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ヤンデレの小説を書こう!@避難所 Part07

333 ◆lSx6T.AFVo:2017/11/02(木) 14:37:31 ID:fgdUzpOU
 だから――だからこそ、僕はニヤリと笑う。そして図々しくも、サユリの隣に腰かけた。
 サユリが僕を睨む。見るのではなく、睨む。おお、恐い恐い。ちびってしまいそうだ。
「なんだよ、その目は。別におかしなことは言ってないだろう。クラスメイトとウインドウショッピング。実に自然な話じゃないか。それともあれか、もし誰かに見つかって噂されたら恥ずかしいとでも言うのか? わっは。おいおい、氷の女王がそんなこと気にするのかよ」
 僕の本質とは何か。言うまでもない。アイアム小悪党。サユリとの関係にヒビが入ってしまったというのなら、それを修復するのではなく、いっそ徹底的に壊してしまうべきだ。一度崩れた積み木を、再度積み直す根気が僕にあるとでも?
 そもそもさ。僕みたいなクズに、サユリの心情を慮りながら優しくフォローするなんて芸当ができるはずないでしょ。さっきのやりとりを見てみなよ。あまりの僕らしからぬ感じにサブいぼが立ったでしょ? 僕が誰かに優しくするなんて無理無理無理無理。成績表に『性格に難あり』と書かれた男だぜ?
「ま、僕としては嬉しい話ではあるけどね。なんたって地元の名士の娘とお近づきになれるんだ。うまい具合に事が運んで玉の輿に乗れれば、僕も権力者の仲間入りかね」
 この一言は、クリティカルだった。今までとは、明らかに場の空気が変わる。隣から感じる怒り――いや憤怒と言ったほうが適切かもしれない――により、ひりつくような緊張感が生まれていた。青いはずの彼女の瞳が、赤く染まって見えた。
 家族の話が、サユリにとって最もセンシティブなものであることは、なんとなく気づいていた。絶対に越えてはならない最終防衛ラインを越えたのだ。
 さすがの僕も、恐怖する。氷の女王の名は伊達じゃない。相手は同学年の女子だというのに、射すくめられただけで泣きそうになる。この年でこの威圧感を出せるのは、やはり只者ではないということなのだ。彼女はやはり、女王だった。
 だけど僕は、あえて微笑みかける。
「僕は、キミを憐れんでいる」
 この一言は、不意打ちになったらしい。ほんの一瞬のことだったが、サユリの青い瞳にさざ波が起きた。
 虚を突くことに成功したことを悟った僕は、一気に畳みかける。
「だって、そうだろう? 元旦なのに親類と過ごさない、友人とも過ごさないだなんて、なんとも泣かせる話じゃないか。そりゃ憐れみたくもなるさ」
 堰を切ったように、言葉は溢れ出す。


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