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ヤンデレの小説を書こう!@避難所 Part06
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ある休日の夕方、閉店まであと少しというときだった。
カランカランと音をたててドアが開く。
「いらっしゃませ。」
本当なら接客担当の人がいたのだが、丁度裏の仕事に回っていたので店内にいた俺がオーダーを聞く。
「ご注文、は…?」
俺は様子の変さにすぐに気づいた。彼女は泣いていた。
「…コーヒーで…。」
今にも消えてしまいそうな声で言ってきた。
「(なるほど、失恋か…)」
根拠こそなかったが、俺は確信した。先輩によれば彼女のように啜り泣きながら携帯を眺めている人を大概失恋した人らしい。事実、そのほとんどがそうだった。だから今回もそうなんだろう。
俺はすぐにコーヒーを淹れる。幸い店内には彼女以外に客はいなかったので手間をかけることができた。
「お待たせいたしました。コーヒーになります。」
彼女の前にコーヒーを置く。
いまだ啜り泣く彼女は震える手でカップを掴み一口。
「甘っ…!」
そのあまりの甘さに驚き俺を見る。
「どうでしょうか?」
「お…美味しいですけど、甘すぎないですか?」
それはそうだ。一手間かけたからな。
「せめてコーヒーだけは甘く味わってほしかったので。」
「え…?」
これは俺の持論だ。辛いことを思い出し、または味わって苦しんでいるのならせめて少しでも紛らせるものを出そうと。
ならば甘いものという答えにいたった。
彼女は再びコーヒーに口をつける。
「甘い…、甘いよぉ…!」
彼女は溢れ出したかのように大粒の涙を流す。
それから数分後、戻ってきた先輩に勘違いされ、その誤解を解く頃には閉店時間を過ぎていた。
それから閉店後の掃除や仕込みなどを終える頃には外は暗くなっていた。
「お疲れー。」
「お疲れ様です。」
先輩と別れの挨拶をし帰路につこうとする。
「あの!」
「はい?」
呼び止められたので振り替えると、そこには彼女がいた。
「あれ、帰ったんじゃなかったんですか?」
「その…、お礼が言いたくて待ってました。」
「今までですか!?」
閉店してからの作業を終わるまで一時間以上かかる。それまでずっと外で待っていたのか?
「すみません。長い時間待たせてしまって。」
「い、いえ!私が勝手に待っていただけなんで!」
そこで俺は改めて彼女を見る。大分落ち着きを取り戻したのか顔には笑顔が戻っている。少し前まで号泣していた人とは思えなかった。
それにしてもどうしてこんな可愛らしい人がフラれるのだろうか?モデルとまではいかないが、顔立ちは整っているし私服のラインからスタイルがいいのも伺える。となると彼氏に見る目がなかったのか、それとも彼女の性格に問題があるのか。
「お礼と言っても、自分はコーヒーを出しただけですよ。」
「それでもですよ。」
そう言って彼女は柔らかく微笑む。…ほんとなんでフラれたんだこの人?
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