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ヤンデレの小説を書こう!@避難所 Part07

292雌豚のにおい@774人目:2017/06/18(日) 15:20:20 ID:DXyNWHbs
「○○ちゃんは行かないの?」
「僕はパス。外、寒いしね。それにさ、大した宗教心も持たないくせに、ただ慣習に流されて初詣に行くような安易な態度はとりたかないのさ。神社と寺の区別もついていない人が多いこの世の中、生半な気持ちで参拝されたって神様も嬉しかないだろう。仮に行くにしたって、二週間くらい経ったガラガラの神社を好むね」
「じゃあ、私もその時に一緒に行こうかな」
 そう言って、Aはコタツの中にもぐりこんだ。野暮ったい晴れ着のせいで、やや窮屈そうだ。彼女の足が、太ももに当たる。
「いやいやいやいや、何を言っているんだ。僕に構わず行けばいいだろう。何のための晴れ着だよ。せっかくのおめかしなんだから、神様にお披露目してこいよ」
「でも、私は○○ちゃんと一緒がいいから」
「…………」
 嘆息。
 なんつーか……どうしていつもAはこうなのだろう。なんでも僕中心に考えているというか。僕のことをひとりじゃ何もできない、残念なヤツだとでも考えているのだろうか(否定はできない)。断言してもいい、Aは絶対に子供を過保護でスポイルするタイプの親になる。甘々の甘やかしで精神的糖尿病になっちまいそうだ。
 ――そしてAのこういう態度が、僕にとっては一番堪える。
 着付けた晴れ着のレンタル代、美容院でのセット代、果たしておいくら費やしたのかは知らないが、それを惜しいとも思わずに全てを投げ出してしまえる、その態度。
 きっと、おじさんとおばさんは困惑顔で娘を説得するだろう。だが、こうなったAが梃子でも動かないのは当然ご承知だ。唐突な娘のワガママを、ただ受け入れる他ない。新年早々に幸先のいいスタートを切るつもりだったのに、出鼻をくじかれることになってしまう。
 僕としても、さすがにそれは忍びない。
 なので、あー、だの、うー、だの呻きながらコタツの中をゴロゴロ転がり回った挙句、
「わかったわかった! 初詣、行くよ。僕も行けばいいんだろう!」
 そう言って立ち上がると、Aは花のようにパァっと顔を輝かして、嬉しそうに手を合わせた。
「ありがとう、○○ちゃん」
 だから何に対する感謝なんだって。


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