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ヤンデレの小説を書こう!@避難所 Part06
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「じょ、冗談だよね?」
「このまま、もう少しだけ腕の力を強めたら、阿賀君はもうどこにも行かないよね?」
彼女は、僕の問いには答えない。
その声におどけた様子は無い。しかし本気とも取りかねた。
「阿賀君、すぐどこか行っちゃうんだもん。私、結構怒ってるんだからね」
僅かに、締め付けが強まる。僕を逃がさないためか、それとも。
「僕はどこにも行けなくなるけれど、その代わり、今帰さんが刑務所に行っちゃうよ」
努めて軽い調子で彼女をなだめる。
彼女は何も答えない。
今帰さんの熱を感じているはずなのに、僕は悪寒を感じた。
彼女の言葉に、殺意や害意は感じられない。
それでも、このまま、本当に殺されるんじゃないかって思ってしまった。
僕が悪寒を感じたと同時に、今帰さんの腕が僕から離れる。
「それはダメ。私が隣にいないと意味が無いもの」
ひらひらとゆれるように歩きながら、彼女は室内を一回りする。
僕はただ呆然を彼女を見る。
怒ればいいのか、恐怖すればいいのか、それすら図りかねる。
今帰さん、君は……
「ごめんね、変なことして」
「あ、ああうん、ちょっと驚いたかな」
「ごめん。もうやらないから」
「うん」
その後、僕たちには会話も無く、二人並んで無言で帰った。
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今帰さんの行動はどんどんエスカレートしている。
すっかり忘れていたが、今帰さんと会話することとか、二人で話したりするってことからそもそも異様な状況だ。
それを、だんだんと疑問に思うことが出来なくなってきている。
慣らされている。
彼女は一歩ずつ地面を踏み固めるように、ゆっくりと、だが着実に僕の傍に踏み込んできている。
さすが優等生だ。彼女は努力が苦痛であるという概念を持ってないんじゃないだろうか。
努力の結果、彼女には一体なにが手に入る?
頑張ってお金をゴミに変えるような、そんな不毛な努力をよくやるものだ。
このままだと、僕はどうなってしまうのか。ここ最近の異様な様子からして、遠からず身に危険が及ぶことは想像に難くない。少なくとも、今までのような人生は送れなくなる。低燃費低性能低価格がウリな一人乗りの阿賀号の大破は免れ得ない。
彼女が逃がさないというのなら、僕はそろそろ、真剣に逃亡の必要性について検討しなければならないのかもしれない。
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阿賀君を後ろから抱きしめたとき、すごくしっくり来た。
収まるべきところに収まるものが収まったという実感。あるものがあるべき形になったという確信。
阿賀君は最初からここにいるべきだったのだ。
ああ、私の不安も、悲しさも、苦しさも、全て納得がいった。
阿賀君だ。
阿賀君がここにいなかったのがいけなかったんだ。
ずっと、私の手の中に納まっていればいいのに。
気づいてしまえば、もうそう思わずにはいられない。
そこにいない彼を怨まずにはいられない。
阿賀君は、ここにいるべきなのだから。それが正しさなのだから。
もし、もしも阿賀君が、そこから逃げようとするなら、私は……
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