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ヤンデレの小説を書こう!@避難所 Part06
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僕の人生がクソ漫画でなくてよかった。
いや、この場合、僕の人生がジャンプで連載されてなくてよかったというべきか。なぜなら、僕の人生は紛れも無くクソだ。漫画ではないだけで。
「そういえば、今帰さんは普段何やってるの?」
「私もたいしたことはしてないよ。テレビみたり、勉強したり、お菓子作ったり」
そういえばお菓子の写メが送られてきたりしたっけ。
「さすが今帰さん」
「……なんか阿賀君、言ってることがテキトーじゃない?」
今帰さんはねめつけるようにこちらを見る。
「い、いいいやそんなことないよ。僕はいつでも正直さ!」
これはあながち間違いではない。
ぼっちは自分の気持ちにとても素直だ。だからやりたくも無いことをやらず、人に迎合しないのだから。
「今度阿賀君にもお菓子作ってあげるね!」
「いいよそんな。悪いし」
「人にお菓子作るのって結構楽しいんだよ?」
なんだこの子は。天使か。
誰かに何かをしてあげることで喜びを感じるなんて。どういう思考回路してんだ。
「申し訳なくってとても受け取れないよ」
「……阿賀君って自分を卑下するようで、結構上から人を見てるよね」
「とんでもございません! 私のような下男が今帰様のお手を煩わせるなど、とてもとても」
僕は僕に出来る最大限のへつらいの笑みを浮かべ手を揉む。
「何それ。じゃあ毒見でいいよ。まさか今帰様の命令に逆らったりしないよね? 私のために死ねるなら光栄だよね」
何を食わす気だ。
「ごめん。危なくない普通のお菓子をお願いします」
「ふふ、了解」
他愛の無い会話をしているうちに、僕の家が近づいてきた。
なんとなく。
なんとなくだが、家の場所を特定されたくない。
しかし寄り道しても、今帰さんには僕が帰宅するのをずっと待ちそうな気配がある。
「阿賀君の家ってもうすぐ?」
そんなことを考えていたからだろうか、今帰さんはまさに僕の考えを突くような質問をしてきた。
「そういえば、今帰さんの家はどこなの?」
質問を質問で返すのは人として最低の行いである。
が、僕の質問で今帰さんが固まった。
その顔に薄い微笑を貼り付けたまま、一言も話さない。
「今帰さん?」
「あ、あの、わたし用があるから帰るね」
今帰さんは踵を返すと、早足で、いやもはやほとんど走るように消えていった。
今も下校中だと思うんだけど。
結局、今帰さんはどのへんに住んでるんだ?
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どうしよう。つい逃げてきちゃった。
変に思われたかな。思われたよね。
阿賀君の家、行きたかったな。
どんなお家なのかな。どんな部屋なのかな。
阿賀君はその部屋で普段何をやってるんだろ。
でも行けなかった。
だってまさか家が反対方向だなんて答えられなかったから。
素直に答えたら一緒に帰れなかっただろうから。
阿賀君は決して人に心を許さない。
親しげにしていても、阿賀君は本当は親しさなんてまるで感じていない。
私は、阿賀君にどう思われているんだろう。
迷惑なのかな。阿賀君は本当は私のこと嫌いなのかな。
寝付けずに私はベッドから起き上がる。
そうだ、お菓子を作ろう。
阿賀君に上げるお菓子。
何かをしている間だけは、物事を深く考えずに済む。
阿賀君。嫌いならはっきりそう言ってよ。
本当に嫌いだって言われたらどうするのか。
そのことについて一切考えていないということに、私はまったく気がつかないまま、軽量カップを取り出し、お菓子作りを開始した。
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