に努めた。時限式の
爆弾をバリケードの影にセットしたらしい、長話で間を調節しつつ。
幸い威力は大したことはなかった、が、兄者といえども
爆風に耐えることなど不可能であった。まばゆい光が収まるころには、
兄者は爆心地と逆方向のバリケード用木箱に背を叩きつけられた。


(;´_ゝ`)「ぐゥ!」

……その瞬間、背中に鋭い痛みが走った。剥き出しの刃先が
脆いバルサに隠されていたらしい。前方の焼けるような苦痛も
あいまって、兄者の動きがほんのわずかに緩んだ。


兄者の着込んだ防弾シャツは、機動性を重視したものであった。
それゆえに、銃弾で身を貫かれることはないにせよ、打撲痕は
残るような、その程度の防御力しか持っていない。そして今の
ふたとおりの苦痛を、防ぎきることなどできない。


N|#"゚'` {"゚`lリ「はぁッ!!」

完全防備の阿部が、隙を作った兄者に目掛けて射撃をした。


             .

562 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:25:57 ID:/Wswjaq.0


(;´_ゝ`)「ぬう!」

――鉛玉が胸部に直撃する。貫通こそしないものの、筋肉の
損傷するような感覚が走った。反撃をしなければ。だが、
手榴弾の閃光に目をやられてしまったようだった。視界が
白くボヤけ、人影も朧であった。阿部は構わずに連射をする。

(;´_ゝ`)「………ッ!」

精密性は悪くなかった。弾の殆どが、兄者の身体の何処かしらを
殴った。背中の刃物も、より深く兄者に突き刺さっていく。
だが、その連撃は兄者に位置を教えるようなものであった。


( ´_ゝ`)「―――!」

電光石火の一発。兄者は目にも止まらぬ速さで、阿部の
居るであろう位置に向けて銃弾を放った。


「ッうぐう!」

狙いは兄者にしては悪いものだったが、常人にしては
良すぎるものだった。弾は阿部の、防御の薄い脚に当たった。


自身のターンになると、視界の閉ざされたまま、兄者は連射をした。
しかし、その殆どが完全防備された胸部や腕にあたっていった。
不幸中の幸いか、阿部は苦痛ゆえ前のめりの体勢になっているためで、
兄者は怯ませることもできない。

563 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:31:17 ID:/Wswjaq.0

兄者は更に脚に踏ん張りをつけて、前方にあゆみ出た。
背中から複数の刃先が抜けていく。同時に、流血も激しくなった。


(;´_ゝ`)「(……きたか!)」

阿部から狙撃を受けた。そのうちの一つが兄者の右肩に当たった。
骨の揺れる気持ち悪い振動が走った。が、構わずに兄者も反撃を
しようと引き抜いた。しかし阿部の居るであろう位置で
素早く走り抜ける足音がした。バリケードに隠れたらしい。


( ´_ゝ`)「(目が見えないんじゃ、無駄撃ちになる。
        この"数秒"だけは、な)」


兄者は目を閉じ、立ち尽くした。それから"数秒"後、
阿部が物陰から半身を乗り出して射撃の体勢に入った。

放たれる一発の弾丸、しかしそれは、


( ´_ゝ`)



兄者の真正面から放った弾によって、弾道を無理やり変えられてしまった。


「!?」

阿部はその事実に畏怖した。 そして思わず、  

N|;"゚'` {"゚`lリ「馬鹿な……」

564 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:35:30 ID:/Wswjaq.0

( ´_ゝ`) ニヤリ

N|;"゚'` {"゚`lリ「!?」


驚きの余りに呟いた一言が、阿部の位置を完全に知らせてしまった。
慌てて阿部は再び発射しなおすが、兄者は走りに交えた横運動によって
安易にそれを回避した。奪われた視界が、そろそろ物の判別をつけていた。


N|;"゚'` {"゚`lリ「(糞!)」


阿部は物陰に引っ込んで、銃の代わりにナイフを手にした。
兄者が追走してくる。片手に銃を構えた状態で、角を曲がった。


N|;"゚'` {"゚`lリ「―――ッ!?」

死角から兄者の首を切り裂くつもりであった。しかし、
兄者はそれさえも見越したのか、ぎらつくその刃に、電光石火で弾を撃ち込んだ。

ナイフがひしゃげて吹き飛んだ。振りかざした腕も巻き込まれ、
阿部は無防備の姿勢になった。間髪を容れず、兄者の拳が阿部のヘルメットを捉える。

N|;"゚'` {"゚`lリ「ぐ!」

565 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:37:47 ID:/Wswjaq.0

ヘルメット越しに伝わる衝撃、なまじ被り物をしただけに、
振動が脳を直に揺さぶった。兄者はさらに回し蹴りを放つ。
阿部の身体がバリケードに叩きつけられる。急場凌ぎで作られた
壁は阿部のぶつかった衝撃に耐え切れず、横になって倒壊した。

( ´_ゝ`)「素人の殺意を感じ取る、余裕な話さ」

N|#"゚'` {"゚`lリ「貴様ァっ!」

阿部は胸元から投げナイフを取り出すと、蹴りの体勢に
入った兄者に向かって、それを投げた。兄者の腹に横になって刺さる。

( ´_ゝ`)「効くねぇ……」

一端、兄者は蹴りをやめることにして後ろへ下がった。
それから銃を素早く構えると、阿部の防御の薄い脚に鉛玉を撃った。

どんッどんッどん! と銃声がワルツを奏でた。


N|#"゚'` {"゚`lリ「あっぐうゥウ!!」


阿部が苦痛をヘルメットから漏らす。紅い血が阿部の腿から
滴った。その血の流れは両の腿に幾つも出来ている。

566 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:44:48 ID:/Wswjaq.0


N|#"゚'` {"゚`lリ「てめぇっ……てめぇェエ……ッ!」

阿部は歩行はもとより、倒れたこの体勢を直すことさえ出来なかった。
背中に感じるバリケードの木箱の硬さが、阿部に死の味を伝えている。

( ´_ゝ`)「これで終わりかな」

身体中に傷をつけ、そこから血を流す兄者だったが、
阿部と違い立っているばかりか、腕を組んで微笑みを顔に貼り付けていた。

N| "゚'` {"゚`lリ「ふふふ……」

阿部は力なく笑い、右手を上げた。その手には銃――

( ´_ゝ`)「!?」

――しかし、これは囮だ。兄者は察知した。
阿部の闘志が消えていないばかりか、
そのドス黒い殺意は、いま再び燃え上がったことを。


(;゚_ゝ`)そ 「――っぐ!?」

細かな痛覚が、いきなり兄者を襲った。背中に銃弾を受けたよう
だった。メインストリートに面した建物の二階から、何者かが兄者を
狙撃したのだった。さらに正面からも阿部が撃とうとしたが、
兄者はその構えられた拳銃に向けて鉛玉を放った。強引に、それを吹き飛ばす。


               .

567 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:47:16 ID:/Wswjaq.0

それから、兄者は振り返ようとしない。既にその阿部の支援者は死角に
引っ込んだことが察せられたからであった。初撃でのトラップによる
裂傷に加え、先程の銃弾のダメ押し。防弾シャツは、そろそろ
機能しなくなっていく。だがそれでも、兄者は立ったままであった。


(;´_ゝ`)「……お前の、仲間か」

N| "゚'` {"゚`lリ「卑怯者だと俺を笑うか」


阿部は力なく言った。しかし兄者は素知らぬ表情で「全然」と呟いて、

( ´_ゝ`)「むしろ本気で殺そうとしてくれた方が、やりがいがある」

N|;"゚'` {"゚`lリ「………」


( ´_ゝ`)「無駄だ」

兄者はぶっきらぼうに言い放った。と、同時に背後に向けて発射する。
鈍い音と短い断末魔。それからその男の倒れる音。
阿部の支援者は瞬く間もなく絶命した。


( ´_ゝ`)「さて、まだ手はあるのかい」

               .

568 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:51:09 ID:/Wswjaq.0
.


N|;"゚'` {"゚`lリ「……くそ」


阿部は憎悪に充ちた目で、目の前のガンマンを睨みつけた。

ここまで来て、どうして奴を殺せない。最愛の恋人を殺されて、
復讐を胸に火星までやって来た。悪魔の兄弟がハーモニーを
支配していると知れば、興味もないのにこんな辺鄙な村にやって来た。
そうしてあっけなく捕われ奴隷のようにこき使われても、甘んじて受け入れた
その理由は、ただ一つ……復讐を完結させるためだった。

だというのにこのザマはなんだ。
阿部は自嘲するよりも、虚無感に包まれて仕方がなかった。

対し、兄者は楽しくて仕方ないという表情で、

( ´_ゝ`)「なかなか楽しませてくれたよ、阿部とやら。
       最後に一つ教えてやろう。お前が敗北した理由を。
       ――それは覚悟だ。いくら復讐心がドス黒くっても、
       刺し違える覚悟ってもんがなきゃ、俺を殺すことはできない」

N|;"゚'` {"゚`lリ「………!」

阿部の心に、その一言が深く突き刺さった。同時に、
今までの黒い炎のような復讐心とは違う、氷のような殺意がもたげた。


               .

569 名も無きAAのようです :2012/11/04(日) 22:54:14 ID:RaRhfbRk0
支援!!
兄者かっけええええ

570 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:56:25 ID:/Wswjaq.0
.



( ´_ゝ`)「そういうわけだ、まあ、やすらかに眠ってくれ」

兄者が鷹揚にリロードをした、その瞬間……

N|;"゚'` {"゚`lリ「(……いまだ)」

阿部は最後の武器を、至近距離の兄者へ投げた。

( ´_ゝ`)「!?」


突如眼前に現れたそれ、その特徴的な外見に兄者は
思わず後ずさった。知りすぎるほどに知っているそのかたち。

手榴弾。殺意が目の前に放って寄越された。


N|#"゚'` {"゚`lリ「――なら覚悟を見せてやらァァアアッ!!!!」

(;´_ゝ`)「くっ!」



銃弾でさえ防御できない、その手榴弾は空中でいきなり光り輝いた。

と、同時に、凄まじい轟音と炎を周囲に撒き散らした。

                 .

571 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 22:59:57 ID:/Wswjaq.0
.



   ――――――ッ!




(;´_ゝ`)「ぐぅぉおお!」


とっさの才覚でバックステップをしても、躱しきれるものではない。
真正面からの殺人的なエネルギーに、兄者は後方へ吹き飛ばされる。
爆発が、その周囲360度を加減なく破壊しようとする。バリケードも、
兄者も、阿部さえも。


(;´_ゝ`)「――ぐぅ!!」


石造りの壁に背中が思い切り叩きつけられる。鈍く重いその衝撃に
顔を歪める間もなく、熱波が兄者に襲いかかった。


(;´_ゝ`)


せめて頭だけは守ろうと、右手を差し出したのが駄目たった。
突き出した腕は熱にやられ、手袋の革が手の皮膚に張り付くほど
に焦がしてしまった。ようやく収まった頃には、もう右手は完全に麻痺していた。

             .

572 名も無きAAのようです :2012/11/04(日) 23:01:25 ID:.H38blUw0
おお、来てる!支援!!

573 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:03:36 ID:/Wswjaq.0

(;´_ゝ`)「………」

動かそうと試みるだけでも、激痛が右手全体を貫いた。
何もせずとも、焦げた嫌な臭いが嗅覚を刺激する。
熱湯に手を浸しているような感覚が続いた。

間違いなく右手は壊死しただろう。革手袋を剥がしたその中身は
見るに耐えないものとなっているはずだ。兄者は左手で首のスカーフを
ほどくと、それを右肘の辺りに強く縛った。


(;´_ゝ`)「くっ……」

左手を駆使して衣服の煤や汚れを払った。
風に切られた頬の血をぬぐい、それからよろよろと歩き出して
周囲の確認をする。阿部の用意していたバリケード類は、すべて
爆心地から放射線状になぎ倒されている。阿部は何処だと目を光らせると、
自分とは真反対の壁のすぐ下で、ぐったりと倒れていた。


N| " '` {" `lリ


生きているのか、死んでいるのかは定かではない。
ただし、動こうとする気配は感じられないし、何より
先刻までのドス黒い殺意というものが、雲散しきっていた。

もはや生死の確認をするまでもなく、兄者の勝利で決着がついたのだった。

574 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:05:20 ID:/Wswjaq.0
.


( ´_ゝ`)「悪いな……」

兄者は片手でカウボーイハットを直しながら、阿部の
怒りの言葉の連続を反芻した。復讐者の怒りを噛み締めて、

( ´_ゝ`)「マサキ、デルタ、そして阿部よ。
       俺はまだ、生きているんでね……」


そうして兄者は広場の方へ、ゆっくり歩き出し、


( ´_ゝ`)「面白かったよ。ここまで傷を負わされるとはな……」


( ´_ゝ`)「無傷でドクオと殺り合いたかったが、人生そうも上手くいかねえか」



一陣の風が吹く。陽がわずかに傾いて、兄者の影をながく伸ばした。
じきに、夕焼けが来るであろうという前兆が、そこにあった。


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・

                  .

575 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:07:07 ID:/Wswjaq.0


―― ハーモニー 裏路地



(;`xωx´)「アッー!!」


シャキンが叫び声をあげると、同時に転げ回った。
手にしていた銃も放り出して物陰に必死に隠れる。

右の腿から鮮血が吹き出ていた。ジーンズごと肉を貫いた
鉛玉のその痕から、とめどなく溢れている。

激痛が走って、シャキンは動こうにも動けない状態だった。

そうしてシャキンを撃ったその張本人は、警戒を怠らないまま
シャキンの方へ忍び寄っていく。


(;` ω ´)「ひぃっひぃっひぃ……!」



ごちゃごちゃと物の積まれた狭い路地裏で、必死に逃げ道を求めた。
しかし誰も助けに来ない。あと数秒でそのハンターに追いつかれ、
とどめを刺されるかと思うと、恐怖で胸が張り裂けそうになる。

576 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:08:16 ID:/Wswjaq.0
.


(;` ω ´)


同時にシャキンの胸中には後悔の念が生まれていた。
ドクオの用意した銃火器によって、あらゆる悪党どもを
この短時間で撃ってきた。そこには恐怖さえなく、爽快感のみだった。

しかし、だがしかし今は違った。自分が馬鹿みたいに振り回し、
扱ってきた銃の危険性が、太腿の苦痛とともに身にしみてくる。

自分はなんて愚かだったのか、涙が視界をにじませる。


( `;ω;´)


こんなことになるのなら、始めから参加なんかしなければよかった。
安っぽい正義感に振り回されて、悪党どもを蹴散らすなんて馬鹿な真似をせずに。


自分はなんて愚かだったのか、そら見てみろ、既に追いつかれたようだ。

俺の脚を撃ったこの悪魔が、影からぬっと現れてにやりと笑いやがった……。

           
             .

577 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:10:43 ID:/Wswjaq.0


そのハンターは銃口を、ゆっくりとシャキンの胸元に向けた。
シャキンには全てがスローモーションに映った。

と、そのときだった。そのハンターの笑い顔に向かって、
なにかが飛んできた。その何かは棒状のものだった。綺麗な弧を
描きながら、それの先端――ブーツが、ハンターの鼻先に向かっていく。



( `;ω;´)「!?」


最初はわからなかった。しかし、そのハンターがいきなり鼻血を
出しながら後方へ吹っ飛んでいった。なんだ? 助かったのか?
シャキンがそう思う頃には、その助けてくれた棒状のものは引っ込んで、
代わりに、真新品のハンタールックに包まれた"誰か"の後ろ姿が
眼前に現れた。誰だろう。味方か? しかし問いかける暇もなく、
その誰かはハンターに向かって駆け出していった。止めの一撃とばかりに、
踵落としをハンターのみぞおちに叩き込んだ。

斜めにさした陽の光のせいで、具体的な姿はわからない。しかし、
その仮借なく打撃を加える頼もしさは、見覚えのあるものだった。
そして、その男が振り返って、









(メ'A`)「大丈夫かシャキン」

( `;ω;´)「あ、ああ……ドクっオさん……!」

ドクオに、すくわれた。

578 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:13:09 ID:/Wswjaq.0

ドクオは近寄って、倒れたシャキンの傷を見やって、

(メ'A`)「こりゃ歩けねーだろ。ちょいと待ってな」

そういって周囲の材木から、簡易な松葉杖になりうるものを探した。
ドクオのその様子を、シャキンはずっと見続けている。
汚れに汚れた今までの衣装を捨て、支援物資からカウボーイジャケットや
ジーンズを調達したらしい。頭にはウシャンでなくテンガロン・ハットを
乗っけている辺り、見た目はそこらへんのハンターと変わりなかった。

しかし、この衣装の殆どは高価な防弾仕様であり、しかも
その耐久性は兄者の着ているものと殆ど同じであった。
無論、そんなことは当人らには知るよしもないのだが、ともかく
ドクオに助けられてシャキンは起き上がった。包帯で傷口を巻いて
もらった頃には、安堵感で痛みを忘れられた。


(`;ω;´ )「ありがとうございます……!」

(メ'A`)「大人しく避難するんだな。残党ももうほとんど居ないしな。
    ……シャキン、門まで送ってやろうか?」

(`・ω・´;)「いえ、大丈夫です!」

しゃきんとした返事をすると、

(`・ω・´;)「ドクオさんには、まだやることがあるんでしょう!?」

(メ'A`)「ん、まあな……」

579 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:16:18 ID:/Wswjaq.0


ドクオは曖昧に返事をした。
これからのことを考えると、心の余裕がなくなってくる。
今、ここで、シャキンと共に逃げるという選択肢だって"残されていた"。


しかし、


(メ'A`)「俺はまだ残る。ただ、どうか俺の……」


(`・ω・´)「?」


(メ'A`)「健闘を、祈ってくれないか」


何処か弱気を見せた発言だった。


シャキンは気にする様子もなく、

(`・ω・´)「はいっ! 頑張ってください!!」

(メ'A`)「ありがとうよ。そんじゃ、お前も達者でな」


その言葉でふたりは別れることになった。……



               .

580 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:19:28 ID:/Wswjaq.0


広場へ通じる狭い道。その影にドクオは居た。
一方の壁に手を当てて、俯き加減に佇んでいる。


(メ'A`)「………」


まだ障害を完全に取り除いたわけではない。
これから先、あの男と対決をしなくてはならないだろう。
戦利品を手に入れる過程で、まず衝突は免れないであろう、あの男。

裁判館は相変わらず扉を閉ざし、交渉も望めそうにない。
出合ったハンターも殆どが三下なので、倉庫のパスワードは手に入れられなかった。


(メ'A`)「ふぅ……」


蓄積した疲労が肩や腰に伸し掛った。このハーモニーに来てから、
身体を酷使したうえにあらゆるダメージを受けてしまった。

もういい加減に休みたいと、身体が悲鳴をあげている。

581 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:21:26 ID:/Wswjaq.0
.

(メ'A`)「(まだ……ぶっ倒れるわけにいかねえ!)」

ポケットからエナジードリンクを飲んで、身体に喝を入れる。
ケミカルの味が喉から食道を刺激した。疲労が感じなくなるといっても、
しょせんはごまかしに過ぎない。最後は根性の戦いになるであろう。


ドクオは深呼吸を何度かし、壁から手を離した。
息を整えてきってから、ドクオはおもむろに広場に足を踏み入れた。



(メ'A`)「………」

耳の横で風がひゅうと鳴いた。乾いた地面に、ダミエルの
吊るされた一本杉。あれほど決まっていた西部劇調の建物も、
廃墟のように一部が崩れ落ちたり、焼けていたりする。

孤独な空間だった。ドクオはゆっくりと、足を慣らすように歩いた。


(メ'A`)「(ん?)」

すると、反対の方向で人の気配を感じた。
それも複数の男の声、苛立ってはいるが、敵意の感じない声色だった。

ドクオはゆっくりと近づいていった。

三人の男が、広場の隅で何者かをリンチをしていた。その被害者の
姿かたちは見て取れなかったが、その三人が原住民であることは
衣服で察せられた。



(メ'A`)「(ハンターへの怒りをぶつけてるってわけか……)」

            .

582 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:22:58 ID:/Wswjaq.0


わからぬ行動でもないが、それにしてもリンチはやり過ぎだろうと感じた。
その"ハンター"は何の抵抗もせず、ときおり痙攣めいた動きをするだけだ。

(メ'A`)

ドクオはさらに近づいて、「止めて早く避難しろ」と言おうとした。


(メ'A`)「!?」

しかし出掛かった言葉を飲み込んだ。近づいて、よく判った。
三人の原住民が発する罵り言葉に、「裏切り者」という言葉が
頻発するのも判った。その者がゾンビのような動きをしているのも判った。


(;'A`)「お、おい……」


ドクオに気がつくことなく蹴りを加え続ける原住民たち。
相変わらず何の抵抗もしないそのハンター。



(#'A`)「……おいてめぇらッ!! やめろ!!」


いきなりの恫喝に、その三人組は動きを止めて振り返った。

                     .

583 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:24:47 ID:/Wswjaq.0


そのどれもがドクオの顔を見るなり、きょとんとした表情になった。
やはり原住民に違いなく、虐げられていた側の人間だったのだろうが、

(#'A`)「とっとと避難でもしやがれ! そいつを解放しろ!!」

「けどねえ旦那! この男は俺らを裏切ってハンターになった……」


ああ、そうか。それで妙な恨みを買われていたってわけか、しかし、


(#'A`)「関係ねえよ……デルタに危害加えるんじゃねえ!」





( ";;;゙) ガッタ......



男たちがわずかに離れ、痙攣しているデルタの姿が映った。
数々の怪我や身体にこびりついた血のりで見えづらいが、
紛れもなく、直前までドクオをサポートし続けていた男、デルタだった。

                   .

584 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:29:18 ID:/Wswjaq.0

「あのなあ!」

一番気性の争うな男が、ドクオに近づいて、

「あんたにゃ感謝してるけどよ! お前しょせんッ他所者だろォッ!?
 こっちにはこっちの事情があんだよ! 絞める奴は絞めねえと……」


(#'A`)「黙れってんだ……!」




デルタは、全てを失ったような虚ろな表情をしていた。
どうみても致命的な出血の痕、人間とは思えない痙攣。
彼もまた、ハインリッヒと同じくキャリアに冒されたのだった。
追跡者として彷徨っていたところを、二重スパイの事情を知らぬ
人間らに取り押さえられ、殴る蹴る、罵倒の暴行を加えられていたのである。

今度はドクオが詰め寄って、


(#'A`)「俺はヒーローでもなきゃ、救世主でもないんでな……ッ!
    罪なきてめぇらブン殴ることにゃ抵抗ねえんだぞ!!」


                        .

585 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:31:17 ID:/Wswjaq.0

凄みをきかせた言葉に気圧されたらしい。

三人の原住民は驚いた顔になると、しぶしぶ引き下がった。

舌打ちをしながら、一番近い小道に入り、避難経路に向かっていく。



(メ'A`)






それからドクオは、起き上がろうとするデルタを見つめた。


( ";;;゙) ガク....ガクッ


骨格のみを頼りにした起き上がり方は、やはりキャリアのそれだった。

濁った血を滴らせ、ゆっくり、ゆっくりとドクオの方へ近づいていく。


( ";;;゙) ズ....ズズ.....


(メ'A`)「……デルタ」

                 .

586 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:34:02 ID:/Wswjaq.0

この男さえも、この村を愛していただけの、
この男さえも俺は手に掛けなくてはならないのか。

(メ'A`)

ドクオは葛藤した。

デルタはぎこちなく動いてくる。人口ウイルスによって、
機械的に腐肉を動かされていく。

……くるのか、デルタ。来るのかい、
ドクオは内心で問いかけ続ける。



――だが、ドクオの予想を裏切った。


(メ'A`)「!?」


デルタの歩行は、ドクオを追い掛けるそれではなかった。
わずかにドクオの方から逸れると、そのまま身体を引きずっていく。

通常、キャリアは対象者を設定する。
この状況において弟者が設定した対象は、ドクオに違いなかった。


( ";;;゙) ズ....ズズ.....


(メ'A`)「お前……」

にも関わらず、デルタはドクオに危害を加えようとしなかった。

                 .

587 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:36:37 ID:/Wswjaq.0

やがてデルタは歩みをやめた。そこはドクオから少し離れた先の
ちいさな看板だった。「ハーモニーへ ようこそ」と書かれた看板、
そこのすぐ傍にデルタは居た。そうして、まるで力尽きたかのように
看板にもたれ掛かった。身体を小刻みに揺らしている。表情は分からない。


(( ";;;゙)) ... ....


(メ'A`)「………」




おかしい、これはキャリアではないのか?
ドクオの頭に疑問が過ぎった。
キャリアは対象者を、対象物をずっと追い続け……



(メ'A`)「……そうか、そういうこと」


( ";;;゙) ウ...ウ...ウ....



(メ'A`)「そうだよな、お前が、追い求めてたものは……それだもんな」


                   .

588 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:39:37 ID:/Wswjaq.0


ドクオはデルタを見つめ続ける。もたれ掛かりながらも、デルタは
その小さな町看板を抱きしめようとしていた。強ばった動作で、
痙攣をしながら、血飛沫をあげながら抱きしめている。全身全霊で、
愛を表現している。その様子を、ドクオは見つめ続けていた。


( ";;;゙).... .....


(メ'A`)


(メ'A`)「もう少しだ……もう少しなんだよ、デルタ。
    あとちょっとで、このハーモニーにも笑顔が戻ってくる」


( ";;;゙).... .....



(メ'A`)「だから、安心して、」



(メ A )「……ねむって、くれねぇか?」


              .

589 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:41:34 ID:/Wswjaq.0
.


(メ'A`)「安心して、天国から見てくれねぇか」


(メ'A`)「なあ……デルタ……」





(( ";;;゙))



( ";;;゙)「……ッぁ、ッぁ、……ぁあ……!」


言葉にならない言葉を発しながら、デルタはひたすらハーモニーの
町看板を抱擁し続ける。しかし、やがて、そのうち、デルタの顔が
安らんだかと思うと、彼は動かなくなった。次第に痙攣も間隔が大きくなり、



デルタの人生は、いま全く幕をおろしきった。


                      .

590 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:45:28 ID:/Wswjaq.0

(メ'A`)


すさんだ風がどっと吹き降りて、地面の細かな砂を大量に舞い上げた。
砂埃が辺りに立ち込めた。ドクオとデルタの間にも例外はなく、
視界が蜃気楼めいて、デルタの亡骸を揺らした。



(メ'A`)「必ず……だ。約束するよ、デルタ」


天を見上げてドクオは呟いた。空は既に橙いろに移り変わって、
細切れの白い雲が申し訳程度に浮いているばかりだった。


(メ'A`)


今までの喧騒とはうってかわって、ハーモニーは静かになっていった。
崩れた西部調の建物が夕焼けに晒され、廃墟めいた空気を出している。
ドクオはしかし、それでも立ち止まっていた。まるで何かを待つように。





―――― そして、そのときだった。
     砂を踏む、何者かの足音がした。

591 名も無きAAのようです :2012/11/04(日) 23:45:35 ID:YtZtmOs60
泣けるな、チクショウ

592 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:49:55 ID:/Wswjaq.0
.


              ――― ざりっ……


(メ'A`)「!?」

ドクオは咄嗟に振り返った。大通りの方からそれは聞こえた。
眩しい陽光と埃のせいでよく見えないが、確かに人影が、そこにあった。

          ――― ざっ……ざっ……

その者は小さく笑い声を立てながら、ゆっくりと近づいてくる。

       ――― ざっ……ざっ……

(メ'A`)「………!」

その笑い声は、始めて聞くものだった。けれども、
不思議と慣れ親しんだ声のようにも思われた。

   ――― ざっ……ざっ……

ドクオは握りこぶしを作った。ついに、来たようだ。
これまでドクオは、様々な策によって障害を乗り越えてきた。

ハーモニーに無数にあった障害。そしてこの目の前の男は、いままで

取り除けなかった障害であり、かつ最大の驚異と考えていたものだった。


――― ざっ……

                         .

593 ラスト投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/11/04(日) 23:55:30 ID:/Wswjaq.0
.




( ´_ゝ`)「………」


(メ'A`)「………」




夕焼けの荒野、廃墟の建物。ドクオと対峙する、最強のガンマン。

兄者は既に手負いの身だったが、背筋をまっすぐに伸ばし、

ドクオを睨みつけている。ふたりの男は、しばらく相対していたが、




( ´_ゝ`)「フッフッフ……」


( ´_ゝ`)「―― サシを挑むぞ…… 考 古 学 者 ァ ! ! 」



(メ'A`)「………ッ!」



そうして、斜陽のハーモニーで、最後の決闘が始まろうとした。……


                  .

594 名も無きAAのようです :2012/11/04(日) 23:58:45 ID:/Wswjaq.0
今日はここまで、次回はいつかの週末に。

>>584
気性の争うな男→気性の荒そうな男。 ミスです。

595 名も無きAAのようです :2012/11/05(月) 00:04:47 ID:76Yhj9.E0
支援しようとしたら終わってた
しびれる…!!乙です!!

596 名も無きAAのようです :2012/11/05(月) 02:36:42 ID:AVDPl4V60
濃密すぎて言葉にならないぜ
乙!

597 名も無きAAのようです :2012/11/05(月) 10:01:05 ID:lRCtW6w.O


598 名も無きAAのようです :2012/11/05(月) 19:36:32 ID:JCywC5Rw0
乙!
デルタ・・・

599 名も無きAAのようです :2012/11/05(月) 22:58:03 ID:OEvOrsQ.O
弟者ノリノリ!おつです。

600 名も無きAAのようです :2012/11/06(火) 06:21:03 ID:nE5C.Jbc0
思いの向こう側の作者さんが兄者の絵を描いてくださいました。
むちゃくちゃ嬉しいです。ほんとうにありがとうございます!

http://vippic.mine.nu/up/img/vp96921.jpg

601 名も無きAAのようです :2012/11/06(火) 17:45:36 ID:wH8RLcAwO
かっけー!!!

602 名も無きAAのようです :2012/12/12(水) 20:16:24 ID:lSSy0RH20
本当にかっこいい兄者だな

603 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 20:29:18 ID:KYRNhUOs0
旅行でしばらく取れないので、書き溜め分だけ投下します

604 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 20:33:18 ID:KYRNhUOs0

.







―― 自分の人生はどうしようもない糞なことなんて、ガキの頃から知っていた。


―― だからこそ、弟者の示したこの悪の道……覚悟と命だけの世界が、


―― とても、とても眩しくて……この世界で輝こうと誓った。






.        .

605 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 20:37:00 ID:KYRNhUOs0
.


タンブルウィードの転がる、日暮れかけた世界だった。
静まり返った風景だが、対峙しているふたりの男の内側はそうでもない。
ひとつのきっかけに流血を促す、一触即発の気配を滲ませていた。


( ´_ゝ`)「お前には命を賭けてもらうぜ……」


(メ'A`)「………」


互いに互いを凝視していた。怪我の具合からして既に満身創痍
に見受けられる兄者は、その割に余裕の笑みを浮かべてドクオを睨んでいる。

そうして、ドクオは兄者の様子を確認しながら、


(メ'A`)「ならひとつ、約束してもらおうか……」


( ´_ゝ`)「ん?」



(メ'A`)「その決闘で俺がお前を打ち負かしたら……そのときは……」






(メ'A`)「この村の抱えてるマーパーツ、ぜんぶ俺が戴くぞ!」


兄者は薄く笑って、


( ´_ゝ`)「いいだろう、幾らでもくれてやるさ……」


                .

606 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 20:43:37 ID:KYRNhUOs0
.

(メ'A`)「………」


その言葉で、心が逆立つのを感じた。
これは最大のピンチであるとともに、最大のチャンスでもあった。

兄者の変貌はドクオにとって、状況が好転したともいえる。
口ぶりからして、兄者は嘘をついているとも思えない。
ほんとうに兄者を打ち負かすことが”出来れば”、今までの苦労が報われる。
想像できないほどの幸せが、目の前にちらちら光っている。



しかし、それから、兄者は今までの人形めいた風貌
からは想像もつかないような、凄みのある顔になって、


( ´_ゝ`)「もし、貴様が…… 勝 て た ら な ァ ッ !!!」


(メ'A`)「ッ!」


その一言が、戦闘の合図となった。

                .

607 名も無きAAのようです :2012/12/14(金) 20:52:08 ID:VfqNRqAE0
きてたー!支援支援!

608 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 20:52:19 ID:KYRNhUOs0

途端に兄者から発された、
迸る情熱がドクオにその「始まり」を告げる。



(メ'A`)「ッ!」

先に動いたのはドクオだった。
反射神経が、すばやくドクオの筋肉を動かす。

そうして移動した先は――相対する兄者とは真横の方向。
ある建物のスイングドアに目掛けて全力で走り出した。

( ´_ゝ`)「フン」

その動きを見透かしたかのように、兄者も行動しはじめる。
いつの間にか握った拳銃で、移動するドクオのボディに照準を合せ、


一発を、

(メ゚A`)「―― うっぐ!」

    撃ち込んだ。


放たれた弾丸は、走り抜けるドクオを待ち構えていたようだった。
ドクオの胸元に銀の弾が衝突した。
防弾シャツ越しに感じる苦痛、肋骨が悲鳴を上げ、呻きが漏れそうになった。

609 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:00:03 ID:KYRNhUOs0

(メ;'A`)「……ッ!」

被弾の衝撃で身体が痺れる。足が縺れそうになった。

( ´_ゝ`)「どうした! 逃げるつもりかッ!?」

兄者は続けて、撃鉄をなんどもおろしていく。
続けて更に二発が撃たれた。直線上のドクオを射抜こうとする。
一つは脇腹に、もう一つは鳩尾を鋭く殴った。立て続けの苦痛に
ドクオは倒れかけた。が、それでも体勢を立て直して走り続ける。

(メ;'A`)「(ってえ! 機動性重視の防弾シャツじゃ、こんなもんか!)」

スイングドアに向けて足をがむしゃらに動かし続ける。そうして
防弾性について素早く考えた。この程度の防弾力なら二度続けて
同じ箇所を撃たれた場合、即座に手酷い傷を負うことになるのは違いなかった。

このシャツは、あくまで突然の狙撃による致命傷を防ぐためのものであって、
けっして戦場に単騎突撃するためのものではなかった。
なにより、いま対峙している男は、火星どころか人類史で見ても
最強レベルに位置するであろう凄腕のガンマンなのだから。
少しでも立ち止まれば、連続狙撃によって鉛玉が身体にきりきりと入り込むであろう。



(メ;'A`)「(――早く! 早く! 早く!)」


脚をとにかく働かせる。砂ばかりの地面で滑りそうになっても、
ひたすら建物を目指し続けた。走り出してからまだ5秒も経過していない。
だというのに、すでに此方には一撃死のリスクが待ち構えていた。

               .

610 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:07:46 ID:KYRNhUOs0

( ´_ゝ`)「ふん」

脱兎のごとく駆け出すドクオだったが、兄者は集中して狙おうとしなかった。
最初の三発で打ち止めにしてしまった。瞳だけはギラついて、ドクオの
進行先と身体状況を測っている。逃げ出したドクオに、いささか興ざめして
しまったのかも知れない。この状況で狙い続けるのは、決闘ではなくただの狩りになってしまう。

ドクオがスイングドアにタックルをし、強引に中に滑り込んでいった。

その入り込んだ場所はバーであった。始めて顔を合わせたあのバー。
ぼんやりとそう考えると、ドクオの姿はすでに見えなくなった。
ギイギイとスイングドアが唸って、忙しなく振り子のように動いている。


( ´_ゝ`)


兄者はそれから、ようやく歩きだした。目指す先は無論、そのバーである。
中の様子を、気配を感じ取ろうとする。あのドクオが無計画に逃げるわけはない。
必ずなんらかの反撃を仕掛けてくるに違いない。果たしてそれはどのようなものか。

( ´_ゝ`)「……殺気はあるみたいだな」

バーから立ち込める雰囲気、それは追い込まれた弱者の放つそれではなかった。
必ずや反撃をしてやるという意思が、ありありと感じ取れた。
奴はなにかを企んでいる。歩きながら、兄者はほくそ笑んだ。


――そうだ、そうこなくっちゃァな。それでこそ殺りがいがあるってもんだ。
  互いに,魂を削り合おうじゃないか。命の輝きを感じようじゃねえか!


                   .

611 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:12:54 ID:KYRNhUOs0

しかし、そんな思いとは裏腹に、唐突な痛苦が兄者の背中に走った。

血だらけの背に、いくつかの鉛玉が容赦なく衝突したのだった。

何者かに狙撃されたらしい。たちまち兄者はふらついた。


(;´_ゝ`)「っ……!」

振り向くことなく、兄者は反撃の銃弾を放った。しかしその
鉛弾は狙撃手を殺すことはなかった。すぐに物陰に隠れたらしく、
その銃弾が木の壁に突き刺さる虚しい音だけが響いた。

(;´_ゝ`)「くそ……!」

残党が未だに残っているらしい。それも二階のテラスから
標的を見つけては撃つ、兄者とは違ったタイプのガンスタイルだった。

そもそも兄者は弟者の絶対的な下僕という認識が、それぞれの
ハンターの常識に刻まれていた。となれば、火事場泥棒紛いをしている
連中にとって、兄者は邪魔な存在であり、排除する対象になっているのだ。

兄者は体勢を立て直しつつ、ドクオの居る酒場へ向かった。

吐き捨てるように、


(;´_ゝ`)「ちっ……色気もねえ弾を喰らっちまった」

(;´_ゝ`)「これもまた、人生って奴かい……」


雑魚に構う暇などない。
兄者は足取りも確かに、すすんでいった。
始めて互いに顔を合わせた、あの酒場「バイフック」へ。


                    .

612 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:18:05 ID:KYRNhUOs0

・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・


―― 裁判館 2F


(´<_` ;)


弟者は立ち止まっていた。外套を羽織り、必要な書類や生きるために
必要な高価な物資の類をアタッシュ・ケースに詰め、逃げ立つ準備を
しきったというのに、弟者はこの部屋から出られないままだった。



その理由というのは、

(´<_` ;)「……さっさと、帰ってこい……!」


絶対的な下僕、兄者が未だ帰還していない。それひとつだった。


弟者は逃走について、色々考えていたのだが、これから先の
人生において、間違いなく兄者の存在は必要不可欠になるであろう。

逃亡者として生きる上で、裏切る心配もなく、圧倒的な戦闘力を
持つ兄者の存在は、あまりにも大きいものだった。


              .

613 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:22:00 ID:KYRNhUOs0

自分一人で、なにが出来るというのだ。焦りを隠せぬ脚に、
弟者は心のなかでなんども叱咤した。権力を失った自分には、
他者をコントロールして成り上がる術など使えようもなかった。
もとより、ハンター組合に追いかけられる身では、どうすることさえできない。

兄者が必要だった。
これから先、生きる上では、必ず。


(´<_` ;)


弟者は今の無力さを自嘲していた。愚かな人間だと馬鹿にしつつ他者を
操って、こうして成り上がっていたというのに、いざ地盤が崩れたら
どうだろう。俺も何も変わらないじゃないか。
他人が居なければ、無力な人間なんだ、おれは。



(´<_` ;)「くそったれ……!」


弟者は扉を睨みつける。見慣れた扉はしかし、修羅の道へ誘う
死神に成り下がった。恐怖と利が、ハーモニーから逃げることを許さない。
まるで、鎖か何かで縛られている感覚であった。


兄者という存在に、弟者は鎖で縛り付けられた気分だった。

614 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:25:59 ID:KYRNhUOs0
.


(´<_` ;)「こんなところで、俺は終われないんだ……ッ!」



(´<_` ;)「なんでもいいっ……ハーモニーなぞどうでもいい!
       兄者ッ! 早く帰ってきてくれ……お前が居なきゃ……!」



先刻の己の判断ミスを呪いながら、扉を睨みつけながら、
恐怖から目を逸らすように、弟者は力強く心境を吐露した。


それから窓の方へ向かい、防弾ガラスの冷たさを掌で
感じながら、荒涼とした広場を見下ろした。笑えるほどに夢の跡。


                 ,

615 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:28:37 ID:KYRNhUOs0


(´<_` )「………?」


ふと気になった、とある建物を注視する。


見知ったその酒場、「バイフック」のスイングドアを
押そうとしている、見知った後ろ姿のその男。シャツがずたずたに
裂けてい、さらに溢れ出た血がべっとりと汚れを覆っている。
だが、紛れもなく、それは実の兄の背であった。


( ´_ゝ`)



(´<_` ;)「兄者ッ!!」


声は無論届かない。だが、弟者の視線は兄者に釘付けだった。

だが、次の瞬間、


(´<_` ;)「!?」


強烈な閃光が、バイフックの扉から物凄い勢いで放たれた。
そして兄者がその光、火炎、エネルギーに巻き込まれ、
後ろへ吹き飛ばされる。爆発だ。弟者はそれを手榴弾と直感した。

何者かと戦闘をしている。そして、
この戦いが終わらぬ限り、兄者は帰ってこない。


(´<_` ;)「……兄者……」

             .

616 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:35:15 ID:KYRNhUOs0

―― バイフック。入口手前。


(;´_ゝ`)「――ぬぅうううッ!!」


スイングドアを吹き飛ばすほどの爆炎が、兄者に襲いかかってきた。
またも手榴弾だった。咄嗟の才覚で受身を取り、更に脚が地に着いた
と同時に、無理やり方向転換をする。ドア前で放たれた爆発ゆえ、その
扉の延長線を避けさえすれば、最悪の事態は免れられる。

ふたたび味わった凶悪な熱風だったが、回避は以前のものよりは容易だった。
ダメージは受けているものの、いまだ兄者の戦意を削ぐに至っていない。

(;´_ゝ`)「くっ……!」

よろりと立ち上がって、バイフックの焦げ付いた店先を睨みながら、

(;´_ゝ`)「どれだけ手榴弾に愛されてんだか……」

息を整えつつ、器用に片手で銃をリロードした。


同時に脳内では、情報の整理をする。阿部に二回使われ、そして
たった今受けたこの手榴弾は全て同型のものだった。抗争に
明け暮れた兄者にとっては珍しい「サターン」と呼ばれるタイプだ。

617 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:40:50 ID:KYRNhUOs0

「サターン」が既存の手榴弾と決定的な違いは、爆発の形状が
一番大きい。サターンの爆発は、さながら土星のリングのように
炎の円盤が一気に広がっていく。そのエネルギーは地面を抉ることはないし、
天井を焼き尽くすこともない。高低差さえ見極めれば、
使用者はほんの至近距離でも巻き込まれずに済む。

また、通常のタイプに比べると殺傷力は低い。
主に牽制に使われるもので、大量死を望まないドクオの考えに
よって発注されたのだ。しかし、これによって、


( ´_ゝ`)「(貴様の位置、ある程度検討がついたぜドクオ……!)」


兄者は再び、バイフックの店先に立った。
それから躊躇なくその店内に入っていく。
硝煙は薄くなっているため、視界に不自由はない。


酒場「バイフック」は、不気味なほど薄暗かった。
今、兄者の立っているその位置が大体の爆心地であるらしい。
周囲の丸机は奥の方へ飛ばされ、あちこちに横たわっている。
そしてそのどれもが、死角を作っている。

奥にはカウンターバー、ガラスに守られた酒棚。
といっても酒棚は荒れに荒らされ、高価なボトルは盗まれているし、
空き瓶はそこらじゅうに散らばっている。

そしてバーの途切れたさきに、

( ´_ゝ`)「(………)」

二階へと続く、木造の階段があった。

618 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:43:59 ID:KYRNhUOs0

兄者は確かな足取りで階段へ向かっていった。自身の存在を
示すかのような歩き方だった。一歩々々、床を踏むたびに
ミシミシと木材の軋む音が鳴った。


( ´_ゝ`)


熱意が、静まりきったバイフックの店内に溢れているのを感じる。
阿部のドス黒い殺意とはまた違った、計算され尽くしたような
冷静さが顕著だった。しかしそれは、青い炎のように、静かながらも
確かな「殺意」が根底で息づいている。

( ´_ゝ`)「(……この緊張感、久しぶりだな。シアトル以来だ)」


未だ眼前に、ドクオは現れていない。
階段までもう少しのところだった。
歩くたび、ドクオを打ち抜きたくて左腕がウズウズと興奮した。
指がクモの手足のようにせわしなく蠢いた。

緊張感と高揚感が脳一杯に広がっていった。

619 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:45:19 ID:KYRNhUOs0


張り詰めた店内を、兄者は鷹揚に歩き続ける。
身体の隅々にまで行き渡る闘志と共に歩き続ける。


( ´_ゝ`)


もうすこしで階段、という辺りまでやって来た。
空気に混じった殺気が一段と濃くなっている。
背中の流血のためか、ときおり貧血めいて力が抜けていきそうに
なるが、その波さえ去ればまた闘志が身体の隅々に行き渡っていく。




( ´_ゝ`)


一歩、右脚を前に出して、それから、
身体の重心を前方に移す、そのときであった。



――兄者の左腕が素早く動いた。
ホルスターから黒光りする銃が抜き取られ、もう構えられた。

                   .

620 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:46:32 ID:KYRNhUOs0
.



( ´_ゝ`)「ッ―――!」



(メ'A`)「―――ッ!」


二人は互いに互いを視認した。構えられた二つの銃でさえ、
持ち主と同じように対峙してい、そうして、ほとんど同じタイミングで

トリガーを引いた。痺れるような
振動が、銃身から腕、身体全体に伝わっていく。


発射した弾丸ふたつは、極めて短い時間にすれ違ったかと思うと、
まっすぐ標的に向かっていった。ドクオの弾丸は兄者にめり込んだ。
兄者の弾丸はドクオにめり込んだ。


(;'A`)「ぐッ!」

(;´_ゝ`)「……ッ!」



威力こそ同じだが、手負いの兄者の方がダメージが大きかった。

621 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:51:41 ID:KYRNhUOs0

両者ともに弾丸を胸元に食らい、怯んだが、
さきに行動できたのはドクオの方であった。

(メ'A`)「!」

身軽に体勢を立て直すと、グリップを握ったままで
兄者の傍へ駆け出していく。立ち上がったものの、
未だ反撃の様子を見せない兄者のもとへ。


(;´_ゝ`)

兄者の思考が、末端の神経一本々々が、不動の筋肉に
反して暴走したように騒いでいる。向かってくるドクオを視認する、
鉛玉を撃ち込むプランが、刹那のタイミングで浮かんでは修正されていく、
というのに、身体が言うことをきかない、多量の流血に加えて、
複数回も攻撃を受けた経緯が、この瞬間に現れてきたらしい。


(;´_ゝ`)「(くっ……! 動けッ…休むな、俺の身体――!)」


ドクオを睨みつけながら、命令をしているが、思う通りに動けない。
敵はいつの間にか銃をホルスターに仕舞い、隠し持っていたらしき
キッチンナイフを右手に構えている。その刃は銀いろに加えて
ぬらぬらと不気味な光沢を放っている。もう、時間がない、


(;´_ゝ゚)「(――ぬゥウ!!)」



左手に全神経を集中させた、グリップの硬さを再確認する、

と、同時に撃鉄をすばやくおろして、トリガーに掛かった指を動かす。

622 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:54:01 ID:KYRNhUOs0
.

銃声が一回だけ、また響いた。



  (;;'A`)「――ううッ!」


鉛玉がドクオを確かに抉った。たちまちドクオの表情が
苦悶に歪んで、脚の動きも僅かながら緩んだ。兄者が狙った
ドクオの部位は、ナイフを握る右手、それも力の集中する
手首であった。が、

(;´_ゝ`)「………ッ!?」

ドクオの右手には未だナイフがあった。その理由は、ドクオの
体勢を見れば明白であった。ドクオはとっさの才覚で兄者が
発砲する、それもナイフを吹き飛ばす魂胆を見抜き、ばかりか
左腕でナイフごと右手を庇ったのだった。故に、狙撃された
部位は右手首ではなく、左手の甲。撃たれた衝撃で、刃先に
触れてしまいそうだったが、それもなんとか持ちこたえた、



今となっては、もう、刃の射程距離にまで到達したのだった。


(メ'A`)「(今だッ!)」


クラウチングスタートめいて体勢を前かがみにすると、ドクオは
ナイフのグリップを一層ちからづよく握り締めた。ステンレス製の
刃がきらりと光る。しかし、兄者にしてみれば、先刻の攻防で
重要性、危険性を察知したドクオのそのキッチンナイフを放って
おけるわけもなかった。といっても、左手に鞭打って再び
狙撃するには時間がなさ過ぎた。攻撃の姿勢をしたドクオは一歩踏み込んで、
いままさにナイフをまっすぐ兄者向けて突き出したのだから。

(;´_ゝ`)「ッ!」

              

.

623 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:56:09 ID:KYRNhUOs0


兄者のとった行動は、刃が来る間際に横へ崩折れるというものだった。
身体がぐらりと傾いで、視界が90°変わっていく。

ひゅん、と風を切る音が兄者のすぐ傍で聞こえた。それは
無論のこと、空振りに終わったドクオの渾身の攻撃だった。

ドクオは、追撃するには時間を要した。全体重を込めた
突きの一撃、しかしその空振りによって、体勢が崩れてしまった。
それは倒れ込んだ兄者も同様だったが、すんでのところで回避したアドバンテージ、
若干の時間差優位に立っていた。倒れた衝撃を活かして身体を
一回転し、膝立ちをする。視界に映るのは、身体のバランスを
失った、無防備なドクオの横姿だった。


( ´_ゝ`)「(……今だ)」
(メ'A`)「!?」

反撃のチャンスはこの瞬間だと悟った。――いつものように、
素早く冷静に銃を構えると、ドクオの無防備な脇腹を撃った。


乾いた銃声が、二発、ふたたび響いた。
それに呼応してドクオの短い叫び声が、店内に響いた。……


 
・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・

624 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 21:58:24 ID:KYRNhUOs0


―― ハーモニー 大通り


(;`・ω・´)「………!?」


入り組んだ裏道を抜け、大通りを出てすこし歩いた先のことだった。
異様な光景――木箱やダンボールが滅茶苦茶に乱雑している――が
まず目に飛び込んできて、それから、見知った二人の顔を視認した。


(;`・ω・´)「阿部さん! エノーラ!」


いかにもそれはノーナンバーズの二人だった。生死不明で
ぐったりした状態の阿部を、エノーラが必死に呼びかけている
その光景に、シャキンはいち早く駆けつける。傍のヘルメットを
蹴り飛ばす勢いで、動かない阿部に抱きついて、

(;`・ω・´)「あ、阿部さんッ!!!!!!!!!」

返事はなかった。シャキンは唾を撒き散らしながら、

(;`・ω・´)「エノーラ!! どういうことだよ!?」

||‘‐‘;||レ「わからないよッ! 私が来たときには、もう……!」


シャキンは再び、阿部の容態を確認した。頑丈なはずの防護シャツ
を重ね着しているが、そのどれもが焦げて黒ずんでいる。更に
注意して見てみると、いたるところに銃痕と滲んだ血があった。
額が切れてい、流血した痕が残っている。脈は確認できるため、
死んでいはいないだろうが、重体には違いなかった。

625 ラスト投下 ◆tOPTGOuTpU :2012/12/14(金) 22:00:33 ID:KYRNhUOs0


(;`・ω・´)「これはひどい」

||‘‐‘;||レ「動かした方がいいのかな……ここにいたら危ないし」

(;`・ω・´)「……や、首が骨折してたら危ない……。ぼくが
        ……ここは……」

言葉はしかし、そこで途切れた。

砂を踏む、何者かの足音を聞いたからであった。



||‘‐‘;||レ「ひっ……」

エノーラが小さく怯えた。ゆっくりとシャキンは振り返る。
そこには、残党らしきハンターが一人、下卑た笑いを浮かべて立っていた。

||‘‐‘;||レ「……なにか、用ですか」

あまりに無意味な問いかけだった。当たり前のように
その襲来者は返答をせず、変わらず目の前の獲物を眺めている。

(;`・ω・´)「っ………」


いままでの経験上から断言できた。
このハンターの要求、望みなど聞かなくてもわかる。


「金を寄越せ」「そして死ね」だ。



                     .

626 名も無きAAのようです :2012/12/14(金) 22:02:26 ID:KYRNhUOs0
今日はここまで。眠さが限界ですので。よい夜を。

627 名も無きAAのようです :2012/12/14(金) 22:04:05 ID:k8K5I4t.0
おつー
ハラハラするぜ、また次を楽しみにしてる

628 名も無きAAのようです :2012/12/14(金) 22:14:50 ID:sNISGESg0
おつ

629 名も無きAAのようです :2012/12/15(土) 00:22:16 ID:xh61z38Y0
乙!しびれるぜ

630 名も無きAAのようです :2012/12/15(土) 19:52:40 ID:gkOzk75s0


631 名も無きAAのようです :2012/12/15(土) 22:40:32 ID:S0gEu/gs0
おつ

632 名も無きAAのようです :2012/12/31(月) 09:41:01 ID:Vu796Qi6O
脇役ハンターが輝いてるな

633 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 18:18:27 ID:j2823KTo0


―― ハーモニー 大通り


(;`・ω・´)「………!?」


入り組んだ裏道を抜け、大通りを出てすこし歩いた先のことだった。
異様な光景――木箱やダンボールが滅茶苦茶に乱雑している――が
まず目に飛び込んできて、それから、見知った二人の顔を視認した。


(;`・ω・´)「阿部さん! エノーラ!」


いかにもそれはノーナンバーズの二人だった。生死不明で
ぐったりした状態の阿部を、エノーラが必死に呼びかけている
その光景に、シャキンはいち早く駆けつける。傍のヘルメットを
蹴り飛ばす勢いで、動かない阿部に抱きついて、

(;`・ω・´)「あ、阿部さんッ!!!!!!!!!」

返事はなかった。シャキンは唾を撒き散らしながら、

(;`・ω・´)「エノーラ!! どういうことだよ!?」

||‘‐‘;||レ「わからないよッ! 私が来たときには、もう……!」


シャキンは再び、阿部の容態を確認した。頑丈なはずの防護シャツ
を重ね着しているが、そのどれもが焦げて黒ずんでいる。更に
注意して見てみると、いたるところに銃痕と滲んだ血があった。
額が切れてい、流血した痕が残っている。脈は確認できるため、
死んでいはいないだろうが、重体には違いなかった。

634 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 18:20:19 ID:j2823KTo0


(;`・ω・´)「これはひどい」

||‘‐‘;||レ「動かした方がいいのかな……ここにいたら危ないし」

(;`・ω・´)「……や、首が骨折してたら危ない……。ぼくが
        ……ここは……」

言葉はしかし、そこで途切れた。

砂を踏む、何者かの足音を聞いたからであった。

||‘‐‘;||レ「ひっ……」

エノーラが小さく怯えた。ゆっくりとシャキンは振り返る。
そこには、残党らしきハンターが一人、下卑た笑いを浮かべて立っていた。

||‘‐‘;||レ「……なにか、用ですか」

あまりに無意味な問いかけだった。当たり前のように
その襲来者は返答をせず、変わらず目の前の獲物を眺めている。

(;`・ω・´)「っ………」



このハンターの要求、望みなど聞かなくてもわかる。


「金を寄越せ」「そして死ね」だ。



                     .

635 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 18:22:19 ID:j2823KTo0
.


(;` ω ´)「………」


心の中で、シャキンはなんどもなんども毒づいた。
恩人の阿部が瀕死の状態で、友人の女性は怯えている。
この状況、覆しようのない絶体絶命。自分は何をすべきなのか。

戦闘の二文字が頭に過ぎっただけで、ふくらはぎの傷が
またも痛んで、心が竦んだ。しかしどうやって切り抜ければ、
自分がしないといけないのに、助けなくちゃいけない人が、いるのに。


(;` ω ´)「……なんで……」

ふと、目を地面に落とすと、その合間に武器を発見した。
それは紛れもない、兄者がエノーラに託したリボルバーだった。
エノーラの腰で頼りなく揺れるホルスターのなかで、ぎらりと黒光りした。


(;` ω ´)「............」



―― なんだよ、なんでなんだよ。絶対に来て欲しくない
   タイミングでお前は来ちまうんだ。このときだけは、
   阿部さんを安全な場所に移す、この時間だけは、邪魔されたくないのに。


                .

636 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 18:27:16 ID:j2823KTo0


(;` ω ´)「――ふざ、けんなよ……」


シャキンはやおら立ち上がった。素早くエノーラの持つ
拳銃を抜き取ると、険しい表情に変化したそのハンターに向かって、


実弾を放った。それも、顧みない乱射をしながら、



( `;ω;´)「ふざけんなよッ! こっちは必死なんだよッ!!
         阿部さんを助けなくちゃいけない!
         ハーモニーを取り返さなくちゃいけない!!!」


その射撃に対応して撃ち返してくるハンター。
鉛玉がお互いの身体をえぐっていく。


||‘‐‘;||レ「シャキン!」

( `;ω;´)「必死なんだよッ!! 生きるのにも、
         助けるにも必死で頑張ってるんだッ!!
         それを、お前らがッ……へらへら笑って
         いろいろ奪ってくお前らがっ……!!!

         ふざけるなよ!! ふざけるなァアアッ!!!!!」



青年の慟哭は、相対したその男が絶命するまで続いた。
そしてそれでもなお、彼は涙をながし続けたのだった。……


・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・


                    .

637 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 18:30:53 ID:j2823KTo0
.

―― バイフック 戦場と化した酒場


火薬と血との臭いが、狭くも広くもない木造りの酒場を満たしている。
二人の男が相対し、相手の死角に隠れようとする靴の擦れる音、
それと荒い吐息が、狭くも広くもないバイフックで絶え間なく響いた。


( ´_ゝ`)
(メ'A`)


先程と違うのは、銃を多用しなくなったことであった。
この袋小路のようなバイフックでは、リロードの時間さえ惜しく、
時間がたつにつれて銃弾の重要性が増していった。

(;'A`)
( ´_ゝ`)

更に言えば、体力が残っていたドクオがダメージを負ったことにより、
動きの速さが互いに等しくなってしまったのである。

ドクオは兄者の姿を視認すると、素早く横倒れの丸テーブルの裏に身を隠す。
兄者はゆっくりと近づいて、そのドクオの隠れた壁を凝視する。


(;'A`)「(この状況はまずいぜ……)」

           .

638 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 18:34:02 ID:j2823KTo0

兄者の立てる足音に耳をそばたてながら、

(;'A`)「(
俺が兄者に優っていた唯一の、決定的なアドバンテージ……
     体力が削られていく、この状況は非常に不味い……。

     兄者自身も確実に体力を消耗しているが、人間の体力は
     ある程度下回ると反応速度やらが著しく下がる……。そこに、
     同じ土俵に引き込まれたら、俺に勝ち目はないッ!!)」

息を整えようとするも、鼓動は早まるばかりだった。

(;'A`)「(時間を与えれば、兄者の体力もちょっぴりだが回復しちまう。
     現に兄者はさっきより機敏になりつつある。……くそ、あの一撃を
     ミスったのはキツすぎる。あそこからズルズルとこんな展開にさせられちまった)」

ドクオは汗塗れの掌を、壁にしている丸テーブルの支柱で拭いた。



(;'A`)「(だが、こっちにもまだナイフは残っている。……それに、
     今ならまだ! 兄者のスピードを上回っているッ!!)」

( ´_ゝ`)


                 .

639 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 18:37:25 ID:j2823KTo0
.

( ´_ゝ`)「(流れはこっちに傾いている……)」

兄者は驚くほど落ち着いていた。流血も
止まり、傷跡から響く痛苦もゆるやかに収まってきている。

ドクオの隠れた丸テーブルを見やった。影から、ドクオの焦りが
吹き出ているのを感じる。だらしなく倒れたテーブルは、
ほんのすこしの衝撃でころころと独楽のように動きそうだった。

( ´_ゝ`)「ふっ」

ならば、その壁を撃ってやればいい。貫通はしないだろうが、
銃撃の弾みでテーブルの影からドクオの身体は剥き出すであろう。

ついでにリロードをしてから、兄者は実行するつもりだった。
しかし、弾を詰めようとしたその瞬間だった――


( ´_ゝ`)「ッ!?」


状況が変わった。そのテーブルの影から、たちまち殺気が漏れ始めた。
隙をついてやろうと油断した瞬間に、ドクオが反撃の意思を見せた。


――丸テーブルが浮上し始めた。ドクオが死角を維持しつつ、
いかにもそれを持ち上げたのだった。壁から盾に変わった瞬間だった。

640 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 18:44:08 ID:j2823KTo0


(#'A`)「(……ぅらぁあああ!!!)」


ドクオはテーブルの支柱を両手に持ちながら、兄者の
いる方向に向かって突撃をした。兄者がリロードをしだした
その間隙を突いた。装填状態から撃つことはできない――


(;´_ゝ`)「ちぃっ!」

兄者は反撃しようにも、両手が塞がっている。蹴りは
隙が大きいうえにその場凌ぎにしかならない。避けるしかない、
しかし、駆け出そうとしたその一刻に、


(;´_ゝ`)「ぐぉ!!」


物凄い勢いで丸テーブルの平面が、兄者の前身と衝突をした。
そのまま兄者の身体は壁に叩きつけられ、更にその状態で、
テーブルがふたたび圧迫を加えていった。

(#'A`)「おらあ!!」
(;´_ゝ`)「っ!!!」

激突のせいで、兄者の手元から銃弾がこぼれ落ちた。

                .

641 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 18:47:51 ID:j2823KTo0

ぎり、ぎり、と音がする。

(;´_ゝ`)「っ………!」
(#'A`)「ッ………!!」

ドクオは圧迫の力を緩めず、体重を乗せてますます強めていく。
兄者は状態が状態だけに身動きも取れず、体力をじりじり奪われていく。
これでは落とした弾を拾うことも出来ない。それどころか、
圧迫されたせいで、塞がりかけた背中の傷が再び痛みはじめた。


ぎり、ぎり、ぎり、ぎり、、、


(;´_ゝ`)
(#'A`)

充分な力を加えてから、唐突にドクオはテーブルを引っ込めた。
兄者が、ほんのわずかに解放される。たまらずふらつく兄者だったが、

(;´_ゝ`)!

驚異は再びやってきた。ドクオは、今度はテーブルをさながら
野球のバットのように振り回してきたのだった。丸テーブルの側面が、
兄者に向かって、物凄いスピードで向かっていった。そして、



(; _ゝ )「――!!」

鈍い音がした。そのまま、兄者と激突し、兄者はもろに衝撃を受けた。
受身も取れないまま、兄者は倒れて床を転がった。
しかし拳銃だけはしっかりと握り締め、庇うように両手で守っていた。
 
                 .

642 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 18:51:25 ID:j2823KTo0


(メ'A`)「―――」

丸テーブルを放り投げ、ドクオは駆けた。駆けた先は
無論のこと兄者の元だった。ドクオの手元には再び、
怪しく光るキッチンナイフが握られていた。

そしてその刃先は、兄者の太腿に突き立てられようとした。
防弾加工されたジーンズに守られた太腿、それでも
戦闘で破れた箇所を狙って、鋭い刃が突っ込んでいく。


そして、

(;´_ゝ`)「っぐ!」

熱を帯びた激痛が、兄者の左太腿に走った。筋肉をずたずたに
引き裂いて、血管を貫いていくドクオのナイフ。


(;´_ゝ`)「くぅ……!」

だが、勢いをつけてナイフを突き付けたために、ドクオの
モーションはわずかに止まった。兄者はほんの少し体勢を変えると、
銃口をドクオに向けた。

(メ'A`)「!」

そして発射する。ドクオの胸元に鉛玉が乱暴にぶつかった。

643 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 18:53:41 ID:j2823KTo0

(;'A`)「ァアッ!」

衝撃で後ろへ倒れそうになった。肋骨にヒビのはいる感覚。
予想していなかった反撃故に、受けたダメージも大きかった。

しかし、すんでのところで体勢を立て直した。
それから素早く兄者を見やった。
兄者は起き上がろうとしている。が、


(;'A`)「………(これでいい)」


ドクオは後ろ足でスイングドアまで移動していった。
そうして、バイフックから立ち去ったのであった。


・・ ・・
・・ ・・・


                .

644 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 18:58:56 ID:j2823KTo0


(;´_ゝ`)「……はぁ……はぁ……」

兄者の身体に異変が起きたのは、それから間もなくのことであった。
応急処置で左太腿を止血してから直ぐのことだった。

立ち上がることが困難になった。たとえそれに成功しても、
歩こうと足を踏み出せば、また転びそうになるのだ。

身体が妙に火照った。動悸が更に激しくなった。
頭痛が起きてきた。倦怠感と、気持ち悪さが身体を襲った。

(;´_ゝ`)「これは……アル、、、コールか……!」

床に転がったそのキッチンナイフから、血の臭いに混じって
きついアルコール臭がプンと漂った。蒸発しきっていない、その純粋な臭い。

(;´_ゝ`)「……ド、クオ、め……」

ドクオのナイフには、度数のきついスピリタスが塗られていた。
蒸発すれば、隙をついてふたたび垂らし、何度も何度も機会を伺った。
直接アルコールを注入してやるために、

一突きで兄者の身体を戦闘不能にするために。


             .

645 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:03:30 ID:j2823KTo0

(;´_ゝ`)「うう……!」

よろけながらも、しかし兄者はドクオの後を追おうとした。
スイングドアに手をかけ、ふらふらのまま外に出た。

夕焼けに染まった廃墟のハーモニーが目に飛び込んできた。
ハットを被っていても分かる、強烈なその日光。

一歩進むだけでも苦痛だった。アルコールによる身体の不調が、
傷つけられた筋肉が、傷跡に響く痛みが、襲いかかってくる。
太腿につけられた深い傷は、兄者の歩行をさらに困難にさせた。

しかし、体力もとっくに限界を超えていた。ほんの
一秒でも休んでしまえば、兄者の身体は倒れ、そのまま動けなくなる。
絶対的な予感が兄者にはあり、またそれだけは避けようとしていた。

痛みの中、進んでいくしかなかった。
死が、着実と兄者に忍び寄っていく。


(#´_ゝ`)「(上等じゃねえかァっ……!
       流れ星は、燃え尽きるまで進み続けるッ……)」



                 .

646 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:08:07 ID:j2823KTo0

真っ赤に染まったハーモニーでは、夕焼けが多くの影を伸ばしている。
ただでさえ朦朧としてきた兄者にとって、ドクオを捜すなど
無謀きわまりないものだった。


(;´_ゝ`)「……どこ、だ……ドクオ……どこに、いやがる……」


広場の中央で、ふらつきながらも兄者は動いていた。

ドクオを捜すために。人生に花添えるために、

ドクオとの死闘を望んでいた。



(;´_ゝ`)「で、出て……こいッ……」


(; _ゝ )「………俺と……戦えェ……!」



砂を擦る兄者の足からは、血が垂れていく。しかしその血がすぐに
見えなくなってしまうほど、太陽は真っ赤に広場を照らしている。……


                     
              .

647 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:11:50 ID:j2823KTo0

(メ'A`)「(……兄者が、来ている)」

建物の影に隠れながら、ドクオは広場で呻く兄者を観察していた。
やはり逆光のせいでよく見えないが、動きからして、
満身創痍なのは確かだった。今にも膝から崩れそうな様子だった。

(メ'A`)「(……堅実に行かせてもらうぜ、俺はよ)」

銃を構えながら、ドクオは息を潜めた。
兄者の声は届かない。射程距離に入ったら、攻撃を開始する――



(メ'A`)「!?」



――つもりだった。


しかし、いきなり予想外の展開が起こった。……



                 死角からの、狙撃。

                   .

648 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:14:23 ID:j2823KTo0


―― 裁判館 2F


(´<_` )「お、おい……!」


(´<_`;)「兄者ッ!!」

窓の外に広がる光景。紅く染まった大地に立ち尽くしていた
兄者が、突然、背後から何者かに狙撃されたらしく、ばたりと倒れた。

死角からの狙撃。弟者は冷や汗を垂らして驚いた。

ガラスに顔をつけながら、弟者は兄者の様子を伺った。
しかし兄者はひくひくと痙攣したまま、立ち上がろうとしない。


(´<_`;)「く……!」

兄者から目線を外し、狙撃犯を探す。すると、近くの建物の
バルコニーに居るのを容易に発見した。犯人は見知った部下の
一人だったが、彼はヘッドショットを食らったようで、既に事切れていた。


信じられないことだが、兄者は倒れる間際に反撃を完了していたらしい。
そんな実の兄を、弟者は再び注視しはじめた。


                     .

649 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:18:33 ID:j2823KTo0
.

(´<_`;)「………」


兄者は、必死に立ち上がろうとしている。
両手で砂を掴みながら、起きようとしている。
しかし、足に力が入らないようで、なかなか上手くいかないようだ。

遠くから観察しても、兄者が死に直面しているのは容易に察せられた。
弟者は、胸のうちでこみ上げてくる不思議な感情に動揺しつつも、
兄者が起き上がるのを必死に見守っていた。

(´<_`;)「……死ぬというのか、、、兄者よ……」

そう呟くと、たちまち脳裏に今までの思い出が蘇ってきた。


物心つかないうちから、生きるために互いを支え合っていた少年時代。
パイク・プレース・マーケットで、隠れながら共に食料を求め合ったときを。
マフィアの下っ端をしながら、経済状況を支えてくれた兄者。
大学に進学できないと涙を流したら、「俺がなんとかする」と言ってくれた兄者。
そうして必死にアルバイトをした兄者。それでも、入学費には届かず、
申し訳なさそうに項垂れてた兄者。悪の道に入ることに賛同してくれた兄者。
死に怯えることなく、最強の切り込み隊長として活躍した兄者。
そうして、人形のように振る舞いつつも、俺の手として護衛として徹した、おれの、あに。


(´<_` )「………」


             .

650 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:20:40 ID:j2823KTo0
.




(´<_` )「くそ……!」


今すぐにでも駆け寄りたいが、それが出来ない自分が惨めだった。
この部屋から出ようとするだけで、恐怖で胸がいっぱいになる。
築き上げてきた権力の崩壊を、認めてしまうことになってしまう。


帰ってこい、兄者。


(´<_`;)「死なないでくれ………!」



                        
・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
             .

651 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:25:27 ID:j2823KTo0
.

(  _ゝ )



(メ'A`)「………」

ドクオもこの状況を、ただ見守ることしか出来なかった。
頭の中では、これが最高の攻撃の機会ということは理解できている。
しかしそれを、ドクオの矜持が否定をした。この機に乗じて
追撃することは、プライドが許さない。かといって、
救出も理の外にありすぎて、結局ドクオはアクションを起こせないでいた。


(メ'A`)「(倒れる間際にヘッドショットを成功させるなんて、あの男、
     まじで常識外に生きてやがる……。奴に銃がある以上、
     真正面から行くことも出来ねえが、どうするべきか)」


そのまま、何分か過ぎ去った。兄者は起き上がろう
としては失敗を繰り返し、戦闘態勢を取れないままであった。
目を背けたくなるほどの、哀れな様子で這っている。

(メ'A`)「(……これで、終わりなのか……?)」


客観的に
見ても、兄者の容態は戦闘不能扱いされるものであった。
多量の出血、疲労、無数の深い傷、身体を混乱させるアルコール。

だが――


                .

652 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:27:17 ID:j2823KTo0
.


(; _ゝ )「くぅ……!」


広場の中央で、俯せに倒れている。
起きようと砂を掴んでも、筋肉が言うことをきかない。
すぐに力が抜けてしまい、また地面に衝突をする。

身体が、地面にへばりついているかのようだった。
血と砂に塗れた兄者の吐息には、時折、咳が混じった。


(; _ゝ )「………!」


―― ここで、死ぬっていうのか……?
   あんな安っぽい弾を食らっただけで、
    俺の命はここで尽きちまうってのか……?


(; _ゝ )「(命なんざ、惜しく ね ェ ……!)」


(; _ゝ )「(問題は、死に様って奴だ……!)」


               .

653 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:30:34 ID:j2823KTo0

―― 自分の人生はどうしようもない糞なことなんて、ガキの頃から知っていた。

―― 明日も無けりゃ夢もねえ、希望なんてとうの昔に捨てちまった。

―― だからこそ、弟者の示したこの悪の道……覚悟と命だけの世界が、

―― 命を、魂を納得出来るほどに、散らしてくれる暴力の世界が、

―― とても、とても眩しくて……この世界で輝こうと誓った。


(; _ゝ )「(明日なんかいらねえッ……未来がどうなろうと知らん!
        今、この一瞬だけだ……俺が望むのはこの一瞬だけ。
        負け犬が唯一輝ける、流星のように燃え尽きる、

        決闘が!! ドクオとの決着が!! 俺の望みッ!!!)」


再び、手に力を込めて、立ち上がろうとする。

               .

654 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:35:14 ID:j2823KTo0
.

ありったけの力を込め、足に力を込め、身体を震わせ、



―― そうだ、俺は、俺は俺の魂を、

(; _ゝ )「――全うさせるためにぃいいッ!!!!」

(メ'A`)「!?」



兄者は立ち上がった。
そうして、慟哭のように、



(#´_ゝ`)「出てこいドクオォオオオオッ!!!」


喉が避けるほどに絶叫する。決闘だ、それだけが望み。
そのためなら銃など要らぬと、それを投げ捨てて、


(#´_ゝ`)「つまらねえじゃねえかよぉおおッッ!!!!」




                   .

655 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:40:39 ID:j2823KTo0
.


(メ'A`)「………!」


物陰から、叫んでいる兄者を眺めていた。
兄者は銃を捨ててまで、ドクオとの決着を望んでいる。


(メ'A`)「(正気じゃあないぜ、この男……! そこまでして、
     戦いを望むっていうのか!?)」


ドクオの
足が一歩、前へ出る。


(;'A`)「(俺は戦闘狂でも何でもねえ、単なる学者だぜ!
     夢のためなら命を賭けても、決闘のためには死ねねえ!
     戦いに対する誇りなんざ、お前と違ってこれっぽっちも――!)」



そして、もう一歩、


               .

656 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:45:46 ID:j2823KTo0
.




( ´_ゝ`)「………」


( ´_ゝ`)「ククク……」



(;'A`)「………!」


ドクオは更に二三歩動いて、兄者の眼前に、完全に姿を現した。



(メ'A`)「(だが、だが、この男は"納得ずく"で倒すしかねぇ……!)」


( ´_ゝ`)

(メ'A`)「(この俺がだ!!)」




           .

657 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:48:13 ID:j2823KTo0

血と泥に塗れた兄者は、ほのかに笑顔を見せながら、


( ´_ゝ`)「おいでなすったかい」


(メ'A`)「……パスワードのためさ。わざわざ出てきてやったぜ。

    理屈もいらねえ、理論も知らん。ただ、心の底から、

    信念って奴で、お前を倒してやるよ……アレン・ジャーブロ!!」

ドクオも、ホルスターごと銃を投げ捨て、ゆっくり兄者に近づいた。


( ´_ゝ`)「………!」


( ´_ゝ`)「なら、決着のときだな……!」


                 .

658 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:49:58 ID:j2823KTo0

・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・


(´<_` )「兄者……」



血と泥に塗れながらも、兄者は絶叫をしながら立ち上がった。
そうしてやって来たドクオ。一騎打ちは目前だった。


どうしてそこまで戦えるんだ。
そんな言葉は無粋もいいところなのだろう。


保身も未来も捨てた兄者の心意気は、情熱は、
もう弟者には眩しいものだった。懐かしささえ感じさせる、そんな。



               .

659 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:53:09 ID:j2823KTo0
.


(´<_` )「………」

(´<_`;)「は、ははは……」




兄者を見続ける。

おれは決着がつくまで、ずっと見ることになるだろう。

兄の勇姿を、最後の晴れ舞台を。




(´<_` )


(´<_` )「流石だな、兄者……」



・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・
               .

660 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/20(日) 19:54:35 ID:j2823KTo0
.









―― ハーモニー 中央広場








                          .

661 名も無きAAのようです :2013/01/20(日) 20:00:56 ID:76bVaZkk0
乙!明日も投下とは!嬉しいでござんす!

662 名も無きAAのようです :2013/01/21(月) 00:08:58 ID:Eyy.D00g0
乙!熱いぜ!
兄者流石すぎる……!!

663 名も無きAAのようです :2013/01/21(月) 09:56:43 ID:N8QZpaZ20
おつ
なんかウルッときちゃったよ

664 名も無きAAのようです :2013/01/21(月) 16:35:20 ID:NUezLvvQ0
兄者マジで男前だわ…どうなるか楽しみ
乙乙!

665 名も無きAAのようです :2013/01/21(月) 22:01:20 ID:Eyy.D00g0
ついに決着か……!?

666 リプライズ投下 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 15:42:06 ID:s37uEuCU0
.









. ―― ハーモニー 中央広場








                          .

667 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 15:44:02 ID:s37uEuCU0
.



その空間にて。ひと呼吸おいてから、


( ´_ゝ`)

(メ'A`)「――忠告だけしよう。これ以上、無理したら間違いなく死ぬぜ?」

ドクオは、諭すような口調で兄者に向かって、

( ´_ゝ`)「………」

(メ'A`)「多量の出血、極度の疲労、どうして今立ってんのか不思議なほどだ。
    ……それを"覚悟"というなら、俺はもう何も言わん。だが……」



血染めの兄者は、しかし愉快そうに、


( ´_ゝ`)「"明日どうなろうと、どうでもいい"……さ」

(メ'A`)「………?」

夕焼けのハーモニーで、二人の男が対峙している。


( ´_ゝ`)「俺にとっちゃあ、未来なんてとうに捨てたゴミに過ぎん。
       今この一瞬だけを、死ぬ気で生き抜く。死に様が、そのまま生き様さ。
       ……あるいは、俺はシアトル時代の過去の亡霊なんだろう」

668 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 15:48:01 ID:s37uEuCU0
.



ドクオを見据えつつも、どこか遠くを眺める表情になって、

( ´_ゝ`)「あのときの情熱が忘れらんねえだけかも知れねぇ。
       が、どっちにしろ、俺に明日なんざいらねえんだ」

(メ'A`)




兄者は、「お前もそうだろう」と呟いてから、息を整え、


( ´_ゝ`)「考古学なんて過去に生きてェやがる……そうさ、
       過去に生きた者同士、明日を捨てた決闘を……
       しようじゃ…… ね え か ァ ッ ! ! ! 」

(メ'A`)「!」


一瞬の躊躇いの後、ドクオが駆けだし、一気に距離を詰めた。


                    .

669 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 15:50:57 ID:s37uEuCU0

(メ'A`)

勢いをつけて、肉弾戦の射程に入ると、すぐさま
右拳を腰のあたりまで引いて、打撃の準備に入った。
いまだ兄者は動かない。間近で見るに、満身創痍だった。

( ´_ゝ`)

いける。ドクオはこの上ないタイミングで、まず
足払いを放った。ドクオの靴が、兄者の脛を横殴り、
態勢を崩させる算段だった、しかし、

( ´_ゝ`)
(メ'A`) !?

兄者は微動だにしなかった。意外な結果にドクオは
ほんの僅か――ほんの一瞬だけ、自身の勢いを殺してしまった。
それでもテンポの乱れた右拳を突こうとするそのとき、

(;'A`)「――ぐッ!?」

ドクオの首筋に鋭く、重い衝撃が走った。意識していない
左側を襲撃されたらしい。それも、左首筋から神経の集中する裏側に
かけて、猛烈な痛み、それに付随して圧迫感が追従してきた。

(;´_ゝ`)

兄者の反撃は単純で、右手でチョップを繰り出しただけであった。
しかし負傷しているその右手での一撃は、ドクオの予想していない
ものであった。兄者にも同様に、凄まじい痛覚が、電流のようにながれた。

670 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 15:52:43 ID:s37uEuCU0

(;'A`)

ドクオの右ストレートは、兄者の腹を撫でることさえできず、
虚空を揺蕩って仕舞いになった。加えて身体全体も、チョップの
衝撃そのままに、右側へ倒れ込もうとしていた。しかし、

兄者の左脚――ナイフの刺し傷の生々しいその脚――が、
受身の取れないドクオの身体に、膝蹴りを食らわせようと準備している。
そうして、

(;´_ゝ`)「ぉらああ!!」
(;゚A゚)「!!」

傷に無遠慮なまま、最大限の力を持って、ドクオの身体を蹴りつけた。
ドクオはされるがままに、後方へ飛ばされる。ただちに兄者の左太腿に、
引き裂かれるような痛覚が再来する。流石に追撃は不可能だった。

ドクオは砂地を転がり、脚に踏ん張りをつけて体勢を戻した。
チョップの影響か、脳震盪のような感覚があった。
だが目の前の戦闘に意識しなければならない。


(メ'A`)「くっ……」


すり足をし、少しずつ兄者と距離を取った。
兄者は身体を大きく揺らしながら、こちらへ寄ろうとしている。

671 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 15:55:33 ID:s37uEuCU0

(メ'A`)


(メ'A`)「………」

ドクオはその不屈の姿勢を眺め、自身の考えを改めていた。


(メ'A`)「(――俺は、心のどっかでこの男に哀れみを持ってた……)」




( ´_ゝ`)




(メ'A`)「(少なくとも、この状況ならまず負けはしねえだろうって、
     哀れだからちょいと付きやってやるとか、そんな……そんな緩みが)」

(メ'A`)「(――だがそれは思い上がりもいいところだ!
     あれだけ満身創痍のくせして、俺の体術を上回ろうとしてやがる!)」

(メ'A`)「(アドバンテージなど考えるな、俺。妙な計算なんかするな!)」

(メ'A`)「(……紛れなし。俺たちは、今、決闘をしているんだ……!)」


                .

672 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:02:12 ID:s37uEuCU0
.




兄者が距離を詰めてくる。しきりに身体を傾いでいる。


(メ'A`)「(……ちくしょう、死ぬのは怖いぜ……だが、だが――)」


(#'A`)「――ぅおおおおおッ!!!」
( ´_ゝ`)「!?」


ドクオの瞳に激しい炎が宿った。ふたたび走り出し、兄者に
駆け寄る。兄者もまた、それに合わせてファイティングポーズを取る。

動作は同時。

ドクオはしかし、しかしドクオは兄者の射程範囲に
入る間際になって、右脚で、足元の砂を蹴り上げた。

ざっという小気味良い音と共に、両者の間に埃が立ち込める。

茶いろの煙幕が、とつぜん現れたのだった。

673 名も無きAAのようです :2013/01/22(火) 16:03:00 ID:JAMlSzF60
兄者…
支援

674 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:05:41 ID:s37uEuCU0
.

兄者の殺気がほんのわずかに緩んだ。あらかじめドクオは目を閉じている。
砂に視界を奪われ怯むこともなく、先制した肉弾戦を試みた。


………だが、ふいにぞっとするような気配がドクオを襲った。

すかさず首元に強烈な圧力が掛けられ、四肢の全てが動きを止めてしまう。
呼吸がたちまち出来なくなった。口が酸素を求めてだらんと開く。


(;'A`)「……っぐぅ」


兄者の左手が喉輪を仕掛けたらしい。薄目に状況を観察すると、
晴れてきた砂埃の向こうで、兄者の血みどろの顔が浮かんできた。

それと、チョップの準備の整った、反った兄者の右腕までも。


( ´_ゝ`)

(;'A`)「………!」

                .

675 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:06:47 ID:s37uEuCU0


(;'A`)「ぅおおおおおお!!!」

とっさの才覚で、両腕に力を込めた。それから自分の
首を絞めている兄者の左手――その腕の、それも肘のあたりを、
思い切り打ち付ける。両の拳骨が、兄者の伸ばしきった腕骨に打撃を与えた。

(;´_ゝ`)「っが――!!」

(メ'A`)「ふん!!」

拘束力は若干弱まった。


後ろに下がって無理やり引き剥がすと、

腰を落として右拳を固く握り締めた。

676 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:08:27 ID:s37uEuCU0

間髪いれず、ドクオは右ストレートを放った。視界に映る
兄者は、先の攻防をひきずったような体勢をしている。



(;´_ゝ`)「!?」

(メ'A`)「(いけ!)」


ドクオに慢心など無かった。ドクオの右ストレート
は、きわめて的確に兄者を狙った。拳骨から伝わる、
シャツ越しの兄者のアバラの固さ。瞬間、兄者が呻いた。


衝撃のままにぐらついたが、後ずさりをして
体勢を立て直す寸前になって、兄者に異変が起こった。

677 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:12:04 ID:s37uEuCU0


対峙するドクオさえ、硬直するような異変であった。


(;´_ゝ`)「………」

兄者の身体が、首から胴、胴から四肢にかけて、
ぴくぴくと人間らしからぬ痙攣をし始めたのだった。

息遣いも一層荒くなり、目も虚ろになりだした。

(;´_ゝ`)「く……!」

(;'A`)「!」


顔面を見れば、鼻血がどっと吹き出ている。
歯軋りのような音が口から溢れて聞こえ出してくる。

兄者は、混濁する意識を無理に押さえつけていた。


(; _ゝ )「ぅぅぅ……! ぅぅッ……!」


(メ'A`)「………」

(メ'A`)「兄者」


(#´_ゝ`)「まだだ……まだ、まだァッ……!」


ひゅう、ひゅうと吐息を漏らしながら、兄者は
ファイティングポーズをとった。それを見てから、
ドクオも構え、距離を取りはじめた。

678 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:14:19 ID:s37uEuCU0
.



(# _ゝ )「……来ないなッら、こっちからいくぞ……」

うわごとのように呟く。
ゆらゆらとドクオに近づいていく。



(メ'A`)


ドクオは、兄者を視界に収めながら、


(メ'A`)「終わらせてやる」


燃え立つ夕焼けに染まりきった大地を蹴って、距離をいっきに詰めた。



        .

679 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:17:11 ID:s37uEuCU0

(#´_ゝ`)「おおおおお!!!」

兄者の右拳が大きく振りかぶった。上擦った体勢であった、
虚空をかきわけて、ドクオにいま、それは衝突しようとした、が、


(メ'A`)「(甘い!)」

しかしその速度は、ドクオに充分見切れるレベルに低下していた。
襲いかかる兄者の右腕の、その手首をドクオは左手で掴んだ。


( ´_ゝ`)「!?」




そうして直ちに、掴んだまま、左腕をおもむろにひいた。
兄者の身体も釣られて前のめりになり、腹部も無防備になった。


既にドクオは右ストレートを放つ体勢になっている。
隙だらけになった兄者に目掛けて、ありったけの力を込め、

(#'A`)「おらあ!」

(#´_ゝ`)「ぐゥ!!」


どん、と鈍い音が走った。兄者の顔が苦痛に歪んだ。

680 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:19:02 ID:s37uEuCU0

(; _ゝ )「……ァ、……ァァッ……!」

兄者の鳩尾に、ドクオの右拳がめり込んでいる。
ドクオは力を緩めない。兄者は反撃をすることが出来ず、
ちからの抜けた吐息をするばかりだった。



ドクオは考える。極めて短いその一瞬のなか、

(メ'A`)「(……明日を捨てる決闘。俺には出来ねえよ、兄者)」

(; _ゝ )「………!」

(メ'A`)「(だって俺は過去に生きてなんか居ねえ……!)」




(; _ゝ )「………」

兄者の身体から力が抜けていく。倒れる間際であった。
ドクオの右拳に身体を支えられている状態になる。


                 .

681 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:21:29 ID:s37uEuCU0


(メ'A`)「(明日も、ずっと、これからも、



(メ'A`)「(俺にはやらなきゃいけねえことがある。なぜなら――)」



すかさず、ドクオはめり込んだその右拳に再び力を込めた。

そしていっきに振り抜けた。兄者は糸の切れた人形のように
だらんと一瞬だけ傾いでから、ドクオの拳に推され――






.

682 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:23:23 ID:s37uEuCU0
.



ドクオは右拳に全力を込めて、叩きつける。



(#'A`)「―― 俺には夢があるッ!!!」

(;゚_ゝ゚)「っぐう!」


兄者の身体は地面に叩きつけられた。


四肢が遅れて音を立てる。





(; _ゝ )「う、うう……」


(#'A`)「明日が欲しいんだ、俺はァっ!!」


息を切らしながら、ドクオは叫んだ。
静寂のハーモニーに響き渡っていく。……




(;'A`)「はぁッ はぁッ………!」



荒々しい空気をよそに、一陣の風が、ひゅうっとふいた。

                  .

683 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:25:26 ID:s37uEuCU0
.


熱っぽい身体を冷やしたがるような、乾いた風が走り抜けていく。


――兄者は、動こうとしない。


(メ'A`)


ドクオは、その様子をただ見つめていた。



(; _ゝ )



                    .

684 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:28:57 ID:s37uEuCU0
.



仰向けになった兄者の眼前には、真っ赤な空が広がっている。


(; _ゝ )「う、うう……」


―――― だめだ、身体が動かねえ。まるで、そこが人形になっちまったかのように。



―――― 首から上だけが……今の俺は、首から上だけしか生きていない……。



―――― ああ、そうか、



(  _ゝ )「(……燃え尽きた、んだな)」



―――― おれは、もう







                    .

685 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:30:23 ID:s37uEuCU0
.


(メ'A`)



(  _ゝ )



それからまた、少し時間が経った。

そうして、兄者が軽く息を整えてから、


(; _ゝ )「俺の名前で……『jarbro-family』、だ……」

(メ'A`)「!」


(  _ゝ )「それがパスワードだ、好きにするがいい……」


(;'A`)「………!」




すると、兄者は穏やかな表情になった。
紫の忍びはじめた黄昏空を見つめながら、ふっと笑う。

686 ラスト投下 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:31:46 ID:s37uEuCU0
.









( ´_ゝ`)「――お前の勝ちだよ」



(メ'A`)



( ´_ゝ`)「流石だな、ドクオ……」








                         .

687 ◆tOPTGOuTpU :2013/01/22(火) 16:33:48 ID:s37uEuCU0
今日はここまで。あと二回でハーモニー編完結です。

688 名も無きAAのようです :2013/01/22(火) 16:45:54 ID:JAMlSzF60

最後のセリフいいな

689 名も無きAAのようです :2013/01/22(火) 20:19:32 ID:0V07AhME0
兄者もドクオもかっこよすぎんだよ!
乙乙!!!!!

次も楽しみにしてるからな!

690 名も無きAAのようです :2013/01/23(水) 01:40:04 ID:BE6nDoiU0
乙!

691 名も無きAAのようです :2013/01/23(水) 14:06:39 ID:TTx/Ogac0
来てたのか
乙乙

692 名も無きAAのようです :2013/01/23(水) 14:43:38 ID:b3uREk.c0
一文一文読み進めていくごとの高揚と緊張感がたまらない
サイドニアの兄者好きだぜ!!!かっこよすぎる乙

693 名も無きAAのようです :2013/01/28(月) 12:28:35 ID:GqrJtFEsO
ナナバツガイ、ログソクエビ、ショウセツナイトを発掘してここまで来た 
今まで読んでなかったのが悔やまれるよ

694 名も無きAAのようです :2013/02/18(月) 10:15:26 ID:0mDbMeUA0
久々に来たが戦闘描写が良いな
ドクオもアニジャもかっけーわ

695 名も無きAAのようです :2013/03/02(土) 13:45:44 ID:RcBeEyY60
面白い

696 名も無きAAのようです :2013/03/06(水) 18:16:04 ID:5PjNrPaMO

待ってる

697 名も無きAAのようです :2013/03/07(木) 09:09:20 ID:x0yVGf0M0
レスサンクスです。
燃え尽き症候群で全然書けてなかったですが、これからギア入れて頑張ります

698 名も無きAAのようです :2013/03/07(木) 14:37:27 ID:TEo52VH20
ググったら燃え尽き症候群って誤用じゃまいか。
ともかく、頑張ります

699 名も無きAAのようです :2013/03/07(木) 23:43:44 ID:ZOyN1NNc0
楽しみにしてる!!

700 名も無きAAのようです :2013/03/10(日) 01:42:43 ID:etl8YZzQ0
薪入れろ!薪入れろ!

701 名も無きAAのようです :2013/03/21(木) 00:58:58 ID:hrEri9gQ0
はよはよ

702 名も無きAAのようです :2013/05/05(日) 00:52:18 ID:jfv4PVkA0
ドクオvs兄者を何回も読んでしまう

703 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 16:48:12 ID:pBPHgVk.0
ようやく時間が取れました

704 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 16:51:56 ID:pBPHgVk.0
.








・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・




( ´_ゝ`)「どうした、さっさと取りに行けよ」

(メ'A`)「……できねえよ」


ドクオは兄者の傍にどかりと座り込むと、苦々しい顔になって、


(メ'A`)「放置すりゃお前はまず死ぬ、だのに見捨てるような真似なんてよ」

( ´_ゝ`)「助けろとは死んでも言わんぞ」

(メ'A`)「分かってら、んなこと。だからってこのままじゃ後味悪くなるだろうが」


( ´_ゝ`)「………」


(メ'A`)「結論は、お前をこうして見守るってことだ」

兄者は一瞬うつろな目になったが、すぐに呆れた顔をし、

( ´_ゝ`)「知るか……お前の後味どうとかよ……」

(メ'A`)「フン!」

705 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 16:54:58 ID:pBPHgVk.0


( ´_ゝ`)「(弟者に殺される運命だろうに、呑気な奴だな)」

( ´_ゝ`)「(弟者は、どうしてるかな? 今頃ここを去って、クルマの中か)」


いまのドクオと兄者の間には、ただ、穏やかなときが流れている。
鼻につく火薬の臭いも、景観を損ねる黒煙も雲散しきっていた。

兄者は息を整えてから、ふいにこんな話をしだす。


( ´_ゝ`)「……地元に、パイク・プレース・マーケットって市場があってな」

(メ'A`)「?」

( ´_ゝ`)「そこのスターバックス1号店隣りにさ、ピロシキ屋があって……
       ……ガキの頃から好きだった、金もねえのに、兄弟ふたりとも」

(メ'A`)

( ´_ゝ`)「けどよ、午後から売り切れになるくらい、人気なとこでよ…
       廃棄なんか滅多に貰えなかったんだ。ははは……」


兄者の笑い声は、風に乗って軽やかに廃墟に溶けていく。

706 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 16:56:40 ID:pBPHgVk.0

( ´_ゝ`)「俺ら兄弟は……惨めだなって、……表通りを遠目から……
       ずっと見てた、そういうときはさ。……腐ったベリーをしゃぶって、
       俺ら兄弟……ずっと、道行くひとを、華やかなとこ見てたんだ」

( ´_ゝ`)「ただ情けなくって……ひもじかったなァ……あの時は、
       弟者もそう思ってたんだろうが……」

(メ'A`)「……そうか」



一息つくと、まばたきを何度もしてから、

( ´_ゝ`)「ギャングになって、ある朝……ピロシキ買いに
       いったら……そこ、潰れてた。ふふ、弟者の差金さ」

それからドクオに視線を向け、力なく、

( ´_ゝ`)「弟者は冷酷な奴さ……お前、二度と安息なんかねえぜ……
       お前はあいつを逃がしちまったんだからなァ……」


(メ'A`)「けっ……ますます、あの野郎がムカついてきたぜ」

( ´_ゝ`)「?」

(メ'A`)「俺も知ってるさ、そのピロシキ。おれ、バンクーバーだから
    シアトル近ぇんだ。……あの野郎、あんな美味い店を……!」




( ´_ゝ`)



( ´_ゝ`)「……ふ、ふふ……」

                    .

707 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:00:36 ID:pBPHgVk.0
.


ドクオはこほんと一拍置いてから、
「さっきまで興味なかったが」と前置きをして、

(メ'A`)「なあ、お前ら兄弟は……何があって、あんな関係だったんだ?」

( ´_ゝ`)「何のことはないさ」

兄者はドクオから目を逸らし、薄紫の空を見やって、

( ´_ゝ`)「俺は、弟者のように変われなかった。
       弟者は、俺のように立ち止まれなかった……
       それだけ、そんだけさ」


(メ'A`)「………」


目に見えて兄者の生気が薄らいでいくのがわかった。
それに反して、兄者の表情にはゆとりのようなものが満ちていく。
失血で不気味なほどに青白い兄者の顔には、紛れもない笑顔があった。


(メ'A`)「、……そうだったのか」

( ´_ゝ`)「………」

708 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:10:28 ID:pBPHgVk.0


ドクオは何をするでもなく、兄者の傍に座って彼の状態を
見続けていた。しかし、表情や声の調子とは裏腹に、兄者の
身体はほぼ死にかけている。文字通り、これは彼の最期であった。
燃え尽きてからカーテンフォールに移る、その合間のような時間。


それからしばらく経った頃、大通りの方から女性の声が響いてきた。

「……誰か、誰かいませんかッ?! ――――」

  「頑張って声を出してみてください――私は敵じゃありません――」


(メ'A`)「……あれは」

( ´_ゝ`)「(エノーラ……)」

たった一人の救助活動として、残された人が居ないか呼びかけをしている。



( ´_ゝ`)「………」

( ´_ゝ`)「
クックック」


(メ'A`)「?」

( ´_ゝ`)「おいドクオ。失せな」

                  .

709 修正 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:14:11 ID:pBPHgVk.0

ドクオは何をするでもなく、兄者の傍に座って彼の状態を
見続けていた。しかし、表情や声の調子とは裏腹に、兄者の
身体はほぼ死にかけている。文字通り、これは彼の最期であった。
燃え尽きてからカーテンフォールに移る、その合間のような時間。


それからしばらく経った頃、大通りの方から女性の声が響いてきた。

「……誰か、誰かいませんかッ?! ――――」

     「頑張って声を出してみてください――私は敵じゃありません――」


(メ'A`)「……あれは」

( ´_ゝ`)「(エノーラ……)」

たった一人の救助活動として、残された人が居ないか呼びかけをしている。



( ´_ゝ`)「………」

( ´_ゝ`)「クックック」


(メ'A`)「?」

( ´_ゝ`)「おいドクオ。失せな」

710 修正 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:16:14 ID:pBPHgVk.0

(メ'A`)「は……?」

唐突に笑い出したかと思うと、今度はしかめっ面をみせる
兄者に若干戸惑ったが、兄者はそんなこと気にせぬとばかりに、

( ´_ゝ`)「俺はこれからあの娘に優しく抱かれ死んでく……。
       さあ、空気を読んで退散しやがれ」

(メ;'A`)「あ……え、えーっと」

( ´_ゝ`)「死の寸前まで…てめえのツラ拝むなんざ、ごめんだ」

(メ;'A`)「わかったよ……」


渋々立ち上がった。エノーラの姿が視界に入らぬうちに
パスワードを入力しに走るつもりだった。そんなふうに背を向けながら、



(メ'A`)「……じゃあ、達者でな。アレン・ジャーブロ」


( ´_ゝ`)「………」


首も満足に動かせず、兄者は目線だけでドクオの背を見つめていた。

711 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:18:40 ID:pBPHgVk.0

それから、走り去ろうとする寸前のドクオに、兄者は声をかける。


( ´_ゝ`)「――おい、ドクオ!」

(メ'A`)「………?」

( ´_ゝ`)「夢があるだの……明日が欲しいだの……さんざ、宣いやがったな?」

(メ'A`)「………」

( ´_ゝ`)「ククク……なら、これから……せいぜい、もがきやがれ」



( ´_ゝ`)「せいぜい夢を追いかけやがれ……死ぬまで……!!」




(メ'A`)「……言われなくても、」


ドクオは振り返ることなく駆け出した。


(メ'A`)「そのつもりさッ!!!」


・・ ・・
・・ ・・・


( ´_ゝ`)「……いいねぇ」


             .

712 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:23:14 ID:pBPHgVk.0


―― 裁判館 2F



(´<_`;)


弟者の視線の先には、ボロ雑巾のように朽ちた兄者の
姿が映っている。窓越しにも、この距離でさえ、
兄者が死に近づいていることがはっきり理解できた。



(´<_`;)「……もう、……だめだァ……」

威勢も張りようがなかった。弟者は賭けに敗れた。
一人で逃げることよりも兄者の生還に期待したが、
結果は、致命的な時間のロスを生むことになった。


(´<_`;)


兄者からいったん目線を外し、ハーモニーの状態を見渡した。

惨いものであった。自身の築いたはずの王国は廃墟に果てた。
ドクオの宣言通り、この張りぼてのハーモニーは”ぶっ潰され”てしまった。
あとに残ったのは兄弟ふたり。死にかけの兄と、無力な弟。

713 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:25:32 ID:pBPHgVk.0

(´<_`;)「………」

この始末を、ハンター組合がどうつけるかなど想像したくはない。
どう取り繕っても、自身の死を避けることが出来ないだろう。
地獄のど真ん中に突っ立ってる自分の状況を思い返すと、思わず身震いが走った。


(´<_`;)「に、逃げなきゃ……!」


慌てて外套をひっ被り、重要な書類と当面の資金を
アタッシュケースに詰め込んでいった。だが、ケースを閉めると
同時に、不可思議な音が一階から聞こえてきた。
乱暴なドアの開閉音。そして、その者たちのまっすぐこちらへ向かう足音。


(´<_`;)「………ッ!」


階段を駆け上がるその者たち、まっすぐ、
まっすぐに弟者の居る部屋へ向かっていく。




弟者は姿を見ずとも正体を確信していた。

ジョルジュと、リッチーであろう。

死神二人が、やってくる。

・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・

714 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:29:09 ID:pBPHgVk.0


―― ハーモニー 中央広場


||‘‐‘||レ「……あれは、」

広場の隅で、多量出血している男が横たわっていた。
地に汚れ泥に汚れてはいるが、その姿は間違いなく、



(;  _ゝ )


||‘‐‘;||レ「兄者さんッ!!」


さっと駆け寄ると、彼の状態を確認した。
大きく出血している部位をためつすがめつする。
既に死んでいると動揺しかけたが、脈を確めるとほんのわずかに
動いている。どす黒く固まった血で唇本来の色さえ判別できないが、
不自由ながらも呼吸はしているらしかった。まだ、生きてはいる。


しかし、

||‘‐‘;||レ「ひどい……こんな、こんなっ……!」


どんな名医でさえ助けられないだろう。阿部の容態が
可愛らしく思える惨状だった。目は虚ろで視線は宙を彷徨って
エノーラを視認していなかった。


(;  _ゝ )「………ッグ」


ドクオが去るとたちまち、兄者に残された生気が立ち消えていたのだ。
独りになった途端、死が身体のあらゆる箇所を鷲掴みにしていった。

715 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:32:27 ID:pBPHgVk.0

||‘‐‘;||レ「………」

エノーラは死にゆく男をゆっくり抱きしめた。
生者特有のほのかな温かみも感じない。
だが、しかし兄者は抱えられると、ほんの少し反応を見せた。

目がわずかにエノーラに近づいて、はっきりと微笑んだ。
そして、小さい声だったが、

(;´_ゝ`)「エノーラ……!」

||;‐;||レ「アレンさん……!」

エノーラは気がついたら涙を流していたし、気がついたら
自身の気持ちを再確認していた。村を実行支配され、虐げられ、
全てに疑心暗鬼になっていた頃、この男はハンター側の人間にも
関わらず、無言のまま手助けをしてくれていた。

あの頃は、ハンターだからと気持ちにタガをつけていた。
しかしこんな状況になったからこそ、心の底から感謝の気持ちに溢れた。


ところが、エノーラが口火を切る前に、兄者が口を震わせながら、


(;´_ゝ`)「すまなかった……」

||‘‐‘;||レ「……え?」

(;´_ゝ`)「この……村のこと、、、謝っても、謝りきれること……じゃ……」

||‘‐‘;||レ「………」

716 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:34:02 ID:pBPHgVk.0

||‘‐‘;||レ「……アレンさん」



(;´_ゝ`)「っれ……ダけは、言いたかっ……」


(;  _ゝ )「さいごに……謝りたくて……」

||‘‐‘;||レ「.........」






それから、兄者はまた口を閉じた。エノーラは言葉をぽつぽつ
と返し、しまいには涙をながし嗚咽するのだが、間近にいる
兄者は気がつかず、ただ目の前のぐるぐる回る景色に見とれていた。






―― ああ、これが走馬灯って奴か……。





           .

717 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:38:06 ID:pBPHgVk.0

ぐにゃぐにゃと異様なカタチに蠢いていた視界はやがて、
兄者の故郷のシアトルへ変貌していった。小雨のけだるい
空の下、アメリカにしては妙に洗練されたオレンジ基調の往来が浮かんでいく。



やがて風景は夜に変わり、隣りには
弟者がボルサリーノを被りながら不敵に笑っている。

(´<_` )


その横にシーン、そしてヒールといった懐かしい面々が立っていた。


( ・−・ )


川*` ゥ´)




( ´_ゝ`)



                   .

718 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:40:49 ID:pBPHgVk.0



舞台はシアトルを、地球を離れて火星に切り替わっていく。
火星の無機質な赤い大地、そこに夕焼けが差したかと思うと、
流石ファミリーの懐かしい面々が、次次と血まみれになって倒れていった。
.



( ´_ゝ`)……すまなかったな、


( ´_ゝ`)今から、地獄の底まで突き落とされてやる……!



                     ,

719 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:43:02 ID:pBPHgVk.0




―― ――― ――――


||‘‐‘;||レ「「アレン……アレンさん……」


(;  _ゝ )「っぁ……ヒー……ル」


極めて小さな声で、唇と舌を無理やりに動かす兄者を、
エノーラは呆然としながら見つめている。目を離せば、
その隙に死んでしまいそうな、そんな姿であった。



エノーラの耳には届かない。


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・

720 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:46:52 ID:pBPHgVk.0
.


 ……いやいや、違うんだよ、聞いてくれヒール……


 ……ああ、まあ、そうだな、ウン。


 流星になるって言った割には、随分長く生き延びちまった……。


 え? クサいか? ハハハ……ああ、うん。フフ……。


 流れ星を追いかけてたら、迷子になっちまったのさ……。


 フフフ……


 ハハハッ……!




 アッハハハハハァッ……!!!


       


                .

721 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:48:38 ID:pBPHgVk.0
.

















―― ―――

―― ――――

―― ―――――

―― ――――――

―― ―――――――

722 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:50:55 ID:pBPHgVk.0

―― 裁判館 2F


(´<_`;)「いッ……嫌だッ! 来るなァァァ……!」



( ゚∀゚)y-~「おいおい。上司に向かって酷いこと言うなって」

( ゚ 」゚)


弟者はそれでも落ち着こうとしない。腰を抜かしながら、
部屋の隅ににじり寄って、来訪者二人を見上げている。
歯はがちがち鳴り、目元には涙が浮かんでくる。

始末される。この二人に。
弟者は自身の運命を受け入れられない。


(´<_`;)「ど……どうかッ! 寛大な処置をお願いします……!
       負債なら、この件に関しての負債はッ……一生!


(゚<_゚ ;)「一生かけてもっ! 返済しますから!」





( ゚∀゚)y-~「………」




( ゚∀゚)「はぁ?w」

723 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:53:23 ID:pBPHgVk.0



( ゚ 」゚)「もうそんな事態じゃないのさ。金額云々というね」

リッチーは一歩前に出ると、自身の左手首を右手で捻り出す。

( ゚ 」゚)「今後の損失分は途方もないことになるよ。お前の
     年収を上回る流出が、毎日……毎日伸し掛ってくる」

( ゚ 」゚)「組合全体にだ」

リッチーは己の左手首から先を、さながら玩具のように取り外した。
手首の断面には、あるべき血管や神経の代わりに、黒光りした、
悪意に満ちた銃口が露出していた。

弟者は小さく悲鳴を上げる。


( ゚∀゚)「パフォーマンスが必要なんだよ……俺らにはさ」

(゚<_゚ ;)「………!」

( ゚∀゚)「こんな最悪な村を作り上げた、黒幕さんを始末するっつーよォ」


(゚<_゚ ;)「お願いです! お願いしますゥ! 死にたくありません!!」

あらん限りのその叫びも、しかしジョルジュは鼻で笑うと、

( ゚∀゚)「いやいや……死ねよw」


               .

724 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:55:41 ID:pBPHgVk.0

( ゚ 」゚)「オリヴァー……とても残念だ。キミを始末するというこの現実が」


縮こまった弟者の方へ、リッチーは鷹揚に進み出ると、
その鼻先に銃口――左手首から露出している――を向けた。


(;<_;#)「嫌だ! 嫌だァァッァァァ!!!」


泣き叫びながら、銃口から逸れるように首をなんども振るったが、
その悪意から逃れることは、できなかった。


( <_  ;)「死にたくないィィ……生きたいよぉぉぉ」


( ゚∀゚)「wwwwwwwwww」


( ゚ 」゚)「……目を瞑って来世に祈るんだ、オリヴァー」



この魔人から逃げ切るなんて、不可能ごとであった。

弟者の顔はたちまち涙と鼻水で汚れに汚れる。

725 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:57:45 ID:pBPHgVk.0
.



( <_  ;)「ぁあ……ああああ……!!」


死の恐怖が、身体を怯ませる。何度呼吸をしてもし足りない。
何度祈っても、恐怖から逃げ出せない。死から逃げられない。


( <_  ;)「〜〜〜〜!!!」



( <_  ;)「っ助けてくれ……!」




(;<_;#)「助けてくれェ!! 兄者ぁぁぁぁ!!」






( ゚∀゚)「ばーか」

( ゚ 」゚)


銃口は弟者の額に押し当てられ、そうして、


                 .

726 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 17:59:20 ID:pBPHgVk.0
.










.        ―――― パシュッ………








                         

.

727 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:02:33 ID:pBPHgVk.0


.



―― ハーモニー 地下倉庫付近



(;'A`)「く、くそ……ったれ」


入口にもたれ掛かって、ドクオは肩で息していた。
その足元にはずた袋があって、それを地下から持ち出してきたのだが、
いかんせんその重量が満身創痍のドクオには耐え難いものであった。


(;'A`)「時、時間が……」

肌で感じるタイムリミット。マーポールはすぐに突入し、
証拠物件としてこれを奪い取られてしまうであろう。

このずた袋を。



(;'A`)「(せっかく、、、奪い返したってぇのに……!)」



ドクオは地上への階段前で、弱音を吐いていた。……

728 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:04:51 ID:pBPHgVk.0
.



……兄者のパスワードは正しかった。空のずた袋片手
に地下倉庫でタイプしてみると、みごとに扉は開かれた。

その扉の向こうには金銀財宝、
に相当するような価値を持つ盗掘品が所狭しと並べられていた。

鉱石やエビのそれぞれは、モアブ地方では取れないと思われていたもの
ばかりで、もしそれらがこの近辺で発見されたとしたら、
それだけで学会はひっくり返るに違いない。


はやる気持ちを抑え、自身の研究に役立つであろう代物を袋に丁寧に詰めた。
特に、火星原住民の匂いを感じ取れるようなものを重点的に選んだ。
あまり多く盗んでも、のちのち来るマーポールに疑われてしまう。

そうしてドクオは、ようやく、今回の目的の品を発見した。


(メ'A`)


それは、樹の大きな化石であった。全体的に黒ずんでいて、
平べったい。よくよく見れば、年輪らしきものを確認できる。

――これこそが、まさしくドクオの発掘思案から盗掘されたものであった。

ドクオはそれを手にとった瞬間、先住民の生活に思いを馳せた。
きっと彼らは、火星の特殊な耐火樹をバーベキューのプレートとして
使用していたのだろう。このプレートには、彼らの食事風景が刻まれていた。

729 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:06:44 ID:pBPHgVk.0
ドクオは涙を拭き取ると、それをずた袋に入れ、腰を上げた。
もうこれで充分だった。一刻もはやく、研究所に持ち込んで調べてみたい。

しかし、ドクオの身体はすでに限界に達していたのであった。……


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・


(;'A`)「……はぁっはぁっ!」

ずた袋を抱えてなんとか階段をのぼりきり、ドクオは
地面に降り立った。既にそらは黒ずんで、一等星は輝いている。

――だだっ広い広場。兄者との死闘を繰り広げた激戦地だったが、
いまはもう廃墟の空気を漂わせていた。ここからは、兄者の
死体もデルタの死体も目に届かなかった。だだっ広い広場。

気を抜くだけで失神してしまいそうだった。今からこれを
隠さねばならないと思うと、絶望を通り越して笑いが込み上げてくる。



(;'A`)「………」

こんなところで挫けていられない。
しかし、しかし……。


                  .

730 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:08:28 ID:pBPHgVk.0


震える手で、ずた袋を持とうとしたそのときだった。
広場の向こう側から、足音と話し声が聞こえてきた。


(;'A`)「くっ……」


ついにマーポールが来たか。ドクオは泣きたくなった。
ここまで来たのに、やっと、取り返せたというのに。

その足音の主たちは、確実にドクオの方へ向かっていた。
声から察するに、男女の二人組らしかった。

ところが、その声にはどこか聞き覚えがあった。
姿かたちははっきりしていないが、確かに、聞き覚えが。


(;'A`)「………まさか」


―― 少なくとも、この男のほうはマーポールではない。



―― いや、それどころか、こいつらは……!



―― こいつらは……!


              .

731 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:09:50 ID:pBPHgVk.0


(;'A`)









(メ'A`)








(メ'A`)








(メ;A;)「せ、せ、せ……」


              .

732 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:11:33 ID:pBPHgVk.0

その二人組は、顔の分かる位置にまで歩いてきた。




川 ゚ -゚)(’e’)



(メ;A;)「セントジョ―――ンズッ!!!!!」


疲れを忘れきって、ドクオはクーとセントジョーンズに駆け寄った。




(’e’) !?






(;’e’)「ド、ドクオさぁぁぁん!!」




(メ;A;)「ジョーンズ!! ジョーンズウウ!!」


(’e’)「ドクオさあああん!!!」

733 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:13:32 ID:pBPHgVk.0
.


――生きていたか! 来てくれたかジョーンズ!!


薄明かりのなか、ドクオの傷だらけの顔が
セントジョーンズの視界に映った。




(メ;A;)


(;’e’)「わッ ひっでえツラ!」





.  ドゴォ
(メ#'A`)=○)e’)∵.・ イヤチガイマスコレハソウイウイミジャジャバァ!





川;゚ -゚)





.

734 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:16:38 ID:pBPHgVk.0



(;'A`)「うっ……」 グラリ

(;’e’)「ド、ドクオさぁん!?」

セントジョーンズを殴ったところで、ドクオの身体は
一気に力を失ってしまった。セントジョーンズが無事だったこと
に気が緩んだ上、無理に身体を動かしたその結果である。


セントジョーンズが抱きかかえると、ドクオはにやりと笑って、


(メ'∀`)「生きてやがったか。この野郎めが……」

(’e’)「男のツンデレとかやめてください〜」

(メ'∀`)「うっせぇ……ん?」


川 ゚ -゚) ペコリ


(メ'A`)「(クー……スナオリャ……)」


(’e’)「何から何まで、協力してくれたんすよ」

川 ゚ -゚)「初めましてですね、ドクオ・ウツタールさん。
     ライターのクー・スナオリャです」



(メ'A`)


(’e’)「ほら、挨拶挨拶」

(メ'A`)「(うるせえ)」
                  .

735 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:19:15 ID:pBPHgVk.0

(メ'A`)「は、は……


(メ;'A`)「はじめまshhおfwwhかdshfcdsjヴぉなそfvれ。
     vfんsおあvんrvjkdぶえsんkldfvsdんvんjvfs?
     (はじめまして、見た目麗しいペンの剣士さんよ。
     アンタのおかげで万事解決ってとこかな?)」

(’e’)「ドクオさァん噛みすぎっすよおwwwwwwwwwwww」


美女の前に、緊張し過ぎてしまった。



川;゚ -゚)「う、うむ……」




・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・

736 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:22:33 ID:pBPHgVk.0


そうして、このハーモニーの一日は
カーテンフォールを迎えようとしていた。

雲一つない美しい夜空には、移動する天然衛星も人工衛星も鮮明だった。
それらの放つ光が、闇のはずの夜をほんの僅かに明るくしている。

静かな夜だった。マーポールはまだ来ていない。というのも、
兄者の正門での惨殺が原因で、明日以降に持ち越されたのであった。
ドクオは無論、知らないことであったが。


クーの提案で物陰に移り、しどろもどろながらに情報交換をした彼らだったが、
事の顛末を話し終えた途端、ドクオは急に険しく哀しい表情になって、


(メ'A`)「すこし、たのみたいことがある」

(’e’)「ん? その袋なら持ってきたっすよ」

そういってズタ袋を指差すジョーンズに、ドクオは首を振って、


(メ'A`)「違うんだ。そうじゃない。……さっき話した、二人の話さ」

川 ゚ -゚)「この広場で倒れた、二人の男性ですか?」

(メ'A`)「そう……だ……」

737 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:24:09 ID:pBPHgVk.0

(メ'A`)「……遠くないところで眠っている、
    その二人を、見つけてくれねえか……頼む、弔いてぇんだ」


(’e’)「………」


(メ'A`)「勝手なことだけどよ……あいつらだけは、
    あの、アレンとデルタの二人をよ……」

川 ゚ -゚)「ドクオさん……」

ためらいがちに、クーは一歩進み出て、

川 ゚ -゚)「気持ちはわかりますが、今こうしてる時間さえ、、、」


(メ'A`)「それでも」


(メ'A`)「あの二人に手を合わせたいんだ……! 頼む、この通りだ……!」



ドクオは頭を下げた。一歩も引くつもりはないらしかった。

 
              .

738 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:25:33 ID:pBPHgVk.0


川 ゚ -゚)「………」

川 ゚ -゚)「急ぎましょう、まだこの暗さなら探せますし……」

(’e’)「そうっすね〜!」


セントジョーンズに支えられながら、ドクオはなんども
声にならない声で感謝の言葉を述べ続けた。

そして、兄者とデルタの亡骸を探そうと
うしろを向いた際、奇妙な感覚に三人は囚われた。

かすかに耳に届く、ぱちぱちという拍手のような音。
しかし、決して誰かを祝福しているそれではなかった。



(メ'A`)!?


慌てて振り返ると、その視線の先にそびえ立つ裁判館、
流石兄弟の居城の一角が、いやに明るく光っていることに気がついた。

炎だ。黒煙は夜の闇にとけているが、紛れもなく、裁判館には火がつけられていた。


.

739 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:28:31 ID:pBPHgVk.0


次第に、拍手と勘違いした奇妙な音は、ごうごうと燃え盛る音にかき消される。

窓枠の向こう、裁判館の内部では激しく炎が燃え盛っている。

裁判館には、火がつけられていた。


川;゚ -゚)「……火事……!?」

(;’e’)「う、うわぁ〜〜〜!!」

(メ'A`)「………」


三人は、次第次第に激しさを増す炎を見つめていた。


(メ'A`)「(誰が、火をつけたんだ……?)」


(メ'A`)「(弟者が観念して焼身自殺を? いや、それより可能性が高いのは……)」




・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・



―― 30分前 裁判館 2F



                     .

740 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:32:06 ID:pBPHgVk.0
.








( ゚∀゚)「……ドックオくんじゃあぁあぁぁぁあぁン……!」





窓にへばりつき、筋の通った鼻がガラスに擦れる。
ジョルジュは大学時代の同期を、裁判館から見下ろしていた。





( ゚∀゚)「……クーちゃんもいるんだねェ、あー……犯してえなァ。
     犯してやりてぇなあ……」




( ゚ 」゚)「………」


                  .

741 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:35:24 ID:pBPHgVk.0


( ゚∀゚)「この、、、タイミングで現れるなんて……あー、、、
     殺してやりてえのになァ。あー……」

目を血走らせて、


( #゜∀゜)「あー……! ここでは駄目だ、あー……ッ!」


苛立ち紛れに、ジョルジュは少し歩いて足元の死体を蹴り飛ばした。
眉間を打ち抜かれた弟者の死体は、さながら人形のように崩れ落ちた。
傍に転がるフェイクの拳銃が、血にすこし汚れた。



( ゚∀゚)「いくぞリッチー。帰り際に火を放て」

( ゚ 」゚)「わかっている」

ジョルジュの狂態と弟者の亡骸を視線から逸らしていたリッチー
だったが、帰る段取りになってようやく口を開いた。


( ゚ 」゚)「ところでジョルジュ。部下からの電話で一つ、
     考えた部分があるんだが……。キミがご執着のスナオリャについてさ。
     時間がないから車内で話すことにしようか……」

742 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:37:54 ID:pBPHgVk.0


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・

――その、帰りの車内。


( ゚∀゚)「んで、なんだ話ってのはヨ?」

煙草に火をつけながら、ぼんやりとジョルジュは尋ねた。
リッチーは、夜空を見上げながら、


( ゚ 」゚)「クー・スナオリャのバックについてさ。我々、
     ハンター組合の圧力に屈しない企業をリストアップしたら、
     ひとつの共通点が浮かんできたんだ。

     それは、その企業のどれもが、ある一つの企業と取引を、
     あるいは何らかの関わりを持っているのだ」


( ゚∀゚)y-~「勿体ぶらねえで、その黒幕ってのをさっさと教えろや」


( ゚ 」゚)「………」

743 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:39:21 ID:pBPHgVk.0
.




( ゚ 」゚)「―― ホテル・サイドニアだ」



( ゚∀゚)y-~「はあ? なんで一宿泊業が突っかかって……」


クーとジョルジュが衝突した舞台は、確かにホテル・サイドニアだったが、
だからといってそれがクーを支援する理由にはならないだろう。


( ゚ 」゚)「だが確定的だ。それに、さっきあの場に居たドクオとやらも
     そのホテルの滞在者らしい。恐ろしいほどに、運命づけられている
     だろう? たかが一宿泊業……されど一宿泊業だ。

     あのホテル自体、非常に謎が多いことで有名でね。たとえば
     出資元ですら、いくつものダミー会社で隠しているんだよ」

( ゚∀゚)y-~「………」


ホテル・サイドニアの神秘性については、ジョルジュもなんども耳にしている。
火星の一般開放が行われると同時にオープンした、不気味なモノリスめいたホテル。
マーパーツと世間は騒ぎ立てているが、あのホテル自体が、奇妙なオブジェクトにほかならない。


( ゚∀゚)y-~「へーェ……」

だからこそ、ジョルジュはそこを踏み潰してやりたいと燃えてきた。

744 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:41:34 ID:pBPHgVk.0

( ゚∀゚)y-~「あの三流ホテルが、ふざけた真似してるんか……」


( ゚ 」゚)「だが一つ厄介な噂があってね。出資者の一人と噂される
     大物が、我々にとって非常に厄介な存在だ。

     キミも知っているだろう。ニューシベリアの極右政治屋の……」


( ゚∀゚)「プーチニコフ!! あの糞垂れが全ての黒幕かッ!?」

( ゚ 」゚)「そこはまだわからないが、ホテル・サイドニアは確定的だろう」


( ゚ 」゚)「我々のやるべきことは、もう運命づけられているだろう?」


( ゚∀゚)「フン……」



・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・

745 ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:42:37 ID:pBPHgVk.0
.





ハンター村、ハーモニー。


その権力者の、象徴であった裁判館。


純白の建物は炎に包まれ、朽ちようとしていた。






            .

746 rasuo ◆tOPTGOuTpU :2013/05/29(水) 18:43:29 ID:pBPHgVk.0
.






・「兄者」アレン・ジャーブロ・A・ニコラス。
・「弟者」オリヴァー・ジャーブロ・O・トーマス。



―― 通称、「流石兄弟」



―― 同日に、死亡。





                   .

747 名も無きAAのようです :2013/05/29(水) 18:44:30 ID:pBPHgVk.0
今日はここまでです。遅くなってすまぬ

748 名も無きAAのようです :2013/05/29(水) 18:47:40 ID:pPfLkVCQ0
おつ
ここでホテルサイドニアがでてくるのか

749 名も無きAAのようです :2013/05/29(水) 19:18:13 ID:mvqfyRtAO
盛り上がるなぁ! 好きだ!

750 名も無きAAのようです :2013/05/29(水) 19:29:08 ID:GURftNa.0
おつ
兄者も弟者も…

751 名も無きAAのようです :2013/05/29(水) 19:47:19 ID:sdISpLN6O
やっと来たか、まとめで読んで追いついてから楽しみにしてた! 


752 名も無きAAのようです :2013/05/29(水) 21:59:54 ID:JVGYuclk0
おっつん、ハーモニ編面白かった
私とデレがずっと気になっていたがまたホテル中心に戻るのかな

753 名も無きAAのようです :2013/05/29(水) 22:42:28 ID:VBT4jl3E0

ドクオも兄者もかっけぇなあ、かっけぇ。

754 名も無きAAのようです :2013/05/29(水) 23:34:34 ID:BIKE6YUU0
乙・・・!

755 名も無きAAのようです :2013/06/04(火) 04:59:54 ID:lb0rdfDM0
またヒート相手にはしゃぐドクオが見たいぜ

756 ◆tOPTGOuTpU :2013/06/04(火) 09:32:53 ID:LM5Y.Yb60
>>752
これ以上タイトル詐欺は続けられないよね!

以下、ちら裏

6月3日で俺の作者デビュー6周年になりました。はっぴーでー、おれ。
いろいろ思い出でも語ろうかと思ったが、そもそも適当に過ごしてきただけなんで
語れるものはほとんどないし、忘れた。唯一語れるのは、現行の進行状況ぐらいか。
いま20パーセント書けたくらいです。それと、この作品に付き合ってくださっている
全ての読者さんに感謝を。ほんとうに励みになります。それではまた、投下する日まで。

760 名も無きAAのようです :2013/06/04(火) 20:23:05 ID:xArap.gwO
ハーモニー決着ついてたのか!6年目もおつです!今作も空も待ってます!

761 名も無きAAのようです :2013/06/05(水) 17:46:25 ID:eI70l3Zc0
兄者は最期までかっこよかったのに弟者と来たら・・・

762 名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 01:55:02 ID:UawQEMw20
やっぱおもしれえわ
まだかいな

763 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 21:45:26 ID:4Q7BCeVU0
ハロー、あたし。締めなんて簡単に書けるだろと
放置してたらこんなに日数が経過していました。
推敲し次第投下します

764 名も無きAAのようです :2013/09/11(水) 21:47:44 ID:zQJDDFj20
ハロー

765 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 21:58:50 ID:4Q7BCeVU0
.



モアブ地方の一村、ハーモニーの狂気の一幕は、
裁判館の焼失とともに幕を下ろしたが、村の人々にとっては、
これからが物語の始まりなのかも知れない。



('A`)


ハンターの支配から解き放ったドクオは、英雄と語られるに相応しい。

だが、ハンター組合との取引、ドクオ自身の都合により、

その英雄譚が外に漏れることは、これからも無いであろう。


事実、ハーモニーのこの事件は二面の下のほうに
ちいさく掲っているだけで、その6行の記事の中には
ハンター組合も、ドクオの名前も書かれておらず、終わりに
ただ村長の弟者の名前が、自殺の二文字で締めくくってある。


                       .

766 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 22:04:27 ID:4Q7BCeVU0
弟者は実際には殺されたのだが、それは当事者の
ドクオにも知られることではなかった。都合の悪い出来事は、
ぼやかされ、捻じ曲げられ、世間へ伝わっていく。


流石兄弟の死の翌朝、盛大な後出しジャンケンでやって
来たマーポールの面々は、被害状況と死亡者の確認に徹した。
無論、村人やドクオ達は簡単な取り調べを受けたが、
どうにもやる気のないもので、逮捕は生き残りのハンター達だけにとどまった。

組合に切り捨てられたチンピラだけを、悪と定めるつもりであろう。
そこにドクオはある種の憤りを感じたものだった。

('A`)「(こいつら、正義気取ってる癖にとんだ臆病者ばかりじゃねえか。
    マーポールとハンター組合……開拓されて間もない火星で
    こうも癒着しやがるなんて、悲しくなってくるもんだね)」

そんな愚痴をセントジョーンズに話すと、彼は難しそうな顔をしながら、


(’e’)「なんかイヤな話ですね〜」

と、理解しているのかしていないのかな返答をした。


結局、このハーモニーの一事は「村長派と反対派の喧嘩」という
筋書きに留まり、どの新聞も軽く取り扱ったのは、先に述べた通りである。


                         .

767 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 22:15:18 ID:4Q7BCeVU0
クー・スナオリャはマーポールが来る数時間前、バイクに
跨り帰ったため、どの取り調べにも応じることはなかった。

ところで、クーは帰る間際になって、ドクオにこんな言葉を残した。


川 ゚ -゚)「私達はもう、組合と対峙するしか道はない……。
     その事はドクオさんもご承知でしょう」

(;'A`)「え、あ、ふぁい」

川 ゚ -゚)「これからも、手を組みましょう。ドクオ・ウツタール」

('A`)

川 ゚ -゚)「ホテル・サイドニアで待っているから」

そういうとエンジンを掛け、颯爽と走り去っていった。


(’e’)「いや〜後ろ髪も美人っすね〜」

('A`)「………」



('A`)



(*'A`)「ホ、ホテルで……待っているだなんてっ……!」ドキドキ

(;’e’)「 」



                  .

768 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 22:24:28 ID:4Q7BCeVU0

ドクオの気にかかった話といえば、もう一つあった。

阿部は病院に送られ、暫らく入院することになったのだが、
救急車に乗り込んだシャキンが、不安そうな顔でこう語った。


(`・ω・´;)「阿部さん……泣いてたっす。兄者の名を
        いいながら、チクショウ、チクショウって……」


(`・ω・´;)「ほんとうに、まじで悔しそうに。
        ……これ、言っていい話かわかんないスけど」


('A`)「………」

ドクオは阿部と最初に出会ったときの、会話を反芻しながら、


(A` )「あの、嘘つき野郎め……」

そうぼやくと、グラスのコニャックを一息に呷った。

・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・

769 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 22:34:50 ID:4Q7BCeVU0

あの夜から二日経過した。マーポールのキーピングシールも
外されていないが、もう取り調べを受ける義務もなくなった。
ドクオはひっそりとハーモニーから出ることにした。

セントジョーンズに荷物の確認を任せ、ドクオは傷の
手当てを自力で施している。といっても包帯を替えたり
消毒液を垂らす程度のものだが。


セントジョーンズのバギーは、ハーモニーの入口に停めてある。
いよいよ、帰宅の時間だった。


('A`)(’e’)


閑散としていて、ドクオたちを見送る者は居ないのは、
ドクオ自身が照れくさかったというものがあった。あの一件以来、
英雄のように祀られ、慕われたものだが、どうにも居心地が悪かった。


(’e’)「いいんスか〜? 黙って出てくだなんて」

('A`)「きゃーきゃー言われるのは性に合わないんだっての」

770 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 22:41:01 ID:4Q7BCeVU0

そういって、とっとと乗り込もうとするドクオを見て、

(’e’)「っつーか、慣れてないだけっすよね〜?」

('A`)「ウルヘエ」


助手席にどかっと座り、ドクオはサイドミラーからハーモニーを
眺めだした。何故だか淋しい気分になる。色んなことが、ここにはあった。

借りを返すために乗り込んで、命の危険に晒された。
内心には恐怖もあったが、しかし自分の夢が、勇気を奮い立たせた。

ハンターの幹部を倒したことも、決して些細なことではないが、
それ以上に、多種多様のマーパーツを手に入れられた。


ギャンブルに勝ったのだ。

('A`)

ここに来て、よかった。




と、そのときになって、ドクオの無言の旅立ちに気がついた
らしい面々が、サイドミラー越しに現れて戸惑いだした。
ノーナンバーズの面々にはほんとうにお世話になった。


だがしかし、セントジョーンズのバギーが、発車をする。

771 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 22:45:39 ID:4Q7BCeVU0


(’e’)「しゅっぱーつ、しんこー」

ドクオは窓を開けると、
追いかけようとする彼らに向かって手を振って、


('A`)ノシ「おおおーい!! みんなー!!!」


('A`)ノシ「元気で暮らせよなー!!!!!」


('A`)ノシ「開拓心を、忘れんなよー!!!!」



バギーは速度を上げていく。やがて、ハーモニーの
姿が、見えなくなっていった。……




   


                  .

772 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 22:52:23 ID:4Q7BCeVU0

('A`)「ふぅ……」

ドクオは一息つくと、カウボーイハットを深めに被り、
寝るような体勢になった。セントジョーンズがちらりと
見やると、ドクオは疲労に支配されているように映った。


(’e’;)「(ま、ほんとうにお疲れっすよドクオさぁん。
       よくここまで完璧に立ち回れたもんです……。
       まじで、凄いと思いますよ俺は……)」


火星の荒土を、バギーは走る。
無機質なエンジンの音。舗装されていない道の揺れ。


( A )「………」

(’e’;)「
………」

( A )「ジョーンズ……」

(’e’;)「あ、はい! なんすか」


( A )「あのさ、……



('∀`)「カレーでも、食いにいかねえか……?」


(’e’)「………」


(’e’*)「いいっすねえ!」

773 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 22:58:33 ID:4Q7BCeVU0

バギーが走る。
荒野を走る。


('∀`)「〜〜〜〜」

(’e’;)「〜〜〜ッ!?」


ドクオのよく分からないカレーへのこだわりと、店の
突飛なセレクトに、セントジョーンズが突っ込みを入れる。


(’e’;)「や〜れやれっすよ……」

セントジョーンズは、話を紛らわすようにカーラジオを点けた。
ラジオ内容は大昔の隠れた名曲セレクトで、ちょうど
イントロが鳴り響いたところであった。

http://www.youtube.com/watch?v=6d8WX_zSZlw

乾いたギターリフの印象的なこの哀愁に充ちた曲を
ハーモニーの鎮魂歌として、もしかしたらドクオは重ね合わせたかも知れない。

('A`) zzz....

曲を真剣に聴いているうち、ドクオは深い眠りに包まれていった。
目的地のカレー屋まで、彼は休み続けることになった。……


・・ ・・・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・
・・ ・・
・・ ・

774 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 23:02:25 ID:4Q7BCeVU0
.





Manic Street Preachers - Just A Kid





Afraid of the sun, so afraid of the sky
[太陽が恐ろしくて空も恐れていた]

Touch it and taste it,but don't reach too high
[触れて確かめようにも遠すぎて手が届かないから]

Bewildered by them. Then so uncomplicated
[困惑し、単純化された]

All these feelings not fully created
[それらの感覚全てが、完璧に作られていない]



.

775 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 23:04:26 ID:4Q7BCeVU0
.




Just a kid amongst the autumn leaves
[枯葉に囲まれた、単なる少年]

A kid kicking around with no worries
[ためらいなく虐める、一人の少年]

Just a kid searching through the debris
[ごみを漁る、単なる少年]


Just a kid acting like I used to be
[昔の俺のように振舞う、単なる少年]

Just a kid acting like I used to be
[昔の俺のように振舞う、単なる少年]




.

776 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 23:06:10 ID:4Q7BCeVU0
.


Afraid of the sun, so afraid of the sky
[太陽が恐ろしくて、空も恐れていた]

Touch it and taste it, but don't reach too high
[触れて確かめようにも、遠すぎて手が届かない]

Hurting and yearning,and yet so carefree
[苦しみ憧れても、まだ楽観的でいる]

Waking and dreaming, the world at my feet
[世界を感じた白昼夢]



.

777 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 23:09:04 ID:4Q7BCeVU0
.


Just a kid amongst the autumn leaves
[枯葉に囲まれた、単なるの少年]

A kid kicking around with no worries
[ためらいなく虐める、単なる少年]

Just a kid searching through the debris
[ごみを漁る、単なる少年]


Just a kid acting like I used to be
[昔の俺のように振舞う、単なる少年]

Just a kid acting like I used to be
[昔の俺のように振舞う、単なる少年]



・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・

.

778 ラスト投下 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 23:10:41 ID:4Q7BCeVU0
.











・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・
・・ ・・・・・
・・ ・・・・・・



舞台は大きく変わって、ホテル・サイドニアのエントランス。
ここでは、とある事件が起きようとしていた。.......


.

779 ◆tOPTGOuTpU :2013/09/11(水) 23:16:10 ID:4Q7BCeVU0
いや、遅くなってすまんかった。なんども言うけど、
この程度の分量二日あれば余裕っしょと調子こいた結果の数ヶ月でした。
明日から本気だします。



それと、以上をもって、ホテル・サイドニアのハーモニー編は完です。
めちゃくちゃ長かった(431kb)ので、ちょいと感慨深かったり。
俺の処女作、綺麗な街のある種リメイクのような一編でしたし。
投下がめっちゃ遅くって、すんませんでした。明日から本気出します。

780 名も無きAAのようです :2013/09/12(木) 00:01:15 ID:/WE2MaSM0
おつ!!!

781 名も無きAAのようです :2013/09/12(木) 03:28:25 ID:xJJ5L/VU0
乙っ!

782 名も無きAAのようです :2013/09/12(木) 09:10:37 ID:fYZxTM7I0
乙!
ハーモニー編最高だった
次にも期待

783 名も無きAAのようです :2013/09/12(木) 09:39:10 ID:AIffu.pMO
おつおつ!本気に期待!

784 名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 15:35:12 ID:0vVX8.LY0
いい締めだ
これにしかない雰囲気がよく出てる
開拓史って感じだ


785 :2014/01/07(火) 02:15:53 ID:aTHZG7Xk0
あげ

786 名も無きAAのようです :2014/01/11(土) 02:06:24 ID:tnwdLTBw0
Y

787 名も無きAAのようです :2014/01/13(月) 23:17:04 ID:uAVnAEYQ0
はよ続き!

788 名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 15:37:50 ID:S/qLRBpg0
まだか

789 名も無きAAのようです :2014/01/15(水) 18:16:03 ID:S/qLRBpg0
面白いからこそ、そろそろ締めに入ってほしい

790 ◆tOPTGOuTpU :2014/01/16(木) 11:37:00 ID:Ba8k//Ns0
えー、おひさしぶりですね。あけましておめでとうございます。
ageられていたので、進行状況をぶっちゃけます。
5レスほど書いてずっと放置してました。
ちょいと一休みのつもりが、気がつけば数ヶ月経っていてびっくりです。
がんばります。

791 名も無きAAのようです :2014/01/16(木) 12:00:12 ID:VPSoFsmc0
がんばれ

792 名も無きAAのようです :2014/01/16(木) 16:24:31 ID:PubPrKgM0
んもー

793 名も無きAAのようです :2014/01/16(木) 19:04:46 ID:n68eTOsI0
期待して待ってるからな!

794 名も無きAAのようです :2014/01/20(月) 06:05:47 ID:dpT7zc/E0
期待あげ

795 名も無きAAのようです :2014/02/28(金) 02:48:52 ID:pVbTWnEQ0
色んな作品見てるとちょいちょい思い出す
そろそろ10レスくらいは出来たか?

796 ◆tOPTGOuTpU :2014/03/03(月) 18:39:32 ID:dX/IAMYM0
はい、導入部分は完成しているのよ。
ところで、総合で聞け的な質問になっちゃうんだけど
macで書き溜めできるいいソフトどなたか知らないかなあ。
windowsの方がイカレて(書き溜めはhd内だから無事)、にっちもさっちも行かなくて。

797 名も無きAAのようです :2014/03/03(月) 21:43:39 ID:VH0/DklA0
Emacs

798 ◆tOPTGOuTpU :2014/03/04(火) 14:52:03 ID:nwSPpWyQ0
ありがとん、試してみます

799 名も無きAAのようです :2014/04/03(木) 21:51:28 ID:bJeHJKvo0
最初からじっくり読み直したらとてもテンションが上がったので、その勢いで絵を描いたよ
http://s1.gazo.cc/up/80465.jpg
作中の随所に見られるドクオの真っ直ぐで熱い心が素敵だね。
応援してます

800 名も無きAAのようです :2014/04/04(金) 10:56:38 ID:Yt3rTfhU0
SUGEEEEE
カッケエ!!

801 名も無きAAのようです :2014/04/04(金) 11:15:42 ID:psSUn5r.0
サムネでみると昔のレコードのケーズみたい(誉め言葉)

802 名も無きAAのようです :2014/04/04(金) 12:05:34 ID:9hSqBRSY0
なんというか渋いタッチの絵だ

803 名も無きAAのようです :2014/04/04(金) 20:35:51 ID:9H7CpzWYO
こいつぁシャレオツな絵だぜ

804 ◆tOPTGOuTpU :2014/04/06(日) 12:28:48 ID:TIf422Co0
す、すげええええええ!!1
まじでテンションあがりました、ありがとうございます!
いまから書き溜めます!

805 名も無きAAのようです :2014/05/19(月) 21:29:06 ID:BtEbGIQc0
待ってる

806 名も無きAAのようです :2014/05/25(日) 16:45:31 ID:iUD6mwjM0
待ってるお

807 名も無きAAのようです :2014/08/10(日) 13:14:34 ID:.pMPc1c20
まだなのかー

808 名も無きAAのようです :2014/08/31(日) 06:26:04 ID:NDFyXtAQ0
えっもう1年経つのか!!?

809 名も無きAAのようです :2014/09/23(火) 07:03:04 ID:7gZbeUKE0
きてくれー

810 名も無きAAのようです :2014/09/27(土) 15:15:35 ID:0F8ssJ860
逃亡

811 名も無きAAのようです :2014/09/27(土) 15:21:53 ID:vG./QLXc0
多分>>797のせいでEmacsにハマってしまったんだろ

812 名も無きAAのようです :2014/10/03(金) 03:55:33 ID:v80xhaNU0
テキストエディタにハマるって何だよ・・・

813 :2014/10/03(金) 14:15:31 ID:zof7MrNk0
>>812
使ったことないの丸分かりw

814 名も無きAAのようです :2014/10/03(金) 17:04:43 ID:/8EIjjIs0
使ったことないけどそれが?
いきなりどうしたよ

815 名も無きAAのようです :2014/10/03(金) 21:23:52 ID:5VgLRQGA0
>>814
おこるなよw

816 名も無きAAのようです :2014/10/04(土) 14:22:35 ID:UzGYGgws0
大丈夫かこいつ
それでEmacsにハマるってなんなん?

817 名も無きAAのようです :2014/10/04(土) 14:25:36 ID:aX49noVg0
>>816
荒らすなボケ
一人でageまくってる基地外
みんなももうこいつに構うな

818 名も無きAAのようです :2014/10/04(土) 15:56:19 ID:X4TPvi4w0
>>817
わかった

819 名も無きAAのようです :2014/10/04(土) 18:43:26 ID:zQK2wD9o0
以上、自演乙の提供でお送りいたしました

820 名も無きAAのようです :2014/10/07(火) 13:30:47 ID:RRWSANvM0
820げと

821 名も無きAAのようです :2015/01/04(日) 19:40:05 ID:lFvTsGA60
がんばれー!
待ってるぞ!

822 名も無きAAのようです :2015/06/01(月) 14:18:08 ID:.s.aoslY0
待ってるよー

823 名も無きAAのようです :2015/10/14(水) 18:03:00 ID:Iz1kUalA0
カモンщ(゚д゚щ)カモーン

824 名も無きAAのようです :2015/10/14(水) 20:21:16 ID:HbHVicsQ0
カモンじゃねぇよ
来たかと思ったわ

825 名も無きAAのようです :2015/10/14(水) 20:31:16 ID:4QrL84ec0
ごめんυ(゚д゚υ)ゴメーン

826 名も無きAAのようです :2015/10/14(水) 21:07:44 ID:So4BASbc0
なに無駄にageてんだ
更新きてねーじゃねぇかカスが
期待して損したわ

827 名も無きAAのようです :2015/10/14(水) 21:27:39 ID:NHLdkNOg0
4レスともなると流石に期待してしまったんだぜ?

828 名も無きAAのようです :2015/10/15(木) 19:56:16 ID:/J6WUSJQ0
上げんな。
二度とこのスレにドントカモン

829 名も無きAAのようです :2015/11/10(火) 20:32:22 ID:OeFBp87w0
久々に読み返そうの思ったらまとめサイトが消えてる...

830 名も無きAAのようです :2015/11/10(火) 20:48:53 ID:LsaJt.bo0
http://nanabatu.sakura.ne.jp/boon/hotel_sidenia.html
ななばつは移転したんだぜ

831 名も無きAAのようです :2016/05/03(火) 17:03:44 ID:333ac0Oc0
ボカァまだ諦めてないよ

832 名も無きAAのようです :2018/08/30(木) 08:27:07 ID:lDCtq1iY0
支援
https://i.imgur.com/NGJ2dKy.png

833 名も無きAAのようです :2019/10/28(月) 22:36:23 ID:l0.yNgKo0
あなたが誰なのか知るまでは諦めんぞ


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